JP6039363B2 - 脆性材料基板の分断方法並びに分断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス、シリコン、アルミナ、セラミック、化合物半導体等の脆性材料からなる基板の分断方法、分断装置に関する。特に本発明は、基板上に形成した複数条のスクライブラインに沿って短冊状あるいは格子状に基板を分断してチップ等の製品に分断する方法並びにその分断装置に関する。
従来より、脆性材料基板に対して、ダイシングソー、カッターホイール、レーザビームを用いて、複数条のスクライブラインを形成し、その後に、外力を印加して基板を撓ませてスクライブラインに沿ってブレイクすることにより、チップ等の単位製品を取り出す方法が知られている(例えば特許文献1、特許文献2等)。
脆性材料基板に対し、スクライブラインに沿って曲げモーメントを加えてブレイクする際、曲げモーメントを効果的に生じさせるために、上記特許文献等に示すような3点曲げ方式にて行うのが好ましい。
図3は、表面に多数の電子部品(微細な電子回路)が形成されたアルミナ基板やLTCC基板(低温焼成セラミックス基板)を3点曲げ方式でブレイクして電子部品を取り出す一般的なブレイク工程を示すものである。
表面に多数の電子部品が形成され、その電子部品形成面を保護テープ11で被覆した基板Wを、ダイシングリング12に支持された弾力性のある粘着フィルム13の下面に保護テープ11を下向きにして貼り付ける。基板Wの電子部品形成面には前工程で複数条のスクライブラインSが形成されており、このスクライブラインSを跨いでその左右位置で基板Wの下面を受ける一対の受刃14が配置されている。基板WのスクライブラインSを設けた面とは反対側の面でスクライブラインSに相対する部位の上方には上刃15が配置されている。この上刃15を粘着フィルム13の上方から基板Wに押圧させることによって、基板Wを撓ませてスクライブラインSからブレイクしている。
なお、スクライブラインSから正確にブレイクするために、基板Wには上刃15との位置合わせ用のアライメントマークが設けられており、撮像装置(不図示)で基板Wの表面を撮像することで、撮像されたアライメントマークを参照してブレイク位置の位置決めを行っている。この撮像装置による位置決めは、アライメントマークに代えて、スクライブライン自体を参照して位置決めを行う場合もある。
特開2011−212963号公報 特開2010−014945号公報
基板Wの上面に上刃15を押し当てて上記の3点曲げ方式で基板Wを撓ませてブレイクする場合、上刃15が基板Wの上面に接してからスクライブラインが分断されるまでの一定の押込みストローク(押込み量)が必要である。この押込み量は、例えば厚み0.64mmのアルミナ基板の場合で約0.1mmを必要としている。
上刃15による押込み動作は、1枚の基板に対してスクライブラインの数だけ行われるものであるから、押込み量が大きいと粘着テープに復元しない小さな「シワ」が生じることがある。このような「シワ」が生じると、上記した撮像装置による基板のアライメントに誤差が発生し、正確にスクライブラインSからブレイクすることができない。
また、上刃の押込み量が大きいと、図4に示すように、基板Wの分断端面16の上端縁同士が互いに干渉してこの部分が欠けたりする場合があり、製品の加工品質を大きく損なうことになるといった問題点もある。
そこで本発明は、上記した従来課題の解決を図り、ブレイク時における上刃の押込み量を低減することが可能な基板分断方法並びに基板分断装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。すなわち、本発明の基板分断方法では、ダイシングリングに支持された弾力性のある粘着フィルムの下面に脆性材料基板を貼り付け、前記脆性材料基板の開放された下面に複数条のスクライブラインを形成した後、分断すべきスクライブラインを跨いでその左右位置の基板下面に一対の受刃を当接させ、前記脆性材料基板のスクライブラインを設けた面とは反対側の面でスクライブラインに相対する部位に上刃を配置して、該上刃を前記粘着フィルム上方から前記脆性材料基板に押圧することによって、3点曲げモーメントにより脆性材料基板をスクライブラインに沿ってブレイクする基板分断方法であって、前記上刃によるブレイク時に、前記脆性材料基板を保持する前記粘着フィルムが下向きの張力が生じるように、前記一対の受刃が粘着フィルムを押し上げる位置に配置してブレイクするようにしている。
