JP4153121B2 - アンダーカットを有する樹脂製人工歯およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成型用の型によって作製される樹脂製人工歯に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂製人工歯の成型はメチルメタクリレート(以下、「MMA」と略称する)とポリメチルメタクリレート(以下、「PMMA」と略称する)の混合系あるいは7,7,9-トリメチル-4,13-ジオキソ-3,14-ジオキシ-5,12-ジアザ-ヘキサデカン-1,16-ジオール-ジメタクリレート(以下、「UDMA」と略称する)に代表される高粘度の多官能メタクリレートと無機および/または有機充填材からなる複合体材料に琺瑯色、象牙色、ベース色に着色したものを成型用型に填入し、各層を順に成型用型を替えて段階的に加圧加熱して行ってきた。
基本的に樹脂製人工歯の成型は、おのおのを成型するとき、途中工程の成型は重合が完了しないような成型条件で行い、最終の成型時にすべての層を完全重合させる。この最終重合で各層間に化学反応を起こし、結合せしめ、各層が強固に結合して一体となった樹脂製人工歯を得る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂製人工歯の製造を行うためには、重合可能な化合物を成型用型に填入加圧し、適切な温度、圧力、加温時間、加圧時間を設定した成型条件によって成型する。これらの樹脂製人工歯の成型に使用される樹脂材料は成型用型内で重合し、ヌープ硬度が約11〜50付近になるように設定、調整されている。これらの樹脂材料を使った樹脂製人工歯の加圧加熱成型による製造工程において、人工歯の形状を形作る各部分を構成する樹脂材料は最終的にキャビティー内で完全に重合硬化させる必要があるため、成型した樹脂製人工歯の形状、また多層構造を有する樹脂製人工歯の場合には、成型時における成型用型の抜き方向に対してアンダーカットとなるような形状の内部構造を損なわずに型から抜き出すために、成型用型にはアンダーカット部がないようにする必要がある。そのため、成型用型の分割線は、樹脂製人工歯の内部構造成型用型においてはその形状の最大豊隆部、樹脂製人工歯の外形状においては、樹脂製人工歯形状の最大豊隆部を通るように設定しなければならない。しかし、こうして設定した分割線によって作製された成型用型では、例えば樹脂製人工歯の外形状の場合、琺瑯部は分割線までしかもってくることができない。即ち、この場合、型の最大豊隆部を越えた部分を一体として成型することは、硬化した成型品が変形能を有しないため、これを破壊させずに成型用型から取り出すことができず、不可能であった。
【0004】
一方、天然歯の形態には通常このアンダーカット部分が必ず存在する。このアンダーカットの存在が歯牙形態をふくよかなものにし、自然感を表す大きな要因となっている。しかし前述の理由から、樹脂製人工歯の成型ではアンダーカットを排除しなければならないので、その結果として、樹脂製人工歯の構造は自然歯と同じ構造とすることができず、樹脂製人工歯特有のアンダーカットのない構造の中で、審美性を可能な限り天然歯に近付ける創意と工夫が要求され、多大な労力が必要であった。しかし、このような努力をもってしても、従来の樹脂製人工歯の形態は成型用型にアンダーカットを設けることができる陶歯に比較して天然歯らしさが乏しいのが現状である。
【0005】
こうした問題を解決するために、一部では分割線の上下で別々に琺瑯部を成型する工程をそれぞれ設けるなどの煩雑な成型方法も用いられている。しかしながら、この方法では成型の工程が多大、且つ複雑になり、成型時に生じるバリが厚くなったり、上下の琺瑯部の接合部にずれが生じたり更にはその形態のみならず、色調の再現性でも、舌面側の色調と唇面側の色調に差が発生するなどの問題があった。このように、いずれの方法でも天然歯の琺瑯部の再現には限界があり、審美性において患者、術者ともに不満の残る結果となっていた。
【0006】
また従来の樹脂製人工歯の製造方法では大型の加熱加圧成型機が必要であり、成型条件も接着を考慮した条件である必要があり、成型条件範囲が狭くその設定は困難であった。
【0007】
また、従来の製造方法では、成型用型の長期使用による分割線付近の微妙な変形などにより、完全重合した樹脂製人工歯が成型用型から外れないことや、バリの発生量が大きいこと、加圧と加熱が同時に行われることによる白濁やクラックの発生などの問題が起こりがちであった。また加圧、加熱によって樹脂材料を完全硬化させるため、成型用型は成型のたびに大きな応力を受けることになり、繰り返しの使用で分割線や微細な形状を形作る部分が徐々に摩耗、変形し、比較的早期に使用の限界を迎えていた。こうしたことは成型品の良品率の頭打ちや、成型用型の頻繁な更新が必要になるなど、生産性の向上に対して妨げとなっていた。
【0008】
本発明の課題は、上記のような樹脂製人工歯の問題を解決し、審美性に優れ、且つ成型性および接着性にも優れたアンダーカットを有する樹脂製人工歯を提供することである。
なお、本明細書において「アンダーカットを有する」とは、樹脂製人工歯の成形時において成型用型の抜き方向に対してアンダーカットを有することを意味する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記実情に鑑み、樹脂製人工歯の製造において、樹脂製人工歯用材料として、ゴム弾性を持ち最終重合で硬化する生体修復材料を使用するとともに、アンダーカットを有する型を用いることにより、形態を付与する予備成形と脱型後完全に重合させる最終重合との2段階工程を構成することによって上記の問題を解決するものである。
【0010】
即ち、本発明は、抜き方向に対してアンダーカットを有する型を用いて成形されたアンダーカットを有する樹脂製人工歯に関する。
特に、本発明は、アンダーカットを有する型により形態付与し、脱型後重合硬化させて得られる上記樹脂製人工歯に関する。
詳しくは、本発明は、その特性を塑性体から経時的に、ズリ弾性率が1.0×104Pa〜9.99×109Pa及びゴム硬度が1〜90を示すゴム弾性体に変化し、重合後ヌープ硬度が10以上に変化しうる生体修復材料を少なくとも成型用型の抜き方向に対してアンダーカットとなる部分に用いてなる上記の樹脂製人工歯に関する。
より詳しくは、本発明は、生体修復材料が、重合性単量体10.0〜37.5重量%、少なくともその表面が上記重合性単量体によって膨潤する粉粒体状重合体14.5〜62.5重量%、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート10.0〜60.0重量%および重合開始剤を含む上記樹脂製人工歯に関する。
もうひとつの態様として、本発明は、生体修復材料が、ポリアルキルメタクリレートとウレタン(メタ)アクリレートとが均質に混合している均一混合組成物を0.01〜25.0重量%および/または可塑剤を0.01〜20.0重量%の量で更に含む上記樹脂製人工歯に関する。
更に、本発明は、抜き方向に対してアンダーカットを有する成形用型に、上記の生体修復材料を塑性状態で型に填入して形態を付与し、生体修復材料の弾性特性発現後に脱型し、次いで重合硬化させる上記樹脂製人工歯の製造方法に関する。
【0011】
本発明の実施に用いる生体修復材料は、型内で弾性体に移行させた後は長時間そのズリ弾性率またはゴム硬度を維持するため、抜き方向に対してアンダーカットを有する場合でも、適当な外力で弾性変形して脱型することができ、且つ脱型後は形状を回復するため、付与した形態を維持したまま取り出せるという特徴を有する。
【0012】
更に、本発明の樹脂製人工歯は、型から取り出したあと重合するため、接着を考慮した段階的な加熱成型の必要なく製造することができる。更にバリの発生も少なく、特に成型性、接着性に優れ、且つ最大豊隆部を越えて琺瑯部を一体成型できる。また更に樹脂製人工歯表面での呈色性を考慮した、通常ではアンダーカットとなって一体成型できないような内部構造を一体成型できるため、特徴として優れた審美性を有する。
更に、本発明の樹脂製人工歯は形態付与の段階で義歯床との強固な固定を目的とした窪みや突出部などの通常ではアンダーカットとなって一体成型できないような内部構造を一体成型で人工歯外面に付与することができるため、こうした形状を付与するための後工程を排除することができる。
また更に、本発明の樹脂製人工歯は形態付与の段階で、隣接歯との正しい位置関係をガイドするための凹凸形状などの、通常ではアンダーカットとなって一体成型できないような内部構造を一体成型で人工歯外面に付与することができるという特徴を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂製人工歯は、その材料として、弾性体に移行後重合を開始するまで少なくともズリ弾性率1.0×104Pa〜9.99×109Pa、好ましくは1.0×105Pa〜9.99×108Paおよびゴム硬度1〜90、好ましくは10〜90、より好ましくは15〜90を長期間安定に維持する特性を持ち、重合後ヌープ硬度が10以上になりうる生体修復材料を使用するものである。
生体修復材料がズリ弾性率およびゴム硬度を長期間安定に維持するとは、20℃〜25℃の温度範囲で測定したズリ弾性率及びゴム硬度が、4℃〜35℃の温度で好ましくは3カ月以上、より好ましくは2年間保存後も実質的に変化せず上記の値を維持することを意味する。
