JP2013140887A - 超音波厚みセンサの製造方法 - Google Patents

超音波厚みセンサの製造方法 Download PDF

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章弘 上元
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Abstract

【課題】超音波厚みセンサとして薄質で可撓性を示すことができ、測定対象表面が湾曲している場合でもそれに追従させることができ、しかも測定対象個所に常時貼着させておくことを可能として、厚み測定前後の種々の作業を不要とし、厚み測定の手間と時間を大幅に削減し、かつ多数の箇所の同時的な厚み測定や、連続的な厚み測定も可能とした超音波厚み測定センサを製造することができる方法を提供する。
【解決手段】セラミック圧電体の原料となる酸化物系圧電材料の粉末を主体とするスラリーから薄質なシートを作り、そのシートを、一方の電極となるべき薄質な金属板の表面に貼着してから、スラリーを加熱、焼成して、比較的ポーラスで可撓性を示し得る薄質な焼結体層を前記金属板表面に形成し、その後、他方の電極の取り付け及び分極処理を行って、センサ全体として可撓性を示し得るようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物系圧電材料からなる圧電素子を用いて、超音波により各種配管の金属管、その他の管の管壁の厚み、あるいは各種金属容器の外壁の厚みなど、種々の厚みを検出するための超音波厚みセンサの製造方法に関するものである。
周知のように圧電素子を用いて超音波の送受信を行なって、各種の対象物、対象部位の検出や、各種測定、診断などを行なう装置は、従来から広く使用されている。例えば水中探査用のソナー、あるいは超音波探傷装置、超音波診断装置が従来から広く知られており、そのほか、金属板や金属管などの厚みを検出する厚みセンサにも、超音波センサが用いられている(例えば特許文献1、2など)。
このような超音波送受信用の圧電素子の材料としては、PZTと称されるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)で代表されるペロブスカイト結晶構造を有する酸化物系圧電材料(圧電セラミックス)が最も代表的である。
ところでこの種の酸化物系圧電材料からなる圧電素子の製造方法としては、PZTなどの原料粉末を円盤状あるいは立方体形状などの所定のバルク形状に成形し、その成形体を焼結して、セラミック焼結体とし、その後、焼結体に電極を取り付けてから分極処理を施し、圧電素子とするのが一般的である(例えば特許文献3参照)。
具体的には、例えばPZT圧電素子の場合、先ずPbO、ZrO、TiOなどのPZT用の原料粉末を所定の割合で配合し、その配合粉末に純水を加えてボールミルで混合粉砕し、乾燥して仮焼成し、再度粉砕して粉末とし、更に仮焼成してから再度粉砕して、ペロブスカイト型結晶構造を有するPZT粉末を得る。そしてそのPZT粉末に、PVA(ポリビニルアルコール)などのバインダを加えて混合し、適度の大きさの造粒粉とする。その後、造粒粉に圧力を加えて成形し、肉厚な円盤状あるいは立方体形状などの所定のバルク形状の成形体とする。更にその成形体を加熱してバインダを除去してから、高温に加熱して焼成(焼結)して、セラミック焼結体とし、その後、所定の製品形状(圧電素子形状)に加工した後、銀電極などの電極を焼付けなどにより取り付け、分極処理を行なって、圧電特性を付与するのが通常である。
上述のような従来の酸化物系圧電素子の製造法においては、成形体を焼結する際の加熱温度を1200℃程度以上に上げることによって急激に焼結体の緻密度が高まることが知られており、そこで一般には1200〜1300℃程度で焼結することが行なわれている。そしてこのように1200℃以上の高温で焼成することによって、焼結体は、密度90%以上に高密度化されて、緻密な焼結体が得られることが知られている。
このように、従来の製造方法において焼結体の高密度化を図っていた理由は、焼結体からなるセンサ素子が高密度となるほど、分極処理後の圧電特性が向上して、効率的に超音波を発振することが可能となり、超音波出力の高出力化が容易に図れることにある。そのため従来は、酸化物系圧電材料からなる圧電素子の製造にあたっては、焼成温度を1200℃以上の高温として焼結体の緻密化を図り、圧電特性をできるだけ高め、高出力化を図ろうとするのが常識であった。
例えば、超音波ソナーの場合は、センサから検出対象物までの距離が著しく大きく、そのため、確実に対象物を捕捉するためには、大出力を必要とする。また超音波探傷装置の場合、たとえ検出すべき部位までの距離が短くても、検出すべき傷や欠陥の形状が一様ではなく、しかも傷や欠陥からの反射波と、傷や欠陥よりも遠い位置に存在する管外表面/外部空間の境界面からの反射波との2種の反射波の受信信号を峻別することが必要であり、そのためある程度大出力とする必要がある。さらに更に超音波診断装置の場合も、検査対象部位の形状が一様ではなく、しかも人体組織を透過する際の超音波の減衰が大きいことなどから、やはりかなりの大出力とする必要がある。そこで、これらの用途では、セラミック圧電素子はできるだけ高密度とすることが必要とされている。そして厚みセンサについても、他の用途と同様に高密度化することが常識とされていたのである。
なお、圧電素子を高出力化すれば、それに伴って反射波のエネルギも大きくなる。そして反射波のエネルギが過大であれば、反射波の受信信号中のノイズが大きくなってしまう。そこで従来、過大な反射波が予想される場合には、反射波を減衰させるためのダンパを組み込んでおくことも行なわれている。
