JP2013187382A - 超音波厚みセンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波厚みセンサとして薄質で可撓性を示し、測定対象面が湾曲している場合でも追従させることができる超音波厚みセンサおよびその製法を提供する。
【解決手段】平均厚みが30〜100μmのジルコニア系セラミックス、例えばイットリア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面に、良導電性を有する耐高温酸化性金属からなる平均膜厚5〜20μmのメタライズ層が第1の電極として形成され、そのメタライズ層上に、酸化物系圧電材料からなる70〜80%の密度の焼結体層が30〜150μmの平均厚みで形成され、さらに焼結体層上に10〜100μmの平均厚みで第2の電極が形成されていることを特徴とする超音波厚みセンサ。またその製法として、前記基板の表面をメタライズ(第1の電極形成)し、さらに酸化物系圧電材料を含む粘性液状物を塗布して焼成し、第2の電極の形成、分極処理を行なう。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物系圧電材料からなる圧電素子を用いて、超音波により各種配管の金属管、その他の管の管壁の厚み、あるいは各種金属容器の外壁の厚みなど、種々の厚みを検出するための超音波厚みセンサ、およびその製造方法に関するものである。
周知のように圧電素子を用いて超音波の送受信を行なって、各種の対象物、対象部位の検出や、各種測定、診断などを行なう装置は、従来から広く使用されている。例えば水中探査用のソナー、あるいは超音波探傷装置、超音波診断装置が従来から広く知られており、そのほか、金属板や金属管などの厚みを検出する厚みセンサにも、超音波センサが用いられている(例えば特許文献1、2など)。
このような超音波送受信用の圧電素子の材料としては、PZTと称されるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)で代表されるペロブスカイト結晶構造を有する酸化物系圧電材料(圧電セラミックス)が最も代表的である。
ところでこの種の酸化物系圧電材料からなる圧電素子の製造方法としては、PZTなどの原料粉末を円盤状あるいは立方体形状などの所定のバルク形状に成形し、その成形体を焼結して、セラミック焼結体とし、その後、焼結体に電極を取り付けてから分極処理を施し、圧電素子とするのが一般的である(例えば特許文献3参照)。
具体的には、例えばPZT圧電素子の場合、先ずPbO、ZrO、TiOなどのPZT用の原料粉末を所定の割合で配合し、その配合粉末に純水を加えてボールミルで混合粉砕し、乾燥して仮焼成し、再度粉砕して粉末とし、更に仮焼成してから再度粉砕して、ペロブスカイト型結晶構造を有するPZT粉末を得る。そしてそのPZT粉末に、PVA(ポリビニルアルコール)などのバインダを加えて混合し、適度の大きさの造粒粉とする。その後、造粒粉に圧力を加えて成形し、肉厚な円盤状あるいは立方体形状などの所定のバルク形状の成形体とする。更にその成形体を加熱してバインダを除去してから、高温に加熱して焼成(焼結)して、セラミック焼結体とし、その後、所定の製品形状(圧電素子形状)に加工した後、銀電極などの電極を、焼付けなどにより取り付け、分極処理を行なって、圧電特性を付与するのが通常である。
上述のような従来の酸化物系圧電素子の製造法においては、成形体を焼結する際の加熱温度を1200℃程度以上に上げることによって急激に焼結体の緻密度が高まることが知られており、そこで一般には1200〜1300℃程度で焼結することが行なわれている。そしてこのように1200℃以上の高温で焼成することによって、焼結体は、密度90%以上に高密度化されて、緻密な焼結体が得られることが知られている。
このように、従来の製造方法において焼結体の高密度化を図っていた理由は、焼結体からなるセンサ素子が高密度となるほど、分極処理後の圧電特性が向上して、効率的に超音波を発振することが可能となり、超音波出力の高出力化が容易に図れることにある。そのため従来は、酸化物系圧電材料からなる圧電素子の製造にあたっては、焼成温度を1200℃以上の高温として焼結体の緻密化を図り、圧電特性をできるだけ高め、高出力化を図ろうとするのが常識であった。
例えば、超音波ソナーの場合は、センサから検出対象物までの距離が著しく大きく、そのため、確実に対象物を捕捉するためには、大出力を必要とする。また超音波探傷装置の場合、たとえ検出すべき部位までの距離が短くても、検出すべき傷や欠陥の形状が一様ではなく、しかも傷や欠陥からの反射波と、傷や欠陥よりも遠い位置に存在する管外表面/外部空間の境界面からの反射波との2種の反射波の受信信号を峻別することが必要であり、そのためある程度大出力とする必要がある。さらに超音波診断装置の場合も、検査対象部位の形状が一様ではなく、しかも人体組織を透過する際の超音波の減衰が大きいことなどから、やはりかなりの大出力とする必要がある。そこで、これらの用途では、セラミック圧電素子はできるだけ高密度とすることが必要とされている。そして厚みセンサについても、他の用途と同様に高密度化することが常識とされていたのである。
なお、圧電素子を高出力化すれば、それに伴って反射波のエネルギも大きくなる。そして反射波のエネルギが過大であれば、反射波の受信信号中のノイズが大きくなってしまう。そこで従来、過大な反射波が予想される場合には、反射波を減衰させるためのダンパを組み込んでおくことも行なわれている。
ところで従来の超音波厚みセンサでは、厚みの測定が必要になるたびごとに、センサの探触子の前面を、各種設備の配管などの測定対象物の外表面に、水などの超音波媒体を介して押し当て、超音波の送受信を行なって厚みを測定するのが通常である。
しかるに、各種設備の配管は、金属管の外表面が保護材や断熱材などの外被によって覆われていることが多い。このような場合に超音波厚みセンサによって配管の厚み測定を行なう際には、測定個所の外被を除去して金属管の外表面に媒体を塗布もしくは供給する準備作業が必要となり、また厚み測定後には、媒体を拭き取り、更に外被を修復する修復作業を必要とする。したがって1回の厚み測定作業に多くの手間と時間を要さざるを得なかったのが実情である。
更に、従来の超音波厚みセンサは、前述のように厚みの測定が必要になるたびごとに、センサの探触子の前面を、測定対象物の外表面に水などの超音波媒体を介して押し当てるのが通常であるため、配管や容器外壁などにおける多数の個所の厚み測定を同時に行なうことは困難であり、そのため多数の個所の厚み測定データを得たい場合には、膨大な手間と時間を要さざるを得なかった。
また同様の理由から、厚みの経時的な測定データを連続して得ることは困難であった。
一方、従来の製造方法によって得られた酸化物系圧電材料(セラミック圧電材料)を用いた圧電素子は、全体的に焼結体が緻密で、かつ厚いバルク形状を有しているため、可撓性(フレキシビリティ;屈曲性)を全く有していないのが通常である。そのため、このような圧電素子を配管や容器外壁などを対象とする超音波厚みセンサに用いた場合、次のような問題があった。
すなわち、配管のうちでもその管径が小さい配管、すなわち外面の曲率半径が小さい配管の管壁や、配管におけるL字状に屈曲した部あるいはL字状に溶接した部分、すなわちエルボー部分、さらにはT字状に溶接した部分の隅部の如く、湾曲した部分(凸状もしくは凹状に湾曲した部分)の厚みを測定しようとした場合、その湾曲部分に探触子の前面を均一に当てることは困難であり、そのため測定誤差が大きくなったり、厚み測定が困難となったりする問題もあった。
特開平1−202609号公報 特開2002−228431号公報 特開平7−45124号公報
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、酸化物系圧電材料を用いた超音波厚みセンサとして、全体的に薄質で可撓性を示すことができ、そのため測定対象個所の外表面が湾曲している場合でもその湾曲面に追従させて、湾曲面における厚み測定を確実に行なうことができ、しかも配管や容器外壁などの測定対象個所に厚みセンサを常時貼着させておくことにより、厚み測定前の準備作業や測定後の修復作業などを不要とし、これによって厚み測定の手間と時間を大幅に削減することができ、併せて多数の箇所の同時的な厚み測定や、連続的な厚み測定も可能とした超音波厚み測定センサを提供することを課題とし、さらにそのような可撓性を示し得る超音波厚みセンサを製造する方法を提供することを課題とする。
前述のように各種の対象物検出や検査、測定、診断などのための超音波送受信に使用される従来の酸化物系圧電材料からなる圧電素子は、高い圧電効率を得るために、密度が90%以上となるように緻密化しておくのが常識とされており、超音波厚みセンサでも、同様に90%以上の高密度の圧電素子が使用されていた。
しかるに、各種設備における配管の管壁や容器の外壁などの厚み測定にあたっては、他の用途の場合のような高い圧電効率、高出力は必ずしも必要としないことを本発明者等は知見した。
すなわち、既に述べたように、水中探査用の超音波ソナー、あるいは超音波探傷装置、超音波診断装置などの場合は、対象物までの距離が遠かったり、あるいは対象物の形状が不定形で一様ではなかったり、更には対象部位に超音波が到達するまでの間の減衰が大きかったりする、などの点から、高出力が望まれるが、配管や容器などの厚み測定の場合、
対象となる管壁や容器外壁の厚み(超音波を透過/反射させるべき距離)は数百μmからせいぜい十数mm程度と小さく、しかも反射面は一様な定形面となっており、更には、超音波探傷の場合のように2種以上の反射波の受信信号を峻別する必要もないため、他の用途よりも超音波出力が小さくても、確実に厚みを測定し得ることを知見した。言い換えれば、厚みセンサの場合は、他の用途よりも圧電効率が低くても、厚みセンサとして充分に機能させることができることを知見したのである。
一方、酸化物系圧電材料からなる圧電素子においては、焼結体の緻密度が低くなって、相対的にポーラスとなれば、圧電効率は下がるが、薄質な可撓性を有する支持体上に焼結体層をポーラスに薄く形成しておけば、可撓性(フレキシビリティ)を付与することが可能となる。またその場合、支持体を圧電素子に必要な一対の電極のうちの一方の電極と兼ねさせて、焼結体層を支持体上に形成した後もその支持体をそのまま一方の電極として機能させることにより、簡単な工程で厚みセンサを製造し得ることを見い出した。
このように、厚みセンサとしては、焼結体の緻密度をある程度小さくすると同時に薄肉化を測って、圧電効率を若干下げながらも、厚みセンサとして可撓性を付与したものとすることができることを見い出し、本発明者等は、その製造方法について、既に別の特許出願によって提案している。
すなわち、焼結原料のスラリーもしくはペーストとして、平均粒径が0.15〜0.25μmの超微細粉のスラリーもしくはペーストを用いたり、あるいは圧電材料粉末にビスマス系ガラスなどの低融点ガラスの粉末を混合したスラリーもしくはペースト用いたり、さらには圧電材料粉末と、その圧電材料を構成する金属のアルコキシドゾルと混練したペーストを用いたりして、これらのスラリーやペーストを、超音波センサの一方の電極を兼ねる金属薄板からなる支持体上に塗布し、乾燥後、金属薄板上の乾燥された焼結原料層を、金属薄板ごと加熱して焼成することにより、金属薄板(支持体)上に薄くかつ比較的低密度(70〜80%)の圧電材料焼結体層を形成し、その後、焼結体層上に他方の電極を形成してから分極処理を施すことによって、可撓性を示しかつ超音波厚みセンサとして必要な程度の圧電特性を有する超音波厚みセンサを製造し得ることを見い出した。
ここで、上述のように70〜80%という比較的低密度の焼結体層を得る場合、焼結のための加熱温度(焼成温度)は、従来一般のバルク焼結体の製造における焼成温度(1200〜1300℃程度)よりも格段に低い800℃程度以下の温度でも足りることが判明している。そこで、前述の一方の電極を兼ねる支持体として、安価で入手容易な汎用のステンレス鋼を用いることが考えられている。
しかしながら前記提案の方法を実際に適用する場合、従来一般のバルク焼結体の製造における焼成温度よりも低いとはいえども、通常は600℃程度以上(800℃以下)の温度で焼成する必要がある。そしてこのような600℃以上の温度で焼結原料層を金属薄板ごと加熱した場合、汎用のステンレス鋼では、表面が酸化して絶縁被膜が形成されてしまい、圧電材料である焼結体層との間の電気抵抗が大きくなって、後の分極処理で焼結体層に正常に分極電圧を与えられなくなったり、超音波センサとしての使用時において正常に超音波信号の送受信を行ない得なくなってしまったり、さらには酸化により外観が悪くなったりするおそれがある。
そこで、本発明者等は、電極と支持体を兼ねる部材として、汎用のステンレス鋼などの金属薄板ではなく、それ以外の材料からなるものを用いることを考えた。そして、種々実験・検討を重ねた結果、イットリア部分安定化ジルコニアで代表されるジルコニア系セラミックスからなる薄板を基板とし、その基板の板面を、良導電性の耐高温酸化性金属を用いてメタライズ(金属化)した部材を、上記の電極を兼ねる支持体として使用することによって、焼結原料層の焼成のための加熱時における支持体表面の酸化を回避しつつ、可撓性を確保した超音波センサが得られることを見い出し、本発明をなすに至った。
すなわち、ジルコニア系セラミックスは、アルミナなどの他のセラミックスと比較して破壊靱性が高く、延性が優れるところから、ある程度薄くすれば可撓性を示すことができ、一方ジルコニア系セラミックス自体は電気絶縁性であるが、その表面を、良導電性を有する耐高温酸化性金属によりメタライズしておけば、電極としても機能させることができるのである。
具体的には、本発明の基本的な態様(第1の態様)の超音波厚みセンサは、平均厚みが
30〜100μmのジルコニア系セラミックスからなる基板の表面に、良導電性を有する耐高温酸化性金属からなる平均膜厚5〜20μmのメタライズ層が第1の電極として形成され、そのメタライズ層上に、酸化物系圧電材料からなる70〜80%の密度の焼結体層が30〜150μmの平均厚みで形成され、さらに焼結体層上に10〜100μmの平均厚みで第2の電極が形成されていることを特徴とするものである。
このような本発明の基本的な態様の超音波厚みセンサにおいて、ジルコニア系セラミックスは、他のアルミナなどのセラミックスと比較して破壊靭性が高くて、延性にも優れており、そのため30〜100μmと薄質なジルコニア系セラミックスからなる基板は、可撓性を示すことができる。また、酸化物系圧電材料からなる焼結体層は、密度が70〜80%と低密度であって、しかも150μm以下と薄いため、その焼結体層自体も、表面にメタライズ層が形成された基板に支持された状態で、可撓性を示すことができる。さらに、第1の電極はジルコニア系セラミックスからなる基板上の薄質(平均膜厚5〜20μm)なメタライズ層で構成され、また第2の電極も平均厚み10〜100μmと薄く形成されており、これらの電極も可撓性を低下させる要因とはならない。したがってこのような構成からなる超音波厚みセンサは、その全体としても可撓性を示し、超音波厚み測定の対象部位が湾曲している場合でも、焼結体層が割れたり剥落したりしてしまうことなく、測定対象部位の湾曲面に追従させて湾曲させることができる。
また基板自体は酸化物であるジルコニア系セラミックスで作られており、その表面のメタライズ層(第1の電極)は耐高温酸化性金属によって構成されているため、超音波厚みセンサの製造時における焼成工程で高温に加熱されたり、センサとしての使用に高温に曝されても、酸化被膜の生成によって分極処理に支障を来たしたり、センサとしての使用時において電極と焼結体層(圧電材料層)との間の電気抵抗が大きくなって性能に悪影響を及ぼすおそれが少なく、確実かつ安定して厚みセンサとしての機能を発揮することができる。
