JP6021372B2 - 超音波厚みセンサの製造方法 - Google Patents
超音波厚みセンサの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6021372B2 JP6021372B2 JP2012066364A JP2012066364A JP6021372B2 JP 6021372 B2 JP6021372 B2 JP 6021372B2 JP 2012066364 A JP2012066364 A JP 2012066364A JP 2012066364 A JP2012066364 A JP 2012066364A JP 6021372 B2 JP6021372 B2 JP 6021372B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- thickness
- sintered body
- body layer
- sol
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
Description
このような超音波送受信用の圧電素子の材料としては、PZTと称されるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)で代表されるペロブスカイト結晶構造を有する酸化物系圧電材料(圧電セラミックス)が最も代表的である。
具体的には、例えばPZT圧電素子の場合、先ずPbO、ZrO2、TiO2などのPZT用の原料粉末を所定の割合で配合し、その配合粉末に純水を加えてボールミルで混合粉砕し、乾燥して仮焼成し、再度粉砕して粉末とし、更に仮焼成してから再度粉砕して、ペロブスカイト型結晶構造を有する、粒径が数μmから数十μm程度のPZT粉末を得る。そしてそのPZT粉末に、PVA(ポリビニルアルコール)などのバインダを加えて混合し、適度の大きさの造粒粉とする。その後、造粒粉に圧力を加えて成形し、肉厚な円盤状あるいは立方体形状などの所定のバルク形状の成形体とする。更にその成形体を加熱してバインダを除去してから、高温に加熱して焼成(焼結)して、セラミック焼結体とし、その後、所定の製品形状(圧電素子形状)に加工した後、銀電極などの電極を焼付けなどにより取り付け、分極処理を行なって、圧電特性を付与するのが通常である。
なお、圧電素子を高出力化すれば、それに伴って反射波のエネルギも大きくなる。そして反射波のエネルギが過大であれば、反射波の受信信号中のノイズが大きくなってしまう。そこで従来、過大な反射波が予想される場合には、反射波を減衰させるためのダンパを組み込んでおくことも行なわれている。
しかるに、各種設備の配管は、金属管の外表面が保護材や断熱材などの外被によって覆われていることが多い。このような場合に超音波厚みセンサによって配管の厚み測定を行なう際には、測定個所の外被を除去して金属管の外表面に媒体を塗布もしくは供給する準備作業が必要となり、また厚み測定後には、媒体を拭き取り、更に外被を修復する修復作業を必要とする。したがって1回の厚み測定作業に多くの手間と時間を要さざるを得なかったのが実情である。
また同様の理由から、厚みの経時的な測定データを連続して得ることは困難であった。
すなわち、配管のうちでもその管径が小さい配管、すなわち外面の曲率半径が小さい配管の管壁や、配管におけるL字状に屈曲した部あるいはL字状に溶接した部分、すなわちエルボー部分、さらにはT字状に溶接した部分の隅部の如く、湾曲した部分(凸状もしくは凹状に湾曲した部分)の厚みを測定しようとした場合、その湾曲部分に探触子の前面を均一に当てることは困難であり、そのため測定誤差が大きくなったり、厚み測定が困難となったりする問題もあった。
ここで、各種の用途の圧電素子に使用される酸化物系圧電材料としては、従来は前述のようにPZTと称されるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)が一般的であったが、PZTはそのキュリー温度が350℃程度以下であり、そのためPZTを300℃程度以上の高温域で使用すれば、分極が失われて、圧電特性を示さなくなり、厚み測定を行い得なくなってしまうおそれがある。したがって300℃程度以上、さらには400℃程度以上の高温の使用環境では、PZTを用いた厚みセンサは不適切であり、そこで300℃程度以上、とりわけ400℃程度以上の高温でも確実に厚み測定を行ない得る超音波厚みセンサの開発が望まれている。
また、通常は300℃以上の使用環境にはないが、火災や事故などによって周囲温度などが300℃以上に上昇する危険性があるような個所に設置される厚みセンサとしても、同様に300℃程度以上の高温でも作動する超音波厚みセンサが望まれる。特に火災の場合は、300℃を越え1000℃近くの高温に曝されることもあり、このような場合においても火災発生中あるいはその後においても厚み測定が可能となるように、1000℃近くまで使用し得る厚みセンサの開発が望まれる。
しかるに、各種設備における配管の管壁や容器の外壁などの厚み測定にあたっては、他の用途の場合のような高い圧電効率、高出力は必ずしも必要としないことを本発明者等は知見した。
対象となる管壁や容器外壁の厚み(超音波を透過/反射させるべき距離)は数百μmからせいぜい十数mm程度と小さく、しかも反射面は一様な定形面となっており、更には、超音波探傷の場合のように2種以上の反射波の受信信号を峻別する必要もないため、他の用途よりも超音波出力が小さくても、確実に厚みを測定し得ることを知見した。言い換えれば、厚みセンサの場合は、他の用途よりも圧電効率が低くても、厚みセンサとして充分に機能させることができることを知見したのである。
このように、厚みセンサとしては、焼結体の緻密度をある程度小さくすると同時に薄肉化を測って、圧電効率を若干下げながらも、厚みセンサとして可撓性を付与したものとすることができることを新規に見い出した。
ニオブおよびリチウムのいずれか一方のアルコキシドのアルコール溶液と、他方の酢酸塩とを混合してNb−Liゾルを調製するゾル調製工程と、
