JP2004109748A - 平面画像表示装置用隔壁 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性に優れ、基材との密着性にも優れた平面表示装置用隔壁を提供すること
【解決方法】カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなる感光性樹脂組成物[I]の光硬化レジストからなり、該レジストの400nm〜760nmにおける光線透過率が80%以上である平面画像表示装置用隔壁。
【解決方法】カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなる感光性樹脂組成物[I]の光硬化レジストからなり、該レジストの400nm〜760nmにおける光線透過率が80%以上である平面画像表示装置用隔壁。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物を用い、露光後の硬化レジストの400〜760nmにおける光線透過率が80%以上である平面画像表示装置用隔壁に関するものであり、更に詳しくは、折り曲げ時においても基材との密着性に優れた平面画像表示装置用隔壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子ペーパーやリライタブルペーパーなどと呼ばれる紙代替の平面表示装置の開発が盛んに行われており、その媒体や構造についてはさまざまな形態が検討されている。このような平面表示装置において、表示媒体の移動により書き換えを行う構造のものは、上下の基材に狭持された表示媒体の分布にばらつきができないように、その表示媒体を固定するため、基材にストライプ状や格子状等の隔壁を設ける必要がある。
【0003】
このような隔壁を形成するための方法としては、例えば印刷法や掘削法があるが、印刷法では、必要な隔壁の高さになるまで何度も印刷で積層せねばならず、精度良く高い隔壁を形成しにくいという欠点があり、掘削法では、基材が荒れたり矩形の隔壁を形成しにくいなどの欠点がある。その他、かかる欠点のない方法として、環化ゴムをベースとしたフォトレジストや、ポリけい皮酸系、キノンジアジド系フォトレジストなどの感光性樹脂を用いる隔壁形成法が注目されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−148662号公報
【特許文献2】
特開2002−148663号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に如き感光性樹脂を用いた方法では、紫外線により硬化した際に、樹脂または重合開始剤による発色が原因で隔壁の透明性が確保できないという欠点が生じるものであった。
隔壁が透明でなく色が付いていると、表示媒体を移動させて表示させる際に、表示媒体の色を阻害する恐れがあり、かかる点からも隔壁は透明であることが必要である。
【0006】
そこで、本発明では、このような背景下において、感光性樹脂組成物を用いた方法であって、透明性に優れ、かつ折り曲げ可能な基材に用いて折り曲げた時の基材との密着性に優れた平面画像表示装置用隔壁を提供することを目的とするものである。
【0007】
【問題を解決するための手段】
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなる感光性樹脂組成物[I]の光硬化レジストからなり、該レジストの400nm〜760nmにおける光線透過率が80%以上である平面画像表示装置用隔壁が、上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に述べる。
【0009】
本発明で用いられる感光性樹脂組成物[I]は、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなるものであればよい。
【0010】
かかるカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)としては、酸価が100〜600mgKOH/gであることが解像力向上の点から好ましい。
酸価が100mgKOH/g未満では未露光部分の良好な現像性が得られず、解像度が低下し、逆に600mgKOH/gを越えると耐現像液性が低下し好ましくない。
【0011】
また、該カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)において、そのガラス転移温度は30〜150℃であることが好ましく、特に好ましくは、50〜100℃である。30℃未満では、表示装置が変形するおそれがあり、150℃を越えると、表示装置が割れる恐れがあり好ましくない。
【0012】
かかるカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)としては、(メタ)アクリレートを主成分とし、エチレン性不飽和カルボン酸を共重合成分としてなる共重合体で、必要に応じて他の共重合可能なモノマーを共重合したアクリル系共重合体である。
【0013】
ここで(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0014】
エチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好適に用いられ、その他、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のジカルボン酸、あるいはそれらの無水物やハーフエステルも用いることができる。これらの中では、アクリル酸とメタクリル酸が特に好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸は7〜38重量%、好ましくは15〜27重量%程度共重合されることが望まれる。
【0015】
又、他の共重合可能モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル等が例示できる。
【0016】
ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)としては、特に限定されず、ポリオール系化合物、ポリイソシアネート系化合物及び(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂であればよく、その酸価は150mgKOH/g以下であることが好ましく、更には15〜120mgKOH/g、特には20〜90mgKOH/gであることが好ましい。かかる酸価が150mgKOH/gを越えると基材との密着性が低下することとなり好ましくない。酸価の調整には、ポリオール系化合物としてカルボキシル基を含有するものを使用することが多い。
かかるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)の代表的な具体例としては、下記一般式(1)で示されるものが挙げられる。
【0017】
【化1】
ここで、R1は(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物のウレタン結合残基、R2はポリイソシアネート系化合物の両端ウレタン結合残基、R3はカルボキシル基含有ポリオール化合物の両端ウレタン結合残基、Xは下記一般式(2)で示される構造、Yは下記一般式(3)で示される構造、Zは下記一般式(4)で示される構造、lは0又は1、mは1〜20の整数、nは0又は1である。
【0018】
【化2】
ここで、R4はカルボキシル基を有さないポリオール化合物の両端ウレタン結合残基であり、R2は上記と同様である。
【0019】
【化3】
ここで、R2、R3、R4は上記と同様である。
【0020】
【化4】
ここで、R2、R4は上記と同様である。
【0021】
一般式(1)で示されるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)とポリイソシアネート系化合物(b2)を1:2のモル比(理論値)で反応させた後、得られる反応生成物(b3)に、カルボキシル基を有さないポリオール化合物(b4)を反応させ、更に(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物(b5)を反応させる方法が挙げられる。
【0022】
かかるカルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)としては、特に限定されないが、分子量500以下のカルボキシル基含有ポリオール化合物が好ましく、具体例としては2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、酒石酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ジヒドロキシメチル酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、ホモゲンチジン酸等が挙げられ、好適には2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸が用いられる。
該カルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)の分子量が500を越えると反応溶媒への溶解性が低下してイソシアネートとの反応性が低下し好ましくない。
【0023】
ポリイソシアネート系化合物(b2)としては、特に限定されないが、分子量500以下、好ましくは分子量300以下のポリイソシアネート系化合物が好ましく、具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,5−ジメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ウンデカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリデカメチレンジイソシアネート、ペンタデカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2−ブチニレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート等が挙げられ、好適にはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートが用いられる。
該ポリイソシアネート系化合物(b2)の分子量が500を越えるとジオールとの反応性が低下して好ましくない。
【0024】
