JP7283737B2 - 歯科用接着性組成物及び歯科用接着性組成物包装体 - Google Patents
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Description
上記歯科用接着性組成物は、1液型であり、100質量部の(A)重合性単量体と、0.05質量部~2質量部の(B)二価の銅化合物と、(C)過酸化物と、(D)光重合開始剤と、1質量部~50質量部の(E)水と、10質量部~300質量部の(F)有機溶媒と、を含有し、かつ還元剤を含有しない。
(A)重合性単量体は、1質量部~40質量部の(a1)酸性基含有重合性単量体を含む。
(C)過酸化物は、0.1質量部~10質量部の(c1)有機過酸化物と、0.01質量部~5質量部の(c2)無機過酸化物と、の少なくとも一方を含む。
(D)光重合開始剤は、0.1質量部~10質量部の(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドを含む。
このとき、この接着性組成物では、(B)二価の銅化合物がラジカル重合を活性化させる重合促進剤として機能する。このため、この接着性組成物では、(B)二価の銅化合物を必須の構成要素として含むことにより、化学重合型の硬化が促進されるため、充分な硬化が得られやすくなる。
また、この接着性組成物では、充填後の充填材料を硬化させるための光照射の際に、充填材料を透過した光によって光重合型の硬化が進行する。このとき、この接着性組成物では、単分子開裂型の高活性の光重合開始剤である(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドの作用によって少量の光によっても硬化が充分に進行する。
つまり、この接着性組成物では、一般的な充填材料に含まれる芳香族アミンを還元剤として利用することで化学重合型の硬化を実現することができる。また、この接着性組成物では、充填材料の硬化のための光照射に伴う少量の光を有効に利用可能な構成により光重合型の硬化を実現することができる。
以上のように、上記の構成では、未硬化の接着性組成物上に充填材料を充填した後に、接着性組成物を充分に硬化させることで、高い接着強度の接着層を形成することができる。したがって、この接着性組成物では、充填材料の充填前の段階での硬化が不要な1液型の構成を実現することができる。
この接着性組成物では、(G)多価金属化合物が(a1)酸性基含有重合性単量体と架橋することによって、より高い接着強度の接着層が得られる。また、この接着性組成物では、(G)多価金属化合物を予め(a1)酸性基含有重合性単量体と架橋させることで、保管時に(G)多価金属化合物と(a1)酸性基含有重合性単量体との架橋により生成される銅化合物の析出を抑制することができる。これにより、この接着性組成物では、保管後における銅化合物の析出による接着強度の低下を抑制することができる。
この接着性組成物では、フィラーとしてヒュームドシリカを用いることにより、より高い接着強度の接着層が得られる。また、平均一次粒子径の小さいヒュームドシリカを用いることにより、添加量を多くしてもヒュームドシリカが沈降しにくくなる。したがって、この接着性組成物では、ヒュームドシリカの添加量を多くすることによって、更に接着強度の高い接着層を形成することができる。
(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドでは、光の吸収波長が、一般的な充填材料に含まれるα-ジケトンと若干ずれている。このため、α-ジケトンを含有する充填材料では、照射光のうち(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドの吸収波長の光がα-ジケトンに吸収されずに透過されやすくなる。これにより、接着性組成物では、光重合型の硬化が促進される。
この構成では、パーオキシエステル類が有機過酸化物の中でも酸性基含有重合性単量体との共存下における安定性が特に良好であるため、接着性組成物の保存安定性が向上する。
この歯科用接着性組成物は、上記のとおり1液型の構成において高い保存安定性が得られる。このため、予め調製された歯科用接着性組成物を単一の遮光性容器に充填した接着性組成物包装体を商品形態とすることができる。
本発明の一実施形態に係る歯科用接着性組成物(以下、単に接着性組成物と呼称する。)は、齲蝕等により損傷を受けた歯牙を修復するために利用可能である。より詳細に、接着性組成物は、歯牙の損傷部に充填される歯科用充填材料(以下、単に充填材料と呼称する。)を、当該損傷部の表面を構成する歯質に接着するために利用可能である。
[(A)重合性単量体]