前記Nb−Liゾルと、ニオブ酸リチウムからなる平均粒径1〜5μmの粉末とを混合して、その混合物からなる焼結原料を調製する焼結原料調製工程と、
少なくとも一方の板面が導電性を有する薄板状支持体を第1の電極とし、前記焼結原料を、前記薄板状支持体からなる第1の電極の前記一方の板面上に所定厚みで付着させて乾燥させることにより焼結原料層を形成する焼結原料層形成工程と、
前記焼結原料層を600〜1000℃の範囲内の温度に加熱することにより焼成して、密度が70〜80%の範囲内のニオブ酸リチウムからなる焼結体層を形成する焼成工程と、
前記焼結体層における第1の電極に対し反対側の表面上に第2の電極を形成する第2電極形成工程と、
前記第2電極形成工程の前もしくは後に、前記焼結体層における厚み方向に電位差を与えて焼結体層を分極させる分極処理工程と、
を有してなることを特徴とするものである。
さらに本発明の基本的な態様の超音波厚みセンサの製造方法では、圧電材料であるニオブ酸リチウム焼結体層(圧電セラミック層)の密度を、従来一般の圧電セラミックよりも低密度の80%以下としておくことによって、その焼結体層を第1の電極となる薄板状支持体に支持させた状態で可撓性を示すことができる。また同時に焼結体層の密度を70%以上とすることによって、超音波厚みセンサとして必要な程度の圧電性能を確保することができるとともに、焼結体層が過度に低密度となって脆くなることにより、焼結体層が第1の電極から剥離してしまうことを防止できる。
なお本明細書において焼結体層の密度とは、空隙率の逆数、すなわち相対密度を意味するものとする。
そしてまた本発明の基本的な態様の超音波厚みセンサの製造方法では、焼成工程における加熱温度を、従来一般の圧電セラミック製造における焼成温度より低い600〜1000℃の範囲内としているが、焼結原料としてニオブ酸リチウム粉末とNb−Liゾルとの混合物を用いているため、このような低温での焼結によっても焼結を進行させて、超音波厚みセンサとして必要な程度の圧電特性を示しうる密度(従来よりも低い70〜80%程度)を有する焼結体層を形成することができる。そしてまた、このように比較的低い密度に焼結された焼結体層は、その焼結体層を第1の電極となる薄板状支持体に支持させた状態で可撓性を示すことができ、また一方、焼結体層の密度が過度に小さくなって焼結体層が脆くなり、第1の電極(薄板状支持体)から剥離してしまうことも防止できる。
図1には、本発明の実施形態の超音波厚みセンサ製造方法の概要を示す。
この実施形態は、基本的には、第1の電極となるべき薄板状支持体として、ステンレス鋼や白金(Pt)などからなる金属薄板を用い、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)からなる粉末(平均粒径1〜5μmの粉末)と、そのニオブ酸リチウムの金属成分であるNbとLiのうち、一方のアルコキシドのアルコール溶液と他方の酢酸塩とからなるゾル(Nb−Liゾル)とを混合して、その混合物を焼結原料として、第1電極を兼ねた金属薄板上で焼成するものである。
P1:ニオブ酸リチウムの金属成分であるNb、Liのうちの一方のアルコキシドのアルコール溶液と、他方の酢酸塩とを用意し、これらを混合して、その混合物からなるゾル(Nb−Liゾル)を調製するゾル調製工程、
P2:ニオブ酸リチウムからなる平均粒径1〜5μmの原料粉末と、前記Nb−Liゾルとを混合して、その混合物からなる焼結原料(スラリー)を調製する焼結原料調製工程
P3:前記焼結原料スラリーを、薄板状支持体としての金属薄板からなる第1の電極の一方の板面に所定厚みで付着させて、第1の電極の一方の板面上に焼結原料層を形成する焼結原料層形成工程、例えば前記スラリーを、金属薄板からなる第1の電極の一方の板面に塗布して乾燥させる工程、
P4:第1の電極を兼ねた前記金属薄板上の焼結原料層を加熱して焼成し、ニオブ酸リチウムからなる焼結体層を第1の電極の一方の板面上に形成する焼成工程、
P5A、P5B:前記焼成工程P4の終了後、焼結体層における前記第1の電極に対して反対側の表面に第2の電極を形成する第2電極形成工程(注:この第2電極形成工程は、焼成工程P4の終了後、次の分極処理工程の前に施す場合(図1においてP5Aと表示)と、分極処理工程の後に行なう場合(図1においてP5Bと表示)とがある)、
P6A、P6B:焼結体層の厚み方向に電位差を与え、焼結体層を分極処理する分極処理工程(注:この分極処理を第2電極形成工程P5Aの後に行う場合を図1においてP6Aと表示し、第2電極形成工程P5Bの前に行う場合を図1においてP6Bと表示)、
以上の各工程からなるプロセスによって、酸化物系圧電材料としてニオブ酸リチウムを用いた超音波厚みセンサを製造する。
以下にこれらの各工程について、具体的に説明する。
予め、準備工程として、平均粒径1〜5μmのニオブ酸リチウム粉末を準備しておく。
ここで、セラミック粉末製造メーカなどからは、圧電素子用の原料粉末としてニオブ酸リチウム粉末が市販されており、したがって本発明の超音波厚みセンサの製造方法を実施するに当たっては、この種の市販のニオブ酸リチウム粉末を購入して、それをそのまま、あるいは平均粒径1〜5μmに粉砕して使用しても良い。但し、ニオブ酸リチウム粉末の調製から出発してもよいことはもちろんであり、そこで、ニオブ酸リチウム粉末調製のための工程を、ゾル調製に先立つ準備工程として次に簡単に説明する。
すなわち、アルコキシドとしては、アルキル基をRとし、一般式Nb(OR)Xで表されるニオブアルコキシド、またはLi(OR)Xで表されるリチウムアルコキシドを準備し、酢酸塩として酢酸リチウムまたは酢酸ニオブを用意する。
上記のアルコキシドにおけるアルキル基Rは特に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ブチル基、イソブチル基、t―ブチル基、s−ブチル基などを適用することができる。より具体的には、ニオブアルコキシドとしては、ニオブエトキシド、ニオブブトキシド、ニオブイソプロキシド、あるいはニオブエチルセルソルブなど、またリチウムアルコキシドとしては、リチウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウムブトキシドなどを用いることが好ましい。
