JP4388409B2 - 超音波検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波探傷に使用する超音波探触子に係り、特に温度が高い検査対象物の超音波探傷のための超音波探触子と超音波検査装置に関するものである。
発電プラントや化学プラントなど、極めて高い安全性が要求される設備においては、そこで使用されている高温部材の健全性評価が欠かせず、このため、従来から超音波検査装置が用いられている。
ところで、従来技術では、発電プラントや化学プラントの定期検査期間において、検査対象部の温度を検査が可能な温度に低下させてから、或いは検査が可能な温度に低下するのを見はからって、超音波検査を実施している。
ここで、超音波検査装置のセンサとなる超音波探触子(超音波センサ)としては、圧電振動子の超音波送信面に保護板となる前面板を接合させ、圧電振動子の背面(超音波送信面の反対側の面)には、該圧電振動子の振動をできるだけ早く制動し、振動波数を少なく抑えるためのバッキング材が施こされているのが一般的な構成である。
そして、上記した検査に使用される超音波センサの場合、圧電振動子と前面板の接合にはエポキシ樹脂などが使用され、バッキング材の接合には、金属粉末を混合したエポキシ樹脂などが使用されていて、これにより超音波の減衰が高められるようにしている。
しかし、最近、検査効率向上の観点から、プラント稼働中、そのまま高温環境下で随時検査したり、高温環境下で超音波センサを設置し、長期に亘り連続して対象物の変化をモニタリング(監視)したいとの要望が高まっているが、この場合、高温環境下でも使用が可能な耐熱性を備えた超音波探触子が必要になる。
しかしながら、従来から常温で使用されている超音波センサの場合、その使用温度の上限はせいぜい80℃程度にすぎない。これは、圧電振動子と前面板の接合にエポキシ樹脂が使用されているためで、これ以上の温度では接着面が剥がれ、超音波の送受信ができなくなってしまうからである。
しかして、このような耐熱性を備えた超音波探触子も従来から提案されており、その例としては、例えば圧電振動子と前面板をはんだ(以下、ハンダと記す)で接合したもの(例えば、特許文献1参照。)や、圧電振動子と前面板の接合にハンダより高融点のロウ材を使用したもの(例えば、特許文献2参照。)などがある。
特開昭62−280649号公報 特許第2986581号明細書(特開平5−11042号公報)
上記従来技術は、耐熱性と製造時の歩留まり低下について配慮がされておらず、一方には耐熱性に問題があり、他方には歩留まり低下に問題があった。
ここで、まず、圧電振動子と前面板の接合にハンダを使用している従来技術の場合、良好な感度が得られているが、耐熱温度は250℃であり、上記したプラントなどの検査には耐熱性が不足する虞れがある。
次に、圧電振動子と前面板の接合にロウ材を使用している従来技術の場合、500℃以上の耐熱性を有しているが、接合時には600℃前後と高い温度が必要なため、圧電振動子と前面板の材質によってはその熱膨張係数の差により振動子が割れることがあり、接合の歩留まりが低下する虞れがある。
本発明は、これらの従来技術に鑑みてなされたもので、その目的は、耐熱温度が250℃以上で製造時の歩留まりが良い超音波探触子と、それを用いた超音波検査装置を提供することにある。
上記目的は、ニオブ酸リチウム又はニオブ酸鉛の何れかによる圧電振動子の超音波送受信面側にステンレス材又はチタン材或いは炭素鋼材の何れかによる金属板を共晶の亜鉛−アルミニウム系のはんだ合金により接合し、前記圧電振動子の背面側にはタングステン又は酸化タングステンの一方からなる重密度金属粉を混入した耐熱性の有機接着剤又は耐熱性の無機接着剤による封止部が形成されている斜角超音波探触子を2個用い、
前記2個の斜角超音波探触子の一方を用いて被検査体の超音波検査を行い、
前記2個の斜角超音波探触子の双方を用いて被検査体中を伝播するクリーピング波を検出し、前記2個の斜角超音波探触子と超音波伝達の健全性を確認するようにして達成される。

すなわち、請求項1では、2個の斜角超音波探触子を用い、被検査体中を伝播するクリーピング波を検出し、前記超音波探触子と超音波伝達の健全性を確認するようにしている
