JP2004284969A - 歯科用酸素遮断材 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯科用のラジカル重合硬化性組成物の重合硬化に際し用いることにより、大気中の酸素による重合阻害を受けて硬化不十分になり、該硬化体が変色したり、あるいは崩壊して二次ウ蝕の原因となることを防止できる歯科用酸素遮断材。
【解決手段】酸化バナジウム(IV)アセチルアセトナート、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)等の+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を含んだ歯科用酸素遮断材とする。好ましくは水溶性セルロース及び水溶性有機溶媒を主成分としたものに上記バナジウム化合物を配合することにより、使用したときの賦形性、及び水洗時の除去性に優れたものとなる。
【選択図】 なし
【解決手段】酸化バナジウム(IV)アセチルアセトナート、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)等の+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を含んだ歯科用酸素遮断材とする。好ましくは水溶性セルロース及び水溶性有機溶媒を主成分としたものに上記バナジウム化合物を配合することにより、使用したときの賦形性、及び水洗時の除去性に優れたものとなる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は歯科医療分野において使用される酸素遮断材に関する。さらに詳しくは、歯科用接着材等に使用されているラジカル硬化性組成物の重合阻害を防止するための歯科用酸素遮断材に関する。
【0002】
【従来の技術】
齲蝕等により損傷を受けた歯質の修復において、初中期の比較的窩洞の小さい齲蝕に対しては、その審美性、操作の簡略性や迅速性の点で光硬化型のコンポジットレジンと呼ばれる重合性単量体と無機充填材からなる充填修復材料による修復が行われる。
【0003】
一方、比較的大きな損傷を受けた歯牙の修復を行う場合には、クラウン、インレー、アンレー等と称されるセラミックス製あるいは金属製の歯冠修復物を歯牙に接着させる。この場合には、一般的にレジンセメントと呼ばれる酸性基含有重合性単量体、重合性単量体、充填材及び重合開始剤からなる接着性組成物が用いられている。この接着性組成物は、重合性単量体として、一般に(メタ)アクリレート系のラジカル重合性単量体が用いられており、その重合硬化には、一般に有機過酸化物と、第3級アミン等からなるレドックス系の開始剤が用いられている(例えば、非特許文献1)。
【0004】
しかしながら、ラジカル重合は空気中の酸素により重合阻害を受けるため、空気と接触した表面では重合率が低下する問題があった。例えば、接着性組成物と歯冠修復物を用いた歯牙の修復では、修復物と歯牙との隙間におよそ50〜100ミクロン程度の幅の接着性組成物層が存在しているが、該層の外表面(外気に接触するように露出した面)部分の重合率が低い場合には、磨耗が早期に進行し二次齲蝕に罹患したり、接着性組成物の着色や変色が生じる等の問題があった。
【0005】
そこで、空気中の酸素による重合阻害を防ぐ目的で、ラジカル重合性単量体が重合硬化する間、接着性組成物の上記外表面を酸素遮断性の材料(酸素遮断材)で被覆する方法が採用されている。
【0006】
このような酸素遮断を目的とした材料としては、ポリビニルアルコール水溶液に有機過酸化物を配合した組成物、水溶性酸素遮断性ポリマーと水溶性還元剤及び界面活性剤との水溶液からなる組成物、水溶性セルロースと水溶性有機溶媒及び重合触媒からなる組成物等が提案されている(例えば、特許文献1−3)。
【0007】
他方、上記のような目的で用いる接着性組成物の歯質との接着力をさらに向上させる目的で、有機過酸化物と第3級アミンとからなる以外の重合開始剤も検討されており、例えば、アリールボレート化合物、酸性化合物及び有機過酸化物からなる重合開始剤が提案されている(例えば、特許文献4)。
【0008】
さらにまた本発明者らは、+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物、酸性化合物及びアリールボレート化合物からなる重合開始剤が歯質との接着性に優れることを見出し、既に提案している(特願2001−289846)。
【非特許文献1】
長谷川二郎他編、「現代歯科理工学」、第1版、医歯薬出版株式会社、1996年3月20日発行、p.214−215
【特許文献1】
特開昭59−36604号公報
【特許文献2】
特開平9−241304号公報
【特許文献3】
特開2000−128723号公報
【特許文献4】
特開2002−187907号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら有機過酸化物−第3級アミン系以外の重合開始剤を用いた接着性組成物に対しては、上記のような従来の酸素遮断材では重合阻害低減の効果は十分ではなかった。本発明は、ラジカル重合性の歯科用接着性組成物の硬化時における重合阻害を低減するのに好適な歯科用酸素遮断材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行なった。その結果、+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を含有する材料が重合阻害低減効果に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を含有することを特徴とする歯科用酸素遮断材である。
【0012】
また、+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物に水溶性セルロースと水溶性有機溶媒とを組み合わせた場合には、重合阻害低減効果に優れることに加え、使用時の賦形性、除去性といった操作性に優れる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の歯科用酸素遮断材に使用されるバナジウム化合物は+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物である。バナジウム化合物は酸化数が−II価から+V価までとるが、本発明に使用されるバナジウム化合物は、+IV価又は+V価である。−II価から+I価では化合物の安定性が悪く、また+II価、+III価では活性が低く、十分な効果が得られない。当該+IV価又は+V価バナジウム化合物(以下、単にバナジウム化合物とも称す)としては公知の化合物が制限なく使用できる。具体的に例示すると、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)等のバナジウム化合物が挙げられる。
【0014】
これら+IV価又は+V価のバナジウム化合物は複数の種類のものを併用しても良い。
【0015】
本発明の歯科用酸素遮断材における上記バナジウム化合物の配合量は、特に制限されるものではないが、高い重合阻害低減効果を得るためには配合量が多い方が好ましい一方で、配合量が少ない方が保存安定性に優れるため、酸素遮断材の全構成成分中0.001〜0.03質量部であるのが好ましく、0.005〜0.03質量部であるのがより好ましい。
【0016】