上記カルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)とポリイソシアネート系化合物(b2)を反応させるに当たっては、公知の反応手段を用いることができ、例えば、ポリイソシアネート系化合物に安定な溶媒(酢酸エチル等)中で該溶媒の還流以下の温度で反応させればよい。但し、本発明においては、上記の如くカルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)とポリイソシアネート系化合物(b2)の反応モル比を理論値として1:2にすること(実際の仕込みに当たっては数%程度の誤差は許容される)が好ましく、かかる条件を逸脱すると両末端にイソシアネートを付加することができず、後述するエチレン性不飽和基の導入が困難となり好ましくない。
【0025】
次いで、上記の如くカルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)とポリイソシアネート系化合物(b2)を反応させて得られる反応生成物(b3)に、更にカルボキシル基を有さないポリオール化合物(b4)、好ましくは分子量500以上、より好ましくは500〜10,000、更に好ましくは500〜4,000の高分子ポリオールを反応させるのであるが、かかるカルボキシル基を有さないポリオール化合物(b4)としては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、アクリル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等が挙げられる。又、予め、1,6−ヘキサンジオール等の分子量500未満の低分子ジオールとイソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートをα:α−1(αは1以上の整数)のモル比で反応させて得られた分子量500以上のウレタン系ジオールを用いても良い。かかる分子量が500未満では硬化レジストの柔軟性が低下して好ましくない。
【0026】
上記反応においては、公知の方法を採用することができ、例えば、上記の如きカルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)とポリイソシアネート系化合物(b2)の反応生成物(b3)溶液中にカルボキシル基を有さない高分子ポリオール(b4)を添加し、還流以下の温度で反応させればよい。又、反応を促進するためにジブチルチンラウレート等の公知の触媒を添加することもできる。
【0027】
更に、上記で得られる反応生成物に(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物(b5)を反応させることにより、一般式(1)で示されるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)が得られる。
【0028】
かかる(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物(b5)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好適には2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが用いられる。
【0029】
かくして得られるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)中に占める(b3)の重量割合は、15〜65重量%であることが好ましく、かかる含有量が15重量%未満では硬化レジストの充分な強度が得られず、逆に、65重量%を越えると硬化レジストの柔軟性が低下して好ましくない。かかる(b3)の重量割合をコントロールするには上記反応で、(b3)〜(b5)の割合をコントロールすればよい。
【0030】
かくして得られるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)は、そのガラス転移温度が−70〜50℃であることが好ましく、特には−50〜40℃、更には−20〜30℃であることが好ましい。かかるガラス転移温度が−70℃未満では、硬化レジストが柔らかすぎて、強度が得られなくなり、50℃を越えると硬化レジストの可撓性が得られなくなり好ましくない。
【0031】
尚、ガラス転移温度は、フィルム化した未露光レジストを、膜厚40μmの条件下で、TMA(熱機械的分析)法により測定した値である。
【0032】
エチレン性不飽和化合物(C)としては、特に限定されないが、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グルセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。
【0033】
これらの多官能モノマーと共に、単官能モノマーを適当量併用することもでき、かかる単官能モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0034】
本発明では、上記エチレン性不飽和化合物(C)として、特にジ(メタ)アクリレート系化合物及びトリ(メタ)アクリレート系化合物を含むことが基材との密着性の点で好ましく、中でもジ(メタ)アクリレート系化合物として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含み、トリ(メタ)アクリレート系化合物としてグルセリントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0035】
光重合開始剤(D)としては、特に限定されないが、例えばベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2,2−ジヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等が挙げられ、中でも1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンや、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンが、透明性の点で特に好ましく用いられる。
【0036】
かくしてカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなる感光性樹脂組成物[I]が得られるが、各成分の含有量については、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)は10〜100重量部、特には20〜80重量部、更には30〜70重量部であることが好ましく、エチレン性不飽和化合物(C)は50〜200重量部、特には70〜150重量部、更には80〜120重量部であることが好ましい。
【0037】
ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)が10重量部未満では硬化レジストの可撓性が得られなくなり、100重量部を越えると、硬化レジストが柔らかくなりすぎて、形状を保持できなくなり好ましくなく、エチレン性不飽和化合物(C)が50重量部未満では架橋度が不十分で基材との密着性が不足となり、200重量部を越えると硬化レジストの可撓性が得られなくなり好ましくない。
【0038】
また、光重合開始剤(D)の含有量としては、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)及びエチレン性不飽和化合物(C)の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.5〜5重量部である。光重合開始剤(D)の含有量が0.1重量部未満では硬化不良による強度の低下を招くこととなり、10重量部を越えると調合時に不純物として残ることとなり好ましくない。
【0039】
又、本発明ではその他、密着性付与剤、可塑剤、酸化防止剤、熱重合禁止剤、溶剤、表面張力改質剤、安定剤、連鎖移動剤、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を適宜添加することができる。
【0040】
かくして得られた感光性樹脂組成物[I]を用いて、平面画像表示装置用隔壁を製造するにあたっては、感光性樹脂組成物[I]の光硬化レジストの400〜760nmにおける光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上であることが必要で、該光線透過率が80%未満では透明性が低下し、表示装置のコントラストが低下することとなる。
【0041】
400〜760nmにおける光線透過率を80%以上にする手段としては、特に限定されることはないが、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)の選択が重要であり、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂B)やエチレン性不飽和化合物(C)が硬化時に黄変しないようなもの、光重合開始剤(D)の作用によって硬化時に感光性樹脂組成物が着色しないようなものを選ぶことが必要である。
【0042】
ここで、400〜760nmにおける光線透過率とは、感光性樹脂組成物の光硬化レジストを、島津社製分光光度計「UV−3100PC」を用い、25℃で全光線透過率を測定することにより得られるものである。
また、平面画像表示装置に設けられた隔壁の透過率の測定に当たっては、隔壁部分の透過率を直接測定しても良いが、多くの場合は、ストライプ状又は格子状の隔壁の外周には外枠部分が隔壁の一部として設けられているので、外枠部分の硬化レジストの透過率を測定することもできる。
【0043】
また、本発明の平面画像表示装置用隔壁を製造するにあたっては、折り曲げ可能な基材に、上記感光性樹脂組成物[I]層を積層し、パターンマスクを介して露光、現像を行い、硬化レジストよりなるパターンを形成する。
かかる折り曲げ可能な基材としては、特に限定されないが、有機物ではポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ナイロン系、エチレン・酢酸ビニル共重合系、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール・エチレン共重合体などのポリビニルアルコール系、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン含有系、セロファン、トリアセチルセルロースなどのセルロース系、ポリカーボネート系などの樹脂が挙げられ、無機物では金属箔、金属板など容易に手で折り曲げられるものが挙げられる。かかる基材の厚みとしては特に限定されないが、1〜500μm程度が好ましい。
