JP6081865B2 - 歯科修復用キット - Google Patents

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Description

本発明は歯科医療分野において、歯の窩洞部分に充填される充填修復材と、該充填修復材を歯質にしっかりと接着固定するために使用される前処理剤とからなる歯科修復用キットに関するものである。
齲蝕等により歯質が損傷を受けた場合において、損傷による窩洞が比較的小さいときには、一般に、審美性、操作の簡略性や迅速性の点から、充填修復材或いはコンポジットレジンとも呼ばれる重合性材料が使用されている。
ところで、充填修復材は、歯質への接着性を有していないため、重合性組成物からなる接着材を用い、充填修復材を施す窩洞部に接着材を塗布し硬化させ、この硬化物上に充填修復材を施して硬化させるという手段により、充填修復材を歯質に接着させるという手段が採用されていた。
このような接着材として使用される重合性組成物は、通常、主成分である重合性単量体としてメタクリレート系単量体を含んでおり、光重合により重合硬化するように設計されているが、その歯質への接着力は十分ではない。即ち、このような接着材の硬化物上に充填修復材を施して硬化させると、この充填修復材の重合収縮が大きく、充填修復材と接着材との界面に大きな引っ張り応力が生じ、このような引っ張り応力に打ち勝つだけの接着強さが得られず、このため、充填修復材の脱落などを生じ易く、この接着強さを向上させるため、種々の手段が提案されている。
充填修復材の歯質に対する接着強さを高めるための手段として、最もポピュラーなものは、前処理剤(プライマー)を用いるというものである。この前処理剤は、歯質をエッチングし、さらには歯質中に浸透し得る酸成分を含有するものであり、前処理剤を歯の窩洞部に施した後、上述した接着材を施し、さらに、その上に充填修復材を施すというものである。
最近では、前処理剤による作業を省略することを目的として、特許文献1及び2には、酸性基含有重合性単量体が水と共存している接着材組成物が提案されている。
このような接着材組成物は、酸性基含有重合性単量体がプライマーとしての機能を有しており、これが歯質中に浸透している状態で重合硬化が行われ、この上に充填修復材が施されて重合硬化が行われることとなる。このような手法によれば、接着材組成物が前処理剤も兼ねているため、前処理剤を塗布するという作業を省略し、操作を簡略できるばかりか、歯質に対する接着強さを向上させることができるというものである。
しかしながら、このような接着材組成物を用いた場合にも、充填修復材の大きな重合収縮による接着強さの低下の問題は残されている。
また、さらに接着作業が簡略された手法も提案されており、例えば特許文献3には、(a)酸性基含有ラジカル重合性単量体、(b)第4周期の遷移金属化合物及び(c)水を含む前処理剤(A)と、(d)酸性基を有さないラジカル重合性単量体、(e)有機過酸化物、(f)光重合開始剤及び(g)シリカ系無機フィラーを含む充填修復材(B)とからなる歯科用充填修復キットが、本出願人により提案されている。
この充填修復キットでは、前処理剤を施した後、充填修復材を施し、光照射により、前処理剤と充填修復材との重合硬化を一段で行うというものであり、充填修復材の接着作業が簡略化されている。しかも、この場合には、前処理剤に配合されている遷移金属化合物と、充填修復材に配合されている有機過酸化物とがラジカル重合開始剤として機能するため、前処理剤と充填修復材との界面近傍では、光重合と共に化学重合も進行し、この結果、充填修復材の接着強さが高められるようになっている。
しかしながら、このような手法においても、依然として充填修復材の大きな重合収縮による接着強さの低下の問題は完全には解決されていない。
一方、特許文献4には、極めて特殊な複素環構造を有する多環状硫化アリルをモノマーとして含む歯科材料が提案されており、この歯科材料は充填修復材として使用することができるものである。
この歯科材料では、重合収縮が緩和されており、高い接着強さを期待できるのであるが、極めて特殊なモノマーを使用しなければならず、モノマー種が制限されるという欠点がある。さらに、重合収縮は緩和されているのであるが、その分、硬化物がルーズなものとなり、強度低下を引き起こすという欠点もあり、やはり、重合収縮による問題を根本的に解決するには至っていないのが現状である。
特開2004−352698号公報 特開平9−263604号公報 特開2009−167132号公報 特開2007−224024号公報
従って、本発明の目的は、前処理剤と歯科修復材とからなり、歯科修復材の歯の窩洞部への接着固定を簡略された操作で行うことができると同時に、歯科修復材の硬化時の重合収縮による接着強さの低下を有効に回避することができ、しかも、高強度の硬化物(即ち修復材)を形成することが可能な歯科修復用キットを提供することにある。
本発明によれば、前処理剤(A)と充填修復材(B)とからなり、化学重合開始剤として、第4周期遷移金属化合物と有機過酸化物との組み合わせが使用されている歯科修復用キットにおいて、
前記前処理剤(A)は、少なくとも酸性基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体を含んでいる(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)、水(a2)、水溶性有機溶媒(a3)、前記化学重合開始剤の一方の成分(a4)及びラジカル連鎖移動剤(a5)を含有しており、
前記充填修復材(B)は、非酸性(メタ)アクリル系重合性単量体(b1)、無機充填剤(b2)、前記化学重合開始剤の他方の成分(b3)及び光重合開始剤(b4)を含有していることを特徴とする歯科修復用キットが提供される。
本発明の歯科修復用キットにおいては、
(1)前記ラジカル連鎖移動剤(a5)は、(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)100質量部当り0.01乃至3質量部の量で前処理剤(A)に配合されていること、
(2)前記前処理剤(A)に配合されている化学重合開始剤成分(a4)が第4周期遷移金属化合物であり、(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)100質量部当り0.001乃至10質量部の量で該前処理剤(A)に配合されており、前記充填修復材(B)に配合されている化学重合開始剤成分(b3)が有機過酸化物であり、非酸性(メタ)アクリル系重合性単量体(b1)100質量部当り0.01乃至20質量部の量で該充填修復材(B)に配合されていること、
が好ましい。
本発明は、ラジカル連鎖移動剤(以下、単に連鎖移動剤と呼ぶことがある)を利用して、充填修復材(B)の重合収縮により前処理剤(A)と充填修復材(B)との界面に生じる応力を緩和することにより、この重合収縮による接着強さの低下を有効に抑制するというものである。
即ち、連鎖移動剤は、ラジカル重合に際して、重合により成長しているポリマー鎖からラジカルを一旦受け取る。ラジカルを受け取った連鎖移動剤は、ポリマーの成長を停止させるが、再びモノマーを攻撃してモノマーのラジカルを形成させ、再び重合を開始させるという性質を有している。このことから理解されるように、重合を停止させる重合禁止剤とは異なるが、一旦、ポリマー鎖の成長を止めるため、重合を遅延させるという機能を有している。