本発明の歯科用酸素遮断材に使用される水溶性セルロースとは、25℃、1気圧下において、水に対して1重量%以上の濃度で溶解するセルロースを意味し、このような性質を有する公知のセルロース誘導体を何ら制限なく使用することができる。具体的に例示すると、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース及び該セルロースのナトリウム、カリウムなどの金属塩などが挙げられる。
【0017】
これら水溶性セルロースの平均分子量は特に限定されないが、歯科用酸素遮断材として使用したときの賦形性、及び水洗時の除去性の観点から重量平均分子量(Mw)で10,000〜1,500,000、特に50,000〜1,000,000の範囲であるのが好適である。なお、当該賦形性とは、使用時において歯科用接着性組成物に塗布したときに、流れ出さずに歯科用接着性組成物を被覆する状態を長く保持する性質を意味する。
【0018】
これら水溶性セルロースは複数の種類のものを併用しても良い。
【0019】
上記の水溶性セルロースの配合量は、重合阻害低減効果、賦形性、水洗除去性などを考慮して適宜決定すればよいが、前記バナジウム化合物を除く他の構成成分の合計100質量%中の3〜20質量%の範囲であることが好ましい。
【0020】
本発明で使用する水溶性有機溶媒としては、25℃、1気圧において、水に10重量%以上溶解するものであれば何ら制限なく使用可能である。具体的に例示すると、メチルアルコール、エチルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコールなどのアルコール類、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオールなどの多価アルコール類やアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリルなどが挙げられる。
【0021】
これらの中でも、口腔内での使用を考慮して、毒性の低いエチルアルコール、2−プロピルアルコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、アセトン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンなどが好適に用いられ、特に沸点の高い1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンが好適である。
【0022】
これら水溶性有機溶媒は複数の種類のものを併用しても良い。
【0023】
上記の水溶性有機溶媒の配合量は、重合阻害低減効果、賦形性、水洗除去性などを考慮して適宜決定すればよいが、前記バナジウム化合物を除く他の構成成分の合計100質量%中の80〜97質量%の範囲であることが好ましい。
【0024】
また、本発明の歯科用酸素遮断材には、本発明の効果を損なわない範囲で他の添加剤を配合することも可能である。このような添加剤としては、水、あるいは粘度を調節するための無機粒子や架橋ポリマー、また色素、顔料、香料などが挙げられる。
【0025】
本発明の歯科用酸素遮断材の調整方法は、特に限定されず、各成分を所定量はかりとり適宜混合すればよい。このとき、水溶性セルロースが水溶性有機溶媒に溶けにくい時には、水溶性有機溶媒を加熱することにより水溶性セルロースの溶解を促進することができる。また、+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を予め水溶性有機溶媒に溶解させてから、水溶性セルロースを溶解させることで、バナジウム化合物の溶解を促進することができる。
【0026】
本発明の歯科用酸素遮断材の使用方法は公知の歯科用酸素遮断材の使用方法に準じて行えばよく、特に限定はされないが、例えば、歯科用接着性組成物の重合硬化時の重合促進のために使う場合には以下のようである。即ち、所定量の各成分を混合して調整した本発明の歯科用酸素遮断材を予めシリンジなどの容器に充填しておき、歯冠修復物と歯牙の隙間の歯科用接着性組成物層に沿って、その表面にシリンジから直接塗布する、あるいはスポンジ片や小筆などを用いて1回あるいは数回塗布すればよい。
【0027】
このとき、歯科用接着性組成物が重合硬化する間、その露出部が本発明の歯科用酸素遮断材で覆われているので、歯科用接着性組成物が硬化した後は水銃などを用いて数秒〜10秒程度洗浄することにより、本発明の歯科用酸素遮断材はレジン表面から簡単に除去することができる。
【0028】
上記本発明の歯科用酸素遮断材を用いるための歯科用硬化性組成物は、歯科用の硬化性組成物であれば特に制限されることはないが、重合硬化に際し、酸素を遮断する必要性の高い、金属やセラミックス製の歯冠修復材料を歯牙に接着するために用いられる常温硬化型の歯科用接着性組成物であることが好ましい。このような常温硬化型の歯科用接着性組成物は、一般に(メタ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合性基を有する重合性単量体と、無機あるいは有機、無機と有機のハイブリットフィラー及び重合開始剤から構成され、さらには歯質への接着性を高める目的でラジカル重合性単量体として酸性基を含有するラジカル重合性単量体が配合されている。また当該重合開始剤は通常、二成分以上からなるものであって、保存時にはそれらが安定性等を考慮して適宜分割されており、使用時に混合せしめることで分解等を起こし活性なラジカル種を生じる。
【0029】
当該重合開始剤としては特に制限されるものではないが、本発明の歯科用酸素遮断材を用いる効果が顕著である点で、(a)+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物と、(c)アリールボレート化合物と(d)酸性化合物とからなる重合開始剤、あるいは上記(c)成分と(d)成分と(b)有機過酸化物とからなる重合開始剤、または上記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分全てを配合してなる重合開始剤であることが好ましい。
【0030】
上記の(a)+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物は、前記した本発明の酸素遮断材において具体的に例示したものが好適に使用できる。
【0031】
(b)有機過酸化物としては、公知のものが何等制限無く使用できる。代表的な有機過酸化物としては、公知のケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリールパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネートに分類される有機過酸化物が好ましい。
【0032】
より具体的には、ケトンパーオキサイド類としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。ハイドロパーオキサイド類としては、P−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等が挙げられる。ジアシルパーオキサイド類としては、イソブチリルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド類が挙げられる。パーオキシカーボネート類としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0033】
パーオキシエステル類としては、α,α−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート等が挙げられる。
【0034】