なお、表面にメタライズ層を形成した基板は、超音波厚みセンサの製造時において、酸化物系圧電材料の焼結体層を、その焼成前の段階(焼結原料層の段階)から支持するための支持体としても機能するから、焼結原料層の厚みを薄くしても支障なく焼成することが可能であり、さらには焼成後の焼結体層(圧電セラミック層)の支持体としても機能するから、その焼結体層の密度が70〜80%と低くかつその厚みが薄くても、焼結体層が剥落することを防止できる。
そしてまた、焼結体層は、比較的低密度(70〜80%)ではあっても、厚みセンサとして支障ない程度の圧電特性を分極処理後に示すことができる。
なお本明細書において焼結体層の密度とは、相対密度を意味するものとする。
また本発明の第2の態様の超音波厚みセンサは、前記第1の態様の超音波厚みセンサにおいて、前記基板を構成するジルコニア系セラミックスが、希土類酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウムのいずれか1種以上を安定化剤としてジルコニアに添加した部分安定化ジルコニアであることを特徴とするものである。
このような第2の態様の超音波厚みセンサにおいてジルコニア系セラミックスとして使用されている部分安定化ジルコニアは、ジルコニア系セラミックスのうちでも特に靭性、延性に優れており、そのため超音波厚みセンサとして充分な可撓性を示すことができる。
また本発明の第3の態様の超音波厚みセンサは、前記第1、第2のいずれかの態様の超音波厚みセンサにおいて、前記酸化物系圧電材料として、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ビスマス、ニオブ酸リチウムのいずれかが用いられていることを特徴とするものである。
この第3の態様で規定される酸化物形圧電材料からなる焼結体層は、いずれも70〜80%の低密度でも、超音波厚みセンサとして充分な圧電特性を示すことができ、しかも70〜80%の低密度で150μm以下に薄く形成することにより、可撓性を示すことができ、さらにはその原料を比較的低コストで入手することができる。
また本発明の第4の態様の超音波厚みセンサは、前記第1〜第3のいずれかの態様の超音波厚みセンサにおいて、前記メタライズ薄膜の耐高温酸化性金属として、Pt、Ag、Au、Pd、Rhのうちの1種または2種以上が用いられているからなることを特徴とするものである。
この第4の態様で規定されるメタライズ層の金属は、いずれも耐高温酸化性が著しく優れているため、800℃を越える高温に加熱した場合でも、酸化膜が生成されず、そのため超音波厚みセンサにおける電極として、酸化膜の生成により分極処理に支障を来たしたり、使用時における性能に悪影響を及ぼすことがない。
一方本発明の第5の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第4のいずれかの態様の超音波厚みセンサを製造するための方法であって、
平均厚みが30〜100μmのジルコニア系セラミックスからなる基板の表面に、良導電性を有する耐高温酸化性金属からなる平均膜厚5〜20μmのメタライズ層を第1の電極として形成するメタライズ工程と、
酸化物系圧電材料を含む粘性液状物を焼結原料として用いて、その粘性液状物を、前記メタライズ層の表面に塗布して、メタライズ層上に焼結原料層を形成する焼結原料層形成工程と、
前記焼結原料層を加熱して焼結原料を焼成し、これによって密度が70〜80%の範囲内の酸化物系圧電材料の焼結体からなる平均厚み30〜150μmの焼結体層をメタライズ層上に形成する焼成工程と、
前記焼結体層の表面に、平均厚み10〜100μmの第2の電極を形成する第2電極形成工程と、
前記メタライズ層からなる第1の電極と第2の電極との間に電位差を与えて、焼結体層を分極処理する分極処理工程、
とを有してなることを特徴とするものである。
このような第5の態様の超音波厚みセンサの製造方法によれば、前述のように可撓性を示しかつ超音波厚み測定に支障のない程度の圧電特性を有する超音波厚みセンサを実際に製造することができる。
また本発明の第6の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第5の態様の超音波厚みセンサの製造方法において、前記酸化物系圧電材料を含む粘性液状物として、平均粒径が1〜10μmの範囲内の酸化物系圧電材料粉末と、その酸化物系圧電材料の金属成分のアルコキシドゾルとを混合したもの(ペーストもしくはスラリー)を用いることを特徴とするものである。
このような第6の態様の超音波厚みセンサの製造方法では、酸化物系圧電材料を含む粘性液状物、すなわち焼結原料として、酸化物系圧電材料からなる比較的粗大な粉末(平均粒径1〜10μm)と、前記酸化物系圧電材料の金属成分と同じ金属成分を有するアルコキシドゾルとを混合してなるペーストもしくはスラリーを用いているため、焼成工程においては、比較的低温の焼成温度(例えば600〜800℃)でも、ある程度の密度(70〜80%)を有する焼結体層、すなわち超音波厚みセンサとして支障ない程度の圧電特性を分極処理後に得ることができると同時に可撓性を示し得る焼結体層を形成することができる。
そしてまた本発明の第7の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第5の態様の超音波厚みセンサの製造方法において、前記酸化物系圧電材料を含む粘性液状物として、平均粒径1〜10μmの酸化物系圧電材料粉末と、酸化物圧電材料の金属成分のアルコキシドの分解による平均粒径0.1〜1.0μmの微粉末とを分散媒に分散させたもの(ペーストもしくはスラリー)を用いることを特徴とするものである。
このような第7の態様の超音波厚みセンサの製造方法でも、酸化物系圧電材料を含む粘性液状物、すなわち焼結原料として、酸化物系圧電材料からなる比較的粗大な粉末(平均粒径1〜10μm)と、前記酸化物系圧電材料の金属成分と同じ金属成分の微細なアルコキシド分解微粉末とを混合してなる混合物を分散させたスラリーもしくはペーストを用いているため、前記第6の態様と同様に、焼成工程においては、比較的低温の焼成温度(例えば600〜800℃)でも、ある程度の密度(70〜80%)を有する焼結体層、すなわち超音波厚みセンサとして支障ない程度の圧電特性を分極処理後に得ることができ、しかも可撓性を示し得る焼結体層を形成することができる。
そしてまた本発明の第8の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第5の態様の超音波厚みセンサの製造方法において、前記酸化物系圧電材料を含む粘性液状物として、酸化物系圧電材料からなる平均粒径が0.15〜0.25μmの超微粉末を分散媒に分散させたもの(スラリーもしくはペースト)を用いることを特徴とするものである。
このような第8の態様の超音波厚みセンサの製造方法では、酸化物系圧電材料を含む粘性液状物、すなわち焼結原料として、平均粒径が0.15〜0.25μmという極めて微細な超微粉末を分散媒に分散させたスラリーもしくはペーストを用いているため、第6あるいは第7の態様と同様に、焼成工程においては、比較的低温の焼成温度(例えば600〜800℃)でも、ある程度の密度(70〜80%)を有する焼結体層、すなわち超音波厚みセンサとして支障ない程度の圧電特性を分極処理後に得ることができ、しかも可撓性を示し得る焼結体層を形成することができる。
そしてまた本発明の第9の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第6〜第8のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、前記焼成工程における加熱温度を、600〜800℃の範囲内として、密度が70〜80%の範囲内の焼結体層を得ることを特徴とするものである。
このような第9の態様の超音波厚みセンサの製造方法では、焼成工程における加熱温度を、従来一般の圧電セラミック製造における焼成温度より格段に低い600〜800℃の範囲内としているが、このような低温での焼結によっても焼結を進行させて、超音波厚みセンサとして必要な程度の圧電特性を示し得る密度(従来よりも低い70〜80%)を有する焼結体層を形成することができる。そしてまた、このように比較的低い密度に焼結された焼結体層は、その焼結体層を、表面にメタライズ層(第1の電極)を形成した基板に支持させた状態で、可撓性を示すことができ、また一方、焼結体層の密度が過度に小さくなって焼結体層が脆くなり、メタライズ層(第1の電極)から剥離してしまうことも防止できる。
また本発明の第10の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第5の態様の超音波厚みセンサの製造方法において、前記酸化物系圧電材料を含む粘性液状物として、酸化物系圧電材料粉末および低融点ガラス粉末を分散媒に分散させたもの(スラリーもしくはペースト)を用いることを特徴とするものである。
このような第10の態様の超音波厚みセンサの製造方法では、酸化物系圧電材料を含む粘性液状物として、酸化物系圧電材料粉末に低融点ガラス粉末を混合して分散媒に分散させたスラリーもしくはペーストを用いているため、焼成工程において低融点ガラス粉末の少なくとも一部が溶融もしくは軟化して圧電材料粉末粒子間の結合剤として機能し、これにより圧電材料粉末粒子の密度が比較的低密度(70〜80%)のままで、圧電材料粉末粒子間が結合された状態となる。すなわち低融点ガラス形成材料は、比較的低温でも溶融もしくは軟化を開始するため、450〜550℃程度の低い焼成温度でも圧電材料粉末粒子間が物理的に結合され、その結果、比較的低密度のまま圧電材料粉末粒子がある程度強固に結合された焼結体層が得られる。そしてこのような焼結体層は、超音波厚みセンサとしては支障ない程度の圧電特性を分極処理に示すことが可能となるとともに、可撓性を示すことができる。
また本発明の第11の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第10の態様の超音波厚みセンサの製造方法において、前記低融点ガラス粉末が、ビスマス系ガラス粉末であることを特徴とするものである。
このような第11の態様の超音波厚みセンサの製造方法で使用するビスマス系ガラス粉末は、450〜550℃の焼成温度で確実かつ充分に溶融されるため、圧電材料粉末の粒子間の結合材として確実に機能させることができる。
また本発明の第12の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第5の態様の超音波厚みセンサの製造方法において、前記酸化物系圧電材料を含む粘性液状物として、酸化物系圧電材料粉末を珪酸ソーダ溶液に分散させたもの(スラリーもしくはペースト)を用いることを特徴とするものである。
このような第12の態様の超音波厚みセンサの製造方法では、焼結原料としての粘性液状物(スラリーもしくはペースト)の乾燥時に、珪酸ソーダ、すなわち珪酸ナトリウム(NaO・nSiO)が固体(通常は水和物の結晶)として酸化物系圧電材料粉末の粒子間に析出し、さらに焼成時にその珪酸ソーダの少なくとも一部が溶融もしくは軟化して、圧電材料粉末粒子の相互間の結合剤として機能する。したがって第10の態様と同様に、450〜550℃程度の低い焼成温度でも圧電材料粉末粒子間が物理的に結合され、その結果、比較的低密度(70〜80%)のまま圧電材料粉末粒子がある程度強固に結合された焼結体層が得られる。そしてこのような焼結体層は、超音波厚みセンサとしては支障ない程度の圧電特性を分極処理後に示すことが可能となるとともに、可撓性を示すことができる。
また本発明の第13の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第10〜第12のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、前記焼成工程における加熱温度を、450〜550℃の範囲内として、密度が70〜80%の範囲内の焼結体層を得ることを特徴とするものである。
このような第13の態様の超音波厚みセンサの製造方法では、焼成工程における加熱温度を、従来一般の圧電セラミック製造における焼成温度より格段に低い450〜550℃の範囲内としているが、このような低温での焼結によっても焼結を進行させて、超音波厚みセンサとして必要な程度の圧電特性を示し得る密度(従来よりも低い70〜80%)を有する焼結体層を形成することができる。そしてまた、このように比較的低い密度に焼結された焼結体層は、その焼結体層を、表面にメタライズ層(第1の電極)を形成した基板に支持させた状態で可撓性を示すことができ、また一方、焼結体層の密度が過度に小さくなって焼結体層が脆くなり、メタライズ層(第1の電極)から剥離してしまうことも防止できる。
本発明の超音波厚みセンサは、センサ全体として薄質で可撓性を示すことができ、そのため測定対象部位が湾曲面であってもその湾曲面に追従して変形させることが可能であるため、湾曲面における厚み測定を確実に行なうことができる。またこのような厚みセンサは、予め配管などの測定対象個所に貼り付けておいて、そのままの状態で配管設備などを稼動させ、必要な時に随時厚み測定を行なうことができ、その場合、厚み測定前後の作業、例えば配管における測定前の外被除去作業や媒体塗布作業、及び測定後の媒体拭き取り作業や外被修復作業などを不要とすることができ、そのため、厚み測定の手間と時間を大幅に削減することができ、さらには、多数の個所にそれぞれ厚みセンサを貼り付けておいて、多数の個所における厚みの同時測定を容易に行なうことができるとともに、経時的かつ連続的な厚み測定が可能もなるという、顕著な効果を得ることができる。
また本発明の超音波厚みセンサは、焼結体層を支持する基板としてジルコニア系セラミックスを用い、その表面の耐高温酸化性金属からなるメタライズ層を第1の電極としているため、製造工程、特に焼成工程において高温に加熱されても、表面に絶縁性の酸化被膜が形成されてしまうおそれがなく、そのため分極処理に支障を来たすおそれがなく、かつセンサとしての使用時においても酸化被膜により性能が損なわれてしまうこともない。さらに、基板に使用されているジルコニア系セラミックスは、他のセラミック材料と比べて靭性、延性に優れているため、超音波厚みセンサの可撓性を確保することができる。
本発明の一実施形態の超音波厚みセンサを示す略解的な断面図である。 本発明の超音波厚みセンサの一例の使用時の状況の例を示す略解的な縦断面図である。 本発明の超音波厚みセンサの一例の使用時の状況の他の例を示す略解的な縦断面図である。 本発明の超音波厚みセンサの製造方法の一例を段階的に示すフローチャートである。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態の超音波厚みセンサ1を、その断面において原理的に示す図である。
図1において、基板3は、ジルコニア系セラミックスからなる平均厚みが30〜100μmの範囲内の薄板状もしくはシート状のものであり、その基板3の一方の板面には、良導電性を有する耐高温酸化性金属からなるメタライズ層(第1の電極となるもの)5が、平均膜厚5〜20μmで形成されている。さらにメタライズ層5の表面には、PZTなどの酸化物系圧電材料からなる70〜80%の範囲内の密度の焼結体層7が、30〜150μmの平均厚みで形成されている。そして焼結体層7の表面には、第2の電極9が10〜100μmの平均厚みで形成されている。さらに第1の電極に相当するメタライズ層5および第2の電極9には、それぞれリード線11A、11Bが取り付けられている。なお前記焼結体層7は、分極処理が施されて、圧電特性を示すもの(圧電セラミックス)となっている。
このような超音波厚みセンサ1においては、焼結体層7の密度が70〜80%と、一般的な用途の圧電セラミックスと比較して格段に低密度であって、しかもその厚みが150μm以下と薄いため、メタライズ層5が形成された基板3に支持された状態で、可撓性(屈曲性)を示すことができる。また基板3に使用されているジルコニア系セラミックスは、熱的、化学的、機械的に優れた特性を有しており、アルミナなどの他のセラミック材料と比較して靭性、延性が高く、100μm以下に薄肉化した状態では可撓性(屈曲性)を示すことができる。さらに基板3の表面に形成されたメタライズ層5も、20μm以下と薄質であるため、基板3の可撓性を損なうことはない。そしてまた第2の電極9も、その厚みが100μm以下と薄いため、可撓性を損なうことはない。
