JP5884337B2 - 感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、画像表示装置の隔壁の形成方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、画像表示装置の隔壁の形成方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、画像表示装置の隔壁の形成方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置に関する。
近年、紙のように薄く、持ち運びが自由で、文字や画像が表示可能な画像表示装置(PLD:Paper Like Display)が注目を集めている。かかる画像表示装置は、通常の印刷物としての紙の長所である視認性、携帯性を有し、更に、情報を電気的に書き換え可能であるため、環境やコストの面からも紙の代替品として実用化が試みられている。
画像表示装置の表示技術としては、電気泳動等により粒子を移動させるタイプ、液晶タイプ、電気化学タイプなど様々なタイプが考案されている(例えば、非特許文献1参照)。特に粒子を移動させるタイプとしては、マイクロカプセル型電気泳動方式、マイクロカップ型電気泳動方式、電子粉流体方式、トナーディスプレイ方式等の方式が検討されている。これらの方式では、透明電極間に表示媒体である白と黒の粒子を封入し電場をかけ、これらの粒子を電気的に移動させることにより白/黒画像を形成し表示させる。また、画像表示装置の駆動方式としては、アクティブ駆動とパッシブ駆動があり、画像表示装置用の背面技術(パネル回路)の検討もなされている。
上記粒子移動タイプの画像表示装置の場合、上記のように白/黒の粒子を封入するための隔壁が必要となる。かかる隔壁の形成方法としては、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。中でも、感光性樹脂組成物を用いて、活性光線の照射により高精細なパターンが効率よく形成できるフォトリソ法が注目されている。
最近では、画像表示装置のフレキシブル化の検討や、白/黒画像表示にカラーフィルターを組み合わせることにより、フルカラー表示を実現させるという報告例もある(例えば、非特許文献2参照)。
画像表示装置のフレキシブル化を行う際には、電極基板の屈曲性が必須である。従来、透明電極として用いられてきたITO(酸化インジウムスズ)では屈曲性に乏しいことから、近年、IZO(酸化インジウム亜鉛)、Agワイヤ・インク、有機導電材料等のITO代替品の検討がなされている(例えば、非特許文献3参照)。フレキシブル化の程度としては、たわませる事が可能な程度のものから、小さく丸めて、携行時に容積を少なくさせる事が可能な程度のものまで各種検討されている。小さく丸める場合の曲率半径としては、ITO電極基板の屈曲性の限界である15〜20mm程度が一般的に想定されているが、Agワイヤ・インクや有機導電材料、及びその組み合わせでは5〜15mm程度まで曲率半径を小さくすることができる。
また、フルカラー表示を行う際には、白/黒表示の画像表示装置にカラーフィルターを併用するため、各画素間のコントラストの向上が必須である。従って、各画素間の光を遮断するための遮光層が必要となる。モノクロ表示の場合は、カラーフィルターを使用せず、画像表示装置の画像の明度を上げるため、遮光性ではなく透明性を求められる場合もある。
フォトリソ法を用いた画像表示装置の隔壁は、以下のようにして形成される。すなわち、基板上にブラックマトリックスと呼ばれる遮光層をフォトリソ技術により積層する工程、更に上記遮光層上に感光性樹脂組成物を塗布、又は感光性エレメントを積層することにより感光性樹脂組成物層を形成する工程、上記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化させる工程、未露光部を除去して光硬化物パターンを形成する工程を含む方法が用いられる。なお、ブラックマトリックスと呼ばれる遮光層を省略する場合もある。従って、画像表示装置の隔壁を形成するための感光性樹脂組成物には、一般に、感度、解像度及び基板への密着性が要求される。
また、画像表示装置を製造する場合、上記工程で得た光硬化物パターン内に、粒子等の表示媒体を充填する工程、上記光硬化物パターンを熱処理する工程、電極基板を貼り付ける工程等を更に含む。これにより、感光性樹脂組成物層の硬化物を隔壁とする画像表示装置が得られる。
特開2007−178881号公報
鈴木 明、"電子ペーパーの最新動向2007"、平成19年10月10日、日本画像学会誌 第46巻 第5号:372−384(2007) 田沼 逸夫、"電子粉流体を用いたフレキシブル電子ペーパー"、平成19年10月10日、日本画像学会誌 第46巻 第5号:396−400(2007) 根津 禎、"透明電極に新材料を導入"、平成21年8月10日、日経エレクトロニクス 59−65(2009)
上記電極基板を貼り付ける工程においては、高温高湿下で電圧を印加するため、感光性樹脂組成物の硬化物と密着した電極部分が溶解する可能性がある。実際に、フレキシブル対応電極基材として検討がされているIZOは、両性金属の亜鉛を含有するため、上記電極基板を貼り付ける工程において溶解してしまうという問題があった。更に、高度な屈曲性を有し、曲率半径5〜15mm程度まで対応可能な電極材料、例えば電極材料にAgワイヤ・インクや有機導電材料、及びその組み合わせを用いた場合では、隔壁材料が屈曲時に破損してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、電極の溶解を抑えると共に、屈曲時の破損を抑制できる隔壁を形成することが可能な感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、画像表示装置の隔壁の形成方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも表示面に透明電極を備えた屈曲性を有する画像表示装置における、画素を分離する隔壁を形成するための感光性樹脂組成物であって、上記感光性樹脂組成物は、(A)成分:分子内にカルボキシル基を有するバインダーポリマー、(B)成分:光重合性化合物、(C)成分:光重合開始剤、及び、(D)成分:分子内にエポキシ基を有する化合物、を含有し、上記感光性樹脂組成物を光硬化させた後、空気下120℃で1時間加熱してなる幅10mm、厚さ45μmのシート状の硬化物の、25℃における伸び率が40%以上である、感光性樹脂組成物を提供する。
上記構成を有する感光性樹脂組成物によれば、画像表示装置の隔壁を形成する際に問題となる電極の溶解を抑えたまま、屈曲時の破損を抑制できる隔壁を形成することができる。また、上記感光性樹脂組成物によれば、解像度及び密着性に優れた光硬化物パターンを感度良く形成することができる。上記構成の感光性樹脂組成物により電極の溶解が抑制される詳細な理由は明らかではないが、感光性樹脂組成物の硬化物に残存するカルボキシル基を上記(D)成分がトラップすることで、電極の溶解が抑えられるものと考えられる。また、屈曲時の隔壁の破損が抑制されるのは、感光性樹脂組成物の硬化物の架橋密度を低下させて伸び率を上記範囲となるように調整することで、画像表示装置の屈曲時の伸びに隔壁が破損することなく追従可能となるためであると考えられる。本発明の感光性樹脂組成物によれば、曲率半径5〜15mm程度で画像表示装置を屈曲した場合でも、破損の発生を十分に抑制可能な隔壁を形成することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、更に(E)成分:無機系黒色顔料を含有していてもよい。また、上記(E)成分は、チタンブラックを含むことが好ましい。かかる(E)成分を含有することにより、光感度と遮光性という相反する特性をバランス良く維持することができる。その一方、画像表示装置の明度を向上させるため、この無機系黒色顔料((E)成分)を一切含まない隔壁形成用感光性樹脂組成物及びこれを用いた感光性エレメントが求められる場合もあるので、(E)成分は必要に応じて添加すればよい。
