JP4278831B2 - 酵素液とその製造方法、酵素剤、蛋白質分解酵素剤、蛋白質分解酵素生産菌 - Google Patents

酵素液とその製造方法、酵素剤、蛋白質分解酵素剤、蛋白質分解酵素生産菌 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規に得られた酵素液とその製造方法、酵素液から得られる酵素剤、これらの酵素液あるいは酵素剤を有効成分として含む蛋白質分解酵素剤、及び蛋白質分解酵素生産菌に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の蛋白質をペプチドあるいはアミノ酸に分解する技術は、例えば医療用の経腸栄養剤や食品素材としての栄養補給剤の調製,大豆蛋白等に含まれる難分解性蛋白質の分解効率を高めることによる食品利用効率の向上,原料蛋白質からのアミノ酸調味料の製造,ふくらみの増強されたパンの製造等、極めて多様な産業分野において広範囲に利用されている。
【0003】
蛋白質を分解するに当たり、塩酸等を用いる化学的分解方法は、効率が良いとは言え、分解条件が過酷であるために好ましくない副産物を生成する懸念もあり、特に食品,調味料や栄養素材等の人体に関連する産業分野においては、蛋白質をマイルドな条件で分解できる酵素分解方法が好ましく利用されている(例えば特公平7−53106号公報,特開平11−75765号公報等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来、このような目的で工業的に利用する蛋白質分解酵素は、主として各種の細菌やカビを利用して生産しているが、一般的に、細菌から取得された蛋白質分解酵素とカビから取得された蛋白質分解酵素とは互いに一長一短があると言われており、工業的に利用する蛋白質分解酵素として充分に満足できる活性や安定性を備えた蛋白質分解酵素は必ずしも得られていない。
【0005】
即ち、細菌由来の蛋白質分解酵素は通常、耐熱性に優れるが、蛋白質をアミノ酸にまで分解するペプチダーゼ活性もしくは蛋白質低分子化能力が低い点が指摘されている。従って、その分解生成物には高分子量のペプチドが多く含まれることとなり、食品素材や調味料等として苦味が強かったり、栄養素材としては腸からの吸収速度が遅い等と言う不具合がある。又、細菌由来の蛋白質分解酵素が耐熱性に優れるとは言え、例えば60°C程度の高温度域でペプチダーゼ活性を維持する高耐熱性のものは殆ど報告されていない。
【0006】
一方、カビ由来の蛋白質分解酵素は通常、ペプチダーゼ活性,ペプチド結合に対する分解特異性の広さ,蛋白質の低分子化能力等の面で優れているが、耐熱性(例えば、50°Cもしくはそれ以上の中〜高温度域での蛋白質分解能力)が劣るために、比較的低温度域で蛋白質分解工程を行うことを余儀無くされて、雑菌の繁殖を許し易かった。
【0007】
このように、従来、中〜高温度以上の温度域で失活しない熱安定性と、優れた蛋白質低分子化能力とを併せ持つ蛋白質分解酵素が提供されていなかった。
【0008】
更に、蛋白質原料として有力な大豆等には難分解性蛋白質が含まれており、これを有効に分解するためには蛋白質のペプチド結合に対する分解特異性の広さがキー・ポイントになると考えられるが、上記のような熱安定性と優れた蛋白質低分子化能力とを備えたもとで、かかる難分解性蛋白質に対して有効な分解能力を示すものが提供されていなかった。
【0009】
そこで本発明は、中〜高温度以上の温度域での熱安定性と優れた蛋白質低分子化能力とを併せ持ち、更に好ましくは難分解性蛋白質を有効に分解することができる酵素的な蛋白質分解手段を提供することを、解決すべき課題とする。
【0010】
本願発明者は、モンゴル地方の伝統食品である「饅頭(マントウ)」の生地より分離したバチルス属の細菌を培養して得られる酵素液が、このような酵素活性を示すことを見出し、本願発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、バチルス属の細菌を培養して得られる蛋白質分解活性を示す酵素液であって、pH7における60〜65°Cでの1時間の熱処理に対して実質的に100%の残存活性を示す高耐熱性ペプチダーゼ活性を備える、酵素液である。