ところで、本発明の歯科修復用キットでは、歯の窩洞部に前処理剤(A)を施し、その上に充填修復材(B)が施され、充填修復材(B)中の(b4)が前処理剤(A)中に浸透していき、この状態で光を照射することにより、前処理剤(A)の重合硬化と充填修復材(B)の重合硬化を生じるが、同時に、前処理剤(A)に配合された一方の化学重合開始剤成分(a4)と充填修復材(B)に配合された他方の重合開始剤成分(b3)とが接触するため、特に、充填修復材(A)を前処理時(A)上に施した瞬間から、前処理剤(A)と充填修復材(B)との界面部分を起点として化学重合が開始することとなる。
本発明で生じる化学重合は、前述した特許文献3のような連鎖移動剤を用いない化学重合とは異なり、重合が緩やかに進行する。即ち、充填修復材(B)を前処理剤(A)上に施した時から、緩やかなラジカル重合が開始し界面部分にゴム状の重合物(あるいは後の操作の光照射によりゴム状の重合物となる前駆体)が生成する。従って、この後に、光照射による光重合を行うと、前処理剤(A)との充填修復材(B)との界面部分にゴム状の重合物(あるいはゴム状の重合物の前駆体)が生成している状態で光重合が進行していくこととなり、この結果、充填修復材(B)の重合収縮による応力が緩和され、このような重合収縮による接着強さの低下が有効に抑制され、充填修復材(B)の硬化物と歯質との間に大きな接着強さを確保することが可能となる。
なお、特許文献3のような通常のラジカル重合は、連鎖移動剤を用いるラジカル重合と比べ重合が速く、光照射の際には、界面部分がゴム状の物性を示さないほどに硬化が進み、充填修復材の重合収縮に耐えることが出来ない程度になっているものと考えられる。
このように、本発明によれば、連鎖移動剤(a5)の使用により、前処理剤(A)と充填修復材(B)との界面に生じる応力を緩和し、前処理剤(A)からの充填修復材(B)の剥がれを有効に防止し、歯質に対して優れた歯質に対する大きな接着強さを得ることができるのである。しかも、本発明においては、格別特殊な重合性単量体を使用する必要はなく、しかも、充填修復材(B)の重合収縮自体を抑制するものではないため、形成される充填修復材(B)の硬化物(即ち、歯の修復材)の強度低下も回避されており、公知の手段と同様、高強度の修復材を形成することができる。
本発明の歯科修復用キットは、齲蝕等により生じた歯の窩洞部分に施される前処理剤(A)と、この前処理剤(A)の上に施され、重合硬化により高強度の修復材を形成する充填修復材(B)とからなるものであるが、化学重合開始剤が、前処理剤(A)と充填修復材(B)とに分けて配合され、前処理剤(A)と充填修復材(B)とが接触することにより、その界面部分で化学重合が開始するように構成されている。
<化学重合開始剤>
本発明においては、上記の化学重合開始剤として、第4周期遷移金属化合物と有機過酸化物との組み合わせが使用される。即ち、第4周期遷移金属化合物と有機過酸化物とが反応し、有機過酸化物が開裂してラジカルが生成し、このラジカルを開始点としてラジカル重合が開始するわけである。
このような第4周期遷移金属化合物と有機過酸化物との組み合わせの化学重合開始剤は従来公知であり、それ自体公知のものが使用される。
例えば、第4周期遷移金属化合物において、第4周期の遷移金属とは、周期表第4周期の3〜12族の金属元素であり、具体的には、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)である。
これらの遷移金属元素は、各々が複数の価数を取りうるが、安定に存在できる価数のもの、例えば、Sc(III)、Ti(IV)、V(III〜V)、Cr(II、III、VI)、Mn(II〜VII)、Fe(II、III)、Co(II、III)、Ni(II)、Cu(I、II)、Zn(II)の化合物が、有機過酸化物と組み合わされて化学重合開始剤として使用される。
このような第4周期遷移金属化合物の具体例としては、ヨウ化スカンジウム(III)、塩化チタン(IV)、チタニウム(IV)テトライソプロポキシド、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、クロム酸(VI)、クロム酸塩(VI)、酢酸マンガン(II)、ナフテン酸マンガン(II)、酢酸鉄(II)、塩化鉄(II)、酢酸鉄(III)、塩化鉄(III)、酢酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト(II)、塩化ニッケル(II)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(II)、酢酸銅(II)、塩化亜鉛(II)、酢酸亜鉛(II)等を挙げることができ、これらは、単独でも2種以上の組み合わせでも使用することができる。
これらの中でも、V(IV、V)、Mn(II)、Fe(II、III)、Co(II)の化合物が好ましく、中でもより高い接着強さが得られることから、+IV及び/又は+V価のバナジウム化合物がより好ましく、最も好ましくいものは+IV価のバナジウム化合物である。
また、上述した遷移金属化合物と組み合わせる有機過酸化物の具体例としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリールパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネートに分類される各種過酸化物を挙げることができる。以下に、その具体例を例示する。
(ケトンパーオキサイド類)
メチルエチルケトンパーオキサイド;
シクロヘキサノンパーオキサイド;
メチルシクロヘキサノンパーオキサイド;
メチルアセトアセテートパーオキサイド;
アセチルアセトンパーオキサイド;
(パーオキシケタール類)
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン;
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン;
2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;
n−ブチル 4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート;
2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン;
(ハイドロパーオキサイド類)
P−メンタンハイドロパーオキサイド;
ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド;
1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド;
クメンハイドロパーオキサイド;
t−ヘキシルハイドロパーオキサイド;
t−ブチルハイドロパーオキサイド;
(ジアリールパーオキサイド)
α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン;
ジクミルパーオキサイド;
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;
t−ブチルクミルパーオキサイド;
ジ−t−ブチルパーオキサイド;
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3;
(ジアシルパーオキサイド類)
イソブチリルパーオキサイド;
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド;
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド;
