JP2006301186A - 感光性樹脂組成物およびそれを用いて得られる配線回路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】タック性,耐折性,低応力性,半田耐熱性に優れ、しかも良好なアルカリ現像性および絶縁性を備えた感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)〜(E)成分を含有する感光性樹脂組成物である。しかも、上記感光性樹脂組成物は、紫外線露光前の25℃における貯蔵弾性率が10〜800MPaである。
(A)カルボキシル基含有線状重合体。
(B)エチレン性不飽和基含有重合性化合物。
(C)光重合開始剤。
(D)下記の一般式(1)で表されるエポキシ樹脂。
【化1】
(E)重量平均分子量900〜60000のビスフェノールA型エポキシ樹脂および重量平均分子量900〜60000のビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくとも一方。
【選択図】なし
【解決手段】下記の(A)〜(E)成分を含有する感光性樹脂組成物である。しかも、上記感光性樹脂組成物は、紫外線露光前の25℃における貯蔵弾性率が10〜800MPaである。
(A)カルボキシル基含有線状重合体。
(B)エチレン性不飽和基含有重合性化合物。
(C)光重合開始剤。
(D)下記の一般式(1)で表されるエポキシ樹脂。
【化1】
(E)重量平均分子量900〜60000のビスフェノールA型エポキシ樹脂および重量平均分子量900〜60000のビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくとも一方。
【選択図】なし
Description
本発明は、感光性樹脂組成物およびそれを用いて得られる、ソルダーレジストを有する配線回路基板に関するものである。
半田付けによって半導体素子等の電子部品を実装する配線回路基板には、カバーレイと称される接着剤層が形成されたポリイミドフィルムを所定の形状に打ち抜いたものを、導体パターン上に貼り付けたり、あるいはソルダーレジストと呼ばれる耐熱性材料をスクリーン印刷法や露光現像法によって必要な部分に設けたりというように、導体パターン上にカバー絶縁層(ソルダーレジスト層を含む)を設けることが行われている。
このようなカバー絶縁層には、半田による部品実装時の半田耐熱性,絶縁性,難燃性,さらにフレキシブルプリント配線板においては耐折性等の特性が要求される。
現状では、上記接着剤層が形成されたポリイミドフィルムを所定の形状に打ち抜いて形成されるカバーレイが上記のような特性を満足するものとして最も多く使用されているが、型抜きに際して高価な金型を必要とし、さらに打ち抜いたフィルムを人手で位置合わせして貼り合わせるという作業を必要とすることから高コストになり、また微細パターンの形成が困難であるという問題がある。
このような問題を解決するために、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂,ビスフェノールF型エポキシ樹脂,ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を主成分とする液状の感光性レジスト材料が提案されている(特許文献1,2,3参照)。これらは、微細パターンの形成を可能とするものである。また、微細パターンの形成性および耐折性や低応力性に優れた、ウレタンアクリレートを主成分とした耐折性に優れた感光性レジスト材料が提案されている(特許文献4参照)。
特開平7−207211号公報
特開平8−134390号公報
特開平9−5997号公報
特開平7−253666号公報
しかしながら、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂,ビスフェノールF型エポキシ樹脂,ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を主成分とする液状の感光性レジスト材料は、上記各種エポキシ樹脂を主成分とするため、耐折性や低応力性に乏しいという問題を有している。また、上記ウレタンアクリレートを主成分とした耐折性に優れた感光性レジスト材料は、半田耐熱性に関して充分なものとはいえないという問題がある。
また、液状の感光性ソルダーレジストを使用して画像を形成する工程では、塗布工程〜乾燥工程〜露光工程〜現像工程という手順で進められ、上記露光工程においてはソルダーレジストは画像形成用マスクと接触露光するのが一般的であるが、露光前のソルダーレジストは柔らかく、表面にタックを有すると画像形成用マスクとの位置合わせが困難となったり、画像形成用マスクとの剥離が難しく、作業性に劣るという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、タック性,耐折性,低応力性,半田耐熱性に優れ、しかも良好なアルカリ現像性および絶縁性を備えた感光性樹脂組成物およびそれを用いて得られる配線回路基板の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)〜(E)成分を含有する感光性樹脂組成物であって、紫外線露光前の25℃における貯蔵弾性率が10〜800MPaである感光性樹脂組成物を第1の要旨とする。
(A)カルボキシル基含有線状重合体。
(B)エチレン性不飽和基含有重合性化合物。
(C)光重合開始剤。
(D)下記の一般式(1)で表されるエポキシ樹脂。
(E)重量平均分子量900〜60000のビスフェノールA型エポキシ樹脂および重量平均分子量900〜60000のビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくとも一方。
(A)カルボキシル基含有線状重合体。
(B)エチレン性不飽和基含有重合性化合物。
(C)光重合開始剤。
(D)下記の一般式(1)で表されるエポキシ樹脂。
そして、導体回路パターン上に、上記感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂組成物層を形成し、これを所定のパターンに露光して現像することによりカバー絶縁層を形成してなる配線回路基板を第2の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、タック性,耐折性,低応力性,半田耐熱性に優れ、しかも良好なアルカリ現像性および絶縁性の全てを備えた感光性樹脂組成物を得るために一連の研究を重ねた。その結果、上記カルボキシル基含有線状重合体〔(A)成分〕と、エチレン性不飽和基含有重合性化合物〔(B)成分〕とともに、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂〔(D)成分〕と特定のビスフェノールA型エポキシ樹脂および特定のビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくとも一方〔(E)成分〕を併用して、紫外線(UV)露光前の25℃における貯蔵弾性率を10〜800MPaの範囲とすると、良好なタック性が得られるとともに、耐折性,低応力性,半田耐熱性に優れ、しかも良好なアルカリ現像性および絶縁性が得られるという作用を奏するため、所期の目的が達成されることを見出し本発明に到達した。