ところで従来の超音波厚みセンサでは、厚みの測定が必要になるたびごとに、センサの探触子の前面を、各種設備の配管などの測定対象物の外表面に、水などの超音波媒体を介して押し当て、超音波の送受信を行なって厚みを測定するのが通常である。
しかるに、各種設備の配管は、金属管の外表面が保護材や断熱材などの外被によって覆われていることが多い。このような場合に超音波厚みセンサによって配管の厚み測定を行なう際には、測定個所の外被を除去して金属管の外表面に媒体を塗布もしくは供給する準備作業が必要となり、また厚み測定後には、媒体を拭き取り、更に外被を修復する修復作業を必要とする。したがって1回の厚み測定作業に多くの手間と時間を要さざるを得なかったのが実情である。
更に、従来の超音波厚みセンサは、前述のように厚みの測定が必要になるたびごとに、センサの探触子の前面を、測定対象物の外表面に水などの超音波媒体を介して押し当てるのが通常であるため、配管や容器外壁などにおける多数の個所の厚み測定を同時に行なうことは困難であり、そのため多数の個所の厚み測定データを得たい場合には、膨大な手間と時間を要さざるを得なかった。
また同様の理由から、厚みの経時的な測定データを連続して得ることは困難であった。
一方、従来の製造方法によって得られた酸化物系圧電材料(セラミック圧電材料)を用いた圧電素子は、全体的に焼結体が緻密で、かつ厚いバルク形状を有しているため、可撓性(フレキシビリティ;屈曲性)を全く有していないのが通常である。そのため、このような圧電素子を配管や容器外壁などを対象とする超音波厚みセンサに用いた場合、次のような問題があった。
すなわち、配管のうちでもその管径が小さい配管、すなわち外面の曲率半径が小さい配管の管壁や、配管におけるL字状に屈曲した部あるいはL字状に溶接した部分、すなわちエルボー部分、さらにはT字状に溶接した部分の隅部の如く、湾曲した部分(凸状もしくは凹状に湾曲した部分)の厚みを測定しようとした場合、その湾曲部分に探触子の前面を均一に当てることは困難であり、そのため測定誤差が大きくなったり、厚み測定が困難となったりする問題があった。
特開平1−202609号公報 特開2002−228431号公報 特開平7−45124号公報
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、酸化物系圧電材料を用いた超音波厚みセンサとして、全体的に薄質で可撓性を示すことができ、そのため測定対象個所の外表面が湾曲している場合でもその湾曲面に追従させて、湾曲面における厚み測定を確実に行なうことができ、しかも配管や容器外壁などの測定対象個所に厚みセンサを常時貼着させておくことにより、厚み測定前の準備作業や測定後の修復作業などを不要とし、これによって厚み測定の手間と時間を大幅に削減することができ、併せて多数の箇所の同時的な厚み測定や、連続的な厚み測定も可能とした超音波厚み測定センサを、安価に製造することができる方法を提供することを課題とする。
前述のように各種の対象物検出や検査、測定、診断などのための超音波送受信に使用される従来の酸化物系圧電材料からなる圧電素子は、高い圧電効率を得るために、密度が90%以上となるように緻密化しておくのが常識とされており、超音波厚みセンサでも、同様に90%以上の高密度の圧電素子が使用されていた。
しかるに、各種設備における配管の管壁や容器の外壁などの厚み測定にあたっては、他の用途の場合のような高い圧電効率、高出力は必ずしも必要としないことを本発明者等は知見した。
すなわち、既に述べたように、水中探査用の超音波ソナー、あるいは超音波探傷装置、超音波診断装置などの場合は、対象物までの距離が遠かったり、あるいは対象物の形状が不定形で一様ではなかったり、更には対象部位に超音波が到達するまでの間の減衰が大きかったりする、などの点から、高出力が望まれるが、配管や容器などの厚み測定の場合、
対象となる管壁や容器外壁の厚み(超音波を透過/反射させるべき距離)は数百μmからせいぜい十数mm程度と小さく、しかも反射面は一様な定形面となっており、更には、超音波探傷の場合のように2種以上の反射波の受信信号を峻別する必要もないため、他の用途よりも超音波出力が小さくても、確実に厚みを測定し得ることを知見した。言い換えれば、厚みセンサの場合は、他の用途よりも圧電効率が低くても、厚みセンサとして充分に機能させることができることを知見したのである。
一方、酸化物系圧電材料からなる圧電素子においては、焼結体の緻密度が低くなって、相対的にポーラスとなれば、圧電効率は下がるが、薄質な可撓性を有する支持体上に焼結体層をポーラスに薄く形成しておけば、可撓性(フレキシビリティ)を付与することが可能となる。またその場合、支持体を圧電素子に必要な一対の電極のうちの一方の電極と兼ねさせて、焼結体層を支持体上に形成した後もその支持体をそのまま一方の電極として機能させることにより、簡単な工程で厚みセンサを製造し得ることを見い出した。
このように、厚みセンサとしては、焼結体の緻密度をある程度小さくすると同時に薄肉化を測って、圧電効率を若干下げながらも、厚みセンサとして可撓性を付与したものとすることができることを新規に見い出し、本発明をなすに至ったのである。
本発明の超音波厚みセンサの製造方法では、基本的には、圧電セラミックの原料となる酸化物系圧電材料の粉末を主体とするスラリーから薄質なシートを作り、そのシートを、一方の電極となるべき薄質な金属板の表面に貼着して、その金属薄板をシートの支持体として機能させながら、シートを加熱、焼成して、比較的ポーラスで可撓性を示し得る焼結体層を前記金属薄板表面に形成し、その後、他方の電極の取り付け、更に分極処理を行って、センサ全体として可撓性を示し得るようにした。
具体的には、本発明の基本的な態様(第1の態様)の超音波厚みセンサの製造方法は、
酸化物系圧電材料からなる原料粉末に、バインダ及び可塑剤を加えたスラリーを得るスラリー形成工程と、
前記スラリーを所定の厚みのシート状に成形するシート成形工程と、
