JP6035101B2 - 板紙及びその製造方法。 - Google Patents

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本発明は、抗菌性を有する板紙及びその製造方法に関する。
従来から、大量に発生するホタテ等の貝殻の再利用方法の一つとしてこの貝殻の焼成物を抗菌剤等として用いることが検討されている。貝殻の主成分は炭酸カルシウムであり、これを焼成することでアルカリ性である酸化カルシウムとなるため、これにより抗菌作用や殺菌作用等を発揮するとされている。
この貝殻の焼成物を用いた製品の一つとして、上記焼成物の粉体を含有する抗菌紙が開発されている(特開平11−222796号公報参照)。この抗菌紙においては、上記焼成物を抄き込むか、この焼成物の粉体を含む塗液を原紙に塗布する又は含浸させることにより、原紙中又は原紙表面に焼成物を存在させている。
しかし、単に粉体の焼成物を抄き込む、すなわち内添させると、粉体の紙中への歩留まりが低く不経済である。また、内添させると粉体の紙内部への存在量が増えるため、紙表面における十分な抗菌性を発揮させることができない。さらには、抗菌性を高めるために、多量に又は粒径の大きい粉体を内添させた場合は、粉体の存在によりパルプ繊維間の絡み合いが阻害されるため表面紙力が低下する。一方、この粉体を含む塗液を塗布又は含浸させると、紙表面に焼成物を存在させることはできるものの、定着性が低いため使用により焼成物が脱落し、抗菌性能を長期間に維持することができない。
特開平11−222796号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、十分な抗菌性を有しかつその性能を長期間維持することができ、表面強度も高い板紙、及びこのような板紙の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
2層以上の紙層を備え、
表面に位置する第一紙層が、填料として凝集粒子を含有し、
この凝集粒子が、貝殻を焼成してなる酸化カルシウム及び/又はその水和物である水酸化カルシウムを含む板紙である。
当該板紙においては、抗菌性を有する成分、すなわち貝殻を焼成してなる酸化カルシウム及び/又はその水和物である水酸化カルシウムが、表面に位置する第一紙層(表層)に凝集粒子として内添されている。従って、当該板紙によれば、表面近傍に抗菌成分を存在させることができ、優れた抗菌性を発揮させることができる。また、複雑な形状からなる凝集粒子が内添されていることから、脱離し難くかつパルプ繊維の絡み合いの阻害を低減させることができ、その結果、抗菌性を維持でき、表面強度も高めることができる。
上記凝集粒子の一部が、表面に露出していることが好ましい。このようにアルカリ性の強い凝集粒子を表面に露出させることで、当該板紙の表面の抗菌性をより高めることができる。
表面に露出している上記凝集粒子のうちの表面露出面積が1.5mm以上の凝集粒子の数としては、5個/cm以上50個/cm以下がよい。このような程度で凝集粒子を表面に露出させることで、抗菌性と表面強度とを両立させつつこれらをより高めることができる。
上記凝集粒子が硫酸カルシウムをさらに含むことが好ましい。このようにすることで酸化カルシウム等の粒子が硫酸カルシウムをバインダーとして強固にかつ効率的に凝集され、凝集粒子の歩留まりや表層における定着性等を高めることができる。
上記第一紙層の坪量が25g/m以上45g/m以下であることが好ましい。第一紙層を上記範囲の坪量とすることで、抗菌性をより十分にかつ長期的に発揮させることができる。
表面の紙面pHが8.0以上10.0未満であり、表面強度が12A以上であることが好ましい。このようにすることで、当該板紙の抗菌性及び表面強度をさらに高めることができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、
表面に位置する第一紙層を含む2層以上の紙層を備える板紙の製造方法であって、
原料パルプスラリーに、貝殻の焼成物と凝集剤とを添加し、第一紙層用原料パルプスラリーを得る工程、並びに