このような条件が相俟って、超音波厚みセンサ1の全体としても可撓性を示し、厚み測定部位が湾曲した面となっている場合でも、その測定部位湾曲面に追従させて貼着することができる。
ここでジルコニアは、そのままでは、1000℃付近で相変態(単斜晶/正方晶)を起こして大きな体積変化が生じることから、安定化剤を添加して、安定な立方晶に変化させ、上述のような相変態が生じないように安定化させたもの(安定化ジルコニア)として使用することが多い。但し、完全に立方晶に変化させた完全安定化ジルコニア(FSZ)では、靭性、延性が低下し、充分な可撓性を示すことが困難となるおそれがある。一方、安定化剤の添加量を、完全に安定化させ得る量よりも少量として、立方晶と単斜晶とが共存した組織、すなわち部分的に安定化したジルコニア(部分安定化ジルコニア)とすれば、高い靭性、延性を示して、充分な可撓性を与えることができる。したがって本発明の場合、基板のジルコニア系セラミックスとしては、部分安定化ジルコニアを用いることが望ましい。
ジルコニアの部分安定化のために添加される安定化剤としては、イットリウム(Y)で代表される希土類元素の酸化物(例えばイットリア:Y)や酸化マグネシウム(マグネシア:MgO)、あるいは酸化カルシウム(カルシア:CaO)などがある。これらのうちでも、イットリアを安定化剤として添加したイットリア部分安定化ジルコニアを用いることが、特性(可撓性)およびコスト面から最も望ましい。
イットリアを安定化剤として添加したイットリア安定化ジルコニア(YSZ)は、一般式 (Y1−X(ZrO で表され、xの値を変化させることによって安定度が変化するが、本発明の場合、x=0.98〜0.95の範囲内のもの、すなわちYを2〜5mol%添加したイットリア部分安定化ジルコニアを基板として用いることが望ましい。Yが2mol%未満では、安定化不足となるおそれがあり、一方Yが5mol%を越えれば、延性が低くなって、薄質化しても十分な可撓性を確保することが困難となるおそれがある。なおこのようなイットリア部分安定化ジルコニアのうちでも、特にYを3mol%添加したもの(3YSZ)が代表的であり、本発明の場合も、Yを3mol%添加した3YSZを基板に用いることが最も望ましい。
イットリア以外の希土類元素の酸化物、例えばSc、Gd、Dy、Er、Yb、Luの酸化物も、ジルコニアに対する安定化剤として使用することができ、本発明の場合も、イットリアを含めて、これらの希土類元素の酸化物のうちの1種または2種以上を安定化剤として添加した部分安定化ジルコニウムを基板に使用することができる。その場合の希土類酸化物の添加量は、イットリア単独の場合と同様に、合計量で2〜5mol%の範囲内とすることが望ましい。
さらに、ジルコニアに対する安定化剤としては、前述のように酸化マグネシウム(マグネシア:MgO)、あるいは酸化カルシウム(カルシア:CaO)も知られており、本発明の場合も、これらを安定化剤として添加した部分安定化ジルコニアを基板として用いても良い。ここで、MgOを安定化剤として使用する場合、その添加量は5〜10mol%の範囲内とすることが望ましく、またCaOを安定化剤として使用する場合も、その添加量は5〜10mol%の範囲内とすることが望ましい。MgOもしくはCaOの添加量が5mol%未満では、安定化不足となるおそれがあり、一方10mol%を越えれば、延性が低下して薄質化しても十分な可撓性を確保することが困難となるおそれがある。
ジルコニア系セラミックスからなる基板の平均厚みは、前述のように30〜100μmの範囲内とする。基板の厚みが30μm未満では、超音波センサとしての使用時において湾曲させた場合に割れてしまうおそれがあり、また製造工程中のハンドリングによっても割れてしまうおそれがある。一方100μmを越えれば、厚すぎるために可撓性が損なわれ、湾曲した被測定部位の沿わせようとした場合に割れてしまうおそれがある。
一方、基板の表面に形成されるメタライズ層の材質は、要は、大気中において少なくとも800℃までは酸化が生じない程度の耐高温酸化性能を有し、かつ電極として必要な程度の導電性を有する耐高温酸化性金属であれば、特に限定されるものではなく、例えば白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、その他パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などのうちの1種または2種以上を適宜選択すれば良い。またそのメタライズ層の膜厚は、5〜20μmの範囲内とする。メタライズ層の膜厚が5μm未満では、ジルコニア系セラミックスからなる基板の表面の粗さ状況によっては、メタライズ層の表面の凹凸が大きくなって、その上に形成される圧電材料焼結体層の厚みが不均一となり、圧電特性に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、メタライズ層の膜厚が20μmを越えれば、剛性が高くなって基板の可撓性を損なうおそれがあり、またPtやAuなどの高価な金属の使用量が多くなってコスト上昇を招き、さらにはメタライズ層形成のための工程(メタライジング)に長時間を要するようになって、生産性の低下を招く。
メタライズ層を形成するための手段は、特に限定されるものではなく、後述する製造方法発明の説明でも述べるように、セラミックス基体の表面に金属膜を形成するための公知のメタライジング方法を、任意に適用することができる。例えば蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティングなどのCVD法(物理的気相成長法)、あるいはPVD法(化学的気相成長法)、溶射、無電解めっき、ペースト塗布焼成法(印刷―焼成法)、活性化金属法などを適用すれば良い。
焼結体層を構成する酸化物系圧電材料(セラミック圧電材料)の種類、組成は、基本的には限定されないが、ペロブスカイト型結晶構造を有する強誘電体からなる酸化物系圧電材料であることが好ましく、そのうちでも、PZTと称されるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、より具体的には、Pb(ZrTi1−x)O〔但し0.5≦x≦0.7〕が好ましく、更に上記のxの値が0.52前後の組成のPZTが最も好ましい。その他、上記のPZT組成を基本として、それに微量添加元素として、Mn、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Nb、Ta、La、Nd、Sc、Gdなどの1種又は2種以上を、それぞれ10重量%程度以下添加したものであってもよく、要は、PZT系(チタン酸ジルコン酸鉛系)の圧電セラミック材料と称される材料はすべて対象となる。さらに、PZT系圧電セラミック材料に限らず、その他のペロブスカイト型結晶構造を有する圧電セラミック材料、例えばLiNbO(ニオブ酸リチウム)など、またペロブスカイト結晶構造を持たないその他の圧電セラミック材料、例えばBiTi12(チタン酸ビスマス:BIT)なども適用することができる。
また焼結体層の密度は、70〜80%の範囲内とする。
焼結体層の密度が80%と越える高密度となれば、焼結体層の剛性が高くなって、可撓性が劣る状態となり、その結果、厚みセンサとしての使用時においてセンサを湾曲させれば、焼結体層がメタライズ層(第1の電極)から剥離したり、クラックが発生したりするおそれがあり、したがって厚さ測定対象の配管などの湾曲部分に適用することが困難となる。また、超音波厚みセンサの製造工程中、焼結原料層を焼成する際に、密度が80%と越えるように加熱・焼成した場合、焼成時の収縮が大きくなって、メタライズ層(第1の電極)から剥離してしまうおそれが強く、その結果、第1の電極としてのメタライズ層上に密着した焼結体層を得ることが困難となる。
一方、焼結体層の密度が70%未満の低密度では、焼結体層内の空隙率が高すぎて、焼結体層内部の粒子が充分に結合されていない状態となり、そのため、製造工程中の焼成後の工程におけるハンドリング時やセンサとしての使用時に焼結体層が粉体状に剥落してしまうおそれがあり、また同時に、焼結体層内部の空隙率が高くなって、厚さ測定のため超音波センサとして充分な圧電特性が得られなくなるおそれがある。
したがって焼結体層の密度は、70〜80%の範囲内とする。
さらに酸化物系圧電材料からなる焼結体層の厚みは、平均で30〜150μmの範囲内とする。
焼結体層の平均厚みが30μm未満では、その厚みが薄すぎて強度不足となり、超音波厚みセンサを湾曲させた時に、焼結体層に割れが生じたり、メタライズ層(第1の電極)から剥離してしまうおそれがある。一方、焼結体層の平均厚みが150μmを越えれば、焼結体層の剛性が大きくなって可撓性を損ない、超音波厚みセンサを湾曲させた時に、焼結体層に割れが生じたり、メタライズ層(第1の電極)から剥離してしまうおそれがある。
また第2の電極は、その厚みが平均で10〜100μmの範囲内のものとする。
第2の電極の厚みが100μmを越えれば、厚みセンサの可撓性を損なうおそれがあり、一方10μm未満に薄く第2の電極9を形成した場合、焼結体層表面の凹凸によって局部的に第2の電極が不連続となってしまうおそれがある。
第2の電極の材質は、導電性材料であれば特に限定されないが、例えば銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、その他、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などのうちの1種または2種以上を適宜選択すれば良い。またその第2の電極を形成するための手段も特に限定されず、銀ペーストや金ペースト、白金ペーストなどの導電性ペーストを焼結体層の表面に塗布して焼き付けたり、あるいはこれらの導電性金属を焼結体層の表面に溶射したり、さらにはこれらの導電性金属からなる薄膜を焼結体層の表面に接合する、などの手段を適用すれば良い。
さらにリード線としては、銅線などの適宜の導電性の線材を用いればよく、またメタライズ層(第1の電極)および第2の電極に対するリード線の取り付け手段も任意であり、導電ペーストを用いたり、はんだ付けなどの方法によって接合すれば良い。
前述のような実施形態の超音波厚みセンサの使用時の状況の一例を図2に示す。
図2において、厚みセンサ1は、その基板3の片面(メタライズ層5に対して反対側の面)が厚さ測定対象物(金属管の管壁、容器の外壁など)13の表面に接するように、接着剤15などを用いて貼り付けることによって、その測定対象物の厚みを随時測定することができる。なおこの際の接着剤15としては、銀ペースト、ガラスペースト、白金ペースト、金ペーストなどを使用すればよい。
以上のような超音波厚みセンサは、全体として、基板、第1の電極(メタライズ層)、焼結体層、第2の電極の4層構造からなる極めて薄型のものであって、配管の外側に保護や断熱などのために外被を設ける場合でも、配管組み立て時において予め配管の外面に接着しておき、その厚みセンサの外側から配管の保護や断熱のための外被を設け、その状態で配管設備をそのまま使用し、そのままの状態で適宜厚み測定をおこなうことができる。そしてその場合には、厚み測定前における外被の剥離や、測定後の外被修復作業が不要となり、また厚み測定前に対象物の表面に超音波媒体を塗布する作業、及び測定後に超音波媒体を拭き取る作業も不要となる。
またこの超音波厚みセンサは、全体として薄質で可撓性を有しているため、図3に示しているように、測定対象物13の表面が湾曲している場合であっても、その湾曲面に沿って超音波厚みセンサ1を接着して、湾曲部位における厚み測定を行なうことができる。
図4には、本発明の超音波厚みセンサ製造方法の一実施形態を概略的に示す。
この実施形態の製造方法は、基本的には、
P1:ジルコニア系セラミックス、例えばイットリア部分安定化セラミックスからなる基板の表面に、第1の電極となるべき良導電性を有する耐高温酸化性金属からなるメタライズ層を形成する工程(メタライズ工程)
P2:酸化物系圧電材料、例えばPZTなどの粉末を含む焼結原料として、スラリーもしくはペースト(ここではこれらを総称して粘性液状物と称する)を準備する(焼結原料調製工程)、
P3:前記基板表面のメタライズ層(第1の電極)上に前記粘性液状物を塗布することによって、メタライズ層(第1の電極)上に焼結原料層を形成する焼結原料層形成工程、
P4:前記焼結原料層を加熱することにより焼結原料を焼成し、これによって酸化物系圧電材料の焼結体からなる焼結体層をメタライズ層上に形成する焼成工程、
P5:導電ペーストを焼結体層の表面に塗布して焼き付けることによって、焼結体層の表面に第2の電極を形成する第2電極形成工程、
P6:メタライズ層(第1の電極)と第2の電極との間に電位差を与えて、焼結体層を分極処理する分極処理工程、
以上のP1〜P6の各工程からなるプロセスによって、セラミック圧電材料からなる超音波厚みセンサを製造する。
以下にこれらの各工程P1〜P6について、具体的に説明する。
〔メタライズ工程P1〕
このメタライズ工程では、予め前述のようなイットリア部分安定化ジルコニアで代表されるジルコニア系セラミックスからなる平均厚みが30〜100μmの基板を用意しておき、その基板の一方の板面を、良導電性を有する耐高温酸化性金属、例えば白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、その他、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などのうちから選ばれた1種または2種以上によってメタライズして、平均膜厚が5〜20μmの範囲内のメタライズ層を形成する。ここで、メタライズの具体的方法としては、蒸着やスパッタリング、イオンプレーティングなどのCVD法(物理的気相成長法)、あるいはPVD法(化学的気相成長法)、溶射、無電解めっき、ペースト焼成法(印刷―焼成法)、活性化金属法などを適用することができる。このメタライズ層は、前述のように最終的な超音波センサ製品において第1の電極として機能する。またこのように表面にメタライズ層を形成したジルコニア系セラミックスからなる基板は、その後の焼結原料層形成工程以降において、焼結原料層、焼結体層の支持体として機能し、さらに超音波厚みセンサとしての使用時においても焼結体層(圧電セラミック層)の支持体として機能する。
〔焼結原料調製工程P2〕
この工程では、強誘電体からなる酸化物系圧電材料、例えばPZTなどの粉末を含むペーストあるいはスラリーなどの粘性液状物を調製(準備)する。なおこの焼結原料調製工程P2は、前記メタライズ工程P1に先立って実施しても、あるいはメタライズ工程P1と同時的に行なっても、さらにはメタライズ工程P1の後に実施しても良い。
ここで、酸化物系圧電素子用の粉末としては、PZT粉末などが、セラミック粉末製造メーカなどから市販されており、したがって本発明の超音波厚みセンサの製造方法を実施するに当たっては、この種の市販のセラミック圧電素子用粉末を購入して、それを出発原料とすれば良い。但し、原料粉末の調製から出発してもよいことはもちろんであり、そこで、原料粉末調製のための工程を、次に簡単に説明する。
すなわち、PZTなどの原料となる酸化物粉末、例えばPbO、ZrO、TiOの各粉末を、目標とするPZT組成となるように配合するとともに、エタノールなどの溶媒やポリエチレンイミンなどの分散媒を適宜加えてボールミルなどにより混錬し、得られた混錬物(スラリー)を乾燥して混合粉末とする。さらにこの混合粉末を、粉体の状態で仮焼成する。この仮焼成は、通常は、大気雰囲気中で700〜900℃程度の温度において1〜20時間程度加熱すればよい。このような仮焼成によって、混合粉末の各成分(例えばPbO、ZrO、TiO)が相互に固溶して、ペロブスカイト型結晶構造が得られる。得られた粉末(但し仮焼成後の状態では塊状)を、ボールミル、あるいはビーズミルなどにより粉砕すれば、PZTなどのセラミック圧電材料用粉末が得られる。