上記生体修復材料は、適度の可塑性を有するため型を用いて樹脂製人工歯に造形でき、経時的に弾性体に移行した後は優れた弾性を有するため、形成された型を損なうことなく脱型することができる。
【0014】
以下に、本発明で使用する生体修復材料に関して詳細に説明する。
上記生体修復材料は、重合性単量体10.0〜37.5重量%、少なくともその表面が上記重合性単量体によって膨潤する粉粒体状重合体14.5〜62.5重量%、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート10.0〜60.0重量%および重合開始剤を含んでなる。
また、生体修復材料は、上記各成分にポリアルキルメタクリレートとウレタン(メタ)アクリレートとが均質に混合している均一混合組成物(以下、単に「均一混合組成物」とも記す)を0.01〜25.0重量%および/または可塑剤を0.01〜20.0重量%の量で更に含むことができる。
【0015】
本発明で用いられる重合体は、同時に使用する重合性単量体により少なくともその表面が膨潤するものであればよく、粉粒体として用いられる。このような重合体としては、例えばPMMA、ポリエチルメタクリレート(以下「PEMA」と略称する)等のポリアルキル(メタ)アクリレートの重合体または共重合体を例示することができる。また重合体粒子の核が架橋ポリアルキル(メタ)アクリレートで且つ殻がPMMAまたはPEMA等の重合体の単独または2種以上の混合系とからなる多層構造粒子であってもよい。
上記重合体は上記の重合性単量体と室温下で短時間に膨潤または溶解する必要がある。また核が架橋ポリマーで重合性単量体に対して膨潤も溶解もせず、殻がPMMAから作製された重合体粒子は、エラストマーを調製する時により効果的である。かかる観点からは重合体は平均分子量が好ましくは10万〜100万、特に好ましくは20万〜100万、平均粒子径が好ましくは1〜100μm、特に好ましくは1〜75μmである。
【0016】
本発明で使用する重合性単量体は、上記重合体類を室温下で短時間で膨潤または溶解することができ、重合体との共存下で加熱および/または下記の重合開始剤により重合するものであればどのようなものでもよい。このような重合性単量体は、好ましくは、MMA、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、「2−HEMA」と略称する)等のエチレン性不飽和結合を1個含有する単官能性モノマー類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート(以下、「EG」と略称する)、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(以下、「TG」と略称する)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(以下、「TMPT」と略称する)、ホスホニルクロリドと2-ヒドロキシエチルメタクリレートの反応組成物(以下、「PPZ」と略称する)、2,2-ビス(4-メタクリロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート(以下、「D-2.6E」と略称する)、UDMA等のエチレン性不飽和結合を2個以上含有する多官能性モノマー類が挙げられる。特に好ましくはMMA、2-HEMA、EG、TG、TMPT、D-2.6E、UDMAである。更に好ましくは、MMA、EG、TG、TMPTである。
【0017】
本発明のシラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートとは、特定のシラン化合物で処理された一次粒子の平均粒子径が1〜85nmであるコロイダルシリカがウレタン(メタ)アクリレート中に均一分散している組成物である。 シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートは、好ましくはウレタン(メタ)アクリレート29.0〜69.0重量%、コロイダルシリカ10.0〜70.0重量%、シラン化合物1.0〜30.0重量%を含む組成物である。
【0018】
上記において「均一分散」とは、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートの硬化前および重合硬化後の透過率が80%以上を示す状態をいう。この場合の透過率は、「スペクトロフォトメータU−3200」(商品名;株式会社日立製作所製)を用い750nm〜380nmの範囲で測定されたものである。
【0019】
本発明にかかるウレタン(メタ)アクリレートは、一分子中に少なくとも1個以上のアクリロイル基および/またはメタクリロイル基、並びに少なくとも1個以上のウレタン基を有する。ウレタン(メタ)アクリレートは、代表的には、UDMA、1,6ビス〔(2-フェノキシ-2'-アクリロキシ)イソプロピルオキシ-カルボニルアミノ〕ヘキサン(以下、UDAと略称する)、1,1,1-トリ〔6{(1-アクリロキシ-3-フェノキシ)イソプロピルオキシ-カルバニルアミノ}-ヘキシルカルバモイロキシメチル〕プロパン(以下、「URO」と略称する)、下記の構造式
【0020】
【化1】
【0021】
で示されるウレタン(メタ)アクリレートを例示することができる。基本的にはウレタン結合の主鎖骨格が脂肪族、芳香族、脂環族でもよく又は主鎖骨格に芳香族、脂環族を含まず側鎖に脂肪族、芳香族、脂環族を含むものが更に好ましい。特に好ましいウレタン(メタ)アクリレートは、UDMA、UDA、UROである。
【0022】
コロイダルシリカは、式(I)
YnSiX4-n (I)
〔式中、Yは炭化水素基またはビニル重合可能な反応性基、Xは加水分解性基を表し、nは1、2または3の数値を表す〕
で示されるシラン化合物で処理されている。
【0023】
本発明において使用されるコロイダルシリカは、各種の市販品が使用できる。コロイダルシリカの好ましい粒子径は1〜85nmである。コロイダルシリカの市販品として使用できる代表的なものの例は、「スノーテックス IPA-ST」(日産化学工業株式会社製;平均粒子径10〜15nm;以下「IPA-STと略称する)、「OSCAL-1432」(触媒化成工業株式会社製;平均粒子径10〜20nm)、「OSCAL-1632」(触媒化成工業株式会社製;平均粒子径11nm)である(ここで平均粒径とは一次粒子の平均粒子径をいう)。コロイダルシリカの分散媒は特に限定されないが、通常、水、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、セロソルブ類、ジメチルアセトアミド等が使用される。特に好ましい分散媒は、アルコール類、セロソルブ類及び水である。
【0024】
本発明で用いるシラン化合物は一般式(I)
YnSiX4-n (I)
〔式中、Yは炭化水素基またはビニル重合可能な反応性基、Xは加水分解性基を表し、nは1、2または3の数値を表す〕
で表されるものである。ここで、炭化水素基とは炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基の炭化水素基またはこれらの混合物を表す。またビニル重合可能な反応性基とはビニル基、アクリル基、メタクリル基またはこれらの混合物を表す。また加水分解性基とは酸触媒中で脱離する性質を有するものであり、具体例としてアルコキシ基、メトキシアルコキシ基、アセトキシ基、フェニルオキシ基を挙げることができる。
【0025】
一般式(I)で表されるシラン化合物の例としては、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メトキシエチルトリエトキシシラン、アセトキシエチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(アクリロキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メタクリロキシエトキシ)シラン、β−メタクリロキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−アクリロキシプロピルメトキシジメチルシラン、β−メタクリロキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。
【0026】
特に好ましいシラン化合物は、メチルトリエトキシシラン(I−1)、フェニルトリメトキシシラン(I−2)、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン(I−3)、ビニルトリメトキシシラン(I−4)、ビニルトリエトキシシラン(I−5)、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(I−6)であり、次にその化学式を記載する:
CH3Si(OC2H5)3 (I−1)
C6H5Si(OCH3)3 (I−2)
CH2=CHSi(OC2H4OCH3)3 (I−3)
CH2=CHSi(OCH3)3 (I−4)
CH2=CHSi(OC2H5)3 (I−5)
CH2=CCH3COOC3H6Si(OCH3)3 (I−6)
【0027】