またt−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等も好適な有機過酸化物として使用できる。
【0035】
使用する有機過酸化物は、適宜選択して使用すればよく、単独又は2種以上を組み合わせて用いても何等構わないが、中でもハイドロパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシエステル類及びジアシルパーオキサイド類が重合活性の点から特に好ましい。さらにこの中でも、硬化性組成物としたときの保存安定性の点から10時間半減期温度が60℃以上の有機過酸化物を用いるのが好ましい。
【0036】
上記(c)アリールボレート化合物は、分子中に少なくとも1個のホウ素−アリール結合を有する化合物であれば特に限定されず公知の化合物が使用できるが、その中でも、保存安定性を考慮すると、1分子中に3個または4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物を用いることが好ましく、さらには取り扱いや合成・入手の容易さから4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物がより好ましい。
【0037】
1分子中に3個のホウ素−アリール結合を有するボレート化合物として、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリス(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−フルオロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリス(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す)の、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
【0038】
また、1分子中に4個のホウ素−アリール結合を有するボレート化合物として、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素〔ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す〕の、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
【0039】
これらアリールボレート化合物は2種以上を併用しても良い。
【0040】
上記の(d)酸性化合物としては、酸性基含有ラジカル重合性単量体が好適に使用でき、1分子中に少なくとも1つの酸性基、又は当該酸性基の2つが脱水縮合した酸無水物構造、あるいは酸性基のヒドロキシル基がハロゲンに置換された酸ハロゲン化物基と、少なくとも1つのラジカル重合性不飽和基とを有す化合物であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。ここで酸性基とは、該基を有すラジカル重合性単量体の水溶液又は水懸濁液が酸性を呈す基を示す。当該酸性基としては、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスフィニコ基{=P(=O)OH}、ホスホノ基{−P(=O)(OH)2}等、並びにこれらの基が酸無水物や酸ハロゲン化物等となったものが例示される。
【0041】
また、該化合物の有するラジカル重合性不飽和基も特に限定されず公知の如何なる基であってもよいが、好ましくは(メタ)アクリル基である。
【0042】
好適に使用できる酸性基含有ラジカル重合性単量体を具体的に例示すると、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸及びその無水物、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェート、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートなどが挙げられる。
【0043】
また、酸性化合物として、塩酸、リン酸等の無機酸、マレイン酸、クエン酸、トリメリット酸等の有機酸、酸ハロゲン化物、さらには酸性イオン交換樹脂、酸性アルミナ、酸性シリカ等も使用できる。
【0044】
これら酸性化合物は2種以上を併用しても良い。
【0045】
歯科用接着性組成物中における、上記重合開始剤の配合量は、特に制限されるものではなく、ラジカル重合開始剤として作用する量であれば如何なる配合量でも構わない。重合活性及び得られる硬化体の強度等の物性、重合に関与しなかった成分の溶出の可能性の点から、歯科用接着性組成物に配合される全ラジカル重合性単量体の合計100質量部に対して、(a)+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物は0.001〜10質量部、(b)有機過酸化物は0.01〜10質量部、(c)アリールボレート化合物は0.01〜10質量部であり、かつ該重合性単量体中、5〜70質量%が酸性基含有ラジカル重合性単量体であるのが好ましい。
【0046】
歯科用接着性組成物に使用できる重合性単量体は、ラジカル連鎖反応により重合するものであれば何ら制限なく使用可能であり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート系単量体類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を複数有する脂肪族系(メタ)アクリレート系単量体類、2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシフェニル)]プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン等の重合性不飽和基を複数有する芳香族系(メタ)アクリレート系単量体類などが挙げられる。
【0047】
また、歯質への接着性を高める目的で配合する酸性基含有ラジカル重合性単量体としては、上述したものが好適に使用される。
【0048】
また、歯科用接着性組成物に、金属の歯冠修復物との接着性を向上させる目的で、特開平10−1409号公報、特開平10−1473号公報、特開平8−113763号公報等に記載の、貴金属接着性モノマーを配合することも好適に採用できる。
【0049】
歯科用接着性組成物に用いるフィラーとしては、有機フィラーでも無機フィラーでもよく、有機フィラーとしてはポリ(メタ)アクリレートが代表的なものとして挙げられ、無機フィラーとしては、石英、バリウムガラス、シリカ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア等が挙げられる。また、無機フィラーとしてはアルミノシリケートガラス等の多価イオン溶出性フィラーも好適に使用することができる。これらフィラー、特に無機フィラーはシランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理したものを用いることが好ましい。
【0050】
また、その他歯科用の接着性組成物の配合成分として公知の添加剤、例えば、重合禁止剤、顔料、染料、紫外線吸収剤等を配合してもよい。
【0051】
このような歯科用接着性組成物は、一般には、酸性基含有ラジカル重合性単量体、それ以外のラジカル重合性単量体、フィラー(および場合によってバナジウム化合物)を主成分とするペーストと、酸性基含有ラジカル重合性単量体以外のラジカル重合性単量体、フィラー、アリールボレート化合物(および場合によって有機過酸化物)を主成分とするペーストとして調製、別個に包装し使用直前に両ペーストを混合する形態、あるいは酸性基含有ラジカル重合性単量体を含む全てのラジカル重合性単量体(および場合によってバナジウム化合物)を主成分とする液と、充填材とアリールボレート化合物(および場合によって有機過酸化物)を主成分とする粉からなる包装が好適な包装形態として例示される。