本発明はまた、支持体と、該支持体上に形成された上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性エレメントを提供する。このような感光性エレメントを用いることにより、画像表示装置の隔壁を形成する際に問題となる電極の溶解を抑えたまま、屈曲時の破損を抑制できる隔壁を形成することができる。また、かかる感光性エレメントによれば、解像度及び密着性に優れた光硬化物パターンを感度良く形成することができる。
本発明はまた、少なくとも表示面に配置された透明電極と、画素を分離する隔壁とを備える、屈曲性を有する画像表示装置の隔壁の形成方法であって、上記画像表示装置の基板上に、上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、上記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、上記感光性樹脂組成物層の上記露光部以外の部分を除去して光硬化物パターンを形成する現像工程と、を有する、画像表示装置の隔壁の形成方法を提供する。
本発明は更に、少なくとも表示面に配置された透明電極と、画素を分離する隔壁とを備える、屈曲性を有する画像表示装置の製造方法であって、上記本発明の画像表示装置の隔壁の形成方法により上記隔壁を形成する工程を有する、画像表示装置の製造方法を提供する。
上記画像表示装置の隔壁の形成方法及び画像表示装置の製造方法によれば、上述した本発明の感光性樹脂組成物によって隔壁を形成しているため、隔壁を形成する際の電極の溶解が抑制されるとともに、屈曲時の破損を抑制できる隔壁を形成することができる。
上記画像表示装置の製造方法において、上記透明電極は、少なくとも1種類の金属導電性繊維を含む溶液を塗布して形成された材料で構成されたものであることが好ましい。これにより、曲率半径5〜15mm程度まで対応可能な優れた屈曲性を有する画像表示装置を形成することができる。なお、この電極材料としては、Agワイヤ・インク等が挙げられる。
また、上記画像表示装置の製造方法は、上記隔壁内に表示媒体を充填する工程と、一方の基板に対向するように隔壁の反対側に基板を貼り付ける工程と、を更に含むことが好ましい。
本発明はまた、上述した製造方法により製造される、画像表示装置を提供する。これらの画像表示装置は、上述した製造方法により製造されているため、透明電極の溶解が抑制されるとともに、屈曲時の破損を抑制できる隔壁を備えており、装置としての信頼性が高くなる。
本発明によれば、高温高湿下で電圧を印加した際の電極の溶解を抑えつつ、屈曲時の破損を抑制できる画像表示装置用の隔壁を形成することが可能な感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、画像表示装置の隔壁の形成方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置を提供することができる。
本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の感光性エレメントを用いた画像表示装置の隔壁の形成方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル及びそれに対応するメタクリロイルを意味する。
(感光性樹脂組成物)
本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも表示面に透明電極を備えた屈曲性を有する画像表示装置における、画素を分離する隔壁を形成するための感光性樹脂組成物であって、(A)成分:分子内にカルボキシル基を有するバインダーポリマー、(B)成分:光重合性化合物、(C)成分:光重合開始剤、及び、(D)成分:分子内にエポキシ基を有する化合物、を含有し、上記感光性樹脂組成物を光硬化させた後、空気下120℃で1時間加熱してなる幅10mm、厚さ45μmのシート状の硬化物の、25℃における伸び率が40%以上であることを特徴とするものである。
以下、本発明の感光性樹脂組成物で使用できる各成分について詳細に説明する。
(A)成分:分子内にカルボキシル基を有するバインダーポリマー
本発明に用いることのできる(A)成分としては、分子内にカルボキシル基を有し、フィルム性を付与できるものであれば特に制限なく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。中でも、アクリル系樹脂が、アルカリ現像性の観点からは好ましい。これらは単独で、又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。二種類以上のバインダーポリマーの組み合わせの例としては、異なる共重合成分からなる二種類以上のバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の二種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の二種類以上のバインダーポリマー等が挙げられる。また、特開平11−327137号公報記載のマルチモード分子量分布を有するポリマーを用いることもできる。なお、必要に応じて、バインダーポリマーは感光性基を有していてもよい。
(A)成分は、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体とをラジカル重合させることにより製造することができる。重合性単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン等の重合可能なスチレン誘導体;アクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系単量体;マレイン酸;マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノイソプロピルエステル等のマレイン酸モノエステル;フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸が挙げられる。カルボキシル基を有する重合性単量体としては、現像性及び安定性の観点から(メタ)アクリル酸が好ましい。また、これらは単独でホモポリマーとして、又は二種類以上を組み合わせてコポリマーとして用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、及びこれらの構造異性体が挙げられる。
(A)成分としては、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸ブチルを含有するアクリルコポリマーが、現像性、解像度に優れる点では好ましい。
(A)成分の酸価は、解像度に優れる点では、30mgKOH/g以上であることが好ましく、80mgKOH/g以上であることがより好ましく、130mgKOH/g以上であることが更に好ましく、180mgKOH/以上であることが特に好ましい。耐現像液性及び密着性に優れる点では、250mgKOH/g以下であることが好ましく、240mgKOH/g以下であることがより好ましく、230mgKOH/g以下であることが更に好ましく、220mgKOH/g以下であることが特に好ましい。なお、現像工程として溶剤による現像を行う場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体の使用量を抑えて調製することが好ましい。
ここで、酸価は、次のようにして測定することができる。すなわち、まず、酸価を測定すべき樹脂の溶液約1gを精秤した後、この樹脂溶液にアセトンを30g添加し、これを均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、次式により酸価を算出する。
A=10×Vf×56.1/(Wp×I)
式中、Aは酸価(mgKOH/g)を示し、Vfは0.1NのKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定した樹脂溶液の質量(g)を示し、Iは測定した樹脂溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