A:ニオブアルコキシドと酢酸リチウムとの組み合わせ、
B:酢酸ニオブとリチウムアルコキシドとの組み合わせ、
のうち、いずれの組み合わせを用いても良いが、総合的な入手のしやすさおよび原材料コストの点からは、Aの組み合わせを用いることが望ましい。
但し、LiNbO3の組成を基本として、それに微量添加元素として、Mn、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Ta、La、Nd、Sc、Gdなどの1種又は2種以上を添加したニオブ酸リチウム系圧電セラミック材料を対象とする場合、アルコキシドおよび酢酸塩からなるNb−Liゾルとしては、必ずしもこれらの微量元素金属まで含んでいなくても良く、主成分であるNb、Liのアルコキシド、酢酸塩を含んでいればで充分である。もちろん場合によっては、これらの微量添加元素を含むゾルであってもよい。
さらに、NbもしくはLiのアルコキシドを溶解させるアルコールの種類は特に限定しないが、一般には溶解のしやすさや安定性などの点から、アルコキシドのアルキル基と同じアルコールを用いた溶液とすることが望ましい。
前述のような比較的粗大なニオブ酸リチウム粉末(平均粒径1〜5μm)と、Nb−Liゾルとを、混合、混錬すれば、焼結原料としてのスラリー状の混合物が得られる。
なお、上記のニオブ酸リチウム粉末とNb−Liゾルの配合比は特に限定しないが、通常は、ニオブ酸リチウム粉末中の金属成分(NbおよびLi)に対するNb―Liゾル中の金属成分(NbおよびLi)のモル比が、0.1〜0.5の範囲内となるように配合することが望ましい。上記のモル比が0.1未満では、Nb−LIゾル中のNb、Liが少なすぎて、焼成工程においてゾルの分解反応生成物が焼結助剤として充分に機能せず、そのため低温での焼結が困難となり、一方上記のモル比が0.5を越えれば、Nb−Liゾルが多すぎて、第1の電極を兼ねる金属薄板上で焼成したときに、Nb−Liゾルからの分解反応生成物の量が過剰となり、収縮によるひび割れが顕著となる。
さらに、Nb−Liゾルと、ニオブ酸リチウム粉末との直接的な混合割合自体も、特に限定しないが、通常は、Nb−Liゾル:ニオブ酸リチウム粉末の比が重量比で4:1〜2:3の範囲内となるように混合することが望ましい。Nb−Liゾルと、ニオブ酸リチウム粉末との重量比が4:1未満では、混合物スラリーの粘度が低すぎて、次の焼結原料層形成工程において充分な厚みで塗布することが困難となるとともに、焼成工程においてNb−Liゾルの分解反応生成物の量が過剰となり、ひび割れが生じてしまうおそれがある。一方上記の重量比が2:3を越えれば、混合物スラリーの粘度が高すぎて、次の焼結原料層形成工程において混合物スラリーの塗布が困難となるとともに、焼成工程においてNb−Liゾルの分解反応生成物の量が過少となり、前述のように焼成工程においてゾルの分解反応生成物が焼結助剤として充分に機能せず、そのため低温での焼結が困難となるおそれがある。
この焼結原料層形成工程は、前記混合物スラリー(焼結原料)を、第1の電極としての金属薄板の板面に所定の厚みで付着させて、金属薄板の表面に所定の厚みの焼結原料層を形成する工程である。
上記金属薄板は、電極として機能するだけではなく、乾燥後の焼成工程や厚みセンサとしての使用時において支持体として機能するものである。その金属薄板の材質は特に限定されないが、本発明の場合、焼結原料として比較的粗大なニオブ酸リチウム粉末とNb−Liゾルとの混合物を用いているため、800℃程度以下の低温で焼成することも可能であり、したがって800℃程度以下の低温で焼成する場合には、800℃程度までの耐酸化性を有する汎用の耐熱金属を使用することが可能である。すなわち、ステンレス鋼やその他の汎用の耐熱鋼を、第1の電極を兼ねる金属薄板として使用することができる。具体的には、18Cr−8Niとして知られるSUS304系統のオーステナイト系ステンレス鋼、あるいは18Cr−12Ni−2.5MoのSUS316系統のオーステナイト系ステンレス鋼、その他、22Ni−12CrのSUH309系統のオーステナイト系耐熱鋼を用いることができる。但し、800℃程度より高温の1000℃近くでの使用が想定される場合は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの如く、1000℃を越える高温でも酸化しない耐高温酸化性が極めて優れた金属を、第1の電極を兼ねる金属薄板として使用することが望ましい。
ここで、塗布層を乾燥させた状態では、乾燥前の状態から収縮して、乾燥前の1/2〜1/4程度の厚みとなるが、乾燥後の焼結原料層の厚み(したがって後述する焼成工程開始直前の段階での厚み)は、70〜200μmの範囲内とすることが望ましい。焼成工程開始直前の段階での焼結原料層の厚みが70μm未満では、焼成後の焼結体層の厚みが薄すぎて、センサを湾曲させた時に、焼結体層が第1の電極としての金属薄板から剥離するおそれがある。一方、焼成工程開始直前の段階での厚みが200μmを越えれば、焼成後の焼結体層の厚みも厚くなりすぎ、その結果、後述するように充分な可撓性を焼結体層に与えることが困難となるおそれがある。
なお、第1電極を兼ねる金属薄板上に混合物スラリーを塗布した後の乾燥は、次の焼成工程における焼結のための加熱の初期段階で行なっても良い。
続いて、前述のようにして第1の電極としての金属薄板の板面に焼結原料層を形成した状態で、その焼結原料層を加熱して焼成し、ニオブ酸リチウムからなる焼結体層を形成する。
この焼成工程では、比較的粗大なニオブ酸リチウム粉末の粒子(平均粒径1〜5μm)の間に存在しているNb−Liゾルのアルコキシドおよび酢酸塩が分解して反応し、超微粉末状の分解反応生成物が生成され、かつその分解反応生成物が、比較的粗大なニオブ酸リチウム粉末の粒子を焼結結合させる役割、すなわち焼結助剤として機能する。しかもその分解反応生成物は、それ自体でニオブ酸リチウムの組成を有するため、圧電特性を向上させる機能も果たす。したがってこのように比較的粗大なニオブ酸リチウム粉末とともにNb−Liゾルを混合して焼成することにより、比較的低温でも焼結が進行し、かつ圧電特性も向上する。