このとき、更に圧電振動子と前面板である金属板とを融点が350℃以上のハンダ合金を用いて接合することにより300℃の耐熱性を得るようにしてもよい。

また、このとき、圧電振動子にニオブ酸リチウム又はニオブ酸鉛など、キューリー点が500℃以上の圧電振動子を用いて耐熱性300℃が確保されるようにしてもよい

また、このとき、ハンダ合金を共晶又は液相線と固相線が同等である例えば亜鉛−アルミ系、亜鉛−アルミ−ゲルマニウム系あるいは金−シリコン系、金−アンチモン系で接合し、接合時の加熱温度をできるだけ下げると同時に300℃の耐熱性を確保するようにしてもよい

また、このとき、金属板として、ステンレス材、チタン材あるいは炭素鋼材及びこれらと熱膨張係数が同等である金属材を利用してもよい

また、このとき、圧電振動子の電極へのリード線の接続を上記で接合に用いたハンダ合金と同材で行い、同じ耐熱性を確保するようにしてもよい

請求項では、圧電振動子の背面側を酸化タングステン等の重密度金属粉を混合した耐熱性の有機系又は無機系接着剤で充填し、制動効果をもたせている。
つまり、請求項1の場合、圧電振動子の背面側にタングステン又は酸化タングステンの一方からなる重密度金属粉を混入した耐熱性の有機接着剤又は耐熱性の無機接着剤による封止部が形成されているので、制動効果がもたせられていることになる。
また、このとき一体に接合した圧電振動子と金属板を金属ケースに収納し、該金属ケースの一部から前記圧電振動子の電極に電気的に接続した耐熱ケーブルを引き出し外部装置に接続してもよい

また、このとき、金属板を斜めに切断した斜角超音波探触子を用い、該斜角超音波探触子を被検査体表面に対向して配置し、前記被検査体中を伝搬するクリーピング波を検出して前記超音波探触子及び超音波伝搬の健全性を確認しながら長期に亘り安定して検査ができるようにしてもよい
本発明によれば、圧電振動子と金属板が、亜鉛−アルミ系の共晶ハンダ合金など、融点が300℃以上450℃以下の温度のハンダ合金で接合されているので、接合時の加熱温度を溶融温度に対して+10℃前後にでき、熱膨張係数の差による歪みを最小限に抑えることで圧電振動子の割れを防ぐことができ、しかも300℃の耐熱温度が確保できる。
以下、本発明による超音波探触子及び超音波検査装置について、図示の実施の形態により詳細に説明する。
まず、図1は、本発明による超音波探触子の一実施形態で、ここで、ニオブ酸リチウム材からなる圧電振動子1は、その両面に金属の電極4a、4bが設けてあり、ここで、矢印Aは、超音波が送信される方向と受信される方向を各々表わしている。
そして、圧電振動子1の超音波送受信面側には、融点382℃のZn―Al合金(亜鉛が95%、アルミニウムが5%の共晶ハンダ合金)3により、前面板となるチタン材の金属板2が接合されている。
ここで、“共晶”とは、横軸に組成成分の配合比率をとり、縦軸に温度をとった合金状態図(例えば、平成4年10月発行、「金属」、臨時増刊号「実用二元合金状態図集」、(株)アグネ、参照)において、共晶反応型を示す状態図の液相線と固相線が一致する、いわゆる共晶点をもつ組成のことである。
次に、上記したZn―Al合金3による接合について説明すると、まず、圧電振動子1と金属板2を各々Zn―Al合金の融点382℃にプラス10℃した程度の温度に加熱する。
次に、これら圧電振動子1の電極4bと金属板2の間にZn―Al合金3を介在させ、圧電振動子1と金属板2の接合面を重ね合わせた後、予め加熱してある押え治具により圧電振動子1と金属板2を両面から押さえ、溶融したZn―Al合金3の層厚が接合面で均一になるようにして加圧する。
この実施形態では、1〜2kg/cm2の加圧力を治具により加えた。そして、最後に、全体を、10℃/分以下のゆっくりした冷却速度で常温まで冷却して、接合処理を終了させた。ここで、このときの一連の操作は気中でも実施可能であるが、恒温炉中で実施することもできる。
このとき用いたZn−Al合金は、溶融したとき、Al原子がハンダ表面に偏析し、酸化し易いZn原子が空気中の酸素分子に接触しないように保護する働きがあり、これにより、ハンダの酸化や水分の侵入が抑制されるので、高温高湿環境下での耐腐食性の向上が期待できるという特徴がある。
