JP4727173B2 - 歯科用修復材組成物 - Google Patents

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本発明は、歯科用修復材組成物に関する。更に詳しくは、硬質レジン等の歯冠用補綴材レジン系補綴材料の機械的特性、特に耐衝撃性や耐破折性の改善に好適なフレーム材及びコンポジットレジン等の歯科用充填材の耐衝撃性あるいは耐破折性の改善に好適な歯冠裏装材に関する。また、本発明は、硬質レジン、ハイブリットセラミックス、レジンインレー、人工歯等の歯冠用補綴材やコンポジット等の歯科用充填材として操作性、機械的特性が良好な歯科用修復材組成物に関する。
レジンインレー、レジンアンレー、人工歯、硬質レジン、ハイブリットセラミックス、コンポジットレジン等の歯科用修復材は、操作性が容易であること、天然歯と色調を同調でき審美性が良いこと、修復が容易であること、機械的特性が向上したこと等から近年多用されている。この歯科用修復材は、通常(メタ)アクリル酸エステル系の重合性単量体と無機粒子状充填材及び光重合開始剤を主な構成成分とするペースト状で提供されるが、ペーストの操作性、硬化前後の審美性、機械的特性、耐衝撃性等の諸性能は使用される(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体の種類、充填材の種類や形状、粒子径および充填率等によって大きく左右されることが知られている。
例えば、(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体として、特許文献1(特開昭59-80632号公報、特願昭58-174452号明細書)には、特定のジ(メタ)アクリル酸エステルを
含有する歯科材料が提案されており、この重合性単量体を使用すると硬化体の機械的特性が向上することが記載されている。
また、特許文献2(特開2000-80013号公報)には平均粒径が1μm以下の無機酸化物微粒子と重合性単量体を予め複合化して数μm以上に粉砕して得た無機酸化物とポリマーとの複合体の粉体を配合する方法が記載されている。
このような複合体の粉体を使用すると、無機酸化物微粉体を単独で配合するときより充填率を高めることができるため、ペーストの操作性を保持しながら、機械的強度の低下を防ぐことが可能であると記載されている。
しかしながら、上記に記載されている特定の重合性単量体の使用、あるいは、無機酸化物をポリマーで複合化させた歯科用修復材では、機械的強度は強くはなるが、口腔内装着中に発生する歯科用修復材の破折に関しては未だ充分には解消されていない。
そこで、前歯に使用される硬質レジン前装冠のような歯冠用補綴物は、硬質レジンの裏側に機械的特性が特に優れる金属のフレーム材を裏装してレジンと金属とを複合化させて機械的特性を向上させると共に、咬合圧が掛かる部分にはレジンを極力使用しないようにして歯冠用補綴物の破折を防止するようにして口腔内に装着されている。しかしながら、近年、歯科用のレジンの性能が向上するにつれ、金属を全く使用しないレジンジャケット冠が普及し、また高い咬合圧が掛かる臼歯等の修復にもハイブリットセラミックスと呼ばれる歯冠用レジンの応用が広まっている。
しかしながら、実際の口腔内では、依然として機械的特性、特に耐衝撃性の脆弱さから、歯冠用補綴物が破折したり、欠損する等の問題が発生している。そこで、金属の代わりにポリメタクリル酸エステル系のシートを、硬質レジンのフレーム材として使用し、耐衝撃性を改善する方法が臨床応用されたが、シートと硬質レジンとの接着が不充分なため接
合面で剥離することがあり、さらに、上記のようなシートを支台歯模型の形状に忠実に合わせて型取りすること自体が非常に困難である等、操作性にも問題があった。
そのため、機械的特性、特に機械的靱性や耐衝撃性、耐破折性に優れたレジンジャケット冠、レジンクラウン、レジンインレー、レジンアンレー、人工歯、コンポジットレジン等の歯科用修復材が望まれている。
そして、公知の歯冠用補綴材料の強度を高める方法として、特許文献3(特開平5-310525号公報)には、ガラス繊維、アラミド繊維等の長繊維の収束糸にアクリル系レジンを含浸させた硬質レジンジャケット冠補強用樹脂組成物が、特許文献4(特開平5-97625号公
報)には未硬化或いは半硬化の状態の繊維強化樹脂を環状に成形した樹脂製歯冠用材料がそれぞれ記載されている。これらの材料をフレーム材にすると硬質レジンの破壊が改善されるが、フレーム材を支台歯模型に指で圧接して密着させる必要があるため、圧接時にフレーム材に皺が発生し支台歯模型への適合が不充分である。
この問題を解決するため、特許文献5(特開平6-157231号公報)には、アクリル系樹脂と無機繊維ホイスカを含む硬質レジン冠用組成物が記載されている。この組成物はペーストであるため支台歯模型に直接盛り付けた後硬化させるだけで、適合性の良いフレーム材を簡単に作製できるという利点はあるが、フレーム材のレジン成分として、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等の歯科業界で公知の重合性化合物しか例示されておらず、本発明に記載の多官能重合性(メタ)アクリレート化合物については何ら記載がない。また、無機繊維ホイスカの好ましい種類は記載されているが、機械的強度等の諸性能を左右する平均繊維長、平均繊維径等の性質について何ら記載がない。更に、本発明で規定する非常に過酷な試験方法によって確認される高い耐衝撃性が発現する歯科用修復材の組成に関しては何ら記載されておらず、耐衝撃性は必ずしも満足できるレベルには到達していない。
そのため、現在でも支台歯模型との適合性がよいフレーム材が簡単に作製でき、更に、硬質レジンやハイブリットセラミックス等の歯冠用補綴材料の耐衝撃性や耐破折性等を向上させることが可能なフレーム材の提供が要望されている。
また、コンポジットレジン等の歯科用充填材で齲蝕を修復する場合にも、咬合圧が掛かり、コンポジットレジンが薄くなる咬合面付近で破折等が発生し易いため、靭性の高い低粘度型コンポジットレジンを窩洞に裏装した後、コンポジットレジンで修復する方法が臨床応用されているが、破折の防止には至っていない。
特に、隣接歯に掛かるMOD窩洞のような複雑な窩洞形態をレジンインレー等の歯冠用補綴材で修復する場合、レジンインレーが非常に破折し易いため、耐衝撃性を改善し得る歯冠裏装材も必要とされている。
また、特許文献8(特開平8-27236号公報)には、トリシクロデカン骨格または芳香族
環を有する多官能(メタ)アクリレート化合物に関する記載があり、こうした化合物を使用すると機械的特性、特に靭性に優れる光学的立体造形物が提供できること、および、この立体造形用光硬化性樹脂組成物を用いて靭性に優れる光学的立体造形物を製造する方法が記載されているが、特許文献8には、このウレタン系(メタ)アクリル化合物を歯科材料として使用する際の好適な組成など歯科材料として使用するための要件に関する記載はない。
更に、特許文献6(特開平5-78435号公報)および特許文献7(特開平5-140252号公報
)には、ポリカーボネート骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物に関する記載
がある。これら特許文献6,7によると、歯科材料分野における義歯の脱着等を防止する金属クラスプ部分を、先ず、光硬化性樹脂組成物で作製し、石膏で埋没後、焼成し、金属を鋳造して作製する方法(ロストワックス法)が記載されているが、ポリカーボネート骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を歯科用修復材の組成物を形成する成分としては使用されていない。
また、特許文献9(特公平8-5768号公報)には、
「下記一般式I:
1-CH2-C(R3)HO-X1-Y−X2-O(R4)CH-CH2-R2
で表される重合可能なウレタン系歯科材料;
但し、式中、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよいが、
CH2=CHOO−基又はCH2C(CH3)COO−基を表し、
3及びR4は、同一でも異なっていてもよいが、H又はR3を表し、
1およびX2は、同一でも異なっていてもよいがポリイソシアネート基をあらわし、Yは、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールの残基を表す。」が記載されている。そして、この特許文献9には、上記式で表される化合物が、芳香族のポリイソシアネートあるいは脂環式イソシアネートを用いて形成されるものであることが記載されている。
しかしながら、この特許文献9に記載されているウレタン系の化合物は、著しく軟質な化合物であり、このままでは歯科材料として使用するのは極めて困難であり、この化合物が軟質である点を活用して歯科用材料とするためには、この化合物と共に使用する他の成分の選定が非常に重要になる。この点に関しては、例えば、無機酸化物等の充填材を添加する方法が開示されているが、有機あるいは無機フィラーを用いただけでは、この化合物の特性を充分に活用した歯科用材料を得ることはできない。
特開昭59-80632号公報(特願昭58-174452号明細書) 特開2000-80013号公報 特開平5-310525号公報 特開平5-97625号公報 特開平6-157231号公報 特開平5-78435号公報 特開平5-140252号公報 特開平8-27236号公報 特公平8-5768号公報
本発明は、硬質レジン、ハイブリットセラミックス、レジンインレー、レジンアンレー等の歯冠用補綴材料レジン系補綴材料の耐衝撃性および耐破折性を向上させることができ、さらに、ペーストの操作性、支台歯との適合性が良好なレジン系フレーム材を簡単に作製することができる歯科用修復材組成物を提供することを目的としている。更に、コンポジットレジン等の歯科用充填材の耐衝撃性や耐破折性の改善にも好適な歯冠用裏装材も提供することも目的としている。
また、上記のフレーム材を適用する場合、口腔内では支台歯の上に歯科用セメント、その上にフレーム材、次いで重合性化合物と粉体を硬化させた歯冠用補綴材料の構造をとる。同様に、歯冠裏装材を適用する場合は、口腔内窩洞に歯科用接着材、その上に歯冠裏装材、次いで重合性化合物と粉体をペースト化して硬化させた歯科用コンポジットレジンの構造をとる。本発明では機械的特性、特に機械的靱性等が良好で、ペースト操作性、硬化後の研削性、研磨性、色調等に優れる上記の歯冠用補綴材および歯科用充填材等の歯科用
修復材組成物の提供も目的としている。
本発明の歯科用修復材組成物は、
(a1)トリシクロデカン骨格、(a2)芳香族環骨格および(a3)ポリカーボネート骨格よりなる群から選ばれる少なくとも一つの骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を少なくとも一種類含む重合性単量体と、
該重合体単量体の合計100重量部に対して、
(B1)無機短繊維および/または(B2)粒子状充填材を1〜900重量部と、
(C)重合開始剤を0.01〜10重量部とを含有することを特徴としている。
また、本発明の歯科用修復材組成物においては、重合性単量体の合計100重量部中に、上記(a1)トリシクロデカン骨格、(a2)芳香族環骨格および(a3)ポリカーボネート骨格よりなる群から選ばれる少なくとも一つの骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(A)が、5〜80重量部の量で含有されていることが好ましい。
さらに、本発明の歯科用修復材組成物に含有される無機短繊維(B1)としては、平均繊維長が5〜1000μmの範囲内にあり、かつ平均繊維径が0.1〜100μmの範囲にあり、平均繊維長/平均繊維径の比が3〜10000の範囲内にある無機短繊維が好ましい。
また、本発明の歯科用修復材組成物に含有される粒子状充填材(B2)としては、平均粒子径が0.001〜100μmの範囲内にある粒子状充填材が好ましい。
本発明の歯科用修復材組成物としては、上記無機短繊維(B1)100重量部に対し、上記粒子状充填材(B2)を0.1〜50重量部の量で含有する組成物が好ましい。
また、本発明の歯科用修復材組成物は、無機短繊維(B1)100重量部に対し、上記粒子状充填材(B2)を0.1〜50重量部の量で含有することが好ましい。
さらに、本発明の歯科用修復材組成物は、
上記多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を少なくとも一種類含む重合性単量体と、該重合性単量体の合計100重量部に対して、
(B1)無機短繊維および/または(B2)粒子状充填材を10〜900重量部と、
(C)重合開始剤を0.01〜10重量部とを含有してなり、
該歯科修復材組成物が、
(DA)この歯科用修復材組成物を用いて形成された硬化物より10mm×25mm×1.
