JP2013143648A - 超音波厚みセンサの製造方法 - Google Patents

超音波厚みセンサの製造方法 Download PDF

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一剛 森
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克実 難波
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一郎 永野
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裕子 山本
Akihiro Uemoto
章弘 上元
Seiichi Kawanami
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Abstract

【課題】超音波厚みセンサとして薄質で可撓性を示して、測定対象表面が湾曲している場合でもそれに追従させることができ、しかも測定対象個所に常時貼着させておくことを可能として、厚み測定前後の種々の作業を不要とし、厚み測定の手間と時間を大幅に削減し、かつ多数の箇所の同時的な厚み測定や、連続的な厚み測定も可能とした超音波厚み測定センサを製造することができる方法を提供する。
【解決手段】セラミック圧電体の原料となる酸化物系圧電材料の粉末を、平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末に調製し、その超微粉末のスラリーを、一方の電極となるべき薄質な金属板の表面に塗布し、加熱、焼成して、比較的ポーラスで可撓性を示し得る薄質な焼結体層を前記金属薄板表面に形成し、その後、他方の電極の取り付け及び分極処理を行って、センサ全体として可撓性を示し得るようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物系圧電材料からなる圧電素子を用いて、超音波により各種配管の金属管、その他の管の管壁の厚み、あるいは各種金属容器の外壁の厚みなど、種々の厚みを検出するための超音波厚みセンサの製造方法に関するものである。
周知のように圧電素子を用いて超音波の送受信を行なって、各種の対象物、対象部位の検出や、各種測定、診断などを行なう装置は、従来から広く使用されている。例えば水中探査用のソナー、あるいは超音波探傷装置、超音波診断装置が従来から広く知られており、そのほか、金属板や金属管などの厚みを検出する厚みセンサにも、超音波センサが用いられている(例えば特許文献1、2など)。
このような超音波送受信用の圧電素子の材料としては、PZTと称されるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)で代表されるペロブスカイト結晶構造を有する酸化物系圧電材料(圧電セラミックス)が最も代表的である。
ところでこの種の酸化物系圧電材料からなる圧電素子の製造方法としては、PZTなどの原料粉末を円盤状あるいは立方体形状などの所定のバルク形状に成形し、その成形体を焼結して、セラミック焼結体とし、その後、焼結体に電極を取り付けてから分極処理を施し、圧電素子とするのが一般的である(例えば特許文献3参照)。
具体的には、例えばPZT圧電素子の場合、先ずPbO、ZrO、TiOなどのPZT用の原料粉末を所定の割合で配合し、その配合粉末に純水を加えてボールミルで混合粉砕し、乾燥して仮焼成し、再度粉砕して粉末とし、更に仮焼成してから再度粉砕して、ペロブスカイト型結晶構造を有するPZT粉末を得る。そしてそのPZT粉末に、PVA(ポリビニルアルコール)などのバインダを加えて混合し、適度の大きさの造粒粉とする。その後、造粒粉に圧力を加えて成形し、肉厚な円盤状あるいは立方体形状などの所定のバルク形状の成形体とする。更にその成形体を加熱してバインダを除去してから、高温に加熱して焼成(焼結)して、セラミック焼結体とし、その後、所定の製品形状(圧電素子形状)に加工した後、銀電極などの電極を焼付けなどにより取り付け、分極処理を行なって、圧電特性を付与するのが通常である。
上述のような従来の酸化物系圧電素子の製造法においては、成形体を焼結する際の加熱温度を1200℃程度以上に上げることによって急激に焼結体の緻密度が高まることが知られており、そこで一般には1200〜1300℃程度で焼結することが行なわれている。そしてこのように1200℃以上の高温で焼成することによって、焼結体は、密度90%以上に高密度化されて、緻密な焼結体が得られることが知られている。
このように、従来の製造方法において焼結体の高密度化を図っていた理由は、焼結体からなるセンサ素子が高密度となるほど、分極処理後の圧電特性が向上して、効率的に超音波を発振することが可能となり、超音波出力の高出力化が容易に図れることにある。そのため従来は、酸化物系圧電材料からなる圧電素子の製造にあたっては、焼成温度を1200℃以上の高温として焼結体の緻密化を図り、圧電特性をできるだけ高め、高出力化を図ろうとするのが常識であった。
例えば、超音波ソナーの場合は、センサから検出対象物までの距離が著しく大きく、そのため、確実に対象物を捕捉するためには、大出力を必要とする。また超音波探傷装置の場合、たとえ検出すべき部位までの距離が短くても、検出すべき傷や欠陥の形状が一様ではなく、しかも傷や欠陥からの反射波と、傷や欠陥よりも遠い位置に存在する管外表面/外部空間の境界面からの反射波との2種の反射波の受信信号を峻別することが必要であり、そのためある程度大出力とする必要がある。さらに更に超音波診断装置の場合も、検査対象部位の形状が一様ではなく、しかも人体組織を透過する際の超音波の減衰が大きいことなどから、やはりかなりの大出力とする必要がある。そこで、これらの用途では、セラミック圧電素子はできるだけ高密度とすることが必要とされている。そして厚みセンサについても、他の用途と同様に高密度化することが常識とされていたのである。
なお、圧電素子を高出力化すれば、それに伴って反射波のエネルギも大きくなる。そして反射波のエネルギが過大であれば、反射波の受信信号中のノイズが大きくなってしまう。そこで従来、過大な反射波が予想される場合には、反射波を減衰させるためのダンパを組み込んでおくことも行なわれている。