また、この場合、接合時の加熱温度が400℃程度で済むので、熱膨張係数が15×10-6 のニオブ酸リチウムからなる圧電振動子1と、熱膨張係数が10×10-6 のチタンからなる金属板2の熱膨張係数の差による歪みは、従来技術の場合のろう付温度(約800℃)による歪みに比較してはるかに小さいため、圧電振動子の割れや接合面の剥がれなどは発生しなかった。
従って、この実施形態の場合、金属板2としては、上記したチタン材などの他に、ステンレス材など他の金属材料でも良く、その厚さも1mm前後まで薄くしても、従来のろう付時に発生したような割れは確認できなかった。
このとき使用するハンダ合金としては、上記したZn―Al合金以外にも、例えばAu(金)−Ge(ゲルマニウム)合金やAu−Si(シリコン)合金、更には液相温度と固相温度が等しいAu−Sb合金やZn−Al−Ge合金などがあり、何れの合金を使用してもよい。
次に、図2に示すように、圧電振動子1の両面の電極4a、4bにそれぞれリード線5a、5bを接続する。このときも圧電振動子1と金属板2の接合に用いたZn−Al合金を用い、ハンダ付け部6a、6bによりリード線5a、5bを電極4a、4bに接続している。
このとき、リード線5bについては、電極4bとZn−Al合金3からなる接合層の厚さが0.5mm以下と薄く、電極4bに直接接続できないため、この電極4bと電気的に導通されている金属板2の上面に、Zn−Al合金のハンダ付け部6bにより接続させている。
なお、これらの接続には、上記した合金以外、導電性有機接着剤(例えば商品名:導電性インク Shintron、製造元:シントーケミトロン)や、導電性無機接着剤(例えば商品名:パイロダクト 597A、製造元:AREMUCO PRODUCTS INC.USA)を用いても良い。
そして、この後、図3に示すように、圧電振動子1に電気信号の送受信を行うため300℃の高温環境にも耐えるケーブル8を用い、その芯線及びアース線を各々ハンダ付け部10a、10bにより、電極4a、4bに接続したリード線5a、5bに接続する。
このとき、ハンダ付け部10a、10bには圧電振動子1と金属板2の接合に用いたZn−Al合金を用いているが、これも上記した導電性有機接着剤、或いは導電性無機接着剤を用いても良く、更には、ハンダ付けに代えて、かしめなど機械的な接続方法を用いても良い。
この後、耐熱性有機接着剤(例えば、商品名:アレムコボンド 526N、製造元:AREMUCO PRODUCTS INC.USA)、或いは耐熱性無機接着剤(例えば、商品名:セラマコボンド、製造元:AREMUCO PRODUCTS INC.USA)にタングステン又は酸化タングステンなどの重密度金属粉を混入した材料により、圧電振動子1の背面側に封止部7を形成し、全体を一体化してケーブル8を固定し保護すると共に、ハンダ付け部10a、10bを保護する。
そして、更に、図4に示すように、全体を金属ケース9に収納し、これにより、耐熱温度が300℃の超音波探触子として歩留まり良く完成される。このとき、金属ケース9は、金属板2と機械的にも電気的にも接続されているようにするが、ここではネジにより接合している。
ここで、金属ケース9から引き出したケーブル8は、環境がケーブル8の耐熱温度以下になる場所まで引き出され、超音波検査装置12に接続された上でプラントなどの超音波検査に適用されることになる。
従って、この実施形態によれば、耐熱温度が250℃以上の超音波探触子を歩留まり良く得ることができ、この結果、上記したプラントなどの検査にも容易に対応することができる。
次に、本発明による超音波検査装置の第1の実施形態について説明すると、この実施形態は、図5に示すように、斜角超音波探触子14を用いた超音波検査装置に関するものである。
ここで、この斜角超音波探触子14は、上記図1で説明した超音波探触子における金属板2に代えて、それを斜めに切断した形の金属板2Aを備え、これにより被検査体13に斜角をもって超音波が送受信できるようにしたものである。