【0012】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る酵素液が、更にプロテアーゼ活性とコラゲナーゼ活性とを併せ備えることである。
【0013】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る酵素液が、下記1)〜4)の少なくとも1の特性を示すことである。
【0014】
1)蛋白質のペプチド鎖における少なくとも10種類以上のアミノ酸の結合部位を切断するペプチド分解部位特異性を示す。
【0015】
2)酸カゼイン1g当たりプロテアーゼ活性で200単位の前記酵素液を添加して17時間の分解を行うことにより、分子量1000以下のペプチド又はアミノ酸を前記酸カゼインに対して50重量%以上生成すると言う蛋白質低分子化能力を示す。
【0016】
3)上記2)の蛋白質低分子化能力が、45°C及び60°Cの温度条件での分解において同等に発現される。
【0017】
4)大豆の難分解性蛋白質に対して、所定の作用条件において50%以上の可溶化率を示す。
【0018】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明に係る酵素液が、FERM BP−7155号として国際寄託されているバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)M2−4株を培養して得られるものであることである。
【0019】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、バチルス属の細菌を培養し、培養物から第1発明〜第4発明のいずれかに係る酵素液を取得する、酵素液の製造方法である。
【0020】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、第5発明に係る酵素液の製造方法により得られた酵素液から酵素蛋白質を分離して得られる、酵素剤である。
【0021】
(第7発明の構成)
上記課題を解決するための本願第7発明の構成は、第1発明〜第4発明のいずれかに係る酵素液あるいは第6発明に係る酵素剤を有効成分として含み、難分解性蛋白質の分解,アミノ酸調味料の製造,パンの製造,食肉の軟化,ペプチドの製造,低アレルゲン化蛋白質の製造,チーズの製造のいずれかの用途に用いる、蛋白質分解酵素剤である。
【0022】
(第8発明の構成)
上記課題を解決するための本願第8発明の構成は、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)M2−4株(FERM BP−7155)である、蛋白質分解酵素生産菌である。
【0023】
【発明の作用・効果】
(第1発明の作用・効果)
第1発明の酵素液を用いることにより、雑菌の繁殖を許さない温度条件、例えば50°C以上、もしくは60〜65°Cに至る中〜高温度域で蛋白質分解工程を行うことが可能となり、しかもペプチダーゼ活性によって充分な蛋白質低分子化能力を期待することができる。
【0024】
(第2発明の作用・効果)
第2発明の酵素液は、上記高耐熱性のペプチダーゼ活性に加えてプロテアーゼ活性を併せ備えるため、更に優れた蛋白質低分子化能力と、プロテアーゼ活性の一般的な特徴である反応初速度の早さとを期待することができ、蛋白質分解反応の高速度化を図ることができる。
【0025】
更に第2発明の酵素液はコラゲナーゼ活性を併せ備えるので、例えば食肉を軟化させる際、ペプチダーゼ活性やプロテアーゼ活性による肉質の軟化と結合組織のコラーゲンの分解とが同時に進行し、食味の良い肉とすることができる。
【0026】
(第3発明の作用・効果)
