JP4849917B2 - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は硬化性組成物に関する。更に詳しくは、酸素遮断層を設けることなく硬化時の酸素の影響を低減させた新規な硬化性組成物に関するものである。
硬化性組成物は、重合性単量体と重合開始剤とを基本的に含む材料である。硬化性組成物がラジカル重合性である場合、重合工程を空気中で行うと、硬化した組成物の空気に露出した表面に未重合層が生じる。これは、硬化性組成物の空気に露出した表面では空気中の酸素が硬化性組成物と結合して過酸化物ラジカルとなり、重合の進行を停止するからである。
従来、表面に未重合層を有しない硬化性組成物を提供するためには、窒素雰囲気下や水中での硬化、酸素遮断材を用いて酸素遮断層を設けるなどして、空気との接触を断ち、硬化性組成物をラジカル重合させる方法が行われてきた(例えば、特許文献1、2参照)。
(メタ)アクリレート系重合性単量体をラジカル重合で硬化させる方法は、歯科の分野で広く利用されており、このような方法を使用したものとしては、歯科用セメント、歯科用接着材(ボンディング材)、コンポジットレジン、レジン歯科材料表面の滑沢性付与材、歯牙のマニキュア等が挙げられる。これらの歯科用修復物が硬化体表面に未重合層を有していると、表面硬度や着色性の低下が引き起こされる。また、表面に未重合層があると硬化体の研磨・研削を行う際に未重合層が研磨バーに絡みつくために、その研磨性は低下する。
このような材料を用いた歯科治療は直接口腔内で硬化させて使用することが多く、水中や窒素雰因気下で硬化し、未重合を減少させる方法であると、硬化性組成物を一旦口腔内から取り出すことが必要となり、口腔内で形成した形状が変形してしまう。酸素遮断層を形成するのが困難な症例は多くあり、また、ボンディング材などの粘性の低い材料には酸素遮断材を利用することができない。
このため、酸素遮断層を設けることなく硬化時の酸素の影響を低減させる技術が求められていた。
一方、ラジカル重合性単量体に界面活性剤を添加することにより、歯牙等の硬組織に対する接着剤として使用した場合、刺激や侵襲の少ない硬化性組成物を得られることが報告されている(特許文献3参照)。該硬化性組成物にはさらに希釈溶媒として水を配合し得るが、この場合には、まず水を歯牙等に塗布、乾燥した後に、ラジカル重合性単量体及び界面活性剤を含む成分を塗布、硬化させるという使い方がされる。従って、硬化させる際に硬化性組成物の大気に露出している部分は、水が配合された組成物とはならない。
また同文献には、アニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤を含む水溶液をプライマー組成物として使用することも開示されており、さらにこれにラジカル重合性単量体を配合し得ることも記載されている。しかしながら、このようにラジカル重合性単量体を更に含む場合に如何なる効果が得られるかは記載されていない。
加えて、該文献において、使用される界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が掲げられているが、該イオン性界面活性剤として具体例に示されている化合物は、一分子中に一疎水鎖と一親水基を有する一般的なものしか示されていない。しかして、本発明者らの追試によれば、こうした一般的な界面活性剤を用いた硬化性組成物によれば、硬化時における、前記した酸素の影響の低減にかなり有効であることが確認できたが、その効果は今一歩満足できるレベルではなく、さらに、その形成を高度に抑制することが望ましいものであった。しかも、これら一般的な界面活性剤を配合した硬化性組成物では、該界面活性剤の多くは低温時のラジカル重合性単量体に対する溶解性が悪いものが多いため、室温下で液状のラジカル重合性体単量体に該界面活性剤を溶解させた溶液状の保存形態等のものにあっては、これを低温化で保存しておくと配合されている界面活性剤が析出しやすく保存安定性に劣るという新たな問題も発生した。この場合、十分な性能が発揮されず、析出した界面活性剤を、室温に戻して再び溶解させてから用いなければならない等の欠点があった。
特開2000−128723号公報 特開2004−284969号公報 特開平7−316391号公報
本発明は、酸素の存在する環境下で、酸素遮断材を用いなくても、表面未重合層をほとんど生じない、さらに冷蔵においても、配合されている界面活性剤の析出がほとんどなく、安定に保存可能な硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行なった。その結果、ラジカル重合性単量体に、少量の水と、ジェミニ型等の多量体型界面活性剤を含有させると、高度な重合阻害低減効果が表れ、さらには冷蔵における保存安定性が向上することを見出し、さらに検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ラジカル重合性単量体および有効量のラジカル重合開始剤を基本的に含み、該ラジカル重合開始剤の作用によりラジカル重合性単量体が重合する硬化反応のみにより硬化体を与える歯科用硬化性組成物において、ラジカル重合性単量体100質量部に対して、水0.1〜8質量部、および多量体型イオン性界面活性剤0.01〜10質量部を含有させたことを特徴とする歯科用硬化性組成物である。
本発明の硬化性組成物では、酸素が存在する環境下で、酸素遮断材を用いるなどの特別の手段を用いなくても、表面未重合層の生成を高度に抑制され、その結果、硬化体表面の機械的強度や耐久性が向上した硬化体が得られる。
本発明の硬化性組成物は、ラジカル重合性単量体、水、多量体型イオン性界面活性剤、および重合開始剤を必須成分として含んでなる。ここで、重合開始剤の作用によりラジカル重合性単量体が重合し硬化体を与えるが、この組成物に水および界面活性剤の双方を配合することにより、ラジカル重合性単量体が硬化する際に界面活性剤と水の層が表面に形成され、この界面活性剤と水よりなる層が内部への酸素の侵入を阻害し、表面未重合を低減すると推測される。この効果の発現に対して、本発明では、使用する界面活性剤が、前記の如くに多量体型イオン性界面活性剤、すなわち、一鎖一親水基型のイオン性界面活性剤の少なくとも二分子が、連結基を介して連結された形態の特殊な構造を有するものであるため、その作用が大きく向上しており、結果として、表面未重合層の形成がより顕著に低減できる。