オクタノイルパーオキサイド;
ラウロイルパーオキサイド;
ステアリルパーオキサイド;
スクシニックアシッドパーオキサイド;
m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド;
ベンゾイルパーオキサイド;
(パーオキシジカーボネート類)
ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート;
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート;
ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート;
ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート;
ジー2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート;
ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート;
ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート;
(パーオキシエステル類)
α,α−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン;
クミルパーオキシネオデカノエート;
1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート;
1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート;
t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート;
t−ブチルパーオキシネオデカノエート;
t−ヘキシルパーオキシピバレート;
t−ブチルパーオキシピバレート;
1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート;
2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン;
1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート;
t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート;
t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート;
t−ブチルパーオキシイソブチレート;
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート;
t−ブチルパーオキシマレイックアシッド;
t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート;
t−ブチルパーオキシラウレート;
2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン;
t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート;
t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート;
t−ヘキシルパーオキシベンゾエート;
2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン;
t−ブチルパーオキシアセテート;
t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート;
t−ブチルパーオキシベンゾエート;
ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート;
上述した有機過酸化物は、何れも1種単独で使用することができ、また、2種以上を混合して使用することもできる。これらの中でも、保存安定性の観点から10時間半減期温度が60℃以上のものを用いるのが望ましい。
本発明において、上述した遷移金属化合物と有機過酸化物との組み合わせからなる化学重合開始剤は、一方を前処理剤(A)、他方を充填修復材(B)に分けて配合される。何れの組み合わせも採用することができるが、特に、保存安定性の観点から、遷移金属化合物を前処理剤(A)に配合し、有機過酸化物を充填修復材(B)に配合する態様が好適である。即ち、有機過酸化物を前処理剤(A)中に配合する態様では、前処理剤(A)が酸性であるため、ゲル化を生じ易くなるからである。
また、このような化学重合剤の使用量は、前処理剤(A)の上に遷移金属化合物を施したとき、両者の界面部分で一定量の遷移金属化合物と有機過酸化物とが接触するようにすればよい。
<前処理剤(A)>
本発明において用いる前処理剤(A)は、基本成分として、少なくとも酸性基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体を含んでいる(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)、水(a2)、水溶性有機溶媒(a3)、前述した化学重合開始剤の一方の成分(a4)及びラジカル連鎖移動剤(a5)を含有している。
(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1);
本発明において、前処理剤(A)中の(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)は、重合により硬化してコンポジットレジンとも呼ばれる充填修復材(B)に対する接着性を付与するために使用される成分であるが、エナメル質に対するエッチング性(脱灰性)や象牙質に対する浸透性を確保するために、かかる単量体(a1)には、少なくとも酸性基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体(以下、単にアクリル系酸性モノマーと呼ぶ)を含有していることが必要である。即ち、このような酸性モノマーが窩洞内の歯質中に深く食い込み、この結果、高い接着強さを確保することができる。
上記のアクリル系酸性モノマーは、その水溶液或いは水懸濁液が酸性を呈する性質のものであり、1分子中に少なくとも1つの酸性基と(メタ)アクリル系の重合性不飽和基とを有する。
アクリル系酸性モノマーが有する酸性基は、前述したラジカル重合を阻害しない限り、特に制限されず、例えば、カルボキシル基(−COOH)或いはその無水物、スルホ基(−SOH)、ホスフィニコ基{=P(=O)OH}、ホスホノ基{−P(=O)(OH)}等が代表的である。
また、(メタ)アクリル系重合性不飽和基も特に制限されず、(メタ)アクリロイル基のみならず、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基等の(メタ)アクリロイル基の誘導体基であってよい。
このような(メタ)アクリル系酸性モノマーの使用は公知であり、本発明においては、例えば特開2009−167132号公報に詳述されている何れのものも使用することができる。特に好適に使用される(メタ)アクリル系酸性モノマーを以下に示す。
尚、以下に示す例示化合物において、R、R’及びR”は、それぞれ、水素原子又はメチル基を示す。
Figure 0006081865
Figure 0006081865
Figure 0006081865
Figure 0006081865