ところで従来の超音波厚みセンサでは、厚みの測定が必要になるたびごとに、センサの探触子の前面を、各種設備の配管などの測定対象物の外表面に、水などの超音波媒体を介して押し当て、超音波の送受信を行なって厚みを測定するのが通常である。
しかるに、各種設備の配管は、金属管の外表面が保護材や断熱材などの外被によって覆われていることが多い。このような場合に超音波厚みセンサによって配管の厚み測定を行なう際には、測定個所の外被を除去して金属管の外表面に媒体を塗布もしくは供給する準備作業が必要となり、また厚み測定後には、媒体を拭き取り、更に外被を修復する修復作業を必要とする。したがって1回の厚み測定作業に多くの手間と時間を要さざるを得なかったのが実情である。
更に、従来の超音波厚みセンサは、前述のように厚みの測定が必要になるたびごとに、センサの探触子の前面を、測定対象物の外表面に水などの超音波媒体を介して押し当てるのが通常であるため、配管や容器外壁などにおける多数の個所の厚み測定を同時に行なうことは困難であり、そのため多数の個所の厚み測定データを得たい場合には、膨大な手間と時間を要さざるを得なかった。
また同様の理由から、厚みの経時的な測定データを連続して得ることは困難であった。
一方、従来の製造方法によって得られた酸化物系圧電材料(セラミック圧電材料)を用いた圧電素子は、全体的に焼結体が緻密で、かつ厚いバルク形状を有しているため、可撓性(フレキシビリティ;屈曲性)を全く有していないのが通常である。そのため、このような圧電素子を配管や容器外壁などを対象とする超音波厚みセンサに用いた場合、次のような問題があった。
すなわち、配管のうちでもその管径が小さい配管、すなわち外面の曲率半径が小さい配管の管壁や、配管におけるL字状に屈曲した部あるいはL字状に溶接した部分、すなわちエルボー部分、さらにはT字状に溶接した部分の隅部の如く、湾曲した部分(凸状もしくは凹状に湾曲した部分)の厚みを測定しようとした場合、その湾曲部分に探触子の前面を均一に当てることは困難であり、そのため測定誤差が大きくなったり、厚み測定が困難となったりする問題もあった。
特開平1−202609号公報 特開2002−228431号公報 特開平7−45124号公報
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、酸化物系圧電材料を用いた超音波厚みセンサとして、全体的に薄質で可撓性を示すことができ、そのため測定対象個所の外表面が湾曲している場合でもその湾曲面に追従させて、湾曲面における厚み測定を確実に行なうことができ、しかも配管や容器外壁などの測定対象個所に厚みセンサを常時貼着させておくことにより、厚み測定前の準備作業や測定後の修復作業などを不要とし、これによって厚み測定の手間と時間を大幅に削減することができ、併せて多数の箇所の同時的な厚み測定や、連続的な厚み測定も可能とした超音波厚み測定センサを、安価に製造することができる方法を提供することを課題とする。
前述のように各種の対象物検出や検査、測定、診断などのための超音波送受信に使用される従来の酸化物系圧電材料からなる圧電素子は、高い圧電効率を得るために、密度が90%以上となるように緻密化しておくのが常識とされており、超音波厚みセンサでも、同様に90%以上の高密度の圧電素子が使用されていた。
しかるに、各種設備における配管の管壁や容器の外壁などの厚み測定にあたっては、他の用途の場合のような高い圧電効率、高出力は必ずしも必要としないことを本発明者等は知見した。
すなわち、既に述べたように、水中探査用の超音波ソナー、あるいは超音波探傷装置、超音波診断装置などの場合は、対象物までの距離が遠かったり、あるいは対象物の形状が不定形で一様ではなかったり、更には対象部位に超音波が到達するまでの間の減衰が大きかったりする、などの点から、高出力が望まれるが、配管や容器などの厚み測定の場合、
対象となる管壁や容器外壁の厚み(超音波を透過/反射させるべき距離)は数百μmからせいぜい十数mm程度と小さく、しかも反射面は一様な定形面となっており、更には、超音波探傷の場合のように2種以上の反射波の受信信号を峻別する必要もないため、他の用途よりも超音波出力が小さくても、確実に厚みを測定し得ることを知見した。言い換えれば、厚みセンサの場合は、他の用途よりも圧電効率が低くても、厚みセンサとして充分に機能させることができることを知見したのである。
一方、酸化物系圧電材料からなる圧電素子においては、焼結体の緻密度が低くなって、相対的にポーラスとなれば、圧電効率は下がるが、薄質な可撓性を有する支持体上に焼結体層をポーラスに薄く形成しておけば、可撓性(フレキシビリティ)を付与することが可能となる。またその場合、支持体を圧電素子に必要な一対の電極のうちの一方の電極と兼ねさせて、焼結体層を支持体上に形成した後もその支持体をそのまま一方の電極として機能させることにより、簡単な工程で厚みセンサを製造し得ることを見い出した。
このように、厚みセンサとしては、焼結体の緻密度をある程度小さくすると同時に薄肉化を測って、圧電効率を若干下げながらも、厚みセンサとして可撓性を付与したものとすることができることを新規に見い出した。
ここで、上述のように電極を兼ねる薄質な支持体上に焼結体層を薄く形成するためには、その支持体として金属薄板を用い、その金属薄板上に焼結原料粉末のペーストを塗布して、支持体(金属薄板)ごと加熱し、ペーストを焼成することが考えられる。この場合、前述の従来法に倣って、1200〜1300℃程度の高温に加熱するとすれば、電極兼支持体の金属薄板として、1200〜1300℃の高温でも酸化しないような優れた耐高温酸化性を有する白金(Pt)などを用いざるを得ない。しかしながら、このような白金などの優れた耐高温酸化性を有する材料は、極めて高価格であるのが通常であり、したがってその場合には、厚みセンサの材料コストが著しく高くなってしまう。
しかるに本発明者が実験、研究を重ねた結果、焼結原料の粉末として、平均粒径が0.15〜0.25μmの超微細粉を用いれば、600〜800℃程度の低温でも焼結可能となることを見い出した。