5mmtの試験片について、
(DA1)厚さ1.5mmの前記硬化物のみより形成された試験片を試験片SA1、
(DA2)前記硬化物の厚さを0.5mmにして、厚さ1.0mmtの曲げ強度80±20MPaの歯冠用修復材を更に接着・積層した試験片を試験片SA2として、
該各試験片を、衝撃錘を有する繰返し衝撃試験装置の試験片載置部(スパン間=20mm)に載置して、但し試験片SA2については歯冠用修復材を衝撃錘側に設定して、該各試
験片に、衝撃錘の先端の直径が5.6mm、衝撃荷重:134g、落下距離:10mm、繰返しサイクル56回/分の条件で、該各試験片に繰返し衝撃を加えたときに該試験片SA
および/または該試験片SA2の破壊に至る衝撃回数が1400回以上である組成を有す
ることが好ましい。
またさらに、本発明の歯科用修復材組成物は、
(DB)上記歯科用修復材組成物を用いて形成された硬化物より80mm×10mm×2mmtのノッチなしの試験片について、
(DB1)厚さ2.0mmの該硬化物のみより形成された試験片を試験片SB1、
(DB2)前記硬化物の厚さを1.0mmにして、厚さ1.0mmtの曲げ強度80±20MPaの歯冠用修復材を更に接着・積層した試験片を試験片SB2として、
該各試験片について、但し試験片SB2については歯冠用修復材をハンマー側に設定し
て、フラットワイズ法で測定したシャルピー衝撃試験により衝撃強度を測定したときに、該試験片SB1の衝撃強度および/または試験片SB2の衝撃強度が、11kJ/m2を超える組成を有することが好ましい。
また、本発明の歯科用修復材組成物は、支台歯の表面に歯冠材を装着する際に、支台歯と歯冠材との間に形成されるフレーム材とすることができる。さらに、本発明の歯科用修復材組成物は、歯科用コンポジットレジン等の歯冠裏装材を形成する材料とすることができる。
さらに、本発明の歯科用修復材組成物においては、上記(a1)トリシクロデカン骨格または(a2)芳香族環を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が、次式(1)で表さ
れる構造を有するものであることが好ましい。
CH2=CZ1-CO2-Da-O CONH-R-NHCO-Y-CONH-R-NHCO2-Da-O2C-Z1C=H2C
・・・(1)
ただし、上記式(1)において、Z1は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基で
あり、Dは、−(CH2)−、−(CH2CHR1)−および−(CHR1CH2)−よりなる群から選ばれ
るいずれかの基であり(R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)、aは、それぞれ独立に、1〜10の整数を示し、Rは、それぞれ独立に、下記式(2)〜(5)で表わされるいずれかの基である。
Figure 0004727173
また、式(1)において、Yは、下記式(6)で示されるトリシクロデカン骨格、または下記式(7)で示される芳香族環骨格を有する基である。
Figure 0004727173
上記式(6)において、Xは、−O−または−[O(CH2)5OCO]−であり、m+n=2〜10
の整数を示す。
Figure 0004727173
上記式(7)において、Dは、−(CH2)−、−(CH2CHR1)−および−(CHR1CH2)−の
いずれかであり(R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)、さらにEは、炭素数1〜4のアリキリデン基、シクロヘキシリデン基、−O−,−S−、−SO2−および−CO
−よりなる群から選ばれる基または原子であり、m+n=2〜10の整数を示す。
さらに、本発明の歯科用修復材組成物においては、上記(a1)トリシクロデカン骨格または(a2)芳香族環を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が、次式(8)で表される構造を有することが好ましい。
CH2=CZ1-CO2-Da-O-[CO-DaO]b-CONH-RNHCO-Y-CONH-R-NHCO-[ODa-OC-]b-O-Da-O2C-Z1C=CH2
・・・(8)
ただし、上記式(8)において、Z1は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基で
あり、Dは、―(CH2)−、−(CH2CHR1)−および−(CHR1CH2)−よりなる群から選ばれ
るいずれかの基であり(R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)、aおよびbは、それぞれ独立に、1〜10の整数を示し、Rは、それぞれ独立に、上記式(2)〜(5)で表わされるいずれかの基であり、
さらにYは上記式(6)または上記式(7)で表される基である。
さらにまた、本発明の歯科用修復材組成物においては、上記(a3)ポリカーボネート骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が、次式(9)で表される構造を有することが好ましい。
CH2=CZ1-CO2-Da-O2CNH-R-NHCO2Da-CO2Da-O-[CO2-Da-O]bCO2-Da-O2CNH-R-NHCO2-Da-CO2-Z1C=CH2
・・・(9)
ただし、上記式(9)において、Z1は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基で
あり、Dは、−(CH2)−、−(CH2CHR1)−および−(CHR1CH2)−よりなる群から選ばれ
るいずれかの基であり(R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)、さらに、aおよびbは、それぞれ独立に1〜10の整数を示し、Rは、それぞれ独立に、上記式(2)〜(5)で表わされる何れかの基を表す。
また、本発明の歯科用修復材組成物は、好適には上述の歯科修復材組成物であり、かつ
(DA)この歯科用修復材組成物を用いて形成された硬化物より10mm×25mm×1.5mmtの試験片について、
(DA1)厚さ1.5mmの前記硬化物のみより形成された試験片を、試験片SA1、
(DA2)前記硬化物の厚さを0.5mmにして、厚さ1.0mmtの曲げ強度80±20MPaの歯冠用修復材を更に接着・積層した試験片を、試験片SA2として、
該各試験片を、衝撃錘を有する繰返し衝撃試験装置の試験片載置部(スパン間=20mm)に載置し、但し試験片SA2については歯冠用修復材を衝撃錘側に設定して、該各試験
片に、衝撃錘の先端の直径が5.6mm、衝撃荷重:134g、落下距離:10mm、繰返しサイクル56回/分の条件で、該各試験片に繰返し衝撃を加えたときに、該試験片SA
および/または試験片SA2の破壊に至る衝撃回数が1400回以上となる組成を有する
ものであることが好ましい。
さらに、本発明の歯科用修復材組成物は、(DB)上記歯科用修復材組成物を用いて形
成された硬化物より80mm×10mm×2mmtのノッチなしの試験片について、
(DB1)厚さ2.0mmの該硬化物のみより形成された試験片を試験片SB1、
(DB2)前記硬化物の厚さを1.0mmにして、厚さ1.0mmtの曲げ強度80±20MPaの歯冠用修復材を更に接着・積層した試験片を試験片SB2として、
該各試験片について、但し試験片SB2については歯冠用修復材をハンマー側に設定し
て、フラットワイズ法で測定したシャルピー衝撃試験により衝撃強度を測定したときに、該試験片SB1および/または試験片SB2の衝撃強度が、11kJ/m2を超える組成を有す
ることが好ましい。
本発明の歯科用修復材組成物によれば、ペーストの操作性がよく、さらに歯科用補綴材や歯科用充填材の機械的特性、特に耐衝撃性や耐破折性を飛躍的に向上させることができるレジン系フレーム材及び歯冠用裏装材を提供することができる。また、硬質レジン、ハイブリットセラミックス、レジンインレー、レジンアンレー、人工歯等の歯冠用補綴材やコンポジット等の歯科用充填材としてペースト操作性、審美性、機械的特性が良好な歯科用修復材組成物を提供することもできる。
次に本発明の歯科用補修材組成物について、具体的に説明する。
本発明の歯科用修復材組成物には、(a1)トリシクロデカン骨格、(a2)芳香族環骨格および(a3)ポリカーボネート骨格よりなる群から選ばれる少なくとも一つの骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を少なくとも一種類含む重合性単量体と、
該重合体単量体の合計100重量部に対して、
(B1)無機短繊維および/または(B2)粒子状充填材を10〜900重量部と、
さらに(C)重合開始剤を0.01〜10重量部とが含有されている。
本発明において、(a1)トリシクロデカン骨格、(a2)芳香族環骨格、(a3)ポリカーボネート骨格の何れかを有する多官能(メタ)アクリレート化合物(A)とは、前記(a1)〜(a3)から選ばれる少なくとも1つの骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物である。多官能(メタ)アクリレート化合物は、1つの化合物分子中に、2つ以上、好ましくは2つの共重合可能な官能基を有する化合物である。
このような共重合可能な官能基は、好適には分子鎖末端に位置しており、このような共重合可能な官能基としては、ビニル基乃至はビニリデン基であることが好ましく、従って、共重合可能な官能基は、(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。
また、多官能(メタ)アクリレート化合物(A)としては、分子鎖中にウレタン基が含まれるウレタン系化合物であることが好ましい。なお、本発明における多官能(メタ)アクリレート化合物(A)の中には、オリゴマーと分類される可能性がある化合物もあり得るが、かかる定義論は煩雑であり、本発明の実用上あまり有益でないので、纏めて単量体と看做すものとする。
本発明の歯科用修復材組成物を形成する重合性単量体中(100重量部)には、上記のような多官能メタ)アクリレート化合物(A)を5〜80重量部の量で配合されている。
以下、多官能(メタ)アクリレート化合物(A)に関して、(a1)〜(a3)骨格を有する各場合について、順次、説明する。
先ず、本発明の歯科用修復材組成物を構成する(a1)トリシクロデカン骨格または(a2)芳香族環骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物について説明する。
本発明で使用する(a1)トリシクロデカン骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(A1)、または(a2)芳香族環骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(A2)は、一分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を有する重合性化合物である。
本発明の性能を発揮すれば、上記(A1)または(A2)は、トリシクロデカン骨格または芳香族環骨格を有していれば他の残基や骨格には制限はないが、好ましくは、特開平8-27236号公報に記載されている化合物が好ましく利用でき、具体的には次式(1)で表される構造を有している化合物が好ましい。
CH2=CZ1-CO2-Da-O CONH-R-NHCO-Y-CONH-R-NHCO2-Da-O2C-Z1C=H2C
・・・(1)
上記式(1)において、Z1は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、D
は、−(CH2)−、−(CH2CHR1)−および−(CHR1CH2)−のいずれかの基である。ここでR1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
また、式(1)において、aは、それぞれ独立に、1〜10の整数を示す。
また、式(1)において、Rは、それぞれ独立に、下記式(2)〜(5)で表わされるいずれかの基である。
Figure 0004727173
また、本発明の性能を発揮すれば上記(2)〜(5)以外に、以下に記載するイソシアネートの残基を導入されていても良い。
なお、式(1)において、ウレタン結合と連接している構造は、イソシアネート化合物から好適に誘導されるために、本発明においてはイソシアネート残基と表現するが、本発明の効果は、多官能(メタ)アクリレート化合物の構造さえ同じであれば、製法には左右されないので、何ら製法に限定されるものではない。これは、本明細書の他の説明でも同様である。
イソシアネート残基としては、例えば、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンメチレンイジイソシアネート(この化合物には、2,2,3-トリメチルヘキサンメチレンイジイソシアネートおよび2,3,3-トリメチルヘキサンメチレンイジイソシアネートがあり両者の混合物も使用可能である。)等の脂肪族系イソシアネート;トランスシクロヘキサンジイソシアネート、水添キシリレンイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、ビシクロヘプタトリイソシアネート、トリメチルヘキサンメチレンイジイソシアネート(この化合物には、2,2,3−トリメチルヘ
キサンメチレンイジイソシアネートと、2,3,3-トリメチルヘキサンメチレンイジイソシアネートとがあり両者の混合物も使用可能である。)等の脂肪族環状イソシアネート;トリレンジイソシアネート、トルイレンイソシアネ−ト、トルイレンジイソシアネート、ポリメチルポリフェニルポリイソシアネート、ポリプロピルポリフェニルポリイソシアネートおよびポリメチルプロピルポリフェニルポリイソシアネート等の脂肪族と芳香族のポリイソシアネートとから得られる化合物等に起因する残基が挙げられる。また、重合熱等でブロックされているイソシアネート基が解除されるブロック化ポリイソシアネート等から得られる残基であっても良い。
さらに、式(1)において、Yは、下記式(6)で示されるトリシクロデカン骨格、または、下記式(7)で示される芳香族環の骨格を有する基であることが好ましい。
Figure 0004727173
上記式(6)におけるXは、−O−または−[O(CH2)5OCO]−であり、m+n=2〜10の
整数であることが好ましい。
Figure 0004727173
上記式(7)において、Dは、−(CH2)−、−(CH2CHR1)−または−(CHR1CH2)−の
いずれかの基である。ここでR1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
また、式(7)において、Eは炭素数1〜4のアリキリデン基、シクロヘキシリデン基、−O−,−S−、−SO2−、または−CO−のいずれかの基または原子であり、m+n=