焼成後のセラミック焼結体の密度が80%と越える高密度となれば、焼結体層の剛性が高くなって、可撓性が劣る状態となり、その結果、厚みセンサとしての使用時においてセンサを湾曲させれば、焼結体層が第1の電極としての金属薄板から剥離したり、クラックが発生したりするおそれがあり、したがって厚さ測定対象の配管などの湾曲部分に適用することが困難となる。また同時に密度が80%と越える高密度となるように焼成した場合、焼成時の収縮が大きくなって、第1の電極としての金属薄板から剥離してしまうおそれが強く、その結果、第1の電極としての金属薄板上に密着した焼結体層を得ることが困難となる。
一方、焼成後のニオブ酸リチウム焼結体層の密度が70%未満の低密度では、焼結体層の空隙率が高すぎて、焼結体層内部の粒子が充分に結合されていない状態となり、そのため、その後の工程におけるハンドリング時やセンサとしての使用時に焼結体層が粉体状に剥落してしまうおそれがあり、また同時に、焼結体層内部の空隙率が高くなって、厚さ測定のため超音波センサとして充分な圧電特性が得られなくなるおそれがある。
ここで焼成温度が1000℃を超える高温となれば、焼成時に粉体粒子同士の焼結反応が急速に進行して、密度が80%以下の焼結体層を得ることが困難となる。一方、焼成温度が600℃未満の低温では、粉体粒子同士の焼結反応が充分に進行せず、焼結体層の密度を70%以上に高めることが困難となる。なお焼成温度は、第1の電極となる金属薄板としてステンレス鋼などの汎用の耐熱鋼を用いる場合は、600〜750℃程度とすることが望ましいが、第1の電極となる金属薄板として白金(Pt)などの1000℃以上の高温でも酸化しない金属を用いる場合には、750℃を超える高温で焼成しても良い。
また焼成時の雰囲気は大気とすることが好ましい。さらに焼成時間は、焼成温度によっても異なるが、通常は0.1〜2時間とすることが好ましい。
このような焼成工程によって、支持体を兼ねた第1の電極としての金属薄板の一方の板面に、所定の厚み、所定の密度のニオブ酸リチウムからなる焼結体層が形成される。
この第2電極形成工程は、前記第1の電極(金属薄板)の対極となる第2の電極を、前記ニオブ酸リチウム焼結体層の上面(第1の電極に対し反対側の面)に形成する工程であり、次の分極処理工程P6Aを実施する前の工程(P5A)、あるいは分極処理工程P6Bを行なった後の工程(P5B)として実施される。
第2の電極形成のための具体的手段は特に限定されないが、例えば銀(Ag)などの電極用の導電性金属の粉末をペースト化しておき、そのペーストを焼結体層表面に塗布して焼き付けたり、あるいは電極用の導電性金属の薄膜を焼結体層の表面に載置もしくは貼着して焼き付けたりすれば良い。なおこの第2電極の厚みは、10〜100μmとすることが好ましい。第2の電極の厚みが100μmを越えれば、厚みセンサの可撓性を損なうおそれがあり、一方10μm未満に薄く第2の電極を形成した場合、焼結体層表面の凹凸によって局部的に第2の電極が不連続となってしまうおそれがある。
この分極処理工程は、第2電極形成工程P5Aを経て、第1の電極(金属薄板)上の焼結体層の上面に第2の電極が形成された積層体、あるいは第2電極形成工程P5Bの実施前で第1の電極(金属薄板)上の焼結体層の上面に第2の電極が未だ形成されていない積層体を対象とし、その積層体におけるニオブ酸リチウム焼結体層の厚み方向に電位差を与えて、ニオブ酸リチウム焼結体を分極させる工程である。
この分極処理としては、
A:従来の一般的な分極処理方法、すなわち一対の分極用電極によって積層体を直接挟み、シリコンオイルなどの火花放電防止用媒体中に浸漬させ、その状態で分極用電極間に高電圧を印加して、焼結体を分極させる方法(従来分極法)、
B:従来の一般的な分極処理方法とは異なり、気体(通常は空気)中において発生させたコロナ放電による電界領域内に焼結体を曝して、焼結体を分極させる方法(コロナ放電分極法)、
以上のAまたはBのいずれかを適用する。
すなわち、気体(通常は大気)中において、線状電極もしくは針状電極からなるコロナ放電用電極と、それに対向する平板上のベース電極との間に高電圧光電を印加して、コロナ放電用電極からベース電極に向けて気体の電離によるコロナ放電を生起させ、かつそのコロナ放電による電界領域(放電域)内に前記積層体の焼結体層を曝せば、焼結体層の厚み方向に電位差を与えて分極させることができる。なおこのコロナ放電による分極処理は、それ以前の第2電極形成工程によって焼結体層の表面に予め第2の電極が形成されている場合、および焼結体層の表面に未だ第2の電極が形成されていない場合(すなわち分極処理工程の後に第2電極形成工程を実施する場合)のいずれの場合でも実施可能であることが確認されている。
なお、分極処理工程の前に第2電極形成工程を行なっていない場合には、分極処理工程P6Aの後工程として、第2電極形成工程P5Bを実施し、既に分極されている焼結体層の表面に前記と同様にして第2の電極を形成する。
図2、図3において、符号1は、超音波厚みセンサ9の第1の電極(支持体を兼ねた金属薄板)であり、その第1の電極1の一方の板面に、ニオブ酸リチウムからなる焼結体層(圧電セラミック層)3が形成されており、更にその焼結体層3の表面に第2の電極5が形成されている、そして第1の電極1、第2の電極5のそれぞれからは、リード線7A、7Bが引き出されている。このように構成された厚みセンサ9は、その第1の電極1の片面が厚さ測定対象物(金属管の管壁、容器の外壁など)11の表面に接するように、接着剤13などを用いて貼り付けることによって、その測定対象物の厚みを随時測定することができる。なおこの際の接着剤13としては、銀ペースト、白金ペースト、金ペーストなどを使用すればよい。
またこの超音波厚みセンサは、全体として薄質で可撓性を有しているため、図3に示したように、測定対象物11の表面が湾曲している場合であっても、その湾曲面に沿って超音波厚みセンサ9を接着して、湾曲部位における厚み測定を行なうことができる。