このように、本発明は、前記カルボキシル基含有線状重合体〔(A)成分〕と、エチレン性不飽和基含有重合性化合物〔(B)成分〕とともに、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂〔(D)成分〕と特定のビスフェノールA型エポキシ樹脂および特定のビスフェノールF型エポキシ樹脂の少なくとも一方〔(E)成分〕を含有し、しかも紫外線(UV)露光前の25℃における貯蔵弾性率が10〜800MPaの範囲に設定されてなる感光性樹脂組成物である。このため、優れた耐折性,低応力性,半田耐熱性,アルカリ現像性および絶縁性を備えるとともに、良好なタック性を備え、露光工程における作業性の向上が実現する。したがって、導体回路パターン上に、本発明の感光性樹脂組成物を用いてソルダーレジストを形成することにより各特性に優れた配線回路基板が得られ、このような配線回路基板、例えば、フレキシブルプリント配線板に、半田付け等によってLSI,ダイオード,トランジスタ,コンデンサ等の電子部品を実装して実装基板とし、携帯電話等の小型機器等に装着利用される。
そして、上記(E)成分の含有量を感光性樹脂組成物全体の1〜20重量%の範囲に設定すると、耐折性および半田耐熱性に一層優れるようになる。
また、上記カルボキシル基含有線状重合体〔(A)成分〕として、重量平均分子量(Mw)が5000〜50000の範囲のものを用いると、一層優れたアルカリ現像性を発揮することが可能となる。
さらに、上記カルボキシル基含有線状重合体〔(A)成分〕として、トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレートを含有する共重合成分を用いると、しかも上記トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレートの割合を共重合成分全体の20〜92重量%の範囲に設定すると、難燃性および耐折性により一層優れるようになる。
そして、上記エチレン性不飽和基含有重合性化合物〔(B)成分〕として、一般式(2)で表されるビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を用いると、感度およびアルカリ現像性に優れたものが得られるようになる。
そして、上記(A)〜(E)成分に加えて芳香族リン酸エステル〔(F)成分〕を用いると、より一層難燃性に優れたものが得られるようになる。
本発明の感光性樹脂組成物は、カルボキシル基含有線状重合体(A成分)と、エチレン性不飽和基含有重合性化合物(B成分)と、光重合開始剤(C成分)と、特殊なエポキシ樹脂(D成分)と、特定分子量のエポキシ樹脂(E成分)とを用いて得られるものである。
上記カルボキシル基含有線状重合体(A成分)としては、特に限定するものではないが、例えば、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加させて得られた化合物の水酸基に酸無水物を開環付加させたもの、ポリオールやフェノキシ樹脂等の水酸基に酸無水物を開環付加させたもの、(メタ)アクリル酸を含むエチレン性不飽和化合物の線状重合物、ポリアミド酸等が用いられる。なかでも、線状重合物の酸当量を任意に制御できることや、原料モノマー種が豊富にあることに起因して、ガラス転移温度(Tg)等の物性設計が容易であることから、(メタ)アクリル酸を含むエチレン性不飽和化合物の線状重合物を用いることが好ましい。
上記カルボキシル基含有線状重合体(A成分)の重量平均分子量は、5000〜50000の範囲であることが好ましく、より好ましくは6000〜40000、さらに好ましくは7000〜30000の範囲である。すなわち、重量平均分子量が5000未満では半田耐熱性等が悪くなる傾向がみられ、50000を超えるとアルカリ現像性が悪くなる傾向がみられるからである。
また、上記カルボキシル基含有線状重合体(A成分)の酸当量は、200〜900の範囲であることが好ましく、より好ましくは250〜850、さらに好ましくは300〜800の範囲である。すなわち、酸当量が200未満では高温高湿下での銅の酸化を促進するため好ましいものではなく、900を超えるとアルカリ現像性が悪くなる傾向がみられるからである。
さらに、上記カルボキシル基含有線状重合体(A成分)として、上記(メタ)アクリル酸を含むエチレン性不飽和化合物の線状重合物を用いる際には、難燃性および耐折性を付与するためにトリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレートを共重合成分として含有することが好ましい。
したがって、上記カルボキシル基含有線状重合体(A成分)としては、例えば、トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸およびその他のビニルモノマーとを共重合して得られる重合体があげられる。
上記その他のビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、スチレン、α−スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記共重合成分であるトリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレートの共重合量は、共重合成分の総量中、20〜92重量%に設定することが好ましく、より好ましくは30〜90重量%の範囲である。すなわち、共重合量が20重量%未満では、難燃性が低下する傾向がみられ、92重量%を超えると、難燃性は得られるが、硬化させたソルダーレジストのアルカリ現像性が低下する傾向がみられるからである。
また、上記共重合成分である(メタ)アクリル酸の共重合量は、共重合成分の総量中、8〜40重量%に設定することが好ましく、より好ましくは10〜35重量%の範囲である。すなわち、共重合量が8重量%未満では、現像時間が長くなり作業性が低下する傾向がみられ、40重量%を超えると、高温高湿下での銅の酸化を促進する傾向がみられるからである。
そして、上記共重合成分であるその他のビニルモノマーの共重合量は、共重合成分の総量中、0〜72重量%であることが好ましく、より好ましくは0〜60重量%である。すなわち、共重合量が72重量%を超えると難燃性および現像性が低下する傾向がみられるからである。
上記A成分とともに用いられるエチレン性不飽和基含有重合性化合物(B成分)は、特に限定するものではないが、下記の一般式(2)で表されるビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物であることが、半田耐熱性、耐折性、アルカリ現像性等の特性バランスに優れる点から好ましい。
上記式(2)中、炭素数2〜6のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基等があげられる。特にエチレン基であることが好ましい。