すなわち焼成に供される粉末としては、従来一般には、ボールミルによって粉砕された数μmから数十μm程度の粒径のものを用いるのが通常であったが、ビーズミルなどを用いて焼結原料粉末を従来よりも格段に微細化して、平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末に調製し、その超微粉末を用いて焼成すれば、従来一般の焼成温度(1200〜1300℃程度)よりも格段に低い温度で焼成しても、厚みセンサとして必要な程度の比較的低密度の焼結体は得ることが可能であることを見い出した。そしてこのような比較的低温の焼成温度であれば、電極を兼ねる前記支持体として、高価な白金などを使用する必要がなくなり、ステンレス鋼などの安価な材料を使用することが可能となって、材料コストの低減に有効となることを知見し、本発明をなすに至ったのである。
したがって本発明の超音波厚みセンサの製造方法では、基本的には、圧電セラミックの原料となるPZTなどの酸化物系圧電材料の粉末を、平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末に調製し、そのペーストを、一方の電極となるべき薄質な金属薄板の表面に塗布して、その金属薄板をペースト層もしくは超微粉末の支持体として機能させながら加熱、焼成して、比較的ポーラスで可撓性を示し得る焼結体層を前記金属薄板表面に形成し、その後、他方の電極の取り付け、更に分極処理を行って、センサ全体として可撓性を示し得るようにした。
具体的には、本発明の基本的な態様(第1の態様)の超音波厚みセンサの製造方法は、
酸化物系圧電材料からなる原料粉末を、平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末に調製する超微粉末調製工程と、
前記超微粉末を分散媒とともに混錬して、超微粉末ペーストとするペースト化工程と、
前記超微粉末ペーストを金属薄板からなる第1の電極の一方の板面に所定厚みで塗布してそのペースト層を乾燥させ、第1の電極の一方の板面上に超微粉末層を形成する超微粉末層形成工程と、
前記超微粉末層を加熱により焼成し、圧電材料焼結体層を第1の電極の一方の板面上に形成する焼成工程と、
前記焼成工程終了後、圧電材料焼結体層における第1の電極に対し反対側の表面に第2の電極を形成する第2電極形成工程と、
前記第1の電極と第2の電極との間に電位差を与えて分極処理する分極処理工程と、
を有してなることを特徴とするものである。
このような本発明の基本的な態様の超音波厚みセンサの製造方法においては、酸化物系圧電材料からなる原料粉末を、平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末に調製し、その超微粉末のペーストを第1の電極としての金属薄板に塗布して乾燥させ、金属薄板に超微粉末を支持させた状態で支持体上の超微粉末層を焼成して、圧電材料焼結体層とする。この焼成時には、第1の電極としての金属薄板は、ペースト層もしくはそのペースト層を乾燥させた超微粉末層を支持するための支持体として機能する。そのためペースト層やその乾燥後の超微粉末層の厚みを薄くしても、支障なく焼成することが可能である。またその金属薄板は、厚みセンサとしての使用時においても、電極として機能するのみならず、焼結体層(圧電セラミック層)の支持体としても機能して、焼結体層が剥落することを防止できる。
そして第1の電極としての金属薄板として、可撓性を示す程度に薄いものを用いて、かつ第2の電極も充分に薄質としておけば、厚みセンサとしてその全体の厚みを薄くして、可撓性を有するものとすることができる。さらに、平均粒径0.15〜0.25μmという超微粉を焼結するため、焼成工程においては、比較的低温の焼成温度(例えば600〜800℃)でも、ある程度の密度(例えば70〜80%程度)を有する焼結体層、すなわち超音波厚みセンサとして支障ない程度の圧電特性を分極処理後に得ることができる焼結体層を形成することができる。
また本発明の第2の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1の態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記前記焼成工程によって、密度が70〜80%の範囲内の圧電材料焼結体層を得ることを特徴とするものである。
この第2の態様の超音波厚みセンサの製造方法では、圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)の密度を、従来一般の圧電セラミックよりも低密度の80%以下としておくことによって、その焼結体層を第1の電極の金属薄板に支持させた状態で可撓性を示すことができる。また同時に圧電材料焼結体層の密度を70%以上とすることによって、超音波厚みセンサとして必要な程度の圧電性能を確保することができるとともに、圧電材料焼結体層が過度に低密度となって脆くなることにより、焼結体層が第1の電極から剥離してしまうことを防止できる。
なお本明細書において焼結体層の密度とは、空隙率の逆数、すなわち相対密度を意味するものとする。
また本発明の第3の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1、第2のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記前記焼成工程における加熱温度を、600〜800℃の範囲内とすることを特徴とするものである。
このように第3の態様の超音波厚みセンサの製造方法では、焼成工程における加熱温度を、従来一般の圧電セラミック製造における焼成温度より格段に低い600〜800℃の範囲内としているが、焼結原料が平均粒径0.15〜0.25μmと超微粉であるため、このような低温での焼結によっても焼結を進行させて、超音波厚みセンサとして必要な程度の圧電特性を示しうる密度(従来よりも低い70〜80%程度)を有する焼結体層を形成することができる。そしてまた、このように比較的低い密度に焼結された焼結体層は、その焼結体層を第1の電極の金属薄板に支持させた状態で可撓性を示すことができ、また一方、焼結体層の密度が過度に小さくなって焼結体層が脆くなり、第1の電極から剥離してしまうことも防止できる。