なお本発明において、対象となる酸化物系圧電材料(セラミック圧電材料)の種類、組成は、基本的には限定されないが、既に述べたように、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)のほか、例えばLiNbO(ニオブ酸リチウム)、BiTi12(チタン酸ビスマス:BIT)などを使用することができる
上述のような焼結原料として使用される粘性液状物(スラリーもしくはペースト)、すなわちPZTで代表される酸化物系圧電材料を含む粘性液状物としては、次のA〜Eのような態様のものがある。
A;平均粒径が1〜10μmの範囲内の酸化物系圧電材料粉末と、その酸化物系圧電材料の金属成分のアルコキシドゾルとを混合したもの。
B:平均粒径1〜10μmの酸化物系圧電材料粉末と、酸化物圧電材料の金属成分のアルコキシドの分解による平均粒径0.1〜1.0μmの微粉末とを分散媒に分散させたスラリーもしくはペースト。
C;酸化物系圧電材料からなる平均粒径が0.15〜0.25μmの超微粉末を分散媒に分散させたスラリーもしくはペースト。
D;酸化物系圧電材料粉末および低融点ガラス粉末(代表的にはビスマス系ガラス粉末)を分散媒に分散させたスラリーもしくはペースト。
E;酸化物系圧電材料粉末を珪酸ソーダ溶液に分散させたペースト。
本発明の方法では、焼結原料として上記A〜Eのいずれの粘性液状物を調製しても良い。これらのA〜Eの粘性液状物のそれぞれの調製方法や望ましい条件については、後に改めて詳細に説明する。
〔焼結原料層形成工程P3〕
この焼結原料層形成工程P3では、前記メタライズ工程P1において基板の板面に形成されたメタライズ層の表面に、焼結原料としての粘性液状物(スラリーもしくはペースト)を塗布し、乾燥させて、焼結原料層をメタライズ層上に形成する。
液状液状物をメタライズ層上に塗布するための塗布手段は特に限定されないが、スプレーによって噴射塗布したり、あるいはロールコーターやスキージ、あるいは刷毛を用いて塗布するなど、一般の塗布・印刷において適用されている手段を任意に適用することができる。
なお、所定の平面形状を有する焼結原料層を形成するためには、厚み方向に貫通する開口部が形成された薄板状もしくはシート状のマスク部材を予め用意しておき、そのマスク部材をメタライズ層の上面に重ね合わせ、前述のような粘性液状物(ペーストもしくはスラリー)をマスク部材の上からスプレーなどによって塗布して、開口部内に粘性液状物を充填し、自然乾燥あるいは加熱乾燥によって粘性液状物を乾燥させてから、マスク部材を除去すればよい。このようにすれば、均一な厚みで所定の平面形状を有する焼結原料層を容易に形成することができる。
ここで、粘性液状物を塗布して乾燥させた状態では、乾燥前の状態から収縮して、乾燥前の1/2〜1/4程度の厚みとなるが、乾燥後の状態での厚み(したがって後述する焼成工程開始直前の段階での厚み)は、70〜200μmの範囲内とすることが望ましい。焼成工程開始直前の段階での厚みが70μm未満では、焼成後の焼結体層の厚みが薄すぎて、センサを屈曲させた時に第1の電極としてのメタライズ層から剥離するおそれがある。一方、焼成工程開始直前の段階での厚みが200μmを越えれば、焼成後の焼結体層の厚みも厚くなりすぎ、その結果、充分な可撓性を焼結体層に与えることが困難となるおそれがある。
そしてこのように乾燥後の厚みを確保するためには、粘性液状物の塗布・乾燥を複数回繰り返しても良い。
なお、メタライズ層上に粘性液状物を塗布した後の乾燥は、次の焼成工程における焼結のための加熱の初期段階で行なっても良い。
〔焼成工程P4〕
続いて、前述のようにして第1の電極となるべきメタライズ層の表面に焼結原料層を形成した後、その焼結原料層を加熱して焼成し、平均厚みが30〜150μmで、密度が70〜80%の範囲内の焼結体層を形成する。
このような70〜80%の範囲内の密度の焼結体層を形成するためには、粘性液状物として前記A〜Cのものを用いた場合は、焼成温度を600〜800℃の範囲内とし、また前記D、Eのものを用いた場合は、焼成温度を450〜550℃の範囲内とすることが好ましい。このように従来一般の酸化物系圧電材料(セラミック圧電材料)の焼成温度よりも低い焼成温度でも、本実施形態の場合は超音波厚みセンサとして必要な圧電特性を示す焼結体密度を得ることができる。
ここで、粘性液状物として前記A〜Cのものを用いた場合に焼成温度が800℃を超える高温となれば、また粘性液状物として前記D、Eのものを用いた場合に焼成温度が450℃を超える高温となれば、焼成時に粉体粒子同士の焼結反応が急速に進行して、密度が80%以下の焼結体層を得ることが困難となる。一方、粘性液状物として前記A〜Cのものを用いた場合に焼成温度が600℃未満の低温となれば、また粘性液状物として前記D、Eのものを用いた場合に焼成温度が450℃未満の低温となれば、粉体粒子同士の焼結反応が充分に進行せず、焼結体層の密度を70%以上に高めることが困難となる。また焼成時の雰囲気は大気(空気)とすることが好ましい。さらに焼成時間は、焼成温度によっても異なるが、通常は1〜10時間とすることが好ましい。
このような焼成工程によって、第1の電極となるべきメタライズ層の表面に、所定の厚み、所定の密度の焼結体層が形成された状態となる。
〔第2電極形成工程P5〕
この第2電極形成工程は、超音波厚みセンサにおいて第1の電極(メタライズ層)の対極となる第2の電極を、焼結体層の上面(第1の電極となるメタライズ層に対し反対側の面)に、平均厚み10〜100μmで形成する工程である。
第2の電極の材料としては、既に述べたように導電性材料であれば特に限定されず、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、その他、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などのうちの1種または2種以上を適宜選択すれば良い。またその第2の電極を形成するための手段も特に限定されず、銀ペーストや金ペースト、白金ペーストなどの導電性ペーストを焼結体層の表面に塗布して焼き付けたり、あるいはこれらの導電性金属を焼結体層の表面に溶射したり、さらにはこれらの導電性金属からなる薄膜を焼結体層の表面に接合する、などの手段を適用すれば良い。
これらの手法のうち、銀ペーストなどの導電性ペーストを塗布、焼き付ける方法によって第2の電極を形成する場合、厚み方向に貫通する開口部が形成されてなる薄板状もしくはシート状のマスク部材を予め用意しておき、そのマスク部材を、開口部が焼結体層の表面の少なくとも一部において開口するように、焼結体層の表面側に重ねて配置し、導電性ペーストをマスク部材の表面側から塗布して、焼き付けることが望ましい。
このようにして、支持体を兼ねたジルコニア系セラミックスからなる基板の一方の板面に、第1の電極となるべきメタライズ層が形成され、さらにそのメタライズ層の上面に酸化物系圧電材料からなる焼結体層が形成され、さらに焼結体層の表面に第2の電極が形成された積層体が得られる。
〔分極処理工程P6〕
その後、前記積層体におけるメタライズ層(第1の電極となるもの)と第2の電極との間に直流もしくはパルス状の電位差を印加して、分極処理を行う。このように分極処理を施すことによって、焼結体層は圧電特性を示すようになる。
なお実際の分極処理にあたっては、メタライズ層と第2の電極との間に電位差を付与するため、メタライズ層と第2の電極を分極電圧付与のための電源に電気的に接続するのが通常であり、そこで分極処理の前に、予めメタライズ層と第2の電極に、導電性ペーストや半田付けなどによってリード線を取り付けておくのが通常である。
次に、前述の製造方法についての実施形態において、焼結原料調製工程で調製するべき酸化物系圧電材料を含む粘性液状物A〜Eのそれぞれについて、その調製方法や望ましい条件を説明する。
〔A;平均粒径が1〜10μmの範囲内の酸化物系圧電材料粉末と、その酸化物系圧電材料の金属成分のアルコキシドゾルとを混合した粘性液状物〕
平均粒径が1〜10μmの範囲内のPZTなどの酸化物系圧電材料粉末は、既に述べたように、PZT粉末塊などの酸化物系圧電材料粉末塊を、ボールミルなどにより粉砕することによって得ることができる。
ここで、酸化物系圧電材料粉末の粒径は平均粒径1〜10μmとしているが、これは、従来の一般的な手法、すなわち酸化物系圧電材料を構成する金属成分の酸化物の粉末を混合して焼成し、これを機械的に粉砕して得られる原料粉末は、通常平均粒径1〜10μm程度であるからである。ここで、原料粉末の平均粒径を1μm未満とすることは、粉砕効率の観点から困難であり、一方原料粉末の平均粒径を10μm超とすることは、燒結性の観点から問題となる。
一方、上記の酸化物系圧電材料粉末の準備と並び、PZTなどの酸化物系圧電材料の金属成分のアルコキシドゾルを準備する。ここで準備するアルコキシドゾルは、上記の酸化物系圧電材料の原料となる酸化物の金属成分のアルコキシド、すなわち金属成分をM、アルキル基をRとし、一般式 M(OR)で表される金属アルコキシドの混合ゾルである。例えばPZTの場合は、金属成分Mは、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、およびチタン(Ti)が主成分であるから、鉛アルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、およびチタンアルコキシドの各ゾルを用意する。一方、アルキル基Rは特に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ブチル基、イソブチル基、t―ブチル基、s−ブチル基などを適用することができる。より具体的には、PZTの場合、鉛アルコキシドとしては、鉛ジイソプロキシド、鉛ジブトキシドなど、またジルコニウムアルコキシドとしては、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシドなど、チタンアルコキシドとしては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシドなどを用いることが好ましい。
またこの場合、各アルコキシドゾルの配合は、その金属成分の割合が、目標とする酸化物系圧電材料における金属成分の割合と同等となるように定めることが望ましい。すなわち、一般式Pb(ZrTi1−x)Oで表されるPZTの場合、各アルコキシドの金属成分のモル比が、Pb:Zr:Ti=1:x:1−xの割合となるように配合することが望ましい。
但し、Pb(ZrTi1−x)O〔但し0.5≦x≦0.7〕のPZT組成を基本として、それに微量添加元素として、Mn、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Nb、Ta、La、Nd、Sc、Gdなどの1種又は2種以上を添加したPZT系圧電セラミック材料を対象とする場合、アルコキシドゾルとしては、必ずしもこれらの微量元素金属のアルコシシドまで含んでいなくても良く、主成分であるPb、Zr、Tiのアルコキシドを含んでいればで充分である。もちろん場合によっては、これらの微量添加元素の金属アルコキシドを含むゾルであってもよい。
なお、酸化物系圧電材料の種類(複合酸化物の構成)によっては、その複合酸化物の複数の構成金属のうち、ある金属についてはアルコキシドを用い、他の金属についてはアルコキシド以外の有機金属塩(たとえば酢酸金属塩)を用いて、これらの混合物をゾル化して使用することもあり(例えばBiTi12(チタン酸ビスマス:BIT)やLiNbO(ニオブ酸リチウム)の場合など)、本明細書ではこのような場合についても、その混合ゾルをアルコキシドゾルに含めるものとする。
以上のようなアルコキシドゾルを得るための方法は特に限定されるものではなく、常法に従えば良く、例えば各金属アルコキシドを溶剤に溶解するなどの方法によれば良い。
上述のような酸化物系圧電材料からなる比較的粗大な粉末(平均粒径1〜10μm)と、同じ酸化物系圧電材料の金属成分を有するアルコキシドゾルとを、エタノールやブタノール、酢酸エチルなどの適宜の溶剤を用いて混合、混錬し、乾燥させれば、焼結原料としての前記Aの粘性液状物(ペースト)が得られる。
なお、上記の酸化物系圧電材料粉末とアルコキシドゾルの混合比は特に限定しないが、通常は、同じ金属成分で比較して、原料粉末中の金属成分に対するアルコキシドゾル中の金属成分のモル比が、0.2〜1.0の範囲内となるように混合することが望ましい。上記のモル比が0.2未満では、アルコキシドゾルが少なすぎて、焼成工程においてゾルの分解生成物が焼結助剤として充分に機能せず、そのため低温での焼結が困難となり、一方上記のモル比が1.0を越えれば、アルコキシドゾルが多すぎて、第1の電極となるメタライズ層上で焼成したときに、比較的粗大な原料粉末の粒子が充分に結合されず、焼結体層が粉っぽくなり、飛散または剥落してしまうおそれが大きくなる。
このような比較的粗大な酸化物系圧電材料の粉末(平均粒径1〜10μm)と、同じ酸化物系圧電材料の金属成分を有するアルコキシドゾルとを混合した粘性液状物A(ペースト)を焼成工程において加熱して焼成する過程では、粗大な酸化物系圧電材料粉末の粒子(平均粒径1〜10μm)の間に存在しているアルコキシドが分解し、超微粉末状の分解生成物が生成され、かつその分解生成物が、比較的粗大な酸化物系圧電材料粉末の粒子を焼結結合させる役割、すなわち焼結助剤として機能する。しかもその分解生成物は、それ自体でPZTなどの目標とする酸化物系セラミック圧電材料組成を有するため、圧電特性を向上させる機能も果たす。したがってこのように比較的粗大な原料粉末とともにアルコキシドゾルを混合して焼成することにより、比較的低温でも焼結が進行し、かつ圧電特性も向上する。
なお焼成工程では、既に述べたように加熱温度を600〜800℃の範囲内とすることが好ましい。
〔B:平均粒径1〜10μmの酸化物系圧電材料粉末と、酸化物圧電材料の金属成分のアルコキシドの分解による平均粒径0.1〜1.0μmの微粉末とを分散媒に分散させた粘性液状物(スラリーもしくはペースト)〕
平均粒径が1〜10μmの範囲内のPZTなどの酸化物系圧電材料粉末は、既に述べたように、PZT粉末塊などの酸化物系圧電材料粉末塊を、ボールミルなどにより粉砕することによって得ることができる。
ここで、酸化物系圧電材料粉末の粒径は平均粒径1〜10μmとしているが、これは、従来の一般的な手法、すなわち酸化物系圧電材料を構成する金属成分の酸化物の粉末を混合して焼成し、これを機械的に粉砕して得られる原料粉末は、通常平均粒径1〜10μm程度であるからである。ここで、原料粉末の平均粒径を1μm未満とすることは、粉砕効率の観点から困難であり、一方原料粉末の平均粒径を10μm超とすることは、燒結性の観点から問題となる。
一方、上記の酸化物系圧電材料粉末の準備と並び、PZTなどの酸化物系圧電材料の微粉末(平均粒径0.1〜1.0μm程度)をアルコキシド分解法によって生成しておく。
PZTなどの酸化物系圧電材料の微粉末をアルコキシド分解法によって生成するための具体的方法は、従来知られているアルコキシド分解法と同様であればよく、特に限定されるものではないが、通常は、PZTなどの酸化物系圧電材料の金属成分のアルコキシドの混合ゾルを、例えば水を加えて加水分解すれば良い。なおここで言うアルコキシドゾルは、前述のAの粘性液状物を調製する際に用いたアルコキシドゾルと同様なものであれば良く、そこでその詳細は省略する。
以上のようなアルコキシドゾルを、前述のように加水分解すれば、酸化物系圧電材料からなる平均粒径0.1〜1.0μmの微細粉末(アルコキシド分解微粉末)が得られる。ここで、アルコキシド分解微粉末の平均粒径を0.1μm未満とすることは、一般的なアルコキシド分解法では困難であり、一方、1.0μmを越える大径粒子では、焼成工程において後述する焼結助剤の機能が期待できなくなる。
前述のような酸化物系圧電材料からなる比較的粗大な原料粉末(平均粒径1〜10μm)と、同じ酸化物系圧電材料からなるアルコキシド分解による微細な原料粉末(平均粒径0.1〜1.0μm)とを、エタノールや酢酸エチルなどの適宜の溶剤を用いて混合、混錬し、乾燥させれば、焼結原料としての粘性液状物Bが得られる。