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本発明において、上述した(メタ)アクリル系酸性モノマーは、1種単独或いは2種以上の組み合わせで使用されるが、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体成分(a1)の全てが酸性モノマーである必要はなく、通常は、一般に使用されている酸性基を有していない(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(以下、非酸性(メタ)アクリル系モノマーと呼ぶ)と併用される。
例えば、上記の(メタ)アクリル系酸性モノマーは、全(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体成分(a1)100質量部中に、5質量部以上、特に10乃至80質量部の量で含まれていればよい。この量が少ないと、酸性モノマーによる歯質に対するエッチング性や浸透性が不満足となり、歯質に対する接着強さが不満足となり易い。また、必要以上に多量の(メタ)アクリル系酸性モノマーを使用しても、一定以上の接着強さの向上は認められず、むしろコスト高になってしまうからである。
また、非酸性(メタ)アクリル系モノマーは、この種の前処理剤に通常使用されているものであり、これに限定されるものではないが、一般に、以下のモノ(メタ)アクリレート系単量体及び多官能(メタ)アクリレート系単量体を、1種単独或いは2種以上の組み合わせで使用される。
1.モノ(メタ)アクリレート系単量体;
メチル(メタ)アクリレート
エチル(メタ)アクリレート
グリシジル(メタ)アクリレート
2−シアノメチル(メタ)アクリレート
ベンジル(メタ)アクリレート
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート
アリル(メタ)アクリレート
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
グリシジル(メタ)アクリレート
3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
グリセリルモノ(メタ)アクリレート
2−(メタ)アクリルオキシエチルアセチルアセテート
2.多官能(メタ)アクリレート系単量体;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート
ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート
2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン
2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]
プロパン
2,2’−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロ
ポキシ]フェニル}プロパン
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
ウレタン(メタ)アクリレート
エポキシ(メタ)アクリレート
水(a2);
本発明においては、上述した(メタ)アクリル系酸性モノマーを含む(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)と共に、水が配合される。
即ち、この前処理剤(A)が施される口腔内環境にはある程度の水分が存在しているが、水が配合されていないと、(メタ)アクリル系酸性モノマーによる脱灰(エッチング)が不十分となり、高い接着強さを得ることが困難となる。
このような前処理剤(A)中の水の配合量は、(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)100質量部当り、3〜150質量部、特に5〜100質量部の範囲とするのがよい。この量が少ないと、脱灰が不十分となり、接着強さが低くなる傾向があり、また、必要以上に多量の水の使用は、硬化不良の原因となったり、また、硬化の作業性を低下させることになる。即ち、この前処理剤(A)は、これを窩洞部に施した後、エアブロー等により水を除去した後、充填修復材(B)の塗布及び硬化が行われるが、前処理剤(A)中に水が多量に含まれていると、エアブローによる水の除去が困難となるおそれがあるからである。
水溶性有機溶媒(a3);
本発明においては、前処理剤(A)の粘度を調整し、さらには前述した重合性単量体成分(a1)を均一に分散させるために、水溶性有機溶媒が使用される。この水溶性有機溶媒としては、除去性や水に対する溶解性を考慮して、760mmHgでの沸点が100℃以下であり、且つ20℃において1.0KPa以上の蒸気圧を有しており、さらに、20℃における水への溶解度が20g/100ml以上のものが使用される。
このような揮発性の水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどを挙げることができ、これら有機溶媒は必要に応じ複数を混合して用いることも可能である。一般的には、生体に対する毒性を考慮して、エタノール、イソプロピルアルコール及びアセトンが好適に使用される。
このような水溶性有機溶媒の配合量は、用いる(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)の種類や量によっても異なるが、一般的には、該単量体(a1)100質量部当り2〜400質量部、特に5〜100質量部が好適である。
なお、これらの水溶性有機溶媒も、前記水と同様に、前処理剤(A)を歯面に塗布した際に、充填修復材(B)を施す前にエアブローすることにより除去される。
化学重合開始剤成分(a4);
本発明においては、前述した化学重合開始剤中の一方の成分、具体的には、遷移金属化合物及び有機過酸化物の何れか一方が、前処理剤(A)中に配合される。即ち、この一方の化学重合開始剤成分(a4)が、後述する充填修復材(B)中に配合された他方の化学重合開始剤成分(b3)と接触することにより、両者が反応してラジカルが生成し、ラジカル重合が始まるわけである。
このような化学重合開始剤成分(a4)は、前処理剤(A)の上に遷移金属化合物を施したとき、両者の界面部分で一定量の遷移金属化合物と有機過酸化物とが接触するような量で使用される。その具体的な量は、前処理剤(A)や充填修復材(B)の使用量が歯の窩洞の大きさに応じて異なるため一概に規定することはできないが、一般的には次のような範囲とするのがよい。
即ち、化学重合開始剤成分(a4)として遷移金属化合物を使用する場合には、前述した(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)100質量部当り0.001〜10質量部、特に0.05〜3質量部の範囲が好適である。
また、化学重合開始剤成分(a4)として有機過酸化物を使用する場合には、(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)100質量部当り0.01〜5質量部、特に0.02〜2質量部の範囲で使用するのがよい。
化学重合開始剤の使用量は所謂触媒量といってよく、前処理剤(A)と充填修復材(B)との界面で極めて少量の化学重合開始剤成分(a4)、(b3)同士が接触していればよく、上記のように量設定していれば、界面での接触量を十分に確保することができるからである。
尚、本発明においては、先に述べたように、保存安定性の観点から、化学重合開始剤成分(a4)としては遷移金属化合物を使用することが好適である。