上記第一紙層用原料パルプスラリーを用いて、第一紙層をその他の紙層との抄きあわせにより抄造する工程
を有し、
上記貝殻の焼成物の添加量が原料パルプ1tに対し100kg以上300kg以下であり、
上記貝殻の焼成物及び凝集剤のうちの少なくとも一方の添加を複数回に分けて行うことを特徴とする。
当該製造方法によれば、適当な量の貝殻の焼成物を効率的に凝集させることができ、この凝集粒子を歩留まり高く第一紙層(表層)に内添させることができる。従って、当該製造方法によれば、抗菌性を有しかつその性能を長期間維持することができ、表面強度も高い板紙を得ることができる。
以上説明したように、本発明の板紙は、十分な抗菌性を有しかつその性能を長期間維持することができ、表面強度も高い。また、本発明の板紙の製造方法によれば、このような板紙を得ることができる。従って、当該板紙及びその製造方法は、食品等の包装材、壁紙、靴の中敷き及びその製造等に好適に用いることができる。
以下、本発明の板紙及びその製造方法の実施の形態を詳説する。
<板紙>
本発明の板紙は、2層以上の紙層を備える。紙層の層数としては、2層以上であれば特に限定されないが、3層以上が好ましく、4層以上6層以下がより好ましく、5層が更に好ましい。このような多層構造とすることで、各層毎のパルプ種や添加剤の種類や量等を調整することができ、板紙の機能性を高めることができると共に、各層毎に課題解決のための特有の構成を付与可能になり、単層と比べ各層毎の特性による相乗効果を得ることができる。なお、層数が6層を超えると、コスト増に繋がる場合などがある。
(第1紙層)
表面に位置する第1紙層(表層)は、パルプ繊維を主成分とし、填料として凝集粒子が内添されている。
(パルプ繊維)
表層の主成分となるパルプ繊維としては特に限定されず、例えば、古紙パルプ(DIP)、化学パルプ(例えば広葉樹クラフトパルプ:LBKP、針葉樹クラフトパルプ:NBKPなど)、機械パルプ(例えばサーモメカニカルパルプ:TMP、プレッシャライズトドクラフトパルプ:PGW、リファイナーグランドパルプ:RGP、グランドパルプ等)やケナフ、バガス、麻、コットンなどの非木材パルプなどから得られるパルプ繊維を挙げることができる。これらの中でも、LBKPが好ましい。LBKPを用いることで表面強度を高めることができる。また、古紙パルプ由来のパルプ繊維も好ましい。古紙パルプ由来の繊維は、繰り返しの使用により径が小さくなっており、複雑な形状の凝集粒子と良好に絡み合うことができるため、凝集粒子の定着性を高めることができる。
(凝集粒子)
第一紙層に内添される凝集粒子は、貝殻を焼成してなる酸化カルシウム及び/又はその水和物である水酸化カルシウムを含む。この酸化カルシウム及び水酸化カルシウムは、アルカリ性を有し、抗菌性、殺菌性、消臭性等の性質を有する。当該板紙においては、このような性質を有する成分が、表面に位置する第一紙層(表層)に凝集粒子として内添されている。従って、当該板紙によれば、表面近傍に上記成分を存在させることができ、優れた抗菌性等を発揮させることができる。また、複雑な形状からなる凝集粒子が内添されていることから、脱離し難くかつパルプ繊維の絡み合いの阻害を低減させることができ、その結果、抗菌性等を維持でき、表面強度も高めることができる。
上記貝殻としては、特に限定されず、牡蠣、ホタテ、サザエ、アサリ、蛤、アワビ、ムール貝等の貝殻を用いることができるが、これらの中でもホタテの貝殻が好ましい。ホタテの貝殻は、特に白癬菌(水虫菌)に対する抗菌性、殺菌性に優れる。従って、ホタテの貝殻を用いることで、当該板紙は靴の中敷き等に好適に用いることができる。