また、一般的に用いられている一疎水鎖一親水基型のイオン性界面活性剤では、冷蔵保存、特に、液状のラジカル重合性単量体に該界面活性剤を溶解させた溶液状の保存形態のものを冷蔵保存した場合に該試薬中に析出するという問題があったが、これも界面活性剤として、上記多量体型のものを用いることにより、低温での析出が抑制され、保存安定性を向上させることができる。
本発明の硬化性組成物に配合されるラジカル重合性単量体は、公知のものを特に制限なく使用することができ、一般には室温下(25℃)で液状のものが用いられる。特に、重合性に優れ、室温近辺でも硬化させやすいという点において、(メタ)アクリル系の重合性単量体が好適である。さらに、硬化時に表面に界面活性剤と水の層が形成される作用がより大きくなり、表面未重合を低減する効果がより向上するという点において、吸水度が20wt%以下のものを用いるのが好ましい。
ここで示す吸水度とは、23℃において飽和吸水させたラジカル重合性単量体の含水量をカール・フィッシャー法により求めた値から計算されるものであり、以下の式で与えられる。
吸水度=含水量(g)/ラジカル重合性単量体の重量(g)×100
また本発明の硬化性組成物において、上記ラジカル重合性単量体は、2種以上の重合性単量体の混合物でもよく、その場合には、上記吸水度は、該混合物における値である(なお、本発明では、重合性単量体混合物も、単に重合性単量体と称する)。
したがって、ヒドロキシエチルメタクリレートのような、単独での吸水度が高いラジカル重合性単量体も、吸水度が低いラジカル重合性単量体と混合することにより全体として吸水度を20wt%以下とすれば、より好ましく使用できる。
単独での吸水度が20wt%以下の(メタ)アクリル系重合性単量体としては以下のような化合物が挙げられる。
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、モノエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ノナメチレンジオールメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
上記化合物の中でもとくに、2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ノナメチレンジオールメタクリレート等は単独での吸水度が5wt%を遥かに下回り、より好ましく使用できる。
また、単独での吸水度が20wt%を上回る(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、平均分子量400のポリエチレングリコールのジメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロゲンホスフェート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロゲンホスフェート等が挙げられ、本発明ではこれらのラジカル重合性単量体も使用でき、吸水度が低いラジカル重合性単量体と混合することにより全体として吸水度を20wt%以下とすれば、より好ましく使用できる。
これらのラジカル重合性単量体において、単官能の単量体と二官能或いは三官能以上の単量体とを組み合わせて用いた場合、該二官能あるいは三官能以上の単量体を多く配合することにより、表面未重合量とは別に、最終的に得られる硬化体の強度や耐久性などの機械的物性も良好なものとすることができ好ましい。
さらにまた、本発明の硬化性組成物においては、前記(メタ)アクリル系重合性単量体に加えて、重合の容易さ、粘度の調節、あるいはその他の物性の調節のために、上記(メタ)アクリル系重合性単量体以外の他のラジカル重合性単量体を混合して用いることも可能である。これら他の重合性単量体を例示すると、フマル酸モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル類;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン等のスチレンあるいはα−メチルスチレン誘導体;ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、ジアリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物等を挙げることができる。これら他の重合性単量体もまた単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において水は、配合量が多いほど表面未重合層の形成を低減できるが、配合量が少ない方が曲げ強度等の機械的物性に与える影響は小さい。したがって、水の配合量は、ラジカル重合性単量体100質量部に対して0.1〜8質量部の範囲とする
本発明において使用する界面活性剤は、多量体型イオン性界面活性剤である。ここで、多量体型イオン性界面活性剤とは、一鎖一親水基型のイオン性界面活性剤の少なくとも二分子が連結基により、夫々の、親水基や、或いは疎水基を含む鎖(疎水鎖)の一部で、連結基を介して連結された形態の界面活性剤を言う。通常は、一鎖一親水基型のイオン性界面活性剤の二分子が連結されたものが一般的であり、これらはジェミニ型のイオン性界面活性剤と呼称されている。ラジカル重合性単量体を含む硬化性組成物に、界面活性剤および水を配合して表面未重合の発生を低減する場合、該界面活性剤がこのように多量体型イオン性界面活性剤であると、その低減効果をさらに大きく向上させることができる。また、低温でのラジカル重合性単量体に対する溶解性も大きく向上し、試薬の冷蔵保存時の析出を良好に抑制することができる。
上記多量体型イオン性界面活性剤において、連結された一鎖一親水基型の界面活性剤ユニットの数は、通常、10個以下であり、2〜6個がより好ましく、入手のし易さ等から2個(ジェミニ型界面活性剤)が最も好ましい。なお、連結された一鎖一親水基型の界面活性剤ユニットは、通常は同種のもの同士であるのが一般的であるが、イオン性界面活性剤における同じ荷電を有するもの同士の関係において異種のものであっても良い。
多量体型イオン性界面活性剤を構成する一鎖一親水基型イオン性界面活性剤は、カチオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤の何れであっても良い。このようにカチオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤であるのが、非イオン性界面活性剤であるのに対して、硬化時の表面未重合の低減効果が高く好ましい。さらに、こうしたイオン性界面活性剤を用いれば、低温でのラジカル重合性単量体に対する溶解性の向上効果もより優れたものになり、試薬の冷蔵保存時の析出も特に良好に抑制することができる。これらの効果が良好さからは、アニオン性界面活性剤であるのが最も好ましい。