上記イソプロピレン基は、−CH(CH3 )CH2 −で表される基であり、上記一般式(2)中の−(O−Y1 )−および−(Y2 −O)−において結合方向は、メチレン基が酸素と結合している場合とメチレン基が酸素に結合していない場合の2種類があり、1種類の結合方向でもよいし、2種類の結合方向が混在していてもよい。
上記−(O−Y1 )−および−(Y2 −O)−の繰り返し単位がそれぞれ2以上のとき、2以上のY1 および2以上のY2 は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。そして、Y1 およびY2 が2種以上のアルキレン基で構成される場合、2種以上の−(O−Y1 )−および−(Y2 −O)−は、ランダムに存在してもよいし、ブロック的に存在してもよい。
また、上記一般式(2)中の、2個のベンゼン環の置換可能な位置には、1個以上の置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それら置換基は互いに同じであっても異なっていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、アリル基、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または複素環を含む基等があげられる。
上記一般式(2)中の、繰り返し数p,qは、p+qが4〜40となるよう選ばれる正の整数であり、より好ましくはp+qが4〜15となるよう選ばれる正の整数であり、特に好ましくはp+qが5〜13となるよう選ばれる正の整数である。すなわち、p+qが4未満では、耐折性が低下する傾向がみられ、p+qが40を超えると、感光性樹脂組成物全体の系が親水性を示し、高温高湿下での絶縁信頼性に劣る傾向がみられるからである。
上記一般式(2)で表されるビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には、2,2′−ビス〔4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル〕プロパン、2,2′−ビス〔4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル〕プロパン、2,2′−ビス〔4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル〕プロパン、2,2′−ビス〔4−(メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシフェニル〕プロパン、2,2′−ビス〔4−(メタ)アクリロキシトリエトキシオクタプロポキシフェニル〕プロパン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記AおよびB成分とともに用いられる光重合開始剤(C成分)としては、例えば、置換または非置換の多核キノン類(2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等)、α−ケタルドニルアルコール類(ベンゾイン、ピバロン等)、エーテル類、α−炭化水素置換芳香族アシロイン類(α−フェニル−ベンゾイン、α,α−ジエトキシアセトフェノン類等)、芳香族ケトン類(ベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン等の4,4′−ビスジアルキルアミノベンゾフェノン等)、チオキサントン類(2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−エチルチオキサントン等)、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−モルホリノプロパン−1−オン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記A〜C成分とともに用いられる特殊なエポキシ樹脂(D成分)は、下記の一般式(1)で表されるエポキシ樹脂である。上記特殊なエポキシ樹脂(D成分)を用いることにより、耐折性および半田耐熱性に一層優れるようになる。
上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、例えば、特開2004−15602号公報に記載された方法により製造することができる。具体的には、下記の式(3)で表される2官能性フェノール化合物と、エーテル結合を含む炭化水素化合物のジビニルエーテルとを反応させ、ついで得られた2官能性フェノール樹脂にエピハロヒドリンを反応させることにより製造することができる。
上記A〜D成分とともに用いられる特定分子量のエポキシ樹脂(E成分)は、重量平均分子量900〜60000のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量900〜60000のビスフェノールF型エポキシ樹脂が用いられる。これらは単独でもしくは2種併せて用いられる。
好ましくは、重量平均分子量1200〜60000のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量1200〜60000のビスフェノールF型エポキシ樹脂が用いられる。
本発明においては、上記A〜E成分に加えて、さらに難燃性の向上を目的に、芳香族リン酸エステル化合物(F成分)を用いることができる。上記芳香族リン酸エステル化合物(F成分)としては、具体的には、下記の一般式(4)で表される化合物等があげられる。
上記式(4)中、R9 は2価の有機基であり、なかでもジヒドロキシベンゼンから2個のヒドロキシル基を除いた2価の残基または2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンから2個のヒドロキシル基を除いた2価の残基であることが好ましい。また、上記式(4)のR10およびR11において、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等があげられるが、入手容易性という観点からメチル基が好ましい。さらに、難燃性,耐折性,耐加水分解性,耐電食性等の見地から、式(4)中のR10およびR11の少なくとも一方が炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。
上記一般式(4)で表される芳香族リン酸エステル化合物としては、例えば、R9 が2,2′−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンから2個のヒドロキシル基を除いた2価の残基であり、R10がメチル基でR11が水素原子である化合物、R9 が2,2′−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンから2個のヒドロキシル基を除いた2価の残基であり、R10およびR11がメチル基である化合物、R9 がm−ジヒドロキシベンゼンから2個のヒドロキシル基を除いた2価の残基であり、R10がメチル基でR11が水素原子である化合物、R9 がm−ジヒドロキシベンゼンから2個のヒドロキシル基を除いた2価の残基であり、R10およびR11がメチル基である化合物等があげられる。