上記貝殻の焼成は、例えば500℃以上、好ましくは700℃以上1,500℃以下、さらに好ましくは800℃以上1,200℃以下で行うことができる。この焼成は空気中で行ってもよいし、窒素等の不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。この焼成時間としては特に限定されないが、例えば10分以上であり、15分以上60分以下とすることができる。このような焼成を行うことで、貝殻の主成分である炭酸カルシウムが分解し、酸化カルシウムとなる。また、貝殻に含まれる有機成分の大部分は熱分解により除去される。なお、酸化カルシウムは水と接触することで水和し、水酸化カルシウムとなる。貝殻の焼成物としては、この水酸化カルシウムでもよく、酸化カルシウムと水酸化カルシウムとの混合物であってもよい。この貝殻の焼成物は、焼成後、粉砕することにより粉体とされたものを通常用いることができる。この粉体の平均粒径としては、例えば100μm以下であり、5μm以上50μm以上のものを用いることができる。
上記凝集粒子が硫酸カルシウムをさらに含むことが好ましい。このようにすることで酸化カルシウム等の粒子が硫酸カルシウムをバインダーとして強固にかつ効率的に凝集され、凝集粒子の歩留まりや表層における定着性等を高めることができる。このように凝集粒子に硫酸カルシウムを含ませるには、酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムの粉末(粒子)を含む懸濁液に硫酸アルミニウム(硫酸バンド)を添加すればよい。このようにすることで、カルシウムイオンと硫酸イオンとが反応し、析出することで、上記粉末の凝集粒子を効果的に得ることができる。
上記凝集粒子には、さらに他の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、重金属等を挙げることができる。また、有機系のバインダー成分等が含まれていてもよい。
上記凝集粒子の一部(複数の凝集粒子のうちの少なくとも一部の凝集粒子におけるそれぞれの表面の一部)が、表層の表面に露出していることが好ましい。このようにすることで、当該板紙の表面の抗菌性をより高めることができる。また、各凝集粒子におけるそれぞれの表面の一部のみを露出させることで、他の部分はパルプ繊維と絡み合った状態となっていることから、凝集粒子の脱離等を抑制することができる。
表面に露出している上記凝集粒子のうちの表面露出面積が1.5mm以上の凝集粒子の数としては、5個/cm以上50個/cm以下が好ましく、10個/cm以上40個/cm以下が好ましい。このような程度で凝集粒子を表面に露出させることで、抗菌性と表面強度及び粒子の定着性とを両立させてより高めることができる。表出している凝集粒子の個数が上記下限未満の場合は、十分な抗菌性を発揮することができない場合がある。逆に、表出している凝集粒子の個数が上記上限を超えると、凝集粒子の密度が高すぎ、表面強度や凝集粒子の定着性が低下する場合がある。
表面に露出している上記凝集粒子のうちの表面露出面積が1.5mm以上の凝集粒子の数平均表面露出面積としては、5mm以下が好ましく、3mm以下がさらに好ましい。このようなサイズの数平均表面露出面積とすることで、十分な抗菌性を発揮しつつ、表面強度等をより良好に保つことができる。数平均表面露出面積が上記上限を超えると、極端に大きい凝集粒子が表面に露出することとなり、表面強度が低下したり、凝集粒子の定着性が低下する場合がある。なお、この数平均表面露出面積の下限は、1.5mmである。
(他の添加剤)
上記第一紙層には、上記凝集粒子以外の他の添加剤が含有されていてもよい。他の添加剤としては、硫酸バンド、内添サイズ剤、紙力剤、顔料等を挙げることができる。
上記内添サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、合成高分子系サイズ剤等を挙げることができる。
上記紙力剤としては、澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチル化澱粉等の澱粉;植物ガム;ポリビニルアルコール;カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。
上記顔料としては、無機顔料や有機顔料を挙げることができる。
(坪量)