(A)成分の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線により換算)は、耐現像液性に優れる点では、20,000以上であることが好ましく、25,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが更に好ましい。現像時間を短くできる観点からは、300,000以下であることが好ましく、150,000以下であることがより好ましく、100,000以下であることが更に好ましい。なお、バインダーポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することとする。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は、以下に示すとおりである。
[GPC測定条件]
ポンプ:日立 L−6000型(株式会社日立製作所製)
カラム:Gelpack GL−R420 + Gelpack GL−R430 +
Gelpack GL−R440(計3本)(以上、日立化成工業株式会社製、商品名)溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:25℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI(株式会社日立製作所製)
感光性樹脂組成物における(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、感光性樹脂組成物の塗膜性に優れる点では、40質量部以上が好ましく、45質量部以上がより好ましい。光硬化物の機械的強度に優れる点では、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。
(B)成分:光重合性化合物
本発明に用いることのできる(B)成分としては、光架橋が可能であれば特に制限はないが、例えば、(B1)成分:分子内にエチレン性不飽和基及びウレタン結合を有する化合物、(B2)成分:多価アルコール及び/又はグリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、(B3)成分:分子内にエチレン性不飽和結合を1つ有する化合物が挙げられる。
(B1)成分:分子内にエチレン性不飽和基及びウレタン結合を有する化合物
硬化物の伸びを向上させることができ、フレキシブル基板への密着性に優れる点では、(B1)成分を含むことが好ましい。
本発明に用いることのできる(B1)成分としては、特に制限はないが、イソシアヌル環構造を有する化合物を含有することが好ましい。イソシアヌル環構造を有する化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005884337


[式(1)中、Rは各々独立に、下記一般式(2)で表される基、下記一般式(3)で表される、又は、下記一般式(4)で表される基を示し、Rのうち少なくとも1つは下記一般式(4)で表される基である。]
Figure 0005884337


[式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは1〜15の整数を示す。]
Figure 0005884337


[式(3)中、mは1〜15の整数である。]
Figure 0005884337


[式(4)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、nは1〜9の整数を示し、mは1〜15の整数を示す。]
弾性率、密着性の観点からは、一般式(1)中のRのうち少なくとも2つは、一般式(4)で表される基であることがより好ましく、Rの全てが一般式(4)で表される基であることが更に好ましい。
一般式(2)、(3)、(4)中、耐薬品性に優れる点では、mは1〜6の整数であることが好ましい。また、一般式(4)中、機械強度に優れる点では、mは3〜6の整数であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物で、市販のものとしては、例えば、NKオリゴUA−21EB(新中村化学工業株式会社、商品名、一般式(1)中、Rが全て一般式(4)である化合物)が挙げられる。
また、(B1)成分としては、ポリカーボネート化合物及び/又はポリエステル化合物の末端のヒドロキシル基とジイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応に由来するウレタン結合を有し、かつ複数の末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物と、ヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基を有する化合物とを縮合反応させることで得ることができる化合物を含むことが好ましい。
これらの化合物は、常法によって合成したものを用いてもよく、市販のものを用いることもできる。市販のものとしては、例えば、UF−8003M、UF−TCB−50、UF−TC4−55(以上商品名、共栄社化学株式会社製)、HT9082−95(商品名、日立化成工業株式会社製)が挙げられる。
更に、上記以外の(B1)成分としては、例えば、β位に水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーと、イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物;EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、製品名UA−11が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、製品名UA−13が挙げられる。
(B2)成分:多価アルコール及び/又はグリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物
(B2)成分としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート化合物;テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等のテトラメチロールメタン(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート化合物;ビスフェノールAジオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジ(メタ)アクリレート等のビスフェノールAジオキシエチレンジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート及びビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリレートが挙げられる。
中でも、硬化膜の低弾性を維持しつつ、解像度及び密着性に優れる点では、(B2)成分として、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、下記一般式(5)、(6)又は(7)で表される化合物を含むことがより好ましい。
Figure 0005884337

上記一般式(5)、(6)又は(7)中、Rは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示す。m、m、m及びmはオキシエチレン基からなる構造単位の繰り返し数を示し、n、n、n及びnは、オキシプロピレン基からなる構造単位の繰り返し数を示し、オキシエチレン基の繰り返し総数m+m、m及びmは、それぞれ独立に1〜30の整数を示し、オキシプロピレン基の繰り返し総数n、n+n及びnは、それぞれ独立に1〜30の整数を示す。
上記一般式(5)、(6)又は(7)で表される化合物において、オキシエチレン基の繰り返し総数m+m、m及びmは、それぞれ独立に1〜30の整数であり、1〜10の整数であることが好ましく、4〜9の整数であることがより好ましく、5〜8の整数であることが更に好ましい。解像度、密着性に優れる点では、この繰り返し数の総数が、10以下が好ましく、9以下がより好ましく、8以下が更に好ましい。
また、オキシプロピレン基の繰り返し総数n、n+n及びnは、それぞれ独立に1〜30の整数であり、5〜20の整数であることが好ましく、8〜16の整数であることがより好ましく、10〜14の整数であることが更に好ましい。解像度の向上及びスラッジの低減に優れる点では、この繰り返し数の総数が、20以下が好ましく、16以下がより好ましく、14以下が更に好ましい。