そしてまた本発明の第4の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第3のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記前記焼成工程によって、厚みが30〜150μmの範囲内の圧電材料焼結体層を得ることを特徴とするものである。
このような第4の態様によれば、圧電材料焼結体層の厚みが30〜150μmの範囲内と薄いため、圧電材料焼結体層を第1の電極に支持させた状態で、可撓性を示すことができる。
さらに本発明の第5の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第4のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記ペースト塗布工程で、超微粉末ペースト層を、乾燥後でかつ焼成前の状態の超微粉末層が60〜200μmの範囲内の厚みとなるように形成することを特徴とするものである。
このような第5の態様の超音波厚みセンサの製造方法では、焼成直前の状態での超微粉末層の厚みが60〜200μmと薄いため、焼成後に、30〜150μm程度の薄い焼結体層を得ることができる。
また、本発明の第6の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第5のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記超微粉末層形成工程で、第1の電極の金属薄板として、その厚みが、15〜100μmの範囲内のものを用いることを特徴とするものである。
このような第6の態様では、第1の電極の金属薄板が薄いため、最終的に得られる厚みセンサとしても、容易に可撓性を有するものとすることができる。
また、本発明の第7の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第6のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記第2電極形成工程で、第2の電極の厚みが、10〜100μmの範囲内となるように第2の電極を形成することを特徴とするものである。
このような第7の態様では、第2の電極も薄いため、その第2の電極が、最終的に得られる厚みセンサの可撓性を阻害するおそれが少ない。
また本発明の第8の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第7のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記超微粉末調製工程において、湿式ビーズミルを用いて原料粉末を粉砕することを特徴とするものである。
このような第8の態様の超音波厚みセンサの製造方法では、超微粉末調製工程で湿式ビーズミルを用いることにより、平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末を容易に得ることができる。
また、本発明の第9の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第8のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記酸化物系圧電材料からなる原料粉末として、ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物系圧電材料を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の第10の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第9の態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記酸化物系圧電材料からなる原料粉末として、チタン酸ジルコン酸鉛系の圧電材料粉末を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の第11の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第11のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記第1の電極としてステンレス鋼の薄板を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の第12の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第第1〜11のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記第2電極形成工程において、前記圧電材料焼結体層の表面に、銀ペーストを塗布して焼付け、これによって第2の電極を形成することを特徴とするものである。
本発明の超音波厚みセンサの製造方法によれば、センサ全体として薄質で可撓性を示す超音波厚みセンサを容易かつ低コストで製造することができる。特に本発明法では、平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末の状態で焼成するため、焼成温度を比較的低温とすることができ、そのため電極材料として耐高温酸化性が著しく優れた白金などの高価な材料を使用しなくて済むため、材料コストを抑えることができる。そして前述のように薄質で可撓性を示す超音波厚みセンサであれば、測定対象部位が湾曲面であってもその湾曲面に追従して変形させることが可能であるため、湾曲面における厚み測定を確実に行なうことができる。またこのような厚みセンサは、予め配管などの測定対象個所に貼り付けておいて、そのままの状態で配管設備などを稼動させ、必要な時に随時厚み測定を行なうことができ、その場合、厚み測定前後の作業、例えば配管における測定前の外被除去作業や媒体塗布作業、及び測定後の媒体拭き取り作業や外被修復作業などを不要とすることができ、そのため、厚み測定の手間と時間を大幅に削減することができ、さらには、多数の個所にそれぞれ厚みセンサを貼り付けておいて、多数の個所における厚みの同時測定を容易に行なうことができるとともに、経時的かつ連続的な厚み測定が可能もなるという、顕著な効果を得ることができる。