【0044】
上記感光性樹脂組成物[I]層を折り曲げ可能な基材に積層するに際しては、その膜厚が10〜500μmであることが好ましく、特には20〜300μm、更には30〜200μmが好ましい。かかる膜厚が10μm未満ではコントラストが得にくくなり、500μmを越えると応答速度が遅くなる恐れがある。
【0045】
次いで、感光性樹脂組成物を用いて本発明の平面画像表示装置用隔壁を製造する方法について説明する。
【0046】
(成層方法)
上記感光性樹脂組成物[I]は、このままでも平面画像表示装置用隔壁を形成するためのフォトレジストとして用いることは勿論可能であるが、塗工乾燥工程を省略できるという作業の簡便化、ハンドリングの容易性、レジスト層厚みの均一性、厚膜成形性等を考慮すれば、あらかじめドライフィルム化しておき、該フィルムを用いて隔壁形成を行った方が有利である。
【0047】
かかる感光性樹脂組成物[I]は、これをポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム等の支持フィルム面に塗工した後、必要に応じてその塗工面の上からポリエチレンフィルム、一軸延伸ポリプロピレンフィルム等の保護フィルムを被覆してドライフィルムレジストとする。
【0048】
ドライフィルムレジスト法以外に、感光性樹脂組成物を、ディップコート法、フローコート法、スクリーン印刷法等の常法により、被処理体上に直接塗工し、感光層を容易に形成することもできる。塗工時に、メチルエチルケトン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、シクロヘキサン、メチルセルソルブ、塩化メチレン、1,1,1−トリクロルエタン等の溶剤を添加することもできる。
【0049】
(露光)
ドライフィルムレジストによって隔壁を形成させるには、保護フィルムを剥離してから感光性樹脂組成物[I]層の側を基材上に直接貼り付けた後、支持フィルム上にパターンマスクを密着させて露光する。厚膜を形成する場合には、基材上に感光性樹脂を繰り返し貼り付けることで厚膜の感光性樹脂組成物[I]層を形成することもできる。感光性樹脂組成物[I]が粘着性を有しないときは、支持フィルムを剥離してからパターンマスクを感光性樹脂組成物[I]層に直接接触させて露光することもできる。
【0050】
露光は通常紫外線照射により行い、その際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプなどが用いられる。露光量は特に限定されないが、100〜100000J/m2程度が適当である。紫外線照射後は、必要に応じ加熱を行って、硬化の完全を図ることもできる。
【0051】
(現像)
露光後は、レジスト上の支持フィルムを剥離除去してから現像を行う。
上記感光性樹脂組成物[I]は稀アルカリ現像型であるので、露光後の現像は、炭酸ソーダ、炭酸カリウム等のアルカリ0.01〜2重量%程度の稀薄水溶液を用いて行う。
かくして、本発明の平面表示装置用の隔壁が形成される。通常は、硬化レジストよりなる外枠の内側に上記の隔壁が形成される。
【0052】
隔壁形成後は、表示媒体を隔壁の間に詰めた後、隔壁の上からポリエステル、ポリオレフィンなどのプラスチックフィルムからなる蓋を設けることによって表示媒体が形成され、電子ペーパーやリライタブルペーパーなどの表示装置に有効に用いることができる。
【0053】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中「%」、「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0054】
実施例1
〔感光性樹脂組成物[I]の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)38.8部、ウレタンアクリレート系樹脂(B)20部、エチレン性不飽和化合物(C)37.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物[I]のドープを調製した。
【0055】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸の共重合割合が重量基準で17/30/15/2/15/21である共重合体(酸価136.7mgKOH/g、ガラス転移温度41.1℃、重量平均分子量7万)
【0056】
ウレタンアクリレート系樹脂(B)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸119.5g(0.89モル)とイソホロンジイソシアネート396.2g(1.78モル)、酢酸エチル435gを仕込み、窒素雰囲気下、80℃で反応させ、残存イソシアネート基が8.3%となった時点で、平均分子量1,000のポリエチレングリコール600g(0.60モル)を加え、ジブチルスズラウリレート0.15gを加えて更に約5時間反応させ、残存イソシアネート基が2.0%となった時点で、反応温度を60℃に下げ、2−ヒドロキシエチルアクリレート69.6g(0.6モル)を加え反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了しウレタンアクリレート系樹脂(B)溶液を得た。
得られたウレタンアクリレート系樹脂(B)の樹脂分は73.5%、酸価は30.7mgKOH/g、ガラス転移温度27℃であった。
【0057】
エチレン性不飽和化合物(C)
・グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」) 27.6部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート 10部
【0058】
光重合開始剤(D)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)
【0059】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
得られたドープを厚さ25μmのポリエステルフィルム上に塗工し、室温で1分放置した後、60℃、90℃、110℃のオープンでそれぞれ3分間ずつ乾燥して、レジスト厚75μmの感光性樹脂組成物[I]からなるドライフィルムレジスト(サイズ:30cm×21cm)を作成した。
そして、該ドライフィルムレジスト2枚を、互いの樹脂面が合わさるように、ラミネートロール温度25℃、ロール圧3kg/cm2、ラミネート速度0.6m/minの条件でラミネートし、ポリエステルフィルム2枚の間に150μm厚のレジスト層が挟まれるようにラミネートした。
【0060】
ラミネート後、一方のポリエステルフィルム上にライン/スペース=50μm/300μmで露光されるようなフィルムマスク(サイズ:30cm×21cm(四辺とも幅10mmの外枠部分(透明部)を含む))を全面に乗せて、オーク製作所社製露光機「HMW−532D」にて3kw超高圧水銀灯で、10000J/m2にて露光した(露光に使用する紫外線の波長は365nmであった)。露光後、15分間のホールドタイムをとった後、露光面側のポリエステルフィルムを剥離し、1%炭酸ソーダ水溶液を用いて、30℃で最小現像時間の1.5倍の時間現像し、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0061】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、全波長域で90%であった。
【0062】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、透明性は良好であった。
更に、隔壁の基材への密着性を評価するため、得られた隔壁の上から、粘着剤付きのポリエステルフィルムをかぶせてフタをし、この状態で隔壁と垂直方向に直径2cmのロールに巻き付けたところ、隔壁が基材から剥離することはなく、密着性は良好であった。
【0063】
実施例2
〔感光性樹脂組成物[I]の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)38.8部、ウレタンアクリレート系樹脂(B)20部、エチレン性不飽和化合物(C)37.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物[I]のドープを調整した。
【0064】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
実施例1と同様のカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)を用いた。
【0065】
ウレタンアクリレート系樹脂(B)
実施例1と同様のウレタンアクリレート系樹脂(B)を用いた。
【0066】
エチレン性不飽和化合物(C)
グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」)
【0067】
光重合開始剤(D)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)
【0068】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
かかるドープを用いて、実施例1と同様にして、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0069】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、全波長域で90%であった。
【0070】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、透明性は良好であった。
更に、隔壁の基材への密着性を実施例1と同様に評価したところ、隔壁が基材から剥離することはなく、密着性は良好であった。
【0071】
実施例3
〔感光性樹脂組成物[I]の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)38.8部、ウレタンアクリレート系樹脂(B)20部、エチレン性不飽和化合物(C)37.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物[I]のドープを調整した。