上記一般式(5)で表される化合物としては、R=メチル基、m+m=6(平均値)、n=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業株式会社製、商品名:FA−023M)等が挙げられる。上記一般式(6)で表される化合物としては、R=メチル基、m=6(平均値)、n+n=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業株式会社製、商品名:FA−024M)等が挙げられる。上記一般式(7)で表される化合物としては、R=水素原子、m=1(平均値)、n=9(平均値)であるビニル化合物(新中村化学工業株式会社製、試料名:NKエステルHEMA−9P)等が挙げられる。
(B3)成分:分子内にエチレン性不飽和結合を1つ有する化合物
(B3)成分としては、特に制限はないが、解像度に優れる点では、下記一般式(8)で表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 0005884337


[式(8)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子、メチル基又はハロゲン化メチル基のいずれかを示し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基のいずれかを示し、pは0〜4の整数を示す。なお、pが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。−(O−A)−はオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を示し、−(O−A)−の繰り返し総数aは1〜4の整数を示す。]
上記一般式(8)で表される化合物としては、例えば、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、及びβ−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレートが挙げられ、なかでも、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレートが好ましい。γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレートは、FA−MECH(日立化成工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。
上記(B)成分は、単独で、又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物における(B)成分の含有量は、解像度及び密着性と、フィルム形成性の観点から、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、30〜60質量部の範囲とすることが好ましく、40〜55質量部とすることがより好ましい。
ところで、感光性樹脂組成物の硬化物の架橋密度は、主として、上述した(A)成分及び(B)成分の組み合わせにより調整することが可能である。これらを調整し、感光性樹脂組成物を光硬化させた後、空気下120℃で1時間加熱してなる幅10mm、厚さ45μmのシート状の硬化物の、25℃における伸び率を40%以上に調整することで、画像表示装置の屈曲時の伸びに隔壁が破損することなく追従可能となり、隔壁の破損を十分に抑制することが可能となる。本発明の感光性樹脂組成物によれば、曲率半径5〜15mm程度で画像表示装置を屈曲した場合でも、破損の発生を十分に抑制可能な隔壁を形成することができる。
(C)成分:光重合開始剤
本発明に用いることのできる(C)成分としては、使用する露光機の光波長にあわせたものであれば特に制限はなく、具体的には例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメトキシ−2−フェニルエタン−1−オン、1−(4−メトキシフェニル)−2−メトキシ−2−エトキシ−2−フェニルエタン−1−オン、1−(4−メトキシフェニル)−2−メトキシ−2−プロポキシ−2−フェニルエタン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(通称ベンジルジメチルケタール)等のベンジルケタール等のベンジル誘導体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体;クマリン系化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等のイミダゾール二量体;が挙げられる。また、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは、単独で、又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、(C)成分としては、感光性樹脂組成物の硬化後のレジスト底部の硬化性に優れる点では、ベンジルケタール等のベンジル誘導体を含むことが好ましく、感光性樹脂組成物の硬化後のレジスト上部の硬化性に優れる点では、アクリジン誘導体を含むことが好ましく、上底部の硬化性に優れる点では、ベンジルケタール等のベンジル誘導体及びアクリジン誘導体の双方を含むことが好ましい。特に感光性樹脂組成物からなる層の膜厚が厚くなればなるほど、レジスト底部の硬化性及びレジスト上部の硬化性をバランスよく調整することが必要となる。
中でも、(C)成分としては、解像度を良好にし、硬化後のレジストの裾引きを抑える点では、アクリジン誘導体及びベンジル誘導体を含むことが好ましく、特に1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンの双方を含むことが好ましい。
感光性樹脂組成物における(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、光感度に優れる点では、0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましい。また、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、感光性樹脂組成物の内部の光硬化性に優れる点では、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
中でも、上記(C)成分として、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンを含む場合、その含有量は、上記(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、光感度に優れる点では、0.05〜1質量部であることが好ましく、0.1〜0.5質量部であることがより好ましい。
また、上記(C)成分として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンを含む場合、その含有量は、上記(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、光感度及び密着性に優れる点では、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。また、加熱処理の工程にて、アウトガスを抑える観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
(D)成分:分子内にエポキシ基を有する化合物
本発明で用いることのできる(D)成分としては、分子内にエポキシ基(オキシラン環)を有する化合物が挙げられる。
分子内にエポキシ基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及びそれらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
これらの化合物としては市販品を用いることができる。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとしては、エピコート828、エピコート1001及びエピコート1002(いずれもジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)、並びに、エピクロン1055(DIC株式会社製、商品名)を挙げることができる。