ここで、カチオン性基としては、公知のものが制限なく使用できるが、具体的には、アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基、スルホニウム塩基等のオニウム塩基が挙げられる。このうち、カチオン中心原子上の置換基として、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基から選択される、第一級〜第四級アンモニウム塩基および第一級〜第四級ホスホニウム塩基が好ましく、より具体的には、トリメチルアンモニウム塩基、トリエチルアンモニウム塩基、エチルメチルアンモニウム塩基、ジイソプロピルアンモニウム塩基、n−ブチルアンモニウム塩基、およびこれらの対応するホスホニウム塩基等が好ましい。また、これらの塩基を形成する対アニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、ホスフィン酸イオン、亜リン酸イオン、およびホスホン酸イオン等が挙げられる。
また、アニオン性基も、公知のものが制限なく使用でき、具体例を挙げれば、スルホン酸塩基、硫酸塩基、カルボン酸塩基、リン酸塩基、ホスフィン酸塩基、亜リン酸塩基、およびホスホン酸塩基を有する基等が挙げられる。これらの塩基を形成する対イオンとしては、アルカリ金属イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(カルシウムイオン等)、およびテトラメチルアンモニウムイオン等のオニウムイオン等が挙げられる。
さらに、疎水鎖となる部分は、通常、炭素数4〜20、好適には6〜18の脂肪族炭化水素基が挙げられ、具体的には、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、テキシル基、2−エチルヘキシル基、10−メチルウンデシル基、16−メチルヘプタデシル基等のアルキル基;プレニル基、2,4−ヘキサジエニル基、ゲラニル基、オレイル基、ファルネシル基等の1個または隣接しない複数個の二重結合を有するアルケニル基等が挙げられる。また、これらの脂肪族炭化水素基は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子等のカルコゲン原子;窒素原子を含んでいてもよい。
一鎖一親水基型の界面活性剤ユニットの二分子を連結する連結基は、アルキレン基が挙げられ、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、特に、炭素数2〜6のものが好ましい。これらの連結基は、疎水鎖が有する炭素原子に結合するか、或いは該疎水鎖に介在される窒素原子に結合することにより、一鎖一親水基型界面活性剤に連結されているのが一般的である。
本発明で好適に使用できる多量体型イオン性界面活性剤の中でも、以下の一般式(1)〜(4)で示されるものが、表面未重合の低減効果や保存時の析出防止効果が、より高くて好ましい。
一般式(1)
Figure 0004849917
(上式中、Rは、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、RおよびRは夫々独立に、置換基としてハロゲン原子、酸素原子、水酸基、若しくはアミノ基を有していても良い炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基(但し、鎖中には、カルコゲン原子、または窒素原子が介在していても良い)を表し、RおよびRは夫々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、XおよびYは、夫々同種または同じ荷電を有する関係で異種のカチオン性基またはアニオン性基を表し、Zは、水素原子、または置換基としてハロゲン原子、酸素原子、水酸基、アミノ基、若しくは前記XおよびYと同種若しくは同じ荷電を有する関係で異種のカチオン性基若しくはアニオン性基を有していても良い炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基(但し、鎖中には、カルコゲン原子、または窒素原子が介在していても良い)を表し、nは0≦n≦4を満たす整数であり、2≦n≦4のとき、Zは互いに同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(1)で示される化合物において、Rの炭素数1〜12のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ノナメチレン等が挙げられ、このうち特に炭素数2〜6のものが好ましい。RおよびRの炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、テキシル基、2−エチルヘキシル基、10−メチルウンデシル基、16−メチルヘプタデシル基等のアルキル基、および、プレニル基、2,4−ヘキサジエニル基、ゲラニル基、オレイル基、ファルネシル基等の1個または隣接しない複数個の二重結合を有するアルケニル基等が挙げられ、このうち特に炭素数が6〜18で二重結合が0〜2個のものが好ましい。これらの脂肪族炭化水素基は、置換基として、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、酸素原子、水酸基、またはアミノ基を有するものであっても良い。また、これら脂肪族炭化水素基は、鎖中に、カルコゲン原子(酸素原子、硫黄原子等)、または窒素原子が介在(通常、1〜2個)するものであっても良い。RおよびRの炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ノナメチレン等が挙げられ、このうち特に炭素数1〜6のものが好ましい。