(A)重合性単量体は、1分子中に少なくとも1つのラジカル重合性不飽和基を有する化合物である。本実施形態に係る接着性組成物では、(A)重合性単量体がラジカル重合することによって硬化する。(A)重合性単量体は、少なくとも(a1)酸性基含有重合性単量体を含む。
(a1)酸性基含有重合性単量体は、従来の歯科用接着剤に使用される酸性基含有重合性単量体と特に変わる点は無く、1分子中に、重合性不飽和基に加え、少なくとも1つの酸性基を含む酸性の重合性単量体として構成される。(a1)酸性基含有重合性単量体は、歯質の脱灰効果や、歯質に対する高い浸透性向上効果を有し、充填修復材の歯質に対する接着性を良好なものとする。
これら酸性基含有重合性単量体は1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)重合性単量体は、(a1)酸性基含有重合性単量体のみで構成することも可能である。しかしながら、(A)重合性単量体は、接着性組成物における歯質に対する接着性及び接着耐久性の観点から(a1)酸性基含有重合性単量体以外に、酸性基を含まない(a2)酸性基非含有重合性単量体を更に含むことが好適である。
(B)二価の銅化合物は、(C)過酸化物と充填材料に含まれる芳香族アミンとのレドックス反応を促進する作用を特に有効に得ることができる。したがって、接着性組成物では、(B)二価の銅化合物を必須の構成要素として含むことにより、化学重合型の硬化が促進されるため、充分な硬化が得られやすくなる。
(C)過酸化物は、酸化剤として機能する化合物である。過酸化物(C)は、(c1)有機過酸化物及び(c2)無機過酸化物の少なくとも一方を用いる。つまり、接着性組成物では、過酸化物(C)として、(c1)有機過酸化物又は(c2)無機過酸化物を単独で用いても、(c1)有機過酸化物及び(c2)無機過酸化物を併用してもよい。これにより、(C)過酸化物では、(A)重合性単量体の重合を促進する作用を有効に得ることができる。
(c1)有機過酸化物の配合割合は、(A)重合性単量体100質量部に対して、0.1質量部~10質量部とし、0.5質量部~5質量部とすることが好ましい。この範囲を満足することにより、高い重合活性と、高い保存安定性を発揮することができる。(c1)有機過酸化物としては公知の化合物が制限なく使用できるが、代表的には、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリールパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネートを挙げることができる。上記の有機過酸化物の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
(c2)無機過酸化物の配合割合は、(A)重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部~5質量部とし、0.05質量部~2質量部とすることが好ましい。この範囲を満足することにより、高い重合活性と、高い保存安定性を発揮することができる。(c2)無機過酸化物としては公知の化合物が制限なく使用できるが、代表的には、過炭酸塩、ペルオキソ二硫酸化合物、過リン酸塩、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウムを挙げることができる。中でも、水分を多く含む環境下での重合活性の高さの観点から、ペルオキソ二硫酸化合物が好ましい。具体的には、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのペルオキソ二硫酸化合物などが挙げられ、特に、水溶性が高いことからペルオキソ二硫酸ナトリウムやペルオキソ二硫酸アンモニウムが好ましく、入手の容易性も考慮するとペルオキソ二硫酸ナトリウムが最適である。これら無機過酸化物は、単独で又は2種以上を混合して用いてもかまわない。
(D)光重合開始剤は、光照射を受けて(A)重合性単量体のラジカル重合を開始させる化合物である。これにより、本実施形態に係る接着性組成物では、光重合型の硬化を進行させることが可能となる。接着性組成物は、(D)光重合開始剤として(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドを含む。
(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドは、単分子開裂型の高活性の光重合開始剤である。このため、(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドは、少量の光によっても(A)重合性単量体の光重合型の硬化を進行させることができる。(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドの配合割合は、(A)重合性単量体100質量部に対して、0.1質量部~10質量部とし、0.5質量部~8質量部とすることが好ましい。この範囲を満足することにより、高い重合活性、接着性を発揮することができる。(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドは、下記の式で表される化合物である。