2〜10の整数を示すことが好ましい。
なお、本発明の性能を発揮すれば、上記(6)、(7)のほかに下記の残基を導入していても良い。
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロールジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサングリコール、デカメチレングリコール、1,10-デカメチレンジオール、1,12-ドデカメチレンジオール、1,2-ポリブタジエンポリオール、1,4-ポリブタジエンポリオール、ポリクロロプレンポリオール、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体のポリオール、ポリジメチルシクロキサンジカルビノール等の脂肪族または脂環族多官アルコール;メチレルジエタノールアミン、エチルジイソパノールアミン、トリエタノールアミンおよびビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン等の脂肪族また
は脂肪族ポリアミンを開始剤として、これにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の脂肪族オキシドを1〜2種類付加重合して得られるポリエ−テルポリオール残基;更に、前記の多価アルコールとマロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、蓚酸、ヘキサヒドロフタル酸等の脂肪族または脂環族多価カルボン酸とをエステル化させて得られるポリエステルポリオール残基;また、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキサイド等のオキシラン残基;さらに、プロピオラクトン、ブチロラクトン、カプロラクトン、プラクセルシリ−ズ(ダイセル化学工業(株)製)のようなポリカプロラクトン誘導体、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロールジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール1,6-ヘキサングリコール、デカメチレングリコール、1,10-デカメチレンジオール、1,2-ポリブタジエンポリオール、1
,4-ポリブタジエンポリオール、ポリクロロプレンポリオール、ブタジエン/アクリロニ
トリル共重合体ポリオール、ポリジメチルシクロキサンジカルビノール等のポリオール残基等を挙げることができる。
このような上記式(1)で示される化合物としては、式(1)中、Rが上記式(2)で表わされ、かつYが上記式(6)で表わされる(a1)トリシクロデカン骨格を有するウレタン系ジ(メタ)アクリレート化合物、もしくは、式(1)中、Rが上記式(2)で表わされ、かつYが上記式(7)で、Eが炭素数3のアリキリデン基で表わされる(a2)芳香族環骨格であるビスフェノールA骨格を有するウレタン系ジ(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましい。
さらに、ビスフェノールA骨格を有するウレタン系(メタ)アクリレート化合物を使用すると機械的強度や耐衝撃性、靭性等の機械特性が優れる硬化体が得られるため特に好ましい。
さらに、上記(a1)トリシクロデカン骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物または(a2)芳香族環骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物は、次式(8)で表
される構造を有する化合物であることも好ましい。
CH2=CZ1-CO2-Da-O-[CO-DaO]b-CONH-RNHCO-Y-CONH-R-NHCO-[ODa-OC-]b-O-Da-O2C-Z1C=CH2
・・・(8)
上記式(8)において、Z1は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、D
は−(CH2)−、−(CH2CHR1)−または−(CHR1CH2)−のいずれかの基である。ここで、R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
また、式(8)において、a及びbは、それぞれ独立に、1〜10の整数を表す。
さらに、式(8)において、Rは、それぞれ独立に、上記式(2)〜(5)で表わされる
いずれかの基であり、Yは、上記式(6)または上記式(7)で表される基であることが好ましい。
このような上記式(8)で示される化合物としては、式(8)中、Rが、上記式(2)で表わされる基であり、かつYが、上記式(6)で表わされる基であり、そして、Dが、メチレン基、もしくは、イソプロピレン基であり、aが、1〜10の整数であり、そして、bが、1〜6の整数であるトリシクロデカン骨格を有する化合物が好ましい。
なお、上記式(2)〜(5)の他にも、本発明の性能を発揮すれば上記の脂肪族系イソシアネート残基、脂肪族環状イソシアネート残基、脂肪族と芳香族のポリイソシアネート残基、ブロック化ポリイソシアネート残基等を導入していても良い。
さらに、本発明の性能を発揮すれば、上記(6)、(7)のほかに上記のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等の残基を導入しても良い。
一般にみてウレタン系(メタ)アクリレート化合物硬化体の機械的特性は(メタ)アクリル酸エステル系化合物硬化体の機械的特性よりも優れる。しかしながら、重合前の粘度は(メタ)アクリル酸エステル系化合物等より高く単独では扱いにくくなるため、所望の粘度になるように単官能性の(メタ)アクリル酸エステル系化合物で希釈して使用するのが一般的である。そのため、(メタ)アクリル酸エステル系化合物の添加率が高くなると硬化体の機械的特性や靭性等の特徴が低下するという欠点が生ずることがある。
しかし、上記(a1)トリシクロデカン骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物または(a2)芳香族環骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物のうち、Dがメチ
レン基で、a=1〜5の整数、好ましくは2であり、上記式(6)におけるXが−〔O(
CH25OCO〕−であり、m+n=2〜5の整数で示される化合物は、ウレタン系多官能(メタ)アクリレート化合物のなかではそれほど粘度が高くないため単独での使用も可能である。加えて、その硬化体の機械的強度あるいは靭性等も低下しにくいので、本発明では特に好ましく利用される。
さらに、(a1)トリシクロデカン骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物または(a2)芳香族環骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を含む組成物の硬化体は、フレーム材あるいは歯冠用裏装材として適用したとき、歯冠用補綴材あるいは歯科用充填材の耐衝撃性を著しく向上されることができる。さらに、これらの硬化体をマトリックスレジンとする歯科用補綴材あるいは歯科用充填材等の歯科用修復材においては、その機械的特性、特に機械的靱性を著しく向上する。
本発明で好適に使用される上記式(1)または上記式(8)で表わされるウレタン系二官能(メタ)アクリレート化合物は、オリゴマーになっている場合が多い。オリゴマーの平均分子量は、ペースト操作性や硬化体の機械的特性や耐衝撃性が発揮されれば特に限定されないが、ポリスチレン換算での重量平均分子量が通常は1,000〜10,000の範囲、好ましくは1,000〜8,000の範囲、更に好ましくは1,000〜5,000範囲である。
次に、本発明の歯科用修復材を構成する(a3)ポリカーボネート骨格を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物について説明する。
この化合物としては、特開平5-78435号公報または特開平5-140252号公報に記載のポリ
カーボネート骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物等が好ましく利用できる。(a3)ポリカーボネート骨格を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物は一分子内
に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を有する重合性化合物であり、かかるポリカーボネートの骨格としては、例えば炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、環状の何れかよりなる脂肪族系カーボネート骨格あるいは下記式(10)で表される基を主たる繰返し単位とするものを挙げることができる。
Figure 0004727173
上記式(10)において、Eは炭素数1〜4のアルキリデン基、シクロヘキシリデン基、−O−、−S−、−SO2−、または−CO−のいずれかであり、場合によっては−C
(CH32−であっても良い。
このようなポリカーボネート骨格の分子量は200〜1万、好ましくは300〜5,000の範囲にある。ポリカーボネート骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば、末端および/または側鎖に水酸基を有する分子量200〜1万のポリカーボネート化合物が(メタ)アクリレートまたはグリシジル(メタ)アクリレートでエステル化された多官能(メタ)アクリレート化合物;分子量200〜1万の末端及び側鎖に水酸基を有するポリカーボネートリゴマ−と、末端および/または側鎖に水酸基を1ないし2個有する(メタ)アクリル酸エステルとジイソシアネート化合物とを一挙、または二段階で反応させて得られる、ポリカーボネートの両末端および/または側鎖に、ウ
レタン基を介して(メタ)アクリレート基が結合したウレタン系多官能(メタ)アクリレート化合物;および、末端及び/または側鎖に水酸基を有するカーボネートオリゴマ−とイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるウレタン系多官能(メタ)アクリレート化合物等を挙げることができる。
これらの化合物のなかで室温下での粘度が数万〜数百万mPa・sであるUN9000シ
リーズ(根上工業(株)製)等の脂肪族系のポリカーボネート骨格を有するウレタンジ(メタ)アクリレート化合物が好ましく利用できる。
また、(a3)ポリカーボネート骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物は、ポリ
カーボネート基以外に上記のポリエーテルポリオール基、ポリエステルポリオール基、ε-カプロラクトンから誘導されるポリエステル基、ポリエチレングリコール基やポリプロ
ピレングリコール基等のポリアルキレングリコール基、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基やポリアルキレン基、芳香族環や複素環を含有する基等の公知の基やセグメントを残基として含有しても何ら問題ない。
本発明においては、(a3)ポリカーボネート骨格を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、次式(9)で表される構造を有する化合物が好ましい。
CH2=CZ1-CO2-Da-O2CNH-R-NHCO2Da-CO2Da-O-[CO2-Da-O]bCO2-Da-O2CNH-R-NHCO2-Da-CO2-Z1C=CH2
・・(9)
上記式(9)において、Z1は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、D
は、−(CH2)−、−(CH2CHR1)−または−(CHR1CH2)−のいずれかの基である。ここで
、R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
また、式(9)において、a及びbはそれぞれ独立に1〜10の整数を示す。
さらに、式(9)において、Rは、それぞれ独立に、上記式(2)〜(5)で表わされる何れかの基を表す。
上記式(9)において、Dはメチレン基もしくはイソプロピレン基が好ましく、さらに、式(9)において、a及びbは、1〜7の整数であると、フレーム材や歯冠用裏装材と
して適用した際に歯冠用補綴材料や歯科用充填材料の耐衝撃性を著しく向上されることができる。さらに、この硬化体をマトリックスレジンとする歯科用補綴材、歯科用充填材は機械的特性、特に機械的靱性を著しく向上させることができる。無論、発明の性能を発揮すれば、(2)〜(5)以外にも上記に記載したイソシアネート残基やポリオール残基を導入していても良い。
本発明において、多官能(メタ)アクリレート化合物(A)としては、上記(a1)トリシクロデカン骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物、(a2)芳香族環骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物、(a3)ポリカーボネート骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物は、単独で使用してもよいが適宜混合して使用しても良い。あるいは(a1)トリシクロデカン骨格)、(a2)芳香族環骨格、あるいは(a3)ポリカーボネート骨格のうちのいずれかの骨格を2つ以上1分子中に有している多官能(メタ)アクリレート化合物を単独であるいは混合して用いても良い。また、ペースト操作性や硬化体の耐衝撃性を向上させるため、他の重合性単量体と共に使用してもよい。
また、場合によっては、例えば式(1)、(8)、(9)中のウレタン結合(−OCONH
−)を適宜アミド結合(−CONH−)あるいはエステル結合(−COO−)に換えた化合物を
用いても良い。
上記多官能(メタ)アクリレート化合物(A)と共に使用される他の重合性単量体とし
ては公知の化合物が使用でき、(i)単官能重合性単量体、(ii)二官能重合性単量体、(iii)三官能重合性単量体、(iv)四官能以上の重合性単量体などが挙げられ、(メタ
)アクリル酸エステル化合物が特に好ましい。下記に好ましい重合性単量体を具体的に例示する。
(i)単官能重合性単量体
(i)単官能重合性単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルフリ
ル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシートリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボロニ
ル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどの(メ
タ)アクリル酸エステル系重合性単量体が挙げられる。
また、公知の酸性基含有重合性単量体も用いることができ、そのような化合物しては、例えば、リン酸基含有重合性単量体、ピロリン酸基含有重合性単量体、チオリン酸基含有重合性単量体、カルボン酸基含有重合性単量体、スルホン酸基含有重合性単量体等を挙げることができる。
このうちリン酸基含有重合性単量体としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート、(8-(メタ)アクリロイルオキシ)オクチル-3-ホスホノプロピネート等の重合性単量体を挙げることができる。
ピロリン酸基含有重合性単量体としては、ピロリン酸ジ〔2-(メタ)アクリロイルオキ
シエチル〕、ピロリン酸ジ〔4-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、ピロリン酸ジ〔8-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、ピロリン酸ジ〔12-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の重合性単量体を挙げることができる。
チオリン酸基含有重合性単量体としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンチオホスフェート、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンチオホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンチオホスフ
ェート、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンチオホスフェート等
の重合性単量体を挙げることができる。
カルボン酸基含有重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシカルボニルフタル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルオキシカルボニルフタル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシオクチルオキシカルボニルフタル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシデシルオキシカルボニルフタル酸およびこれらの酸無水物、6-(メタ)アクリロイルアミノヘキシルカルボン酸、8-(メタ)アクリロイルアミノヘキシルカルボン酸、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸等の
重合性単量体を挙げることができる。
スルホン酸基含有重合性単量体としては、2-(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸
、3-(メタ)アクリルアミドプロピルスルホン酸、4-(メタ)アクリルアミドブチルスルホン酸、10-(メタ)アクリルアミドデシルスルホン酸等の重合性単量体を挙げることができる。
これらの(i)単官能重合性単量体のなかでは、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸イソボルニル
が好ましく用いられ、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、N-(メタ
)アクリロイルモルホリンおよび(メタ)アクリル酸イソボルニルから選ばれる重合性単量体を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることが特に好ましい。
(ii)二官能重合性単量体
(ii)二官能性重合性単量体としては、芳香族系化合物として、2,2-ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(3-(メタ)アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2-(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)-2-(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニ
ル)プロパン、2-(4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)-2-(4-(メタ)ア
クリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2-(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)-2-(4-(メタ)アクリロイルオキシートリエトキシフェニル)プ
ロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのようにこれらの(メ
タ)アクリレートに対応する水酸基含有(メタ)アクリレート化合物とジイソシアネートメチルベンゼンや4,4,-ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジ
イソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等が挙げられる。
また、脂肪族系化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどエチレングリコール系またはプロピレングリコール系ジ(メタ)アクリレート、またはエトキシ化シクロヘキサンジ(メタ)アクリレートのような環状、直鎖状、分岐状の脂肪族ジ(メタ)アクリレートと、エチレングリコールまたはプロピレングリコールとが結合したジ(メタ)アクリレート化合物、
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカ
ンジオールジ(メタ)アクリレートなどの脂肪族系ジ(メタ)アクリレート化合物、あるいは 2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基
含有(メタ)アクリレート化合物と、ヘキサメチルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネ
ート化合物との付加から得られるアダクト、あるいは、ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)フォスフェート等が挙げられる。
また、ジ(メタ)アクリレート基の間にエステル基が一個以上結合している下記式(10)で表わされるポリエステル系ジ(メタ)アクリレート化合物も使用できる。
Figure 0004727173
上記式(10)中、Z2は水素原子またはメチル基であり、Wは、(イ)炭素数1〜2
0のアルキレン基、(ロ)炭素数が1〜20のアルキル基を側鎖に持つ、炭素数1〜20のアルキレン基、(ハ)炭素数1〜20の基の間にシクロヘキサンが1〜5個挿入された基、(ニ)エチレングリコールもしくはプロピレングリコールが1〜20個結合した基、(ホ)エチレングリコールもしくはプロピレングリコールが1〜20個結合した基に芳香族環が挿入された基のいずれかを示す。
(ii)二官能重合性単量体のなかでは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジ(メタ)アクリレートが特に好ましく使用できる。
(iii)三官能重合性単量体
(iii)三官能重合性単量体としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート等が挙げられる。
(iii)三官能重合性単量体のなかでは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが特に好ましく使用できる。
(iv)四官能以上の重合性単量体
(iv)四官能以上の重合性単量体としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペジンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどのテトラ(メタ)アクリレート化合物;あるいは、ヘキサメチルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)のようなジ
イソシナネートの間に脂肪族を有するジイソシアネート化合物あるいはジイソシアネートメチルベンゼンや4,4,−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有す
るジイソシアネート化合物と、グリシドールジ(メタ)アクリレートとを付加して得られるアダクト;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、トリイソシアヌレート環に1個〜3個のイソシアネート基が結合した化合物と、水酸基を含有する(メタ)アクリレートとの付加反応により得られる単官能以上のアダクトも使用できる。
(iv)四官能以上の重合性単量体のなかでは、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましく使用できる。
上記の(a1)トリシクロデカン骨格、(a2)芳香族環骨格および(a3)ポリカーボネート骨格よりなる群から選ばれる少なくとも一つの骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(A)と他の重合性単量体とを併用する場合において、他の重合性単量体との重量比は、ペースト操作性や歯冠用補綴材料や歯科用充填材の耐衝撃性の向上度合い等から適宜決定すればよいが、(a1)トリシクロデカン骨格、(a2)芳香族環骨格および(a3)ポリカーボネート骨格よりなる群から選ばれる少なくとも一つの骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(A)と他の重合性単量体との合計量100重量部中に、他の重合性単量体が通常5〜80重量部、好ましくは10〜70重量部、更に好ましくは20〜60重量部である。また、他の重合性単量体としては、単官能性重合性単量体や二官能性重合性単量体が特に好ましい。
本発明の歯科用修復材組成物中には無機短繊維(B1)および/または粒子状充填材(B2)が配合されている。
先ず、本発明のフレーム材及び歯冠裏装材として好適な無機繊維(B1)及び(B1)と同時に配合される粒子状充填材(B2)について説明する。
(B1)無機短繊維
本発明に用いられる無機短繊維(B1)としては、無機長繊維を粉砕等で適当な長さに粉砕した短繊維、またはホイスカと呼ばれる針状体が好ましい。具体的にはCガラスやEガラスなどのミルドファイバ−と呼ばれるガラス短繊維、珪酸カルシウムを主成分とする
ウォラスナイ、アルミナ繊維等のセラミックス短繊維、スラグ短繊維等が好ましく使用される。硬化前後の審美性を損なわない範囲でカーボン短繊維や金属短繊維等も使用可能である。また、ホイスカとしては、チタン酸カリウムホイスカ、ホウ酸アルミニウムホイスカ等が好ましく使用される。これらのなかで、ガラス短繊維、アルミナ短繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムホイスカ等が好ましく、歯科用修復材組成物の審美性や機械的強度や耐衝撃性の向上を付与するためにガラス短繊維が特に好ましく使用される。上記の無機単繊維(B1)は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
無機短繊維(B1)の性状は、ペースト操作性やフレーム材や歯冠裏装材の厚み等によって繊維長や繊維径を適宜選択すればよいが、通常は平均繊維長5〜1000μm、好ましくは50〜800μm、更に好ましくは70〜500μmの範囲であり、平均繊維径は0.1〜100μm、好ましくは0.1〜80μm、更に好ましくは0.1〜50μmの範囲である。
臨床に供されるフレーム材の厚みは一般に0.05〜1mmであるため、繊維長や繊維径がこの範囲よりあまり逸脱すると、フレーム材が厚くなり易く操作性および支台歯との適合性が劣るので好ましくない。逆にこの範囲より小さいと歯冠用補綴材料の耐衝撃性が改善され難いので好ましくない。なお、ホイスカの場合、繊維のように平均繊維長や平均繊維径とは呼ばず、平均長径や平均短径で表されるのが一般的であるが、本発明では、繊維の平均繊維長=針状体の平均長径、繊維の平均繊維径=針状体の短径と定義し、平均繊維長と平均繊維径に統一して説明する。
本発明で使用する無機短繊維(B1)のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径の比)は、大きいほど機械的特性が向上するが、本発明では、機械的強度あるいは耐衝撃性が向上する範囲内にアスペクト比を調整することが好ましく、本発明ではアスペクト比が3〜10,000、好ましくは7〜10,000、更に好ましくは10〜10,000の範囲にある無機短繊維(B1)を使用することにより、歯冠用補綴材料の耐衝撃性を著しく向上させることができる。なお、アスペクト比が3未満の上記無機短繊維(B1)を使用すると耐衝撃性が劣る傾向にあるため好ましくない。
なお、上記のような無機短繊維(B1)は、上記の多官能(メタ)アクリレート化合物(A)や重合性単量体との親和性を向上させるため、γ-(メタ)アクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン
、ジメチルジクロロシラン、ω-(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメトキシシラ
ン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチレンジシラザン、3-アミノプロピルエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤やシルコニウム系カップリング剤、チタン系カップリング材、アルミナ系カップリング剤等、通常無機酸化物の表面処理剤として使用される公知の表面処理剤で無機酸化物表面を疎水化処理することが好ましい。
無機短繊維(B1)を表面処理して使用する場合に、表面処理剤の量は、無機短繊維(B1)の比面積等の物性、ペーストの操作性、歯冠用補綴材料の耐衝撃性の向上度合い等を勘案して適宜決定すればよいが、一般には無機短繊維(B1)100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは、0.1〜15重量部、更に好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。