前記電極台23は、その上面が水平な平坦面23Aとされており、またその電極台23は、基本的には少なくともその上面(平坦面)23Aが導電性を有する構成とされていればよいが、本実施形態の場合は、電極台23の全体がアルミニウムやアルミニウム合金、銅や銅合金、ステンレス鋼などの導電性材料からなる構成とされている。そしてこの電極台23は、接地電位を保つように、アース線29によって電気的に接地されている。なお電極台23には、必要に応じて、電熱ヒータや温水ヒータ、オイルヒータなどの図示しない加熱手段が組み込まれていても良い。
但し、場合によっては、電極台23の上下方向位置は固定しておく一方、電極支持部材33を昇降可能として、その電極支持部材33に昇降調整機構を設けておき、必要に応じて電極支持部材33を昇降させることによって線状電極31A〜31Cを上下動させ、これによって電極台23の上面23Aと線状電極31A〜31Cの間の距離Gを調整することも可能である。したがって、要は、電極台23の上面23Aと線状電極31A〜31Cの間の距離Gを調整する間隔調整手段として、電極台23と電極支持部材33のいずれかに昇降調整機構が設けられていれば良い。
ここで、積層体40は、既に述べたようにステンレス鋼や白金などの導電性を有する10〜150μm程度の薄質な金属薄板(第1の電極)1を支持体とし、その金属薄板1の一方の板面(上面)に、30〜150μm程度の薄い層状にニオブ酸リチウムからなる焼結体層3が形成されたもの(分極処理工程の前に第2電極形成工程を実施しない場合)、あるいは、上記と同様に支持体としての金属薄板(第1の電極)1の板面にニオブ酸リチウムからなる焼結体層3が形成され、さらにその焼結体層3の表面に第2の電極5が形成されたものである。但し図4〜図6の例では、第2の電極5を形成していない積層体40を示している。ここで、上記の金属薄板1は、コロナ放電のための電圧印加時に、コロナ放電用電極(線状電極31;31A〜31C)の対極の平板状ベース電極としても機能するものである。
この状態で分極電圧印用電源35を駆動させれば、線状電極31A〜31Cと金属薄板1との間に高電圧が加えられ、これによって各線状電極31A〜31Cから金属薄板1に向けてコロナ放電が発生して、電界領域(放電域;電位差領域)が形成される。焼結体層3は、金属薄板1に対して線状電極31A〜31Cの側に形成されているから、その焼結体層3は、コロナ放電による電界に曝され、その結果、焼結体層3が分極されることになる。
本発明者等の実験によれば、密度が70〜80%と低密度でかつ厚みが数百μmオーダー以下の薄質なニオブ酸リチウムからなる焼結体層であれば、コロナ放電によって、超音波厚みセンサとして必要な程度の分極特性、圧電特性が得られることが判明している。
例えば図4〜図6に示す例では、間隔を置いて平行に配列された3本の線状電極31A、31B、31Cのそれぞれと平板状ベース電極に相当する金属薄板1との間には、それぞれコロナ放電によって電界領域(放電域)41A、41B、41Cが形成される。これらの電界領域41A、41B、41Cは、それぞれ線状電極31A、31B、31Cの長さ方向に沿う帯状の領域として、最大幅(金属薄板表面付近での幅)Wで形成される。そして各電界領域41A、41B、41Cの幅方向の端部付近が互いに重なり合うように、線状電極31A、31B、31Cの相互間の間隔S、および線状電極31A、31B、31Cと電極台23との間の距離Gを設定しておけば、金属薄板1上に形成されている焼結体層3の全体が電界領域中に曝されることになり、その焼結体層3の全体を同時に分極させることが可能となる。
また分極のためのコロナ放電時において印加する印加電圧は、間隔G0によっても異なるが、通常は5000〜15000V程度が好ましい。5000V未満ではコロナ放電が生じにくくなり、一方15000Vを越えれば、細い線状電極が焼切れてしまうおそれがある。なお本発明者等の実験によれば、ニオブ酸リチウムからなる焼結体層の密度が70〜80%で、かつ厚みが30〜150μm程度と薄質であれば、上記の電極間距離条件、印加電圧条件の範囲内でのコロナ放電によって、超音波厚みセンサとして必要な程度の分極特性(圧電特性)が得られることが確認されている。
さらに、高電圧を印加する時間、すなわちコロナ放電によって分極処理を行う時間は、1〜5分程度とすることが望ましい。分極処理時間が1分未満では、70〜80%の低密度の焼結体について、超音波厚みセンサとして必要な程度まで分極させることができなくなってしまうおそれがあり、一方、5分を越えて分極処理を行っても、70〜80%の低密度の焼結体ではそれ以上分極が進行せず、生産性を損なうだけである。但し、分極しにくい圧電材料の場合には、5分を越える長時間の分極処理を行うことも許容される。
塗布後、乾燥させてから、650℃で加熱することにより、焼結原料層を焼結させ、ニオブ酸リチウム焼結体層とした。具体的には、電気炉に入れ、大気雰囲気にて昇温速度10℃/minで650℃まで加熱し、650℃において0.5時間保持したのち、炉令した。これにより、焼成されたニオブ酸リチウムからなる厚み50μmの焼結体層が、第1の電極としての厚さ25μmのSUS304からなる金属薄板の上に焼き付けられたものが得られた。
次に、そのニオブ酸リチウムからなる焼結体層(8mm角)の中央に、4mm丸の大きさで第2の電極用の銀ペーストを塗布し、500℃で焼き付け、平均厚み20μmの第2の電極(銀電極)を形成した。
その後、積層体を150℃のシリコンオイル中に浸漬し、積層体における第1の電極と第2の電極の間に3000V/mmの電位差を与える分極処理を5分間実施した。その後、第1の電極(SUS304)と第2の電極(銀)のそれぞれにリード線を導電ペーストにより接着し、厚みセンサとした。
次いでコロナ放電による分極処理を、次のようにして施した。すなわち、コロナ放電分極処理装置として図4〜図6に示す装置を用い、その電極台23上に積層体40を載置して、コロナ放電による分極処理を行なった。ここでコロナ放電用電極31としては、タングステン(W)からなる外径50μm、長さ150mmの3本の線状電極31A〜31Cを、30mmの間隔で平行に配列し、また積層体40と線状電極31A〜31Cとの間隔は1cmとし、9000Vの電圧を線状電極31A〜31Cと電極台23との間に加え、5分間処理を行った。