従って、この場合、金属板2Aは、いわゆる超音波シューとして機能し、これにより斜角超音波探触子14は、図5に示すように、被検査体13内に斜めに超音波を送信し、被検査体13内に欠陥16、17が存在していた場合、それからの斜め方向の反射波18、19を受信することができる。
ここで、まず、欠陥16は、欠陥の根本部分を表わし、ここで発生されるのが反射波18であり、次に、欠陥17は、欠陥の先端部分を表わし、ここで発生されるのが反射波19である。
このときの金属板2A内での縦波の音速は、チタン材の場合、5970m/秒(実測値)で、他方、被検査体13内では、この被検査体13がステンレス材の場合、約5800m/秒であり、この結果、斜角超音波探触子14から、例えば入射角θi(=45度)で発射された縦波の超音波は、被検査体13中に屈折角θr(=43度)の縦波として入射されることになる。
斜角超音波探触子14の圧電振動子1には、超音波送受信部22から供給されるパルス電圧(電圧が数100Vのパルス)により駆動され、これによりパルス状の超音波を発生し、それを被検査体13内に発射する。
このとき、被検査体13内に欠陥16があったとすると、これから反射波18、19が発生し、これが圧電振動子1により受信され、反射波18、19による電気信号が超音波送受信部22に入力されるようになる。
そして、この電気信号は、超音波送受信部22内で所定のレベルに増幅されてからデータ収録部23に供給され、ここでデジタルデータに変換され、波形として記録される。
このとき、斜角超音波探触子14に対する送信用出力端子と受信用入力端子は超音波送受信部22の内部で接続され、1個の斜角超音波探触子14が超音波の送信と受信に共用され、超音波検査が行えるようになっている。
そこで、ピーク検出部24は、上記した電気信号波形の中で、欠陥16からの反射波18、19による部分だけをゲート機能により抽出し、その振幅の最大ピーク値を直流電圧値として出力する働きをする。
そして、信号処理部25は、上記した最大ピーク値を取込み、それが予め設定してある所定の閾値値を越えたか否かを判定し、判定結果を評価結果表示部26に表示するのであるが、これまでの一連の処理は、信号処理部25がメインとなって実行されるようになっている。そこで、このため、この信号処理部25にはパソコンが設けられいる。
このとき、斜角超音波探触子14と被検査体13の間の音響的結合が的確に得られるようにするため、金属板2Aと被検査体13の間には接触媒質21が介在されるが、これには、例えば商品名:ソニコートHT、メーカ:サーンガスニチゴーなどの市販の高温用接触媒質を利用すれば良い。
なお、これとは別に、金属板2Aを直接、被検査体13に接合して使用するようにしてもよい。この場合、上記したZn−Alハンダ合金を用いて接合することができる。
また、被検査体13の表面に垂直に超音波を入射する場合には、金属板2Aを用いず、圧電素子1を直接、被検査体13の表面に接合することも可能であるが、この場合も、接合には、上記したZn−Alハンダ合金を用いることができる。
次に、本発明による超音波検査装置の第2の実施形態について説明すると、この実施形態は、図6に示すように、2個の斜角超音波探触子29、30を用意し、一方の斜角超音波探触子29は、図5の実施形態の場合の斜角超音波探触子14と同じく、送受信兼用とし、他方の斜角超音波探触子30は受信専用にして、送受信切換部27により切換えて使用するようにした超音波検査装置に刊行物するものである。
そして、ます、2個の斜角超音波探触子29、30は、何れも基本的には、図1〜図4で説明した本発明の一実施形態に係る超音波探触子と同じ構造であるが、金属板2と被検査体13の間に超音波シューとして機能する超音波伝達部28を設けることにより、図5で説明した第2の実施形態の場合と同じく、斜角超音波探触子として働くように構成されている。
ここで、この超音波伝達部28は金属材ではなく、例えば商品名が「SX−100」(メーカ:鈴幸商事)として知られている耐熱樹脂で構成されていて、これが、検査時、接触媒質21を介在させて被検査体13に接触されるようになっている。