従来の蛋白質分解酵素において、そのペプチド結合分解活性は、通常は5,6種類以下、多くとも10種類未満のアミノ酸の結合部位に対して示される程度である。しかしながら、第3発明の酵素液は、前記1)の特性として述べたように、少なくとも10種類以上(例えば、12種類)のアミノ酸の結合部位を切断するペプチド分解部位特異性を示すので、非常に優れた蛋白質低分子化能力が担保される。又、恐らくはこの広範囲なペプチド分解部位特異性のために、従来の蛋白質分解酵素によっては分解することが困難とされて来た大豆等の難分解性蛋白質に対して、4)の特性として述べるような有効な分解活性が発現される。
【0027】
第3発明の酵素液は、前記2)の特性として述べたように、蛋白質原料から分子量1000以下のペプチド又はアミノ酸を非常に効率良く生成することができるので、苦味のない高品質なアミノ酸素材やアミノ酸調味料を調製することができ、又、消化管からの吸収性の良好な栄養素材を調製することができる。
【0028】
又、前記3)の特性として述べたように、上記の蛋白質低分子化能力が60°Cでの分解において45°Cでの分解の場合と同等に発現されるので、蛋白質低分子化工程を雑菌の繁殖を許さない温度条件で行うことができる。
【0029】
更に第3発明の酵素液は、前記4)の特性として述べたように、大豆の難分解性蛋白質に対して、所定の作用条件において50%以上の可溶化率を示すので、蛋白質原料として有力である大豆を、その難分解性蛋白質も含めて、有効にアミノ酸に分解することができる。
【0030】
なお、後述のように、第1発明〜第3発明の酵素液については、カラムクロマトグラフィによって分子量の異なる複数種類の蛋白質分画を得ると共に、これらの各分画に係る蛋白質を個別に分離して酵素活性試験に供することにより、酵素液中にアミノペプチダーゼ,中性プロテアーゼ,酸性プロテアーゼ及びコラゲナーゼが含まれることを確認している。従って、第1発明又は第2発明の酵素液に係る高耐熱性ペプチダーゼ活性,プロテアーゼ活性及びコラゲナーゼ活性や、第3発明の酵素液に係る前記1)〜4)の特性が、これらの酵素の作用に基づくものであることは確実である。但し、前記1)〜4)の個々の特性に対する各酵素の関与の種類及び度合いについては、常識的に推定可能な事項を除き、未だ実験的に確認していない。
【0031】
(第4発明及び第5発明の作用・効果)
第1発明〜第3発明の酵素液は、「FERM BP−7155号」として既に国際寄託しているバチルス・ズブチリスM2−4株を培養することにより、その培養液として、あるいは該培養液の除菌液もしくはその濃縮液として、確実に取得することができる。
【0032】
(第6発明の作用・効果)
第5発明の製造方法により取得した酵素液より、硫酸アンモニウム(硫安)塩析等の公知の適宜な方法で蛋白質を分離して、粗酵素粉末や、その緩衝液溶液等の剤型の酵素剤を得ることができる。これらの酵素剤は前記酵素液と同様の酵素活性及び特性を示す。
【0033】
(第7発明の作用・効果)
第1発明〜第4発明に係る酵素液や、第6発明に係る酵素剤を用いて、従来にない高耐熱ペプチダーゼ活性,優れた蛋白質低分子化能力,コラゲナーゼ活性等を示す蛋白質分解酵素剤を提供することができる。この蛋白質分解酵素剤は、難分解性蛋白質の分解,アミノ酸調味料の製造,パンの製造,食肉の軟化,ペプチドの製造,低アレルゲン化蛋白質の製造又はチーズの製造と言う用途に特に有効に利用することができる。なお、パンの製造に用いた際には、体積増加(ふくらみの増強)と言う効果を得ることができる。
【0034】
(第8発明の作用・効果)
第8発明によって、上記各種の酵素液,酵素剤及び蛋白質分解酵素剤の有効な製造手段が提供される。
【0035】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第8発明の実施の形態を説明する。以下において単に「本発明」と言う時は、第1発明〜第8発明を一括して指している。
【0036】
〔蛋白質分解酵素生産菌〕
本発明に係る蛋白質分解活性を有する酵素液の生産に用いる微生物は、バチルス属に属し、より好ましくはズブチリス種の細菌であって、その最も代表的なものがバチルス・ズブチリスM2−4株である。
【0037】