これらシラン化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を混合してもよい。また1分子中にYがアルキル基とビニル重合可能な反応性基をともに含んでいてもよいし、Yがアルキル基のシラン化合物とYがビニル重合可能な反応性基であるシラン化合物とを併用してもよい。好ましくはYがアルキル基であるシラン化合物とYがビニル重合可能な反応性基であるシラン化合物とを併用するのが好ましい。更に好ましくはYがビニル重合可能な反応性基であるシラン化合物である。
【0028】
コロイダルシリカのシラン処理は酸触媒を用いてシラン化合物を加水分解をすることによって行われる。加水分解反応は、反応を均一に行うために溶媒を用いることができる。溶媒としては、反応物であるシランアルコキシドと水、触媒を相溶するものが望ましい。溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エチルセロソルブ等をあげることができる。特に好ましい溶媒はメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールである。
溶媒中でコロイダルシリカと混合された状態にあるシラン化合物の加水分解は、室温〜120℃程度の温度で30分〜24時間、好ましくは溶媒の沸点程度で1〜10時間程度の条件下で行われる。
【0029】
上記構造式(I−1またはI−2)で表されるシラン化合物の配合量は、コロイダルシリカ固形分65〜98重量%に対し、シラン化合物2〜35重量%が好ましく、コロイダルシリカ固形分70〜98重量%に対し、シラン化合物2〜30重量%がより好ましい。
【0030】
構造式(I−3、I−4、I−5またはI−6)で表されるシラン化合物の配合量は、コロイダルシリカ固形分65〜98重量%に対し、シラン化合物2〜35重量%が好ましく、コロイダルシリカ固形分70〜98重量%に対し、シラン化合物2〜30重量%がより好ましい。
【0031】
構造式(I−1またはI−2)で表される化合物の1種以上と構造式(I−3、I−4、I−5またはI−6)で表されるシラン化合物の1種以上とを併用する場合には、コロイダルシリカ固形分65〜98重量%に対し、構造式(I−1またはI−2)で表されるシラン化合物は1〜34重量%が好ましく、構造式(I−3、I−4、I−5またはI−6)で表されるシラン化合物は1〜34重量%が好ましい。
【0032】
シラン処理したコロイダルシリカをウレタン(メタ)アクリレートに分散させてシラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートを調製する方法は、コロイダルシリカの溶媒分散液にシラン化合物および必要ならば水や触媒を混合し、前述した反応条件で反応させ、この反応液中にウレタン(メタ)アクリレートを混合し、ついで溶媒分散コロイダルシリカの分散媒およびシラン化合物の加水分解反応生成物を除去する方法が特に好ましい。
【0033】
本発明のシラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート組成物は具体的には、以下のように調製することができる。
溶媒分散コロイダルシリカにシラン処理シリカを均一に分散するため、セパラブルフラスコ、三ッ口カバー、アブザッツ、、水銀シール、撹拌棒、撹拌片、分液ロート、冷却器、止め金具からなる反応装置(有限会社 桐山製作所社製)を用いるのが好ましい。ついで、分散液中に存在するコロイダルシリカの分散媒、シラン化合物の加水分解反応生成物を除去する。分散媒等の溶媒類およびその他の比較的揮発性の物質は系を減圧下に置いて除去するのが好ましい。より好ましくは、反応系にウレタン(メタ)アクリレートを分液ロートで滴下しながら揮発性溶媒を除去することである。こうして本発明のシラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート組成物を調製することができる。
【0034】
本発明で使用する生体修復材料には、また、ポリアルキルメタクリレートを実質的に溶解も膨潤もしないウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとが均質に混合している均一混合組成物を0.01〜25.0重量%および/または可塑剤を0.01〜20.0重量%の量で更に含むことができる。
【0035】
ポリアルキルメタクリレートとウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとが均質に混合している均一混合組成物とは、本来ポリアルキルメタクリレートを溶解も膨潤もしないウレタン(メタ)アクリレートにポリアルキルメタクリレートが均質に膨潤または溶解し、粘性の高い透明な混合液を形成し、混合液中にはポリアルキルメタクリレート粒子が肉眼的に観察されず、かつ現象的にはポリアルキルメタクリレートが経日的に沈降しないことを意味する。
【0036】
本発明においてポリアルキルメタクリレートを実質的に溶解も膨潤もしないウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートが均質に混合している均一混合組成物は、ポリアルキルメタクリレートおよび水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の均質相溶液中でイソシアネート化合物を(メタ)アクリレートと反応させるか、又は添加順序を逆にして重合体とイソシアネート化合物の均質相溶液中で水酸基含有(メタ)アクリレートをイソシアネートと反応させることにより得られる。
【0037】
得られる均一混合組成物はウレタン(メタ)アクリレートがポリアルキルメタクリレート中に分子レベルで均質に混合している。かかる均一混合組成物は透明性が高くその硬化物は架橋密度の増加、相組織の微細化、相間接着力の増大等の特徴がある。
【0038】
上記均一混合組成物に用いるポリアルキルメタクリレートは、平均分子量が10万〜100万、平均粒子径が1〜75μmのPMMAおよびPEMAである。ポリアルキルメタクリレートはPEMAおよびPMMAはそれぞれ単独で使用してもよいし、両者を混合して使用してもよい。これらのポリアルキルメタクリレートは水酸基含有(メタ)アクリレート類またはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「TMDI」と略称する)等の脂肪族イソシアネート類、脂環式イソシアネート類および芳香族イソシアネート類の各々に溶解または膨潤可能なものである。即ち、上記ポリアルキルメタクリレートは水酸基含有(メタ)アクリレート化合物類またはイソシアネート化合物類と混合すると均質に膨潤または溶解し、高粘性の透明な混合液を形成する。
【0039】
上記の水酸基含有(メタ)アクリレート類は、好ましいものとして2-HEMA、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、5-ヒドロキシペンチルメタクリレート、6-ヒドロキシヘキシルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピルメタクリレート(以下、「2-HPPA」と略称する)、2-ヒドロキシエチルアクリレート、3-ヒドロキプロピルアクリレート等が挙げられ、特に好ましくは2-HEMA、2-HPPA、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、更に好ましくは、2-HEMA、2-HFPAである。
【0040】
一方、イソシアネート化合物としては、TMDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HMDI」と略称する)、ビスフェノールAジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略称する)、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が適切で、好ましくはTMDI、HMDI、IPDIである。更に好ましくは、TMDI、HMDIである。
【0041】
またポリオールと過剰のジイソシアネートを反応させた末端にイソシアネート基を有するポリイソシアネートも使用することができる。このようなポリオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセリン等であり、ジイソシアネートとしては上記のもので何ら支障ない。
【0042】
ポリアルキルメタクリレートとウレタン(メタ)アクリレートとが均質に混合している均一混合組成物は、例えば以下の手順で得ることができる。
フラスコに2-HEMA等の水酸基含有(メタ)アクリレートを入れ、窒素ガスを吹き込み、40〜50℃に加温し、50〜80rpmの速度で撹拌しながらポリアルキルメタクリレートを少量ずつ加え、完全に膨潤溶解させる。
【0043】
次に、ウレタン合成に一般的に使用される錫触媒を溶かし、溶解後フラスコ容器内を酸素ガスで置換し、このガスを吹き込みながらTMDI等のイソシアネート化合物を2〜3時間かけて滴下する。通常、ジイソシアネートを水酸基に対して僅かに過剰当量使用する。滴下後、70±1℃に加温し目的物を得る。
【0044】
逆にフラスコにTMDI等を入れ、後から2-HEMA等を加えても前記同様に製造することができる。
【0045】