本発明の超音波厚みセンサの製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の製造方法により得られた超音波厚みセンサの一例を、その使用時の状況として示す略解的な縦断面図である。 本発明の製造方法により得られた超音波厚みセンサの一例の使用時の状況の他の例を示す略解的な縦断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本発明の一実施形態の超音波厚みセンサ製造方法を示す。
この実施形態では、
P1:酸化物系圧電材料、例えばPZTなどの原料粉末を準備する準備工程(原料粉末調製工程)、
P2:酸化物系圧電材料の原料粉末を、湿式ビーズミルなどにより、平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末に調製する超微粉末調製工程、
P3:前記超微粉末を分散媒とともに混錬して、超微粉末ペーストとするペースト化工程、
P4:前記ペーストを金属薄板からなる第1の電極の一方の板面に所定厚みで塗布して、そのペースト層を乾燥させ、第1の電極の一方の板面上に超微粉末層を形成する超微粉末層形成工程、
P5:超微粉末層形成工程終了後、超微粉末層を加熱して焼成し、圧電材料焼結体層を第1の電極の一方の板面上に形成する焼成工程、
P6:前記焼成工程P5の終了後、前記圧電材料焼結体層における前記第1の電極に対して反対側の表面に第2の電極を形成する第2電極形成工程、
P7:第1の電極と第2の電極との間に電位差を与え、圧電材料焼結体層を分極処理する分極処理工程、
以上のP1〜P7の各工程からなるプロセスによって、セラミック圧電材料からなる超音波厚みセンサを製造する。
以下にこれらの各工程P1〜P7について、具体的に説明する。
〔準備工程(原料粉末調製工程)P1〕
先ず、準備工程として、ペロブスカイト型結晶構造を有する強誘電体からなる酸化物系圧電材料、例えばPZTなどの原料粉末を準備する。
ここで、酸化物系圧電素子用の原料粉末としては、ペロブスカイト型結晶構造を有する所定の成分組成の粒子からなる粉末、例えばPZT粉末が、セラミック粉末製造メーカなどから市販されており、したがって本発明の超音波厚みセンサの製造方法を実施するに当たっては、この種の市販のセラミック圧電素子用粉末を購入して、それを出発原料とし、次工程の超微粉末調製工程から開始すれば良い。但し、原料粉末の調製から出発してもよいことはもちろんであり、そこで、原料粉末調製のための工程を、準備工程として次に簡単に説明する。
すなわち、PZTなどの原料となる酸化物粉末、例えばPbO、ZrO、TiOの各粉末を、目標とするPZT組成となるように配合するとともに、エタノールなどの溶媒やポリエチレンイミンなどの分散媒を適宜加えてボールミルなどにより混錬し、えられた混錬物(スラリー)を乾燥して混合粉末とする。さらにこの混合粉末を、粉体の状態で仮焼成する。この仮焼成は、通常は、大気雰囲気中で700〜900℃程度の温度において1〜20時間程度加熱すればよい。このような仮焼成によって、混合粉末の各成分(例えばPbO、ZrO、TiO)が相互に固溶して、ペロブスカイト型結晶構造が得られる。得られた粉末(但し仮焼成後の状態では塊状)を、ボールミルなどにより粉砕すれば、PZTなどのセラミック圧電材料用粉末が得られる。
なおこの状態での粉末の粒径は、一般には約2μm程度から数十μm程度である。
なお本発明において、対象となる酸化物系圧電材料(セラミック圧電材料)の種類、組成は、基本的には限定されないが、ペロブスカイト型結晶構造を有する強誘電体からなる酸化物系圧電材料であることが好ましく、またそのうちでも、PZTと称されるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、より具体的には、Pb(ZrTi1−x)O〔但し0.5≦x≦0.7〕が好ましく、更に上記のxの値が0.52前後の組成のPZTが最も好ましい。またその他、上記のPZT組成を基本として、それに微量添加元素として、Mn、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Nb、Ta、La、Nd、Sc、Gdなどの1種又は2種以上を、それぞれ10重量%程度以下添加したものであってもよく、要は、PZT系(チタン酸ジルコン酸鉛系)の圧電セラミック材料と称される材料はすべて対象となる。さらに、PZT系圧電セラミック材料に限らず、その他のペロブスカイト型結晶構造を有する圧電セラミック材料、例えばLiNbOなど、更にはペロブスカイト結晶構造を持たないその他の圧電セラミック材料、例えばBiTi12なども適用することができる。
〔超微粉末調製工程P2〕
この超微粉末調製工程は、前述のようにして準備された原料粉末(ペロブスカイト型結晶構造を有するPZTなどのセラミック圧電セラミック用粉末)を、平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末に調製する工程であり、通常は、前述のような粒径が約2μm程度から数十μm程度の原料粉末を、湿式ビーズミルを用いて粉砕すれば良い。
湿式ビーズミルは、粉砕対象の原料粉末と粉砕媒体のビーズを、水などの液体からなる分散媒とともに粉砕室に装入し、アジテータ(撹拌用ロータ)を数千rpmで高速回転させることによりビーズを撹拌して運動エネルギを与え、その運動するビーズにより原料粉末に対する摩擦、せん断、衝突などにより、粉末を超微粒子化するものである。ここで、粉砕媒体のビーズとしては、直径0.1mm〜1mm程度、一般には0.5mm程度の硬質物質からなる球体粒子が用いられる。またその硬質物質としては、セラミックス、ガラス、金属などがあるが、通常はジルコニア、ジルコニア強化型アルミナなどが好ましい。
なお湿式ビーズミルにおける分散媒としては、水のほか、エタノールなどのアルコール、その他ヘキサン等を用いることができる。