上記第一紙層の坪量(付け量)としては、25g/m以上45g/m以下が好ましく、30g/m以上40g/m以下がより好ましい。第一紙層を上記範囲の坪量とすることで、抗菌性をより十分にかつ長期的に発揮させることができる。第一紙層の坪量が上記下限未満の場合は、十分な量の凝集粒子を定着させることができず、抗菌性を十分にかつ長期間維持させることが困難になる場合がある。逆に、第一紙層の坪量が上記上限を超える場合は、凝集粒子を多量に用いないと表面に表出させることが難しくなり、抗菌性が低下する場合がある。なお、凝集粒子を多量に用いると、パルプ繊維間の絡み合いが低下し、表面強度が低下する場合がある。
なお、この第一紙層の坪量は、第一紙層を剥離し、この剥離した第一紙層をJIS P 8124に準拠して測定した値をいう。
(他の紙層)
上記表層以外の他の紙層も、表層と同様にパルプ繊維を主成分として含む。他の紙層の主成分となるパルプ繊維も特に限定されず、上述した各パルプを用いることができる。これらの中でも、古紙パルプが好ましく、地券古紙パルプがより好ましい。このようなパルプは、含まれる灰分が多く、また、フリーネスが比較的低いため、水が染み込みにくく、耐水性等を高めることができる。このように各層の耐水性を高めることで、当該板紙を靴の中敷き等に好適に用いることができる。
表層以外の他の紙層も、表層と同様の各種添加剤を含有することができる。
(表面塗工)
当該板紙は、上記第一紙層表面に水溶性高分子を含む塗工液が塗工されていることが好ましい。このように表面に水溶性高分子を含む塗工液を塗工することで、抗菌性を維持しつつ表面強度をより高めることができる。上記水溶性高分子としては、澱粉やポリビニルアルコール等を挙げることができるが、上記機能をより効果的に発揮できる点などからポリビニルアルコールが好ましい。
上記塗工液としては、表面サイズ剤を含むものも好ましい。表面サイズ剤を塗工することで表面のサイズ性が高まり、例えば靴の中敷き等、水分の高い環境でも強度の低下を抑制することができる。
上記塗工液には、他の成分が含まれていてもよい。この他の成分としては、顔料や防滑剤等を挙げることができる。
(品質等)
当該板紙の表面の紙面pHとしては、8.0以上10.0未満が好ましい。表面の紙面PHを上記範囲とすることで、より十分な抗菌性等を発揮することができる。紙面pHが8.0未満の場合は、抗菌性、防カビ性等が不十分となる場合がある。逆に紙面pHが10.0を超える場合は、アルカリ性が強すぎて、このためにパルプ繊維が劣化し、表面紙力が低下するおそれがある。なお、紙面pHは、JAPAN TAPPI No.6−75に準拠して測定した値をいう。
当該板紙の表面強度としては、12A以上が好ましく、13A以上がさらに好ましい。このような表面強度とすることで、当該板紙の抗菌性がより長期間持続される。一方、この表面強度の上限としては特に制限されないが、例えば20Aとすることができる。なお、表面強度は、JAPAN TAPPI No.1に準拠してオープン状態で測定した値をいう。
当該板紙の表面のコブサイズ度(60秒)は、150g/m以上300g/m以下が好ましい。このようなサイズ性を有することで、例えば靴の中敷き等、水分の高い環境でも強度の低下を抑制することができる。なお、コブサイズ度(60秒)は、JIS P 8140に準拠して測定した値をいう。
当該板紙の坪量としては、180g/m以上320g/m以下であることが好ましい。このような範囲の坪量とすることで、当該板紙の強度等をより高めることができる。当該板紙の坪量が上記下限未満の場合は、強度等が低下するおそれがある。逆に、当該板紙の坪量が上記上限を超える場合は、取り扱い性等が低下するおそれがある。
当該板紙は、以上説明したように十分な抗菌性を有、しかつその性能を長期間維持することができ、表面強度も高い。従って、当該板紙は、食品等の包装材、壁紙、靴の中敷き及びその製造等に好適に用いることができる。
当該板紙は、板紙の状態で使用することもできるし、段ボール紙状等に加工して用いることができる。この段ボール紙としては、両面段ボール紙や片面段ボール紙とすることができる。当該板紙は、上記段ボール紙の表又は裏ライナーとして使用することができる。
<板紙の製造方法>
当該板紙は、例えば以下の工程を有する製造方法により得ることができる。