ラジカル連鎖移動剤(a5);
ラジカル連鎖移動剤(a5)は、成長ポリマー鎖からラジカルを受け取り連鎖移動反応を引き起こすための成分であり、先に述べたように、かかる成分を前処理剤(A)中に配合することにより、前処理剤(A)と充填修復材(B)との界面部分での充填修復材(B)の急激な重合硬化を緩和し、この下面部分での重合を充填修復材(B)の急激な重合に追随させ、急激な重合硬化に伴う大きな重要収縮による応力を緩和することが可能となる。
このようなラジカル連鎖移動剤としては、例えば、下記式(1)〜(3)で表されるフェニル含有モノオレフィンや下記式(4)で表されるチオカルボニルチオ化合物が好適に使用される。なお、チオカルボニル化合物とはS=C−S−構造を有する化合物を意味する。
フェニル含有モノオレフィン:
Figure 0006081865
Figure 0006081865
Figure 0006081865
式中、Rは、水素またはアルキル基であり、R2は水素、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、エステル基であり、Phは置換あるいは非置換のフェニル基であり、m=0または1、n=0〜3の整数、l=0〜5の整数である。
なお、上記一般式(1)〜(3)の炭素−炭素二重結合は幾何異性体(シス、トランス)が存在する。
このようなフェニル含有モノオレフィンの中でも、以下のものが好適である。
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイマー);
3,5−ジフェニル−5−メチル−2−へプテン;
2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチル−1−へプテン;
3,5,7−トリフェニル−5−エチル−7−メチル−2−ノネン;
1,3−ジフェニル−1−ブテン;
2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン;
3,5−ジフェニル−5−メチル−3−へプテン;
1,1−ジフェニルエチレン;
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン;
2−フェニル−1−プロペン;
1,3−ジフェニル−1−ブテン;
チオカルボニルチオ化合物(S=C−S−を含有する化合物):
Figure 0006081865
式中、Aは、硫黄原子、酸素原子またはフェニレン基であり、
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基
、ピリジン基、ピリミジン基、ピペリジン基、ポリエーテル基であり、前記ア
ルキル基又はフェニル基は、水酸基、シアノ基、アルコキシド基、エステル基
、イミド基、カルボキシル基、エーテル基、フェニル基、フルオロフェニル基
より選択される一又は二以上の基を有していてもよく、R、Rは互いに結合
して5〜7員環を形成していてもよく、
nは、0または1の数であり、Aが酸素原子或いは硫黄原子であるとき、nは
0である(即ち、Rは存在しない)。
このようなチオカルボニルチオ化合物の代表例は、次のとおりである。
2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカーボネート
4−シアノ−4−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)]ペンタン酸
ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル−(4−シアノ−4−ペンタノエート
ドデシルトリチオカーボネート)
2−フェニル−2−プロポキシベンゾチアネート
4−シアノ4−(フェニルカルボノチオイルチオ)ペンタン酸−N−スクシイミド
エステル
シアノメチルジフェニルカルバルノジチオネート
2−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)−2−メチルプロピオン酸−ペンタフ
ルオロエステル
ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル−2−(ドデシルチオカルボノチオイ
ルチオ)−2−メチルプロピオン酸
また、上記以外にも、例えば下記一般式(5)或いは(6)で表される化合物もラジカル連鎖移動剤として好適に使用することができる。
Figure 0006081865
Figure 0006081865
上記式中、R〜R12は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基で
あり、RとRとは互いに結合して5〜7員環を形成していてもよい。
このような化合物の具体例としては、以下のものを挙げることができる。
N−ターシャリ−ブチル−N(2−メチル−1−フェニルプロピル−O−(1−フ
ェニルエチル)ヒドロキシルアミン;
N−ターシャリ−ブチル−O−(1−(4−(クロロメチル)フェニル)エチル)
−N−(2−メチル−1−フェニルプロピル)ヒドロキシルアミン;
2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド;
(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)−オキシルラジカル(T
EMPO);
4−メタクリルオキシ−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)
−オキシル;
2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド(
TIPNO);
N−ターシャリ−ブチル−N−(1−ジエチルホスホノ−(2、2−ジメチルプロ
ピル))ニトロキシド;
N−ターシャリ−ブチル−N−(1−ターシャリ−ブチル−2−エチルスルフィニ
ル)プロピルニトロキシド
2,2,10,10−テトラエチルイソインドリン−N−オキシル
本発明において、上記のラジカル連鎖移動剤(a5)は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を混合して使用することもできる。また、上記で例示したラジカル連鎖移動剤(a3)の中では、フェニル基含有モノオレフィンが好ましく、特に入手の容易さから、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイマー)が最も好適である。
上述したラジカル連鎖移動剤(a5)は、一般に、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)100質量部当り、0.01〜3質量部、特に0.03〜2.5質量部、最も好ましくは0.05〜2質量部の量で使用される。この使用量が少ないと、重合速度を緩和するというラジカル連鎖移動剤(a5)の特性が十分に発現されず、この結果、前処理剤(A)と充填修復材(B)との界面に発生する重合収縮による応力を有効に緩和することができず、充填修復材(B)の剥離などを生じ易くなり、歯質に対して高い接着強さを得ることが困難となる。また、この使用量が必要以上に多いと、必要以上に重合が遅延してしまい、得られる硬化体の物性も低下する傾向にある。
さらに、このラジカル連鎖移動剤(a5)を、前処理剤(A)でなく、充填修復材(B)に配合した場合にも、充填修復材(B)の重合硬化が大幅に遅延してしまい、硬化体の物性低下を引き起こしてしまうため、この連鎖移動剤(a5)は、前処理剤(A)に配合しなければならない。