前記シート成形工程によって得られたシートを、金属薄板からなる第1の電極の一方の板面に貼着する第1電極貼着工程と、
前記貼着工程終了後、前記シートを加熱して焼成し、圧電材料焼結体層を第1の電極の前記一方の板面上に形成する焼成工程と、
前記焼成工程終了後、前記圧電材料焼結体層における前記第1の電極に対し反対側の表面に第2の電極を形成する第2電極形成工程と、
前記第1の電極と第2の電極との間に電位差を与えて分極処理する分極処理工程と、
を有してなることを特徴とするものである。
このような本発明の基本的な態様の超音波厚みセンサの製造方法においては、酸化物系圧電材料の原料粉末のスラリーからシートを成形し、そのシートを第1の電極としての金属薄板に貼着した状態で焼成して、圧電材料焼結体層を得る。この焼成時には、第1の電極としての金属薄板は、シートを支持する支持体として機能する。そのため、シート自体の厚みを薄くしても支障なく焼成することが可能である。またその金属薄板は、厚みセンサとしての使用時においても、電極として機能するのみならず、焼結体層(圧電セラミック層)の支持体としても機能して、焼結体層が剥落することを防止できる。そして第1の電極としての金属薄板として、可撓性を示す程度に薄いものを用い、かつ第2の電極も充分に薄質としておけば、厚みセンサとしてその全体の厚みを薄くして、充分に可撓性を有するものとすることができる。
また本発明の第2の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1の態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記前記焼成工程によって、密度が70〜80%の範囲内の圧電材料焼結体層を得ることを特徴とするものである。
この第2の態様の超音波厚みセンサの製造方法では、圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)の密度を、従来一般の圧電セラミックよりも低密度の80%以下としておくことによって、その焼結体層を第1の電極の金属薄板に支持させた状態で可撓性を示すことができる。また同時に圧電材料焼結体層の密度を70%以上とすることによって、超音波厚みセンサとして必要な程度の圧電性能を確保することができるとともに、圧電材料焼結体層が過度に低密度となって脆くなることにより、焼結体層が第1の電極から剥離してしまうことを防止できる。
なお本明細書において焼結体層の密度とは、空隙率の逆数、すなわち相対密度を意味するものとする。
さらに本発明の第3の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1、第2のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記前記焼成工程における加熱温度を、1000〜1170℃の範囲内とすることを特徴とするものである。
このような第3の態様によれば、焼成工程における加熱温度を、従来一般の圧電セラミック製造における焼成温度より低い1000〜1170℃の範囲内とすることによって、焼結後の圧電材料焼結体層の密度を、従来よりも低い70〜80%程度とすることができ、したがって前記第2の態様に関して述べたように、焼結体層を第1の電極の金属薄板に支持させた状態で可撓性を示すことができ、同時に超音波厚みセンサとして必要な圧電性能を確保することができ、また一方、焼結体層の密度が過度に小さくなって焼結体層が脆くなり、第1の電極から剥離してしまうことも防止できる。
そしてまた本発明の第4の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第3のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記前記焼成工程によって、厚みが30〜150μmの範囲内の圧電材料焼結体層を得ることを特徴とするものである。
このような第4の態様によれば、圧電材料焼結体層の厚みが30〜150μmの範囲内と薄いため、圧電材料焼結体層を第1の電極に支持させた状態で、可撓性を示すことができる。
そしてまた本発明の第5の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第4のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記シート成形工程で、前記シートを、焼成工程直前の状態でその厚みが40〜200μmの範囲内となるように成形することを特徴とするものである。
このような第5の態様の超音波厚みセンサの製造方法によれば、焼成直前の状態でのシートの厚みが40〜200μmと薄いため、焼成後にも、30〜150μm程度の薄い焼結体層を形成することができる。
また、本発明の第6の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第5のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記前記第1電極貼着工程で、第1の電極の金属薄板として、その厚みが、15〜100μmの範囲内のものを用いることを特徴とするものである。
このような第6の態様では、第1の電極の金属薄板が薄いため、最終的に得られる厚みセンサとしても、容易に可撓性を有するものとすることができる。
また、本発明の第7の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第6のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記第2電極形成工程で、第2の電極の厚みが、10〜100μmの範囲内となるように第2の電極を形成することを特徴とするものである。