【0072】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
実施例1と同様のカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)を用いた。
【0073】
ウレタンアクリレート系樹脂(B)
実施例1と同様のウレタンアクリレート系樹脂(B)を用いた。
【0074】
エチレン性不飽和化合物(C)
・グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」) 27.6部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート 10部
【0075】
光重合開始剤(D)
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(メルク・ジャパン社製、ダロキュアー1173)
【0076】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
かかるドープを用いて、実施例1と同様にして、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0077】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、全波長域で90%であった。
【0078】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、透明性は良好であった。
更に、隔壁の基材への密着性を実施例1と同様に評価したところ、隔壁が基材から剥離することはなく、密着性は良好であった。
【0079】
実施例4
〔感光性樹脂組成物[I]の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)38.8部、ウレタンアクリレート系樹脂(B)20部、エチレン性不飽和化合物(C)37.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物[I]のドープを調整した。
【0080】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
実施例1と同様のカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)を用いた。
【0081】
ウレタンアクリレート系化合物(B)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸84.42g(0.63モル)とヘキサメチレンジイソシアネート213.66g(1.27モル)、酢酸エチル450.23gを仕込み、窒素雰囲気下、80℃で反応させ、残存イソシアネート基が7.6%となった時点で、平均分子量600のポリエチレングリコール569.75g(0.95モル)を加え、ジブチルスズラウリレート0.15gを加えて更に約5時間反応させ、残存イソシアネート基が0.5%となった時点で、ヘキサメチレンジイソシアネート107.40g(0.64モル)を新たに加えて反応を続け、残存イソシアネート基が2.3%となったところで反応温度を60℃に下げ、2−ヒドロキシエチルアクリレート74.39g(0.64モル)を加え反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了しウレタンアクリレート系樹脂(B)溶液を得た。
【0082】
得られたウレタンアクリレート系化合物(B)の樹脂分は70.5%、イソシアネート含有率は0.3%、酸価は23.9mgKOH/g、ガラス転移温度は17℃であった。
【0083】
エチレン性不飽和化合物(C)
・グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」) 27.6部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート 10部
【0084】
光重合開始剤(D)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)
【0085】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
かかるドープを用いて、実施例1と同様にして、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0086】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、全波長域で90%であった。
【0087】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、透明性は良好であった。
更に、隔壁の基材への密着性を実施例1と同様に評価したところ、隔壁が基材から剥離することはなく、密着性は良好であった。
【0088】
比較例1
〔感光性樹脂組成物の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)38.8部、ウレタンアクリレート系樹脂(B)20部、エチレン性不飽和化合物(C)57.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物のドープを調整した。
【0089】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
実施例1と同様のカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)を用いた。
【0090】
ウレタンアクリレート(B)
実施例1と同様のウレタンアクリレート系樹脂(B)を用いた。
【0091】
エチレン性不飽和化合物(C)
・グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」) 27.6部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート 10部
【0092】
光重合開始剤(D)
・2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール 3.5部
・p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 0.1部
【0093】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
かかるドープを用いて、実施例1と同様にして、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0094】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、400nmにおいて20%、450nmにおいて65%であった。
【0095】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、黄色味を帯びており、画像表示用としては不適であった。
更に、隔壁の基材への密着性を実施例1と同様に評価したところ、隔壁が基材から剥離することはなく、密着性は良好であった。
【0096】
比較例2
〔感光性樹脂組成物の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)58.8部、エチレン性不飽和化合物(C)37.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物のドープを調整した。
【0097】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
実施例1と同様のカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)を用いた。
【0098】
エチレン性不飽和化合物(C)
・グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」) 27.6部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート 10部
【0099】
光重合開始剤(D)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)
【0100】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
かかるドープを用いて、実施例1と同様にして、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0101】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、全波長域で90%であった。
【0102】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、透明性は良好であった。
更に、隔壁の基材への密着性を実施例1と同様に評価したところ、隔壁が基材から剥離し、密着不良で隔壁としては不適であった。
上記実施例及び比較例の結果を表1に示す。
【0103】
注)評価基準は以下の通りである。
【0104】
透明性
○:透明であった。
×:黄色味を帯びていた。
基材密着性
○:レジストパターン(隔壁)と垂直方向に直径2cmのロールに巻き付けてもレジストの剥離がない。
×:レジストパターン(隔壁)と垂直方向に直径2cmのロールに巻き付けると、レジストが基材から剥離する。
【0105】
【発明の効果】
本発明の平面画像表示装置用隔壁は、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなる感光性樹脂組成物[I]の光硬化レジストからなり、該レジストの400nm〜760nmにおける光線透過率が80%以上であるため、透明性に優れ、かつ基材との密着性、特に折り曲げ可能な基材に用いて折り曲げた時の基材との密着性に優れた効果を有するものであり、電子ペーパーやリライタブルペーパーなどの表示装置に有効に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物を用い、露光後の硬化レジストの400〜760nmにおける光線透過率が80%以上である平面画像表示装置用隔壁に関するものであり、更に詳しくは、折り曲げ時においても基材との密着性に優れた平面画像表示装置用隔壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子ペーパーやリライタブルペーパーなどと呼ばれる紙代替の平面表示装置の開発が盛んに行われており、その媒体や構造についてはさまざまな形態が検討されている。このような平面表示装置において、表示媒体の移動により書き換えを行う構造のものは、上下の基材に狭持された表示媒体の分布にばらつきができないように、その表示媒体を固定するため、基材にストライプ状や格子状等の隔壁を設ける必要がある。