上述した前処理剤(A)には、上述した各成分以外にも歯科分野で公知の種々の配合剤を含んでいてよい。
例えば、この前処理剤(A)のpHを一定の領域に保持し、酸性モノマーによる脱灰を安定に確保するためのpH調整剤を配合することができる。例えば、pH調整剤により、前処理剤(A)のpHを4.8以下、特に0.5〜4.0、特に好ましくは1.0〜3.0の範囲に調整することにより、前処理剤(A)の脱灰作用を最大限に発揮させ、高い接着強さを確保することができる。
このようなpH調整剤としては、クエン酸、酒石酸、フッ化水素酸、マロン酸、グリコール酸、乳酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、メトキシ酢酸等が代表的である。
尚、前処理剤(A)のpHは、前処理剤を10質量%の濃度でエタノールに混合し、中性リン酸塩pH標準液(pH6.86)とフタル酸塩pH標準液(pH4.01)で校正したpH電極を用いたpHメーターにより、25℃で測定した値である。希釈に用いるエタノールは純度が99.5%以上であり、該エタノール単独のpH値が4.8〜5.0であればよい。
また、前処理剤(A)の保存安定性を高め、長期保存時のゲル化を防止するために、重合禁止剤を配合することもできる。このような重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−ターシャリーブチルクレゾール等が挙げられる。当該重合禁止剤の一般的な配合量は、接着強さに著しい影響を与えず、しかも前述したラジカル重合に悪影響を及ぼさない程度の量であり、通常、全重合性単量体(a1)100質量部当り、5質量部以下、特に0.001〜1質量部程度である。
さらに、上記以外にも、例えばフルオロシリケートガラスなどの多価イオン放出性フィラーなどを適宜配合し、酸性モノマーとのイオン架橋を形成させ、歯質に対する接着強さを高めることもできるし、その他、増粘剤、紫外線吸収剤、染料、顔料等を重合阻害を生じせしめない程度の量で配合することができる。
<充填修復材(B)>
本発明の充填修復キットにおいて、上述した前処理剤(A)と共に使用される充填修復材(B)は、コンポジットレジンとも呼ばれ、非酸性(メタ)アクリル系重合性単量体(b1)、無機充填剤(b2)、前記化学重合開始剤の他方の成分(b3)及び光重合開始剤(b4)を必須成分として含む。
非酸性(メタ)アクリル系重合性単量体(b1);
この重合性単量体(b1)は、前処理剤の項で説明した非酸性モノマーと同じである。
好適には、接着性及び取り扱い易さの点で、メタクリロイルオキシ基またはアクリロイルオキシ基を有する単量体が使用され、特に、前処理剤(A)中に浸透し易いことから、水溶性で単官能性のもの、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが最適である。
また、接着耐久性の観点から、非水溶性で多官能の単量体も好適であり、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン等も好適に使用される。
これらのラジカル重合性単量体(b1)(非酸性モノマー)は、1種単独で使用されてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
無機充填剤(b2);
充填修復材(B)中の無機充填剤(b2)は、この充填修復材(B)の硬化物に機械的強度や耐水性を付与するために使用されるものであり、従来公知のものが使用される。
この無機充填剤の例としては、ヒュームドシリカや、ヒュームドシリカ以外のシリカ、ジルコニア、チタニア、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニアなどを挙げることができる。
また、このような無機充填剤は、それ自体公知のものと同様、シランカップリング剤とうにより表面処理されていてもよい。即ち、無機充填剤を表面処理することによって疎水化し、上記のラジカル単量体(b1)との親和性を高め、より一層の機械的強度や耐水性の向上を図ることができる。
無機充填剤の配合量は、特に制限されるものではないが、一般的には、充填修復材(B)中のラジカル単量体(b1)100質量部当り、30乃至900質量部、特に70乃至700質量部の範囲が好適である。
化学重合開始剤成分(b3);
この充填修復材(B)には、前述した化学重合開始剤中の他方の成分、具体的には、前処理剤(A)中に遷移金属化合物が配合される場合には有機過酸化物が配合され、前処理剤(A)中に有機過酸化物が配合される場合には遷移金属化合物が配合される。既に述べたように、充填修復材(B)中に配合された化学重合開始剤成分(b3)と前処理剤(A)中に配合された化学重合開始剤成分(a4)とが、両者の界面部分で接触することにより、両者が反応してラジカルが生成し、ラジカル重合が始まることとなる。
この化学重合開始剤成分(b3)は、前処理剤(A)の上に遷移金属化合物を施したとき、両者の界面部分で一定量の遷移金属化合物と有機過酸化物とが接触するように使用される。このため、化学重合開始剤成分(b3)として有機過酸化物を使用する場合には、前述した非酸性(メタ)アクリル系重合性単量体(b1)100質量部当り0.01〜20質量部、特に0.1〜10質量部の範囲が好適であり、遷移金属化合物を使用する場合には、非酸性(メタ)アクリル系重合性単量体成分(b1)100質量部当り0.02〜40質量部、特に0.2〜20質量部の範囲が好適である。
既に述べたが、本発明においては、保存安定性の観点から、化学重合開始剤成分(b3)として有機過酸化物を使用し、化学重合開始剤成分(a4)として遷移金属化合物を使用することが好適である。
光重合開始剤(b4);
充填修復材(B)中には、口腔内で上述したラジカル重合体(b1)や前処理剤(A)中のラジカル重合性単量体を任意のタイミングで重合(光重合)させるため、光重合開始剤(b4)が配合される。
このような光重合開始剤(b4)としては、そのもの自身が光照射によってラジカル種を生成する化合物や、このような化合物に重合促進剤を加えた混合物が使用される。
それ自身が光照射にともない分解して重合可能なラジカル種を生成する化合物としては、以下のものを例示することができる。
α−ジケトン類;
カンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、
ナフトキノン、1,4−フェナントレンキノン、
3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等。
チオキサントン類;
2,4−ジエチルチオキサントン等。
α−アミノアセトフェノン類;
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン
−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン
−1、
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノ
ン−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノ
ン−1、
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノ
ン−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノ
ン等。
