JPH0228331B2 - Rejinkeijinkobanoseizohoho - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (a) 産業上の利用分野 この発明は、超硬質のレジン系人工歯を、簡易
的にかつ精巧に製造するためのレジン系人工歯の
製造方法に関するものである。

(b) 従来の技術 従来、歯科医療における人工歯としては、熱硬
化性レジン材を熱重合して得られるレジン系人工
歯が知られている。従来のレジン系人工歯は、患
者の治療部をワツクスにより印象し、このワツク
スパターンにもとづいて石こう型を形成し、該石
こう型に対して、たとえばポリメタクリル酸メチ
ル（PMMA）およびメタクリル酸メチル
（MMA）を混合して、加熱加圧重合する手順に
従つて成型されている。上記する手順に従つて成
型される従来のレジン系人工歯は、硬度が低く、
耐摩耗性が不十分である点、成型工程が複雑であ
る点、および経時点に変色し易い点等の問題点を
有していた。

(c) 発明の目的 そこで、この発明の目的は、きわめて高い耐摩
耗性を有し、きわめて簡便にかつ精巧に製造する
ことができる超硬質レジン系人工歯の製造方法を
提供することにある。

(d) 発明の構成 この発明は、上述する目的を達成するにあたつ
て、具体的には、所望の人工歯部をコア材により
印象して陰型を成形し、前記印象成形された陰型
の印象凹部に熱硬化性アクリル系レジン、または
メタクリル系レジンを充填し、前記充填レジン層
の上部に含水ゲル材を層状に形成し、前記含水ゲ
ル材層を上向きにして蒸気圧下で、前記レジンを
加圧加熱重合して成るレジン系人工歯の製造方法
である。

(e) 実施例の説明 以下、この発明にかかるレジン系人工歯の製造
方法について、その一例に成るたとえば患者個有
の咬合様式に合わせ得る各個調整人工歯（オーダ
ーメードタイプの人工歯）の具体例にもとづいて
詳細に説明する。この発明に成るレジン系人工歯
１の製造方法は、概ね、（）ワツクスアツプ工
程、（）コア採得工程、（）レジン充填工程、
（）レジン重合工程、（）仕上工程の手順によ
つて行なわれる。以上の製造工程について順をお
つて詳述する。この発明では、まず、患者の治療
部に対して周知の手順に従い、咬合採得、模型作
製して、得られた模型を咬合器に装着し、人工歯
部の歯列、対合歯に合せてワツクスアツプする。
この場合、既製の人工歯で仮に排列した後、ワツ
クスで形態修正を行い、人工歯の咬合面を作るこ
とも可能である。ワツクスアツプ工程において、
人工歯と義歯床との結合維持を確実にするため、
人工歯１の歯頚部２から下の部分にカラー部３を
形成する。この発明において、陰型４を形成する
コア材は、シリコンが最も好ましく、他にポリエ
ーテルラバーであつてもよい。コア材は、シリコ
ンに促進剤を含有するベース材と、シリコンに触
媒を含有するキヤタリスト材の二種類が準備され
る。前記コア採得工程は、前述するようにあらか
じめ個別に準備されたベース材とキヤタリスト材
とを等量混合し練和して、人工歯部に圧接して印
象をとり、歯形凹部５を有する陰型４として形成
する。この際、人工歯部の歯頚部を十分に覆うよ
うに印象し、前記凹部５に連続するカラー形成部
６を設け、後述する重合工程を考慮して、当該陰
型４を立設しておくことができるように、前記陰
型４の上面７を平坦な面に形成しておく。前記コ
ア材の硬化後、離型して、陰型４を形成する。こ
のようにして印象された陰型４に対して、あらか
じめ準備されたレジンが充填される。この発明に
おいて、人工歯を形成するべく適用されるレジン
は、熱硬化性アクリル系レジン、またはメタクリ
ル系レジンであり、その最も好ましい例として
は、いわゆるTM−PTと略称されるところのト
リメチロールプロパントリメタクリレートが挙げ
られる。前記レジンは、患者の天然歯の色合いに
関して幾種類かを準備しておくとよい。前記陰型
４の凹部５内にレジン８を充填する際、人工歯１
のカラー部分３まで過不足なく詰め込む。レジン
充填後、レジンの露出基底面９上に接着性付与剤
１０を層状に設ける。前記接着性付与剤１０は、
当該レジン８を床に接着する際、その接着度を高
めるためのものであつて、たとえば、ポリスチレ
ンの微粒紛末、あるいはアクリルの微粒紛末が有
効である。この発明では、さらに、前記接着付与
剤１０の上に含水ゲル材１１の層を形成する。前
記含水ゲル材１１は、前記レジンを後述するレジ
ン重合工程において、露出基底面９側の硬化の遅
延をはかり、レジン重合を咬合面から行なわせる
目的でなされるものであつて、この発明において
重要な点である。前記含水ゲル材１１は、架橋性
含水ゲルもしくはレトルト条で溶解しない疎水的
含水ゲルであることが好ましい。前記含水ゲル材
１１は、たとえば、デンプン、セルロース、セル
ロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアク
リルアミド等である。次いで、この発明における
レジン重合工程は、蒸気圧下でなされる。その一
例によれば、レジン重合のための装置は、一般家
庭用の圧力ナベが適当な装置として適用可能であ
る。すなわち、この発明では、約１〜1.8気圧、
約120℃〜140℃の条件下で約10分間の加熱加圧処
理により完全なレジン重合を行うことができる。
このレジン重合工程は、重合のための装置が簡単
で経済的であり、作業性の面においても重合時間
の短縮が図れ、蒸気圧下での完全確実な重合が得
られる点等においてきわめて有利である。このよ
うにして得られた超硬質の人工歯は、バリ取り、
バフ研摩の作業をへて仕上げられる。