ここで、超微粉末調製工程で得る超微粉末の平均粒径が0.25μmを越えれば、後の焼成工程において、600〜800℃の比較的低温の焼成温度では、所定の密度(例えば70〜80%)まで緻密化することが困難となり、超音波厚みセンサとして必要な圧電特性が得られなくなるおそれがある。一方、平均粒径が0.15μm未満となるまで超微粉化することは、生産性を阻害してコストアップを招くばかりでなく、凝集の原因となる問題もある。
このようにして得られた超微粉末は、分散媒に分散したスラリー状となっており、分散媒の種類によっては、そのスラリーをそのまま次のペースト工程でペースト化しても良いが、通常は、一旦乾燥させて乾燥超微粉末とした後、次のペースト化工程に進む。
〔ペースト化工程P3〕
このペースト化工程は、前記超微粉末調製工程によって得られた平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末を分散媒とともに混錬して、次の超微粉末層形成工程でのペースト塗布に適した粘度を有する超微粉末ペーストとする工程である。
具体的には、微粉末用の公知の分散・混錬機を使用して分散媒とともに混錬すれば良いが、例えば3本ロールミル、すなわち3本のロールの回転差を利用した分散・混錬機を用いることが好ましい。なお際に用いる分散媒の種類は特に限定されず、エタノール、あるいはブチルカルビトール、PVBエタノールなどを用いることができる。またこのペースト化工程で生成するペーストは、その粘度が1000〜10000mPa・sであることが好ましい。ペーストの粘度が1000mPa・s未満では、続く微粉末層形成工程において、ペーストを金属薄板上に均一な厚みで形成することが困難となり、一方10000mPa・sを越えれば、粘度が高すぎてレベリングなどの平滑化などにおいて問題が生じるおそれがある。
〔超微粉末層形成工程P4〕
この超微粉末層形成工程は、前記超微粉末ペーストを、第1の電極としての金属薄板の板面に所定の厚みで塗布して、金属薄板の表面に所定の厚みのペースト塗布層を形成し、更にそのペースト塗布層を乾燥させて、超微粉末層を金属薄板上に形成する工程である。
上記金属薄板は、電極として機能するだけではなく、乾燥後の焼成工程や厚みセンサとしての使用時において支持体として機能するものである。その金属薄板の材質は特に限定されないが、本発明の場合、焼結原料の粉末を、平均粒径0.15〜0.25μmの超微粉末としているため、600〜800℃程度の比較的低温で焼成することができ、そのため800℃程度までの耐酸化性を有する汎用の耐熱金属を使用することができる、すなわち、白金などの如く1200℃以上まで耐えうる高価な金属を用いる必要はなく、ステンレス鋼やその他の汎用の耐熱鋼を、第1の電極を兼ねる金属薄板として使用することができる。具体的には、18Cr−8Niとして知られるSUS304系統のオーステナイト系ステンレス鋼、あるいは18Cr−12Ni−2.5MoのSUS316系統のオーステナイト系ステンレス鋼、その他、22Ni−12CrのSUH309系統のオーステナイト系耐熱鋼を用いることができる。これらは、いずれも白金よりも格段に安価に入手することができる。
前記第1の電極としての金属薄板の厚みは、15μm〜100μmとすることが好ましい。その厚みが15μm未満では、強度が不充分で、センサ製造工程中のハンドリングに支障をきたすおそれがあるとともに、厚みセンサとしての使用時において変形あるいは破損してしまうおそれがある。一方、その厚みが100μmを越えれば、金属薄板の可撓性が失われて、厚みセンサ全体としてもその可撓性が劣ることとなり、そのため使用時において厚み測定対象の配管の湾曲部分に貼着することが困難となるおそれがある。
なおペーストを塗布する手段としては、ロールコーターや、その他、一般の印刷技術で適用されている塗布・印刷手段を任意に適用することができる。
ペースト塗布後には、乾燥させて超微粉末層とする。ここで、ペースト層を乾燥させた状態では、乾燥前の状態から収縮して、乾燥前の1/2〜1/4程度の厚みとなるが、乾燥後の状態での厚み(したがって後述する焼成工程開始直前の段階での厚み)は、70〜200μmの範囲内とすることが望ましい。焼成工程開始直前の段階での厚みが70μm未満では、焼成後の焼結体層の厚みが薄すぎて、センサを屈曲させた時に第1の電極としての金属薄板から剥離するおそれがある。一方、焼成工程開始直前の段階での厚みが200μmを越えれば、焼成後の焼結体層の厚みも厚くなりすぎ、その結果、後述するように充分な可撓性を焼結体層に与えることが困難となるおそれがある。
なお、第1電極を兼ねる金属薄板上に超微粉末ペーストを塗布してペースト層を形成した後のペーストの乾燥は、次の焼成工程における焼結のための加熱の初期段階で行なっても良い。
〔焼成工程P5〕
続いて、前述のようにして第1の電極としての金属薄板の板面に超微粉末層を形成した状態で、その超微粉末層を加熱して焼成する。この焼成工程は、加熱温度を600〜800℃の範囲内として、焼成後の状態(圧電材料焼結体層)の密度が70〜80%の範囲内となるように焼成することが望ましい。
ここで、焼成後のセラミック焼結体の密度が80%と越える高密度となれば、焼結体層の剛性が高くなって、可撓性が劣る状態となり、その結果、厚みセンサとしての使用時においてセンサを湾曲させれば、焼結体層が第1の電極としての金属薄板から剥離したり、クラックが発生したりするおそれがあり、したがって厚さ測定対象の配管などの湾曲部分に適用することが困難となる。また同時に密度が80%と越える高密度となるように焼成した場合、焼成時の収縮が大きくなって、第1の電極としての金属薄板(支持体)から剥離してしまうおそれが強く、その結果、第1の電極としての金属薄板上に密着した焼結体層を得ることが困難となる。
一方、焼成後のセラミック焼結体の密度が70%未満の低密度では、焼結体層の空隙率が高すぎて、焼結体層内部の粒子が充分に結合されていない状態となり、そのため、その後の工程におけるハンドリング時やセンサとしての使用時に焼結体層が粉体状に剥落してしまうおそれがあり、また同時に、焼結体層内部の空隙率が高くなって、厚さ測定のため超音波センサとして充分な圧電特性が得られなくなるおそれがある。