アシルフォスフィンオキシド誘導体;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォ
スフィンオキシド等。
また、上記した重合促進剤としては、第三級アミン類、バルビツール酸類、メルカプト化合物などが使用される。その具体例は以下の通りである。
第三級アミン類;
N,N−ジメチルアニリン、
N,N−ジエチルアニリン、
N,N−ジ−n−ブチルアニリン、
N,N−ジベンジルアニリン、
N,N−ジメチル−p−トルイジン、
N,N−ジエチル−p−トルイジン、
N,N−ジメチル−m−トルイジン、
p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、
m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、
p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、
p−ジメチルアミノアセトフェノン、
p−ジメチルアミノ安息香酸、
p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、
p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、
N,N−ジメチルアンスラニックアシッドメチルエステル、
N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、
N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、
p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、
p−ジメチルアミノスチルベン、
N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、
4−ジメチルアミノピリジン、
N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、
N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、
トリブチルアミン、
トリプロピルアミン、
トリエチルアミン、
N−メチルジエタノールアミン、
N−エチルジエタノールアミン、
N,N−ジメチルヘキシルアミン、
N,N−ジメチルドデシルアミン、
N,N−ジメチルステアリルアミン、
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等。
バルビツール酸類;
5−ブチルバルビツール酸、
1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等。
メルカプト化合物;
ドデシルメルカプタン、
ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等
このような光重合開始剤(b4)の配合量は、この充填修復材(B)や前処理剤(A)に含まれるラジカル重合性単量体を硬化できるだけの有効量であれば特に限定されず、適宜設定すれば良いが、一般的には、(メタ)アクリル系重合性単量体(b1)100質量部当り、0.01〜10質量部、特に0.1〜5質量部の範囲とするのがよい。
その他の配合剤;
充填修復材(B)中には、上述した光重合開始剤(b4)に加え、ヨードニウム塩、トリハロメチル置換S−トリアジン、フェナンシルスルホニウム塩化合物等の電子受容体が配合されていてよく、このような電子受容体の配合により、重合活性を高めることができる。
さらに、前述した前処理剤(A)と同様、重合禁止剤を配合して保存安定性を高めることができるし、必要に応じて、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の高分子化合物などの有機増粘材を添加することが可能である。また、紫外線吸収剤、染料、帯電防止剤、顔料、香料等の各種添加剤を必要に応じて配合することもできる。
<歯科修復用キットの使用>
本発明の歯科修復用キットを用いて歯の修復を行うには、先ず、修復すべき歯の窩洞部に前述した前処理剤を塗布し、次いでエアブロー等により水分及び水溶性有機溶媒を揮散させる。
この状態で、歯の窩洞部を埋めるようにして、予め施された前処理剤(A)の上に充填修復材(B)を施す。
これにより、前処理剤(A)及び充填修復材(B)中に配合されている化学重合開始剤が両者の界面部分で接触し、この界面部分からラジカル重合が開始する。
一方、充填剤(B)中の光重合開始剤(b4)も前処理剤(A)中に浸透するため、充填修復材(B)を塗布後、光照射することにより、化学重合と共に光重合により、前処理剤(A)及び充填修復材(B)中の単量体成分(a1)及び(b1)のラジカル重合も開始するのであるが、本発明では、ラジカル連鎖移動剤(a4)が前処理剤(A)中に配合されているため、特に前処理剤(A)と充填修復材(B)との界面及びその近傍での急激な重合が抑制されており、界面及びその近傍では、急激な重合収縮に追随し得るようなゴム状の弾性体が形成されながら上部の充填修復材(B)の重合が進行することとなり、この結果、重合収縮による応力が界面部分で緩和され、大きな重合収縮による界面部分での充填修復材(B)の硬化物の剥離等が有効に回避され、窩洞部の歯質に対して大きな接着強さを確保することが可能となる。
以下本発明を実験例により具体的に説明するが、本発明はこれら実験例により何等制限されるものではない。
以下の実験に用いた各種材料、略号及び試験方法は、以下のとおりである。
[非酸性モノマー(非酸性メタアクリル系重合性単量体)]
Bis−GMA:
2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニ
ル]プロパン
D−2,6E:
2,2,−ビス[(4−メタクロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン]
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
14G:テトラデカエチレングリコールジメタクリレート
UDMA:ウレタンジメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
[酸性モノマー(酸性(メタ)アクリル系重合性単量体]
PM:
2−メタクロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェートとビス(2−メタク
リロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートの混合物
MDP:
10−メタクリルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
MAC−10:
11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸
[光重合開始剤成分]
CQ:カンファーキノン
DMBE:4−ジメチルアミノ安息香酸エチル
DMPT:N,N−ジメチルアミノ−p−トルイジン
BTPO:ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド
TPO:2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
[重合禁止剤]
HQME:ヒドロキノンメチルエーテル
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
[有機溶媒]