無機短繊維(B1)の配合量は、上記の多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を少なくとも1種類含む重合性単量体の合計100重量部に対し、通常1〜900重量部、好
ましくは5〜500重量部、更に好ましくは10〜120重量部の量となる範囲である。無機短繊維(B1)をこのような量で配合することにより、組成物の形態保持性が良好に
なるが、この組成物の硬化体の弾性を損なうことなく機械的強度が高くなる。また、上記のような量で無機短繊維を配合することにより、本発明の歯科用修復材組成物の粘度(あるいは稠度)を取り扱いやすい範囲内に調整することができる。
本発明の歯科用修復材組成物には、フレーム材や歯冠裏装材として上記のような無機短繊維(B1)を配合されていればよいが、上記の(A)を少なくとも一種類含む重合性単量体の混合物の粘度が20,000〔mPa・s/25℃〕(EH型)以下の場合、無機短繊維
(B1)のみを使用すると、ペースト化した時に無機短繊維(B1)と重合性化合物とが相分離し易く、保存安定性が低下する傾向が現れることがある。
このような場合には、無機短繊維(B1)に加えて、粒子状充填材(B2)を同時に配合して、層分離を抑制し、保存安定性を向上させることができる。
ここで使用される粒子状充填材(B2)としては公知の(イ)無機酸化物粒子、(ロ)ポリマー粒子、(ハ)ポリマーと無機酸化物の複合体の粒子等が制限なく使用できるが、無機酸化物粒子が好ましい。(イ)無機酸化物粒子として、具体的にはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、チタニアなどの金属酸化物、シリカと周期律表第I族、同第II族、同第III族、同第IV族の金属の酸化物とを組み合わせた複合酸化物(例:
シリカ/チタニア、シリカ/ジルコニア、シリカ/酸化ストロンチウム、シリカ/酸化バリウム、シリカ/アルミナ等)を挙げることができる。(ロ)ポリマー粒子としては、特に限定されるものではなく、公知の粉体材料が制限なく使用できるが、そのような材料となるポリマーとしては、具体的には(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体あるいは共重合体、(メタ)スチレンあるいはα-メチルスチレン等のスチレン系モノマーとブタジ
エンとの共重合体、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体、アクリルニトリルとブタジエンとスチレンとの共重合体、アルキル(メタ)アクリレートとスチレン系モノマーとの共重合体、酢酸ビニルとアルキル(メタ)アクリレートとスチレン系モノマーとの共重合体、アルキル(メタ)アクリレートとスチレン系モノマーと分子内に少なくとも一個の水酸基を有する(メタ)アクリレートとの共重合体、スチレン/アルキル(メタ)アクリレート/ブタジエン共重合体等が好ましい。これらは単独あるいは二種類以上を組み合わせてポリマー粒子として使用してもよい。なお、前記の重合体において、ブタジエンを重合成分として有するものはエラストマー性が発現される。
(ハ)ポリマーと無機酸化物粒子との複合体の粒子としては、たとえば、上記無機酸化物粉体と重合性単量体およびベンゾイルパーオキサイド等の熱重合開始剤とを均一に混練した後、加熱圧縮成型機にて0.1〜200kgf/cm2の圧力下、60〜200℃で、数分
間〜数時間熱硬化させ、所望の粒子径や粒度分布になるまでボールミルやジェットミル等の粉砕機で粉砕して製造した複合体の粒子を使用することができる。ここで、重合性単量体は上記の三官能以上の重合性単量体を主成分とする重合性単量体が好ましく、無機酸化物は平均粒径が1μm以下の粉体の無機酸化物粒子が好ましく、平均粒径が0.001〜0.05μmの範囲のアエロジルと呼ばれるコロイダルシリカやナノサイズの上記に記載した無機酸化物粒子が特に好ましい。また、重合性単量体を用いる場合には、重合性単量体と無機酸化物との合計100重量部に対して重合性単量体が20〜90重量%の範囲が好ましい。
尚、ポリマーと無機酸化物粒子との複合体粒子は、そのまま使用しても良いし、熱処理しても良い。また、マトリックスモノマ−との親和性を向上させるために上記のシランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理して使用しても良いし、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を持つ重合性単量体、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エ−テル基を持つ重合性単量体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基を持つ重合性単量体等、複合体粒子が持つ官能基と水素結合、共有結合し得る可能性のある官能基を持つ重合性単量体で処理して使用しても良い。また、複合体
粒子が官能基を持たない場合でも、複合体に残存する二重結合や過酸化物等と重合性単量体を重合させて表面処理しても良い。
無機短繊維(B1)と同時に配合される粒子状充填材(B2)の形状は制限なく真球状は勿論のこと略球状、不定型状であっても凝集粒子であってもよい。また、上記無機短繊維(B1)と同時に配合する粒子状充填材(B2)の平均粒径は、通常、0.001〜100μm、好ましくは0.001〜50μm、更に好ましくは0.001〜10μmの範囲の粒子状充填材であり、特に平均粒径が0.001〜0.05μmのアエロジルと呼ばれるコロイダルシリカを同時に使用すると、本発明のフレーム材や歯冠用裏装材に適用される歯科用修復用組成物ペーストの無機酸化物(B1)と重合性化合物との層分離が抑制さ、さらに、歯冠用補綴材あるいは歯科用充填材等の歯科用修復材と本発明の歯科用修復材組成物の硬化耐とからなる複合体の耐衝撃性を向上させることができるため好ましく使用される。
粒子状充填材(B2)の配合量は、歯科用修復材組成物の硬化体の耐衝撃性を向上させ、更に相分離が発生しない範囲であれば制限しないが、無機短繊維(B1)の配合量100重量部当たり、粒子状充填材(B2)を通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜40重量部、更に好ましくは1〜30重量部となる量である。尚、粒子状充填材(B2)が無機酸化物の場合は上記の疎水化処理方法で疎水化して使用する方が好ましい。
また、ペーストの操作性、歯冠用補綴材料の耐衝撃性の向上を損なわない範囲でポリマー短繊維、具体的には、ナイロン、ポリエステル、アラミド繊維、p-オキソベンゾインの高分子ホイスカなどのポリマー短繊維が無機短繊維と同様の形状、同様の配合量で本発明の効果を損なわない範囲で配合されても良い。
次に、レジンフレーム材や歯冠用裏装材部分以外の一般に硬質レジン、ハイブリットセラミックス、レジンインレー、レジンアンレー、人工歯、コンポジットレジン等と呼ばれる用途に使用される歯科用修復材組成物に配合される粒子状充填材(B2)について説明する。なお、こうした用途に上記の無機短繊維(B1)配合した歯科用修復材を使用すると、硬化体の機械的特性は向上するが、研磨が困難で光沢感が出にくくなる傾向がある。
粒子状充填材(B2)としては、上記の形状や粒径、種類の(イ)無機酸化物粒子、(ロ)ポリマー粒子、(ハ)ポリマーと無機酸化物の複合体の粒子等が制限なく使用できる。中でも、(イ)無機酸化物粒子単独、(ハ)ポリマーと無機酸化物の複合体の粒子単独、(イ)無機酸化物粒子と(ハ)ポリマーと無機酸化物との複合体の粒子組み合わせが好ましく利用される。
また、(B2)の平均粒径は通常、0.001〜100μm、好ましくは0.001〜50μm、更に好ましくは0.001〜10μmの範囲の粒子状充填材である。
粒子状充填材(B2)の配合量は、本発明の性能を発揮すれば制限ないが、上記の(A)を少なくとも一種類含む重合性単量体の合計100重量部に対して、通常1〜900重量部、好ましくは、50〜900重量部、更に好ましくは70〜900重量部の範囲である。
これらの成分から構成される組成物は、ペースト操作性が良く、この硬化体の審美性、研磨性、光沢感が良い。更に、機械的特性、特に強度が強く、破断するまでの歪みが大きいため、非常に靱性に優れる歯科修復材組成物を得ることができる。
本発明の歯科用修復材組成物には、重合開始剤が含有されており、本発明では光重合開始剤が特に好ましく使用される。
(C)重合開始剤
重合開始剤には、熱重合開始剤、常温重合開始剤または光重合開始剤等公知の重合開始剤があり、本発明の歯科用修復材組成物中に配合される重合開始剤としては所望の時に光を照射するだけで硬化させることができる光重合開始剤が好ましい。重合開始剤(C)の配合量は、上記(A)を少なくとも含む重合性単量体の合計100重量部当たり、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.1〜3重量部の範囲である。
光重合開始剤としては、光増感剤単独、または、光増感剤と光重合促進剤との組み合わせが使用できる。光増感剤としては、ベンジル、カンファーキノン等のα-ジケトン化合
物、α-ナフチル、p,p'-ジメトキシベンジル、ペンタジオン、1,4-フェナントレンキノン、ナフトキノン、ジフェニルトリメチルベンゾイルフォスフィンオキシド等の紫外光あるいは可視光で励起され重合を開始する公知の化合物類であり、1種類または2種類以上を混合して使用してもよい。このなかで、カンファーキノン、ジフェニルトリメチルベンゾイルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシドまたはその誘導体が特に好ましく使用される。
また、光重合開始剤を使用する際には、光重合促進剤を併用することが好ましく、ここで使用される光重合促進剤の例としては、p-トルエンスルフィン酸またはそのアルカリ金属;N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジベンジルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸、p-N,N-ジエチルアミノ安息香酸、p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-N,N-ジエチルアミノ安息香酸エチル、p-N,N-ジ
メチルアミノ安息香酸メチル、p-N,N-ジエチルアミノ安息香酸メチル、p-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド、p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル、p-N,N-ジエチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル、p-N,N-ジメチルアミノベンゾニトリル、p-N,N-ジエチルアミノベンゾニトリル、p-N,N-ジヒドロキシエチルアニリン、p-ジメチルアミノフェネチルアルコール、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、N-エチルエタノールアミン等の第三級アミン類、N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシンのアルカリ金属塩等の第二級アミン類;上
記第三級アミンまたは第二級アミンと、クエン酸、リンゴ酸、2-ヒドロキシプロパン酸との組み合わせ;5-ブチルアミノバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸
等のバルビツール酸類;ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物を挙げることができる。光重合促進剤としては、これらから選ばれる1種類または2種類以上を混合して用いてもよい。特に、p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート等の芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンもしくはN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート等の重合性基を有する脂肪族系第三級アミン、N-フェニル
グリシン、N-フェニルグリシンのアルカリ金属塩等の第二級アミン類が好ましく用いら
れる。
特に本発明の歯科用修復材組成物の硬化を速やかに完結させようとする場合には、光増感剤と光重合促進剤との組み合わせが好ましく、
カンファーキノンと、
(二)p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル等の芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンのエステル化合物またはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の重合性基を有する脂肪族系第三級ア
ミンまたはN-フェニルグリシン、N-フェニルグリシンのアルカリ金属塩等の第二級アミン類との組み合わせ;
(ホ)アシルホスフィンオキシドとの組み合わせ;
(ヘ)アシルホスフィンオキサイドとp-トルエンスルフィン酸またはアルカリ金属塩と
の組み合わせ;
(ト)芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンのエステル化合物とアシルホスフィンオキシドまたはアシルホスフィンオキサイドとの組み合わせ;
(チ)芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンのエステル化合物とp-トルエンスルフィン酸のアルカリ金属塩との組み合わせ等が好ましく用いられる。重合促進剤の配合量は光硬化性能が促進されれば限定されないが、通常、光重合開始剤100重量部に対して1〜200重量部の範囲で使用される。
なお、本発明で使用する重合開始剤としては、上記のように光重合開始剤を使用することが好ましいが、熱重合開始剤や常温重合開始剤も利用できる。その具体例を下記に示す。
熱重合開始剤としては有機過酸化物、ジアゾ系化合物等が好ましく使用できる。重合を短時間で効率よく行おうとする場合には、80℃での分解半減期が10時間以下である化合物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート
等のパーオキシジカーボネート類;tert-ブチルパーオキシイソブチレート、tert-ブチルネオデカネート、クメンパーオキシネオデカネート等のパーオキシエステル類;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等の過酸化スルホネート類が挙げられる。
ジアゾ系化合物としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、4, 4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメトキシバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)等を挙げることができる。特にベンゾイルパー
オキサイド、2,2'-アゾビスイソブチロニトリルがより好ましい。また、有機過酸化物と
第三級アミン等の還元剤とを組み合わせ、常温付近で重合を開始するレドックス開始剤も使用可能である。
なお、熱重合開始剤、常温重合開始剤または光重合開始剤はそれぞれを組み合わせて使用してもよい。
本発明の歯科用修復材組成物の製造法は、特に限定されないが、上記の(A)を少なくとも一種類含む重合性単量体の混合物を、無機短繊維(B1)および/または無機粒子状充填材(B2)と、重合開始剤(C)とを乳鉢や混練機等で混練し、ペースト化する。得られたペーストを自転させながら公転させる方法、あるいは、減圧下に脱泡する方法等で気泡を除去し、本発明の歯科用修復材組成物が製造される。
このような本発明の歯科用修復材組成物をフレーム材として適用する場合、支台歯模型の表面で硬化させてフレーム材(層)を形成し、さらに本発明の歯科用修復材組成物あるいは公知の硬質レジンやハイブリットセラミックス、レジンインレー、レジンアンレー等の歯科用修復材をフレーム材表面で硬化させて硬化層を形成させ、口腔内で歯科用接着性セメント等を用いて支台歯、窩洞に接着し、歯冠修復を行う方法が好ましい。また、歯冠用裏装材と適用する場合は、窩洞に接着剤を適用して硬化させた後、歯冠用裏装材をその上に適用、硬化し、更に公知の歯科用充填材あるいは本発明の歯科用充填材料組成物を充填、硬化して歯冠修復する方法が好ましい。
このように、本発明の歯科用修復材組成物を用いて歯冠修復を行うことにより、上記の歯科用修復材料から得られる硬化層の耐衝撃性が著しく向上する。
この耐衝撃性については、具体的には以下に示すような「繰返し衝撃試験法」によって測定される。
先ず、透明なガラス板を片面に敷いた10mm×25mm×0.5mmtの空隙の開いたテフ
ロン(登録商標)モールドに、本発明の歯科用修復材組成物を充填し、両面を透明ガラスで覆った後、硬化させる。次いで、透明ガラスの一枚を外し、歯科用修復材組成物の硬化面に「メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート/2モルの2-ヒドロキエチルヘキサメチレンジイソシアネートと1モルのトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されたウレタン系ジメタクリレート化合物/4-メタクリロキシプロピルトリメリット酸/メチルメタクリレートとエチルメタクリレート共重合体粉末(藤倉化成工業(株)製:EMA35)/カンファーキノン/N,N-ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル=54.5/9.9/19.8/9.9/5.0/0.45/0.45重量%」から構成される接着材を塗布、硬化させる。そして、その上に10mm×25mm×1.0mmtの空隙の開いたテフロン(登録商標)モールドを置いて、硬化後の曲げ強度80±20MPaである歯冠用修復材ペーストを充填した後、両面を透明なガラスで覆い、再度硬化させ、曲げ強度80±20MPaの歯冠用修復材である硬化層を形成させる。なおここでいう「
曲げ強度80±20MPa」とは、30mm×3.0mm×3.0mmtの試験片を、室温下でスパン間20mm、クロスヘッドスピ−ド2mm/minで三点曲げ試験した時の曲げ強度であり、
本発明において歯冠用修復材としては、この曲げ強度が80±20MPaの範囲内にある歯
冠用修復材であれば何でも良いことを意味するものである。また、島津社製EZ Testにこ
の機種に専用の歯形押棒矩形を装着して3点曲げ試験することが好ましい。以下の強度試験(繰返し衝撃試験、シャルピー衝撃試験)は曲げ強度80±20MPa内の曲げ強度を有
するすべての歯冠用修復材を用いて個別独立に試験することを必要とするものではなく、前記範囲内のいずれかの曲げ強度を有する歯冠用修復材を少なくとも1つを選んで行えば事足りるものである。作製した10mm×25mm×1.5mmtの試験片(歯冠用修復材層と
フレーム材層が接着した2層構造体)を森本製作所製の繰返し衝撃試験に衝撃面が歯冠用補綴材料になるように両面テープにてスパン間20mmで張り付けた後、試験片の中心を衝撃錘の先端直径5.6mm、衝撃荷重134g、落下距離10mm、繰返しサイクル56回/分の条件で衝撃を加え、歯冠用修復材からなる硬化層にひび割れが発生して破壊されるまでの衝撃回数を測定する。試験片は5個でその平均値を衝撃回数とする。
また、本発明の歯科用修復材組成物は、その硬化体を上記の方法で曲げ試験した時に、曲げ強度は30MPa以上、好ましくは40MPa以上、更に好ましくは50MPa以上で且つ破断歪みが3%以上、好ましくは4%以上、更に好ましくは5%以上であるものを使用すると耐衝撃性の向上に有効である。曲げ特性と耐衝撃性の間には、ある程度の関係があり、歯科用修復材料組成物は上記の歯冠用修復材料の硬化体の曲げ破断歪み(一般に0.5〜3%未満)を超える硬化体を形成可能なものであることが好ましい。
更に、上記した本発明の歯科用修復材組成物は、その硬化体と歯科用修復材の2層構造体を同法にて測定した衝撃回数が、1400回以上、より好ましくは1500回以上、更に好ましくは2500回以上となる組成を有しており、従来の歯科用修復材組成物と比較して、歯科用補綴材料や歯科用充填材等の歯科用修復材の機械的特性、特に耐衝撃性を飛躍的に向上させることができる。尚、上記の接着剤は繰返し衝撃回数を測定するために2層を接着させるためのものである。内装に本発明の歯科用修復材組成物、外装に歯冠用補綴材や歯科用充填材を使用してジャケット冠やインレー等を作製する場合、先ず、歯科用修復材組成物を硬化させるが、この硬化層の表層には空気でラジカルがトラップされることで形成させた未重合層が必ず存在する。この未重合層が歯科用修復材のペーストを築盛、硬化させた際の接着剤の役目を担うため、繰返し衝撃試験で使用した接着剤は実際の臨床では使用しなくても良い。また、同様の理由で歯冠裏装材として臨床適用される際の上記接着剤は使用しなくても良い。
なお、上記の耐衝撃性試験において、歯冠用修復材層を積層させず、本発明の歯科用修
復材組成物の硬化物であるフレーム材層のみにて厚さ1.5mmの試験片を形成する以外は、全く同様にした場合に測定した衝撃回数は好ましくは1400回以上、より好ましくは3000回以上、更に好ましくは5000回以上となる組成を有する。
また、耐衝撃性を測定するには、以下に示すような、シャルピー衝撃試験も利用可能である。
上記の脱泡した本発明の歯科用修復材組成物を、透明なガラス板を片面に敷いた80mm×10mm×1mmtの空隙の開いたテフロン(登録商標)モールドに充填し、硬化させる。
次いで、ガラス板の片面を外し、歯科用修復材組成物の硬化面に前記の接着剤を塗布、硬化させた後、その上に80mm×10mm×1mmtの空隙の開いたテフロン(登録商標)モー
ルドを置いて、上記条件での曲げ強度80±20MPaの歯科用修復材を充填した後、両面
に透明なガラスで覆い、再度硬化させ硬化層を形成させる。作製した80mm×10mm×2mmtの試験片(歯冠用補綴材層とフレーム材層が接着した2層構造体)を歯冠用補綴材料
面側から衝撃を加えた時のシャルピー衝撃強度(ノッチなし、フラットワイズ法)を測定する。試験片は5個でその平均をシャルピー衝撃強度とする。
本発明の歯科用修復材組成物を用いた場合、シャルピー衝撃強度は11kJ/m2を超える
値であればよく、好ましくは14kJ/m2以上、更に好ましくは16kJ/m2以上であれば、
従来の歯科用修復材組成物と比較して、歯科用補綴材料の機械的特性、特に耐衝撃性を飛躍的に向上させることができる。
なお、上記のシャルピー衝撃強度試験において、歯冠用修復材層を積層させず、本発明の歯科用修復材組成物の硬化物であるフレーム材層のみにて厚さ2mmの試験片を形成する以外は、全く同様にした場合に測定したシャルピー衝撃強度は、好ましくは11kJ/m2以上、より好ましくは15kJ/m2以上、更に好ましくは17kJ/m2以上である。
また、特定の多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を必ずしも含まず、上記の単官能性から四官能以上の重合性を含む単量体重合性単量体を含む歯科修復材組成物であっても、
(DA)この歯科用修復材組成物を用いて形成された硬化物より10mm×25mm×1.5mmtの試験片を形成する際に、
(DA1)厚さ1.5mmの前記硬化物のみより形成されたものを試験片SA1、
(DA2)前記硬化物の厚さを0.5mmにして、厚さ1.0mmtの曲げ強度80±20MPa
の歯冠用修復材を更に接着・積層したものを試験片SA2として、
該各試験片を、繰返し衝撃試験装置の試験片載置部(スパン間=20mm)に載置し、但し試験片SA2については歯冠用修復材を衝撃錘側に設定して、該各試験片に、衝撃錘の先
端の直径が5.6mm、衝撃荷重:134g、落下距離:10mm、繰返しサイクル56回/分の条件で、該各試験片に繰返し衝撃を加えたときに該試験片SA1および/又はSA2の破壊に至る衝撃回数が1400回以上であれば、本発明の機能を有するので本発明の範囲に含まれる。
更に、(DB)この歯科用修復材組成物を用いて形成された硬化物より80mm×10mm×
2mmtのノッチなしの試験片形成する際に、
(DB1)厚さ2.0mmの該硬化物のみより形成されたものを試験片SB1、
(DB2)前記硬化物の厚さを1.0mmにして、厚さ1.0mmtの曲げ強度80±20MPa
の歯冠用修復材を更に接着・積層したものを試験片SB2として、
該各試験片について、但し試験片SB2については歯冠用修復材をハンマー側に設定して
、フラットワイズ法で測定したシャルピー衝撃試験による衝撃強度が、該試験片SB1お
よび/又はSB2について11kJ/m2を越えることを特徴とする場合も同様である。
尚、フレーム材や歯冠裏装材を使用しない歯冠用補綴材料や歯科用充填材料を臨床に適
用した場合であっても、咬合圧の掛かり方や修復材の形態によってはある一定期間破折しないケースが散見する。したがって、このようなケースでは、本発明の歯科用修復材組成物をフレーム材や歯冠裏装材に適用すれば更に破折し難いことが容易に推察できる。したがって、上記の繰返し衝撃回数が1400回未満、もしくはシャルピー衝撃強度が11kJ/m2以下であっても、同じ試験体形状でフレーム材を使用していない歯冠用補綴材や歯科用充填材の単独硬化体の値よりも本発明の上記二層構造体の値の方が高く、好ましくは1.5倍以上であれば耐衝撃の向上の効果があると看做すことができる。
さらに、本発明の歯科用修復材組成物は、コンポジットレジン等の歯科用充填材の裏装材として使用することができ、歯科用充填材の機械的特性、特に耐衝撃性を改善することが可能である。
なお、上記の多官能(メタ)アクリレート化合物(A)は、本発明の歯科用修復材に限定されず、歯科用接着剤、歯科用レジンセメント、レジンモディファイドグラスアイオノマー、義歯床、窩洞ライナー、歯面コート材、知覚過敏症抑制材、デンタルマニキュアなど充填材入り歯科材料または未充填材歯科材料等、本発明の歯科用修復材用途以外のあらゆるレジン含有の歯科材料のレジン成分として使用可能である。無論、上記の多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を含むポリマーを配合した歯科材料もこの範疇に入る。
〔実施例〕
以下に、本発明の内容を実施例で具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
トリシクロデカン骨格または芳香族骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物として下記(U−1)、(U−2)、(U−3)を使用した。
化合物(U−1)
化合物(U−1)として、製品名:(UMF04)(新中村化学工業(株)製)を用いた。
この化合物(U-1)のスチレン換算の重量平均分子量は約2,900である。
構造式:
CH2=CZ1-CO2-Da-O-CONH-RRL-NHCO-Y-CONH-LRR-NHCO2-Da-O2C-Z1C=H2C
・・・(1)
上記式(1)において、Z1は、水素原子であり、Dはメチレン基であり、aは2であり、LRは、下記式(2)で表される基であり、RRLは、それの結合が左右逆のものである
Figure 0004727173
さらに、Yは下記式(6)で示される基である。
Figure 0004727173
上記式(6)中、LRは−[O(CH2)5OCO]−であり、RXLは、それの結合が左右逆のもの
であり、m+nは、2である。
化合物(U−2)
化合物(U−2)として下記構造式を有する化合物を用いた。
構造式:
CH2=CZ1-CO2-Da-O-CONH-R-NHCO-Y-CONH-R-NHCO2-Da-O2C-Z1C=H2C
・・・(1)
上記式(1)において、Z1はメチル基であり、Dはメチレン基であり、aは2であり、
Rは、上記式(2)で表される基である。
さらに、Yは下記式(7)で示される基である。
Figure 0004727173
上記式(7)中、Dはエチレン基であり、Eは−C(CH32−であり、m+nは2である。
化合物(U−3)
化合物(U−3)として、製品名:(UA−1223FM)(新中村化学工業(株)製)を用いた。
CH2=CZ1-CO2-CH2CH2-O-[CO-(CH2)5O]3-CONH-RRL-NHCO-Y-CONH-LRR-NHCO-[O(CH2)5-OC-]3-O-CH2CH2-O2C-Z1C=CH2
・・・(11)
ここで、Z1はメチル基であり、Rは上記式(2)で表される基であり、更にYは上記式(6)で表される基であり、上記式(6)中、Xは−[O(CH2)5OCO]−であり、m+nは、2である。
ポリカーボネート骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物として、下記の(U−4)、(U−5)を使用した。
化合物(U−4)
化合物(U−4)として、製品名:(UN−9000SN)(根上工業(株)製)を用いた。
CH2=CZ1-CO2-(CH(CH3)CH2)-OCONH-RRL-NHCO2-(CH2)5O2(CH2)6O[CO2(CH2)6O]nCO2(CH2)6O2CNH-LRR-NHCO2-(CH2(CH3)CH)-CO2-Z1C=CH2