このような第7の態様では、第2の電極も薄いため、その第2の電極が、最終的に得られる厚みセンサの可撓性を阻害するおそれが少ない。
また、本発明の第8の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第7のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記シート成形工程で、ドクターブレード成形装置によりスラリーをシート状に成形することを特徴とするものである。
ドクターブレード成形装置によれば、前述のように薄いシートを容易に成形することができる。
また、本発明の第9の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第8のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記酸化物系圧電材料からなる原料粉末として、ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物系圧電材料粉末を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の第10の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第9の態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記酸化物系圧電材料粉末として、チタン酸ジルコン酸鉛系の圧電材料粉末を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の第11の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第10のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記第1の電極として白金を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の第12の態様の超音波厚みセンサの製造方法は、前記第1〜第11のいずれかの態様の超音波厚みセンサの製造方法において、
前記第2電極形成工程において、前記圧電材料焼結体層の表面に、銀ペーストを塗布して焼付け、これによって第2の電極を形成することを特徴とするものである。
本発明の超音波厚みセンサの製造方法によれば、センサ全体として薄質で可撓性を示す超音波厚みセンサを容易かつ低コストで製造することができる。そしてこのように薄質で可撓性を示す超音波厚みセンサであれば、測定対象部位が湾曲面であってもその湾曲面に追従して変形させることが可能であるため、湾曲面における厚み測定を確実に行なうことができる。またこのような厚みセンサは、予め配管などの測定対象個所に貼り付けておいて、そのままの状態で配管設備などを稼動させ、必要な時に随時厚み測定を行なうことができ、その場合、厚み測定前後の作業、例えば配管における測定前の外被除去作業や媒体塗布作業、及び測定後の媒体拭き取り作業や外被修復作業などを不要とすることができ、そのため、厚み測定の手間と時間を大幅に削減することができ、さらには、多数の個所にそれぞれ厚みセンサを貼り付けておいて、多数の個所における厚みの同時測定を容易に行なうことができるとともに、経時的かつ連続的な厚み測定も可能となるという、顕著な効果を得ることができる。
本発明の超音波厚みセンサの製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の製造方法により得られた超音波厚みセンサの一例を、その使用時の状況として示す略解的な縦断面図である。 本発明の製造方法により得られた超音波厚みセンサの一例の使用時の状況の他の例を示す略解的な縦断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本発明の一実施形態の超音波厚みセンサ製造方法を示す。
この実施形態では、
P1:酸化物系圧電材料、例えばPZTなどの原料粉末を準備する準備工程(原料粉末調製工程)、
P2:酸化物系圧電材料からなる原料粉末に、バインダ及び可塑剤を加えたスラリーを得るスラリー形成工程、
P3:スラリーを所定の厚みのシート状に成形するシート成形工程、
P4:シート成形工程P3によって得られたシートを、金属薄板からなる第1の電極の一方の板面に貼着する第1電極貼着工程、
P5:第1電極貼着工程終了後、前記シートを加熱して焼成し、圧電材料焼結体層を第1の電極の一方の板面上に形成する焼成工程、
P6:焼成工程P5の終了後、圧電材料焼結体層における、第1の電極に対して反対側の表面に第2の電極を形成する第2電極形成工程、
P7:第1の電極と第2の電極との間に電位差を印加して焼結体層を分極処理し、焼結体層に圧電特性を付与する分極処理工程、
以上のP1〜P7の各工程からなるプロセスによって、セラミック圧電材料からなる超音波厚みセンサを製造する。
以下にこれらの各工程P1〜P7について、さらに具体的に説明する。
〔準備工程(原料粉末調製工程)P1〕
先ず、準備工程として、ペロブスカイト型結晶構造を有する強誘電体からなる酸化物系圧電材料、例えばPZTなどの原料粉末を準備する。
ここで、酸化物系圧電素子用の原料粉末としては、ペロブスカイト型結晶構造を有する所定の成分組成の粒子からなる粉末、例えばPZT粉末が、セラミック粉末製造メーカなどから市販されており、したがって本発明の超音波厚みセンサの製造方法を実施するに当たっては、この種の市販のセラミック圧電素子用粉末を購入して、それを出発原料とし、次工程のスラリー形成工程から開始すれば良い。但し、原料粉末の調製から出発してもよいことはもちろんであり、そこで、原料粉末調製のための工程を、準備工程として次に簡単に説明する。