ビスフェノールFジグリシジルエーテルとしては、エピコート807(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)等を挙げることができ、ビスフェノールSジグリシジルエーテルとしては、EBPS−200(日本化薬株式会社製、商品名)、エピクロンEXA−1514(DIC株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
また、ビフェノールジグリシジルエーテルとしては、YL−6121(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)等を挙げることができ、ビキシレノールジグリシジルエーテルとしては、YX−4000(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
更に、水添ビスフェノールAグリシジルエーテルとしては、ST−2004及びST−2007(いずれも東都化成株式会社製、商品名)等を挙げることができ、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、エピクロンHP−7200L(DIC株式会社製、商品名)等を挙げることができ、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、エピクロンN−665−EXP、エピクロンN−670−EXP−S(DIC株式会社製、商品名)等を挙げることができる。また、上記した二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ST−5100及びST−5080(いずれも東都化成株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
これらの中でも、電極の溶解を抑える点では、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。また、上記(D)成分は、単独で、又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物における(D)成分の含有量は、上記(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、電極の溶解を抑える点では、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また、感光性樹脂組成物がフィルム形成性に優れる点では、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
(E)成分:無機系黒色顔料
本発明で用いることのできる(E)成分としては、例えば、チタンブラック、カーボンブラック、コバルトブラックが挙げられ、波長360nm及び405nmの光の透過性が良好である点で、チタンブラックが好ましい。
感光性樹脂組成物における(E)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、遮光性に優れる点では、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。また、密着性及び解像度に優れる点では、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
以上のような成分を含む感光性樹脂組成物は、更に必要に応じて、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、黒色以外の顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などを、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部程度含有することができる。これらは単独で、又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
以上のような成分を含む本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、含有成分をロールミル、ビーズミル等で均一に混練、混合することにより得ることができる。また、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して、固形分30〜60質量%程度の溶液として用いることができる。
得られた感光性樹脂組成物を用いて画像表示装置用基板上に感光物樹脂組成物層を形成する方法としては、特に制限はないが、上記基板上に感光性樹脂組成物を液状レジストとして塗布して乾燥する方法を用いることができる。また、必要に応じて感光性樹脂組成物層上に保護フィルムを被覆することができる。更に、後に詳しく述べるが、感光性樹脂組成物層を感光性エレメントの形態で用いることが好ましい。液状レジストとして使用し、塗布後に保護フィルムを被覆して用いる場合の保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムが挙げられる。
感光性樹脂組成物は、該感光性樹脂組成物を光硬化させた後、空気下120℃で1時間加熱してなる幅10mm、厚さ45μmのシート状の硬化物の、25℃における伸び率が40%以上となるものである。この伸び率は、屈曲時の破損を抑制する観点から、40%以上であり、60%以上であることがより好ましい。硬化物の伸び率は、硬化物の架橋密度を(A)成分及び(B)成分の組み合わせにより低下させることで調整することができる。
ここで、感光性樹脂組成物の光硬化は、該感光性樹脂組成物を用いて隔壁を形成する際に必要なエネルギー量で露光し、必要に応じて現像することで実施される。上記エネルギー量は、好ましくは、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が29.0となるエネルギー量である。
硬化物の伸び率の具体的な測定方法としては、硬化物を幅10mm、厚さ45μmのシート状に形成し、温度25℃、チャック間距離50mm、速度2cm/minの一定速度で硬化物が破断するまで引っ張った場合の伸び率(%)を、下記式により求める方法が用いられる。
伸び率(%)={(破断時の長さ−初期の長さ)/初期の長さ}×100
また、感光性樹脂組成物は、該感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を透明電極上に形成し、該感光性樹脂組成物層を光硬化させた後、空気下120℃で1時間加熱し、60℃、90%RHの条件下で、透明電極に80Vの直流電圧を100時間印加した際に、断線しないものであることが好ましい。
ここで、感光性樹脂組成物層の光硬化は、該感光性樹脂組成物層を用いて隔壁を形成する際に必要なエネルギー量で露光し、必要に応じて現像することで実施される。上記エネルギー量は、好ましくは、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が29.0となるエネルギー量である。
透明電極の溶解についての具体的な判断方法としては、陽極の抵抗値をテスターで測定し、測定可能であるものを溶解による断線なしとし、測定不能であるものを溶解による断線ありと判断する。また、測定可能であるものについては、初期抵抗値からの上昇率を求めることもできる。
(感光性エレメント)
図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、本発明の感光性エレメント10は、支持体1と、その上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層2と、感光性樹脂組成物層2上に形成された保護フィルム3と、を備える。なお、保護フィルム3は、必要に応じて設けられる。
支持体1としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムを好ましく用いることができる。重合体フィルムの厚みは、1〜100μm程度であることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、10〜30μmであることが更に好ましい。また、支持体1が透明である場合、感光性樹脂組成物層2への露光を行う際に、支持体1を通して露光を行うことができるため、好ましい。