ポリオールと過剰のジイソシアネートを反応させた末端にイソシアネート基を有するポリイソシアネートを使用する場合は、ポリアルキルメタクリレートとイソシアネートの均質相溶液中で多価アルコール(水酸基数2〜4)を反応させ、次にその反応末端イソシアネート基と水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて使用すればよい。
【0046】
尚、ポリアルキルメタクリレートの添加量は生成するUDMA等のイソシアネート化合物1モルに対して5.2から47gが適当である。
【0047】
生体修復材料の成分として使用する可塑剤としては、フタル酸系可塑剤が好ましい。フタル酸系可塑剤の例としてはジメチルフタレート(以下、DMP略称する)ジブチルフタレート(以下、「DBP」と略称する)、ジオクチルフタレートに代表されるフタル酸系エステル誘導体である。
【0048】
本発明で使用する生体修復材料は重合性単量体、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート、重合開始剤および/またはポリアルキルメタクリレートを実質的に溶解も膨潤も示さないウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとが均質に混合している均一混合組成物、および/または可塑剤を重合体に混合した時、重合性単量体中の単官能モノマー、例えばMMA等が最適に膨潤拡散した後、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートまたは均一混合組成物がマトリックス部分を占め且つ長期にエラストマー特性を維持することが重要である。そのためにウレタン(メタ)アクリレートはMMAに比較して分子量が大きく且つポリアルキルメタクリレートに対して膨潤性を示さず、更に生体修復材料を重合した時その物理特性が強靭性と透明性を兼ね添えたものでなければならない。そのためにシラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートまたは均一混合組成物を含むことに大きな特徴がある。
【0049】
生体修復材料は、当初の塑性体から経時的に徐々に適度な弾性を発現し、使用時にハサミ、鋭利な刃物で容易に修正可能でなおかつ必要があれば塩化メチレン、アセトン、酢酸エチル等の有機溶剤或いは重合性単量体で簡単に表面処理でき特に接着性に有効な特徴がある。
【0050】
生体修復材料を調製するために、重合性単量体、少なくともその表面が重合性単量体によって膨潤する重合体、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート及び重合開始剤および/またはポリアルキルメタクリレートを実質的に溶解も膨潤もしないウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとの均一混合組成物および/または可塑剤を混合する方法としては、1)乳鉢混合、2)容器混合3)、ボールミル混合、4)ダブルプラネタリー混合等従来の一般的な混合方法がいずれも採用でき、好ましくはボールミル混合およびダブルプラネタリー混合である。
ボールミル混合は、例えば「実験用遊星型ボールミル P−5」(フリッチュ・ジャパン株式会社製)を用いることができる。この装置を用いる場合、適切な混合条件は、室温下で、回転数50〜250回/分、混合時間5分〜60分、使用玉石量4個〜10個(10mmφ)である。混合に当たって加熱の必要はなく室温(約23℃)で充分均一混合可能である。混合に当たってはボールミル内および混合物を不活性ガスで置換することが好ましい。
【0051】
生体修復材料の保存は室温下(35℃以下)、より好ましくは簡易密封容器中、5℃〜25℃である。特に最終重合を光重合で行う場合は必然的に紫外線、可視光線を避ける為に遮光する必要がある。
【0052】
重合開始剤としては、目的に適した重合形式に応じて任意に選択することが可能である。本発明の生体修復材料を重合させるには50〜150℃の範囲がよく、この際、重合開始剤には過酸化物が有効で、重合性単量体、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートおよび/またはポリアルキルメタクリレートとウレタン(メタ)アクリレートとの上記均一混合組成物を含む混合物100重量部に対して、0.1〜3.0重量部を添加する。過酸化物はラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド(以下、「BPO」と略称する)、1,1-ビス-t-ブチルパーオキシシクロヘキサンが好ましい。
【0053】
樹脂製人工歯を作製する方法は重合体と重合性単量体、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート及び重合開始剤および/またはウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとの均一混合組成物および/または可塑剤を含む混合物を樹脂製人工歯成型用型に填入し20〜500kgf/cm2で約10分〜120分間予備圧後、型より取り出し形態修正を行う。
【0054】
次に、生体修復材料を用いた本発明の樹脂製人工歯、特にアンダーカット形状を持つ樹脂製人工歯の製造について説明する。
本発明では、まず本発明に係る生体修復材料を、アンダーカット部を有する分割型の一方、例えば下型に填入し、上から他方の型である上型をかぶせ、適切に設定した圧力を適切な時間かけて圧縮し、歯型を予備成型する。予備成型された歯型は重合しない状態で保持され、且つ弾性体に移行した段階で、その弾力性を利用して型から取り出すことができ、しかも型と同じ形状を保持している。
【0055】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3は琺瑯部、象牙部およびベース部の3層から構成される樹脂製人工歯の前歯の成型工程を例示している。
図1は琺瑯部成型工程を示す成型中の樹脂製人工歯(生体修復材料)と型の断面模式図である。唇面型1には、分割面3のところから、成型品を抜き出す方向に対して妨げとなるような傾斜部(アンダーカット)9および10が存在する。唇面型1に生体修復材料4を填入したのち、前歯用の琺瑯部接合側型2をかぶせ、適切に設定した温度および圧力を適切に設定した時間加えて、生体修復材料4に琺瑯部の形態を付与する。
【0056】
次に、前歯用の琺瑯部接合側型2を取り外して、象牙部用の生体修復材料6を填入する。その上から、図2に示すように前歯用の象牙部接合側型5をかぶせて、適切に設定した温度および圧力を適切に設定した時間加えて圧接し、生体修復材料6に琺瑯部に接合した象牙部の形態を付与する。
【0057】
次に、型5を取り外し、象牙部生体修復材料の上にベース部用の生体修復材料8を填入する。その上から図3に示すように前歯用ベース型7をかぶせて、適切に設定した温度および圧力を適切に設定した時間加えて圧接し、生体修復材料8に象牙部に接合したベース部の形態を付与する。
こうして3層構造の形態を付与した前歯形状の樹脂製人工歯を弾性が発現した段階で、材料の弾性による変形能力を利用して、予備成型体11を型から取り出す。取り出された予備成型体の断面図を図4に示す。予備成形体11は琺瑯部4、象牙部6およびベース部8が一体に成型され、しかも琺瑯部4には最大豊隆部A−A'が含まれている。
【0058】
型から取り出す手段としては、手作業、取り外し装置、ノズルから噴出させることによって指向性を持たせた圧搾空気の吹き付け、等の種々の手段を適切に選択または併用することができる。
【0059】
こうして取り出した形態付与した生体修復材料はこの段階では最終重合していないのでその成型工程中は可塑性があるため、分割面3において、従来の成型方法と比較してバリの発生が極めて少ない。このことは型にかかる負担の軽減となり、型の寿命を長くするという利点ともなる。またこの予備成型体の段階では材料は完全には硬化していないので、加工性に優れ、必要であれば容易にバリ取りを行うことができる。得られた形態付与された生体修復材料を重合硬化させて樹脂製人工歯が完成される。重合硬化させる方法としては、通常用いられる重合方法の中から任意に選択することができるが、強いて好ましいものとして加熱重合、加熱加圧重合、光重合、光加熱重合、光加圧重合、光加熱加圧重合などが考えられる。
【0060】
アンダーカットを有する樹脂製人工歯パーツまたはそのようなパーツを含む複合樹脂製人工歯を製造する場合、アンダーカットを有するパーツにのみ本発明の生体修復材料を使用すれば、他のパーツは必ずしも本発明の生体修復材料を使用する必要はなく、他のパーツは目的によって従来から使用されている熱硬化性樹脂を用いてもよく、このような樹脂製人工歯の実施態様も本発明に含まれる。この場合成型の順番も問わないので、熱硬化性樹脂を先に成型して加熱硬化させ、その後に生体修復材料を用いてアンダーカット部を有するパーツの成型を行ってもよい。図5は3層からなる臼歯形態の樹脂製人工歯の断面模式図である。ベース部12は従来から用いられている熱硬化性樹脂を使用しており、最初にこの部分を成型し、重合硬化させる。次に象牙部13を生体修復材料を用いて成型する。この段階では生体修復材料は完全な硬化を行わないで弾性を維持させておく。最後にアンダーカット部を有する琺瑯部14を同じく生体修復材料で成型し、樹脂製人工歯の形態を得て型から取り外す。こうして得た形態付与した生体修復材料を、加熱装置、必要ならば加熱加圧装置によって重合硬化させて樹脂製人工歯を得る。