(D)光重合開始剤は、(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドのみで構成することも可能である。しかしながら、(D)光重合開始剤は、必要に応じ、(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイド以外の(d2)その他の光重合開始剤を更に含んでいてもよい。
ただし、還元剤として酸化剤と反応する芳香族アミン類、アリールボレート化合物類等は保存安定性の観点から含まない。
(E)水としては、貯蔵安定性、生体適合性及び接着性の観点で有害な不純物を実質的に含まない事が好ましく、例としては脱イオン水、蒸留水等が利用できる。(E)水の配合割合は、(A)重合性単量体100質量部に対して、1質量部~50質量部とし、2質量部~30質量部とすることが好ましく、5質量部~20質量部とすることが特に好ましい。
(F)有機溶媒としては、公知の有機溶媒であればいずれも制限無く用いることができるが、通常は、沸点が100℃未満の揮発性の高い有機溶媒を用いることが好ましい。(F)有機溶媒の配合割合は、(A)重合性単量体100質量部に対して、10質量部~300質量部とし、30質量部~200質量部とすることが好ましい。
接着性組成物は、必要に応じて、上記の成分以外の各種添加剤などの成分を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、(G)多価金属化合物、(H)フィラー、着色剤、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエンなどの重合禁止剤などが挙げられる。
接着性組成物では、(G)多価金属化合物を配合するのが、接着性及び保存安定性の観点から好ましい。(G)多価金属化合物が(a1)酸性基含有重合性単量体と架橋することによって、より高い接着強度の接着層が得られる。また、接着性組成物では、(G)多価金属化合物を予め(a1)酸性基含有重合性単量体と架橋させることで、保管時に(a1)酸性基含有重合性単量体と(B)二価の銅化合物との架橋が生じにくくなる。したがって、接着性組成物では、(a1)酸性基含有重合性単量体と(B)二価の銅化合物との架橋により生成される銅化合物の析出が抑えられる。これにより、この接着性組成物では、保管時における銅化合物の析出による接着強度の低下を抑制することができる。(G)多価金属化合物の配合割合は、(a1)酸性基含有重合性単量体1molに対して、0.01mol~1molとすることが好ましい。
また、(B)多価金属化合物を構成する金属元素としては、第4周期の遷移金属以外であれば、特に制限はなく、周期律表の第2族~第13族の金属元素が挙げられるが、接着性、保存安定性に優れることから、中でも、カルシウムが特に好ましい。
(H)フィラーは、接着性組成物を硬化して得られる接着層における機械的強度や操作性を向上させるために配合される。(H)フィラーとしては、特に制限はなく、公知の無機フィラー、有機フィラー、無機-有機複合フィラーを用いることができる。
本実施形態に係る接着性組成物を適用する充填材料は、光硬化型であり、かつ重合促進剤として芳香族アミンを含有していればよい。しかしながら、充填材料は、光重合開始剤としてα-ジケトンを更に含有していることが好ましい。α-ジケトンは、本実施形態に係る接着性組成物に(D)光重合開始剤として含まれる(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドと光の吸収波長が若干ずれている。このため、α-ジケトンを含有する充填材料では、照射光のうち(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドの吸収波長の光がα-ジケトンに吸収されずに透過されやすくなる。これにより、接着性組成物では、光重合型の硬化が促進される。
本実施形態に係る歯科用接着性組成物包装体(以下、単に接着性組成物包装体と呼称する。)は、本実施形態に係る接着性組成物包装体の商品形態であり、歯科用接着性組成物と、当該歯科用接着性組成物を収容する単一の遮光性容器と、を有する。上記のとおり、歯科用接着性組成物は、1液型の構成において高い保存安定性が得られる。このため、予め調製された当該歯科用接着性組成物を単一の遮光容器に充填した接着性組成物包装体を商品形態とすることができる。