支持体1上への感光性樹脂組成物層2の形成方法は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物の溶液を塗布、乾燥することにより好ましく実施できる。塗布される感光性樹脂組成物層の厚みは、要求される特性によっても異なるが、乾燥後の厚みで10〜100μm程度であることが好ましく、20〜100μmであることがより好ましく、30〜100μmであることがさらに好ましく、40〜100μmであることが特に好ましい。
塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。乾燥は、例えば70〜150℃、2〜30分間程度で行うことができる。また、感光性樹脂組成物層2中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2質量%以下とすることが好ましい。
支持体1上に形成された感光性樹脂組成物層2上に保護フィルム3を積層して、感光性樹脂組成物層2の表面を被覆してもよい。保護フィルム3としては、感光性樹脂組成物層2と支持体1との間の接着力よりも、感光性樹脂組成物層2と保護フィルム3との間の接着力の方が小さくなるものが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系フィルムやポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステルフィルムが用いられる。ポリエステルフィルムを支持体1として用い、保護フィルム3に同種のポリエステルフィルムを用いる場合には、保護フィルム3の感光性樹脂組成物層に接触する面に加工処理をしたものを用いることが好ましい。
また、これらの保護フィルム3は、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。ここで、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、二軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものを意味する。すなわち、「低フィッシュアイ」とは、フィルム中の上記異物等が少ないことを意味する。
更に、感光性エレメント10は、感光性樹脂組成物層2、支持体1及び任意の保護フィルム3の他に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層や保護層を有していてもよい。
製造された感光性エレメント10は、通常、円筒状の巻芯に巻きとって貯蔵される。なお、この際、支持体1が外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。ここで言うエッジフュージョンとは、コールドフローとも称される端面から感光性樹脂組成物層2が染み出してくる現象を表す。この現象が発生すると、隔壁形成時の異物発生源となるため、好ましくない現象である。また、梱包方法として、透湿性が小さく遮光性に優れる黒色シートに包んで包装することが好ましい。上記巻芯の材質としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックが挙げられる。
(画像表示装置の隔壁の形成方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置)
次に、本発明の感光性樹脂組成物又は感光性エレメントを用いた画像表示装置の隔壁の形成方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置について説明する。
まず、図2(a)に示すように、電極4と基板5とからなる電極基板30を用意し、図2(b)に示すように、この電極基板30上に、上述した感光性エレメント10における感光性樹脂組成物層2及び支持体1を積層する(積層工程)。
電極基板30を構成する基板5としては、屈曲性を有する基板であれば特に制限されず、例えば、ポリマーフィルム基板のような絶縁基板、及び、シリコン基板等の半導体基板が挙げられる。電極基板30としては、このような基板5上にITO、IZO、Agワイヤ・インクのような屈曲性を有する電極4が形成されたものが挙げられる。電極4の形成方法としては、蒸着、スパッタリング等の方法で積層した電極材料をフォトリソ手法を用いてパターン形成する方法や、感光性を有する電極材料をパターニングする方法などが挙げられる。この電極4の形成方法に関しては特に制限はない。
電極基板30上への感光性樹脂組成物層2の積層方法としては、上述した感光性エレメント10を用いる方法のほか、感光性樹脂組成物の溶液を電極基板30上に塗布し乾燥する方法を用いることもできる。
感光性エレメント10を用いる積層方法は、感光性樹脂組成物層2上に保護フィルム3が存在している場合には、保護フィルム3を除去しながら電極基板30上へ積層する。上記積層条件としては、例えば、感光性樹脂組成物層2を70〜130℃程度に加熱しながら、電極基板30上に0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm程度)の圧力で圧着することにより積層する方法等が挙げられ、減圧下で積層することも可能である。電極基板30表面の形状は、通常は電極パターンが形成されているが、平坦であったり、必要に応じて凹凸が形成されていてもよい。
感光性樹脂組成物層2の積層後、図2(b)に示すように、感光性樹脂組成物層2に画像状に活性光線8を照射して、露光部を光硬化させる(露光工程)。画像状に活性光線8を照射させる方法としては、図2(b)に示すように、感光性樹脂組成物層2上にマスクパターン7を設置して画像状に活性光線8を照射し、露光部の感光性樹脂組成物層2を光硬化させる方法がある。マスクパターン7は、ネガ型でもポジ型でもよく、一般に用いられているものを使用できる。活性光線8の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。また、露光方法としては、マスクパターン7を用いずにレーザーで直接パターンを描画する、直接描画露光法を用いることもできる。
露光後、図2(c)に示すように、未露光部の感光性樹脂組成物層2を現像により選択的に除去することにより、画像表示装置用の基板(電極基板30)上に光硬化物パターン20が形成される(現像工程)。なお、現像工程は、支持体1が存在する場合は、現像に先立ち、支持体1を除去する。
現像は、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去することにより行われる。本発明においては、アルカリ性水溶液を用いることが好ましい。アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化カリウムの希薄溶液等が挙げられる。このアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。上記現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられるが、解像度を向上させるにはスプレー方式が好ましい。
現像後の処理として、形成された上記光硬化物パターン20を、必要に応じて60〜250℃程度の加熱処理により更に硬化することが好ましい。硬化温度は、80〜200℃程度であることが好ましく、100〜150℃程度であることがより好ましい。また、硬化時間は特に制限はないが、10分〜3時間であることが好ましく、30分〜2時間であることがより好ましい。
また、上記工程で形成した光硬化物パターン20内に、粒子等の表示媒体を充填する工程、上記光硬化物パターン20に別の電極基板30を貼り付ける工程(図2の(d)及び(e))等を経て、画像表示装置の隔壁の形成、及び、画像表示装置の製造を完了することができる。
光硬化物パターン20に別の電極基板30を貼り付ける工程は、以下のようにして行うことができる。すなわち、上記工程は、図2(d)に示すように、光硬化物パターン20上に接着剤40を積層し、図2(e)に示すように、接着剤40によって電極基板30と光硬化物パターン20とを接着することにより行われる。なお、少なくとも画像表示装置の表示面側の電極基板には、透明な電極基板が用いられる。