なお、上記の比較的粗大な酸化物系圧電材料粉末とアルコキシド分解微粉末との混合比は特に限定しないが、通常は、同じ金属成分で比較して、酸化物系圧電材料粉末中の金属成分に対するアルコキシド分解微粉末中の金属成分のモル比が、0.2〜1.0の範囲内となるように混合することが望ましい。上記のモル比が0.2未満では、アルコキシド分解微粉末が少なすぎて、焼成工程においてその微粉末が焼結助剤として充分に機能せず、低温での焼結が困難となり、一方上記のモル比が1.0を越えれば、アルコキシド分解微粉末が多すぎて、メタライズ層上で焼成したときに、比較的粗大な原料粉末の粒子が充分に結合されず、焼結体層が粉っぽくなり、飛散または剥落してしまうおそれが強くなる。
このような粘性液状物Bを用いた場合、焼成工程では、比較的粗大な酸化物系圧電材料粉末の粒子(平均粒径1〜10μm)の間に存在しているアルコキシド分解微粉末(平均粒径0.1〜1.0μm)が、比較的粗大な酸化物系圧電材料粉末の粒子を焼結結合させる役割、すなわち焼結助剤として機能する。しかもその微粉末自体も、PZTなどの目標とする酸化物系セラミック圧電材料組成であるため、圧電特性を向上させる機能も果たす。したがってこのように比較的粗大な酸化物系圧電材料粉末とともにアルコキシド分解微粉末を混合した粘性液状物を焼成することにより、比較的低温でも焼結が進行し、かつ圧電特性も向上する。なおこの場合、焼成温度は、前述の粘性液状物Aと同様に、600〜800℃の範囲内とすることが望ましい。
〔C:酸化物系圧電材料からなる平均粒径が0.15〜0.25μmの超微粉末を分散媒に分散させた粘性液状物(スラリーもしくはペースト)〕
上述のような平均粒径が0.15〜0.25μmという超微粉末の酸化物系圧電材料粉末を得るための方法は特に限定されるものではないが、既に述べたようにボールミルなどによる粉砕によって得られた比較的粗大(平均粒径0.5〜10μm程度)なPZTなどの粉末を、さらに湿式ビーズミルを用いて粉砕することによって得ることができる。
湿式ビーズミルは、粉砕対象の原料粉末と粉砕媒体のビーズを、水などの液体からなる分散媒とともに粉砕室に装入し、アジテータ(撹拌用ロータ)を数千rpmで高速回転させることによりビーズを撹拌して運動エネルギを与え、その運動するビーズにより原料粉末に対する摩擦、せん断、衝突などにより、粉末を超微粒子化するものである。ここで、粉砕媒体のビーズとしては、直径0.1mm〜1mm程度、一般には0.5mm程度の硬質物質からなる球体粒子が用いられる。またその硬質物質としては、セラミックス、ガラス、金属などがあるが、通常はジルコニア、ジルコニア強化型アルミナなどが好ましい。
なお湿式ビーズミルにおける分散媒としては、水のほか、エタノールなどのアルコール、その他ヘキサン等を用いることができる。
ここで、超微粉末の平均粒径が0.25μmを越えれば、後の焼成工程において、600〜800℃の比較的低温の焼成温度では、所定の密度(例えば70〜80%)まで緻密化することが困難となり、超音波厚みセンサとして必要な圧電特性が得られなくなるおそれがある。一方、平均粒径が0.15μm未満となるまで超微粉化することは、生産性を阻害してコストアップを招くばかりでなく、凝集の原因となる問題もある。
このようにして得られた超微粉末は、分散媒に分散したスラリー状となっており、分散媒の種類によっては、そのスラリーをそのままメタライズ層上に塗布する粘性液状物Cとして用いても良いが、通常は、一旦乾燥させて乾燥超微粉末とした後、改めてペースト化することが好ましい。
このペースト化のための工程では、前述のようにして得られた平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末を分散媒とともに混錬して、ペースト塗布に適した粘度を有する超微粉末ペーストとする。
具体的には、微粉末用の公知の分散・混錬機を使用して分散媒とともに混錬すれば良いが、例えば3本ロールミル、すなわち3本のロールの回転差を利用した分散・混錬機を用いることが好ましい。なおこの際に用いる分散媒の種類は特に限定されず、エタノール、あるいはブチルカルビトール、PVBエタノールなどを用いることができる。またこのペースト化工程で生成するペーストは、その粘度が1000〜10000mPa・sであることが好ましい。ペーストの粘度が1000mPa・s未満では、その塗布時において、ペーストを金属薄板上に均一な厚みで形成することが困難となり、一方10000mPa・sを越えれば、粘度が高すぎてレベリングなどの平滑化などにおいて問題が生じるおそれがある。
上述のように酸化物系圧電材料粉末からなる平均粒径0.15〜0.25μmの範囲内の超微粉末を分散媒とともに混錬したペースト(粘性液状物C)を焼結原料としてメタライズ層上に塗布して乾燥させた後、加熱して焼成する工程では、酸化物系圧電材料粉末の粒子が著しく微細であるため、低い600〜800℃の焼成温度でも粉末粒子間が結合されて、超音波厚みセンサとして必要な圧電特性を示す焼結体密度(70〜80%)を充分に得ることができる。
〔D:酸化物系圧電材料粉末および低融点ガラス粉末(代表的にはビスマス系ガラス粉末)を分散媒に分散させた粘性液状物(スラリーもしくはペースト)〕
この場合も、前記A、Bの粘性液状物を調製する場合と同様に、PZTなどの酸化物系圧電材料からなる平均粒径0.5〜10μm程度の粉末を準備しておく。その具体的な方法は、既に述べたと同様である。
一方、ビスマス(Bi)系ガラスなどの低融点ガラスの粉末を準備し、圧電材料粉末(PZTなどの圧電セラミック用粉末)を低融点ガラス粉末と混合するとともに、適宜の分散媒に分散させて、焼結原料の粘性液状物Dとしてのペーストを調製する。
ここで、低融点ガラスとしては、軟化点(軟化開始温度)が450℃より低いガラスを選択すればよく、上記のビスマス系ガラスのほか、リン酸系ガラス、ホウリン酸系ガラス、バナジウムホウ酸系ガラス、アルカリ珪酸系ガラスなど、さらにはPbO−SiO―B系などの鉛系ガラスも使用可能であるが、ビスマス系ガラスが最も望ましい。
ここで、ビスマスの酸化物であるBiは、単独ではガラス化しないが、他の酸化物(ガラス形成酸化物)、例えばSiO、B、P、LiOなどのうちから選ばれた1種または2種以上と組み合わせることによってガラス化して、低融点のガラスを形成し得ることが知られている。具体的なビスマス系ガラスとしては、Bi―SiO系ガラス、Bi―LiO系ガラス、Bi―B系ガラスなどがある。
上記のBi―SiO系ガラスは、
xBi・(100−x)SiO
但し、x=35〜65mol%、
と表せ、またBi―LiO系ガラスは、
xLiO・(100−x)Bi
但し、x=20〜40mol%または70〜80mol%、
と表せ、さらにBi―B系ガラスは、
xBi・(100−x)B
但し、x=30〜80mol%、
と表せる。これらのビスマス系ガラスは、いずれも軟化点が450℃よりも低く、本発明においてPZTなどの酸化物系圧電材料粉末と混合する低融点ガラスとして好適に使用することができる。
なお、いずれのビスマス系ガラスにおいても、必要に応じ、さらにその他の酸化物として、PbO、ZnO、SrO、BaO、CuO、Al、Fe、MgO、CeOのうちの1種又は2種以上を含有していても良い。
またここで使用するビスマス系ガラスなどの低融点ガラス粉末の粒径は、平均で1.0
〜20.0μmの範囲内が好ましい。低融点ガラス粉末の平均粒径が1.0μm未満では、微粉末とするためのコストの上昇を招き、一方20.0μmを越えれば、最終的に得られる焼結体層中においてPZTなどの圧電材料粒子の間に介在するガラス相が大きすぎて、分極処理後の圧電特性を損なうおそれがある。
また、PZTなどの酸化物系圧電材料粉末とビスマス系ガラスなどの低融点ガラス粉末との配合割合は、圧電材料粉末と低融点ガラス粉末の合計を100重量部とすれば、低融点ガラス粉末が15〜25重量部となるように配合することが望ましい。低融点ガラス粉末が15重量部未満では、後の焼成工程において低融点ガラス粉末の溶融物もしくは軟化物によって圧電材料粉末の粒子を物理的に結合する効果が充分に得られず、そのため焼結体層が脆くなって第1の電極となるメタライズ層から剥離してしまうおそれがある。一方、低融点ガラス粉末が25重量部を越えれば、最終的に得られる焼結体層中においてPZTなどの圧電材料粒子の間に介在するガラス相の量が多すぎて、分極処理後の圧電特性を損なうおそれがある。
さらに圧電材料粉末と低融点ガラス粉末を分散させる分散媒は、特に限定されるものではなく、ブチルカルビトール、エタノール、酢酸エチルなど、適宜の溶剤や水を用いればよい。また圧電材料粉末と低融点ガラス粉末に対する分散媒の割合も特に限定されるものではないが、第1の実施形態について説明したと同様に、分散、混練して得られるペーストの粘度が1000〜20000mPa・sとなるように分散媒の割合を定めることが望ましい。
このようにPZTなどの圧電材料粉末をビスマス系ガラスなどの低融点ガラス粉末と混合して分散媒に分散、混合してなるペーストは、焼結原料の粘性液状物Dとして、メタライズ層上に塗布し、乾燥後、焼成工程に供される。
この焼成工程では、加熱温度を450〜550℃の範囲内とすることが好ましい。この場合、焼結原料中の酸化物系圧電材料粉末の粒子間にビスマス系ガラスなどの低融点ガラスの粉末粒子が介在しており、この低融点ガラスの粉末粒子が、450〜550℃の温度域での加熱時において溶融もしくは軟化を開始し、それが酸化物系圧電材料粉末粒子間のバインダとして機能して、酸化物系圧電材料粉末粒子の相互間を物理的に結合させることができる。したがって、450〜550℃の温度域で焼成することによって、密度はさほど増大させることなく酸化物系圧電材料粉末粒子間がある程度強固に結合された焼結体層を得ることができるのである。
ここで、焼成温度が450℃未満では、低融点ガラス粉末を混合していても、焼成時における低融点ガラス粉末粒子の溶融もしくは軟化が不充分となることがあり、その場合には酸化物系圧電材料粉末粒子を充分に結合させることが困難となるおそれがある。一方、焼成温度が550℃を越えれば、焼成時に酸化物系圧電材料粉末粒子同士の直接的な焼結反応が進行して、密度が80%以下の焼結体層を得ることが困難となる。なお焼成温度は、450〜550℃の範囲内でも、特に480〜530℃の範囲内が好ましい。
〔E:酸化物系圧電材料粉末を珪酸ソーダ溶液に分散させた粘性液状物(ペースト)〕
この場合、前記と同様にして準備された平均粒径0.5μm〜10μm程度のPZTなどの酸化物系圧電材料粉末を、珪酸ソーダ溶液に分散、混合させて、焼結原料としての粘性液状物(ペースト)を調製する。
ここで、珪酸ソーダ(珪酸ナトリウム)は、一般式[NaO・nSiO]と表されるものであり、通常は常温で水和物の形態、すなわち、〔NaO・nSiO・xHO〕の状態となっている。ここで、NaOに対するSiOのモル比nは、連続的に変化させることができ、n=1のNaO・SiO、すなわちNaSiOと表されるものはメタ珪酸ナトリウムと称され、常温では水和物の状態で固体(結晶)となっている。またモル比nが、1.5〜4の珪酸ナトリウムは、低濃度の水溶液は、高粘度のいわゆる水ガラスとなることが知られている。
本発明の場合、PZTなどの酸化物系圧電材料粉末を分散させる珪酸ソーダ溶液に使用する珪酸ナトリウムは、モル比nが0.5〜1.5程度のもの、とりわけモル比nが1のメタ珪酸ナトリウムを使用することが望まれるが、それに限定されるものではない。
また、PZTなどの酸化物系圧電材料粉末を珪酸ソーダ溶液に分散、混合させるに当たっては、圧電材料粉末100重量部に対して、珪酸ソーダ溶液中の珪酸ナトリウム(NaO・nSiO)分が20〜40重量部、好ましくは25〜35重量部となるように定めることが望ましい。ここで、珪酸ナトリウム分が20重量部未満では、低温(450〜550℃)での焼成時において酸化物系圧電材料粉末粒子を強固に結合することが困難となるおそれがあり、一方40重量部を越えれば、相対的に圧電材料粉末の割合が過少となって、焼成―分極処理後の圧電特性に悪影響を及ぼし、超音波膜厚センサとして必要な圧電特性が得られなくなるおそれがある。
なお、PZTなどの圧電材料粉末を分散させる珪酸ソーダ溶液の濃度は、ペースト化の容易さや、第1電極となるメタライズ層表面への付着させやすさ(塗布性、印刷性)の観点から適宜定めればよい。すなわち珪酸ソーダ溶液の濃度が低すぎれば、メタライズ層表面にある程度の厚みでペースト層を形成することが困難となり、一方珪酸ソーダ溶液の濃度が高すぎれば、PZTなどの圧電材料粉末を均一に分散させることが困難となる。そこで通常は、珪酸ソーダ溶液の濃度は、5〜20wt%の範囲内とすることが望ましい。
またこのペーストは、その粘度が1000〜10000mPa・sであることが好ましい。ペーストの粘度が1000mPa・s未満では、ペーストをメタライズ層上に均一な厚みで形成することが困難となり、一方20000mPa・sを越えれば、粘度が高すぎてレベリングなどの平滑化などにおいて問題が生じるおそれがある。
このようにPZTなどの酸化物系圧電材料粉末を珪酸ソーダ溶液に分散、混合してなるペーストは、焼結原料の粘性液状物Eとしてメタライズ層上に塗布して乾燥させた後、次の焼成工程に供される。
ここで、上記のペースト(粘性液状物E)をメタライズ層表面で乾燥させれば、珪酸ソーダ溶液の水分が消失するに伴い、珪酸ソーダ溶液中から珪酸ナトリウムの結晶がPZTなどの圧電材料粉末粒子の間に析出する。すなわち、隣り合う酸化物系圧電材料粉末粒子の相互間の空隙に珪酸ナトリウムの析出結晶からなる微粉末が介在した状態となる。なおこのとき、珪酸ナトリウムの析出形態は、使用した珪酸ナトリウムにおけるNaOに対するSiOのモル比nによっても異なるが、nが1付近の場合(すなわちメタ珪酸ナトリウム組成付近の場合)、水和物(NaO・nSiO2・xHO)の結晶となるのが通常である。
また焼成工程では、加熱温度を450〜550℃の範囲内とすることが好ましい。このような450〜550℃の温度域は、従来の一般的なPZTなどの圧電材料粉末の焼成温度(1200℃程度)よりも格段に低いが、粘性液状物Eを用いた場合、珪酸ソーダ溶液に由来して、焼結原料中の圧電材料粉末の粒子間に珪酸ナトリウム水和物の結晶微粉末が析出しており、この珪酸ナトリウム水和物の結晶微粉末の一部が、450〜550℃の温度域での加熱時において溶融もしくは軟化を開始し、それが酸化物系圧電材料粉末粒子間のバインダとして機能して、酸化物系圧電材料粉末粒子の相互間を物理的に結合させることができる。したがって、450〜550℃の温度域で焼成することによって、密度はさほど増大させることなく(すなわち70〜80%という比較的低密度の状態で)、圧電材料粉末粒子間がある程度強固に結合された焼結体層を得ることができる。
ここで、焼成温度が450℃未満では、珪酸ソーダを用いていても、焼成時における珪酸ナトリウム水和物の結晶微粉末の溶融もしくは軟化が不充分となり、そのため酸化物系圧電材料粉末粒子を充分に結合させることが困難となるおそれがある。一方、焼成温度が550℃を越えれば、焼成時に酸化物系圧電材料粉末粒子同士の直接的な焼結反応が進行して、密度が80%以下の焼結体層を得ることが困難となる。なお焼成温度は、450〜550℃の範囲内でも、特に480〜530℃の範囲内が好ましい。
以下に本発明の超音波厚みセンサの製造方法の実施例を記す。