【0003】
このような隔壁を形成するための方法としては、例えば印刷法や掘削法があるが、印刷法では、必要な隔壁の高さになるまで何度も印刷で積層せねばならず、精度良く高い隔壁を形成しにくいという欠点があり、掘削法では、基材が荒れたり矩形の隔壁を形成しにくいなどの欠点がある。その他、かかる欠点のない方法として、環化ゴムをベースとしたフォトレジストや、ポリけい皮酸系、キノンジアジド系フォトレジストなどの感光性樹脂を用いる隔壁形成法が注目されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−148662号公報
【特許文献2】
特開2002−148663号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に如き感光性樹脂を用いた方法では、紫外線により硬化した際に、樹脂または重合開始剤による発色が原因で隔壁の透明性が確保できないという欠点が生じるものであった。
隔壁が透明でなく色が付いていると、表示媒体を移動させて表示させる際に、表示媒体の色を阻害する恐れがあり、かかる点からも隔壁は透明であることが必要である。
【0006】
そこで、本発明では、このような背景下において、感光性樹脂組成物を用いた方法であって、透明性に優れ、かつ折り曲げ可能な基材に用いて折り曲げた時の基材との密着性に優れた平面画像表示装置用隔壁を提供することを目的とするものである。
【0007】
【問題を解決するための手段】
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなる感光性樹脂組成物[I]の光硬化レジストからなり、該レジストの400nm〜760nmにおける光線透過率が80%以上である平面画像表示装置用隔壁が、上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に述べる。
【0009】
本発明で用いられる感光性樹脂組成物[I]は、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなるものであればよい。
【0010】
かかるカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)としては、酸価が100〜600mgKOH/gであることが解像力向上の点から好ましい。
酸価が100mgKOH/g未満では未露光部分の良好な現像性が得られず、解像度が低下し、逆に600mgKOH/gを越えると耐現像液性が低下し好ましくない。
【0011】
また、該カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)において、そのガラス転移温度は30〜150℃であることが好ましく、特に好ましくは、50〜100℃である。30℃未満では、表示装置が変形するおそれがあり、150℃を越えると、表示装置が割れる恐れがあり好ましくない。
【0012】
かかるカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)としては、(メタ)アクリレートを主成分とし、エチレン性不飽和カルボン酸を共重合成分としてなる共重合体で、必要に応じて他の共重合可能なモノマーを共重合したアクリル系共重合体である。
【0013】
ここで(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0014】
エチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好適に用いられ、その他、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のジカルボン酸、あるいはそれらの無水物やハーフエステルも用いることができる。これらの中では、アクリル酸とメタクリル酸が特に好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸は7〜38重量%、好ましくは15〜27重量%程度共重合されることが望まれる。
【0015】
又、他の共重合可能モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル等が例示できる。
【0016】
ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)としては、特に限定されず、ポリオール系化合物、ポリイソシアネート系化合物及び(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂であればよく、その酸価は150mgKOH/g以下であることが好ましく、更には15〜120mgKOH/g、特には20〜90mgKOH/gであることが好ましい。かかる酸価が150mgKOH/gを越えると基材との密着性が低下することとなり好ましくない。酸価の調整には、ポリオール系化合物としてカルボキシル基を含有するものを使用することが多い。
かかるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)の代表的な具体例としては、下記一般式(1)で示されるものが挙げられる。
【0017】
【化1】
ここで、R1は(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物のウレタン結合残基、R2はポリイソシアネート系化合物の両端ウレタン結合残基、R3はカルボキシル基含有ポリオール化合物の両端ウレタン結合残基、Xは下記一般式(2)で示される構造、Yは下記一般式(3)で示される構造、Zは下記一般式(4)で示される構造、lは0又は1、mは1〜20の整数、nは0又は1である。
【0018】
【化2】
ここで、R4はカルボキシル基を有さないポリオール化合物の両端ウレタン結合残基であり、R2は上記と同様である。
【0019】
【化3】
ここで、R2、R3、R4は上記と同様である。
【0020】
【化4】
ここで、R2、R4は上記と同様である。
【0021】
一般式(1)で示されるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)とポリイソシアネート系化合物(b2)を1:2のモル比(理論値)で反応させた後、得られる反応生成物(b3)に、カルボキシル基を有さないポリオール化合物(b4)を反応させ、更に(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物(b5)を反応させる方法が挙げられる。
【0022】
かかるカルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)としては、特に限定されないが、分子量500以下のカルボキシル基含有ポリオール化合物が好ましく、具体例としては2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、酒石酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ジヒドロキシメチル酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、ホモゲンチジン酸等が挙げられ、好適には2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸が用いられる。
該カルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)の分子量が500を越えると反応溶媒への溶解性が低下してイソシアネートとの反応性が低下し好ましくない。
【0023】
ポリイソシアネート系化合物(b2)としては、特に限定されないが、分子量500以下、好ましくは分子量300以下のポリイソシアネート系化合物が好ましく、具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,5−ジメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ウンデカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリデカメチレンジイソシアネート、ペンタデカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2−ブチニレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート等が挙げられ、好適にはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートが用いられる。
該ポリイソシアネート系化合物(b2)の分子量が500を越えるとジオールとの反応性が低下して好ましくない。
【0024】
上記カルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)とポリイソシアネート系化合物(b2)を反応させるに当たっては、公知の反応手段を用いることができ、例えば、ポリイソシアネート系化合物に安定な溶媒(酢酸エチル等)中で該溶媒の還流以下の温度で反応させればよい。但し、本発明においては、上記の如くカルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)とポリイソシアネート系化合物(b2)の反応モル比を理論値として1:2にすること(実際の仕込みに当たっては数%程度の誤差は許容される)が好ましく、かかる条件を逸脱すると両末端にイソシアネートを付加することができず、後述するエチレン性不飽和基の導入が困難となり好ましくない。
【0025】