上述した各工程を経て形成された画像表示装置は、屈曲性を有する電極基板30と、高度な伸びを有する光硬化物パターン20からなる隔壁とを備えており、優れた屈曲性を達成することができる。特に、電極4の材料の選択によっては、曲率半径5〜15mm程度まで対応可能な高度な屈曲性を有する画像表示装置が得られる。また、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成された隔壁は、曲率半径5〜15mm程度で画像表示装置を屈曲した場合でも、破損の発生を十分に抑制することができる。
以下、実施例により本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4及び比較例1〜5)
表1に示す(A)成分、(B)成分、(C)成分、(E)成分、及びその他の成分を配合した後、そこへ表1に示す(D)成分を加えて溶解させ、実施例1〜4及び比較例1〜5の感光性樹脂組成物を得た。各成分の配合量(単位:g)は表1に示す通りである。
Figure 0005884337

表1中の各成分の詳細は以下の通りである。なお、(A)成分については、樹脂溶液として下記の量を配合したが、表1中には固形分の量を示した。
(A)成分:バインダーポリマー
*1;メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル共重合体(樹脂A、質量比30/35/35、重量平均分子量50000、酸価196)の48質量%メチルセロソルブ/トルエン(質量比6/4)溶液93.75g(固形分45g)
*2;メタクリル酸/メタクリル酸メチル/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体(樹脂B、質量比30/5/25/40、重量平均分子量56000、酸価196)の48質量%メチルセロソルブ/トルエン(質量比6/4)溶液93.75g(固形分45g)
(B)成分:光重合性化合物
*3;末端にヒドロキシル基を有するポリカーボネート化合物、有機イソシアネート及び2−ヒドロキシエチルアクリレートを反応させて得られた光重合性化合物(重量平均分子量4000、日立化成工業株式会社製、商品名:HT−9082−95)
*4;UA−21EB(新中村化学工業株式会社製、商品名)
*5;FA−023M(日立化成工業株式会社製、商品名)
*6;FA−024M(日立化成工業株式会社製、商品名)
*7;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート(日立化成工業株式会社製、商品名:FA−MECH)
(C)成分:光重合開始剤
*8;N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学工業株式会社製、商品名:EAB)
*9;トリブロモメチルフェニルスルホン(住友精化株式会社製、製品名:TPS)
*10;1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン(株式会社ADEKA社製、商品名:N−1717)
*11;ベンジルジメチルケタール(チバスペシャリティーケミカル株式会社製、商品名:I−651)
(D)成分:分子内にエポキシ基を有する化合物
*12;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名:EPICLON N−670−EXP−S)
*13;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名:EPICLON HP−7200L)
*14;ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名:EPICLON1055)
*15;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名:EPICLON N−665−EXP)
ブロックイソシアネート化合物
*16;ブロックイソシアネート(住友バイエルウレタン株式会社製、商品名:スミジュールBL3175)
*17;ブロックイソシアネート(住友バイエルウレタン株式会社製、商品名:デスモジュールBL3475)
*18;ブロックイソシアネート(住友バイエルウレタン株式会社製、商品名:デスモジュールVPLS2253)
(E)成分:無機系黒色顔料
*19;チタンブラック分散液(ジェムコ社製、商品名:BT−1HCA)
その他の成分
*20;顔料分散剤(共栄社化学社製、商品名:フローレンDOPA−17HF)
*21;メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:SZ−6030)
次に、得られた感光性樹脂組成物の溶液を、16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:HTR−02)上に均一に塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して、感光性樹脂組成物層を形成した。その後、ポリエチレン製保護フィルム(フィルム長手方向の引張強さ:16MPa、フィルム幅方向の引張強さ:12MPa、タマポリ株式会社製、商品名:NF−15)で感光性樹脂組成物層を保護して、感光性エレメントを得た。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、45μmであった。
ITO付PET基材(東洋紡績株式会社製、商品名:R−300)のITO面上に、上記感光性エレメントを、感光性樹脂組成物層がITO付PET基材表面に接するように、ポリエチレン製保護フィルムを剥離しながら110℃に加熱したラミネートロールを通してラミネートした。得られた積層物の構成は、下からITO付PET基材、感光性樹脂組成物層、ポリエチレンテレフタレートフィルムとなる。得られた積層物について、感度、密着性、解像度、及びハゼ折りの評価を行った。
<感度の評価>
高圧水銀灯ランプを有する平行光露光機EXM−1201(オーク製作所株式会社製)を用いて、41段ステップタブレットを有するフォトツールを積層物のポリエチレンテレフタレートフィルム上に密着させ、露光を行った。露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃で20秒間スプレーすることにより、感光性樹脂組成物層の未露光部分を除去した。41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が29.0となるエネルギー量(露光量)を感度(mJ/cm)とした。このエネルギー量の数値が小さい程、感度が高いことを示す。表2に評価結果を示す。また、上記エネルギー量で露光を行った際の、実際の残存ステップ段数を表2に示す。
<密着性の評価>
高圧水銀灯ランプを有する平行光露光機EXM−1201(オーク製作所株式会社製)を用いて、密着性評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が10/300〜80/300(単位:μm、スペース幅一定)の配線パターンを有するフォトツールと、41段ステップタブレットを有するフォトツールとを積層物のポリエチレンテレフタレートフィルム上に密着させ、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が29.0となるエネルギー量で露光を行った。露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃で20秒間スプレーすることにより、感光性樹脂組成物層の未露光部分を除去して密着性を評価した。密着性は、現像液により剥離されずに残った最も小さいラインの幅(μm)で表され、この数値が小さい程、細いラインでもガラス基板から剥離せずに密着していることから、密着性が高いことを示す。表2に評価結果を示す。
<解像度の評価>
41段ステップタブレットを有するフォトツールと、解像度評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が30/30〜200/200(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールとを積層物のポリエチレンテレフタレートフィルム上に密着させ、高圧水銀灯ランプを有する平行光露光機EXM−1201(オーク製作所株式会社製)を用いて、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が29.0となるエネルギー量で露光を行った。露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃で20秒間スプレーすることにより、感光性樹脂組成物層の未露光部分を除去して解像度を評価した。解像度は、現像処理によって未露光部が良好に除去された最も小さいスペース幅(μm)で表され、この数値が小さいほど解像度は良好である。