このときの超音波伝達部28と金属板2の接合には、図1〜図4の実施形態のときと同じく、耐熱性有機接着剤(商品名:アレムコボンド 526N、製造元:AREMUCO PRODUCTS INC.USA)、或いは耐熱性無機接着剤(商品名:セラマコボンド、製造元:AREMUCO PRODUCTS INC.USA)にタングステン又は酸化タングステンなどの重密度金属粉を混入した耐熱性無機接着剤が使用されている。
また、接触媒質21としても、上記図5の第1の実施形態のときと同じく、商品名「ソニコートHT」(メーカ:サーンガスニチゴー)などの市販の高温用接触媒質を利用すれば良い。
次に、送受信切換部27は、2個の斜角超音波探触子29、30の送信と受信の役目を、信号処理部25の指令により、必要に応じて交互に切替えるためのスイッチ回路として働く。
そこで、この第2の実施形態では、信号処理部25が1探触子モードと、2探触子モードの2種のモードで動作し、モードに応じて送受信切換部27を切換制御するようになっている。
そして、まず、通常の超音波検査の場合は、一方の斜角超音波探触子29だけを使用し、図5の第1の実施形態と同じ超音波送受信動作を実行し、欠陥16からの反射波18、19を受信して超音波検査を行う。
次に、他方の斜角超音波探触子30は、主として超音波送受信経路の音響的結合状態をチェックするために設置され、斜角超音波探触子29で発生されたクリーピング波(表面直下を伝播する縦波)20を受信する働きをする。
例えば、図6において、2個の斜角超音波探触子29、30は、入射角θiを29度に設定し、屈折角θr(=33度)の横波が送受信できるようにしてある。この場合、超音波伝達部28と被検査体13の境界部では、スネルの法則に従ったモード変換により、前記の横波の他にクリーピング波20が発生する。
このクリーピング波20は、これも被検査体13の内部を伝播する波動であるため、該クリーピング波20を受信し、第2の実施形態のときと同様に、その振幅の最大ピーク値を正常状態時の値と比較判定することにより、2個の斜角超音波探触子29、30の間の音響的結合状態をチェックする一手段として機能する。
従って、例えばクリーピング波20の受信強度が著しく低下した場合には、斜角超音波探触子29、30の間の超音波送受信経路における音響的結合が異常であると判断できる。
この音響的結合状態のチェックは、長期に亘り欠陥の発生状況を超音波検査により監視する場合、送受信切替え回路27により、超音波送受信部22の送信用出力端子及び受信用入力端子と、斜角超音波探触子29、30の接続を切換え、例えば数時間置きに定期的に実施してもよい。
次に、送受信切換部27の動作について、図7により詳細に説明する。ここで、この送受信切換部27は、図示のように、可動接点A1、A2と、固定接点B1、B2、C1、C2を備えた2回路2接点の切換回路で構成され、ここで、可動接点A1と固定接点B1、C1が第1の切換回路で、可動接点A2と固定接点B2、C2が第2の切換回路であり、何れも信号処理部25により切換動作が制御される。
ここで、まず、第1の切換回路の可動接点A1は超音波送受信部22の送信用出力端子に接続され、第の切換回路の可動接点A2は超音波送受信部22の受信用入力端子に接続されている。
次に、第1の切換回路の固定接点B1と第2の切換回路の固定接点C2は斜角超音波探触子29に接続され、第1の切換回路の固定接点C1と第2の切換回路の固定接点B2は斜角超音波探触子30に接続されている。
そして、通常の超音波検査の場合、第1の切換回路の可動接点A1は、図示の実線で示すように、固定接点B1に接続され、第2の切換回路の可動接点A2は、図示の実線で示すように、何処にも接続されていない。
従って、このときは斜角超音波探触子29だけで通常の送受信動作を行い、この探触子で受信した信号は、1探触子モードになっている超音波送受信部22の内部で受信回路に接続され、そこに入力される。
次に、超音波送受信経路の音字的結合状態をチェックする場合は、超音波送受信部22は2探触子モードに切換えられ、内部の受信回路に対する接続は遮断される。
また、これと同時に送受信切換部27の第2の切換回路の可動接点A2は、図示の破線で示すように、固定接点B2に接続され、この結果、斜角超音波探触子30の受信信号が超音波送受信部22の受信用入力端子に入力されるようになる。