(1)原料パルプスラリーに、貝殻の焼成物と凝集剤とを添加し、第一紙層用原料パルプスラリーを得る工程
(2)上記第一紙層用原料パルプスラリーを用いて、第一紙層をその他の紙層との抄きあわせにより抄造する工程
以下、各工程について説明する。
(1)工程
この工程においては、原料パルプスラリーに、貝殻の焼成物と凝集剤とを添加し、第一紙層用原料パルプスラリーを得る。
上記原料パルプスラリーは、原料パルプを主に含むスラリーである。上記原料パルプスラリーには、他に紙力剤、サイズ剤、填料等が添加されていてもよい。
上記貝殻の焼成物とは、上述したように主成分が酸化カルシウムからなるものであり、通常、粉体のものを用いることができる。上記貝殻の焼成物の添加量は、原料パルプ1tに対し100kg以上300kg以下が好ましい。このような添加量とすることで、十分な抗菌性を備える表層を抄造することができる。添加量が上記下限未満の場合は、抗菌性が低下するおそれがある。逆に、添加量が上記上限を超えると、歩留まりが下がり、不経済となる。
上記凝集剤としては、上記貝殻の焼成物を凝集することができるものであれば特に制限されず、(メタ)アクリレート系カチオン性単量体と非イオン性単量体との共重合物やポリアルキレンポリアミン等の有機系凝集剤や、硫酸アルミニウム等の無機系凝集剤を挙げることができる。これらの中でも、無機系凝集剤が好ましく、硫酸アルミニウムが特に好ましい。硫酸アルミニウムを用いると、上述したようにカルシウムと反応して硫酸カルシウムが析出し、これがバインダーとなって強固な凝集粒子を形成することができる。さらには、硫酸アルミニウムを用いることで、第一紙層用原料パルプスラリーのアルカリ性が高くなりすぎることを抑えることができる。
上記硫酸アルミニウムの添加量としては、原料パルプ1tに対し20kg以上50kg以下が好ましく、30kg以上45kg以下がより好ましい。このような添加量とすることで、十分かつ適度に凝集された凝集粒子を好適に得ることができる。
この(1)工程においては、上記貝殻の焼成物及び凝集剤のうちの少なくとも一方の添加を複数回に分けて行うことが好ましい。さらに、例えば凝集剤、焼成物、凝集剤のように交互に添加することが好ましい。このようにすることで、焼成物の凝集及びその制御を効率的に行うことができ、不定形で歩留まりの高い凝集粒子の形成を効果的に行うことができる。さらには、凝集剤として、硫酸アルミニウムを用いた場合、複数回に分けて添加することで第一紙層用原料パルプスラリーのpH制御が容易となる。
(2)工程
この(2)工程においては、上記第一紙層用原料パルプスラリーを用いて、第一紙層をその他の紙層との抄きあわせにより抄造、すなわち、いわゆる多層抄きを行う。
後工程
上記(2)工程の後工程としては、例えば、(3)加圧ロールを用いたプレスにより水分を除去し、(4)ドライヤーシリンダーにて乾燥し、必要によりカレンダーにより塗工液を塗工し、(5)リールに巻き取り板紙を得ることができる。
当該製造方法によれば、(1)工程において適当な量の貝殻の焼成物を効率的に凝集させることで、複雑な形状の凝集粒子を得ることができ、(2)工程においてこの凝集粒子を歩留まり高く第一紙層(表層)に内添させることができる。従って、当該製造方法によれば、抗菌性を有しかつその性能を長期間維持することができ、表面強度も高い板紙を得ることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、「kg/t」はパルプ1tあたりの質量(kg)を示す。
[実施例1]
撹拌装置を有するバッチ槽内に、原料パルプ(LBKP)を投入し、
貝殻(ホタテ)の粉体の焼成物(株式会社エイワン・ディー製)200kg/t、及び
硫酸バンド40kg/t
を添加して、第一紙層用原料パルプスラリーを得た。なお、貝殻の焼成物及び硫酸バンドは、それぞれ2回に分けて交互に添加した。上記方法で得たパルプスラリーに内添紙力剤を50kg/t添加した。
一方、地券古紙パルプを離解して、第2〜5紙層用の原料パルプスラリーを得た。