まず、以下に、実施例及び比較例において使用した物質の略称について説明する。
[(A)重合性単量体]
・(a1)酸性基含有重合性単量体
MDP:10-メタクリルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
SPM:2-メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート及びビス(2-メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートをモル比1:1の割合で混合した混合物
・(a2)酸性基非含有重合性単量体
BisGMA:2.2' ―ビス[4―(2―ヒドロキシ―3―メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
HEMA:2―ヒドロキシエチルメタクリレート
[(B)二価の銅化合物]
CuA:酢酸銅(II)一水和物
CuAA:アセチルアセトン銅(II)
[(C)過酸化物]
・(c1)有機過酸化物
BPT:t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート
BPB:t-ブチルパーオキシベンゾエート
BPE:t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート
TMBHP:1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド
・(c2)無機過酸化物
NPS;ペルオキソ二硫酸ナトリウム
KPS;ペルオキソ二硫酸カリウム
[(D)光重合開始剤]
・(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイド
BTPO:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド
・(d2)その他の光重合開始剤
CQ:カンファーキノン
[(G)多価金属化合物]
AlPO:アルミニウムトリイソプロポキシド
CaPO:カルシウムジイソプロポキシド
[(H)フィラー]
・ヒュームドシリカ
DM-30:平均一次粒子径7nm、表面処理剤:ジメチルジクロロシラン(株式会杜トクヤマ製)
DM-20:平均一次粒子径12nm、表面処理剤:ジメチルジクロロシラン(株式会杜トクヤマ製)
[上記以外の成分]
BMOV:オキソバナジウム(IV)ビス(マルトラート)
DMBE:4-ジメチルアミノ安息香酸エチル
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
(接着性組成物の作製)
実施例1~29及び比較例1~9に係る接着性組成物を作製した。各接着性組成物の成分及び配合割合は、下記の表1~3に示すとおりである。表1には実施例1~20について示し、表2には実施例21~29について示し、表3には比較例1~9について示している。なお、下記の表1~3における括弧内の数値は、(A)重合性単量体100質量部に対する各成分の質量部を示している。
次に、得られた接着性組成物を以下に示す「接着強度評価」に従い接着性を評価した。また、以下に示す「長期保管後の外観評価」に従い保存安定性を評価した。
抜去した牛前歯を、注水下、耐水研磨紙P600で研磨し、象牙質平面を削り出した被着体を準備した。
その後、被着体の研磨面に、直径3mmの穴を開けた両面テープを貼り付けた。続いて、研磨面のうち両面テープの穴から露出している接着面に各実施例、及び各比較例の接着性組成物をそれぞれマイクロブラシで塗布し、接着面に塗布された接着性組成物を5秒間エアブローすることにより乾燥させた。
直径8mmの穴が設けられた厚み0.5mmのパラフィンワックスを、パラフィンワックスの穴と、両面テープの穴とが同心円となるように接着性組成物が塗布された接着面に貼り付けて模擬窩洞を作製した。この模擬窩洞に歯科用コンポジットレジン(エステライトΣクイック、トクヤマデンタル社製)を充填してポリエステルフィルムで軽く圧接した後、可視光線照射器(エリパーLED光重合器、3M ESPE社製)を用い、光照射10秒による光硬化を行った。その後、あらかじめ研磨したSUS304製丸棒(直径8mm、高さ18mm)をレジンセメント(ビスタイトII、トクヤマデンタル社製)で接着した。最後に、37℃の水中にて24時間浸漬することで接着強度測定用のサンプルを得た。なお、使用したコンポジットレジン(エステライトΣクイック)は、カンファーキノン及び芳香族アミン化合物を含む光重合性の組成物である。
これら接着強度測定用のサンプルについて、島津製作所製オートグラフ(クロスヘッドスピード2mm/分)を用いて引張接着強度を測定した。各実施例及び比較例について、4個のサンプルの測定値を平均し、測定結果とした。