すなわち、PZTなどの原料となる酸化物粉末、例えばPbO、ZrO、TiOの各粉末を、目標とするPZT組成となるように配合するとともに、エタノールなどの溶媒やポリエチレンイミンなどの分散媒を適宜加えてボールミルなどにより混錬し、得られた混錬物(スラリー)を乾燥して混合粉末とする。さらにこの混合粉末を、粉体の状態で仮焼成する。この仮焼成は、通常は、空気(大気)雰囲気中で700〜950℃程度の温度において1〜20時間程度加熱すればよい。このような仮焼成によって、混合粉末の各成分(例えばPbO、ZrO、TiO)が相互に固溶して、ペロブスカイト型結晶構造が得られる。得られた粉末(但し仮焼成後の状態では塊状)を、ボールミルなどにより粉砕すれば、PZT粉末などのセラミック圧電材料用粉末が得られる。
なお本発明において、対象となる酸化物系圧電材料(セラミック圧電材料)の種類、組成は、基本的には限定されないが、ペロブスカイト型結晶構造を有する強誘電体からなる酸化物系圧電材料であることが好ましく、またそのうちでも、PZTと称されるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、より具体的には、Pb(ZrTi1−x)O〔但し0.5≦x≦0.7〕が好ましく、更に上記のxの値が0.52前後の組成のPZTが最も好ましい。またその他、上記のPZT組成を基本として、それに微量添加元素として、Mn、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Nb、Ta、La、Nd、Sc、Gdなどの1種又は2種以上を、それぞれ10重量%程度以下添加したものであってもよく、要は、PZT系(チタン酸ジルコン酸鉛系)の圧電セラミック材料と称される材料はすべて対象となる。さらに、PZT系圧電セラミック材料に限らず、その他のペロブスカイト型結晶構造を有する圧電セラミック材料、例えばLiNbOなど、更にはペロブスカイト結晶構造を持たないその他の圧電セラミック材料、例えばBiTi12なども適用することができる。
〔スラリー形成工程P2〕
このスラリー形成工程は、前述のようにして準備された原料粉末(ペロブスカイト型結晶構造を有するPZTなどのセラミック圧電セラミック用粉末)にバインダ及び可塑剤を加えた所定粘度のスラリーを形成する工程である。
スラリー形成工程では、先ず最初に前記原料粉末に、分散剤として例えばポリエチレンイミン、ポリアミンなどと、分散媒(溶剤)として例えばエタノール、酢酸エチルなどを加え、ボールミル等によって混合し、分散処理する。
更にこの分散処理後のスラリーに、前記バインダとして例えばポリビニルブチラールなどと、前記可塑剤としてジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどとを加え、ボールミルなどにより混合する。更にロータリーエバポレータなどを用いて、脱泡処理すると同時に脱溶剤処理(エタノールなどの溶剤の揮発除去)を行い、所定粘度のスラリーとする。
ここで、スラリー形成工程で得るスラリーの粘度は、1500〜20000mPa・s(=cP;センチポアズ)となるように調整することが望ましい。スラリーの粘度が1500mPa・s未満では、その後の焼成工程における収縮量が過大となって、焼結体層が、第1電極を兼ねる金属薄板から剥離したり、クラックが発生したりしてしまうおそれがある。一方、スラリーの粘度が20000mPa・sを越えれば、その後の焼成工程によって形成される焼結体層の緻密度が高くなりすぎ、その結果、後に改めて説明するように、可撓性が示されないようになり、そのため厚みセンサとしての使用時に、焼結体層が剥離したり割れが発生したりしてしまうおそれがある。
また原料粉末(PZTなどのセラミック圧電セラミック用粉末)に加えるバインダ及び可塑剤の配合割合も、スラリーの状態において粘度が上記の範囲内となるように調整すれば良い。具体的なバインダ及び可塑剤の配合割合は特に限定しないが、PZT系圧電材料の場合、通常は、原料粉末100重量部に対して、バインダ:10〜20重量部、可塑剤:5〜10重量部の範囲内とすればよい。
〔シート成形工程P3〕
このシート成形工程は、前記スラリー形成工程によって得られた所定粘度のスラリーを、薄いシート状に成形する工程である。
シート成形のための具体的手段は特に限定しないが、スラリーから簡便に所定の厚みのシートを成形する方法としては、ドクターブレード法が代表的であり、本発明の場合もドクターブレード法を適用することが好ましい。すなわち前記スラリーを、連続的に移動するキャリアフィルム(キャリアシート)上に供給しながら、そのキャリアフィルムの上面側に所定のギャップを開けて配置されたブレードの刃先のギャップ側空間を通過させることによって、前記ギャップの間隔に対応する膜厚のシートを、キャリアフィルム上に連続的に形成することができる。このようにして形成されたシートを自然乾燥あるいは温風乾燥などによって乾燥させれば、次の第1電極貼着工程に進む。
ここで、シートを乾燥させた状態では、スラリーの乾燥前の状態から収縮して、乾燥前の1/2〜1/4程度の厚みとなるが、乾燥後の状態での厚み(したがって後述する焼成工程開始直前の段階での厚み)は、40〜200μmの範囲内とすることが望ましい。焼成工程開始直前の段階での厚みが40μm未満では、焼成後の焼結体層の厚みが薄すぎて、センサを湾曲させた時に第1の電極としての金属薄板から焼結体層が剥離するおそれがある。一方、焼成工程開始直前の段階での厚みが200μmを越えれば、焼成後の焼結体層の厚みも厚くなりすぎ、その結果、後述するように充分な可撓性を焼結体層に与えることが困難となるおそれがある。
〔第1電極貼着工程P4〕