・・・(12)
ここで、Z1は水素原子であり、LRRRRLは上記式(2)で表される基であり、nは3の整数である。
化合物(U−5)
化合物(U−5)として、製品名:(UN−9000SM)(根上工業(株)製)を用
いた。
構造式はU−4のZ1がメチル基に変わった以外は同様である。
その他のウレタン系(メタ)クリレート化合物(U−6)
上記以外のウレタン系(メタ)クリレート化合物として、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサンジウレタン(UDMA,製品名:SH500(根上工業(株)製))を用いた。
表1に(U−1)〜(U−5)以外に実施例及び比較例で使用した重合性単量体の一覧を示す。
Figure 0004727173
表2に実施例及び比較例で使用した重合性単量体組成物を示す。
Figure 0004727173
註)重合性単量体組成物には、重合性単量体の合計100重量部に対して、可視光線重合開始剤(カンファーキノン)0.3重量部、可視光線重合促進剤(N,N−ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル)0.3重量部を溶解してある。
〔製造例1〕
疎水化無機短繊維(MF−150)の調製
平均繊維長150μm、平均繊維径10μmのEガラスファイバー(EFH150−01:セントラル硝子(株))100gをエタノール800gに懸濁し、γ-メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン(以下、γ-METという)3g、精製水1.5gを添加して2時間還流した。溶媒をエバポレーターで除去後、窒素雰囲気下、80℃で24時間熱処理して疎水化処理し、疎水化無機短繊維(MF−150)を製造した。
〔製造例2〕
疎水化無機短繊維(MF−75)の調製
平均繊維長75μm、平均繊維径10μmのEガラスファイバー(EFH150−01:セントラル硝子(株))100gをエタノール800gに懸濁し、γ−MET3g、精製水1.5gを添加して2時間還流した。溶媒をエバポレーターで除去後、窒素雰囲気下、80℃で24時間熱処理して疎水化処理し、疎水化無機短繊維(MF−75)を製造した。
〔製造例3〕
無機酸化物粉体の疎水化処理(GM8235)
平均粒径1μmの擬球状体のバリウムガラス(GM8235:ショット社製)100gをエタノール800gに懸濁し、γ−MET3g、精製水1.5gを添加して2時間還流した。溶媒をエバポレ−タ−で除去後、窒素雰囲気下、80℃で24時間熱処理して疎水化処理(GM8235)した。
〔製造例4〕
無機酸化物粉体の疎水化処理(SM−1)
平均粒径2.4μmの擬球状体のシリカ特殊品(シリカ/ジルコニア粉体:触媒化成品工業社製)100gをエタノール800gに懸濁し、γ−MET3g、精製水1.5gを添加して2時間還流した。溶媒をエバポレ−タ−で除去後、窒素雰囲気下、80℃で24時間熱処理して疎水化処理(SM−1)した。
〔製造例5〕
ポリマーと無機酸化物の複合体の粒子の製造(TMPTフィラ−)
トリメチロールプロパントリメタクリレート60gとR972(日本アエロジル(株)製、疎水性コロイダルシリカ、一次粒子の平均粒子径:0.016μm)40gとを二軸ロールにて充分混練した後、ベンゾイルパ−オキサイド0.5gを添加して、更に混練してペースト化した。このペーストを120℃、40kg/cm2の条件で10分間熱硬化させ
た後、この硬化体を粗粉砕し、次いでボールミルにて粉砕した。粉砕品を100メッシュの篩で分級し、パスした粉体(平均粒径:7.8μm)を実験に供した。
なお、各実施例・比較例における歯冠用修復材の曲げ強度はそれぞれ以下の通りである。
30mm×3.0mm×3.0mmtの試験片を、室温下でスパン間20mm、クロスヘッドス
ピ−ド2mm/minで島津社製EZ・Testで三点曲げ試験(口紅試験治具:歯形押し棒矩形
を装着)した時の曲げ強度及び破断までの歪みは、実施例17(90MPa、7.5%)実施例18(85MPa、3.0%)、実施例19(95MPa、5.5%)、比較例4(75MPa、2.0%)、比較例15(100MPa、2.5%)であった。
乳鉢に重合性単量体組成物(M−1)を7g入れ、疎水性コロイダルシルカ(製品名:R812(日本アエロジル(株)製)、一次粒子径0.007μm)0.2gを一括で添加、混練した後、疎水化無機短繊維(MF−150)2.5gを少量ずつ混練しながら添加し、ペースト化した。ペーストを減圧下に脱泡し、気泡を除去して歯科用修復材組成物を得た。この歯科用修復材組成物を、片面に透明ガラスを下に敷いた10mm×25mm×0.5mmtの空隙の開いたテフロン(登録商標)モールドに充填した後、モリタ製作所製の
可視光線照射器(α-Light)で3分間光重合した。次に、照射面側の透明ガラスを外し、歯科用修復材組成物の硬化体の上に、メチルメタクリレート/U−3/4-メタクリロキシプロピルトリメリット酸/メチルメタクリレートとエチルメタクリレートとの共重合体粉末(藤倉化成工業(株)製:EMA35)/カンファーキノン/N,N-ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル=54.5/9.9/19.8/9.9/5.0/0.45/0.45重量%から構成される接着剤を塗布し、α-Lightで1分間光重合した後、10mm×25mm×1mmtの空隙の開いたテフロン(登録商標)モールドを置き、硬質レジン(ニュ
ーメタカラーインフィスペースト、サンメディカル(株)製(A3−B))を充填し、テフロン(登録商標)モールドの両面を透明ガラスで覆い、モリタ製作所製の可視光線照射器(α-Light)で更に3分間光重合して繰返し衝撃試験用のニューメタカラーインフィス硬化体と歯科用修復材硬化体の2層構造体からなる試験片(10mm×25mm×1.5mmt
)を作製した。
次に、この試験片を用いて図1に示すように繰返し衝撃試験を行った。図1は、繰返し衝撃試験を示す概略側面図であり、10は全体で繰返し衝撃試験機を示す。なお、繰返し衝撃試験機10としては、森本製作所(株)製を用いた。繰返し衝撃試験機10は、20mm離間して架台12,14が配置され、その上方にはSUS製の衝撃錘16が略垂直方向に設置されている。衝撃錘16は、その下端部18が直径5.6mmのドーム形状となっており、またその上端部は図示しない駆動装置によって上下運動可能に構成されている。繰返し衝撃試験は、まず架台12,14の上面に試験片を差し渡し、両面テープで接着する(スパン間20mm)。このとき、試験片は衝撃面(上面)が硬質レジン側となるように配
置する。次に、衝撃錘16を試験片上面から10mm離間させて配置し、この位置から衝撃加重134g、衝撃回数56回/分の条件で、試験片に繰返し衝撃を加える。このように
して、試験片の硬質レジンからなる硬化層にひび割れが発生して破壊されるまで衝撃試験を行い、そのときの衝撃回数を測定した。
結果を表3に示す。なお、繰返し衝撃回数は、その一の位を四捨五入して示す。
〔比較例1〕
実施例1において、重合性単量体組成物(M−1)(U−1/NPG/AM/IBMA/PDEGA=65/20/5/5/5)の代わりに、UDMAを含有する重合単量体組成物(M−4:U−6/NPG/AM/IBMA/PDEGA=65/20/5/5/5)を用いた以外は同様にして歯科用修復材組成物を調製した。そして、この歯科用修復材組成物を用いた以外は同様にして試験片を調製して衝撃強度を測定したところ、衝撃を850回かけた時点で試験片にひび割れが発生し、破壊した。
実施例1では、耐衝撃回数が2560回であり、共にウレタン系のアクリレート化合物を用いた重合性単量体組成物(M−1)と、重合単量体組成物(M−4)との間で、ウレタン系のアクリレート化合物の相違により、耐衝撃性に著しい差が生じた。結果を表3に示す。
重合性単量体組成物として、M−1の代わりにM−2を使用した以外は実施例1と同様の方法で歯科用修復材組成物を調製し、試験片を作成した。この試験片を用い衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
〔比較例2〕
重合性単量体組成物として、M−2の代わりにM−5を使用した以外は実施例1と同様の方法歯科用修復材組成物を調製し、試験片を作成した。この試験片を用い衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
重合性単量体組成物として、M−1の代わりにM−3を使用した以外は実施例1と同様
の方法で衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
〔比較例3〕
重合性単量体組成物として、M−3の代わりにM−6を使用した以外は実施例1と同様の方法で衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
〔比較例4〕
透明ガラスを片面に敷いた10mm×25mm×1.5mmtの空隙の開いたテフロン(登録
商標)モールドに硬質レジン(ニューメタカラーインフィスペースト、サンメディカル(株)製(A3−B))を充填した後、テフロン(登録商標)モールドの両面を透明ガラスで覆い、モリタ製作所製の可視光線照射器(α-Light)で3分間光重合し硬化体を得た。この硬化体を用い、実施例1と同様の方法で衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
乳鉢に重合性単量体組成物(M−1)を7g入れ、疎水性コロイダルシルカ(製品名:R812(日本アエロジル(株)製)、一次粒子径0.007μm)0.2gを一括で添加、混練した後、ホウ酸アルミニウムホイスカ(平均繊維長:10μm、平均繊維径:1.0μm、製品名:YS−4、四国化成工業(株)製)2.5gを少量ずつ混練しながら添加し、ペースト化した。ペーストを減圧下に脱泡し、気泡を除去して歯科用修復材組成物を得た。この歯科用修復材組成物を使用した以外は、実施例1と同様の方法で衝撃回数を測定した。結果を表3に示す。
乳鉢に重合性単量体組成物(M−1)を7g入れ、疎水性コロイダルシルカ(製品名:R812(日本アエロジル(株)製)、一次粒子径0.007μm)0.2gを一括で添加、混練した後、疎水化無機短繊維(MF−75)2.5gを少量ずつ混練しながら添加し、ペースト化した。ペーストを減圧下に脱泡し、気泡を除去して歯科用修復材組成物を得た。この歯科用修復材組成物を使用した以外は、実施例1と同様の方法で衝撃回数を測定した。結果を表3に示す。
〔比較例5〕
乳鉢に重合性単量体組成物(M−5)を7g入れ、疎水性コロイダルシルカ(製品名:R812(日本アエロジル(株)製))を0.1gとし、疎水化無機短繊維(MF−75)を7.1gとした以外は、実施例1と同様の方法で歯科用修復材組成物を調製し、試験片を作成した。この試験片を用い衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
〔比較例6〕
乳鉢に重合性単量体組成物(M−6)を7g入れ、疎水化無機短繊維(MF−75)を0.3gとした以外は、実施例1と同様の方法で歯科用修復材組成物を調製し、試験片を作成した。この試験片を用い衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
Figure 0004727173
乳鉢に重合性単量体組成物(M−1)を7g入れ、疎水性コロイダルシルカ(製品名:R812(日本アエロジル(株)製)、一次粒子径0.007μm)0.2gを一括で添加、混練した後、疎水化無機短繊維(MF−150)2.5gを少量ずつ混練しながら添加し、ペースト化した。ペーストを減圧下に脱泡し、気泡を除去して歯科用修復材組成物を得た。この歯科用修復材組成物を、片面に透明ガラスを下に敷いた80mm×10mm×2mmtの空隙の開いたテフロン(登録商標)モールドに充填した後、両面を透明ガラスで覆
い、モリタ製作所製の可視光線照射器(α-Light)で更に3分間光重合してシャルピー試験用の試験片(80mm×10mm×2mmt:ノッチなし)を作製した。この試験片をシャル
ピー衝撃試験機(製品名:シャルピーデジタル衝撃試験機DG−UB型(株)東洋精機製作所製)に装着し、フラットワイズ法にて衝撃強度を測定した。結果を表4に示す。
実施例6で調製した歯科用修復材組成物を、透明ガラスを片面に敷いた80mm×10mm×1mmtの空隙の開いたテフロン(登録商標)モールドに充填した後、モリタ製作所製の
可視光線照射器(α-Light)で3分間光重合した。次に、次に、照射面側の透明ガラスを外し、歯科用修復材組成物の硬化体の上に、メチルメタクリレート/U−3/4−メタクリロキシプロピルトリメリット酸/メチルメタクリレートとエチルメタクリレート共重合体粉末(藤倉化成工業(株)製:EMA35)/カンファーキノン/N,N−ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル=54.5/9.9/19.8/9.9/5.0/0.45/0.45重量%から構成される接着剤を塗布し、モリタ製作所製の可視光線照射器(α-Light)で1分間光重合した。80mm×10mm×1mmtの空隙の開いたテフロン(登
録商標)モールドを置き、硬質レジン(ニューメタカラーインフィスペースト、サンメディカル(株)製(A3−B))を充填し、両面を透明ガラスで覆った後、モリタ製作所製の可視光線照射器(α-Light)で更に3分間光重合してシャルピー衝撃試験用の試験片(80mm×10mm×2mmt:ノッチなし)作製した。この試験片を用い、実施例6と同様の
方法でシャルピー衝撃試験を実施した。結果を表4に示す。尚、衝撃はインフィス硬化面から加えた。
〔比較例7〕
重合性単量体組成物として、M−1の代わりにM−4を使用した以外は実施例6同様の方法で試験片を作製し、シャルピー衝撃試験を実施した。結果を表4に示す。
〔比較例8〕
重合性単量体組成物として、M−1の代わりにM−4を使用した以外は実施例7同様の方法で試験片を作製し、シャルピー衝撃試験を実施した。結果を表4に示す。
〔比較例9〕
片面に透明ガラスを下に敷いた80mm×10mm×2mmtの空隙の開いたテフロン(登録
商標)モールドに硬質レジン(ニューメタカラーインフィス、サンメディカル(株)製(A3−B))を充填した後、両面を透明ガラスで覆い、モリタ製作所製の可視光線照射器(α-Light)で更に3分間光重合して試験片を作製した後、シャルピー衝撃試験を実施した。結果を表4に示す。
Figure 0004727173
乳鉢に重合性単量体組成物(M−1)を7g入れ、疎水化無機短繊維(MF−150)2.5gを少量ずつ混練しながら添加し、ペースト化した。ペーストを減圧下に脱泡し、気泡を除去して歯科用修復材組成物を調製した。調整直後のペーストを使用して実施例1と同様の方法で繰返し衝撃試験を実施した結果、繰返し衝撃回数は2010回であった。なお、ペーストをガラス瓶に充填し、室温下で二週間静置した結果、MF−150がガラ