接着面に対して調製直後の接着性組成物を塗布することにより得られたサンプルの接着強度(初期の接着強度)の測定結果、接着面に対して調製後に更に50℃の恒温槽中で3週間保管した後の接着性組成物を塗布することにより得られたサンプルの接着強度(保管後の接着強度)の測定結果を下記の表4,5に示す。
なお、後述する長期保管後の外観評価においてゲル化していた場合は、接着面への接着性組成物の塗布が困難となったため、長期保管後接着強度の評価は省略した。
表1~3に示す各実施例及び各比較例の接着性組成物を調製した後に容器内に密封し、更に50℃の恒温槽中で3週間保管した。続いて、恒温槽から取り出した接着性組成物の外観を目視観察し、保管前後における変化の有無やゲル化などの変性について評価した。結果を下記の表4,5に示す。
表4に示す実施例1~29は本発明の構成を満足するよう配合された接着性組成物を用いたものである。いずれの場合においても、接着試験結果は初期、保管後共に良好であった。また、保管後の外観変化においても大きな変化は確認されなかった。
一方、表5に示す比較例1~5の接着性組成物はそれぞれ(a1)酸性基含有重合性単量体、(B)二価の銅化合物、(C)過酸化物、(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイド、(E)水を含まないため、十分な接着強度は得られなかったと考えられる。また、比較例6及び7は(B)二価の銅化合物または、(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドの添加量が少ないため、添加の効果が十分に生じず、良好な接着強度は得られなかったと考えられる。
比較例8は過酸化物と酸化還元反応する芳香族アミンが含まれるため、保管後ゲル化が生じた。また、初期接着評価においても、(D)光重合開始剤として、(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイドを含まず、(d2)その他の光重合開始剤のみであるため、十分な接着強度は得られなかったと考えられる。比較例9は過酸化物と酸化還元反応する第4周期の遷移金属化合物が含まれるため、保存安定性が悪く、接着性組成物調製中にゲル化が生じたため、接着評価を実施できなかった。
Claims (6)
- 芳香族アミンを含有する光硬化型の充填材料を歯質に接着するための1液型の歯科用接着性組成物であって、
1質量部~40質量部の(a1)酸性基含有重合性単量体、を含む100質量部の(A)重合性単量体と、
0.05質量部~2質量部の(B)二価の銅化合物と、
0.1質量部~10質量部の(c1)有機過酸化物と、0.01質量部~5質量部の(c2)無機過酸化物と、の少なくとも一方を含む(C)過酸化物と、
0.1質量部~10質量部の(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイド、を含む(D)光重合開始剤と、
1質量部~50質量部の(E)水と、
10質量部~300質量部の(F)有機溶媒と、
を含有し、かつ還元剤を含有しない
歯科用接着性組成物。 - 請求項1に記載の歯科用接着性組成物であって、
前記(a1)酸性基含有重合性単量体1molに対して0.01mol~1molの(G)多価金属化合物を更に含有する
歯科用接着性組成物。 - 請求項1又は2に記載の歯科用接着性組成物であって、
10質量部~30質量部の平均一次粒子径が1nm~20nmのヒュームドシリカを更に含有する
歯科用接着性組成物。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の歯科用接着性組成物であって、
前記充填材料がα-ジケトンを更に含有する
歯科用接着性組成物。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の歯科用接着性組成物であって、
前記(c1)有機過酸化物がパーオキシエステル類を含む
歯科用接着性組成物。 - 歯科用接着性組成物と、当該歯科用接着性組成物を収容する単一の遮光性容器と、を具備し、
前記歯科用接着性組成物が、
1質量部~40質量部の(a1)酸性基含有重合性単量体、を含む100質量部の(A)重合性単量体と、
0.05質量部~2質量部の(B)二価の銅化合物と、
0.1質量部~10質量部の(c1)有機過酸化物と、0.01質量部~5質量部の(c2)無機過酸化物と、の少なくとも一方を含む(C)過酸化物と、
0.1質量部~10質量部の(d1)ビスアシルフォスフィンオキサイド、を含む(D)光重合開始剤と、
1質量部~50質量部の(E)水と、
10質量部~300質量部の(F)有機溶媒と、
を含有し、かつ還元剤を含有しない
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