得られたシートは、最終的に得るべき厚みセンサの形状、大きさに応じて適切な寸法、形状に切断し、その切断されたシートを、第1の電極としての金属薄板の一方の板面に貼着する。この金属薄板は、電極として機能するだけではなく、その後の焼成工程や厚みセンサとしての使用時において支持体として機能するものである。
この金属薄板の材質は特に限定されないが、その後の焼成工程での焼成温度や耐食性などを考慮して、白金(Pt)を用いることが望ましい。また第1の電極としての金属板の厚みは、15μm〜100μmとすることが好ましい。その厚みが15μm未満では、強度が不充分で、センサ製造工程中のハンドリングに支障をきたすおそれがあるとともに、厚みセンサとしての使用時において変形あるいは破損してしまうおそれがある。一方、その厚みが200μmを越えれば、金属薄板の可撓性が低下して、厚みセンサ全体としての可撓性が劣るようになり、その結果、使用時において厚み測定対象の配管などの湾曲部分に貼着することが困難となるおそれがある。
ここで、切断されたシートを第1の電極としての金属薄板の板面に貼着するための具体的方法は特に限定されないが、例えば切断されたシートの表面に、適宜の溶剤(例えばエタノール)を吹き付けもしくは塗布して、シートの表面層のみを溶解させ、その状態で金属薄板の板面に貼り付け、必要に応じて圧力を加えて圧着させればよい。あるいはまた、前記と同様な溶剤中に切断されたシートを浸漬させて表面層を軟質化させ、金属薄板の板面に貼り付けても良い。
〔焼成工程P5〕
続いて、前述のようにして第1の電極としての金属薄板の板面に切断シートを貼着した状態で、そのシートを加熱して焼成する。この焼成工程は、加熱温度を1100〜1170℃の範囲内として、焼成後の状態(圧電材料焼結体層)の密度が70〜80%の範囲内となるように焼成することが望ましい。
ここで、焼成後のセラミック焼結体の密度が80%と越える高密度となれば、焼結体層の剛性が高くなって、可撓性が劣る状態となり、その結果、厚みセンサとしての使用時においてセンサを湾曲させれば、焼結体層が第1の電極としての金属薄板から剥離したり、クラックが発生したりするおそれがあり、したがって厚さ測定対象の配管などの湾曲部分に適用することが困難となる。また同時に密度が80%を越える高密度となるように焼成した場合、焼成時の収縮が大きくなって、第1の電極としての金属薄板(支持体)から剥離してしまうおそれが強く、その結果、第1の電極としての金属薄板上に密着した焼結体層を得ることが困難となる。
一方、焼成後のセラミック焼結体の密度が70%未満の低密度では、焼結体層の空隙率が高すぎて、焼結体層内部の粒子が充分に結合されていない状態となり、そのため、その後の工程におけるハンドリング時やセンサとしての使用時に焼結体層が粉体状に剥落してしまうおそれがあり、また同時に、焼結体層内部の空隙率が高くなって、厚さ測定のための超音波センサとして充分な圧電特性が得られなくなるおそれがある。
したがって焼成後のセラミック焼結体の密度は、70〜80%の範囲内とすることが望ましいが、このような密度の焼結体層を形成するためには、焼成温度を1000〜1170℃の範囲内とすることが好ましい。すなわち、焼成温度が1170℃を超える高温となれば、焼成時に粉体粒子同士の焼結反応が急速に進行して、密度が80%以下の焼結体層を得ることが困難となる。一方、焼成温度が1000℃未満の低温では、粉体粒子同士の焼結反応が充分に進行せず、焼結体層の密度を70%以上に高めることが困難となる。なお焼成温度は、1000〜1170℃の範囲内でも、特に1050〜1150℃の範囲内が好ましい。
また焼成時の雰囲気は、空気(大気)とすることが好ましい。さらに焼成時間は、焼成温度によっても異なるが、通常は1〜10時間とすることが好ましい。
このような焼成工程によって、支持体を兼ねた第1の電極としての金属薄板の一方の板面に、所定の厚み、所定の密度の圧電材料焼結体層が形成される。
なお、焼成後の圧電材料焼結体層の厚みは、30〜150μmの範囲内とすることが好ましい。焼成後の圧電材料焼結体層の厚みが30μm未満では、センサを湾曲させた時に第1の電極としての金属薄板から焼結体層が剥離するおそれがある。一方、焼成後の圧電材料焼結体層の厚みが150μmを越えれば、圧電材料焼結体層の可撓性が低下し、厚みセンサ全体としても可撓性が損なわれて、厚み測定対象の湾曲部位に追従させ難くなるおそれがある。
〔第2電極形成工程P6〕
この第2電極形成工程は、前記第1の電極(金属薄板)の対極となる第2の電極を、前記圧電材料焼結体層の上面(第1の電極に対し反対側の面)に形成する工程である。
第2の電極形成のための具体的手段は特に限定されないが、例えば銀(Ag)などの電極用の導電性金属の粉末をペースト化しておき、そのペーストを焼結体層表面に塗布して焼き付けたり、あるいは電極用の導電性金属の薄膜を焼結体層の表面に載置もしくは貼着して焼き付けたりすれば良い。なおこの第2の電極の厚みは、10〜100μmとすることが好ましい。第2の電極の厚みが100μmを越えれば、厚みセンサの可撓性を損なうおそれがあり、一方10μm未満に薄く第2の電極を形成した場合、焼結体層表面の凹凸によって局部的に第2の電極が不連続となってしまうおそれがある。
このようにして、支持体を兼ねた第1の電極(金属薄板)の一方の板面にセラミック圧電材料からなる焼結体層が形成され、さらにその焼結体層の表面に第2の電極が形成された積層体が得られる。なおここで、第1、第2の電極は、次の分極処理時における分極電圧印加のための電極として機能すると同時に、厚さセンサとしての使用時において超音波送受信のための電極として機能する。
〔分極処理工程P7〕
その後、前記積層体における第1及び第2の電極の間に直流の電位差を印加して、分極処理を行う。この分極処理は、従来の一般的な圧電素子の製造の場合と同様に行なえばよい。
このように分極処理を施すことによって、焼結体層は圧電特性を示すようになり、したがって超音波厚みセンサに使用できるようになる。