およびYの、同種または同じ荷電を有する関係で異種の、カチオン性基またはアニオン性基のうち、カチオン性基としては、アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基、スルホニウム塩基等のオニウム塩基が挙げられる。このうち、カチオン中心原子上の置換基として、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基から選択されるたもを有する、第一級〜第四級アンモニウム塩基および第一級〜第四級ホスホニウム塩基が好ましく、より具体的には、トリメチルアンモニウム塩基、トリエチルアンモニウム塩基、エチルメチルアンモニウム塩基、ジイソプロピルアンモニウム塩基、n−ブチルアンモニウム塩基、およびこれらの対応するホスホニウム塩基等が好ましい。また、これらの塩基を形成する対アニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、ホスフィン酸イオン、亜リン酸イオン、およびホスホン酸イオン等が挙げられる。アニオン性基としては、スルホン酸塩基、硫酸塩基、カルボン酸塩基、リン酸塩基、ホスフィン酸塩基、亜リン酸塩基、およびホスホン酸塩基を有する基等が挙げられ、これらの塩基を形成する対イオンとしては、アルカリ金属イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(カルシウムイオン等)、およびテトラメチルアンモニウムイオン等のオニウムイオン等が挙げられる。
Zの炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基は、前記したRおよびRの脂肪族炭化水素基と同義のものに、さらに置換基として、前記したXおよびYと同種もしくは同じ荷電を有する関係で異種のカチオン性基またはアニオン性基を有していても良いものである。
このような多量体型イオン性界面活性剤(1)の具体例として、以下の一般式(1a)〜(1j)に示すものが挙げられる。
Figure 0004849917
これらの多量体型イオン性界面活性剤(1a)〜(1j)はいずれも好適に使用できるが、なかでも式(1a)に示されるものは、硬化時の表面未重合低減効果が特に大きい点や、低温状態における保存安定性にすぐれている点で、より好ましく使用できる。
一般式(2)
Figure 0004849917
(上式中、Rは、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、RおよびRは夫々独立に、置換基としてハロゲン原子、酸素原子、水酸基、若しくはアミノ基を有していても良い炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基(但し、鎖中には、カルコゲン原子、または窒素原子が介在していても良い)を表し、RおよびR10は夫々独立に、水素原子、または置換基としてハロゲン原子、酸素原子、水酸基、若しくはアミノ基を有していても良い炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基(但し、鎖中には、カルコゲン原子、または窒素原子が介在していても良い)を表し、R11およびR12は夫々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、XおよびYは、夫々同種または同じ荷電を有する関係で異種のカチオン性基またはアニオン性基を表す。)
上記一般式(2)で示される化合物において、Rの炭素数1〜12のアルキレン基は、一般式(1)のRと同義であり、RおよびRの炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基は、一般式(1)のRおよびRと同義であり、RおよびR10の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、テキシル基、2−エチルヘキシル基、10−メチルウンデシル基、16−メチルヘプタデシル基等のアルキル基、および、プレニル基、2,4−ヘキサジエニル基、ゲラニル基、オレイル基、ファルネシル基等の1個または隣接しない複数個の二重結合を有するアルケニル基等が挙げられる。これらの脂肪族炭化水素基は、置換基として、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、酸素原子、水酸基、またはアミノ基を有するものであっても良い。また、これら脂肪族炭化水素基は、鎖中に、カルコゲン原子(酸素原子、硫黄原子等)、または窒素原子が介在(通常、1〜2個)するものであっても良い。
11およびR12の炭素数1〜10のアルキレン基は、一般式(1)のRおよびRと同義であり、XおよびYの、それぞれ同種または同じ荷電を有する関係で異種の、カチオン性基またはアニオン性基は、一般式(1)のXおよびYと同義である。
このようなジェミニ型のイオン性界面活性剤(2)の具体例として、以下の一般式(2a)〜(2e)に示すものが挙げられる。
Figure 0004849917
一般式(3)
Figure 0004849917
(上式中、R13は、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、R14およびR15は夫々独立に、置換基としてハロゲン原子、酸素原子、水酸基、若しくはアミノ基を有していても良い炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基(但し、鎖中には、カルコゲン原子、または窒素原子が介在していても良い)を表し、R16およびR17は夫々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、XおよびYは、それぞれ同種または同じ荷電を有する関係で異種の、カチオン性基またはアニオン性基を表す。)
上記一般式(3)で示される化合物において、R13の炭素数1〜12のアルキレン基は、一般式(1)のRと同義であり、R14およびR15の炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基は、一般式(1)のRおよびRと同義であり、R16およびR17の炭素数1〜10のアルキレン基は、一般式(1)のRおよびRと同義であり、XおよびYの、夫々同種または同じ荷電を有する関係で異種の、カチオン性基またはアニオン性基は、一般式(1)のXおよびYと同義である。
このような多量体型イオン性界面活性剤(3)の具体例として、以下の一般式(3a)〜(3e)に示すものが挙げられる。
Figure 0004849917
一般式(4)
Figure 0004849917