表2に評価結果を示す。
<ハゼ折り試験>
高圧水銀灯ランプを有する平行光露光機EXM−1201(オーク製作所株式会社製)を用いて、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が29.0となるエネルギー量で露光を行った。露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃で20秒間スプレーし、感光性樹脂組成物層の未露光部分を除去した。次いで、120℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA、空気雰囲気)内に1時間静置した。得られた評価シートをハゼ折りし、ITO付PET基材から感光性樹脂組成物層の硬化物が剥がれず破損が見られないものをA、ITO付PET基材から剥がれが見られたもの、又は、破損が見られたものをBとした。
<電極の溶解性>
IZO−TEG(Test Element Group)基板、ITO−TEG(Test Element Group)基板のIZO、ITO面上に、上記感光性エレメントを、各々感光性樹脂組成物層がIZO−TEG基板、ITO−TEG基板の表面に接するように、ポリエチレン製保護フィルムを剥離しながら110℃に加熱したラミネートロールを通してラミネートした。得られた積層物の構成は、下からTEG基板、感光性樹脂組成物層、ポリエチレンテレフタレートフィルムとなる。41段ステップタブレットを有するフォトツールを積層物のポリエチレンテレフタレートフィルム上に密着させ、高圧水銀灯ランプを有する平行光露光機EXM−1201(オーク製作所株式会社製)を用いて、現像後の残存ステップ段数が29.0となるエネルギー量で露光を行った。露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃で20秒間スプレーすることにより、感光性樹脂組成物層の未露光部分を除去した。これにより、感光性樹脂組成物層の光硬化物がTEG基板上に形成された評価基板を得た。次いで、得られた評価基板を、120℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に1時間静置した。その後、60℃、90%RHの条件下で、80Vの直流電圧を評価基板の電極に印加し、100時間後の陽極の抵抗値をテスターで測定した。表2に評価結果を示す。表中、Aは抵抗値の測定が可能であり、溶解による断線なしと判断したものを示し、Bは、測定不能であり溶解による断線ありと判断したものを示す。また、Aについては、100時間後の陽極の抵抗値を初期抵抗値で割って100倍した値を抵抗上昇率(%)として記載した。抵抗上昇率の値が小さいほど、電極の溶解が抑制されていると評価できる。
<硬化物の伸び>
ポリ四フッ化エチレンシート(日東電工株式会社製、製品名:ニトフロンフィルムNo.900U)上に上記感光性エレメントを、感光性樹脂組成物層がポリ四フッ化エチレンシート表面に接するように、ポリエチレン製保護フィルムを剥離しながら110℃に加熱したラミネートロールを通してラミネートした。得られた積層物の構成は、ポリ四フッ化エチレンシート、感光性樹脂組成物層、ポリエチレンテレフタレートフィルムの順となる。上記積層物のポリエチレンテレフタレートフィルム上から平行光露光機EXM−1201(株式会社オーク製作所製)を用いて、露光した。なお、積層物の露光にあたっては、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が29.0となるエネルギー量とした。露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃で30秒間スプレーすることにより、感光性樹脂組成物層の未露光部分を除去した。これにより、感光性樹脂組成物層の光硬化物がポリ四フッ化エチレンシート上に形成された評価シートを得た。次いで、得られた評価シートを、120℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA、空気雰囲気)内に1時間静置した。加熱処理後の評価シートを10mm幅に切り出し、チャック間距離を50mmとし、速度2cm/minの一定速度で、感光性樹脂組成物層の硬化物が破断するまで引っ張り、25℃での硬化物の伸び率(%)を求めた。表2に評価結果を示す。
Figure 0005884337

表2に示した結果から明らかなように、(D)成分が存在することで、電極の溶解が抑えられることが確認された。また、伸びに関しては、40%以上の高度な伸びを得ることができ、屈曲時における隔壁の破損を抑制可能であることが確認された。
以上説明した通り、本発明によれば、高温高湿下で電圧を印加した際の電極の溶解を抑えつつ、屈曲時の破損を抑制できる画像表示装置用の隔壁を形成することが可能な感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、画像表示装置の隔壁の形成方法、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置を提供することができる。
1…支持体、2…感光性樹脂組成物層、3…保護フィルム、4…電極、5…基板、10…感光性エレメント、20…感光性樹脂組成物の硬化物(光硬化物パターン)、30…電極基板、40…接着剤。

Claims (7)

  1. 少なくとも表示面に透明電極を備えた屈曲性を有する画像表示装置における、画素を分離する隔壁を形成するための感光性樹脂組成物であって、
    前記感光性樹脂組成物は、
    (A)成分:分子内にカルボキシル基を有するバインダーポリマー、
    (B)成分:光重合性化合物、
    (C)成分:光重合開始剤、及び、
    (D)成分:分子内にエポキシ基を有する化合物、
    を含有し、
    前記(A)成分が、メタクリル酸ブチルを構造単位に含むバインダーポリマーを含み、
    前記(B)成分が、(B1)成分:分子内にエチレン性不飽和基及びウレタン結合を有する化合物を含む、感光性樹脂組成物。
  2. 支持体と、該支持体上に形成された請求項1に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性エレメント。
  3. 少なくとも表示面に配置された透明電極と、画素を分離する隔壁とを備える、屈曲性を有する画像表示装置の隔壁の形成方法であって、
    前記画像表示装置の基板上に、請求項1に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、
    前記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、
    前記感光性樹脂組成物層の前記露光部以外の部分を除去して光硬化物パターンを形成する現像工程と、
    を有する、画像表示装置の隔壁の形成方法。
  4. 少なくとも表示面に配置された透明電極と、画素を分離する隔壁とを備える、屈曲性を有する画像表示装置の製造方法であって、
    請求項3記載の方法により前記隔壁を形成する工程を有する、画像表示装置の製造方法。
  5. 前記透明電極は、少なくとも1種類の金属導電性繊維を含む溶液を塗布して形成された材料で構成されたものである、請求項4記載の画像表示装置の製造方法。
  6. 前記隔壁内に表示媒体を充填する工程と、
    一方の基板に対向するように隔壁の反対側に基板を貼り付ける工程と、
    を更に含む、請求項4又は5記載の画像表示装置の製造方法。
  7. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物の光硬化物からなる隔壁を備える、画像表示装置。
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