また、本発明の基板分断装置は、ダイシングリングに支持された弾力性のある粘着フィルムの下面に脆性材料基板が貼り付けられ、前記脆性材料基板の下面に形成された分断すべきスクライブラインを跨いでその左右位置の基板下面に当接する一対の受刃が配置され、前記脆性材料基板の前記分断すべきスクライブラインを設けた面とは反対側の面で当該スクライブラインに相対する部位の上方に上刃が配置され、前記粘着フィルム上方から前記脆性材料基板を前記上刃で押圧することによって、3点曲げモーメントにより前記脆性材料基板をスクライブラインに沿ってブレイクする基板分断装置であって、前記上刃によるブレイク時に、前記脆性材料基板を保持する粘着フィルムが下向きの張力が生じるように、前記一対の受刃が粘着フィルムを押し上げる位置に配置されている構成とした。
本発明によれば、基板を保持する粘着フィルムが、受刃によって持ち上げられて下向きの張力が生じているので、基板は粘着フィルムによって常時スクライブラインを引き裂くような力を受けることになり、その結果、上刃の基板に対する押込み量が小さくてもスクライブラインからブレイクすることが可能となる。したがって、上刃の基板に対する押込み量を従来の方法に比べて低減することができるので、上刃の反復昇降によって粘着フィルムに小さなシワ等の変形が生じるのを抑制することができ、これにより基板の分断位置の位置ずれの発生をなくすことができる。また、上刃の基板に対する押込み量が小さく、しかも粘着フィルムによって基板がスクライブラインから引き裂く方向に引っ張り力を受けているので、ブレイクされたときに、分断端面の上端縁同士が干渉することがなくなり、欠けのない高品質の製品を作製することができるといった効果がある。
本発明の基板分断装置において、前記受刃が、上下移動可能な移動ステージを介して上下位置調整可能に形成されている構成とするのがよい。
これにより、前記受刃によって持ち上げられる粘着フィルムの持ち上げ量を、分断すべき基板に合わせて適正な位置に微調整することができる。
分断対象となるアルミナ基板をダイシングリングに支持された粘着フィルム上にマウントした状態を示す斜視図。 本発明に係る基板分断装置の断面図。 従来の3点曲げモーメントによるブレイク工程の一例を示す断面図。 従来の3点曲げモーメントにより基板をブレイクした状態を示す断面図。
以下、本発明に係る基板分断方法並びに基板分断装置の詳細を、一実施形態を示す図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、複数の電子部品が一体成形されたアルミナ基板をブレイクして電子部品を取り出す場合を例に説明する。
図1は分断対象となるアルミナ基板が、ダイシングリングに支持された粘着フィルム上にマウントされた状態を示す斜視図であり、図2は本発明に係る基板分断装置の断面図である。
加工対象となる基板Wは、図1に示すように、ダイシングリング1に支持された粘着フィルム2の粘着面に、電子部品形成面を上向きにした状態で貼り付けられている。この粘着フィルム2は弾性を有する樹脂シート材で形成され、ダイシングリング1に張られた状態で周囲が固着されている。基板Wの電子部品形成面には前工程で複数条のスクライブラインSが加工されており、その表面は保護テープ3により被覆保護されている。ブレイク加工時には保護テープ3が下向きとなるように反転させて下記の基板分断装置の固定ステージ5上にダイシングリング1が載置される。
基板分断装置は、図2に示すように、反転された基板Wの下面に形成されているスクライブラインSを跨いでその左右位置の基板下面を左右一対の受刃4、4と、ダイシングリング1を載置する固定ステージ5と、基板WのスクライブラインSに相対する部位の上方に配置された上刃6とを備えている。受刃4、4は、その上面が平らな面で形成されている。
ダイシングリング1を固定ステージ5上に載置したとき、基板Wを下面に保持する粘着フィルム2が、受刃4、4によって持ち上げられて下向きの張力(弾性復元力)が生じるように、前記一対の受刃4、4の位置が予め設定されている。この持ち上げ量Hは、例えば、ダイシングリング1の内径が250mm、基板Wの厚みが0.64mmの場合に1.3mm程度が好適である。
また、本実施例では、左右の受刃4、4の間隔が調整できるように調整機構(不図示)を介して支持台7に取り付けられている。さらに、支持台7は、移動機構(不図示)によって上下移動可能に形成された移動ステージ8に取り付けられており、これにより受刃4、4の高さ位置が微調整できるように形成されている。
なお、図示は省略するが、基板Wには従来と同じように、上刃6との位置合わせ用のアライメントマークが設けられており、撮像装置(不図示)でアライメントマークを撮像することでブレイク位置の位置決めを行ってからブレイクを行う。この場合、アライメントマークを用いずにスクライブライン自体を参照してブレイク位置の位置決めをすることもできる。