次いで、上記の如くカルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)とポリイソシアネート系化合物(b2)を反応させて得られる反応生成物(b3)に、更にカルボキシル基を有さないポリオール化合物(b4)、好ましくは分子量500以上、より好ましくは500〜10,000、更に好ましくは500〜4,000の高分子ポリオールを反応させるのであるが、かかるカルボキシル基を有さないポリオール化合物(b4)としては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、アクリル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等が挙げられる。又、予め、1,6−ヘキサンジオール等の分子量500未満の低分子ジオールとイソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートをα:α−1(αは1以上の整数)のモル比で反応させて得られた分子量500以上のウレタン系ジオールを用いても良い。かかる分子量が500未満では硬化レジストの柔軟性が低下して好ましくない。
【0026】
上記反応においては、公知の方法を採用することができ、例えば、上記の如きカルボキシル基含有ポリオール化合物(b1)とポリイソシアネート系化合物(b2)の反応生成物(b3)溶液中にカルボキシル基を有さない高分子ポリオール(b4)を添加し、還流以下の温度で反応させればよい。又、反応を促進するためにジブチルチンラウレート等の公知の触媒を添加することもできる。
【0027】
更に、上記で得られる反応生成物に(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物(b5)を反応させることにより、一般式(1)で示されるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)が得られる。
【0028】
かかる(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物(b5)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好適には2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが用いられる。
【0029】
かくして得られるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)中に占める(b3)の重量割合は、15〜65重量%であることが好ましく、かかる含有量が15重量%未満では硬化レジストの充分な強度が得られず、逆に、65重量%を越えると硬化レジストの柔軟性が低下して好ましくない。かかる(b3)の重量割合をコントロールするには上記反応で、(b3)〜(b5)の割合をコントロールすればよい。
【0030】
かくして得られるウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)は、そのガラス転移温度が−70〜50℃であることが好ましく、特には−50〜40℃、更には−20〜30℃であることが好ましい。かかるガラス転移温度が−70℃未満では、硬化レジストが柔らかすぎて、強度が得られなくなり、50℃を越えると硬化レジストの可撓性が得られなくなり好ましくない。
【0031】
尚、ガラス転移温度は、フィルム化した未露光レジストを、膜厚40μmの条件下で、TMA(熱機械的分析)法により測定した値である。
【0032】
エチレン性不飽和化合物(C)としては、特に限定されないが、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グルセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。
【0033】
これらの多官能モノマーと共に、単官能モノマーを適当量併用することもでき、かかる単官能モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0034】
本発明では、上記エチレン性不飽和化合物(C)として、特にジ(メタ)アクリレート系化合物及びトリ(メタ)アクリレート系化合物を含むことが基材との密着性の点で好ましく、中でもジ(メタ)アクリレート系化合物として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含み、トリ(メタ)アクリレート系化合物としてグルセリントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0035】
光重合開始剤(D)としては、特に限定されないが、例えばベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2,2−ジヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等が挙げられ、中でも1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンや、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンが、透明性の点で特に好ましく用いられる。
【0036】
かくしてカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなる感光性樹脂組成物[I]が得られるが、各成分の含有量については、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)は10〜100重量部、特には20〜80重量部、更には30〜70重量部であることが好ましく、エチレン性不飽和化合物(C)は50〜200重量部、特には70〜150重量部、更には80〜120重量部であることが好ましい。
【0037】
ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)が10重量部未満では硬化レジストの可撓性が得られなくなり、100重量部を越えると、硬化レジストが柔らかくなりすぎて、形状を保持できなくなり好ましくなく、エチレン性不飽和化合物(C)が50重量部未満では架橋度が不十分で基材との密着性が不足となり、200重量部を越えると硬化レジストの可撓性が得られなくなり好ましくない。
【0038】
また、光重合開始剤(D)の含有量としては、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)及びエチレン性不飽和化合物(C)の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.5〜5重量部である。光重合開始剤(D)の含有量が0.1重量部未満では硬化不良による強度の低下を招くこととなり、10重量部を越えると調合時に不純物として残ることとなり好ましくない。
【0039】
又、本発明ではその他、密着性付与剤、可塑剤、酸化防止剤、熱重合禁止剤、溶剤、表面張力改質剤、安定剤、連鎖移動剤、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を適宜添加することができる。
【0040】
かくして得られた感光性樹脂組成物[I]を用いて、平面画像表示装置用隔壁を製造するにあたっては、感光性樹脂組成物[I]の光硬化レジストの400〜760nmにおける光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上であることが必要で、該光線透過率が80%未満では透明性が低下し、表示装置のコントラストが低下することとなる。
【0041】
400〜760nmにおける光線透過率を80%以上にする手段としては、特に限定されることはないが、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)の選択が重要であり、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂B)やエチレン性不飽和化合物(C)が硬化時に黄変しないようなもの、光重合開始剤(D)の作用によって硬化時に感光性樹脂組成物が着色しないようなものを選ぶことが必要である。
【0042】
ここで、400〜760nmにおける光線透過率とは、感光性樹脂組成物の光硬化レジストを、島津社製分光光度計「UV−3100PC」を用い、25℃で全光線透過率を測定することにより得られるものである。
また、平面画像表示装置に設けられた隔壁の透過率の測定に当たっては、隔壁部分の透過率を直接測定しても良いが、多くの場合は、ストライプ状又は格子状の隔壁の外周には外枠部分が隔壁の一部として設けられているので、外枠部分の硬化レジストの透過率を測定することもできる。
【0043】
また、本発明の平面画像表示装置用隔壁を製造するにあたっては、折り曲げ可能な基材に、上記感光性樹脂組成物[I]層を積層し、パターンマスクを介して露光、現像を行い、硬化レジストよりなるパターンを形成する。
かかる折り曲げ可能な基材としては、特に限定されないが、有機物ではポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ナイロン系、エチレン・酢酸ビニル共重合系、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール・エチレン共重合体などのポリビニルアルコール系、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン含有系、セロファン、トリアセチルセルロースなどのセルロース系、ポリカーボネート系などの樹脂が挙げられ、無機物では金属箔、金属板など容易に手で折り曲げられるものが挙げられる。かかる基材の厚みとしては特に限定されないが、1〜500μm程度が好ましい。
【0044】
上記感光性樹脂組成物[I]層を折り曲げ可能な基材に積層するに際しては、その膜厚が10〜500μmであることが好ましく、特には20〜300μm、更には30〜200μmが好ましい。かかる膜厚が10μm未満ではコントラストが得にくくなり、500μmを越えると応答速度が遅くなる恐れがある。
【0045】
次いで、感光性樹脂組成物を用いて本発明の平面画像表示装置用隔壁を製造する方法について説明する。
【0046】
(成層方法)
上記感光性樹脂組成物[I]は、このままでも平面画像表示装置用隔壁を形成するためのフォトレジストとして用いることは勿論可能であるが、塗工乾燥工程を省略できるという作業の簡便化、ハンドリングの容易性、レジスト層厚みの均一性、厚膜成形性等を考慮すれば、あらかじめドライフィルム化しておき、該フィルムを用いて隔壁形成を行った方が有利である。
【0047】