【0052】
またむろん、本発明の歯科用酸素遮断材は上記以外の歯科用硬化性組成物用として用いてもなんら問題なく、例えば重合開始剤として、前記したような各種有機過酸化物と、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエタノール−p−トルイジンなどのアミンを組み合わせたレドックス開始剤系を用いた歯科用硬化性組成物、該有機過酸化物と該アミン化合物からなる開始剤系にさらに、ベンゼンスルフィン酸やp−トルエンスルフィン酸及びその塩などのスルフィン酸を加えた系、5−ブチルバルビツール酸などのバルビツール酸系開始剤を配合した歯科用硬化性組成物等にも何ら問題なく使用できる。
【0053】
このような歯科用硬化性組成物は、公知の方法に従って製造されたものでよく特に制限されるものではない。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本発明はこれら実施例によって何等制限されるものではない。
【0055】
尚、実施例および比較例で使用した化合物とその略称を以下に示す。
[バナジウム化合物]
VOAA;酸化バナジウム(IV)アセチルアセトナート
BMOV;ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)
[水溶性セルロース]
HPC−37;ヒドロキシプロピルセルロース(置換度1.7 Mw 370000)
[水溶性有機溶媒]
PD;1,2−プロパンジオール
[有機過酸化物]
BPO;ベンゾイルパーオキサイド
パーオクタH;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド
[アリールボレート化合物]
PhBNa;テトラフェニルホウ素ナトリウム
PhBTEOA;テトラフェニルホウ素トリエタノールアミン塩
[酸性化合物]
PM;2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートの混合物
MAC−10;11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカンボン酸
[ラジカル重合性単量体(酸性のもの以外)]
bis−GMA;2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン
3G;トリエチレングリコールジメタクリレート
D2.6E;2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン
[その他成分]
PVA;ポリビニルアルコール(鹸化度86〜90mol% 重合度900〜1100)
DEPT;N,N−ジエタノール−p−トルイジン
DMPT;N,N−ジメチル−p−トルイジン
PTSNa;p−トルエンスルフィン酸ナトリウム
3Si−Zr;不定形シリカ−ジルコニア、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(平均粒径:3μm)
0.3Si−Ti;球状シリカ−チタニア、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(平均粒径:0.3μm)
〔表面未重合量測定方法〕
直径7mm、厚さ1.5mmの孔を有するポリアセタール製の型に、歯科用接着性組成物を填入し、その歯科用接着性組成物の上面に予め調製した酸素遮断材を塗布した。37℃湿潤条件下恒温槽中で15分間放置したのち、エタノールで酸素遮断材および未重合層を除去した。最初に填入した重量からエタノールで未重合部分を除去した後の硬化体の重量を引いたものを未重合量とし、表面積あたりの重さとして求めた。
〔たれ測定方法〕
調製した歯科用酸素遮断材0.05gを平滑なスライドグラス上に採取し、37℃湿潤条件下恒温槽中に垂直に立て、3分後に流動した距離をたれとして測定した。たれが少ないほど賦形性が高い。
〔除去性測定方法〕
牛歯を800番の耐水研磨紙で唇面に平行に研磨して平らなエナメル質面を作製し、その表面に調整した歯科用酸素遮断材を塗布した。その後、37℃湿潤条件下恒温層中に3分間放置した後、歯科用チェア−ユニット付属の水銃により塗布した歯科用酸素遮断材を水洗除去し、下記評価基準に基づいて水洗除去性を評価した。
【0056】
評価基準:
○ 数秒で容易に除去できる
△ 5〜10秒程度要する
× 完全に除去するのに10秒以上要する
〔歯科用接着性組成物の調製〕
1.2gのBisGMAと1.8gの3G、0.2gのPhBTEOA及び0.05のパーオクタHを均一になるまで混合した。ついでこの液に5gの3Si−Zrと5gの0.3Si−Tiを加え練和して均一なペーストを得、これを第一ペーストとした。一方、1gのPM、0.2gのMAC−10、1.2gのD2.6E、0.6gの3G及び0.005gのVOAAを均一になるまで混合し、ついでこの液に5gの3Si−Zrと5gの0.3Si−Tiを加え練和して得られた均一なペーストを第二ペーストとした。使用直前に、この2つのペーストを等量練和して接着性組成物とした。
【0057】
実施例1
VOAA0.005gを95gのPDに攪拌溶解させ、ついで5gのHPC−37を加え、80℃に加熱し均一になるまで攪拌溶解させた後、室温まで冷却し歯科用酸素遮断材を調製した。
【0058】
この酸素遮断材を用いて、表面未重合量を評価したところ、88μg/mm2であり、また、たれおよび水洗除去性も優れていた。
【0059】
比較例1
酸素遮断材を用いないで表面未重合量を評価したところ、540μg/mm2であった。
【0060】
実施例2〜5
表1に示す各組成の本発明の歯科用酸素遮断材を調整し、実施例1と同様にしてその酸素遮断材としての性能を調べた。その結果を表1に示す。何れの酸素遮断材も良好な重合阻害低減効果、賦形性、水洗除去性を示した。
【0061】
実施例6
VOAA0.005gを85gの水に攪拌溶解させ、ついで15gのPVA1000を加え均一になるまで攪拌溶解させ歯科用酸素遮断材を調製した。
【0062】
この酸素遮断材を用いて、表面未重合量を評価したところ、90μg/mm2であり、良好な重合阻害低減効果を示したが、賦形性及び水洗除去性は若干低下した。
【0063】
比較例2
表2に示す各組成の本発明の歯科用酸素遮断材を調整し、実施例1と同様にしてその酸素遮断材としての性能を調べた。その結果を表2に示す。+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を添加していない酸素遮断材では、良好な重合阻害低減効果は得られなかった。
【0064】
比較例3〜8
表2に示す各組成の本発明の歯科用酸素遮断材を調整し、実施例1と同様にしてその酸素遮断材としての性能を調べた。その結果を表2に示す。+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物のかわりに各種成分を添加した系であるが、何れの酸素遮断材を用いても良好な重合阻害低減効果は得られなかった。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】
ラジカル重合性の歯科用硬化性組成物を硬化させる際に、該接着性組成物が大気と接触しないように、本発明の歯科用酸素遮断材を塗布することにより、該接着性組成物の硬化時の重合阻害が低減され、得られた硬化体表面の機械的強度や耐久性が向上する。