この実施例1は、基板のジルコニア系セラミックスとしてイットリア部分安定化ジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の前記粘性液状物Aとして、PZT粉末と、PZTの金属成分のアルコキシドゾルとの混合物のスラリーを用いて超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、先ずイットリア(Y)を3mol%添加したイットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる厚み50μmの15×15mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、PZT用の原料粉末として、酸化鉛(PbO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)の粉末を用意し、これらを、PbO:1モル、ZrO:0.5モル、TiO:0.5モルの割合で配合し、溶媒をエタノール、分散剤をポリエチレンイミンとして、ボールミルにより24時間湿式混練し、スラリーとした。そのスラリーを乾燥させて混合粉末塊とした後、アルミナるつぼに入れて、アルミナの蓋をし、850℃、10時間の熱処理(仮焼成)を行い、ペロブスカイト型結晶構造を有するPZT粉末塊を得た。そのPZT粉末塊を粉砕し、300ミクロンの篩いを通過させたものをボールミルに入れ、エタノール中で、ジルコニアボールを粉砕媒体として24時間粉砕することにより、平均粒径2μmのPZT粉末とし、乾燥させた。
また一方、鉛アルコキシドとして鉛ジイソプロキシド、ジルコニウムアルコキシドとしてジルコニウムテトラブトキシド、チタンアルコキシドとしてチタンテトライソプロポキシドを用意し、これらをPb:Zr:Ti=1:0.5:0.5のモル比となるように配合してキシレンに溶解させ、そのアルコキシドゾルに、前述の平均粒径2μmのPZT粉末を加えてボールミルにより混練して、アルコキシドゾル‐PZT混合分散液(スラリー状の粘性液状物A)を得た。
次いでそのアルコキシドゾルーPZT混合分散液を、前記メタライズ層の中央に、8mm角の方形状に厚さ100μmで塗布した。具体的な塗布方法としては、前記メタライズ層の表面に、8mm角の開口部が形成されるように100μm厚のテープでマスキングし、ロールコーターで前記開口部にアルコキシドゾルーPZT混合分散液を100μm厚で塗布した。
塗布後、乾燥させてから、700℃で熱処理を行うことにより、PZTを焼き付けた。具体的には、電気炉に入れ、大気雰囲気にて昇温速度2℃/minで700℃まで加熱し、700℃において1時間保持したのち、炉令した。これにより、焼成されたPZTからなる厚み50μmの圧電材料焼結体層が、第1の電極としてのメタライズ層の上に焼き付けられたものが得られた。
次に、そのPZTからなる圧電材料焼結体層(8mm角)の中央に、4mm丸の大きさで第2の電極用の銀ペーストを塗布し、500℃で焼き付け、平均厚み20μmの第2の電極(銀電極)を形成した。
このようにして、イットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された積層体が得られた。なお圧電材料焼結体層の密度は、約75%であった。
その後、第1の電極(メタライズ層)と第2の電極(銀)のそれぞれにリード線を導電ペーストにより接着した後、積層体を150℃のシリコンオイル中に浸漬し、積層体における第1の電極と第2の電極の間に3000V/mmの電位差を与える分極処理を5分間実施し、超音波厚みセンサとした。
このような厚みセンサについて、その可撓性を調べるため、曲率半径30mmで全体的に湾曲させる試験を行なったところ、焼結体層に割れが生じたり、剥離したりすることがないこと、したがって良好な可撓性を有することが確認された。
また分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として銀ペーストを用いて貼り付け、管壁の厚み測定を行なったところ、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例2は、基板のジルコニア系セラミックスとしてイットリア部分安定化ジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料を実施例1と同様にPZTとし、焼結原料の前記粘性液状物Bとして、酸化物原料混合加熱法により製造した比較的粗大なPZT粉末と、アルコキシド分解法によって製造されたPZT微粉末との混合物を分散媒に分散させたペーストを用い、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、先ずイットリア(Y)を3mol%添加したイットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる厚み100μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、PZT微粉末をアルコキシド分解法で調製した。具体的には、鉛アルコキシドとして鉛ジイソプロキシド、ジルコニウムアルコキシドとしてジルコニウムテトラブトキシド、チタンアルコキシドとしてチタンテトライソプロポキシドを用意し、これらをPb:Zr:Ti=1:0.5:0.5の割合になるように配合して、50℃で水を加えて加水分解し、平均粒径が0.15μmのアルコキシド分解PZT微粉末を得た。
また、比較的粗大なPZT粉末用の原料粉末として、酸化鉛(PbO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)の粉末を用意し、これらを、PbO:1モル、ZrO:0.5モル、TiO:0.5モルの割合で配合し、溶媒をエタノール、分散剤をポリエチレンイミンとして、ボールミルにより24時間湿式混練し、スラリーとした。そのスラリーを乾燥させて混合粉末塊とした後、アルミナるつぼに入れて、アルミナの蓋をし、850℃、10時間の熱処理(仮焼成)を行い、ペロブスカイト型結晶構造を有するPZT粉末塊を得た。そのPZT粉末塊を粉砕し、300ミクロンの篩いを通過させたものをボールミルに入れ、エタノール中で、ジルコニアボールを粉砕媒体として24時間粉砕することにより、平均粒径2μmのPZT粉末とし、乾燥させた。
前述のようにして得られた平均粒径0.15μmのアルコキシド分解PZT微粉末と、平均粒径2μmのPZT粉末とを、同じ金属成分で比較して、PZT粉末1モルに対しアルコキシド分解PZT微粉末0.3モルの割合で混合し、分散媒(溶剤)としてブチルカルビトールを加えて混錬し、粘性液状物Bとしてのペーストを得た。
次いでそのペーストを、実施例1と同様にして、第1の電極としてのメタライズ層の中央に、8mm角の方形状に厚さ100μmで塗布した。
塗布後、乾燥させてから、700℃で熱処理を行うことにより、PZTを焼き付けた。具体的には、電気炉に入れ、大気雰囲気にて昇温速度2℃/minで700℃まで加熱し、700℃において30分保持したのち、炉令した。これにより、焼成されたPZTからなる厚み60μmの圧電材料焼結体層が、第1の電極としてのメタライズ層の上に焼き付けられたものが得られた。
次に、そのPZTからなる圧電材料焼結体層の中央に、実施例1と同様に第2の電極用の銀ペーストを塗布し、500℃で焼き付け、平均厚み30μmの第2の電極(銀電極)を形成した。
このようにして、イットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された積層体が得られた。なお圧電材料焼結体層の密度は、約73%であった。
その後、実施例1と同様にリード線を導電ペーストにより接着した。
さらに、実施例1と同様に分極処理を実施して、超音波厚みセンサとした。
このような厚みセンサについて、その可撓性を調べるため、曲率半径30mmで全体的に湾曲させる試験を行なったところ、焼結体層に割れが生じたり、剥離したりすることがないこと、したがって良好な可撓性を有することが確認された。
また分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として銀ペーストを用いて貼り付け、管壁の厚み測定を行なったところ、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例3は、基板のジルコニア系セラミックスとしてイットリア部分安定化ジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の前記粘性液状物Cとして、PZTからなる平均粒径が0.15〜0.25μmの超微粉末を分散媒に分散させたペーストを用いて、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、先ずイットリア(Y)を3mol%添加したイットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる厚み50μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、蒸着法によって、平均厚み5μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、PZT用の原料粉末として、酸化鉛(PbO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)の粉末を用意し、これらを、PbO:1モル、ZrO:0.5モル、TiO:0.5モルの割合で配合するとともに、溶媒をエタノール、分散剤をポリエチレンイミンとして、ボールミルを用いて混練してスラリーとし、そのスラリーを乾燥させて、混合粉末塊を得た。その混合粉末塊をアルミナるつぼに入れ、アルミナの蓋をした状態で、850℃10時間加熱(仮焼成)することにより、ペロブスカイト型結晶構造を有するPZT粉末を得た。
そのPZT粉末を粗粉砕したのち、ボールミルを用いて、平均粒径2.2μmの粉末を得た。次に、その粉末を、湿式ビーズミルを用いて、平均粒径0.2μmとなるまで粉砕した。なお湿式ビーズミルにおけるビーズ(粉砕媒体)としては、粒径0.5mmのジルコニアを用い、また分散媒としては水を用いた。
得られた超微粉スラリーを乾燥して、平均粒径0.2μmのPZT超微粉末を得た。
このPZT超微粉末に、分散媒としてブチルカルビトールを添加して、3本ロールミルで混練することにより、超微粉末のペースト(粘性液状物C)を得た。
次いでそのペーストを、実施例1と同様にして、第1の電極としてのメタライズ層の中央に、8mm角の方形状に厚さ100μmで塗布した。
塗布後、乾燥させてから、700℃で熱処理を行うことにより、PZTを焼き付けた。具体的には、電気炉に入れ、大気雰囲気にて昇温速度2℃/minで700℃まで加熱し、700℃において30分保持したのち、炉令した。これにより、焼成されたPZTからなる厚み60μmの圧電材料焼結体層が、第1の電極としてのメタライズ層の上に焼き付けられたものが得られた。
次に、そのPZTからなる圧電材料焼結体層の中央に、実施例1と同様に第2の電極用の銀ペーストを塗布し、500℃で焼き付け、平均厚み30μmの第2の電極(銀電極)を形成した。
このようにして、イットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された積層体が得られた。なお圧電材料焼結体層の密度は、約75%であった。
その後、実施例1と同様にリード線を導電ペーストにより接着した。
さらに、実施例1と同様にして分極処理を実施して、超音波厚みセンサとした。
このような厚みセンサについて、その可撓性を調べるため、曲率半径50mmで全体的に湾曲させる試験を行なったところ、焼結体層に割れが生じたり、剥離したりすることがないこと、したがって良好な可撓性を有することが確認された。
また分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として銀ペーストを用いて貼り付け、管壁の厚み測定を行なったところ、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例4は、基板のジルコニア系セラミックスとしてイットリア部分安定化ジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の前記粘性液状物Dとして、PZT粉末、および低融点ガラス粉末としてのビスマス系ガラス粉末を分散媒に分散させたペーストを用いて、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、先ずイットリア(Y)を3mol%添加したイットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる厚み75μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み15μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、酸化物系圧電材料粉末として、実施例1と同様にして平均粒径2.2μmのPZT粉末を調製し、そのPZT粉末を、平均粒径が2.5μmのビスマス系ガラス粉末と混合するとともに、分散媒としてブチルカルビトール系溶剤を加え、ロールミルによって混練して、焼結原料としてのペースト(粘性液状物D)を作成した。ここで、ビスマス系ガラス粉末としては、Bi―SiO系ガラス、すなわちxBi・(100−x)SiOで、x=50mol%のものを用いた。またPZT粉末とビスマス系ガラス粉末との配合割合は、PZT粉末80重量部に対しビスマス系ガラス粉末20重量部とした。なお得られたペーストの粘度は、2000mPa・sであった。
次いでそのペーストを、実施例1と同様にして、第1の電極としてのメタライズ層の中央に、8mm角の方形状に厚さ100μmで塗布した。
塗布後、乾燥させてから、700℃で熱処理を行うことにより、PZTを焼き付けた。具体的には、電気炉に入れ、大気雰囲気にて昇温速度2℃/minで700℃まで加熱し、700℃において30分保持したのち、炉令した。これにより、焼成されたPZTからなる厚み60μmの圧電材料焼結体層が、第1の電極としてのメタライズ層の上に焼き付けられたものが得られた。
次に、そのPZTからなる圧電材料焼結体層の中央に、実施例1と同様に第2の電極用の銀ペーストを塗布し、500℃で焼き付け、平均厚み30μmの第2の電極(銀電極)を形成した。
このようにして、イットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された積層体が得られた。なお圧電材料焼結体層の密度は、約73%であった。
その後、実施例1と同様にリード線を導電ペーストにより接着した。
さらに、実施例1と同様に分極処理を実施して、超音波厚みセンサとした。
このような厚みセンサについて、その可撓性を調べるため、曲率半径30mmで全体的に湾曲させる試験を行なったところ、焼結体層に割れが生じたり、剥離したりすることがないこと、したがって良好な可撓性を有することが確認された。
また分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として銀ペーストを用いて貼り付け、管壁の厚み測定を行なったところ、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例5は、基板のジルコニア系セラミックスとしてイットリア部分安定化ジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の前記粘性液状物Eとして、PZT粉末を珪酸ソーダ溶液に分散させたペーストを用いて、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、先ずイットリア(Y)を3mol%添加したイットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる厚み30μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、蒸着法によって、平均厚み25μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、実施例4と同様にして、平均粒径2.2μmのPZT粉末を得、そのPZT粉末を、10wt%濃度の珪酸ソーダ溶液に分散、混合させて、焼結原料ペースト(粘性液状物E)を調製した。ここで、珪酸ソーダとしては、NaOに対するSiOのモル比nが1のメタ珪酸ナトリウムNaSiOを用い、またPZT粉末100重量部に対して10wt%濃度の珪酸ソーダ溶液が30重量部となるように混合した。したがってペースト中の珪酸ソーダの割合は、PZT粉末100重量部に対して3重量部程度である。また得られたペーストの粘度は、2000mPa・sであった。