(上式中、R18は、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、R19およびR20は、夫々独立に、置換基としてハロゲン原子、酸素原子、水酸基、若しくはアミノ基を有していても良い炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基(但し、鎖中には、カルコゲン原子、または窒素原子が介在していても良い)を表し、R21およびR22は夫々独立に、水素原子、または置換基としてハロゲン原子、酸素原子、水酸基、若しくはアミノ基を有していても良い炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基(但し、鎖中には、カルコゲン原子、または窒素原子が介在していても良い)を表し、R23およびR24は夫々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、XおよびYは、それぞれ同種または同じ荷電を有する関係で異種の、カチオン性基またはアニオン性基を表し、xおよびyは、0または1であり、互いに同じでも異なっていてもよい。)
上記一般式(4)で示される化合物において、R18の炭素数1〜12のアルキレン基は、一般式(1)のRと同義であり、R19およびR20の炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基は、一般式(1)のRおよびRと同義であり、R21およびR22の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、一般式(2)のRおよびR10と同義であり、R23およびR24の炭素数1〜10のアルキレン基は、一般式(1)のRおよびRと同義であり、XおよびYの、それぞれ同種または同じ荷電を有する関係で異種の、カチオン性基またはアニオン性基は、一般式(1)のXおよびYと同義である。
このような多量体型イオン性界面活性剤(4)の具体例として、以下の一般式(4a)〜(4e)に示すものが挙げられる。
Figure 0004849917
このほか、以下に示す式(5)〜(9)のような多量体型イオン性界面活性剤も好適に使用できる。
Figure 0004849917
これらの多量体型イオン性界面活性剤の中にあっても、一般式(1)で示されるものが、表面未重合の低減効果や保存時の析出防止効果が特に高く好ましい。なお、これらの多量体型イオン性界面活性剤のHLBは、表面未重合を低減する効果や冷蔵保存時の安定性の点から、HLB値が5〜40のものが、より好ましく使用できる。
また、該多量体型イオン性界面活性剤は、その配合量が多いほど表面未重合層の形成を低減できるが、飽和濃度を超えて析出するまで配合した場合には重合が阻害され、表面未重合重量が増加する虞もある。他方、配合量が少なすぎても、表面未重合層の形成の低減効果は低下してくる。したがって、多量体型界イオン性面活性剤の配合量は、ラジカル重合性単量体100質量部に対して0.01〜10質量部であることが必要であり、好適には0.05〜9質量部である。
さらに、これらの多量体型イオン性界面活性剤は単独で使用するだけでなく、必要に応じて複数の種類を組み合わせて用いることもできる。
本発明の硬化性組成物には、前記ラジカル重合性単量体を重合させるための重合開始剤が配合される。当該重合開始剤としては、用いるラジカル重合性単量体を重合、硬化させることができるものであれば何ら制限なく使用可能であり、公知の重合開始剤が使用可能である。歯科分野で用いられる重合開始剤としては、化学重合開始剤(常温レドックス開始剤)、光重合開始剤、熱重合開始剤等があるが、口腔内で硬化させることを考慮すると、化学重合開始剤及び/又は光重合開始剤が好ましい。
化学重合開始剤は、2成分以上からなり、使用直前に全成分が混合されることにより室温近辺で重合活性種を生じる重合開始剤である。このような化学重合開始剤としては、アミン化合物/有機過酸化物系のものが代表的である。
該アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエタノール−p−トルイジンなどの芳香族アミン化合物が例示される。
代表的な有機過酸化物としては、公知のケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリールパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネートに分類される有機過酸化物が好ましい。
より具体的には、ケトンパーオキサイド類としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。ハイドロパーオキサイド類としては、P−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等が挙げられる。ジアシルパーオキサイド類としては、イソブチリルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド類が挙げられる。パーオキシカーボネート類としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステル類としては、α,α−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート等が挙げられる。
また、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等も好適な有機過酸化物として使用できる。
使用する有機過酸化物は、適宜選択して使用すればよく、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもなんら構わないが、中でもハイドロパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシエステル類およびジアシルパーオキサイド類が重合活性の点からとくに好ましい。さらにこの中でも、硬化性組成物としたときの保存安定性の点から10時間半減期温度が60℃以上の有機過酸化物を用いるのが好ましい。
該有機過酸化物と該アミン化合物からなる開始剤系にさらに、ベンゼンスルフィン酸やp−トルエンスルフィン酸及びその塩などのスルフィン酸を加えた系、5−ブチルバルビツール酸などのバルビツール酸系開始剤を配合してもなんら問題なく使用できる。
また、アリールボレート化合物が酸により分解してラジカルを生じることを利用した、アリールボレート化合物/酸性化合物系の重合開始剤を用いることもできる。