【発明の属する技術分野】
本発明は歯科医療分野において使用される酸素遮断材に関する。さらに詳しくは、歯科用接着材等に使用されているラジカル硬化性組成物の重合阻害を防止するための歯科用酸素遮断材に関する。
【0002】
【従来の技術】
齲蝕等により損傷を受けた歯質の修復において、初中期の比較的窩洞の小さい齲蝕に対しては、その審美性、操作の簡略性や迅速性の点で光硬化型のコンポジットレジンと呼ばれる重合性単量体と無機充填材からなる充填修復材料による修復が行われる。
【0003】
一方、比較的大きな損傷を受けた歯牙の修復を行う場合には、クラウン、インレー、アンレー等と称されるセラミックス製あるいは金属製の歯冠修復物を歯牙に接着させる。この場合には、一般的にレジンセメントと呼ばれる酸性基含有重合性単量体、重合性単量体、充填材及び重合開始剤からなる接着性組成物が用いられている。この接着性組成物は、重合性単量体として、一般に(メタ)アクリレート系のラジカル重合性単量体が用いられており、その重合硬化には、一般に有機過酸化物と、第3級アミン等からなるレドックス系の開始剤が用いられている(例えば、非特許文献1)。
【0004】
しかしながら、ラジカル重合は空気中の酸素により重合阻害を受けるため、空気と接触した表面では重合率が低下する問題があった。例えば、接着性組成物と歯冠修復物を用いた歯牙の修復では、修復物と歯牙との隙間におよそ50〜100ミクロン程度の幅の接着性組成物層が存在しているが、該層の外表面(外気に接触するように露出した面)部分の重合率が低い場合には、磨耗が早期に進行し二次齲蝕に罹患したり、接着性組成物の着色や変色が生じる等の問題があった。
【0005】
そこで、空気中の酸素による重合阻害を防ぐ目的で、ラジカル重合性単量体が重合硬化する間、接着性組成物の上記外表面を酸素遮断性の材料(酸素遮断材)で被覆する方法が採用されている。
【0006】
このような酸素遮断を目的とした材料としては、ポリビニルアルコール水溶液に有機過酸化物を配合した組成物、水溶性酸素遮断性ポリマーと水溶性還元剤及び界面活性剤との水溶液からなる組成物、水溶性セルロースと水溶性有機溶媒及び重合触媒からなる組成物等が提案されている(例えば、特許文献1−3)。
【0007】
他方、上記のような目的で用いる接着性組成物の歯質との接着力をさらに向上させる目的で、有機過酸化物と第3級アミンとからなる以外の重合開始剤も検討されており、例えば、アリールボレート化合物、酸性化合物及び有機過酸化物からなる重合開始剤が提案されている(例えば、特許文献4)。
【0008】
さらにまた本発明者らは、+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物、酸性化合物及びアリールボレート化合物からなる重合開始剤が歯質との接着性に優れることを見出し、既に提案している(特願2001−289846)。
【非特許文献1】
長谷川二郎他編、「現代歯科理工学」、第1版、医歯薬出版株式会社、1996年3月20日発行、p.214−215
【特許文献1】
特開昭59−36604号公報
【特許文献2】
特開平9−241304号公報
【特許文献3】
特開2000−128723号公報
【特許文献4】
特開2002−187907号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら有機過酸化物−第3級アミン系以外の重合開始剤を用いた接着性組成物に対しては、上記のような従来の酸素遮断材では重合阻害低減の効果は十分ではなかった。本発明は、ラジカル重合性の歯科用接着性組成物の硬化時における重合阻害を低減するのに好適な歯科用酸素遮断材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行なった。その結果、+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を含有する材料が重合阻害低減効果に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を含有することを特徴とする歯科用酸素遮断材である。
【0012】
また、+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物に水溶性セルロースと水溶性有機溶媒とを組み合わせた場合には、重合阻害低減効果に優れることに加え、使用時の賦形性、除去性といった操作性に優れる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の歯科用酸素遮断材に使用されるバナジウム化合物は+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物である。バナジウム化合物は酸化数が−II価から+V価までとるが、本発明に使用されるバナジウム化合物は、+IV価又は+V価である。−II価から+I価では化合物の安定性が悪く、また+II価、+III価では活性が低く、十分な効果が得られない。当該+IV価又は+V価バナジウム化合物(以下、単にバナジウム化合物とも称す)としては公知の化合物が制限なく使用できる。具体的に例示すると、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)等のバナジウム化合物が挙げられる。
【0014】
これら+IV価又は+V価のバナジウム化合物は複数の種類のものを併用しても良い。
【0015】
本発明の歯科用酸素遮断材における上記バナジウム化合物の配合量は、特に制限されるものではないが、高い重合阻害低減効果を得るためには配合量が多い方が好ましい一方で、配合量が少ない方が保存安定性に優れるため、酸素遮断材の全構成成分中0.001〜0.03質量部であるのが好ましく、0.005〜0.03質量部であるのがより好ましい。
【0016】
本発明の歯科用酸素遮断材に使用される水溶性セルロースとは、25℃、1気圧下において、水に対して1重量%以上の濃度で溶解するセルロースを意味し、このような性質を有する公知のセルロース誘導体を何ら制限なく使用することができる。具体的に例示すると、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース及び該セルロースのナトリウム、カリウムなどの金属塩などが挙げられる。
【0017】
これら水溶性セルロースの平均分子量は特に限定されないが、歯科用酸素遮断材として使用したときの賦形性、及び水洗時の除去性の観点から重量平均分子量(Mw)で10,000〜1,500,000、特に50,000〜1,000,000の範囲であるのが好適である。なお、当該賦形性とは、使用時において歯科用接着性組成物に塗布したときに、流れ出さずに歯科用接着性組成物を被覆する状態を長く保持する性質を意味する。
【0018】
これら水溶性セルロースは複数の種類のものを併用しても良い。
【0019】
上記の水溶性セルロースの配合量は、重合阻害低減効果、賦形性、水洗除去性などを考慮して適宜決定すればよいが、前記バナジウム化合物を除く他の構成成分の合計100質量%中の3〜20質量%の範囲であることが好ましい。
【0020】
本発明で使用する水溶性有機溶媒としては、25℃、1気圧において、水に10重量%以上溶解するものであれば何ら制限なく使用可能である。具体的に例示すると、メチルアルコール、エチルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコールなどのアルコール類、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオールなどの多価アルコール類やアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリルなどが挙げられる。