したがって焼成後のセラミック焼結体の密度は、70〜80%の範囲内とすることが望ましいが、このような密度の焼結体層を形成するためには、焼成温度を600〜800℃の範囲内とすることが好ましい。このように従来一般の酸化物系圧電材料(セラミック圧電材料)の焼成温度よりも低い600〜800℃の焼成温度でも、焼結前の粉末が超微粉末であるため、超音波厚みセンサとして必要な圧電特性を示す焼結体密度を充分に得ることができる。
ここで焼成温度が800℃を超える高温となれば、焼成時に粉体粒子同士の焼結反応が急速に進行して、密度が80%以下の焼結体層を得ることが困難となる。一方、焼成温度が600℃未満の低温では、粉体粒子同士の焼結反応が充分に進行せず、焼結体層の密度を70%以上に高めることが困難となる。なお焼成温度は、600〜800℃の範囲内でも、特に650〜750℃の範囲内が好ましい。
また焼成時の雰囲気は大気(空気)とすることが好ましい。さらに焼成時間は、焼成温度によっても異なるが、通常は1〜10時間とすることが好ましい。
このような焼成工程によって、支持体を兼ねた第1の電極としての金属薄板の一方の板面に、所定の厚み、所定の密度の圧電材料焼結体層が形成される。
〔第2電極形成工程P6〕
この第2電極形成工程は、前記第1の電極(金属薄板)の対極となる第2の電極を、前記圧電材料焼結体層の上面(第1の電極に対し反対側の面)に形成する工程である。
第2の電極形成のための具体的手段は特に限定されないが、例えば銀(Ag)などの電極用の導電性金属の粉末をペースト化しておき、そのペーストを焼結体層表面に塗布して焼き付けたり、あるいは電極用の導電性金属の薄膜を焼結体層の表面に載置もしくは貼着して焼き付けたりすれば良い。なおこの第2電極の厚みは、10〜100μmとすることが好ましい。第2の電極の厚みが100μmを越えれば、厚みセンサの可撓性を損なうおそれがあり、一方10μm未満に薄く第2の電極を形成した場合、焼結体層表面の凹凸によって局部的に第2の電極が不連続となってしまうおそれがある。
このようにして、支持体を兼ねた第1の電極(金属薄板)の一方の板面にセラミック圧電材料からなる焼結体層が形成され、さらにその焼結体層の表面に第2の電極が形成された積層体が得られる。なおここで、第1、第2の電極は、次の分極処理時における分極電圧印加のための電極として機能すると同時に、厚さセンサとしての使用時において超音波送受信のための電極として機能するものである。
〔分極処理工程P7〕
その後、前記積層体における第1及び第2の電極の間に直流の電位差を印加して、分極処理を行う。この分極処理は、従来の一般的な圧電素子の製造の場合と同様に行なえばよい。
このように分極処理を施すことによって、焼結体層は圧電特性を示すようになり、したがって超音波厚みセンサに使用できるようになる。
なお実際の超音波センサでは、前記第1の電極、第2の電極に、超音波測定のための電圧信号の入出力ためのリード線を取り付けておく必要がある。そこで分極処理の後、もしくは分極処理の前に、各電極に導電ペーストなどを用いてそれぞれリード線を取り付けておくのが通常である。
上記のようにして製造された超音波厚みセンサ、及びその使用時の状況を図2に示す。
図2において、符号1は、超音波厚みセンサ9の第1の電極(支持体を兼ねた金属薄板)であり、その第1の電極1の一方の板面に、圧電材料焼結体層(例えばPZT圧電セラミック層)3が形成されており、更にその圧電材料焼結体層3の表面に第2の電極5が形成されている、そして第1の電極1、第2の電極5のそれぞれからは、リード線7A、7Bが引き出されている。このように構成された厚みセンサ9は、その第1の電極1の片面が厚さ測定対象物(金属管の管壁、容器の外壁など)11の表面に接するように、接着剤13などを用いて貼り付けることによって、その測定対象物の厚みを随時測定することができる。なおこの際の接着剤13としては、銀ペースト、ガラスペースト、白金ペースト、金ペーストなどを使用すればよい。
以上のような本発明の実施形態により製造された超音波厚みセンサは、全体として第1の電極、焼結体層、第2の電極の3層構造からなる極めて薄型のものであって、配管の外側に保護や断熱などのために外被を設ける場合でも、配管組み立て時において予め配管の外面に接着しておき、その厚みセンサの外側から配管の保護や断熱のための外被を設け、その状態で配管設備をそのまま使用し、そのままの状態で適宜厚み測定をおこなうことができる。そしてその場合には、厚み測定前における外被の剥離や、測定後の外被修復作業が不要となり、また厚み測定前に対象物の表面に超音波媒体を塗布する作業、及び測定後に超音波媒体を拭き取る作業も不要となる。
またこの超音波厚みセンサは、全体として薄質で可撓性を有しているため、図3に示したように、測定対象物11の表面が湾曲している場合であっても、その湾曲面に沿って超音波厚みセンサを接着して、湾曲部位における厚み測定を行なうことができる。
以下に本発明の実施例を記す。
PZT用の原料粉末として、酸化鉛(PbO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)の粉末を用意し、これらを、PbO:1モル、ZrO:0.5モル、TiO:0.5モルの割合で配合するとともに、溶媒をエタノール、分散剤をポリエチレンイミンとして、ボールミルを用いて混練してスラリーとし、そのスラリーを乾燥させて、混合粉末塊を得た。その混合粉末塊をアルミナるつぼに入れ、アルミナの蓋をした状態で、850℃10時間加熱(仮焼成)することにより、ペロブスカイト型結晶構造を有するPZT粉末を得た。
そのPZT粉末を粗粉砕したのち、ボールミルを用いて、平均粒径2.2μmの粉末を得た。次に、その粉末を、湿式ビーズミルを用いて、平均粒径0.2μmとなるまで粉砕した。なお湿式ビーズミルにおけるビーズ(粉砕媒体)としては、粒径0.5mmのジルコニアを用い、また分散媒としては水を用いた。
得られた超微粉スラリーを乾燥して、平均粒径0.2μmのPZT超微粉末を得た。