アリールボレート化合物は、分子中に少なくとも1個のホウ素−アリール結合を有する化合物であればとくに限定されず公知の化合物が使用できるが、その中でも、保存安定性を考慮すると、1分子中に3個または4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物を用いることが好ましく、さらには取り扱いや合成・入手の容易さから4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物を用いることがより好ましい。
1分子中に3個のホウ素−アリール結合を有するボレート化合物として、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリス(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−フルオロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリス(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す)の、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
また、1分子中に4個のホウ素−アリール結合を有するボレート化合物として、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素〔ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す〕の、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
これらアリールボレート化合物は2種以上を併用しても良い。
上記の酸性化合物としては、酸性基含有ラジカル重合性単量体が好適に使用でき、1分子中に少なくとも1つの酸性基、又は当該酸性基の2つが脱水縮合した酸無水物構造、あるいは酸性基のヒドロキシル基がハロゲンに置換された酸ハロゲン化物基と、少なくとも1つのラジカル重合性不飽和基とを有する化合物であればとくに限定されず、公知の化合物を用いることができる。ここで酸性基とは、該基を有するラジカル重合性単量体の水溶液または水懸濁液が酸性を呈す基を示す。当該酸性基としては、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスフィニコ基{=P(=O)OH}、ホスホノ基{−P(=O)(OH)}等、ならびにこれらの基が酸無水物や酸ハロゲン化物等となったものが例示される。このような酸性基含有ラジカル重合性単量体の具体例としては、前記本発明におけるラジカル重合性単量体において例示した通りである。
またこのようなアリールボレート化合物/酸性化合物系の重合開始剤に、さらに有機過酸化物および/または遷移金属化合物を組み合わせて用いることも好適である。有機過酸化物としては前記した通りである。遷移金属化合物としては+IV価および/または+V価のバナジウム化合物が好適である。該+IV価および/または+V価のバナジウム化合物を具体的に例示すると、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)等のバナジウム化合物が挙げられる。
光重合開始剤としては2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド誘導体、ジアセチル、アセチルベンゾイル、ベンジル、2,3−ペンタンジオン、2,3−オクタンジオン、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等のα−ジケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル;2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン誘導体;ベンゾフェノン、p,p’−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体が好適に使用される。
これら光重合開始剤は単独でまたは2種以上を混合して用いても差し支えない。上記光重合開始剤の中でも、重合活性の良さ、生体への為害性の少なさ等の点からα−ジケトン類が好ましい。またα−ジケトンを用いる場合には、第3級アミン化合物と組み合わせて用いることが好ましい。α−ジケトンと組み合わせて用いることのできる第3級アミン化合物としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、p−ジメチルアミノスチルベン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等が挙げられる。
上記の各重合開始剤はそれぞれ単独で併用されるだけでなく、必要に応じて複数の種類を組み合わせて併用することもできる。
本発明において、上記重合開始剤の配合量は、前記ラジカル重合性単量体を重合し、本発明の硬化性組成物を硬化させる量であれば特に限定されず、用いた重合開始剤やラジカル重合性単量体の種類に応じて、公知の配合量を適宜選択すればよい。一般的には、ラジカル重合性単量体100質量部に対して重合開始剤が0.01〜30質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部である。但し、前記酸性基含有ラジカル重合性単量体のように、ラジカル重合性の化合物を重合開始剤の一成分として用いる場合には、該化合物以外の重合開始剤を構成する成分の量を上記範囲とすることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、表面身重合層の形成が抑制されて硬化体が得られる利点を生かして、歯科用の種々の硬化性材料に適用できる。のままで、各種レジン系歯科材料表面の滑沢性付与、歯牙のマニキュアおよび変色歯の補修等の目的で使用される表面滑沢材や接着材として用いることができる。また、フィラーと組み合わることにより、より広範な用途に用いることができ、例えば、有機フィラーと組み合わせた場合には、義歯の補修材料、裏層用の材料、治療経過途中に一旦患者を帰してから治療を再開するまでの数日間、窩洞に充填される仮封材及び暫間的なクラウン、並びにブリッジの作製材料等として好適に使用される。また、無機フィラーと組み合わせた場合には、コンポジットレジン、硬質レジン、インレー、アンレー、クラウン等、歯科用修復材料として好適に使用される。