上記第1〜5紙層用の原料パルプスラリーを抄紙機に供給し、5層の紙層からなる板紙原紙を得た。第一紙層の付け量(坪量)は、35g/mとした。
この板紙原紙の表面にポリビニルアルコール2%及び表面サイズ剤(ハリマ化成社製 KN−275P)1.2%を含む塗工液をwet10g/mでに塗工し、坪量210g/mの実施例1の板紙を得た。
[実施例2〜11、比較例1]
第一紙層用原料パルプスラリーの調製において添加する貝殻の焼成物及び硫酸バンドの量、並びに第一紙層用原料パルプスラリーの付け量(坪量)を表1のとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜11及び比較例1の板紙を得た。
[評価]
得られた各着色板紙について、以下の評価をした。各評価結果を表1に示す。
[紙面pH]
JAPAN TAPPI No.6−75に準拠して測定した。
[表面強度]
JAPAN TAPPI No.1に準拠してオープン状態で測定した。
[凝集粒子数]
任意の5箇所(1cm四方の表面領域)において、表面に露出している凝集粒子のうちの表面露出面積が1.5mm以上の凝集粒子の数を測定し、その平均値を算出した。なお、表面露出面積の測定は画像解析ソフトにより行った。
[コブサイズ度(60秒)]
JIS P 8140に準拠して測定した。
[抗菌性(抗かび活性値)]
繊維評価技術協の抗かび性定量試験法に準拠して測定した。具体的には以下の通りである。試験菌種として、以下のアオカビ及び白癬菌を用いた。約18mm角の滅菌済み試料(0.2g分)に、1/20サブローデキストロース培地にて約10個/mlに調製した胞子懸濁液を0.2ml接種し、25℃で42時間培養した。培養後、試料上の胞子のATP濃度を発光測定法にて測定し、抗かび活性値を算出した。
試験菌種:
アオカビ Penicillium citrinum NBRC 6352
白癬菌 Trichophyton mentagrophytes NBRC 32409
Figure 0006035101
上記表1に示されるように、実施例1〜11の各板紙は優れた抗菌性を有し、かつ表面強度も高いことが分かる。また、表面強度が高いことから、抗菌成分(凝集粒子)が脱利しにくく、抗菌性が長期間維持されることが示される。
本発明の板紙は、抗菌性を有する板紙として、食品等の包装材、壁紙、靴の中敷き等に用いることができる。

Claims (7)

  1. 2層以上の紙層を備え、
    表面に位置する第一紙層が、填料として凝集粒子を含有し、
    この凝集粒子が、貝殻を焼成してなる酸化カルシウム及び/又はその水和物である水酸化カルシウムを含む板紙。
  2. 上記凝集粒子の一部が、表面に露出している請求項1に記載の板紙。
  3. 表面に露出している上記凝集粒子のうちの表面露出面積が1.5mm以上の凝集粒子の数が、5個/cm以上50個/cm以下である請求項2に記載の板紙。
  4. 上記凝集粒子が硫酸カルシウムをさらに含む請求項1、請求項2又は請求項3に記載の板紙。
  5. 上記第一紙層の坪量が25g/m以上45g/m以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の板紙。
  6. 表面の紙面pHが8.0以上10.0未満であり、表面強度が12A以上である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の板紙。
  7. 表面に位置する第一紙層を含む2層以上の紙層を備える板紙の製造方法であって、
    原料パルプスラリーに、貝殻の焼成物と凝集剤とを添加し、第一紙層用原料パルプスラリーを得る工程、並びに
    上記第一紙層用原料パルプスラリーを用いて、第一紙層をその他の紙層との抄きあわせにより抄造する工程
    を有し、
    上記貝殻の焼成物の添加量が原料パルプ1tに対し100kg以上300kg以下であり、
    上記貝殻の焼成物及び凝集剤のうちの少なくとも一方の添加を複数回に分けて行うことを特徴とする板紙の製造方法。
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