【0021】
これらの中でも、口腔内での使用を考慮して、毒性の低いエチルアルコール、2−プロピルアルコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、アセトン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンなどが好適に用いられ、特に沸点の高い1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンが好適である。
【0022】
これら水溶性有機溶媒は複数の種類のものを併用しても良い。
【0023】
上記の水溶性有機溶媒の配合量は、重合阻害低減効果、賦形性、水洗除去性などを考慮して適宜決定すればよいが、前記バナジウム化合物を除く他の構成成分の合計100質量%中の80〜97質量%の範囲であることが好ましい。
【0024】
また、本発明の歯科用酸素遮断材には、本発明の効果を損なわない範囲で他の添加剤を配合することも可能である。このような添加剤としては、水、あるいは粘度を調節するための無機粒子や架橋ポリマー、また色素、顔料、香料などが挙げられる。
【0025】
本発明の歯科用酸素遮断材の調整方法は、特に限定されず、各成分を所定量はかりとり適宜混合すればよい。このとき、水溶性セルロースが水溶性有機溶媒に溶けにくい時には、水溶性有機溶媒を加熱することにより水溶性セルロースの溶解を促進することができる。また、+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を予め水溶性有機溶媒に溶解させてから、水溶性セルロースを溶解させることで、バナジウム化合物の溶解を促進することができる。
【0026】
本発明の歯科用酸素遮断材の使用方法は公知の歯科用酸素遮断材の使用方法に準じて行えばよく、特に限定はされないが、例えば、歯科用接着性組成物の重合硬化時の重合促進のために使う場合には以下のようである。即ち、所定量の各成分を混合して調整した本発明の歯科用酸素遮断材を予めシリンジなどの容器に充填しておき、歯冠修復物と歯牙の隙間の歯科用接着性組成物層に沿って、その表面にシリンジから直接塗布する、あるいはスポンジ片や小筆などを用いて1回あるいは数回塗布すればよい。
【0027】
このとき、歯科用接着性組成物が重合硬化する間、その露出部が本発明の歯科用酸素遮断材で覆われているので、歯科用接着性組成物が硬化した後は水銃などを用いて数秒〜10秒程度洗浄することにより、本発明の歯科用酸素遮断材はレジン表面から簡単に除去することができる。
【0028】
上記本発明の歯科用酸素遮断材を用いるための歯科用硬化性組成物は、歯科用の硬化性組成物であれば特に制限されることはないが、重合硬化に際し、酸素を遮断する必要性の高い、金属やセラミックス製の歯冠修復材料を歯牙に接着するために用いられる常温硬化型の歯科用接着性組成物であることが好ましい。このような常温硬化型の歯科用接着性組成物は、一般に(メタ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合性基を有する重合性単量体と、無機あるいは有機、無機と有機のハイブリットフィラー及び重合開始剤から構成され、さらには歯質への接着性を高める目的でラジカル重合性単量体として酸性基を含有するラジカル重合性単量体が配合されている。また当該重合開始剤は通常、二成分以上からなるものであって、保存時にはそれらが安定性等を考慮して適宜分割されており、使用時に混合せしめることで分解等を起こし活性なラジカル種を生じる。
【0029】
当該重合開始剤としては特に制限されるものではないが、本発明の歯科用酸素遮断材を用いる効果が顕著である点で、(a)+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物と、(c)アリールボレート化合物と(d)酸性化合物とからなる重合開始剤、あるいは上記(c)成分と(d)成分と(b)有機過酸化物とからなる重合開始剤、または上記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分全てを配合してなる重合開始剤であることが好ましい。
【0030】
上記の(a)+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物は、前記した本発明の酸素遮断材において具体的に例示したものが好適に使用できる。
【0031】
(b)有機過酸化物としては、公知のものが何等制限無く使用できる。代表的な有機過酸化物としては、公知のケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリールパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネートに分類される有機過酸化物が好ましい。
【0032】
より具体的には、ケトンパーオキサイド類としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。ハイドロパーオキサイド類としては、P−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等が挙げられる。ジアシルパーオキサイド類としては、イソブチリルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド類が挙げられる。パーオキシカーボネート類としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0033】
パーオキシエステル類としては、α,α−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート等が挙げられる。
【0034】
またt−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等も好適な有機過酸化物として使用できる。
【0035】
使用する有機過酸化物は、適宜選択して使用すればよく、単独又は2種以上を組み合わせて用いても何等構わないが、中でもハイドロパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシエステル類及びジアシルパーオキサイド類が重合活性の点から特に好ましい。さらにこの中でも、硬化性組成物としたときの保存安定性の点から10時間半減期温度が60℃以上の有機過酸化物を用いるのが好ましい。
【0036】
上記(c)アリールボレート化合物は、分子中に少なくとも1個のホウ素−アリール結合を有する化合物であれば特に限定されず公知の化合物が使用できるが、その中でも、保存安定性を考慮すると、1分子中に3個または4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物を用いることが好ましく、さらには取り扱いや合成・入手の容易さから4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物がより好ましい。
【0037】