かかる感光性樹脂組成物[I]は、これをポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム等の支持フィルム面に塗工した後、必要に応じてその塗工面の上からポリエチレンフィルム、一軸延伸ポリプロピレンフィルム等の保護フィルムを被覆してドライフィルムレジストとする。
【0048】
ドライフィルムレジスト法以外に、感光性樹脂組成物を、ディップコート法、フローコート法、スクリーン印刷法等の常法により、被処理体上に直接塗工し、感光層を容易に形成することもできる。塗工時に、メチルエチルケトン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、シクロヘキサン、メチルセルソルブ、塩化メチレン、1,1,1−トリクロルエタン等の溶剤を添加することもできる。
【0049】
(露光)
ドライフィルムレジストによって隔壁を形成させるには、保護フィルムを剥離してから感光性樹脂組成物[I]層の側を基材上に直接貼り付けた後、支持フィルム上にパターンマスクを密着させて露光する。厚膜を形成する場合には、基材上に感光性樹脂を繰り返し貼り付けることで厚膜の感光性樹脂組成物[I]層を形成することもできる。感光性樹脂組成物[I]が粘着性を有しないときは、支持フィルムを剥離してからパターンマスクを感光性樹脂組成物[I]層に直接接触させて露光することもできる。
【0050】
露光は通常紫外線照射により行い、その際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプなどが用いられる。露光量は特に限定されないが、100〜100000J/m2程度が適当である。紫外線照射後は、必要に応じ加熱を行って、硬化の完全を図ることもできる。
【0051】
(現像)
露光後は、レジスト上の支持フィルムを剥離除去してから現像を行う。
上記感光性樹脂組成物[I]は稀アルカリ現像型であるので、露光後の現像は、炭酸ソーダ、炭酸カリウム等のアルカリ0.01〜2重量%程度の稀薄水溶液を用いて行う。
かくして、本発明の平面表示装置用の隔壁が形成される。通常は、硬化レジストよりなる外枠の内側に上記の隔壁が形成される。
【0052】
隔壁形成後は、表示媒体を隔壁の間に詰めた後、隔壁の上からポリエステル、ポリオレフィンなどのプラスチックフィルムからなる蓋を設けることによって表示媒体が形成され、電子ペーパーやリライタブルペーパーなどの表示装置に有効に用いることができる。
【0053】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中「%」、「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0054】
実施例1
〔感光性樹脂組成物[I]の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)38.8部、ウレタンアクリレート系樹脂(B)20部、エチレン性不飽和化合物(C)37.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物[I]のドープを調製した。
【0055】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸の共重合割合が重量基準で17/30/15/2/15/21である共重合体(酸価136.7mgKOH/g、ガラス転移温度41.1℃、重量平均分子量7万)
【0056】
ウレタンアクリレート系樹脂(B)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸119.5g(0.89モル)とイソホロンジイソシアネート396.2g(1.78モル)、酢酸エチル435gを仕込み、窒素雰囲気下、80℃で反応させ、残存イソシアネート基が8.3%となった時点で、平均分子量1,000のポリエチレングリコール600g(0.60モル)を加え、ジブチルスズラウリレート0.15gを加えて更に約5時間反応させ、残存イソシアネート基が2.0%となった時点で、反応温度を60℃に下げ、2−ヒドロキシエチルアクリレート69.6g(0.6モル)を加え反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了しウレタンアクリレート系樹脂(B)溶液を得た。
得られたウレタンアクリレート系樹脂(B)の樹脂分は73.5%、酸価は30.7mgKOH/g、ガラス転移温度27℃であった。
【0057】
エチレン性不飽和化合物(C)
・グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」) 27.6部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート 10部
【0058】
光重合開始剤(D)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)
【0059】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
得られたドープを厚さ25μmのポリエステルフィルム上に塗工し、室温で1分放置した後、60℃、90℃、110℃のオープンでそれぞれ3分間ずつ乾燥して、レジスト厚75μmの感光性樹脂組成物[I]からなるドライフィルムレジスト(サイズ:30cm×21cm)を作成した。
そして、該ドライフィルムレジスト2枚を、互いの樹脂面が合わさるように、ラミネートロール温度25℃、ロール圧3kg/cm2、ラミネート速度0.6m/minの条件でラミネートし、ポリエステルフィルム2枚の間に150μm厚のレジスト層が挟まれるようにラミネートした。
【0060】
ラミネート後、一方のポリエステルフィルム上にライン/スペース=50μm/300μmで露光されるようなフィルムマスク(サイズ:30cm×21cm(四辺とも幅10mmの外枠部分(透明部)を含む))を全面に乗せて、オーク製作所社製露光機「HMW−532D」にて3kw超高圧水銀灯で、10000J/m2にて露光した(露光に使用する紫外線の波長は365nmであった)。露光後、15分間のホールドタイムをとった後、露光面側のポリエステルフィルムを剥離し、1%炭酸ソーダ水溶液を用いて、30℃で最小現像時間の1.5倍の時間現像し、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0061】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、全波長域で90%であった。
【0062】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、透明性は良好であった。
更に、隔壁の基材への密着性を評価するため、得られた隔壁の上から、粘着剤付きのポリエステルフィルムをかぶせてフタをし、この状態で隔壁と垂直方向に直径2cmのロールに巻き付けたところ、隔壁が基材から剥離することはなく、密着性は良好であった。
【0063】
実施例2
〔感光性樹脂組成物[I]の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)38.8部、ウレタンアクリレート系樹脂(B)20部、エチレン性不飽和化合物(C)37.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物[I]のドープを調整した。
【0064】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
実施例1と同様のカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)を用いた。
【0065】
ウレタンアクリレート系樹脂(B)
実施例1と同様のウレタンアクリレート系樹脂(B)を用いた。
【0066】
エチレン性不飽和化合物(C)
グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」)
【0067】
光重合開始剤(D)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)
【0068】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
かかるドープを用いて、実施例1と同様にして、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0069】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、全波長域で90%であった。
【0070】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、透明性は良好であった。
更に、隔壁の基材への密着性を実施例1と同様に評価したところ、隔壁が基材から剥離することはなく、密着性は良好であった。
【0071】
実施例3
〔感光性樹脂組成物[I]の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)38.8部、ウレタンアクリレート系樹脂(B)20部、エチレン性不飽和化合物(C)37.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物[I]のドープを調整した。
【0072】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
実施例1と同様のカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)を用いた。
【0073】
ウレタンアクリレート系樹脂(B)
実施例1と同様のウレタンアクリレート系樹脂(B)を用いた。
【0074】
エチレン性不飽和化合物(C)
・グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」) 27.6部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート 10部
【0075】
光重合開始剤(D)
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(メルク・ジャパン社製、ダロキュアー1173)
【0076】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
かかるドープを用いて、実施例1と同様にして、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0077】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、全波長域で90%であった。