ス瓶の底に溜り、層分離が認められた。
実施例1で調整したペーストをガラス瓶に充填し、室温下で二週間静置したが、層分離は認められなかった。
〔比較例10〕
実施例1のMF−150の代わりにGM8235を使用した以外は実施例1の方法で繰返し衝撃試験を実施した。破壊までの繰返し衝撃回数は1050回であった。
実施例1の重合性単量体組成物(M−1)の代わりにM−7を使用した以外は実施例1と同法にて繰返し衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の重合性単量体組成物(M−1)の代わりにM−8を使用した以外は実施例1と同法にて繰返し衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の重合性単量体組成物(M−1)の代わりにM−9を使用した以外は実施例1と同法にて繰返し衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の重合性単量体組成物(M−1)の代わりにM−10を使用した以外は実施例1と同法にて繰返し衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の重合性単量体組成物(M−1)の代わりにM−11を使用した以外は実施例1と同法にて繰返し衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
乳鉢にM−9を5g、平均粒径7μmの疎水性シリカ(CAW−1000、(株)龍森社製)を5g及びR812を1g添加して充分混練してペースト化した。ペーストを減圧下に脱泡して気泡を除去した後、縦30mm、横3mm、高さ3mmの空隙の開いたテフロン(登録商標)モールドに充填し、モールドの両面を透明ガラスで覆った後、モリタ製作所製の可視光線照射器(α-Light)で3分間光照射した。サンプルをスパン間20mm、クロスヘッドスピ−ド2mm/minにて島津社製EZ・Testにて三点曲げ試験(口紅試験治具:歯形押し棒矩形を装着)した。結果を表5に示す。
〔比較例11〕
M−9の代わりにM−14を使用した以外は実施例15と同法にて曲げ試験した。結果を表5に示す。
乳鉢にM−12を3g入れ、R812を0.35g、RM50(疎水化アモルファスシリカ、日本アエロジル(株)製、平均一次粒子径:0.04μm)を1.75g、TMPTフィラーを4.9g、順次、添加、充分混練してペースト化した。ペーストを減圧下に脱泡して気泡を除去した後、実施例15と同法にて曲げ試験した。結果を表5に示す。
〔比較例12〕
M−12をM−13に変えた以外は、実施例16と同法でペーストを調整し、曲げ試験を測定した。結果を表5に示す。
乳鉢にM−12を3g入れ、R812を0.35g、SM−1を1.75g、TMPTフィラーを4.9g、順次、添加、充分混練してペースト化した。ペーストを減圧下に脱泡して気泡を除去した後、実施例16と同法にて曲げ試験した。結果を表5に示す。
〔比較例13〕
M−12をM−13に変えた以外は、実施例17と同法でペーストを調整し、曲げ試験を測定した。結果を表5に示す。
乳鉢にM−12を3g入れ、NAX50(疎水性アモルファスシリカ、日本アエロジル(株)製、平均一次粒子径:0.03μm)を0.6g、TMPTファイラー2.4gを順次、添加、充分混練してペースト化した。ペーストを減圧下に脱泡して気泡を除去した後、実施例13と同法にて曲げ試験した。結果を表5に示す。
〔比較例14〕
M−12をM−13に変えた以外は、実施例18と同法でペーストを調整し、曲げ試験を測定した。結果を表5に示す。
Figure 0004727173
乳鉢に重合性単量体組成物(M−1)を7g入れ、疎水性コロイダルシルカ(製品名:R812(日本アエロジル(株)製)、一次粒子径0.007μm)0.2gを一括で添加、混練した後、疎水化無機短繊維(MF−150)2.5gを少量ずつ混練しながら添加し、ペースト化した。ペーストを減圧下に脱泡し、気泡を除去して歯科用修復材組成物を得た。この歯科用修復材組成物を、片面に透明ガラスを下に敷いた10mm×25mm×1.5mmtの穴の開いたテフロン(登録商標)モールドに充填した後、もう片方の面を透明
ガラスで覆い、モリタ製作所製の可視光線照射器(α-Light)で3分間光重合して試験片(10mm×25mm×1.5mmt)を作製した。
次に、この試験片を実施例1に記載した繰返し衝撃試験機の装着し繰返し衝撃試験を行った結果6570回であった。
結果を表3に記載する。
重合性単量体組成物M−1の代わりM−2(517)を使用した以外は、実施例19と同法にて繰返し衝撃試験を実施した結果7280回であった。
結果を表3に記載する。
重合性単量体組成物M−1の代わりM−12(1223FM)を使用した以外は、実施例19と同法にて繰返し衝撃試験を実施した結果13560回であった。
結果を表3に記載する。
重合性単量体組成物M−1の代わりM−10(9000SM)を使用した以外は、実施例19と同法にて繰返し衝撃試験を実施した結果12030回であった。
結果を表3に記載する。
〔比較例15〕
重合性単量体組成物M−1の代わりM−13(UDMA)を使用した以外は、実施例19と同法にて繰返し衝撃試験を実施した結果730回であり、実施例19〜22に比べて約1/10〜1/20と極端に低い値であった。
結果を表3に記載する。
図1は、繰返し衝撃試験の実施状況を示す図である。
符号の説明
10 繰返し衝撃試験機
12,14 架台
16 衝撃錘
18 下端

Claims (12)

  1. (a1)トリシクロデカン骨格、(a2)芳香族環骨格および(a3)ポリカーボネート骨格よりなる群から選ばれる少なくとも一つの骨格、ならびに、下記式(2)で表わされる基を有する多官能ウレタン系(メタ)アクリレート化合物(A)を少なくとも一種類含む重合性単量体と、
    該重合体単量体の合計100重量部に対して、
    (B1)無機短繊維および(B2)粒子状充填材を1〜900重量部と、
    (C)重合開始剤を0.01〜10重量部とを含有することを特徴とする歯科用修復材組成物。
    Figure 0004727173
  2. 上記重合性単量体の合計100重量部中に、上記(a1)トリシクロデカン骨格、(a2)芳香族環骨格および(a3)ポリカーボネート骨格よりなる群から選ばれる少なくとも一つの骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物(A)が、5〜80重量部の量で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の歯科用修復材組成物。
  3. 上記無機短繊維(B1)の平均繊維長が5〜1000μmの範囲内にあり、かつ平均繊維径が0.1〜100μmの範囲にあり、平均繊維長/平均繊維径の比が3〜10000の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の歯科用修復材組成物。
  4. 上記粒子状充填材(B2)の平均粒子径が0.001〜100μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の歯科用修復材組成物。
  5. 上記歯科用修復剤組成物が、無機短繊維(B1)100重量部に対し、上記粒子状充填材(B2)を0.1〜50重量部の量で含有することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の歯科用修復材組成物。
  6. 上記多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を少なくとも一種類含む重合性単量体と、該重合性単量体の合計100重量部に対して、
    (B1)無機短繊維および/または(B2)粒子状充填材を10〜900重量部と、
    (C)重合開始剤を0.01〜10重量部とを含有してなり、
    該歯科用修復材組成物は、
    (DA)この歯科用修復材組成物を用いて形成された硬化物より10mm×25mm×1.5mmtの試験片について、
    (DA1)厚さ1.5mmの前記硬化物のみより形成された試験片を試験片SA1、
    (DA2)前記硬化物の厚さを0.5mmにして、厚さ1.0mmtの曲げ強度80±20MPaの歯冠用修復材を更に接着・積層した試験片を試験片SA2として、
    該各試験片を、衝撃錘を有する繰返し衝撃試験装置の試験片載置部(スパン間=20mm)に載置して、但し試験片SA2については歯冠用修復材を衝撃錘側に設定して、該各試験片に、衝撃錘の先端の直径が5.6mm、衝撃荷重:134g、落下距離:10mm、繰返しサイクル56回/分の条件で、該各試験片に繰返し衝撃を加えたときに該試験片SA1および/または該試験片SA2の破壊に至る衝撃回数が1400回以上となる組成を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかの項記載の歯科用修復材組成物。
  7. (DB)上記歯科用修復材組成物を用いて形成された硬化物より80mm×10mm×2mmtのノッチなしの試験片について、
    (DB1)厚さ2.0mmの該硬化物のみより形成された試験片を試験片SB1、
    (DB2)前記硬化物の厚さを1.0mmにして、厚さ1.0mmtの曲げ強度80±20MPaの歯冠用修復材を更に接着・積層した試験片を試験片SB2として、
    該各試験片について、但し試験片SB2については歯冠用修復材をハンマー側に設定して、フラットワイズ法で測定したシャルピー衝撃試験により衝撃強度を測定したときに、該試験片SB1の衝撃強度および/または試験片SB2の衝撃強度が、11kJ/m2を超える組成を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかの項記載の歯科用修復材組成物。
  8. 上記歯科用修復材組成物が、支台歯の表面に歯冠材を装着する際に、支台歯と歯冠材との間に形成されるフレーム材であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項記載の歯科用修復材組成物。
  9. 上記歯科用修復材組成物が、歯冠裏装材を形成するものである請求項1〜7の何れかの項記載の歯科用修復材組成物。
  10. 上記(a1)トリシクロデカン骨格または(a2)芳香族環を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が次式(1)で表される構造を有することを特徴とする請求項1項に記載の歯科用修復材組成物;
    CH2=CZ1-CO2-Da-OCONH-R-NHCO-Y-CONH-R-NHCO2-Da-O2C-Z1C=H2C
    ・・・(1)
    (ただし、上記式(1)において、Z1は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、Dは、−(CH2)−、−(CH2CHR1)−および−(CHR1CH2)−よりなる群から選ばれるいずれかの基であり(R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)、aは、それぞれ独立に、1〜10の整数を示し、Rは、それぞれ独立に、下記式(2)〜(5)で表わされるいずれかの基であり、
    Figure 0004727173
    Yは、下記式(6)で示されるトリシクロデカン骨格、または、下記式(7)で示される芳香族環骨格を有する基である;
    Figure 0004727173
    (上記式(6)において、Xは、−O−または−[O(CH2)5OCO]−であり、m+n=2〜10の整数を示す。]
    Figure 0004727173
    (上記式(7)において、Dは、−(CH2)−、−(CH2CHR1)−および−(CHR1CH2)−のいずれかであり(R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)、更にEは、炭素数1〜4のアリキリデン基、シクロヘキシリデン基、−O−,−S−、−SO2−および−CO−よりなる群から選ばれる基または原子であり、m+n=2〜10の整数を示す。))。
  11. 上記(a1)トリシクロデカン骨格または(a2)芳香族環を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が次式(8)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の歯科用修復材組成物;
    CH2=CZ1-CO2-Da-O-[CO-DaO]b-CONH-RNHCO-Y-CONH-R-NHCO-[ODa-OC-]b-O-Da-O2C-Z1C=CH2 ・・・(8)
    (ただし、上記式(8)において、Z1は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、Dは、―(CH2)−、−(CH2CHR1)−および−(CHR1CH2)−よりなる群から選ばれるいずれかの基であり(R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)、aおよびbは、それぞれ独立に、1〜10の整数を示し、Rは、それぞれ独立に、上記式(2)〜(5)で表わされるいずれかの基であり、
    さらにYは上記式(6)または上記式(7)で表される基である。)。
  12. 上記(a3)ポリカーボネート骨格を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が次式(9)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の歯科用修復材組成物;
    CH2=CZ1-CO2-Da-O2CNH-R-NHCO2Da-CO2Da-O-[CO2-Da-O]bCO2-Da-O2CNH-R-NHCO2-Da-CO2-Z1C=CH2 ・・・(9)
    (ただし、上記式(9)において、Z1は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、Dは、−(CH2)−、−(CH2CHR1)−および−(CHR1CH2)−よりなる群から選ばれるいずれかの基であり(R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)、さらに、aおよびbは、それぞれ独立に1〜10の整数を示し、Rは、それぞれ独立に、上記式(2)〜(5)で表わされる何れかの基を表す。)。
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