1分子中に3個のホウ素−アリール結合を有するボレート化合物として、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリス(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−フルオロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリス(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す)の、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
【0038】
また、1分子中に4個のホウ素−アリール結合を有するボレート化合物として、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素〔ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す〕の、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
【0039】
これらアリールボレート化合物は2種以上を併用しても良い。
【0040】
上記の(d)酸性化合物としては、酸性基含有ラジカル重合性単量体が好適に使用でき、1分子中に少なくとも1つの酸性基、又は当該酸性基の2つが脱水縮合した酸無水物構造、あるいは酸性基のヒドロキシル基がハロゲンに置換された酸ハロゲン化物基と、少なくとも1つのラジカル重合性不飽和基とを有す化合物であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。ここで酸性基とは、該基を有すラジカル重合性単量体の水溶液又は水懸濁液が酸性を呈す基を示す。当該酸性基としては、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスフィニコ基{=P(=O)OH}、ホスホノ基{−P(=O)(OH)2}等、並びにこれらの基が酸無水物や酸ハロゲン化物等となったものが例示される。
【0041】
また、該化合物の有するラジカル重合性不飽和基も特に限定されず公知の如何なる基であってもよいが、好ましくは(メタ)アクリル基である。
【0042】
好適に使用できる酸性基含有ラジカル重合性単量体を具体的に例示すると、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸及びその無水物、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェート、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートなどが挙げられる。
【0043】
また、酸性化合物として、塩酸、リン酸等の無機酸、マレイン酸、クエン酸、トリメリット酸等の有機酸、酸ハロゲン化物、さらには酸性イオン交換樹脂、酸性アルミナ、酸性シリカ等も使用できる。
【0044】
これら酸性化合物は2種以上を併用しても良い。
【0045】
歯科用接着性組成物中における、上記重合開始剤の配合量は、特に制限されるものではなく、ラジカル重合開始剤として作用する量であれば如何なる配合量でも構わない。重合活性及び得られる硬化体の強度等の物性、重合に関与しなかった成分の溶出の可能性の点から、歯科用接着性組成物に配合される全ラジカル重合性単量体の合計100質量部に対して、(a)+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物は0.001〜10質量部、(b)有機過酸化物は0.01〜10質量部、(c)アリールボレート化合物は0.01〜10質量部であり、かつ該重合性単量体中、5〜70質量%が酸性基含有ラジカル重合性単量体であるのが好ましい。
【0046】
歯科用接着性組成物に使用できる重合性単量体は、ラジカル連鎖反応により重合するものであれば何ら制限なく使用可能であり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート系単量体類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を複数有する脂肪族系(メタ)アクリレート系単量体類、2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシフェニル)]プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン等の重合性不飽和基を複数有する芳香族系(メタ)アクリレート系単量体類などが挙げられる。
【0047】
また、歯質への接着性を高める目的で配合する酸性基含有ラジカル重合性単量体としては、上述したものが好適に使用される。
【0048】
また、歯科用接着性組成物に、金属の歯冠修復物との接着性を向上させる目的で、特開平10−1409号公報、特開平10−1473号公報、特開平8−113763号公報等に記載の、貴金属接着性モノマーを配合することも好適に採用できる。
【0049】
歯科用接着性組成物に用いるフィラーとしては、有機フィラーでも無機フィラーでもよく、有機フィラーとしてはポリ(メタ)アクリレートが代表的なものとして挙げられ、無機フィラーとしては、石英、バリウムガラス、シリカ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア等が挙げられる。また、無機フィラーとしてはアルミノシリケートガラス等の多価イオン溶出性フィラーも好適に使用することができる。これらフィラー、特に無機フィラーはシランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理したものを用いることが好ましい。
【0050】
また、その他歯科用の接着性組成物の配合成分として公知の添加剤、例えば、重合禁止剤、顔料、染料、紫外線吸収剤等を配合してもよい。
【0051】
このような歯科用接着性組成物は、一般には、酸性基含有ラジカル重合性単量体、それ以外のラジカル重合性単量体、フィラー(および場合によってバナジウム化合物)を主成分とするペーストと、酸性基含有ラジカル重合性単量体以外のラジカル重合性単量体、フィラー、アリールボレート化合物(および場合によって有機過酸化物)を主成分とするペーストとして調製、別個に包装し使用直前に両ペーストを混合する形態、あるいは酸性基含有ラジカル重合性単量体を含む全てのラジカル重合性単量体(および場合によってバナジウム化合物)を主成分とする液と、充填材とアリールボレート化合物(および場合によって有機過酸化物)を主成分とする粉からなる包装が好適な包装形態として例示される。
【0052】
またむろん、本発明の歯科用酸素遮断材は上記以外の歯科用硬化性組成物用として用いてもなんら問題なく、例えば重合開始剤として、前記したような各種有機過酸化物と、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエタノール−p−トルイジンなどのアミンを組み合わせたレドックス開始剤系を用いた歯科用硬化性組成物、該有機過酸化物と該アミン化合物からなる開始剤系にさらに、ベンゼンスルフィン酸やp−トルエンスルフィン酸及びその塩などのスルフィン酸を加えた系、5−ブチルバルビツール酸などのバルビツール酸系開始剤を配合した歯科用硬化性組成物等にも何ら問題なく使用できる。
【0053】
このような歯科用硬化性組成物は、公知の方法に従って製造されたものでよく特に制限されるものではない。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本発明はこれら実施例によって何等制限されるものではない。
【0055】
尚、実施例および比較例で使用した化合物とその略称を以下に示す。
[バナジウム化合物]