(f) 発明の効果 以上の構成に成るこの発明のレジン系人工歯の
製造方法によれば、きわめて高い耐摩耗性を有す
る超硬質のレジン系人工歯を、簡易的にかつ精巧
に製造することができる。この発明は、練合状コ
ア材と、ペースト状の熱硬化性レジンとを適用し
たことにより、患者個有の咬口様式に合せ得る各
個調整人工歯（オーダーメードタイプの人工歯）
の製造にきわめて有利である。さらに、この発明
は、レジン重合工程の前段において、重合すべき
レジンの露出基底面に微粒粉未状の接着性付与剤
層を層状に形成したことにより、人工歯と義歯床
との間を強固に接着できる人工歯を提供する。さ
らにまた、この発明では、重合すべきレジンの露
出基底面の前記接着性付与剤上に含水ゲル材を層
状に載置することによつて、露出基底面側の硬化
を遅延させ、レジン重合を人工歯の咬合面から行
なわしめるので、きわめて精巧な人工歯を製造す
ることができる。さらに、この発明は、レジン重
合工程において、蒸気圧下でレジンを加熱加圧処
理して重合するものであり、重合のための装置も
きわめて簡便な圧力ナベで代用することができ、
かつその作業性が簡単である点、従来の重合器を
要するレジン系人工歯の製造法にくらべて実効の
高いものであるといえる。一方、この発明のレジ
ン系人工歯の製造方法は、咬合治療用アンレーの
製造ならびに固定式スプリント等の作製にそのま
ま適用可能なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明にかかるレジン系人工歯の
製造方法についての人工歯製造工程の手順を示す
概略的側断面図である。 １……人工歯、３……カラー部、４……陰型、
５……凹部、８……レジン、９……露出基底面、
１０……接着性付与剤層、１１……含水ゲル材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 所望の人工歯部をコア材により印象して陰型
   を成形し、 前記印象成形された陰型の印象凹部に熱硬化性
   アクリル系レンジ、またはメタクリル系レジンを
   充填し、 前記レジン層の上部に含水ゲル材を層状に形成
   し、 前記含水ゲル材層を上向きにして蒸気圧下で、
   前記レジンを加圧加熱重合して成ることを特徴と
   するレジン系人工歯の製造方法。