なお実際の超音波センサでは、前記第1の電極、第2の電極に、超音波測定のための電圧信号の入出力ためのリード線を取り付けておく必要がある。そこで分極処理の後、もしくは分極処理の前に、各電極に導電ペーストなどを用いてそれぞれリード線を取り付けておくのが通常である。
上記のようにして製造された超音波厚みセンサ、及びその使用時の状況を図2に示す。
図2において、符号1は、超音波厚みセンサ9の第1の電極(支持体を兼ねた金属薄板)であり、その第1の電極1の一方の板面に、圧電材料焼結体層(例えばPZT圧電セラミック層)3が形成されており、更にその圧電材料焼結体層3の表面に第2の電極5が形成されている、そして第1の電極1、第2の電極5のそれぞれからは、リード線7A、7Bが引き出されている。このように構成された厚みセンサ9は、その第1の電極1の片面が厚さ測定対象物(金属管の管壁、容器の外壁など)11の表面に接するように、接着剤13などを用いて貼り付けることによって、その測定対象物の厚みを随時測定することができる。なおこの際の接着剤13としては、銀ペースト、ガラスペーストなどを使用すればよい。
以上のような本発明の実施形態により製造された超音波厚みセンサは、全体として第1の電極、焼結体層、第2の電極の3層構造からなる極めて薄型のものであって、配管の外側に保護や断熱などのために外被を設ける場合でも、配管組み立て時において予め配管の外面に接着しておき、その厚みセンサの外側から配管の保護や断熱のための外被を設け、その状態で配管設備をそのまま使用し、そのままの状態で適宜厚み測定をおこなうことができる。そしてその場合には、厚み測定前における外被の剥離や、測定後の外被修復作業が不要となり、また厚み測定前に対象物の表面に超音波媒体を塗布する作業、及び測定後に超音波媒体を拭き取る作業も不要となる。
またこの超音波厚みセンサは、全体として薄質で可撓性を有しているため、図3に示したように、配管などの測定対象物11の表面が湾曲している場合であっても、その湾曲面に沿って超音波厚みセンサ9を接着して、湾曲部位における厚み測定を行なうことができる。
以下に本発明の実施例を記す。
〔実施例1〕
PZT粉末100重量部に対し、分散剤としてのポリエチレンイミンを1重量部、分散媒(溶剤)としてのエタノールを20重量部の割合に混合し、24時間ボールミルで分散処理した。なお使用したPZT粉末は、市販のものであって、成分組成がPb(Zr0.5Ti0.5)Oからなるものである。次に、このスラリー100重量部に対し、バインダとしてのポリビニルブチラールを15重量部、可塑剤としてのジブチルフタレートを12重量部の割合になるように、スラリーに加え、1時間混合したスラリーを、ロータリーエバポレータを用いて、脱泡を行うと同時に、脱溶媒(エタノールの除去)を行い、粘度を12000mPa・sのスラリーとし、ドクターブレード成形装置を使用して、厚さ0.5mmのスラリーを引いた。そのスラリーを自然乾燥させて、厚さが乾燥前の約1/3の170μmのシートを得た。
次いでシートを8mm角の正方形に切断し、その切断シート片を、第1の電極としての、1cm×2cm角、厚さ0.05mmの白金板の中央に貼り付けた。貼り付けに当たっては、前記切断シート片の片面にエタノールを霧吹きにより吹き付け、表面層を溶解させた状態で白金板の中央に貼着させ、圧着して接合した。
その後、焼成工程として、大気圧下の大気雰囲気において、昇温速度100℃/時間で1050℃まで加熱し、1050℃において1時間保持し、炉冷した。これにより、焼成されたPZTからなる厚み50μmの圧電材料焼結体層が、第1の電極としての厚さ0.05mmの白金板の上に焼き付けられたものが得られた。更にそのPZTからなる圧電材料焼結体層(8mm角)の中央に、5mm丸で第2の電極用の銀ペーストを塗布し、500℃で焼き付けて、平均厚み20μmの第2の電極(銀電極)を形成した。
このようにして第1の電極(白金板)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された積層体が得られた。なお圧電材料焼結体層の密度は、約75%であった。
その後、積層体を150℃のシリコンオイル中に浸漬し、積層体における第1の電極と第2の電極の間に2000V/mmの電位差を与える分極処理を10分間実施した。その後、第1の電極(白金板)と第2の電極(銀)のそれぞれに導電ペーストによりリード線を接着し、厚みセンサとした。
分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(特に圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として銀ペーストを用いて貼り付け、管壁の厚み測定を行なったところ、良好に作動して、厚みを確実に測定できることが確認された。
〔実施例2〕
PZT用の原料粉末として、PbO:1モル、ZrO2:0.5モル、TiO2:0.5モルの割合で配合するとともに、溶媒をエタノール、分散剤をポリエチレンイミンとし、ボールミルを用いて混練してスラリーとし、そのスラリーを乾燥させて、混合粉末を得た。その混合粉末を焼成炉に入れて、1100℃で10時間熱処理して、ペロブスカイト型粉末とした。塊となったので、乳鉢で粉砕し、150μm以下となるように粉砕した後、ボールミルを用いて、平均粒径2μmの微細なPZT粉末とした。
このPZT微細粉末に、バインダとしてポリビニルブチラールを15wt%、可塑剤としてジオクチルフタレートを5wt%添加してスラリーとし、脱泡処理を施した後、粘度が15000mPa・sになるようにし、ドクターブレード装置でギャップを250μmとして、シートを引いた。乾燥後のシートの厚さは120μmであった。