好適に使用できる代表的なフィラーを具体的に例示すれば、有機フィラーとしてポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、これらは一種または二種以上の混合物として用いることができる。
また、代表的な無機フィラーを具体的に例示すれば、石英、シリカ、アルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス等が挙げられる。さらに無機フィラーの内、カチオン溶出性フィラーとしては、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム等の水酸化物、酸化亜鉛、ケイ酸塩ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等の酸化物が挙げられる。これらもまた、一種または二種以上を混合して用いてもなんら差し支えない。
また、これら無機フィラーに重合性単量体を予め添加し、ペースト状にした後、重合させ、粉砕して得られる粒状の有機−無機複合フィラーを用いる場合もある。
これらフィラーの粒径は特に限定されず、一般的に歯科用材料として使用されている0.01μm〜100μmの平均粒子径のフィラーが目的に応じて適宜使用できる。また、フィラーの屈折率も特に限定されず、一般的な歯科用フィラーが有する1.4〜1.7の範囲のものが制限なく使用できる。
さらに、上記したフィラーの中でもとりわけ球状の無機フィラーを用いると、得られる硬化体の表面滑沢性が増し、優れた修復材料となり得る。
上記した無機フィラーは、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することが、重合性単量体とのなじみをよくし、機械的強度や耐水性を向上させる上で望ましい。表面処理の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好適に用いられる。
これらのフィラーの割合は、使用目的に応じて、重合性単量体と混合した時の粘度(操作性)や硬化体の機械的物性を考慮して適宜決定すればよいが、一般的には、重合性単量体100質量部に対して50〜1500質量部、好ましくは70〜1000質量部の範囲で用いられる。
本発明の硬化性組成物には、さらに歯牙や歯肉の色調に合わせるため、顔料、蛍光顔料等の着色材料を配合したり、紫外線に対する変色防止のため紫外線吸収剤を添加したりしてもよい。また、保存安定性を向上させるために、重合禁止剤を配合することも好ましい。
本発明の硬化性組成物は、上記(1)ラジカル重合性単量体、(2)水、(3)多量体型イオン性界面活性剤、(4)ラジカル重合開始剤、および必要に応じて配合されるフィラーなどの任意成分が、使用時に均一に混合されている。ここで均一とは、全成分が相互に溶解した状態のみならず、ラジカル重合性単量体中に水が乳濁した状態や、フィラーのような不溶性成分が分散した状態であってもよく、肉眼で相分離等が確認できない程度の均一さでよい。また、保存安定性などを考慮して、使用直前まで2つ以上に分割しておいてもよい。

このような硬化性組成物は、公知の方法に従って製造されたものでよく、とくに制限されるものではない。
また、本発明の硬化性組成物は、歯科用途のみならず一般工業にも利用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本発明はこれら実施例によってなんら制限されるものではない。
なお、実施例および比較例で使用した化合物とその略称を以下に示す。
[ラジカル重合性単量体]
AAEM;アセトアセトキシエチルメタクリレート
ND;ノナメチレンジオールジメタクリレート
HD;1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
14G;ポリエチレングリコール(14)ジメタクリレート
3G;トリエチレングリコールジメタクリレート
HEMA;ヒドロキシエチルメタクリレート
Bis−GMA;2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン
PM;2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロゲンホスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロゲンホスフェートの混合物
MAC−10;11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸
D−2.6E;2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン
[界面活性剤]
(多量体型界面活性剤)
前記した一般式(1a)〜(1j)、(2a)〜(2e)、(3a)〜(3e)、(4a)〜(4e)、(5)〜(9)の各構造式の化合物の夫々を使用した。
(一鎖一親水基型界面活性剤)
CH(CH11OSONa (10a)
CH(CHOSONa (10b)
CH(CH11N(CHCl (10c)
[重合開始剤]
(有機過酸化物)
BPO;ベンゾイルパーオキサイド
パーオクタH;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド
(アミン化合物)
PEAT;N,N−ジエチル−p−トルイジン
DMBE;ジメチル安息香酸エチル
DEPT;N,N−ジエタノール−p−トルイジン
(α−ジケトン)
CQ;カンファーキノン
(アリールボレート化合物)
PhBTEOA;テトラフェニルホウ素トリエタノールアミン塩
(バナジウム化合物)
VOAA;酸化バナジウム(IV)アセチルアセトナート
[フィラー]
3Si−Zr;不定形シリカ−ジルコニア、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(平均粒径:3μm)
0.3Si−Ti;球状シリカ−チタニア、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(平均粒径:0.3μm)
〔ラジカル重合性単量体の吸水度測定方法〕
重合性単量体を23℃において水と混合し、飽和吸水させたラジカル重合性単量体の含水量をカールフィッシャー(MODEL CA−02、三菱化学社製)により測定した。
〔表面未重合重量測定方法〕