本発明では、生体修復材料はアンダーカットを有する樹脂製人工歯を得るための好適な材料として用いられるが、この生体修復材料はアンダーカットの有無とは関係なく、すべての樹脂製人工歯に使用することができ、脱型後別のところで硬化反応をおこなうことができるため、種々の利点がある。
【0061】
また、本発明で付与することのできる成型時において成型用型の抜き方向に対してアンダーカットとなる形状を付与する場合、その形状は上述の例に限定されるものではない。以下に、いくつかの例を図を用いて示す。
【0062】
本発明によれば、前歯の歯軸方向断面を示した図9において、歯頚線付近においてベース部15側に深くもぐりこんだ形状となっている琺瑯部16のような、成型用型の抜き方向に対してアンダーカットとなる方向に突出した形状を一体として成型することもできる。
【0063】
また前歯の歯軸方向の断面を示した図12に示すように、成形時において人工歯内部に向かって成型用型の抜き方向に対してアンダーカットとなる形状を設けることにより、義歯床用レジンとの機械的嵌合力を得るための保持孔17を成型と同時に与えることも可能である。
【0064】
臼歯においては図15に示すように人工歯の外形状の義歯床用レジンに埋没する部分に、義歯床用レジンとの機械的嵌合力を得るために、成型時において成型用型の抜き方向に対してアンダーカットとなる切り欠き形状18を従来の技術のように人工歯成型後、次の工程で削り取るなどの手段で設けるのではなく、人工歯外形の成型時に同時に付与することもできる。
【0065】
また、前歯を中央部付近で幅径方向に切断したところを示す図19に見られるような審美性を考慮して形成した琺瑯部19のアンダーカット20を形成するように構成してもよい。
【0066】
その他、臼歯の頬舌方向の断面を示した図24のように、審美的な外観を得るために、琺瑯部21と象牙部22の境界にまで突出させたベース部23のように、通常の熱硬化性樹脂を用いた成型では複雑に分割する金型や別々に成型する方法でないと不可能な形状も一体として成型できる。
【0067】
人工臼歯の外観側面を示した図27のような、床用レジンの中に埋没される基底面の当該個所に機械的な維持効果を発現させるためのアンダーカット形状を設けた形状の人工歯のように従来から用いられてきた樹脂を用いる場合には成型が困難であった形状でも、人工歯の成型時に同時に付与することができる。
【0068】
人工前歯の外観を示した図30(a)および(b)に示すような、人工歯27の隣接面に隣接歯との正しい位置関係をガイドするための位置決め用凸形状25や位置決め用凹形状26などの、通常ではアンダーカットとなって一体成型できないような内部構造も一体成型で付与することができる。
なお、本発明におけるアンダーカット形状は以上の例に示した形状に限定されるものではない。
【0069】
また、本発明で使用する成型用の型の材質としては、生体修復材料を用いて、最終重合により完全硬化などの処理を行わない工程では要求される耐熱性や耐圧性などの条件が緩いので、形態の付与の時点で必要な耐熱性および強度があれば、金属、樹脂、木材、セラミックス、石膏、あるいはこれらの2種以上を組み合わせて得られる物質を用いて構成することもできる。好ましい材質は金属である。
【0070】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により更に具体的に説明する。
〔シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートの調製〕
(1)シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート組成物1
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカ〔平均粒子径10〜15nmのシリカを30重量%含有;粘度3〜20cps(20℃);商品名「スノーテックス IPA−ST」(日産化学工業株式会社製);以下、「IPA-ST」と略称する〕600gにγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン67.2g、0.01規定の塩酸水溶液18.0gを加え、70℃に昇温した。1時間後、反応溶液をろ過し、反応溶液面に析出したシリカを除去した。次に濾液にUDMA360.0gを加えながら緩やかに撹拌し減圧下40℃で揮発成分を留去し、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート(以下、「SA-1」と略称する)を得た。この組成物をフォトメーターで380nm〜780nmの透過率を測定した結果90%以上の透過率を示し、またこの組成物を重合後、同様に透過率を測定した結果89.0%であった。SA-1をるつぼ中で焼成した後の灰分から算出した固形分(SiO2)は29.3重量%であった。
【0071】
(2)シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート組成物2
600gのIPA-STにγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン33.6g、フェニルトリメトキシシラン33.6g、0.01規定の塩酸水溶液18.0gを加え、70℃に昇温した。1時間後、反応溶液をろ過し、反応溶液面に析出したシリカを除去した。次に濾液にUDMA360.0gを加えながら緩やかに撹拌し減圧下40℃で揮発成分を留去し、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート(以下、「SA-2」と略称する)を得た。この組成物をフォトメーターで380nm〜780nmの透過率を測定した結果90%以上の透過率を示し、またこの組成物を重合後、同様に透過率を測定した結果89.5%であった。SA-2組成物をるつぼで中で焼成した後の灰分から算出した固形分(SiO2)は29.0重量%であった。
【0072】
〔ポリアルキルメタクリレートとウレタン(メタ)アクリレートとが均質に混合している均一混合組成物の調製〕
(1)ウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとの均一混合組成物1
撹拌羽根付きガラス製フラスコに2-HEMA260.3g(2モル)を入れ、窒素ガスを吹き込みながら40〜50℃に加温し、速度50〜80rpmで撹拌しながらPMMA5.2gを少量ずつ3〜5時間かけて添加し完全に膨潤溶解させた。得られた溶液にジブチルチンジラウレート110mgを添加した。添加後窒素ガスを止めフラスコ内を酸素で置換した。酸素ガスを流しながら、次にTMDI210.3g(1モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後70±1℃に加温し、イソシアネート基全てが反応するまで付加反応を続け硬化性組成物を得た。(以下、「B-1」と略称する)反応終了点は、イソシアネート当量滴定法により確認した。収率は98.6%であった。
【0073】
イソシアネート当量滴定法による反応終了点は次の方法により測定した。▲1▼試料3gを共栓付き三角フラスコに正しく測り取る。▲2▼これにジ−n−ブチルアミン溶液50mlを正しく加え15分間静置する。▲3▼次に試薬1級イソプロピルアルコール20mlを加えた後、ブロムクレゾールグリーン指示薬(ブロムクレゾールグリーン0.1gにN/10水酸化ナトリウム溶液1.5mlを加え、よくすりつぶして溶解し水を加えて全量を100mlとする)3〜4滴を加えよく振り混ぜる。▲4▼次にN/2塩酸で滴定する。終点付近ではN/2塩酸を一滴ずつ加えそのつど溶液を振り混ぜながら滴定を続け、青色又は青紫色が消えて少なくとも15秒間黄色が持続する点を終点とする。イソシアネート当量は次式によって算出される。この試験には、同一条件で空試験を行う。
【0074】
【数1】
【0075】
但し、A:本試験のN/2塩酸標準液使用量(ml)
B:空試験のN/2塩酸標準液使用量(ml)
f:N/2塩酸標準液のフアクター
S:試料採取量(g)
【0076】
(2)ウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとの均一混合組成物2
PMMA量を9.4gとする以外は、B-1と同様にして組成物を得た。(以下、「B-2」と略称する)収率(99.5%)。
【0077】
(3)ウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとの均一混合組成物3
PMMAの代わりにPEMA5.2gを用いる以外は、B-1と同様にして組成物を得た。(以下、「B-3」と略称する)収率(99%)。
【0078】
(4)ウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとの均一混合組成物4
PEMA9.4gを用いる以外は、B-3と同様にして組成物を得た。(以下、「B−4」と略称する)収率(98%)。
【0079】
(5)ウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとの均一混合組成物5
撹拌羽根付きガラス製フラスコにTMDI210.3g(1モル)を入れ、窒素ガスを吹き込みながら40〜50℃に加温し、速度50〜80rpmで撹拌しながらPEMA9.4gを少量ずつ3〜5時間かけて添加し完全に膨潤溶解した。