その後、第1の電極(SUS304)と第2の電極(銀)のそれぞれにリード線を導電ペーストにより接着し、厚みセンサとした。
分極処理後、ニオブ酸リチウムからなる焼結体層(8mm角)の中央に、4mm丸の大きさで第2の電極用の銀ペーストを塗布し、500℃で焼き付け、平均厚み20μmの第2の電極(銀電極)を形成した。その後、第1の電極(SUS304)と第2の電極(銀)のそれぞれにリード線を導電ペーストにより接着し、厚みセンサとした。
すなわち実施例1における第1の電極としてのSUS304からなる金属薄板に代えて、100μm厚の白金薄板を用いた点、およびスラリーの塗布、乾燥後の焼成条件を、900℃×0.5時間に変更した点以外は、実施例1と同様にして超音波厚みセンサを製造した。なお焼成後の焼結体層の厚みは70μm、密度は約75%であった。
分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、実施例1と同様に、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、実施例4と同様に室温状態および700℃加熱状態で、管壁の厚み測定を行なったところ、室温、700℃加熱のいずれの状態においても、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、実施例1と同様に、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、実施例4、実施例5と同様に室温状態および700℃加熱状態で、管壁の厚み測定を行なったところ、室温、700℃加熱のいずれの状態においても、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
一方、リチウムアルコキシドとしてのリチウムブトキシドのブタノール溶液と、酢酸ニオブとを用意し、これらをLi:Nb=1:1のモル比となるように配合して、Nb−Liゾルを調製した。なおこのNb−Liゾルは、金属成分としてのNbおよびLiを、ゾルの全重量に対して合計で10%含むものである。
次に、そのニオブ酸リチウムからなる焼結体層(8mm角)の中央に、4mm丸の大きさで第2の電極用の銀ペーストを塗布し、500℃で焼き付け、平均厚み20μmの第2の電極(銀電極)を形成した。
その後、積層体を150℃のシリコンオイル中に浸漬し、積層体における第1の電極と第2の電極の間に3000V/mmの電位差を与える分極処理を5分間実施した。その後、第1の電極(SUS304)と第2の電極(銀)のそれぞれにリード線を導電ペーストにより接着し、厚みセンサとした。
すなわち、焼成工程、第2電極形成工程までは実施例7と同様とし、その後、実施例2、5と同様にしてコロナ放電による分極処理を行った。
分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として銀ペーストを用いて貼り付け、実施例1と同様に、室温状態および500℃加熱状態で、管壁の厚み測定を行なったところ、室温、500℃加熱のいずれの状態においても良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
すなわち、焼成工程までは実施例7と同様とし、その後、実施例3、6と同様にして第2電極の形成およびコロナ放電による分極処理を行った。
分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として銀ペーストを用いて貼り付け、実施例1と同様に、室温状態および500℃)加熱状態で、管壁の厚み測定を行なったところ、室温、500℃加熱のいずれの状態においても良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
すなわち、第1の電極として100μm厚の白金からなる薄板を用いた点、および焼成条件を900℃×0.5時間に変更した点以外は、実施例7と同様にして超音波厚みセンサを製造した。なお焼成後の焼結体層の厚みは75μm、密度は約75%であった。
分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として白金ペーストを用いて貼り付け、実施例4〜6と同様に、室温状態および700℃加熱状態で、管壁の厚み測定を行なったところ、室温、700℃加熱のいずれの状態においても良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
すなわち、分極処理として実施例2、5、8と同様なコロナ放電を適用した点以外は、実施例10と同様にして超音波厚みセンサを製造した。
分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として白金ペーストを用いて貼り付け、実施例4〜6、10と同様に、室温状態および700℃加熱状態で、管壁の厚み測定を行なったところ、室温、700℃加熱のいずれの状態においても良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
すなわち、分極処理として実施例3、6、9と同様なコロナ放電を適用した点以外は、実施例10、実施例11と同様にして超音波厚みセンサを製造した。
分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として白金ペーストを用いて貼り付け、実施例4〜6、10と同様に、室温状態および700℃加熱状態で、管壁の厚み測定を行なったところ、室温、700℃加熱のいずれの状態においても良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
3 焼結体層(ニオブ酸リチウム圧電セラミックス層)
5 第2の電極
9 超音波厚みセンサ
11 厚さ測定対象物
31、31A〜31C 線状電極(コロナ放電用電極)
40 積層体
41A〜41C 電界領域(放電域)
Claims (8)