一辺3cm、深さ2mmのシリコーン製の型に、歯科用硬化性組成物を填入し、湿潤条件下37℃恒温槽中で15分間放置するか(実施例46及び比較例7以外)、もしくは可視光線照射器(トクヤマ社製、パワーライト)により光照射を30秒間行い(実施例46及び比較例7)硬化させ、硬化体の重量を測定した。その後、エタノールで硬化体の表面未重合層を除去し、再び重量を測定した。表面未重合層を除去する前後の重量の差を未重合重量とし、単位面積あたりの重量として求めた。
〔曲げ強度測定方法〕
幅4mm、厚さ2mm、長さ40mmの長方形の孔を有するポリアセタール製の型に、硬化性組成物を填入し、湿潤条件下37℃恒温槽中で15分間放置し硬化させるか、もしくは可視光線照射器(トクヤマ社製、パワーライト)により光照射を30秒間行い硬化させた。強度試験機(島津製作所社製、オートグラフ)によりクロスヘッド速度1mm/分、スパン距離15mmの条件で3点曲げ試験を行い曲げ強度を求めた。
〔保存安定性試験〕
試薬を4℃の冷蔵庫で1週間保存し、サンプルからの界面活性剤の析出の有無を調べて、以下の3段階で評価した。
界面活性剤は析出しておらず、透明である。 ○
界面活性剤は析出しておらず、懸濁している。 △
界面活性剤が析出している。 ×
実施例1
ラジカル重合性単量体として、AAEMとNDと14Gとが重量比58.5:38.5:3.0の組成で混合されたもの(吸水度は1.2wt%)を用いて評価を行った。即ち、この組成のラジカル重合性単量体100質量部に、BPOを1質量部混合したA液と、同じラジカル重合性単量体100質量部に、水を3質量部、一般式(1a)の多量体型界面活性剤を0.1質量部、PEATを2質量部混合したB液とを調製した。このB液を用いて保存安定性試験を実施して評価した。
次いで、このA液とB液とを質量比で1:1となるように計りとり、混合して硬化体を作製し表面未重合重量を測定した。得られた硬化体の表面未重合重量は53μg/mmであった。
実施例2〜30
多量体型界面活性剤の種類を表1に記載したものに変えた以外は、実施例1と同様にして硬化体を作製し、その物性を評価した。結果を併せて表1に示した。
比較例1〜3
多量体型界面活性剤の代わりに一鎖一親水基型界面活性剤(10a)〜(10c)を用いる以外は、実施例1と同様にして硬化体を作製し、その物性を評価した。結果を併せて表1に示した。
Figure 0004849917
実施例31〜40
用いる水と多量体型界面活性剤の量を、表2に記載したように変化させた以外は、実施例1と同様に実施して硬化体を作製し、その物性を評価した。結果を、実施例1と併せて表2に示した。
比較例4〜7
実施例1において、用いる水の量を表2に示した量に変更し、さらに、多量体型界面活性剤の代わりに、一鎖一親水基型界面活性剤(10a),(10b)を表2に示した量で使用した以外は、実施例1と同様にして硬化体を作製し、その物性を評価した。結果を、比較例1,2と併せて表2に示した。
Figure 0004849917
実施例41,42
ラジカル重合性単量体として、AAEMとHEMAとが重量比70:30および50:50の組成で混合されたものを用いた以外は、実施例1と同様にして硬化体を作製し、その物性を測定した。結果を併せて表3に示した。
実施例43,44
ラジカル重合性単量体として、Bis−GMAと3Gとが重量比30:70および40:60の組成で混合されたものを用いた以外は、実施例1と同様にして硬化体を作製し、その物性を評価した。結果を併せて表3に示した。
実施例45
ラジカル重合性単量体としてHDを用いた以外は、実施例1と同様にして硬化体を作製し、その物性を評価した。結果を併せて表3に示した。
比較例8〜12
多量体型界面活性剤の代わりに一鎖一親水基型界面活性剤(10a)を用い、実施例41〜45で用いたラジカル重合性単量体と、BPOとPEATからなる重合開始剤を用いて、実施例41〜45と同様に実施して硬化体を作製し、その物性を評価した。結果を併せて表3に示した。
Figure 0004849917
実施例46
ラジカル重合性単量体としてBis−GMAと3Gとが重量比30:70の組成で混合されたものを用い、多量体型界面活性剤として式(1a)のものを用い、遮光下、表4に示す組成で硬化性組成物を調製し、これを可視光照射器により硬化させて硬化体を作製し、表面未重合重量を測定した。結果を併せて表4に示した。
比較例13
多量体型界面活性剤の代わりに一鎖一親水基型界面活性剤(10a)を用いる以外は、実施例46と同様に実施して硬化体を作製し、表面未重合重量を測定した。結果を併せて表4に示した。
実施例47
多量体型界面活性剤として式(1a)のものを用い、表4に示す組成となるようA液、B液の2つに分けて組成物を調製し、これらを質量比が1:1となるように計りとり、混合して硬化体を作製し、その表面未重合重量を測定した。結果を併せて表4に示した。
比較例14
多量体型界面活性剤の代わりに一鎖一親水基型界面活性剤(10a)を用いる以外は、実施例47と同様に実施して硬化体を作製し、表面未重合重量を測定した。結果を併せて表4に示した。
Figure 0004849917
実施例48
多量体型界面活性剤として式(1a)のものを用い、表5に示す組成となるようA液、B液の2つに分けて硬化性組成物を調製し、これらを質量比が1:1となるように計りとり、混合して硬化体を作製し、その表面未重合重量を測定した。結果を併せて表5に示した。
比較例15
多量体型界面活性剤の代わりに一鎖一親水基型界面活性剤(10a)を用いる以外は、実施例48と同様に実施して硬化体を作製し、表面未重合重量を測定した。結果を併せて表5に示した。
Figure 0004849917

Claims (3)

  1. ラジカル重合性単量体および有効量のラジカル重合開始剤を基本的に含み、該ラジカル重合開始剤の作用によりラジカル重合性単量体が重合する硬化反応のみにより硬化体を与える歯科用硬化性組成物において、ラジカル重合性単量体100質量部に対して、水0.1〜8質量部、および多量体型イオン性界面活性剤0.01〜10質量部を含有させたことを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  2. 多量体型界面活性剤が、ジェミニ型界面活性剤である請求項1記載の歯科用硬化性組成物。
  3. ラジカル重合性単量体の吸水度が20wt%以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の歯科用硬化性組成物。
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