このPZT超微粉末に、分散媒としてブチルカルビトールを添加して、3本ロールミルで混練することにより、超微粉末のペーストを得た。次いでその超微粉末ペーストを、第1の電極としてのSUS304からなる金属薄板(厚さ50μm、1cm×2cm角)の中央に、8mm角の方形状に厚さ100μmで塗布した。具体的な塗布方法としては、前記金属薄板の板面に、8mm角の開口部が形成されるように100μm厚のテープでマスキングし、ロールコーターで前記開口部にペーストを100μm厚で塗布した。塗布後、ペーストを乾燥させてから、電気炉に入れ、大気雰囲気にて昇温速度2℃/minで700℃まで加熱し、700℃において1時間保持したのち、炉令した。これにより、焼成されたPZTからなる厚み60μmの圧電材料焼結体層が、第1の電極としての厚さ100μmのSUS304からなる金属薄板の上に焼き付けられたものが得られた。更にそのPZTからなる圧電材料焼結体層(8mm角)の中央に、4mm丸で第2の電極用の銀ペーストを塗布し、700℃で焼き付けて、平均厚み30μmの第2の電極(銀電極)を形成した。
このようにして第1の電極(SUS304)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された積層体が得られた。なお圧電材料焼結体層の密度は、約75%であった。
その後、積層体を150℃のシリコンオイル中に浸漬し、積層体における第1の電極と第2の電極の間に3000V/mmの電位差を与える分極処理を5分間実施した。その後、第1の電極(SUS304)と第2の電極(銀)のそれぞれにリード線を導電ペーストにより接着し、厚みセンサとした。
分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として銀ペーストを用いて貼り付け、管壁の厚み測定を行なったところ、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例について説明したが、これらの実施形態、実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。
1 第1の電極(金属薄板)
3 圧電材料焼結体層(PZT圧電セラミックス層)
5 第2の電極
9 超音波厚みセンサ
11 厚さ測定対象物

Claims (12)

  1. 酸化物系圧電材料からなる原料粉末を、平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末に調製する超微粉末調製工程と、
    前記超微粉末を分散媒とともに混錬して、超微粉末ペーストとするペースト化工程と、
    前記超微粉末ペーストを金属薄板からなる第1の電極の一方の板面上に塗布して、そのペースト層を乾燥させ、第1の電極の一方の板面上に超微粉末層を形成する超微粉末層形成工程と、
    前記超微粉末層を加熱して焼成し、圧電材料焼結体層を第1の電極の一方の板面上に形成する焼成工程と、
    前記焼成工程終了後、前記圧電材料焼結体層における前記第1の電極に対し反対側の表面に第2の電極を形成する第2電極形成工程と、
    前記第1の電極と第2の電極との間に電位差を与えて分極処理する分極処理工程と、
    を有してなることを特徴とする超音波厚みセンサの製造方法。
  2. 前記前記焼成工程によって、密度が70〜80%の範囲内の圧電材料焼結体層を得ることを特徴とする請求項1に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  3. 前記前記焼成工程における加熱温度を、600〜800℃の範囲内とすることを特徴とする請求項1、請求項2のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  4. 前記前記焼成工程によって、厚みが30〜150μmの範囲内の圧電材料焼結体層を得ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  5. 前記超微粉末層形成工程において、超微粉末層を、乾燥後でかつ焼成前の状態で60〜200μmの範囲内の厚みとなるように形成することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  6. 前記超微粉末層形成工程において、前記前記第1の電極の金属薄板として、その厚みが、
    15〜100μmの範囲内のものを用いることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  7. 前記第2電極形成工程において、第2の電極の厚みが、10〜100μmの範囲内となるように第2の電極を形成することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  8. 前記超微粉末調製工程において、湿式ビーズミルを用いて原料粉末を粉砕することを特徴とすることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  9. 前記酸化物系圧電材料からなる原料粉末として、ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物系圧電材料を用いることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  10. 前記前記酸化物系圧電材料からなる原料粉末として、チタン酸ジルコン酸鉛系の圧電材料粉末を用いることを特徴とする請求項9に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  11. 前記第1の電極としてステンレス鋼の薄板を用いることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  12. 前記第2電極形成工程において、前記圧電材料焼結体層の表面に、銀ペーストを塗布して焼付け、これによって第2の電極を形成する請求項1〜請求項11のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
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