得られた溶液にジブチルチンジラウレート110mgを添加した。添加後窒素ガスを止めフラスコ内を酸素で置換した。酸素ガスを流しながら、次に2-HEMA260.3g(2モル)を2時間かけて滴下した。滴下後70±1℃に加温し、イソシアネート基全てが反応するまで付加反応を続けた。反応終了点は、FT-IR、イソシアネート当量滴定法により確認しポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物を得た。(以下、「B-5」と略称する)収率(98.2%)。
【0080】
(6)ウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとの均一混合組成物6
PEMA47gとする以外は、B-5と同様にして組成物を得た。(以下、「B-6」と略称する)収率(98% )。
【0081】
(7)ウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとの均一混合組成物7
撹拌羽根付きガラス製フラスコにHMDI168.20g(1モル)を入れ、窒素ガスを吹き込みながら40〜50℃に加温し、速度50〜80rpmで撹拌しながらPEMA10gを少量ずつ3〜5時間かけて添加し完全に膨潤した。
得られた溶液にジブチルチンジラウレート110mgを添加した。添加後窒素ガスを止めフラスコ内を酸素で置換した。酸素ガスを流しながら、次に2-HFPA444.5g(2モル)を2時間かけて滴下した。滴下後50±1℃に加温し、イソシアネート基全てが反応するまで付加反応を続け1,6ビス〔(2-フェノキシ-2'-アクリロキシ)イソプロピル-オキシ-カルボニルアミノ〕ヘキサン(UDA)を得た。反応終了点は、FT-IR、イソシアネート当量滴定法により確認しポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物を得た。(以下、「B-7」と略称する)
【0082】
(8)ウレタン(メタ)アクリレートとポリアルキルメタクリレートとの均一混合組成物8
撹拌羽根付きガラス製フラスコにHMDI504.6g(3モル)を入れ、窒素ガスを吹き込みながら40〜50℃に加温し速度50〜80rpmで撹拌しながらPEMA9gを少量ずつ3〜5時間かけて添加し完全に膨潤させた。
得られた溶液にジブチルチンジラウレート10mgを添加した。添加後窒素ガスを止めフラスコ内を酸素で置換した。酸素ガスを流しがら、次にトリメチロールプロパン(以下、「TMP」と略称する)134.18g(1モル)を2時間かけて滴下した。滴下後50±1℃に加温し、HMDIの一方のイソシアネートとTMPの付加反応を行った。
【0083】
付加反応後、ジブチルチンジラウレート110mgを添加した。添加後2-HFPA666.75g(3モル)を2時間かけて滴下した。滴下後70±1℃に加温し、イソシアネート基全てが反応するまで付加反応を続け三官能のウレタンアクリレートオリゴマ1,1,1-トリ〔6{(1-アクリロキシ-3-フェノキシ)イソプロピルオキシカルバニルアミノ}-ヘキシルカルバモイロキシメチル〕プロパン(URO)を得た。反応終了点は、FT-IR、イソシアネート当量滴定法により確認しポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物を得た。(以下、「B-8」と略称する)収率(98.5%)。
【0084】
B-1〜B-8のポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物はFT−IR「FT−300」(株式会社堀場製作所製)を用いてそれぞれの特性吸収を測定し、また、GPCを用いて重合体の平均分子量と保持時間及びウレタンモノマーの分子量と保持時間を測定し、それぞれの組成物であることを確認した。
【0085】
実施例 1
〔ゴム弾性材料の作製〕
5gのMMAと5gのSA-1とからなる混合液と重合体PMMA-1(平均分子量100万、平均粒子径8ミクロンのPMMA)を1:1の重量比で混合した。混合液とPMMA−1の混合方法は、「実験用遊星型ボールミル P-5」(フリッチュ・ジャパン株式会社製)を用いて行った。混合比率は、混合液10gに重合体10g、混合条件は室温下、回転数100回/分、混合時間10分、玉石量4個(10mmφ)とした。
【0086】
重合体が単量体で膨潤した後、成型用型中に20〜80Kgf/cm2の圧力下で、10〜25分間保持することによりゴム弾性が発現し、ゴム弾性材料を作製した。表1および表2にそれぞれ、得られたゴム弾性材料のゴム硬度およびズリ弾性率の経日変化を示した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。
【0087】
〔樹脂製人工歯の作製〕
上記の混合液10gに0.06gのBPOおよび10.0gのPMMA−1に0.01gの顔料を加えたものを上記と同様な方法で混合し、樹脂製人工歯の琺瑯色生体修復材料を作製した。同様に顔料添加量のみを0.03gに換えてベース色生体修復材料を作製した。
【0088】
PMMAが膨潤した後、図6、図7、図8に示す成型用型で樹脂製人工歯を作製した。第1成型は琺瑯色原料を40〜100kgf/cm2の圧力下10から15分加圧して行った。次にベース色原料を40〜100kgf/cm2の圧力下10から15分加圧後、成型用型より樹脂製人工歯の形態をした生体修復材料を取り出した。多層成型にも関わらずバリはほとんど発生しなかった。また余剰部分のバリは必要性があればハサミ或いは鋭利な刃物で除去できるが、重合後樹脂製人工歯のバリはほとんど無く、修正の必要はなかった。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0089】
樹脂製人工歯は、80℃10分間重合後、冷却し、次に120℃10分間重合した。ただし、80℃重合後、続けて120℃10分間重合しても問題はない。重合後100℃で8hrアニールした。
【0090】
上記の方法により得られたアンダーカットを有する人工歯(断面図)を図9に示した。本発明によれば、前歯の歯軸方向断面を示した図9において、歯頚線付近において、ベース部15側に深くもぐりこんだ形状となっている琺瑯部16のような、成型用型の抜き方向に対してアンダーカットとなる方向に突出した形状を一体として成型することもできる。
【0091】
実施例 2
〔ゴム弾性材料の作製〕
5gのMMAと5gのSA-1とからなる混合液の代わりに、5gのMMA、4gのSA-1およびTMPT1gとからなる混合液を用いる以外は実施例1と同様にしてゴム弾性材料を作製して評価した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。表1および表2にそれぞれ、得られたゴム弾性材料のゴム硬度およびズリ弾性率の経日変化を示した。
【0092】
〔樹脂製人工歯の作製〕
上記の混合液10gに、0.06gのBPOおよび10.0gのPMMA−1に0.02gの顔料を加えたものを混合して単層の樹脂製人工歯用の色調の生体修復材料を作製した。
PMMAが膨潤した後、図10、図11に示す成型用型で樹脂製人工歯を作製した。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0093】
前歯の歯軸方向の断面を図12に示した。成型時において人工歯内部に向かって成型用型の抜き方向に対してアンダーカットとなる形状を設けることにより、義歯床用レジンとの機械的篏合力を得るための保持孔17を成型と同時に与えることも可能である。
【0094】
実施例 3
〔ゴム弾性材料の作製〕
5gのMMAと5gのSA-1とからなる混合液の代わりに、5gのMMA、4gのSA-1、0.5gのPPZおよび0.5gのDMPからなる混合液を用いる以外は実施例1と同様にしてゴム弾性材料を作製して評価した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。表1および表2にそれぞれ、得られたゴム弾性材料のゴム硬度およびズリ弾性率の経日変化を示した。
【0095】
〔樹脂製人工歯の作製〕
上記の混合液10.0gに0.06gのBPOおよび10.0gのPMMA−1に0.02gの顔料を加えたものを混合して単層の樹脂製人工歯用の色調の生体修復材料を作製した。PMMAが膨潤した後、図13、図14に示す成型用型で樹脂製人工歯を作製した。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0096】
臼歯においては図15に示すように人工歯の外形状の義歯床用レジンに埋没する部分に、義歯床用レジンとの機械的篏合力を得るために、成型時において成型用型の抜き方向に対してアンダーカットとなる切り欠き形状18を従来の技術のように人工歯成型後、次の工程で削り取るなどの手段で設けるのではなく、人工歯外形の成型時に同時に付与することもできる。
【0097】
実施例4
〔樹脂製人工歯の作製〕
実施例1と同じ混合液に実施例1と同様、0.06gのBPOおよび10.0gのPMMA−1に0.01gの顔料を加えたものを混合して樹脂製人工歯の琺瑯色生体修復材料を作製した。同様に顔料添加量のみを0.03gに換えてベース色生体修復材料を作製した。PMMAが膨潤した後、図16、図17、図18に示す成型用型で樹脂製人工歯を作製した。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0098】