次いでそのペーストを、実施例1と同様にして、第1の電極としてのメタライズ層の中央に、8mm角の方形状に厚さ100μmで塗布した。
塗布後、乾燥させてから、700℃で熱処理を行うことにより、PZTを焼き付けた。具体的には、電気炉に入れ、大気雰囲気にて昇温速度2℃/minで700℃まで加熱し、700℃において30分保持したのち、炉令した。これにより、焼成されたPZTからなる厚み60μmの圧電材料焼結体層が、第1の電極としてのメタライズ層の上に焼き付けられたものが得られた。
次に、そのPZTからなる圧電材料焼結体層の中央に、実施例1と同様に第2の電極用の銀ペーストを塗布し、500℃で焼き付け、平均厚み30μmの第2の電極(銀電極)を形成した。
このようにして、イットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された積層体が得られた。なお圧電材料焼結体層の密度は、約73%であった。
その後、実施例1と同様にリード線を導電ペーストにより接着した。
さらに、実施例1と同様に分極処理を実施して、超音波厚みセンサとした。
このような厚みセンサについて、その可撓性を調べるため、曲率半径30mmで全体的に湾曲させる試験を行なったところ、焼結体層に割れが生じたり、剥離したりすることがないこと、したがって良好な可撓性を有することが確認された。
また分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として銀ペーストを用いて貼り付け、管壁の厚み測定を行なったところ、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例6は、基板のジルコニア系セラミックスとして、CaO(カルシア)により部分安定化させたジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の粘性液状物として、実施例1と同様に、PZT粉末と、PZTの金属成分のアルコキシドゾルとの混合物のスラリー(粘液状物A)を用いて、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、先ずカルシア(CaO)を7mol%添加したカルシア部分安定化ジルコニアからなる厚み75μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、焼結原料としてのアルコキシドゾル‐PZT混合分散液(スラリー状の粘性液状物A)を、実施例1と同様にして調製し、以下実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、超音波厚みセンサとした。なおPZTからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは60μmであり、またその密度は、約75%であった。
このように、カルシア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例7は、基板のジルコニア系セラミックスとして、実施例6と同様に、CaO(カルシア)により部分安定化させたジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の粘性液状物として、実施例2と同様に、酸化物原料混合加熱法により製造した比較的粗大なPZT粉末と、アルコキシド分解法によって製造されたPZT微粉末との混合物を分散媒に分散させたペースト(粘液状物B)を用い、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、実施例6と同様に、カルシア(CaO)を7mol%添加したカルシア部分安定化ジルコニアからなる厚み75μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、焼結原料としてのアルコキシド分解PZT微粉末―PZT粗大粉末混合分散ペース液(粘性液状物B)を、実施例2と同様にして調製し、以下実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、超音波厚みセンサとした。なお、PZTからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは、
70μmであり、またその密度は、約77%であった。
このように、カルシア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例8は、基板のジルコニア系セラミックスとして、実施例6と同様に、CaO(カルシア)により部分安定化させたジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の粘性液状物として、実施例3と同様に、PZTからなる平均粒径が0.15〜0.25μmの超微粉末を分散媒に分散させたペースト(粘性液状物C)を用いて、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、実施例6と同様に、カルシア(CaO)を7mol%添加したカルシア部分安定化ジルコニアからなる厚み75μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金のめっき法によって、平均厚み5μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、焼結原料としてのPZT超微粉末ペースト(粘性液状物C)を、実施例3と同様にして調製し、以下実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、超音波厚みセンサとした。なおPZTからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは75μmであり、またその密度は、約75%であった。
このように、カルシア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例9は、基板のジルコニア系セラミックスとして、実施例6と同様に、CaO(カルシア)により部分安定化させたジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の粘性液状物として、実施例4と同様に、PZT粉末、および低融点ガラス粉末としてのビスマス系ガラス粉末を分散媒に分散させたペースト(粘性液状物D)を用いて、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、実施例6と同様に、カルシア(CaO)を7mol%添加したカルシア部分安定化ジルコニアからなる厚み50μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み15μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、焼結原料としてのPZT粉末―ビスマス系ガラス粉末ペースト(粘性液状物D)を、実施例4と同様にして調製し、以下実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、超音波厚みセンサとした。なおPZTからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは80μmであり、またその密度は、約75%であった。
このように、カルシア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例10は、基板のジルコニア系セラミックスとして、実施例6と同様に、CaO(カルシア)により部分安定化させたジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の粘性液状物として、実施例5と同様に、PZT粉末を珪酸ソーダ溶液に分散させたペースト(粘性液状物E)を用いて、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、実施例6と同様に、カルシア(CaO)を7mol%添加したカルシア部分安定化ジルコニアからなる厚み100μmの10×10mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、焼結原料としての酸化物系圧電材料粉末―珪酸ソーダ溶液分散ペースト(粘性液状物E)を、実施例5と同様にして調製し、以下実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、超音波厚みセンサとした。なおPZTからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは80μmであり、またその密度は、約75%であった。
このように、カルシア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例11は、基板のジルコニア系セラミックスとして、MgO(マグネシア)により部分安定化させたジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の粘性液状物として、実施例1と同様に、酸化物系圧電材料粉末としてのPZT粉末と、PZTの金属成分のアルコキシドゾルとの混合物のスラリー(粘液状物A)を用いて、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、先ずマグネシア(MgO)を7mol%添加したマグネシア部分安定化ジルコニアからなる厚み100μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、焼結原料としてのアルコキシドゾル‐PZT混合分散液(スラリー状の粘性液状物A)を、実施例1と同様にして調製し、以下実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、超音波厚みセンサとした。なおPZTからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは75μmであり、またその密度は、約75%であった。
このように、マグネシア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例12は、基板のジルコニア系セラミックスとして、実施例11と同様に、MgO(マグネシア)により部分安定化させたジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の粘性液状物として、実施例2と同様に、酸化物原料混合加熱法により製造した比較的粗大なPZT粉末と、アルコキシド分解法によって製造されたPZT微粉末との混合物を分散媒に分散させたペースト(粘液状物B)を用い、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、実施例11と同様に、マグネシア(MgO)を7mol%添加したマグネシア部分安定化ジルコニアからなる厚み75μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、焼結原料としてのアルコキシド分解PZT微粉末―PZT粗大粉末混合分散ペース液(粘性液状物B)を、実施例2と同様にして調製し、以下実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、超音波厚みセンサとした。なお、PZTからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは、
80μmであり、またその密度は、約74%であった。
このように、マグネシア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例13は、基板のジルコニア系セラミックスとして、実施例11と同様に、MgO(マグネシア)により部分安定化させたジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の粘性液状物として、実施例3と同様に、PZTからなる平均粒径が0.15〜0.25μmの超微粉末を分散媒に分散させたペースト(粘性液状物C)を用いて超音波厚みセンサを同時に製造した実施例である。
すなわち、実施例11と同様に、マグネシア(MgO)を7mol%添加したマグネシア部分安定化ジルコニアからなる厚み100μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み15μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、焼結原料としてのPZT超微粉末ペースト(粘性液状物C)を、実施例3と同様にして調製し、以下実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、超音波厚みセンサとした。なおPZTからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは50μmであり、またその密度は、約78%であった。
このように、マグネシア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例14は、基板のジルコニア系セラミックスとして、実施例11と同様に、MgO(マグネシア)により部分安定化させたジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の粘性液状物として、実施例4と同様に、PZT粉末、および低融点ガラス粉末としてのビスマス系ガラス粉末を分散媒に分散させたペースト(粘性液状物D)を用いて超音波厚みセンサを同時に製造した実施例である。
すなわち、実施例11と同様に、マグネシア(MgO)を7mol%添加したマグネシア部分安定化ジルコニアからなる厚み100μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み15μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、焼結原料としてのPZT粉末―ビスマス系ガラス粉末ペースト(粘性液状物D)を、実施例4と同様にして調製し、以下実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、超音波厚みセンサとした。なおPZTからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは100μmであり、またその密度は、約74%であった。
このように、マグネシア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例15は、基板のジルコニア系セラミックスとして、実施例11と同様に、MgO(マグネシア)により部分安定化させたジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をPZTとし、焼結原料の粘性液状物として、実施例5と同様に、PZT粉末を珪酸ソーダ溶液に分散させたペースト(粘性液状物E)を用いて超音波厚みセンサを同時に製造した実施例である。
すなわち、実施例11と同様に、マグネシア(MgO)を7mol%添加したマグネシア部分安定化ジルコニアからなる厚み75μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、焼結原料としての酸化物系圧電材料粉末―珪酸ソーダ溶液分散ペースト(粘性液状物E)を、実施例5と同様にして調製し、以下実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、超音波厚みセンサとした。なおPZTからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは75μmであり、またその密度は、約75%であった。