VOAA;酸化バナジウム(IV)アセチルアセトナート
BMOV;ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)
[水溶性セルロース]
HPC−37;ヒドロキシプロピルセルロース(置換度1.7 Mw 370000)
[水溶性有機溶媒]
PD;1,2−プロパンジオール
[有機過酸化物]
BPO;ベンゾイルパーオキサイド
パーオクタH;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド
[アリールボレート化合物]
PhBNa;テトラフェニルホウ素ナトリウム
PhBTEOA;テトラフェニルホウ素トリエタノールアミン塩
[酸性化合物]
PM;2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートの混合物
MAC−10;11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカンボン酸
[ラジカル重合性単量体(酸性のもの以外)]
bis−GMA;2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン
3G;トリエチレングリコールジメタクリレート
D2.6E;2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン
[その他成分]
PVA;ポリビニルアルコール(鹸化度86〜90mol% 重合度900〜1100)
DEPT;N,N−ジエタノール−p−トルイジン
DMPT;N,N−ジメチル−p−トルイジン
PTSNa;p−トルエンスルフィン酸ナトリウム
3Si−Zr;不定形シリカ−ジルコニア、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(平均粒径:3μm)
0.3Si−Ti;球状シリカ−チタニア、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(平均粒径:0.3μm)
〔表面未重合量測定方法〕
直径7mm、厚さ1.5mmの孔を有するポリアセタール製の型に、歯科用接着性組成物を填入し、その歯科用接着性組成物の上面に予め調製した酸素遮断材を塗布した。37℃湿潤条件下恒温槽中で15分間放置したのち、エタノールで酸素遮断材および未重合層を除去した。最初に填入した重量からエタノールで未重合部分を除去した後の硬化体の重量を引いたものを未重合量とし、表面積あたりの重さとして求めた。
〔たれ測定方法〕
調製した歯科用酸素遮断材0.05gを平滑なスライドグラス上に採取し、37℃湿潤条件下恒温槽中に垂直に立て、3分後に流動した距離をたれとして測定した。たれが少ないほど賦形性が高い。
〔除去性測定方法〕
牛歯を800番の耐水研磨紙で唇面に平行に研磨して平らなエナメル質面を作製し、その表面に調整した歯科用酸素遮断材を塗布した。その後、37℃湿潤条件下恒温層中に3分間放置した後、歯科用チェア−ユニット付属の水銃により塗布した歯科用酸素遮断材を水洗除去し、下記評価基準に基づいて水洗除去性を評価した。
【0056】
評価基準:
○ 数秒で容易に除去できる
△ 5〜10秒程度要する
× 完全に除去するのに10秒以上要する
〔歯科用接着性組成物の調製〕
1.2gのBisGMAと1.8gの3G、0.2gのPhBTEOA及び0.05のパーオクタHを均一になるまで混合した。ついでこの液に5gの3Si−Zrと5gの0.3Si−Tiを加え練和して均一なペーストを得、これを第一ペーストとした。一方、1gのPM、0.2gのMAC−10、1.2gのD2.6E、0.6gの3G及び0.005gのVOAAを均一になるまで混合し、ついでこの液に5gの3Si−Zrと5gの0.3Si−Tiを加え練和して得られた均一なペーストを第二ペーストとした。使用直前に、この2つのペーストを等量練和して接着性組成物とした。
【0057】
実施例1
VOAA0.005gを95gのPDに攪拌溶解させ、ついで5gのHPC−37を加え、80℃に加熱し均一になるまで攪拌溶解させた後、室温まで冷却し歯科用酸素遮断材を調製した。
【0058】
この酸素遮断材を用いて、表面未重合量を評価したところ、88μg/mm2であり、また、たれおよび水洗除去性も優れていた。
【0059】
比較例1
酸素遮断材を用いないで表面未重合量を評価したところ、540μg/mm2であった。
【0060】
実施例2〜5
表1に示す各組成の本発明の歯科用酸素遮断材を調整し、実施例1と同様にしてその酸素遮断材としての性能を調べた。その結果を表1に示す。何れの酸素遮断材も良好な重合阻害低減効果、賦形性、水洗除去性を示した。
【0061】
実施例6
VOAA0.005gを85gの水に攪拌溶解させ、ついで15gのPVA1000を加え均一になるまで攪拌溶解させ歯科用酸素遮断材を調製した。
【0062】
この酸素遮断材を用いて、表面未重合量を評価したところ、90μg/mm2であり、良好な重合阻害低減効果を示したが、賦形性及び水洗除去性は若干低下した。
【0063】
比較例2
表2に示す各組成の本発明の歯科用酸素遮断材を調整し、実施例1と同様にしてその酸素遮断材としての性能を調べた。その結果を表2に示す。+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を添加していない酸素遮断材では、良好な重合阻害低減効果は得られなかった。
【0064】
比較例3〜8
表2に示す各組成の本発明の歯科用酸素遮断材を調整し、実施例1と同様にしてその酸素遮断材としての性能を調べた。その結果を表2に示す。+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物のかわりに各種成分を添加した系であるが、何れの酸素遮断材を用いても良好な重合阻害低減効果は得られなかった。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】
ラジカル重合性の歯科用硬化性組成物を硬化させる際に、該接着性組成物が大気と接触しないように、本発明の歯科用酸素遮断材を塗布することにより、該接着性組成物の硬化時の重合阻害が低減され、得られた硬化体表面の機械的強度や耐久性が向上する。
Claims (4)
- +IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を含有することを特徴とする歯科用酸素遮断材。
- さらに、水溶性セルロース及び水溶性有機溶媒を含有する請求項1記載の歯科用酸素遮断材。
- (1)下記(a)成分及び/又は(b)成分と、(c)成分と(d)成分とからなる重合開始剤と、(2)ラジカル重合性単量体とを含む歯科用硬化性組成物を硬化させる際に用いるものであることを特徴とする、請求項1又は2記載の歯科用酸素遮断材。
(a)+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物
(b)有機過酸化物
(c)アリールボレート化合物
(d)酸性化合物 - (1)下記(a)成分及び/又は(b)成分と、(c)成分と(d)成分とからなる重合開始剤と、(2)ラジカル重合性単量体とを含む歯科用硬化性組成物と、請求項1〜3記載の歯科用酸素遮断材とからなる歯科用接着キット。
(a)+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物
(b)有機過酸化物
(c)アリールボレート化合物
(d)酸性化合物
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