前歯を中央付近で幅径方向に切断したところを示す図19に見られるような審美製を考慮して形成した琺瑯部19のアンダーカット20のように構成してもよい。
【0099】
実施例5
〔樹脂製人工歯の作製〕
実施例1と同じ混合液に実施例1と同様、0.06gのBPOおよび10.0gのPMMA−1に0.01gの顔料を加えたものを混合して樹脂製人工歯の琺瑯色生体修復材料を作製した。同様に顔料添加量のみをそれぞれ0.03gと0.04gに変えて象牙色とベース色の生体修復材料を各々作製した。PMMAが膨潤した後、図20、図21、図22、図23に示す成型用型で樹脂製人工歯を作製した。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0100】
臼歯の頬舌方向の断面を示した図24のように、審美的な外観を得るために、琺瑯部21と象牙部22の境界にまで突出させたベース部23のように、通常の熱硬化性樹脂を用いた成型では複雑に分割する金型や別々に成型する方法でないと不可能な形状も一体として成型できる。
【0101】
実施例6
〔樹脂製人工歯の作製〕
実施例1の混合液に実施例1と同様、0.06gのBPOおよび10.0gのPMMA−1に0.02gの顔料を加えたものを混合して単層の樹脂製人工歯用の色調の生体修復材料を作製した。PMMAが膨潤した後、図25、図26に示す成型用型で樹脂製人工歯を作製した。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0102】
人工臼歯の外観側面を示した図27に示すような、床用レジンの中に埋没される基底面の当該個所に機械的な維持効果を発現させるためのアンダーカット形状24を設けた形状の人工歯のように従来から用いられてきた樹脂を用いる場合には成型が困難であった形状でも、人工歯の成型時に同時に付与することができる。
【0103】
実施例7
〔樹脂製人工歯の作製〕
実施例1の混合液に実施例1と同様、0.06gのBPO及び10.0gのPMMA−1に0.02gの顔料を加えたものを混合して単層の樹脂製人工歯用の色調の生体修復材料を作製した。PMMAが膨潤した後、図28、図29に示す成型用型で樹脂製人工歯を作製した。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0104】
人工前歯の外観を示した図30(a)、(b)に示すような、人工歯27の隣接面に隣接歯との正しい位置関係をガイドするための位置決め用凸形状25や位置決め用凹形状26などの、通常ではアンダーカットとなって一体成型できないような内部構造を一体成型で付与することができる。
【0105】
比較例 1
歯冠用常温重合レジン「アドファ」(株式会社松風社製)を成型用型に入れ、実施例1の〔ゴム弾性材料の作製〕にてゴム硬度およびズリ弾性率の経日変化を測定したのと同じ条件で加圧成型して成型体を作製した。混合約9〜10分後に硬化した。ゴム硬度は92以上、ズリ弾性率に関しては測定不可能であった。結果を表1、表2に示した。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
〔ゴム弾性材料特性の評価方法〕
実施例1、2、3のゴム弾性材料および比較例1の成型体についての表1および表2に表したゴム弾性特性は以下の方法で評価した。
ゴム硬度:
ゴム硬度測定は、「HARDNESS TESTER TypeC」(高分子精機社製)を用いて、23℃±1.5℃で測定した。
【0109】
ズリ弾性率:
ズリ弾性率は、「DMS110」(セイコー電子工業株式会社製)を用い測定した。測定試料は厚さ1.45±0.02mm、縦7.17+0.02mm、横9.29+0.02mmを用い測定条件は、面積66.61mm2 、温度23℃、変位量100μm、振動数0.01HZで測定した。
【0110】
粘弾性測定の対象となる多くの材料についてσ=0.5が成立し、(2)よりE=3Gとなる。
E:ヤング率(伸び弾性率及び縦弾性率)
G:ズリ弾性率
K:体積弾性率
σ:ポアソン比
【0111】
実施例 8〜10
実施例1、2、3の混合液10gに重合開始剤として0.06gのベンゾイルパーオキサイド(BPO)を加える以外は実施例1、2、3と同じ生体修復材料を用いて、以下のような条件でそれぞれ試験体を作製した。
【0112】
重合体が単量体で充分膨潤した後、これを試験体成型用金型中に20〜80kgf/cm2の圧力下で、10〜20分間圧をかけ、その後試験体成型用金型より取り出し生体修復材料とした。大気圧下、80℃5分間重合後、次に120℃10分間重合し、重合後100℃で8hrアニールした。得られた重合物について、硬度、曲げ特性(強度、エネルギー)及び光透過率について測定した。生体修復材料は、5℃で1日保存したものと14ヶ月保存したものについて前記条件で重合し物理特性の評価試料とした。実施例8〜10の全てにおいて物理特性の低下は発生しなかった。表3に結果を示した。
【0113】
比較例 2
歯冠用硬質レジン「アドファ」(株式会社 松風社製)を用い、実施例8〜10と同様に成型、重合し、評価した。結果を表3に示した。
【0114】
【表3】
【0115】
〔生体修復材料重合体の物理特性評価〕
表3の物理特性は次の方法により測定した。
硬度測定:
「Hardness Tester DMH−2」(松沢精機株式会社製)を用い50℃水中保存24時間後のヌープ(Knoop)硬度を測定した。荷重25g。
【0116】
曲げ強度測定:
「オートグラフAG5000B」(株式会社島津製作所製)を用い、試験体寸法が幅(2mm)、厚さ(2mm)及び長さ(25mm)の試料を作製し50℃の水中に24時間保存後の強度(最大曲げ強度)、エネルギー(破折エネルギー)を測定した。試験体数は5ヶ。測定条件は、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/minとした。
【0117】
光透過率:
「スペクトロフォトメーターU−3200」(株式会社日立製作所)を用い、780nm〜380nmの波長範囲で測定した。
【0118】
摩耗率:
ハブラシ摩耗試験後の摩耗率を測定した。測定条件は、ハブラシ「ビトィーン」(サンスター株式会社製)、試験体寸法縦15mm、横20mm、厚さ2.5mm、試験体数4ヶ荷重185g、歯摩材「練り歯磨きグリーンサンスター」ハブラシ滑走回数3万回とした。
【0119】
比較例 3
通常のアクリル系樹脂製人工歯材料としてPMMAに琺瑯色、象牙色、ベース色に着色しMMAとの混合物を硬質レジン歯「エンデュラ・アンテリオ」(株式会社松風製)のC5形態中切歯型を用い加熱加圧し、琺瑯部、象牙部、ベース部の順序で成型用型を換え段階的に成型し樹脂製人工歯を得た。全ての樹脂製人工歯にバリ修正が必要なバリが発生した。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0120】
なお成型条件は、琺瑯部、象牙部、ベース部ともに予備圧200〜300kgf/cm2で2〜5分間、次に1000〜3000kgf/cm2、80〜130℃の任意の温度で10分間成型した。各部成型後、5分間冷却した。重合後樹脂製人工歯は成型用型より取り出し、100℃で8hrアニールした。
【0121】
比較例 4
琺瑯部に使用される複合体原料として、特願昭48−29294の実施例1に開示されている30gの「ポリライト8000」(大日本インキ工業株式会社製)、68.5gの珪ほう酸ガラス粉末(平均中継20μm)、0.1gの含水珪酸「カープレックス」(塩野義製薬社製)、0.5gのBPOおよび顔料を「卓上ニーダーPBV−03」(株式会社入江商会社製)で混練し複合材料を用い、象牙部およびベース部の原料として比較例3の生体修復材料を用い、比較例3と同様な方法で人工歯を作製した。全ての樹脂製人工歯にバリ修正が必要であった。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0122】
【表4】
【0123】
〔樹脂製人工歯の成型性および樹脂製人工歯の評価〕
実施例11〜13
実施例1、2、3の生体修復材料を用い、成型条件として、第一段階重合を65〜125℃で2.5〜10分間、最終段階重合を105〜130℃で3〜15分間とし、この範囲内の条件で硬質レジン歯「エンデュラ・アンテリオ」(株式会社松風製)のC5形態中切歯型を用いて多数の樹脂製人工歯を作製した。得られた樹脂製人工歯について琺瑯部のクラック、白濁、琺瑯部と象牙部、象牙部とベース部間の接着性を検討した。この樹脂製人工歯を加熱重合用床用レジン「アーバン」(株式会社 松風社製)と結合させ、床用レジンと樹脂製人工歯の結合力試験および樹脂製人工歯の繰り返し衝撃強度試験を行った。全ての実施例11〜13は、樹脂製人工歯として優れた接着強度及び衝撃強度を示した。また樹脂製人工歯の成型条件は幅広く且つどの条件下に於いても成型不良は発生しなかった。樹脂製人工歯と床用レジンの結合力および繰り返し衝撃強度の測定結果を表5に示した。表6に成型試験結果を示した。
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
樹脂製人工歯と床用レジンの繰り返し衝撃強度および結合力の試験は以下のようにして行った。
〔樹脂製人工歯の評価方法〕
結合力試験:
JIS T6506樹脂製人工歯の7.5結合試験に規定された方法によって、義歯床用レジン材との結合力を測定した。
【0127】