このように、マグネシア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例16は、基板のジルコニア系セラミックスとしてイットリア部分安定化ジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をBiTi12(チタン酸ビスマス:BIT)とし、焼結原料の粘性液状物として、BIT粉末と、BITの金属成分のゾルとの混合物のスラリー(粘性液状物A)を用いた実施例である。
すなわち、先ずイットリア(Y)を3mol%添加したイットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる厚み100μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、BIT用の原料粉末として、酸化ビスマス(Bi)、酸化チタン(TiO)の粉末を用意し、これらを、Bi:1.5モル、TiO:4モルの割合で配合し、溶媒をエタノール、分散剤をポリエチレンイミンとして、ボールミルにより24時間湿式混練し、スラリーとした。そのスラリーを乾燥させて混合粉末塊とした後、アルミナるつぼに入れて、アルミナの蓋をし、800℃、10時間の熱処理(仮焼成)を行い、BIT粉末塊を得た。そのBIT粉末塊を粉砕し、300ミクロンの篩いを通過させたものをボールミルに入れ、エタノール中で、ジルコニアボールを粉砕媒体として24時間粉砕することにより、平均粒径2μmのBIT粉末とし、乾燥させた。
また、チタンアルコキシドとしてのチタンブトキシドのブタノール溶液と、酢酸ビスマスの混合液(金属成分であるビスマスとチタンの比はモル比でBi:Ti=4:3)をBi−Tiゾルとした。
そして上記のBi−Tiゾルと、平均粒径2μmのBIT粉末とを重量比で2:1の割合で混合して、焼結原料のスラリー(粘性液状物A)とした。
次いでそのスラリー(粘性液状物A)を、実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、BITを圧電材料とする超音波厚みセンサを得た。なお焼成工程における加熱は、650℃で5時間行なった。またBITからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは75μmであり、またその密度は、約75%であった。
このように、イットリア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にBITからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例17は、基板のジルコニア系セラミックスとしてイットリア部分安定化ジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料を実施例16と同様にBiTi12(チタン酸ビスマス:BIT)とし、焼結原料の粘性液状物として、BITからなる平均粒径が0.2μmの超微粉末を分散媒に分散させたペースト(粘性液状物C)を用いて、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、先ず実施例1と同様に、イットリア(Y)を3mol%添加したイットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる厚み50μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、BIT用の原料粉末として、酸化ビスマス(Bi)、酸化チタン(TiO)の粉末を用意し、これらを、Bi:1.5モル、TiO:4モルの割合で配合し、溶媒をエタノール、分散剤をポリエチレンイミンとして、ボールミルにより24時間湿式混練し、スラリーとした。そのスラリーを乾燥させて混合粉末塊とした後、アルミナるつぼに入れて、アルミナの蓋をし、850℃、10時間の熱処理(仮焼成)を行い、BIT粉末塊を得た。そのBIT粉末塊を粉砕し、300ミクロンの篩いを通過させたものをボールミルに入れ、エタノール中で、ジルコニアボールを粉砕媒体として24時間粉砕することにより、平均粒径2.2μmのBIT粉末とし、乾燥させた。
さらに、そのBIT粉末を、湿式ビーズミルを用いて、平均粒径0.2μmとなるまで粉砕した。なお湿式ビーズミルにおけるビーズ(粉砕媒体)としては、粒径0.5mmのジルコニアを用い、また分散媒としては水を用いた。得られた超微粉スラリーを乾燥させた後、分散媒としてブチルカルビトールを添加して、3本ロールミルで混練することにより、平均粒径0.2μmの超微粉末のペースト(粘性液状物C)を得た。
次いでそのペースト(粘性液状物C)を、実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、BITを圧電材料とする超音波厚みセンサを得た。なお焼成工程における加熱は、650℃で0.5時間行なった。またBITからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは85μmであり、またその密度は、約75%であった。
このように、イットリア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にBITからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例18は、基板のジルコニア系セラミックスとして、実施例1と同様にイットリア部分安定化ジルコニアを用い、また酸化物系圧電材料をBiTi12(チタン酸ビスマス:BIT)とし、BIT粉末、および低融点ガラス粉末としてのビスマス系ガラス粉末を分散媒に分散させたペースト(粘性液状物D)を用いて、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、先ずイットリア(Y)を3mol%添加したイットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる厚み75μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、酸化物系圧電材料粉末として、実施例16と同様にして平均粒径2.2μmのBIT粉末を調製し、そのBIT粉末を、平均粒径が2.5μmのビスマス系ガラス粉末と混合するとともに、分散媒としてブチルカルビトール系溶剤を加え、ロールミルによって混練して、焼結原料としてのペースト(粘性液状物D)を作成した。ここで、ビスマス系ガラス粉末としては、Bi―SiO系ガラス、すなわちxBi・(100−x)SiOで、x=50mol%のものを用いた。またPZT粉末とビスマス系ガラス粉末との配合割合は、PZT粉末80重量部に対しビスマス系ガラス粉末20重量部とした。なお得られたペーストの粘度は、2000mPa・sであった。
次いでそのペースト(粘性液状物D)を、実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、BITを圧電材料とする超音波厚みセンサを得た。なお焼成工程における加熱は、650℃で0,5時間行なった。またBITからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは70μmであり、またその密度は、約78%であった。
このように、イットリア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にBITからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
この実施例19は、基板のジルコニア系セラミックスとしてイットリア部分安定化ジルコニアを用い、また、酸化物系圧電材料をLiNbO(ニオブ酸リチウム)とし、焼結原料の粘性液状物として、ニオブ酸リチウム粉末と、ニオブ酸リチウムの金属成分のゾルとの混合物のスラリー(粘性液状物A)を用いて、超音波厚みセンサを製造した実施例である。
すなわち、先ずイットリア(Y)を3mol%添加したイットリア部分安定化ジルコニア(3YSZ)からなる厚み75μmの20×20mm角の方形状の基板を用意し、その基板の一方の板面に、白金ペースト塗布法によって、平均厚み10μmの白金(Pt)からなるメタライズ層を、10×10mm角で方形状に形成した。
一方、ニオブ酸リチウム用の原料粉末として、炭酸リチウム(LiCO)と酸化ニオブ(Nb)をLiとNbの割合がモル比で1:1になるように配合し、エタノールを分散媒、ポリエチレンイミンを分散剤としてポリエチレンイミンを使用し、ボールミルを用いて24時間、湿式混練を行った。混練終了後、バットの上で乾燥し、乾燥後、1000℃で10時間熱処理した。この熱処理により反応し、X線回折法で分析したところ、純粋なLiNbOになっていることが確認された。この状態では、熱処理により粉が固く固着していることから、150μm以下の大きさに粗粉砕した後、ボールミルに入れて、ジルコニアボールとともに回転させながら24時間粉砕を行った。平均粒径2μmまで粉砕されていることを確認した後、乾燥して、LiNbO粉末とした。
また、ニオブアルコキシドとしてのニオブエトキシドのエタノール溶液と酢酸リチウムとの混合液(ニオブとリチウムのモル比は1:1)をLi−Nbゾルとした。
そして上記のLi−Nbゾルと、平均粒径2μmのLiNbO粉末とを重量比で2:1の割合で混合して、焼結原料のスラリー(粘性液状物A)とした。
次いでそのスラリー(粘性液状物A)を、実施例1と同様にしてメタライズ層上への塗布、乾燥、焼成、第2電極形成、リード線取り付け、分極処理を実施し、ニオブ酸リチウムを圧電材料とする超音波厚みセンサを得た。なお、焼成工程における加熱は、650℃で0,5時間行なった。またニオブ酸リチウムからなる焼結体層(圧電セラミック層)の厚みは80μmであり、またその密度は、約75%であった。
このように、イットリア部分安定化ジルコニアからなる基板の表面のメタライズ層(第1の電極)上にニオブ酸リチウムからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された超音波センサについて、実施例1と同様に可撓性を調べたところ、実施例1の場合とほぼ同等の可撓性を有していることが確認された。また分極状況も実施例1の場合と同等であり、さらに実際に管璧に対する厚み測定に適用した場合も、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例について説明したが、これらの実施形態、実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。
1 超音波厚みセンサ
3 基板
5 メタライズ層(第1の電極)
7 焼結体層
9 第2の電極
11A、11B リード線
13 厚さ測定対象物

Claims (13)

  1. 平均厚みが30〜100μmのジルコニア系セラミックスからなる基板の表面に、良導電性を有する耐高温酸化性金属からなる平均膜厚5〜20μmのメタライズ層が第1の電極として形成され、そのメタライズ層上に、酸化物系圧電材料からなる70〜80%の密度の焼結体層が30〜150μmの平均厚みで形成され、さらに焼結体層上に10〜100μmの平均厚みで第2の電極が形成されていることを特徴とする超音波厚みセンサ。
  2. 前記基板を構成するジルコニア系セラミックスが、希土類酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウムのいずれか1種以上を安定化剤としてジルコニアに添加した部分安定化ジルコニアであることを特徴とする請求項1に記載の超音波厚みセンサ。
  3. 前記酸化物系圧電材料として、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ビスマス、ニオブ酸リチウムのいずれかが用いられていることを特徴とする請求項1、請求項2のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサ。
  4. 前記メタライズ薄膜の耐高温酸化性金属として、Pt、Ag、Au、Pd、Rhのうちの1種または2種以上が用いられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサ。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサを製造するための方法であって、
    平均厚みが30〜100μmのジルコニア系セラミックスからなる基板の表面に、良導電性を有する耐高温酸化性金属からなる平均膜厚5〜20μmのメタライズ薄膜を第1の電極として形成するメタライズ工程と、
    酸化物系圧電材料を含む粘性液状物を焼結原料として用いて、その粘性液状物を、前記第1の電極の表面に塗布して、第1の電極上に焼結原料層を形成する焼結原料層形成工程と、
    前記焼結原料層を加熱して焼結原料を焼成し、これによって密度が70〜80%の範囲内の酸化物系圧電材料の焼結体からなる焼結体層を前記第1の電極上に形成する焼成工程と、
    前記焼結体層の表面に、10〜100μmの平均厚みで第2の電極を形成する第2電極形成工程と、
    前記第1の電極と第2の電極との間に電位差を与えて、前記焼結体層を分極処理する分極処理工程と、
    を有してなることを特徴とする超音波厚みセンサの製造方法。
  6. 前記酸化物系圧電材料を含む粘性液状物として、平均粒径が1〜10μmの範囲内の酸化物系圧電材料粉末と、その酸化物系圧電材料の金属成分のアルコキシドゾルとを混合したものを用いることを特徴とする請求項5に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  7. 前記酸化物系圧電材料を含む粘性液状物として、平均粒径1〜10μmの酸化物系圧電材料粉末と、酸化物圧電材料の金属成分のアルコキシドの分解による平均粒径0.1〜1.0μmの微粉末とを分散媒に分散させたスラリーもしくはペーストを用いることを特徴とする請求項5に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  8. 前記酸化物系圧電材料を含む粘性液状物として、酸化物系圧電材料からなる平均粒径が0.15〜0.25μmの超微粉末を分散媒に分散させたスラリーもしくはペーストを用いることを特徴とする請求項5に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  9. 前記焼成工程における加熱温度を、600〜800℃の範囲内として、密度が70〜80%の範囲内の焼結体層を得ることを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  10. 前記酸化物系圧電材料を含む粘性液状物として、酸化物系圧電材料粉末および低融点ガラス粉末を分散媒に分散させたスラリーもしくはペーストを用いることを特徴とする請求項5に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  11. 前記低融点ガラス粉末が、ビスマス系ガラス粉末であることを特徴とする請求項10に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  12. 前記酸化物系圧電材料を含む粘性液状物として、酸化物系圧電材料粉末を珪酸ソーダ溶液に分散させたペーストを用いることを特徴とする請求項5に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  13. 前記焼成工程における加熱温度を、450〜550℃の範囲内として、密度が70〜80%の範囲内の焼結体層を得ることを特徴とする請求項10〜請求項12のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
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