前記シートを8mm角に切断し、その切断シートをエタノールに浸漬して、表面を軟質化してから、その切断シートを、第1の電極としての白金板(厚さ100μm、1cm×2cm角)に貼り付けた。これを電気炉に入れ、大気雰囲気にて昇温速度2℃/minで1100℃まで加熱し、1100℃において1時間保持したのち、炉令した。これにより、焼成されたPZTからなる厚み80μmの圧電材料焼結体層が、第1の電極としての厚さ100μmの白金板の上に焼き付けられたものが得られた。更にそのPZTからなる圧電材料焼結体層(8mm角)の中央に、5mm丸で第2の電極用の銀ペーストを塗布し、500℃で焼き付けて、平均厚み20μmの第2の電極(銀電極)を形成した。
このようにして第1の電極(白金板)上にPZTからなる圧電材料焼結体層(圧電セラミック層)が形成されかつその圧電材料焼結体層上に第2の電極(銀)が形成された積層体が得られた。なお圧電材料焼結体層の密度は、約75%であった。
その後、積層体を150℃のシリコンオイル中に浸漬し、積層体における第1の電極と第2の電極の間に3000V/mmの電位差を与える分極処理を10分間実施した。その後、第1の電極(白金板)と第2の電極(銀)のそれぞれにリード線を導電ペーストにより接着し、厚みセンサとした。
分極処理後のサンプルについて、d33メータを用いて分極状況(特に圧電定数d33)を調べたところ、良好に分極されていることが確認された。また実際に超音波厚みセンサとして、ステンレス鋼製の外径10cm、肉厚8mmの管の管壁に、接着剤として銀ペーストを用いて貼り付け、管壁の厚み測定を行なったところ、良好に作動しかつ正しく厚みが測定されることが確認された。
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例について説明したが、これらの実施形態、実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能であることはもちろんである。
1 第1の電極(金属薄板)
3 圧電材料焼結体層(PZT圧電セラミックス層)
5 第2の電極
9 超音波厚みセンサ
11 厚さ測定対象物

Claims (12)

  1. 酸化物系圧電材料の原料粉末に、バインダ及び可塑剤を加えたスラリーを得るスラリー形成工程と、
    前記スラリーを所定の厚みのシート状に成形するシート成形工程と、
    前記シート成形工程によって得られたシートを、金属薄板からなる第1の電極の板面に貼着する第1電極貼着工程と、
    前記貼着工程終了後、前記シートを加熱して焼成し、圧電材料焼結体層を第1の電極の一方の板面上に形成する焼成工程と、
    前記焼成工程終了後、前記圧電材料焼結体層における前記第1の電極に対し反対側の表面に第2の電極を形成する第2電極形成工程と、
    前記第1の電極と第2の電極との間に電位差を与えて分極処理する分極処理工程と、
    を有してなることを特徴とする超音波厚みセンサの製造方法。
  2. 前記焼成工程によって、密度が70〜80%の範囲内の圧電材料焼結体層を得ることを特徴とする請求項1に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  3. 前記焼成工程における加熱温度を、1000〜1170℃の範囲内とすることを特徴とする請求項1、請求項2のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  4. 前記焼成工程によって、厚みが30〜150μmの範囲内の圧電材料焼結体層を得ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  5. 前記シート成形工程において、前記シートを、焼成工程直前の状態でその厚みが40〜200μmの範囲内となるように成形することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  6. 前記第1電極貼着工程において、第1の電極の金属薄板として、その厚みが、15〜
    100μmの範囲内のものを用いることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  7. 前記第2電極形成工程において、第2の電極の厚みが10〜100μmの範囲内となるように第2の電極を形成することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  8. 前記シート成形工程において、ドクターブレード成形装置によりシート状に成形することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  9. 前記酸化物系圧電材料からなる原料粉末として、ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物系圧電材料を用いることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  10. 前記原料粉末として、チタン酸ジルコン酸鉛系の圧電材料粉末を用いることを特徴とする請求項9に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  11. 前記第1の電極として白金を用いることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
  12. 前記第2電極形成工程において、前記圧電材料焼結体層の表面に、銀ペーストを塗布して焼付け、これによって第2の電極を形成することを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかの請求項に記載の超音波厚みセンサの製造方法。
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