そこで、このときは、超音波の送信は斜角超音波探触子29で行い、これにより発生したクリーピング波20を斜角超音波探触子30で受信することになり、この結果、超音波送受信経路の音響的結合状態がチェックできる。
長期に亘るモニタリングでは、被検査体内への超音波送受信経路の音響的結合状態の安定性が必要であり、特に探触子まわりでは、圧電振動子1から金属板2への超音波の伝達、金属板2から超音波伝達部28への伝達及び超音波伝達部28から被検査体13への超音波伝達のそれぞれの健全性が必要となることは言うまでもない。
従って、この図6に示した第2の実施形態によれば、必要に応じて随時、超音波伝達の健全性が確認できることになり、モニタリングに高い信頼性を持たせることができる。
このとき、送受信切換部27は、更に、送受信に使用する斜角超音波探触子を、2個ある斜角超音波探触子29、30で交換させる機能も備えている。すなわち、送受信切換部27の第1の切換回路と、第2の切換回路の固定接点C2は、送受信に使用する斜角超音波探触子を、斜角超音波探触子29、30で交換して動作させることがききる。
ここで、図7の状態では、斜角超音波探触子29が送受信に使用されるようになっているが、ここで、第1の切換回路の可動接点A1を固定接点C1に切換え、第2の切換回路の可動接点A2を固定接点C2に切換えてやれば、斜角超音波探触子29と、斜角超音波探触子30が交換され、斜角超音波探触子30が送受信に使用されるようになる。
以上説明したように、例えばZn−AIハンダ合金で融点が382℃の共晶ハンダ合金を用いて圧電振動子と金属板とを接合した実施形態によれば、接合時の割れや剥離が発生しないため、高温真空炉等の特別な装置を使用することなく、歩留まり良く、しかも安価で容易に300℃耐熱の超音波探触子を製作できる。
また、斜角超音波探触子を2個用意して欠陥からの反射波を受信すると同時に、もう一方でクリーピング波を受信するようにした実施形態によれば、被検査体への音響的結合状態が確認できるので、信頼性の高いモニタリングが長期に亘って得られる。
常温から300℃程度の高温環境下まで広く利用可能で、特に化学プラントなどに設置した高温タンクのセンサとして利用可能である。
本発明による超音波探触子の一実施形態における圧電振動子と金属板の接合状態を示す説明図である。 本発明による超音波探触子の一実施形態におけるリード線の接続状態を示す説明図である。 本発明による超音波探触子の一実施形態におけるリード線とケーブルの接続状態を示す説明図である。 本発明による超音波探触子の一実施形態における完成状態を示す説明図である。 本発明による超音波検査装置の第1の実施形態を示すブロック構成図である。 本発明による超音波検査装置の第2の実施形態を示すブロック構成図である。 本発明による超音波検査装置の第2の実施形態における切換回路の説明図である。
符号の説明
1:圧電振動子
2、2A:金属板(前面板となるもの)
3:Zn―Al合金
4a、4b:電極
5:リード線
6a、6b:ハンダ付け部
7:封止部
8:ケーブル
9:金属ケース
10a、10b:ハンダ付け部
12:超音波検査装置
13:被検査体
14、15:斜角超音波探触子
16:欠陥(根本部分)
17:欠陥(先端部分)
18、19:反射波
20:クリーピング波
21:接触媒質
28:超音波伝達部(超音波シューとして機能する部材)

Claims (1)

  1. ニオブ酸リチウム又はニオブ酸鉛の何れかによる圧電振動子の超音波送受信面側にステンレス材又はチタン材或いは炭素鋼材の何れかによる金属板を共晶の亜鉛−アルミニウム系のはんだ合金により接合し、前記圧電振動子の背面側にはタングステン又は酸化タングステンの一方からなる重密度金属粉を混入した耐熱性の有機接着剤又は耐熱性の無機接着剤による封止部が形成されている斜角超音波探触子を2個用い、
    前記2個の斜角超音波探触子の一方を用いて被検査体の超音波検査を行い、
    前記2個の斜角超音波探触子の双方を用いて被検査体中を伝播するクリーピング波を検出し、前記2個の斜角超音波探触子と超音波伝達の健全性を確認するように構成したことを特徴とする超音波検査装置。
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