イソプロピルアルコール(IPA)
アセトン
[ラジカル連鎖移動剤]
MSD:
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン
TEMPO:
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル
TIPNO:
2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキ
シド
CPDTT:
2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカーボネート
PPBT:
2−フェニル−2−プロポキシベンゾチアネート
CPCT:
シアノメチルジフェニルカルバルノジチオネート
[有機過酸化物(化学重合開始剤成分)]
TMBPO:
1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド
CHPO:
クメンハイドロパーオキサイド
[遷移金属化合物(化学重合開始剤成分)]
BMOV:オキソバナジウム(IV)ビス(マルトラート)
NPC:ナフテン酸コバルト
NPM:ナフテン酸マンガン
[無機フィラー]
F1:
球状シリカジルコニア(平均粒径0.4μm)をγ―メタクロイルオキシプロピル
トリメトキシシランにより疎水化処理したものと、球状シリカ−チタニア(平均粒径
0.08μm)をγ−メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化
処理したものとを質量比70:30にて混合した混合物
<曲げ強さ>
ステンレス製型枠に充填修復材を充填し、ポリプロピレンで圧接した状態で、一方の面から30秒×3回、全体に光が当たるように場所を変えて歯科用光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマデンタル社製)にてポリプロピレンに密着させて光照射を行った。次いで、反対の面からも同様にポリプロピレンに密着させて30秒×3回、光照射を行い、硬化体を得た。
上記の方法で作製した試験片を24時間37℃の水中に浸漬した後、#800の耐水研磨紙にて、硬化体を2×2×25mmの角柱状に整え、これを試験機(島津製作所製、オートグラフAG5000D)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/minで3点曲げ破壊強度を測定した。
1試験当り、5本の試験片を測定し、その平均値を曲げ強さとした。
<接着強さ>
屠殺後24時間以内に牛下顎前歯を抜去し、注水下、#800のエメリーペーパー(耐水研磨紙)で唇面に平行になるようにエナメル質または象牙質平面を削り出した。次にこれらの面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、この平面に直径3mmの孔のあいた両面テープを固定し、接着面積を規定した。次いで、8mmφの孔の開いた厚さ1.5mmのワックスを両面テープと同心円状になるように貼り付けて模擬窩洞を作製した。
この模擬窩洞に前処理材を塗布し、20秒間放置した後、圧縮空気により乾燥した。
乾燥後、模擬窩洞内に充填修復材を填入し、カバーガラスで覆った上から、歯科用光照射器(トクヤマデンタル社製パワーライト)を用いて30秒間光照射して重合硬化を行い、最後にスライドガラス及びワックスを丁寧に外し、試験片を得た。
尚、前処理剤中に光重合開始剤が配合されている場合(後述する前処理剤P11)には、充填修復材を填入する前に、該前処理剤に20秒間光照射して前処理剤を硬化させた。
上記の方法で作製した試験片を24時間37℃水中に浸漬した後、金属製の治具を取り付け、引張試験機(島津社製オートグラフAG5000)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/minの条件で引っ張り試験を行い、エナメル質平面及び象牙質平面に対する接着強さを測定した。
尚、1試験当たり、5本の接着試験片を測定し、その平均値を接着強さとした。
(1)歯科用前処理材の調製
下記処方により各成分を均一に混合し、前処理剤溶液(P1)を調製した。
PM(酸性モノマー): 5.0g
HEMA(非酸性モノマー): 5.0g
水: 2.0g
アセトン: 8.5g
BMOV(遷移金属化合物): 0.01g
MSD(連鎖移動剤): 0.01g
BHT(重合禁止剤): 0.003g
また、表1に示すように、処方を変更し、上記と同様にして前処理剤溶液(P2P15を調製した。
(2)充填修復材の調製
下記処方により各成分を混合し、暗所にて均一になるまで攪拌し、マトリックスを調製した。
Bis−GMA(非酸性モノマー): 6.0g
3G(非酸性モノマー): 3.0g
14G(非酸性モノマー): 1.0g
TMBPO(有機過酸化物): 0.4g
CQ(光重合開始剤): 0.05g
DMBE(光重合開始剤); 0.01g
HQME(重合禁止剤): 0.01g
BHT(重合禁止剤): 0.003g
得られたマトリックスに、無機充填剤である球状シリカジルコニア(F1)を、重量比39:61になるようにメノウ乳鉢で混合し、真空下において脱泡することで充填修復材CR1を得た。
また、表2に示すように、マトリックスの組成や無機充填剤の配合量を変更した以外は上記と同様にして、充填修復材CR2〜CR7を調製した。
Figure 0006081865
Figure 0006081865
<実施例1−30及び比較例1〜2>
上記で調製された前処理剤P1〜P27と充填修復材CR1〜CR7とを、表3に示すように組み合わせて使用し、それぞれについて、曲げ強さ及びエナメル質及び象牙質に対する接着強さを測定した。その結果を、表3に併せて示す。
Figure 0006081865

Claims (3)

  1. 前処理剤(A)と充填修復材(B)とからなり、化学重合開始剤として、第4周期遷移金属化合物と有機過酸化物との組み合わせが使用されている歯科修復用キットにおいて、
    前記前処理剤(A)は、少なくとも酸性基を有する(メタ)アクリル系重合性単量体を含んでいる(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)、水(a2)、水溶性有機溶媒(a3)、前記化学重合開始剤の一方の成分(a4)及びラジカル連鎖移動剤(a5)を含有しており、
    前記充填修復材(B)は、非酸性(メタ)アクリル系重合性単量体(b1)、無機充填剤(b2)、前記化学重合開始剤の他方の成分(b3)及び光重合開始剤(b4)を含有していることを特徴とする歯科修復用キット。
  2. 前記ラジカル連鎖移動剤(a5)は、(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)100質量部当り0.01乃至3質量部の量で前処理剤(A)に配合されている請求項1に記載の歯科修復用キット。
  3. 前記前処理剤(A)に配合されている化学重合開始剤成分(a4)が第4周期遷移金属化合物であり、(メタ)アクリル系重合性単量体成分(a1)100質量部当り0.001乃至10質量部の量で該前処理剤(A)に配合されており、前記充填修復材(B)に配合されている化学重合開始剤成分(b3)が有機過酸化物であり、非酸性(メタ)アクリル系重合性単量体(b1)100質量部当り0.01乃至20質量部の量で該充填修復材(B)に配合されている請求項1または2に記載の歯科修復用キット。
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