上記のごとく形成された基板分断装置では、上刃6を前記粘着フィルム2の上方から基板Wに押圧することによって、受刃4、4とによる3点曲げモーメントによって基板WをスクライブラインSに沿ってブレイクする。
このブレイク動作の際、基板Wを下面に保持する粘着フィルム2が、受刃4、4によって持ち上げられて下向きの張力が生じているので、基板Wは、粘着フィルム2の図中矢印で示すような外方向への引っ張り力によって常時スクライブラインSを引き裂くような力を受けることになり、その結果、上刃6の基板に対する押込み量が小さくてもスクライブラインSからブレイクすることが可能となる。
本発明の効果を実際に確認するため、ダイシングリング1の内径が250mm、基板Wの厚みが0.64mm、粘着フィルム2の持ち上げ量Hが1.3mmの条件でブレイクテストを行った結果、ダイシングリング1に張られた粘着フィルムを水平な姿勢(テンションを与えていない状態)にしてブレイクした場合の上刃押込み量が0.1mmであったのに対し、本発明方法で実施した場合は約半分の0.05mmの押込み量でブレイクすることができた。
以上のように、本発明によれば、ブレイク時における上刃6の基板Wに対する押込み量を従来手段に比べて略半分程度に低減することができるので、上刃6の反復昇降によって粘着フィルム2に生じる小さなシワ等の変形を抑制することができ、これにより基板の撮像装置による位置合わせ後の位置ずれの発生をなくすことができる。また、上刃6の基板Wに対する押込み量が小さく、しかも粘着フィルム2の外方向への引っ張り力によって基板がスクライブラインSから引き裂く方向に力を受けているので、ブレイクされたときに分断端面の上端縁同士が干渉することがなくなり、欠けのない高品質の製品を作製することができる。
以上本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものではない。例えば、基板Wの電子部品形成面を被覆する保護テープ3は、受刃4、4の上面に設けてもよく、あるいは保護テープ自体を省略することも可能である。また、受刃4、4はスクライブラインSを挟んで基板W下面の一部を受けるようにしてもよい。さらに、加工対象の基板として、本実施例ではアルミナ基板を例にしたが、LTCC基板やガラス基板、シリコン基板であってもよい。
その他本発明では、その目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
本発明の分断方法並びに分断装置は、アルミナ基板、LTCC基板、ガラス基板、シリコン、セラミック、化合物半導体等の脆性材料からなる基板の分断に利用される。
S スクライブライン
W 基板
1 ダイシングリング
2 粘着フィルム
3 保護テープ
4 受刃
6 上刃

Claims (3)

  1. ダイシングリングに支持された弾力性のある粘着フィルムの下面に脆性材料基板を貼り付け、前記脆性材料基板の開放された下面に複数条のスクライブラインを形成した後、分断すべきスクライブラインを跨いでその左右位置の基板下面に一対の受刃を当接させ、前記脆性材料基板のスクライブラインを設けた面とは反対側の面でスクライブラインに相対する部位に上刃を配置して、該上刃を前記粘着フィルム上方から前記脆性材料基板に押圧することによって、3点曲げモーメントにより脆性材料基板をスクライブラインに沿ってブレイクする基板分断方法であって、
    前記上刃によるブレイク時に、前記脆性材料基板を保持する前記粘着フィルムが下向きの張力が生じるように、前記一対の受刃が粘着フィルムを押し上げる位置に配置してブレイクするようにした基板分断方法。
  2. ダイシングリングに支持された弾力性のある粘着フィルムの下面に脆性材料基板が貼り付けられ、前記脆性材料基板の下面に形成された分断すべきスクライブラインを跨いでその左右位置の基板下面に当接する一対の受刃が配置され、前記脆性材料基板の前記分断すべきスクライブラインを設けた面とは反対側の面で当該スクライブラインに相対する部位の上方に上刃が配置され、前記粘着フィルム上方から前記脆性材料基板を前記上刃で押圧することによって、3点曲げモーメントにより前記脆性材料基板をスクライブラインに沿ってブレイクする基板分断装置であって、
    前記上刃によるブレイク時に、前記脆性材料基板を保持する粘着フィルムが下向きの張力が生じるように、前記一対の受刃が粘着フィルムを押し上げる位置に配置されている基板分断装置。
  3. 前記受刃が、上下移動可能な移動ステージを介して上下位置調整可能に形成されている請求項2に記載の基板分断装置。
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