【0078】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、透明性は良好であった。
更に、隔壁の基材への密着性を実施例1と同様に評価したところ、隔壁が基材から剥離することはなく、密着性は良好であった。
【0079】
実施例4
〔感光性樹脂組成物[I]の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)38.8部、ウレタンアクリレート系樹脂(B)20部、エチレン性不飽和化合物(C)37.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物[I]のドープを調整した。
【0080】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
実施例1と同様のカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)を用いた。
【0081】
ウレタンアクリレート系化合物(B)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸84.42g(0.63モル)とヘキサメチレンジイソシアネート213.66g(1.27モル)、酢酸エチル450.23gを仕込み、窒素雰囲気下、80℃で反応させ、残存イソシアネート基が7.6%となった時点で、平均分子量600のポリエチレングリコール569.75g(0.95モル)を加え、ジブチルスズラウリレート0.15gを加えて更に約5時間反応させ、残存イソシアネート基が0.5%となった時点で、ヘキサメチレンジイソシアネート107.40g(0.64モル)を新たに加えて反応を続け、残存イソシアネート基が2.3%となったところで反応温度を60℃に下げ、2−ヒドロキシエチルアクリレート74.39g(0.64モル)を加え反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了しウレタンアクリレート系樹脂(B)溶液を得た。
【0082】
得られたウレタンアクリレート系化合物(B)の樹脂分は70.5%、イソシアネート含有率は0.3%、酸価は23.9mgKOH/g、ガラス転移温度は17℃であった。
【0083】
エチレン性不飽和化合物(C)
・グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」) 27.6部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート 10部
【0084】
光重合開始剤(D)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)
【0085】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
かかるドープを用いて、実施例1と同様にして、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0086】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、全波長域で90%であった。
【0087】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、透明性は良好であった。
更に、隔壁の基材への密着性を実施例1と同様に評価したところ、隔壁が基材から剥離することはなく、密着性は良好であった。
【0088】
比較例1
〔感光性樹脂組成物の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)38.8部、ウレタンアクリレート系樹脂(B)20部、エチレン性不飽和化合物(C)57.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物のドープを調整した。
【0089】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
実施例1と同様のカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)を用いた。
【0090】
ウレタンアクリレート(B)
実施例1と同様のウレタンアクリレート系樹脂(B)を用いた。
【0091】
エチレン性不飽和化合物(C)
・グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」) 27.6部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート 10部
【0092】
光重合開始剤(D)
・2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール 3.5部
・p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 0.1部
【0093】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
かかるドープを用いて、実施例1と同様にして、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0094】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、400nmにおいて20%、450nmにおいて65%であった。
【0095】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、黄色味を帯びており、画像表示用としては不適であった。
更に、隔壁の基材への密着性を実施例1と同様に評価したところ、隔壁が基材から剥離することはなく、密着性は良好であった。
【0096】
比較例2
〔感光性樹脂組成物の調製〕
下記に示すカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)58.8部、エチレン性不飽和化合物(C)37.6部、光重合開始剤(D)3.6部、希釈剤としてメチルエチルケトン100部を混合して、感光性樹脂組成物のドープを調整した。
【0097】
カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)
実施例1と同様のカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)を用いた。
【0098】
エチレン性不飽和化合物(C)
・グリセリントリアクリレート(ダイセルユーピーシー社製、「OTA−480」) 27.6部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート 10部
【0099】
光重合開始剤(D)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュアー184)
【0100】
〔平面画像表示装置用隔壁の製造〕
かかるドープを用いて、実施例1と同様にして、幅10mmの外枠及び50μm/300μmのライン/スペースを有するレジストパターン(隔壁)を形成させた(膜厚150μm)。
【0101】
尚、この隔壁を形成する硬化レジストの外枠部分について、島津社製分光光度計「UV−3100PC」により、25℃で全光線透過率を測定したところ、400nm〜760nmにおける透過率は、全波長域で90%であった。
【0102】
また、基材上に形成した隔壁を目視により観察したところ、透明性は良好であった。
更に、隔壁の基材への密着性を実施例1と同様に評価したところ、隔壁が基材から剥離し、密着不良で隔壁としては不適であった。
上記実施例及び比較例の結果を表1に示す。
【0103】
注)評価基準は以下の通りである。
【0104】
透明性
○:透明であった。
×:黄色味を帯びていた。
基材密着性
○:レジストパターン(隔壁)と垂直方向に直径2cmのロールに巻き付けてもレジストの剥離がない。
×:レジストパターン(隔壁)と垂直方向に直径2cmのロールに巻き付けると、レジストが基材から剥離する。
【0105】
【発明の効果】
本発明の平面画像表示装置用隔壁は、カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなる感光性樹脂組成物[I]の光硬化レジストからなり、該レジストの400nm〜760nmにおける光線透過率が80%以上であるため、透明性に優れ、かつ基材との密着性、特に折り曲げ可能な基材に用いて折り曲げた時の基材との密着性に優れた効果を有するものであり、電子ペーパーやリライタブルペーパーなどの表示装置に有効に用いることができる。
Claims (6)
- カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)、エチレン性不飽和化合物(C)及び光重合開始剤(D)を含有してなる感光性樹脂組成物[I]の光硬化レジストからなり、該硬化レジストの400nm〜760nmにおける光線透過率が80%以上であることを特徴とする平面画像表示装置用隔壁。
- カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)の酸価が100〜600mgKOH/gであることを特徴とする請求項1記載の平面画像表示装置用隔壁。
- カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度が30〜150℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の平面画像表示装置用隔壁。
- ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(B)のガラス転移温度が−70〜50℃であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の平面画像表示装置用隔壁。
- 折り曲げ可能な基材に、感光性樹脂組成物[I]層を積層し、露光、現像を行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の平面画像表示装置用隔壁。
- 感光性樹脂組成物[I]層の膜厚が10〜500μmであることを特徴とする平面画像表示装置用隔壁。
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