- ニオブおよびリチウムのいずれか一方のアルコキシドのアルコール溶液と、他方の酢酸塩とを混合してNb−Liゾルを調製するゾル調製工程と、
前記Nb−Liゾルと、ニオブ酸リチウムからなる平均粒径1〜5μmの粉末とを混合して、その混合物からなる焼結原料を調製する焼結原料調製工程と、
少なくとも一方の板面が導電性を有する薄板状支持体を第1の電極とし、前記焼結原料を、前記薄板状支持体からなる第1の電極の前記一方の板面上に所定厚みで付着させて乾燥させることにより焼結原料層を形成する焼結原料層形成工程と、
前記焼結原料層を600〜1000℃の範囲内の温度に加熱することにより焼成して、密度が70〜80%の範囲内のニオブ酸リチウムからなる焼結体層を形成する焼成工程と、
前記焼結体層における第1の電極に対し反対側の表面上に第2の電極を形成する第2電極形成工程と、
前記第2電極形成工程の前もしくは後に、前記焼結体層における厚み方向に電位差を与えて焼結体層を分極させる分極処理工程と、
を有してなることを特徴とする超音波厚みセンサの製造方法。 - 前記ゾル調製工程において、ニオブアルコキシドのアルコール溶液と酢酸リチウムとを混合してNb−Liゾルを調製することを特徴とする請求項1に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
- 前記ゾル調製工程において、リチウムアルコキシドのアルコール溶液と酢酸ニオブとを混合してNb−Liゾルを調製することを特徴とする請求項1に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
- 前記ゾル調製工程において、ニオブとリチウムのモル比が実質的に1:1となるようにNb−Liゾルを調製することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
- 前記第2電極形成工程の前もしくは後に前記分極処理工程を行い、かつその分極処理工程においては、焼結体層表面もしくは第2の電極の表面に分極用電極が直接接触するように分極処理用電極を配置し、火花放電防止用媒体中において分極用電極と前記薄板状支持体の表面との間に電圧を印加することによって焼結体層を分極させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
- 前記第2電極形成工程の前もしくは後に前記分極処理工程を行い、かつその分極処理工程においては、焼結体層表面もしくは第2電極表面から離れた位置にコロナ放電用電極を配して、気体中においてコロナ放電用電極と支持体表面との間に電圧を印加することにより、その間にコロナ放電を生起させ、そのコロナ放電による電界領域内に焼結体層を曝すことにより焼結体層を分極させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
- 前記第1電極を構成する薄板状支持体として、その厚みが15〜100μmの範囲内の金属薄板を用い、また前記焼結体層を、その厚みが30〜150μmの範囲内となるように形成し、さらに前記第2の電極を、その厚みが、10〜100μmの範囲内となるように形成することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
- 前記第1電極を構成する薄板状支持体として、その厚みが30〜100μmの範囲内の部分安定化ジルコニアからなるセラミック基板の表面に、良導電性を有する耐高温酸化性金属からなる平均膜厚5〜20μmのメタライズ層が形成されたメタライズ板を用い、また前記焼結体層を、その厚みが30〜150μmの範囲内となるように形成し、さらに前記第2の電極を、その厚みが、10〜100μmの範囲内となるように形成することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012066364A JP6021372B2 (ja) | 2012-03-22 | 2012-03-22 | 超音波厚みセンサの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012066364A JP6021372B2 (ja) | 2012-03-22 | 2012-03-22 | 超音波厚みセンサの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013197541A JP2013197541A (ja) | 2013-09-30 |
JP6021372B2 true JP6021372B2 (ja) | 2016-11-09 |
Family
ID=49396073
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012066364A Active JP6021372B2 (ja) | 2012-03-22 | 2012-03-22 | 超音波厚みセンサの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6021372B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6109036B2 (ja) * | 2013-10-17 | 2017-04-05 | 三菱重工業株式会社 | 超音波計測装置及びその校正方法 |
JP6057883B2 (ja) * | 2013-12-11 | 2017-01-11 | 三菱重工業株式会社 | 圧電センサの製造方法 |
JP7428568B2 (ja) * | 2020-03-27 | 2024-02-06 | 三菱重工業株式会社 | 超音波センサの圧電素子膜の製造方法及び超音波センサ |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3477724B2 (ja) * | 1992-10-06 | 2003-12-10 | セイコーエプソン株式会社 | 強誘電体膜の形成方法 |
JPH1164663A (ja) * | 1997-08-27 | 1999-03-05 | Oki Electric Ind Co Ltd | 光導波路の製造方法 |