このような一般式(4)で表される芳香族リン酸エステル化合物は、大八化学工業社製のPX200、CR−747等として入手可能である。
本発明の感光性樹脂組成物における、上記A〜E成分を用いる場合、加えてさらにF成分を用いる場合の各含有量は、好適にはつぎのように設定される。まず、上記A成分の含有量は、感光性樹脂組成物全体の20〜70重量%の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは25〜65重量%である。すなわち、20重量%未満ではアルカリ現像性が不充分となる傾向があり、70重量%を超えると半田耐熱性が不充分となる傾向がみられるからである。
上記B成分の含有量は、感光性樹脂組成物全体の5〜50重量%の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは10〜40重量%である。すなわち、5重量%未満では感度が不充分となる傾向がみられ、50重量%を超えるとアルカリ現像性が低下する傾向がみられるからである。
上記C成分の含有量は、感光性樹脂組成物全体の0.1〜10重量%の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは0.2〜8重量%である。すなわち、0.1重量%未満では感度が不充分となる傾向があり、10重量%を超えるとアルカリ現像性が低下する傾向がみられるからである。
上記D成分の含有量は、感光性樹脂組成物全体の1〜40重量%の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは2〜30重量%である。すなわち、1重量%未満では半田耐熱性が不充分となる傾向がみられ、40重量%を超えるとアルカリ現像性が低下する傾向がみられるからである。
上記E成分の含有量は、感光性樹脂組成物全体の1〜20重量%の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは2〜18重量%である。すなわち、1重量%未満では紫外線(UV)露光前のソルダーレジストが柔らかく、露光工程における作業性が悪化する傾向がみられ、20重量%を超えるとアルカリ現像性が低下する傾向がみられるからである。
上記F成分の含有量は、感光性樹脂組成物全体の40重量%以下に設定することが好ましく、より好ましくは2〜30重量%である。すなわち、2重量%未満では難燃性が低下する傾向があり、40重量%を超えると絶縁性が悪くなる傾向がみられるからである。
本発明の感光性樹脂組成物には、上記各成分以外に必要に応じて、他の添加剤、すなわち、フタロシアニングリーン,フタロシアニンブルー等の顔料、シリカ,硫酸バリウム,タルク等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、安定剤、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールや5−アミノ−1−H−テトラゾール等の密着性付与剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、上記DおよびE成分以外のエポキシ樹脂、ブロックイソシアネート等の熱架橋剤等を適宜配合することができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これら他の添加剤は、感光性樹脂組成物全体の0.01〜20重量%の範囲内で用いることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記各成分を所定の含有量となるように配合し混合することにより得られる。そして、必要に応じて有機溶剤と混合して用いることができる。上記有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ソルベントナフサ、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メシチレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤またはこれらの混合溶剤を用いることができる。
上記有機溶剤を用いる場合の使用量は、特に限定されるものではないが、感光性樹脂組成物100重量部に対して0〜200重量部程度混合して用いることができる。
このようにして得られる感光性樹脂組成物は、紫外線(UV)露光前の25℃における貯蔵弾性率が10〜800MPaの範囲である必要がある。特に好ましくは20〜600MPaである。すなわち、10MPa未満では、画像形成用マスクとソルダーレジストとの密着性が大きくなり、画像形成用マスクの位置合わせが困難になったり、剥離が困難となり、800MPaを超えると、UV露光前のソルダーレジストが欠けやすくなったり、アルカリ現像性に劣るようになるからである。なお、上記UV露光前の25℃における貯蔵弾性率は、例えば、固体粘弾性測定装置を用いて、周波数1Hz、昇温速度10℃/分、測定温度10〜40℃、引っ張りモードで測定した際の、25℃における値を読み取ることにより得られる値である。
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、フレキシブルプリント配線板等の配線回路基板用のソルダーレジスト材料として有用である他、塗料、コーティング剤、接着剤等の用途としても使用することができる。
上記配線回路基板用のソルダーレジスト材料として用いる際には、例えば、つぎのようにして使用される。以下、フレキシブルプリント配線板を例に順を追って説明する。
まず、フレキシブルプリント配線板の導体回路パターン形成面に、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、静電塗装法により、乾燥後の厚みが5〜50μmとなるように本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、5〜120℃で3〜60分間程度乾燥させた後、ネガまたはポジマスクパターンフィルムを塗膜に直接接触させ、あるいは接触させずに設置し、ついで活性光線を照射する。
上記活性光線の光源としては、公知の各種光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に照射するものが用いられる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に照射するものも用いられる。
ついで、アルカリ性水溶液等の現像液を用いて、例えば、スプレー,揺動浸漬,ブラッシング,スクラッピング等の公知の方法により未露光部を除去して現像し、レジストパターンを製造する。
上記現像に用いるアルカリ性水溶液としては、0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等を用いることができる。
また、現像後、半田耐熱性,耐薬品性等を向上させる目的で、必要に応じて高圧水銀ランプによる紫外線照射や加熱を行うことができる。上記紫外線の照射量は、0.2〜10J/cm2 程度に設定することが好ましく、また上記加熱に関しては100〜180℃程度の範囲で15〜120分間行うことが好ましい。この紫外線照射と加熱の順序はいずれが先であってもよいし、紫外線照射および加熱のいずれか一方のみの処理であってもよい。
このようにしてソルダーレジストが形成されたフレキシブルプリント配線板は、その後、半田付け等によって、LSI、ダイオード、トランジスタ、コンデンサ等の電子部品を実装して実装基板とし、例えば、携帯電話等の小型機器等に装着されることになる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔ポリマー(カルボキシル基含有線状重合体)aの合成〕
N−メチルピロリドン20gを窒素雰囲気下で300mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら130℃に加温した。30分保温後、トリブロモフェノキシエチルアクリレート76g、メタクリル酸16g、メタクリル酸メチル8g、N−メチルピロリドン40g、触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.2gを混合溶解した溶液を60分でセパラブルフラスコ内に滴下し反応させた。130℃で2時間保温した後、さらに触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.4gをN−メチルピロリドン7gに溶解した溶液を加え、さらに130℃で2時間保温した。その後、冷却して、ポリマー溶液a(固形分60重量%、Mw=15000)を得た。
N−メチルピロリドン20gを窒素雰囲気下で300mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら130℃に加温した。30分保温後、トリブロモフェノキシエチルアクリレート76g、メタクリル酸16g、メタクリル酸メチル8g、N−メチルピロリドン40g、触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.2gを混合溶解した溶液を60分でセパラブルフラスコ内に滴下し反応させた。130℃で2時間保温した後、さらに触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.4gをN−メチルピロリドン7gに溶解した溶液を加え、さらに130℃で2時間保温した。その後、冷却して、ポリマー溶液a(固形分60重量%、Mw=15000)を得た。
〔ポリマー(カルボキシル基含有線状重合体)bの合成〕
N−メチルピロリドン30gを窒素雰囲気下で300mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら150℃に加温した。30分保温後、トリブロモフェノキシエチルアクリレート92g、メタクリル酸8g、N−メチルピロリドン60g、触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.2gを混合溶解した溶液を60分でセパラブルフラスコ内に滴下し反応させた。150℃で2時間保温した後、さらに触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.4gをN−メチルピロリドン10gに溶解した溶液を加え、さらに150℃で2時間保温した。その後、冷却して、ポリマー溶液b(固形分50重量%、Mw=4500)を得た。
N−メチルピロリドン30gを窒素雰囲気下で300mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら150℃に加温した。30分保温後、トリブロモフェノキシエチルアクリレート92g、メタクリル酸8g、N−メチルピロリドン60g、触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.2gを混合溶解した溶液を60分でセパラブルフラスコ内に滴下し反応させた。150℃で2時間保温した後、さらに触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.4gをN−メチルピロリドン10gに溶解した溶液を加え、さらに150℃で2時間保温した。その後、冷却して、ポリマー溶液b(固形分50重量%、Mw=4500)を得た。
〔ポリマー(カルボキシル基含有線状重合体)cの合成〕
N−メチルピロリドン20gを窒素雰囲気下で300mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら130℃に加温した。30分保温後、フェノキシエチルアクリレート76g、メタクリル酸16g、メタクリル酸メチル8g、N−メチルピロリドン40g、触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.2gを混合溶解した溶液を60分でセパラブルフラスコ内に滴下し反応させた。130℃で2時間保温した後、さらに触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.4gをN−メチルピロリドン7gに溶解した溶液を加え、さらに130℃で2時間保温した。その後、冷却して、ポリマー溶液c(固形分60重量%、Mw=16000)を得た。
N−メチルピロリドン20gを窒素雰囲気下で300mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら130℃に加温した。30分保温後、フェノキシエチルアクリレート76g、メタクリル酸16g、メタクリル酸メチル8g、N−メチルピロリドン40g、触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.2gを混合溶解した溶液を60分でセパラブルフラスコ内に滴下し反応させた。130℃で2時間保温した後、さらに触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.4gをN−メチルピロリドン7gに溶解した溶液を加え、さらに130℃で2時間保温した。その後、冷却して、ポリマー溶液c(固形分60重量%、Mw=16000)を得た。
〔ポリマー(カルボキシル基含有線状重合体)dの合成〕
γ−ブチロラクトン30gを窒素雰囲気下で300mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら110℃に加温した。30分保温後、フェノキシエチルアクリレート50g、メタクリル酸22g、メタクリル酸メチル28g、γ−ブチロラクトン60g、触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.2gを混合溶解した溶液を60分でセパラブルフラスコ内に滴下し反応させた。110℃で2時間保温した後、さらに触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.4gをγ−ブチロラクトン10gに溶解した溶液を加え、さらに110℃で2時間保温した。その後、冷却して、ポリマー溶液d(固形分50重量%、Mw=60000)を得た。
γ−ブチロラクトン30gを窒素雰囲気下で300mlのセパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら110℃に加温した。30分保温後、フェノキシエチルアクリレート50g、メタクリル酸22g、メタクリル酸メチル28g、γ−ブチロラクトン60g、触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.2gを混合溶解した溶液を60分でセパラブルフラスコ内に滴下し反応させた。110℃で2時間保温した後、さらに触媒としてのアゾビスイソブチロニトリル0.4gをγ−ブチロラクトン10gに溶解した溶液を加え、さらに110℃で2時間保温した。その後、冷却して、ポリマー溶液d(固形分50重量%、Mw=60000)を得た。
〔ポリマー(カルボキシル基含有線状重合体)eの合成〕
トリブロモフェノキシエチルアクリレートを20g、フェノキシエチルアクリレートを56g用いた以外は上記ポリマー(カルボキシル基含有線状重合体)aの合成と同様にして(下記の表1参照)ポリマー溶液e(Mw=16000)を得た。
トリブロモフェノキシエチルアクリレートを20g、フェノキシエチルアクリレートを56g用いた以外は上記ポリマー(カルボキシル基含有線状重合体)aの合成と同様にして(下記の表1参照)ポリマー溶液e(Mw=16000)を得た。
このようにして得られた各ポリマー溶液a〜eにおける、配合成分の組成割合および重合温度、重量平均分子量を下記の表1に併せて示す。
つぎに、下記に示す各成分を準備した。
〔エチレン性不飽和基含有重合性化合物〕
新中村化学社製のBPE500、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型メタクリレート〔前記式(2)中のp+q=10〕
新中村化学社製のBPE500、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型メタクリレート〔前記式(2)中のp+q=10〕
〔芳香族リン酸エステル化合物〕
大八木化学社製のCR747、芳香族リン酸エステル化合物〔式(5)中、R1 が2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンから2個のヒドロキシル基を除いた2価の残基であり、R2 がメチル基、R3 が水素原子〕
大八木化学社製のCR747、芳香族リン酸エステル化合物〔式(5)中、R1 が2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンから2個のヒドロキシル基を除いた2価の残基であり、R2 がメチル基、R3 が水素原子〕
〔光重合開始剤〕
チバガイギー社製、Irgacure369
チバガイギー社製、Irgacure369
〔エポキシ樹脂d〕
テトラエチレングリコールジビニルエーテル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔前記式(1)中のXがトリ(エチレンオキシ)エチル基、R1 〜R2 がメチル基、R3 〜R6 が水素原子、nの平均値が1.2〕
テトラエチレングリコールジビニルエーテル変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔前記式(1)中のXがトリ(エチレンオキシ)エチル基、R1 〜R2 がメチル基、R3 〜R6 が水素原子、nの平均値が1.2〕
〔エポキシ樹脂A〕
ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1010、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(重量平均分子量約5500)
ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1010、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(重量平均分子量約5500)
〔エポキシ樹脂B〕
ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1256、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(重量平均分子量約53000)
ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1256、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(重量平均分子量約53000)
〔エポキシ樹脂C〕
ジャパンエポキシレジン社製のエピコート4250、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合タイプ(重量平均分子量約60000)
ジャパンエポキシレジン社製のエピコート4250、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合タイプ(重量平均分子量約60000)
〔エポキシ樹脂D〕
ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1001、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(重量平均分子量約900)
ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1001、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(重量平均分子量約900)
〔エポキシ樹脂E〕
ジャパンエポキシレジン社製のエピコート834、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(重量平均分子量約500)
ジャパンエポキシレジン社製のエピコート834、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(重量平均分子量約500)
〔顔料〕
フタロシアニングリーン
フタロシアニングリーン
〔密着性付与剤〕
5−アミノ−1−H−テトラゾール
5−アミノ−1−H−テトラゾール
〔実施例1〜9、比較例1〜6〕
下記の表2〜表3に示す各成分を同表に示す割合で配合することにより感光性樹脂組成物を作製した(なお、表中の数字は不揮発分の重量部である)。
下記の表2〜表3に示す各成分を同表に示す割合で配合することにより感光性樹脂組成物を作製した(なお、表中の数字は不揮発分の重量部である)。
このようにして得られた各感光性樹脂組成物を用いて、下記に示す方法にしたがって特性評価を行った。その結果を後記の表4〜表6に併せて示す。
〔UV露光前貯蔵弾性率〕
シリコーン樹脂で離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、上記感光性樹脂組成物溶液を乾燥後の厚みが約20μmになるように塗布、乾燥(80℃×30分)した。これをカッターナイフで32×40mmの大きさに切り取った後、感光性樹脂組成物層のみを折り畳んで、幅約2.5〜4mm、厚み約300〜400μm、長さ約32〜35mmの試料を作製した。この試料を用いて固体粘弾性測定装置RSA11(レオメトリックサイエンティフィック社製)にて、10〜40℃までの引張貯蔵弾性率を周波数1Hzにて測定し、25℃における値をUV露光前貯蔵弾性率とした。
シリコーン樹脂で離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、上記感光性樹脂組成物溶液を乾燥後の厚みが約20μmになるように塗布、乾燥(80℃×30分)した。これをカッターナイフで32×40mmの大きさに切り取った後、感光性樹脂組成物層のみを折り畳んで、幅約2.5〜4mm、厚み約300〜400μm、長さ約32〜35mmの試料を作製した。この試料を用いて固体粘弾性測定装置RSA11(レオメトリックサイエンティフィック社製)にて、10〜40℃までの引張貯蔵弾性率を周波数1Hzにて測定し、25℃における値をUV露光前貯蔵弾性率とした。
〔タック性〕
厚み25μmのポリイミドフィルム上に、上記感光性樹脂組成物溶液を乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布、乾燥(80℃×30分)した。この乾燥塗膜の表面タック性を触指法により下記の基準に従い評価した。
○:タック性がなく、塗膜表面に指が触れた跡も残らなかった。
△:タック性はないが、塗膜表面に指が触れた跡は残った。
×:タック性があるもの。
厚み25μmのポリイミドフィルム上に、上記感光性樹脂組成物溶液を乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布、乾燥(80℃×30分)した。この乾燥塗膜の表面タック性を触指法により下記の基準に従い評価した。
○:タック性がなく、塗膜表面に指が触れた跡も残らなかった。
△:タック性はないが、塗膜表面に指が触れた跡は残った。
×:タック性があるもの。
〔耐折性〕
厚み18μm、L/S(パターン幅/パターン間隔)=50μm/50μmの直線状銅パターンが厚み25μmのポリイミドフィルム上に直接形成されたフレキシブルプリント配線板を準備し、これを脱脂、ソフトエッチングして銅表面を整面した。その後、このフレキシブルプリント配線板上に、上記感光性樹脂組成物溶液を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、乾燥(80℃×30分間)して、さらにその上に厚み38μmのポリエチレンフィルムを密着させ、250Wの超高圧水銀灯で、300mJ/cm2 の露光量で紫外線照射した。その後、上記ポリエチレンフィルムを剥離し、熱風循環乾燥機中で150℃×30分間熱処理を行った。
厚み18μm、L/S(パターン幅/パターン間隔)=50μm/50μmの直線状銅パターンが厚み25μmのポリイミドフィルム上に直接形成されたフレキシブルプリント配線板を準備し、これを脱脂、ソフトエッチングして銅表面を整面した。その後、このフレキシブルプリント配線板上に、上記感光性樹脂組成物溶液を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、乾燥(80℃×30分間)して、さらにその上に厚み38μmのポリエチレンフィルムを密着させ、250Wの超高圧水銀灯で、300mJ/cm2 の露光量で紫外線照射した。その後、上記ポリエチレンフィルムを剥離し、熱風循環乾燥機中で150℃×30分間熱処理を行った。
このようにして得られた感光性樹脂組成物層が設けられたフレキシブルプリント配線板の銅回路パターンを外に向けて銅回路パターンと平行方向に180°折り曲げて、その折り曲げた部分の感光性樹脂組成物層のクラックの発生状況を目視で下記の基準により評価した。
○:クラックが発生しなかった。
×:クラックが発生した。
○:クラックが発生しなかった。
×:クラックが発生した。
〔アルカリ現像性〕
脱脂、ソフトエッチングして表面を整面した厚み35μmの銅箔上に、上記感光性樹脂組成物溶液を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、乾燥(80℃×30分間)して、さらにその上に厚み38μmのポリエチレンフィルムを密着させ、250Wの超高圧水銀灯で、300mJ/cm2 の露光量で紫外線照射した。その後、上記ポリエチレンフィルムを剥離し、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて圧力0.2MPaで90秒間現像した。現像後の未露光部を目視により観察し、下記の基準により評価した。
○:感光性樹脂組成物の残渣がなかった。
×:感光性樹脂組成物の残渣があった。
脱脂、ソフトエッチングして表面を整面した厚み35μmの銅箔上に、上記感光性樹脂組成物溶液を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、乾燥(80℃×30分間)して、さらにその上に厚み38μmのポリエチレンフィルムを密着させ、250Wの超高圧水銀灯で、300mJ/cm2 の露光量で紫外線照射した。その後、上記ポリエチレンフィルムを剥離し、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて圧力0.2MPaで90秒間現像した。現像後の未露光部を目視により観察し、下記の基準により評価した。
○:感光性樹脂組成物の残渣がなかった。
×:感光性樹脂組成物の残渣があった。
〔難燃性〕
厚み25μmのポリイミドフィルム上に、上記感光性樹脂組成物溶液を乾燥後の厚みが20μmになるように、塗布して乾燥(80℃×30分)し、その上に厚み38μmのポリエチレンフィルムを密着させ、250Wの超高圧水銀灯で、300mJ/cm2 の露光量で紫外線照射した。その後、ポリエチレンフィルムを剥離し、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて圧力0.2MPaで90秒間現像し、ついで水道水にて30秒間洗浄した後、熱風循環乾燥機中で150℃×30分間熱処理を行った。これを難燃性試験規格UL94に準拠した装置(東洋精機製作所社製、No.1031、HVUL UL燃焼テストチャンバー)、方法(VTM法)にしたがって難燃性を評価した。
厚み25μmのポリイミドフィルム上に、上記感光性樹脂組成物溶液を乾燥後の厚みが20μmになるように、塗布して乾燥(80℃×30分)し、その上に厚み38μmのポリエチレンフィルムを密着させ、250Wの超高圧水銀灯で、300mJ/cm2 の露光量で紫外線照射した。その後、ポリエチレンフィルムを剥離し、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて圧力0.2MPaで90秒間現像し、ついで水道水にて30秒間洗浄した後、熱風循環乾燥機中で150℃×30分間熱処理を行った。これを難燃性試験規格UL94に準拠した装置(東洋精機製作所社製、No.1031、HVUL UL燃焼テストチャンバー)、方法(VTM法)にしたがって難燃性を評価した。