衝撃強度試験:
JIS T6506樹脂製人工歯の7.5結合試験により作製した樹脂製人工歯の舌面側の切端エナメル部を主軸に対して垂直に削除し、その中心部に高さ10mmの位置から径1mmのステンレス棒を繰り返し落下させ樹脂製人工歯の衝撃強度を落下回数と落下荷重により評価した。その得点の計算方法を下記に示す。
第一回目の荷重と衝撃回数 (100g×1000回)
第二回目の荷重と衝撃回数 (150g×1000回)
第三回目の荷重と衝撃回数 (200g×1000回)
衝撃強度の計算は、各段階での衝撃回数を100で割った数値の総合計を得点とした。例えば最大衝撃強度は、100、150及び200gの荷重で各々1000回の繰り返し衝撃後樹脂製人工歯が破折しなければ(1000/100+1000/100+1000/100=30点)となる。
【0128】
接着性試験:
上記の繰り返し衝撃試験により琺瑯部/象牙部間の接着性を確認した。同時に樹脂製人工歯の繰り返し強度試験も行った。測定は50℃ 水中保存7日後に行った。
【0129】
比較例 5、6
琺瑯部、象牙部、ベース部の材料として、比較例5では比較例3と同じ混合物、比較例6では比較例4と同じ混合物および複合材料を用いて、表7に記載した成型条件で樹脂製人工歯を成型した。得られた樹脂製人工歯を実施例11〜13と同様に評価した。成型体は樹脂製人工歯の重大欠陥である琺瑯部と象牙部及び象牙部とベース部間に接着不良が発生した。成型性は適性条件幅がせまくクラック、白濁不良が発生した。結果を表7に示した。
【0130】
【表7】
【0131】
【発明の効果】
本発明によれば、成型時において成型用型の抜き方向に対してアンダーカットを有する樹脂製人工歯が容易に得られ、例えば3層構造の樹脂製人工歯を成型するに当たり、琺瑯部が最大豊隆部を越えて唇面側から舌面側まで一体に形成されているため、天然の歯に類似した構造とすることができる。故に、その歯列を顔の正面から見た場合はもとより、側方から見た場合にも、従来の人工歯に見られるような琺瑯部と象牙部或いはベース部との境界線が見えて願望を著しく損なうという問題点は解消され、天然歯に極めて近い審美性を有する。
また更に本発明の樹脂製人工歯は形態付与と同時に重合硬化させる必要が無いので形態付与時にバリ厚を従来の樹脂製人工歯よりも薄くすることができ、審美性が向上する。
また必要に応じて人工歯内部にアンダーカット形状が付与できないと構成できないような色調表現上必要な構造を持つことができるため、個々の患者に適合した個性的かつ審美的な色調を呈する、自然感に富んだ義歯の作製が可能になる。更に、本発明の樹脂製人工歯は形態付与の段階で義歯床との強固な固定を目的とした窪みや突出部などの通常ではアンダーカットとなって一体成型できないような内部構造を一体成型で人工歯外面に付与することができるため、こうした形状を付与するための後工程を排除することができる。
また更に、本発明の樹脂製人工歯は形態付与の段階で、隣接歯との正しい位置関係をガイドするための凹凸形状などの通常ではアンダーカットとなって一体成型できないような内部構造を一体成型で人工歯外面に付与することができるという特徴を有する。
更に、本発明の樹脂製人工歯は成型性に優れ、琺瑯部、象牙部およびベース部が強固に接着されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る前歯成型用型での琺瑯部の形態付与工程を樹脂製人工歯の長軸方向から見た横断面模式図。
【図2】 本発明に係る前歯成型用型での象牙部の形態付与工程を樹脂製人工歯の長軸方向から見た横断面模式図。
【図3】 本発明に係る前歯成型用型でのベース部の形態付与工程を樹脂製人工歯の長軸方向から見た横断面模式図。
【図4】 本発明に係る前歯成型用型で成型した前歯を樹脂製人工歯の長軸方向から見た断面模式図。
【図5】 本発明に係る臼歯を側面から見た断面の模式図。
【図6】 実施例1の樹脂製人工歯の作製に用いる唇面型の断面模式図。
【図7】 実施例1の樹脂製人工歯の作製に用いる琺瑯部接合側型の断面模式図。
【図8】 実施例1の樹脂製人工歯の作製に用いるベース型の断面模式図。
【図9】 層間にアンダーカットを有する実施例1の人工歯の断面模式図。
【図10】 実施例2の樹脂製人工歯の作製に用いる唇面型の断面模式図。
【図11】 実施例2の樹脂製人工歯の作製に用いるベース型の断面模式図。
【図12】 アンダーカットを有する実施例2の人工歯の断面模式図。
【図13】 実施例3の樹脂製人工歯の作製に用いる咬合面型の断面模式図。
【図14】 実施例3の樹脂製人工歯の作製に用いるベース型の断面模式図。
【図15】 本アンダーカットを有する実施例3の人工歯の断面模式図。
【図16】 実施例4の樹脂製人工歯の作製に用いる唇面型の断面模式図。
【図17】 実施例4の樹脂製人工歯の作詞に用いる琺瑯部接合側型の断面模式図。
【図18】 実施例4の樹脂製人工歯の作製に用いるベース型の断面模式図。
【図19】 層間にアンダーカットを有する実施例4の人工歯の断面模式図。
【図20】 実施例5の樹脂製人工歯の作製に用いる咬合面型の断面模式図。
【図21】 実施例5の樹脂製人工歯の作製に用いる琺瑯部接合側型の断面模式図。
【図22】 実施例5の樹脂製人工歯の作製に用いる象牙部接合側型の断面模式図。
【図23】 実施例5の樹脂製人工歯の作製に用いるベース型の断面模式図。
【図24】 層間にアンダーカットを有する実施例4の断面模式図。
【図25】 実施例6の樹脂製人工歯の作製に用いる唇面型の断面模式図。
【図26】 実施例6の樹脂製人工歯の作製に用いるベース型の断面模式図。
【図27】 基底面からアンダーカット形状を突出させた実施例6の人工歯の外観模式図。
【図28】 実施例7の樹脂製人工歯の作製に用いる唇面型の幅径方向の断面模式図。
【図29】 実施例7の樹脂製人工歯の作製に用いるベース型の幅径方向の断面模式図。
【図30】 位置決め用ガイド形状を隣接面に設けた実施例7の人工歯の外観図。(a)側面図、(b)正面図。
【符号の説明】
1:前歯用の唇面型、
2:前歯用の琺瑯部接合側型、
3:分割面
4:成型中の琺瑯部、
5:前歯用の象牙部接合側型、
6:成型中の象牙部、
7:前歯用のベース型、
8:成型中のベース部、
9:成型品を抜く方向に対してアンダーカットとなる部分、
10:成型品を抜く方向に対してアンダーカットとなる部分、
11:予備成型された3層構造樹脂製人工歯、
12:臼歯のベース部分、
13:臼歯の象牙部、
14:臼歯の琺瑯部、
15:前歯のベース部、
16:前歯の琺瑯部、
17:義歯床用レジンとの機械的嵌合による維持性確保のための保持孔、
18、18’:義歯床用レジンとの機械的嵌合による維持性確保のための切り欠き形状、
19:前歯琺瑯部、
20:前歯琺瑯部に設けた成型時に成型用型の抜き方向に対してアンダーカットとなる形状、
21:臼歯の琺瑯部、
22:臼歯の象牙部、
23:臼歯のベース部、
24:アンダーカット形状、
25:位置決め用凸形状、
26:位置決め用凹形状、
27:人工歯。
A−A’:樹脂製人工歯の最大豊隆部断面、
Claims (6)
- 抜き方向に対してアンダーカットを有する成型用金型に、下記に記載の生体修復材料を塑性状態で型に填入して形態を付与し、生体修復材料の弾性特性発現後に脱型し、脱型した生体修復材料を重合硬化させる工程を経ることを特徴とするアンダーカットを有する樹脂製人工歯の製造方法であって、
生体修復材料が、重合性単量体10 . 0〜37 . 5重量%、少なくともその表面が上記重合性単量体によって膨潤する粉粒体状重合体14 . 5〜62 . 5重量%、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート10 . 0〜60 . 0重量%および重合開始剤を含み、塑性体からズリ弾性率が1 . 0×10 4 Pa〜9 . 99×10 9 Pa及びゴム硬度が1〜90を示すゴム弾性体に経時的に変化し、重合後ヌープ硬度が10以上に変化しうることを特徴とする、アンダーカットを有する樹脂製人工歯の製造方法。 - 生体修復材料が、ポリアルキルメタクリレートとウレタン(メタ)アクリレートとが均質に混合している均一混合組成物を0.01〜25.0重量%および/または可塑剤を0.01〜20.0重量%の量で更に含む請求項1記載の樹脂製人工歯の製造方法。
- 粉粒体状重合体の平均粒子径が1〜100μmである請求項1または2記載の樹脂製人工歯の製造方法。
- シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートが、一次粒子の平均径が1〜85nmであるコロイダルシリカの表面を特定のシラン化合物で処理して得られるシラン処理シリカをウレタン(メタ)アクリレートに均一分散して得られる請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製人工歯の製造方法。
- ウレタン(メタ)アクリレートが一分子に少なくとも1個のアクリロイル基および/またはメタクリロイル基並びに少なくとも1個のウレタン基を有する請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂製人工歯の製造方法。
- 可塑剤がフタル酸系エステル化合物である請求項2〜5いずれかに記載の樹脂製人工歯の製造方法。
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