JP2000128645A (ja) * | 1998-04-17 | 2000-05-09 | Ssi Technol Inc | ゾル・ゲルバインダ―溶液及びそれによる溶液析出法 |
JP2001024248A (ja) * | 1999-07-07 | 2001-01-26 | Samsung Electro Mech Co Ltd | 低温焼成法による多層圧電/電歪セラミックアクチュエータの製造方法及びその方法によって製造された多層圧電/電歪セラミックアクチュエータ |
JP4388409B2 (ja) * | 2004-04-26 | 2009-12-24 | 株式会社日立製作所 | 超音波検査装置 |
JP4927400B2 (ja) * | 2004-12-24 | 2012-05-09 | 富士フイルム株式会社 | 無機圧電体のポーリング処理方法、及び、圧電素子の製造方法 |
JP4674363B2 (ja) * | 2005-06-27 | 2011-04-20 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 異常状態検出方法およびシート状圧電センサ |
JP2009105176A (ja) * | 2007-10-23 | 2009-05-14 | Seiko Epson Corp | 圧電体膜の製造方法、および圧電素子 |
JP2010018452A (ja) * | 2008-07-08 | 2010-01-28 | Seiko Epson Corp | セラミックスの製造方法 |
-
2012
- 2012-03-22 JP JP2012066364A patent/JP6021372B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013197541A (ja) | 2013-09-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6012213B2 (ja) | 超音波厚みセンサ用酸化物系無機圧電材料焼結体の分極処理方法、および分極処理装置 | |
JP5068307B2 (ja) | 粒子状物質検出装置 | |
JP5219710B2 (ja) | 粒子状物質検出装置及びその製造方法 | |
CN102381876B (zh) | 电介质陶瓷组合物和陶瓷电子部件 | |
EP2267808A1 (en) | Piezoelectric/electrostrictive element and manufacturing method thereof | |
JP2009186278A (ja) | 粒子状物質検出装置 | |
JP6021372B2 (ja) | 超音波厚みセンサの製造方法 | |
JP2014040356A (ja) | 超音波厚みセンサ用酸化物系圧電材料粉末の製造方法、酸化物系圧電材料粉末、超音波厚みセンサの製造方法、および超音波厚みセンサ | |
CN101217180B (zh) | 一种无铅压电厚膜制备方法 | |
JP6049349B2 (ja) | 超音波厚みセンサ用酸化物系圧電材料粉末の製造方法、および超音波厚みセンサの製造方法 | |
Burrows et al. | Sol–gel prepared bismuth titanate for high temperature ultrasound transducers | |
JP2013168573A (ja) | 超音波厚みセンサの製造方法 | |
JP2011226859A (ja) | 粒子状物質検出装置 | |
JP2014041973A (ja) | 超音波厚みセンサ用酸化物系圧電材料粉末の製造方法、酸化物系圧電材料粉末、超音波厚みセンサの製造方法、および超音波厚みセンサ | |
JP2013197300A (ja) | 超音波厚みセンサの製造方法 | |
JP2013239636A (ja) | 超音波厚みセンサの製造方法 | |
JP2009007236A (ja) | 圧電/電歪磁器組成物、圧電/電歪素子及びその製造方法 | |
JP2011247725A (ja) | センサ素子 | |
JP2013143647A (ja) | 超音波厚みセンサの製造方法 | |
JP7061749B2 (ja) | 超音波厚みセンサの製造方法 | |
JP2013239635A (ja) | 超音波厚みセンサの製造方法 | |
JP2010210534A (ja) | 粒子状物質検出装置 | |
JP2013175993A (ja) | 超音波厚みセンサの製造方法 | |
JP2013143648A (ja) | 超音波厚みセンサの製造方法 | |
JP2015060894A (ja) | 超音波厚みセンサの製造方法、及び超音波厚みセンサ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150306 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160324 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160405 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160602 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20160603 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160906 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20161004 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6021372 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |