JP5875869B2 - アルギニン高含有酵母エキスおよびその製造方法 - Google Patents

アルギニン高含有酵母エキスおよびその製造方法 Download PDF

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Description

関連出願の参照
本特許出願は、先に出願された日本国における特許出願である特願2009−286187号(出願日:2009年12月17日)に基づく優先権の主張を伴うものである。この先の特許出願における全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
発明の背景
技術分野
本発明は、アルギニンを高濃度で含有する酵母エキス組成物、該酵母エキスの製造に用いられる新規酵母、ならびに該酵母エキス組成物の製造法に関するものである。
背景技術
加工食品では、風味の改善、向上、差別化が常に求められている。味の特徴作りに関わる調味料としては、うま味調味料、畜水産エキス系調味料、たん白加水分解物、酵母エキスなど多様に開発されている。特に、近年では高力価が求められ、ハイフレーバータイプのエキスや、特定成分(例えば、グルタチオン、核酸、グルタミン酸)を高含有させた酵母エキスなどの開発が進んでいる。しかしながら、これらの調味料は、高力価である反面、添加量により、その特長ある風味が際立ち、かえって食品の嗜好性を下げたりする場合がある。
また、近年の健康志向もあることから、高力価であるが、食品の風味全体のバランスを崩さず、かつ有害物質の副生やアレルゲンを含まない天然調味料の提供が、今後の調味料分野の課題の一つである。
調味料により付与される呈味は、口に含んでから短時間、特に3秒以内に感じる先味、先味に続いて感じる中味、中味の後に感じる後味に大別されるが、インパクトが重視される飲食品に用いられる調味料においては先味の増強が求められる。
これまでに先味の増強方法としては、分子量1000から30000である糖ペプチド(特許文献1:国際公開第2006/104022号パンフレット)、グルタミン酸とアスパラギン酸および塩基性アミノ酸の組み合わせ(特許文献2:国際公開第2006/062181号パンフレット)、グルタミン酸を多く含む酵母エキス(特許文献3:特開2009−261253号公報)などを用いる方法が報告されている。しかしながら、これらの手法では、小麦や大豆蛋白の加水分解物を用いるため、アレルゲン物質を含む、うま味や苦味など他の呈味も付与してしまうなどの問題がある。
安全面の課題を解決する上では、有害物質の副生やアレルゲンを含まず、トレーサビリティーに優れた調味料素材である酵母エキスは有用であるが、食品の風味全体のバランスを崩さずに先味を増強できる酵母エキスはこれまで知られていない。
一方で、アルギニンは、その生理機能を利用した機能性食品への利用のみならず、魚畜肉加工品の発色剤、食肉加工品の品質改良剤等として利用されることも知られている。また、近年の天然志向の高まりとともに、これらの用途(魚畜肉加工品の発色剤、食肉加工品の品質改良剤等)においても天然物由来のアルギニンへの関心が高まっている(例えば、特許文献4:特開平9−234058号公報)。
天然物由来のアルギニンまたはアルギニンを高含有する食品添加剤を得るために、アルギニンを高含有する素材を酸分解する方法が考えられるが、酸分解した場合には、3−クロロ−1,2−プロパンジオール(3−MCPD)などの有害な可能性のある物質が生成することが知られている。また、副生成物として多量の食塩が生成するなどの欠点がある。ゆえに、汎用性がありかつ安全な天然物由来アルギニンを高含有する食品素材が望まれている。
食肉加工品製造の素材の一つとしては酵母エキスがあげられるが、アルギニンを高含有する酵母エキスは知られていない。
国際公開第2006/104022号パンフレット 国際公開第2006/062181号パンフレット 特開2009−261253号公報 特開平9−234058号公報
本発明者らは、アルギニンアナログ耐性を有し、かつ、アルギニンを唯一の窒素源とする培地では生育しないが、オルニチンを唯一の窒素源とする培地では生育可能な性質を有する酵母を培養し、得られる培養物から酵母エキスを製造することにより、アルギニンを高濃度で含有する酵母エキス組成物が得られることを見出した。さらに、本発明者らは、この酵母エキス組成物が飲食品用の風味改良剤として優れていることを見出した。本発明はこれら知見に基づくものである。
従って、本発明の目的は、アルギニンを高濃度で含有する酵母エキス組成物、該酵母エキスの製造に用いられる新規酵母、ならびに該酵母エキス組成物の製造法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、風味改良剤および飲食品の風味改良法を提供することにある。
そして、本発明による酵母エキス組成物は、全固形分に対して5質量%以上のアルギニンを含んでなる酵母エキス組成物である。
本発明による酵母は、アルギニンアナログ耐性を有し、かつ、アルギニンを唯一の窒素源とする培地では生育しないが、オルニチンを唯一の窒素源とする培地では生育可能な性質を有する、サッカロミセス属に属する酵母である。
本発明による酵母エキス組成物の製造法は、例えば、(a)アルギニンアナログ耐性を有し、かつ、アルギニンを唯一の窒素源とする培地では生育しないが、オルニチンを唯一の窒素源とする培地では生育可能な性質を有する酵母を培養する工程、(b)前記(a)により得られる培養物から酵母菌体を分離する工程、および(c)分離された酵母菌体を自己消化処理、酵素分解処理または熱水抽出処理に供する工程を含んでなる。
本発明による風味改良剤は、本発明による酵母エキス組成物を含んでなるものである。
本発明による風味改良法は、本発明による酵母エキス組成物を飲食品に添加することを含んでなるものである。
本発明により、アルギニンを高含有する酵母エキスを提供することが可能となる。本発明による酵母エキス組成物は、飲食品、例えば食肉加工品の製造に好適に用いることができる。より具体的には、本発明により、飲食品の風味のバランスを崩すことなく飲食品の風味を改良することが可能となり、特に飲食品の先味を増強することができる。
発明の具体的説明
本発明による酵母エキス組成物は、全固形分に対して5質量%以上のアルギニンを含んでなるものである。このような酵母エキス組成物は、通常の酵母を培養して得られた培養物に自己消化処理や酵素分解処理等の処理を行なって調製した酵母エキスや、市販の酵母エキス等の、アルギニン含量が全固形分に対して5質量%に満たない酵母エキスに、天然物由来のアルギニンを添加するなど、いかなる方法によって調製してもよいが、菌体内にアルギニンを高濃度蓄積する能力を有する酵母を用いて調製することが好ましい。アルギニンの含有量に特に上限はなく、多い方が好ましいが、通常、全固形分に対して50質量%以下、30質量%以下、または20質量%以下である。
本発明の一つの実施態様によれば、本発明による酵母エキス組成物は、全固形分に対して5質量%以上のアルギニンを含んでなり、かつ、酵母エキスに由来するアルギニン以外のアルギニンを含まないものとされる。
本発明の他の実施態様によれば、本発明による酵母エキス組成物は、全固形分に対して5質量%以上のアルギニンを含んでなり、かつ、酵母エキスに由来するアルギニン以外のアルギニンを含むものとされる。
本明細書において、アルギニン含量を表す百分率(質量%)は「全固形分」に対するものである。ここで、この「全固形分」は酵母の培養によって得られる酵母エキスの全固形分を意味する。酵母エキスの全固形分は、その酵母エキスを105℃で4時間以上乾熱し、デシケーター中で冷却後、残渣を秤量することによって定量することができる。また、アルギニン含有量は、アミノ酸アナライザー、液体クロマトグラフィー等を用いて酵母エキスを分析することにより測定することができる。アルギニン含量の算出に用いられるアルギニン含有量の値は、遊離アルギニンとしての質量である。
本発明の好ましい実施態様によれば、菌体内にアルギニンを高濃度蓄積する能力を有する酵母は、アルギニンを唯一の窒素源とする培地では生育しないが、オルニチンを唯一の窒素源とする培地では生育可能な性質を有するものとされる。このような性質を有する酵母は、通常の酵母と比べてアルギナーゼ活性が低下しているか、または同活性が欠損しており、菌体内にアルギニンを高濃度蓄積する上で好ましい。このアルギナーゼ活性は、低ければ低いほど好ましく、例えば、通常のサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(例えばATCC20017株または微工研3533株)と比較して80%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下、最も好ましくは3%以下とされる。
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、菌体内にアルギニンを高濃度蓄積する能力を有する酵母は、アルギニンアナログ耐性を有するものとされ、より好ましくはアルギニンハイドロキサメート耐性を有するものとされる。
酵母としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロミセス(Saccharomyces)属に属する酵母、キャンディダ・リポリティカ(Candida lipolytica)等のキャンディダ(Candida)属に属する酵母、トルラスポラ・デルブルッキー(Torulaspora delbrueckii)等のトルラスポラ(Torulaspora)属に属する酵母、クルイベロミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)等のクルイベロミセス属(Kluyveromyces)に属する酵母、ピヒア・メンブラネファシエンス(Pichia membranaefaciens)等のピヒア(Pichia)属に属する酵母等が挙げられる。本発明の好ましい実施態様によれば、酵母は、サッカロミセス属、より好ましくはサッカロミセス・セレビシエに属する酵母とされる。
菌体内にアルギニンを高濃度蓄積する能力を有する酵母は、例えば、以下の(I)〜(VII)の連続した工程により取得することができる。
(I)酵母の変異処理
酵母を、紫外線照射、変異誘発剤(例えばN−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、エチルメタンスルフォン酸等)等による突然変異処理に供する。
(II)アルギナーゼ活性が低下または欠損した菌株の取得
上記(I)の工程で得られた菌株の中から、アルギニンを唯一の窒素源とする最少培地〔最少培地の組成は、例えば、The Yeast, A Taxonomic Study, Fourth edition, p.93-94(1998)参照。以下同じ〕で生育できないが、オルニチンを唯一の窒素源とする最少培地では生育可能な菌株を、アルギナーゼ活性が低下または欠損した菌株として分離する。
(III)酵母の培養
上記(II)で分離した株を、糖蜜(糖分として3%に相当する量)、リン酸二水素カリウム1.14g/L、尿素0.45g/Lおよび水からなる培地に植菌して、30℃で24〜48時間培養する。
(IV)熱水抽出
上記(III)で得た培養液を遠心分離して回収した酵母湿菌体に、その質量と等量の蒸留水を加え、よく混合した後、90℃で30分間オートクレーブに供し、3000rpmで5分間遠心分離して上清を回収する。一方、沈殿物に等量の蒸留水を加え、混合した後、再度同条件で遠心分離し、得られた上清を前述の上清に加える。
(V)固形分含有量の定量
上記(IV)で得た上清1mlを105℃で4時間以上乾熱し、デシケーター中で冷却後、秤量する。
(VI)アルギニン含有量の定量
上記(IV)で得た上清を、アミノ酸アナライザー、液体クロマトグラフィー等に供し、上清中のアルギニン含有量を測定する。
(VII)本発明に用いられる酵母の選択
〔上記(VI)で求めたアルギニン含有量〕/〔上記(V)で求めた固形分含有量〕×100の値が5以上となる菌株を分離する。
アルギナーゼ活性が低下または欠損し、かつアルギニンアナログ(例えばアルギニンハイドロキサメート)に耐性を有する菌株は、例えば、アルギニンアナログを含有する最少培地(例えば、特開昭52−143288号公報参照)に上記(I)の工程により得られる菌株を植菌し、生育可能な菌株をアルギニンアナログ耐性株として取得し、該アルギニンアナログ耐性株を必要に応じて上記(I)の工程に供した後に、上記(II)の工程に供して取得することができる。
以上のようにして得られる酵母の一例として、サッカロミセス・セレビシエ ARG2株が挙げられる。サッカロミセス・セレビシエ ARG2株は、2009年12月11日付けで独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(日本国 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)にNITE BP−849として寄託されている。
本発明による酵母エキス組成物の製造に用いられる酵母の培養物は、上記工程で得た酵母を固体培地、液体培地等の酵母が生育可能な培地で培養して得ることができる。
培地は、炭素源、無機塩類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微量栄養素を含有する通常の栄養培地であれば、合成培地または天然培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、グルコース、グリセロール、マンニトール、エタノール、n-パラフィン等が用いられる。また、乳酸やクエン酸等の有機酸も単独あるいは他の炭素源と併用して用いることができる。
窒素源としては、尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等が用いられる。
有機微量栄養素としては、アミノ酸、ビタミン、脂肪酸、核酸、更にこれらのものを含有するペプトン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆蛋白分解物等が用いられる。
無機塩類としては、リン酸塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、カルシウム塩等が用いられる。
培養は、培養温度20〜37℃で、pHを3〜8に制御して行い、必要に応じて通気培養を行なう。培養中、炭酸カルシウム、アンモニア水、アンモニアガス、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリでpHを調整してもよい。
培養を10時間〜4日間程度行なうことにより菌体内にアルギニンが蓄積する。
固体培地を用いて培養した場合は、固体培地に生育した菌体を固体培地とともにそのまま培養物として用いてもよいし、固体培地から掻き取るなどの方法で集菌して得られる菌体を培養物として用いてもよい。
液体培地を用いて培養した場合は、培養液をそのまま培養物として用いてもよいし、培養液から遠心分離またはろ過等の固液分離操作を行なって菌体を分離し、これを培養物として用いてもよい。
酵母の培養物はそのまま次の処理に用いてもよいし、必要に応じて、水、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の無機塩水溶液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液等の緩衝液などに懸濁し、該懸濁液を酵母の培養物として次の処理に用いてもよい。
酵母エキス組成物の製造において酵母の培養物を自己消化処理する方法としては、酵母の培養物を35〜50℃で6〜72時間加熱する方法が挙げられる。
自己消化処理後、得られる処理物をそのまま本発明による酵母エキス組成物として用いてもよいし、遠心分離、ろ過等の固液分離操作を行ない、不溶性の固形分を除去したものを本発明による酵母エキス組成物としてもよい。
酵母エキス組成物の製造において酵母の培養物を酵素分解処理する方法としては、酵母の培養物にプロテアーゼ、アミラーゼ、細胞壁溶解酵素、デアミナーゼ、ヌクレアーゼ等を添加し、酵素反応させる方法が挙げられる。酵素は単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。酵素は、例えば、酵母の培養物に、終濃度0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%となるように添加する。酵素反応の温度、pH、反応時間は各酵素により異なるが、各酵素の至適温度、至適pHで反応させることが好ましい。酵素分解処理後、得られる処理物をそのまま本発明による酵母エキス組成物としてもよいし、遠心分離、ろ過等の固液分離操作を行ない、不溶性の固形分を除去したものを本発明による酵母エキス組成物としてもよい。
酵母エキス組成物は、酵母の培養物を上記(IV)に記載の方法に準じて、熱水抽出により製造することもできる。
酵母エキス中の固形分含有量およびアルギニン含有量は、それぞれ上記(V)および(VI)記載の方法に準じて定量することができる。また、既存の酵母エキスについては、酵母エキスを必要に応じて水等に懸濁した後、(V)および(VI)の操作を行なって定量することができる。
酵母エキス組成物の製造において、酵母エキスにアルギニンを添加する場合には、添加するアルギニンは、L体、D体、およびL体とD体の混合物のいずれであってもよいが、好ましくはL体とされる。また、添加するアルギニンは、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等の塩であってもよい。
酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、ならびに酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、α−ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩、カプリル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。
アンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等との間で形成された塩が挙げられる。
アミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等との間で形成された塩が挙げられる。
本発明による酵母エキス組成物は、必要に応じて加熱濃縮、減圧濃縮等の濃縮処理、熱乾燥、凍結乾燥等の乾燥処理に供することにより、濃縮物または乾燥物として製造してもよい。
本発明による酵母エキス組成物は、通常の酵母エキスと同様に、飲食品の製造時、または喫食時に用いることができ、食感改良、風味改良等の効果を得ることができる。
特に、本明細書においては、本発明による酵母エキス組成物の添加によって飲食品の風味が改良され、特に飲食品の先味が増強されることが実証されている。よって、本発明によれば、本発明による酵母エキス組成物を含んでなる風味改良剤が提供される。さらに、本発明によれば、飲食品の風味を改良する方法、および風味の改良された飲食品を製造する方法が提供され、これらの方法は、本発明による酵母エキス組成物を飲食品に添加することを含んでなる。
また、上記の風味改良法において、酵母エキスにアルギニンを添加することによって製造された酵母エキス組成物を用いる場合には、このような組成物に代えて、酵母エキスとアルギニンとを別々に飲食品に添加してもよい。よって、本発明によれば、飲食品の風味を改良する方法、および風味の改良された飲食品を製造する方法が提供され、これらの方法は、酵母エキスとアルギニンとを飲食品に添加することを含んでなり、該酵母エキス中のアルギニンの質量と添加されるアルギニンの質量との合計は、該酵母エキスの全固形分に対して5質量%以上とされる。
本発明による風味の改良においては、必要に応じて食品に使用可能な別の添加物を飲食品に添加してもよく、また、本発明による風味改良剤は、このような添加物を含有してもよい。このような食品に使用可能な別の添加物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩、グルタミン酸ナトリウム、グリシン、アラニン等のアミノ酸、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等の核酸、ショ糖、ブドウ糖、乳糖等の糖、醤油、味噌、畜肉エキス、家禽エキス、魚介エキス、蛋白質加水分解物等の天然調味料、スパイス類、ハーブ類等の香辛料、水、デキストリン、各種澱粉等の賦形剤等が挙げられる。
飲食品としては、ハム、ソーセージ等の食肉加工品、ラーメン、めんつゆ、コンソメスープ、たまごスープ、カレー、ホワイトシチュー、ハンバーグ等の一般的な飲食品などを挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1:酵母変異株の作製およびこれを用いた酵母エキス組成物の製造
(1)酵母変異株の作製
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ATCC20017株にアルギニンハイドロキサメート耐性を付与して得られたサッカロミセス・セレビシエ微工研3533株を、5mlのYPD培地(グルコース2%、酵母エキス1%およびポリペプトン2%を含有する培地)に1白金耳植菌し、30℃で24時間振とう培養した。
得られた培養液0.1mlを三角フラスコ中の100mlのYPD培地に植菌し、30℃で12時間振とう培養した。集菌後、菌体を滅菌水で2回洗浄し、0.067mol/lリン酸1カリウム溶液中にOD(Optical Density)660nmが1.0(約1×107 cells/ml)となるように懸濁した。この懸濁液をプラスチックシャーレに分注し、攪拌しながら45〜60秒間、紫外線を照射した。紫外線照射後、菌体懸濁液0.1mlを5mlのYPD培地に植菌し、30℃で12〜36時間培養した。
集菌後、アルギニンを唯一の窒素源とする最少培地〔11.7gのバクト・イースト・カーボンベース(ディフコ社製)、10gのアルギニン、1gのリン酸二水素カリウムおよび0.5gの硫酸マグネシウムを水1L中に含有する培地〕では生育しないが、オルニチンを唯一の窒素源とする最少培地〔11.7gのバクト・イースト・カーボンベース(ディフコ社製)、10gのオルニチン、1gのリン酸二水素カリウムおよび0.5gの硫酸マグネシウムを水1L中に含有する培地〕では生育可能な性質を有する菌株を4株分離した。
分離した各菌株ならびにこれらの親株である微工研3533株をそれぞれガラスビーズで粉砕して内容物を抽出し、アルギナーゼ活性測定キット(バイオアッセイシステムズ社製)でアルギナーゼ活性を測定した結果、微工研3533株と比較して2.9%のアルギナーゼ活性を示す1株を選抜し、これを「ARG2」株と命名した。
(2)酵母エキス組成物の製造
微工研3533株およびARG2株を、5mlのYPD培地(グルコース2%、酵母エキス1%およびポリペプトン2%を含有する培地)に1白金耳植菌し、30℃で24時間振とう培養した。
得られた培養液(全量)を、糖蜜(糖として3%を含有する量)、リン酸1カリウム0.34g、尿素0.13gおよび消泡剤1滴を含有する培地300mlに植菌し、30℃で63時間振とう培養した。培養中、培養開始から21時間目に0.9gのグルコースおよび0.3gのリン酸1カリウムを添加した。
得られた培養液を遠心分離して集菌し、湿菌体質量と等量の蒸留水を加え、よく混合した後、90℃で30分間のオートクレーブ処理に供した。
オートクレーブ処理後、3000rpmで5分間遠心分離し、上清を得た。また、沈殿物と等量の蒸留水を加え、混合した後、再度同条件で遠心分離した。得られた上清を先の上清に加えることにより、酵母からの熱水抽出物を酵母エキスとして得た。
該酵母エキス1mlを105℃で4時間以上乾熱し、デシケーター中で冷却後、秤量して固形分含有量を定量した。
また、該酵母エキスをアミノ酸アナライザー(AminoTac JLC-500/V;日本電子株式会社製)に供してアルギニン含有量を定量した。
アルギニン含有量/固形分含有量×100の値を第1表に示す。
Figure 0005875869
第1表に示すとおり、アルギナーゼを欠損し、かつアルギニンアナログに耐性を有するARG2株を用いて得られた酵母エキスは、アルギニンを高濃度で含有していた。
実施例2:酵母エキス組成物を配合した食肉加工品の製造
第2表記載の材料をフードカッターで1分間混合し、ビニール袋に入れた。1晩冷蔵保管した後、片側を縛った人工ケーシングに詰め、その反対側を糸で閉じた。スチームコンベクションを用い、中心温度72℃、外温度75℃で20分間火入れすることによりソーセージを得た。該ソーセージを冷却し、1週間冷凍保管した。
なお、市販のパン酵母であるダイヤイーストYSTを用いて実施例1記載の方法に準じて酵母エキスを調製し、アルギニン含有量(固形分あたり)を測定したところ2.3%であった。試験には、この酵母エキス(YST使用)を用いた。
Figure 0005875869
保管後、10分間ボイルし、得られたソーセージの食感等について調べた。結果を第3表に示す。
Figure 0005875869
第3表に示すとおり、アルギニンを高蓄積する酵母を用いて得られた本発明の酵母エキスを配合したソーセージ(試験区3)は、ジューシー感があり、畜肉臭が弱く、酵母エキスを添加しないコントロールや他の酵母エキスを添加した試験区1および2と比較して顕著に好ましい食感と香りを有していた。
実施例3:酵母エキス組成物を配合したハンバーグの製造
第4表に示した配合にて原料を混合し、ハンバーグを試作した。
Figure 0005875869
試験区1におけるアルギニンの添加量は、試験区3における酵母エキス(ARG2株使用)中のアルギニン含有量(6.3%)と同じ量とした。また、試験区2で使用した酵母エキスLは、ARG2株と同様のパン酵母由来であり、汎用的な低塩酵母エキス(キリン協和フーズ社製、アルギニン含量1.2%)である。
得られた各ハンバーグにおいて、甘味、うま味、味の厚み、ジューシー感、畜肉臭、味の広がり、嗜好性について、5名のトレーニングされたパネラーにより官能評価を行なった。評価は、各評価項目において、効果の認められないものを0点、効果の弱いものを1点、十分な効果の認められるものを2点、顕著に強い効果の認められるものを3点として行なった。なお、畜肉臭については、畜肉臭の抑制効果を評価した。結果を第5表に示す。
Figure 0005875869
第5表に示すとおり、酵母エキス(ARG2株使用)を添加して得られたハンバーグは、他のハンバーグと比較して、うま味、味の厚み、ジューシー感、味の広がりのいずれにおいても優れており、かつ畜肉臭も抑制されていることからもっとも好ましいハンバーグであった。
実施例4:ARG2株を用いた酵母エキスの製造(2)
実施例1(2)記載の方法に準じて、微工研3533株およびARG2株から別途酵母エキスを調製し、酵母エキス(微工研3533株)および酵母エキス(ARG2株使用)の固形分含有量およびアルギニン含有量を定量した。以下の試験にはこの酵母エキスを用いた。
アルギニン含有量/全固形分含有量×100の値を第6表に示す。
Figure 0005875869
実施例5:ホワイトソースの製造
市販のホワイトソース100gに、天然由来のアルギニン(協和発酵バイオ社製)、酵母エキスL(キリン協和フーズ社製:アルギニン含量1.2%)および実施例4で調製した酵母エキス(ARG2株使用)を、それぞれ第7表に示す量添加した。試験区1と試験区3では、アルギニン濃度が相互に同濃度となるように調整した。ここで用いた酵母エキスLは一般的に用いられる低塩の酵母エキスであり、酵母の由来もARG2エキスと同様のパン酵母であることから、比較対照として用いた。
これらのホワイトソースのそれぞれについて、感じられる先味の強さ、うま味の強さ、および味の厚みの官能評価を、5名のトレーニングされたパネラーによって行なった。評価は、各評価項目において、評価の最も低いものを1点、評価のもっとも高いものを7点とし、無添加のホワイトソース(対照区)を3点とする7点評点法で行なった。結果を第7表に示す。
Figure 0005875869
第7表に示すとおり、アルギニンを全固形分の5質量%以上含有する酵母エキスを添加した場合(試験区3)、対照区に対して有意に先味の増強効果が認められた。
実施例6:めんつゆの製造
濃口醤油、砂糖、醸造調味料、かつおエキス、昆布エキス、水等を用いてめんつゆを調製した。めんつゆ100mlに、天然物由来のアルギニン(協和発酵バイオ社製)、酵母エキスL(キリン協和フーズ社製:アルギニン含量1.2質量%)、実施例4で調製した酵母エキス(ARG2株使用)ならびにアルギニンおよび酵母エキスLを、それぞれ第8表に示す量添加した。試験区1、試験区3および試験区4では、アルギニン濃度が相互に同濃度となるように調整した。
これらのめんつゆのそれぞれについて、感じられる塩味、先味の強さ、うま味の強さ、および味の厚みの官能評価を、5名のトレーニングされたパネラーによって行なった。評価は、各評価項目において、評価の最も低いものを1点、評価のもっとも高いものを7点とし、めんつゆ(対照区)を3点とする7点評点法で行なった。結果を第8表に示す。
Figure 0005875869
第8表に示すとおり、アルギニンを全固形分の5質量%以上含有する酵母エキスを添加した場合(試験区3)、および一般的な酵母エキスと酵母エキスの全固形分の5質量%以上に相当するアルギニンとを併用した場合(試験区4)においては、対照区に対して有意に先味の増強効果が認められた。
実施例7:ラーメンスープの製造
濃口醤油、がらエキス、かつおエキス、醸造調味料、うま味調味料、香辛料、水などを用いラーメンスープを調製した。ラーメンスープ100mlに、実施例4で調製した酵母エキス(ARG2株使用)を第9表に示す量添加した。
これらのラーメンスープのそれぞれについて、感じられる先味の強さ、うま味の強さ、および味の厚みの官能評価を、5名のトレーニングされたパネラーによって行なった。評価は、各評価項目において、評価の最も低いものを1点、評価のもっとも高いものを7点とし、無添加のラーメンスープ(対照区)を3点とする7点評点法で行なった。結果を第9表に示す。
Figure 0005875869
第9表に示すとおり、ラーメンスープにおいても、アルギニンを全固形分の5質量%以上含有する酵母エキスを添加した場合(試験区1)、対照区と比較して有意に先味の増強効果が認められた。
実施例8:ホワイトソースの製造(2)
添加するものを第10表に示した市販の酵母エキスA〜Cとする以外は、実施例5と同様の操作によってホワイトソースを製造した。ここで、酵母エキスAは高核酸酵母エキス(核酸含量約20%)、酵母エキスBは高グルタチオン酵母エキス(含量8%以上)、酵母エキスCは高グルタミン酸含有酵母エキス(含量9%以上)である。
これらのホワイトソースのそれぞれについて、感じられる先味の強さ、うま味の強さ、味の厚み、後味のきれ、後味の好ましさおよびホワイトソースとしての嗜好性の官能評価を、5名のトレーニングされたパネラーによって行なった。評価は、各評価項目において、評価の最も低いものを1点、評価のもっとも高いものを7点とし、ホワイトソース(対照区)を3点とする7点評点法で行なった。結果を第10表に示す。
Figure 0005875869
第10表に示すとおり、アルギニンを全固形分の5質量%以上含有する酵母エキスを添加した場合(試験区4)に、有意に先味の増強効果が確認された。さらに、官能試験の他の項目も含めて評価すると、アルギニンを全固形分の5質量%以上含有する酵母エキスは、後味がすっきりとしたインパクトのある呈味であるといえる。

Claims (4)

  1. 飲食品の風味を改良する方法であって、全固形分に対して5質量%以上の遊離アルギニンを含む酵母エキス組成物を飲食品に添加することを含んでなり、風味の改良が、畜肉臭の抑制および/または先味の増強であり、
    ここで、該酵母エキス組成物が、サッカロミセス・セレビシエに属する酵母を用いて得られるものであり、該酵母が、アルギニンを唯一の窒素源とする培地では生育しないが、オルニチンを唯一の窒素源とする培地では生育可能な性質を有し、かつ、アルギニンハイドロキサメート耐性を有する酵母である、方法。
  2. 前記酵母エキス組成物が、菌体内に遊離アルギニンを高濃度蓄積する能力を有する酵母を用いて得られるものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酵母エキス組成物が、サッカロミセス・セレビシエ ARG2株(NITE BP−849)を用いて得られるものである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 風味の改良された飲食品を製造する方法であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法に従って飲食品の風味を改良することを含んでなり、風味の改良が、畜肉臭の抑制および/または先味の増強である、方法。
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