〔絶縁性〕
厚み18μm、L/S(パターン幅/パターン間隔)=50μm/50μmのバイアステスト用櫛型銅パターンが厚み25μmのポリイミドフィルム上に直接形成されたフレキシブルプリント配線板を準備し、これを脱脂、ソフトエッチングして銅表面を整面した。その後、上記フレキシブルプリント配線板上に、上記感光性樹脂組成物溶液を乾燥後の厚みが20μmになるように、塗布して乾燥(80℃×30分間)し、その上に厚み38μmのポリエチレンフィルムを密着させ、250Wの超高圧水銀灯で、300mJ/cm2 の露光量で紫外線照射した。その後、ポリエチレンフィルムを剥離し、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて圧力0.2MPaで90秒間現像し、ついでイオン交換水にて30秒間洗浄した後、熱風循環乾燥機中で150℃×30分間熱処理を行い絶縁性試験用プリント配線板を作製した。この絶縁性試験用プリント配線板を85℃×85%RHの恒温恒湿槽に投入し、櫛型パターンの両電極間に50Vの電圧をかけ、絶縁抵抗を1000時間経過時まで槽内で測定して、下記の基準により評価した。
○:1000時間を経過しても絶縁抵抗値が106 Ω以上を示したもの。
×:1000時間以内に絶縁抵抗値が106 Ω未満を示したもの。
厚み18μm、L/S(パターン幅/パターン間隔)=50μm/50μmのバイアステスト用櫛型銅パターンが厚み25μmのポリイミドフィルム上に直接形成されたフレキシブルプリント配線板を準備し、これを脱脂、ソフトエッチングして銅表面を整面した。その後、上記フレキシブルプリント配線板上に、上記感光性樹脂組成物溶液を乾燥後の厚みが20μmになるように、塗布して乾燥(80℃×30分間)し、その上に厚み38μmのポリエチレンフィルムを密着させ、250Wの超高圧水銀灯で、300mJ/cm2 の露光量で紫外線照射した。その後、ポリエチレンフィルムを剥離し、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて圧力0.2MPaで90秒間現像し、ついでイオン交換水にて30秒間洗浄した後、熱風循環乾燥機中で150℃×30分間熱処理を行い絶縁性試験用プリント配線板を作製した。この絶縁性試験用プリント配線板を85℃×85%RHの恒温恒湿槽に投入し、櫛型パターンの両電極間に50Vの電圧をかけ、絶縁抵抗を1000時間経過時まで槽内で測定して、下記の基準により評価した。
○:1000時間を経過しても絶縁抵抗値が106 Ω以上を示したもの。
×:1000時間以内に絶縁抵抗値が106 Ω未満を示したもの。
〔半田耐熱性〕
脱脂、ソフトエッチングして表面を整面した厚み35μmの銅箔上に、上記感光性樹脂組成物溶液を乾燥後の厚みが20μmになるように、塗布して乾燥(80℃×30分間)し、その上に厚み38μmのポリエチレンフィルムを密着させ、一辺が5mmの正方形ネガパターンが形成されたガラスマスクを通して250Wの超高圧水銀灯で、300mJ/cm2 の露光量で紫外線照射した。その後、ポリエチレンフィルムを剥離し、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて圧力0.2MPaで90秒間現像し、ついでイオン交換水にて30秒間洗浄した後、熱風循環乾燥機中で150℃×30分間熱処理を行い半田耐熱性試験用基板を作製した。
脱脂、ソフトエッチングして表面を整面した厚み35μmの銅箔上に、上記感光性樹脂組成物溶液を乾燥後の厚みが20μmになるように、塗布して乾燥(80℃×30分間)し、その上に厚み38μmのポリエチレンフィルムを密着させ、一辺が5mmの正方形ネガパターンが形成されたガラスマスクを通して250Wの超高圧水銀灯で、300mJ/cm2 の露光量で紫外線照射した。その後、ポリエチレンフィルムを剥離し、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて圧力0.2MPaで90秒間現像し、ついでイオン交換水にて30秒間洗浄した後、熱風循環乾燥機中で150℃×30分間熱処理を行い半田耐熱性試験用基板を作製した。
ついで、ロジン系フラックスMH−820V(タムラ化研社製)を塗布した後、260℃の半田浴中に10秒間浸漬して半田付け処理を行った。その後、目視により下記の基準に従い評価した。
○:半田潜り、ソルダーレジストの浮き、剥がれが発生しなかった。
×:半田潜り、またはソルダーレジストの浮きおよび剥がれが発生した。
○:半田潜り、ソルダーレジストの浮き、剥がれが発生しなかった。
×:半田潜り、またはソルダーレジストの浮きおよび剥がれが発生した。
上記結果から、実施例品は、UV露光前貯蔵弾性率が高く、タック性,耐折性,アルカリ現像性,絶縁性,半田耐熱性の全てにおいて良好なフレキシブルプリント配線板が得られることが明らかである。さらに、難燃剤である芳香族リン酸エステル化合物を用いた実施例品は難燃性においても優れた結果が得られた。
これに対して、比較例1〜5品は、いずれもUV露光前貯蔵弾性率が低くタック性に劣っていた。加えて、比較例3品は、タック性および半田耐熱性に特に劣っており、また比較例4品はタック性に特に劣るものであった。さらに、比較例5品は、耐折性およびアルカリ現像性に特に劣る結果となった。
Claims (8)
- 上記(E)成分の含有量が、感光性樹脂組成物全体の1〜20重量%に設定されている請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 上記(A)成分であるカルボキシル基含有線状重合体の重量平均分子量が5000〜50000である請求項1または2記載の感光性樹脂組成物。
- 上記(A)成分であるカルボキシル基含有線状重合体が、トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレートを含有する共重合成分を用いて得られるものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 上記トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量が、共重合成分全体の20〜92重量%の範囲に設定されている請求項4記載の感光性樹脂組成物。
- 上記(A)〜(E)に加えて、下記の(F)を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
(F)芳香族リン酸エステル化合物。 - 導体回路パターン上に、請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂組成物層を形成し、これを所定のパターンに露光して現像することによりカバー絶縁層を形成してなる配線回路基板。
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