バチルス・ズブチリスM2−4株は、モンゴル地方の伝統的な小麦粉自然発酵食品である饅頭(マントウ)の生地より分離された複数種類の蛋白質分解酵素生産菌の内、特に実用的に優れたものであって、同定試験の結果、末尾の表1の成育状態(栄研社製普通寒天培地による30°C、48時間培養時のコロニー)を示すこと、末尾の表2の菌学的形態が観察されること、及び、末尾の表3の生理的性質を示すことから、バチルス・ズブチリス( Bacillus subtilis)と同定し、「バチルス・ズブチリスM2−4株」と命名したものである。本菌株は生命研菌寄 P−17388号として平成11年5月12日に工業技術院生命工学工業技術研究所(特許微生物寄託センター)に寄託され、平成12年5月11日にFERM BP−7155号としてブダペスト条約に基づく国際寄託に移管されている。
【0038】
〔酵素液〕
第1発明〜第4発明の酵素液は、バチルス属の所定の細菌、例えば上記バチルス・ズブチリスM2−4株を培養することにより取得することができる。そのための培養条件には特段の限定はなく、通常の栄養培地を用いて通常の条件で培養しても良く、必要に応じて特殊な培地や特殊な培養条件を採用しても良い。
【0039】
酵素液としては、液体培地を用いて培養した場合における培地を、そのまま除菌することなく使用することもできるし、濾過や遠心分離等の手段により菌体を除菌したり固形物の排除した後の酵素液を使用することもでき、更にはこれを、限外濾過膜等を利用したマイルドな手段で濃縮した酵素液として使用することもできる。
【0040】
〔酵素液の酵素活性〕
第1発明〜第4発明の酵素液は、ペプチダーゼ活性、より具体的にはアミノペプチダーゼ活性を示し、かつ、pH7における60〜65°Cでの1時間の熱処理に対して実質的に100%の残存活性を示すと言う高耐熱性を備えている。
【0041】
第2発明〜第4発明の酵素液は、上記アミノペプチダーゼ活性に加え、プロテアーゼ活性とコラゲナーゼ活性とを併せ備え、かつ、前記プロテアーゼ活性には好適pHを中性域に持つ中性プロテアーゼ活性と、好適pHをアルカリ性域に持つアルカリ性プロテアーゼ活性とが認められる。これらの活性については、現在の処、必ずしも高耐熱性は確認されていない。
【0042】
〔酵素液の特性〕
第3発明又は第4発明の酵素液は、1)非常に広範囲なペプチド分解部位特異性と、2)優れた蛋白質低分子化能力と、3)難分解性蛋白質に対する有効な分解活性とを示す。なお、コラーゲンに対する分解活性も認められる。
【0043】
上記1)の広範囲なペプチド分解部位特異性に関しては、10種類以上、より好ましくは12種類のアミノ酸の結合部位をカルボキシル末端において切断するペプチド分解部位特異性が認められる。このようなアミノ酸として、具体的にはロイシン,イソロイシン,フェニルアラニン,リシン,バリン,アラニン,スレオニン,グリシン,セリン,グルタミン,アスパラギン,アルギニンが挙げられる。
【0044】
上記2)の蛋白質低分子化能力に関しては、従来の蛋白質分解酵素に比較して、同一量の蛋白質原料に対して同一条件で同一の酵素活性単位量を作用させた時、分子量1000以下のペプチド又はアミノ酸の生成量が著しく多いことと、そのような蛋白質低分子化能力が比較的中温度域に近い45°Cの温度条件でも、かなりの高温度域である60°Cの温度条件でも同等に発現されることとが、非常に特徴的である。
【0045】
上記3)の難分解性蛋白質分解活性に関しては、既に大豆の難分解性蛋白質に対して高い可溶化率を示すことが確認されているが、例えば食肉の結合組織等の他種の難分解性蛋白質に対しても高い分解活性を示すことが期待できる。この特性には、上記の広範囲なペプチド分解部位特異性、とりわけ、従来の蛋白質分解酵素において余り見られないグリシン,バリン,アスパラギン等のアミノ酸の結合部位に対する分解部位特異性が関与している可能性がある。
【0046】
〔酵素剤〕
酵素剤は、上記酵素液から適宜な手段により酵素蛋白質を分離することで調製され、酵素液に比較して高品位化できる点で有利である。酵素蛋白質の分離手段は限定されないが、硫安等を用いた塩析や、エタノールによる沈澱等の適宜な手段を任意に採用することができる。酵素剤は、酵素粉末,その緩衝液等の溶液等の任意の剤型とすることができる。
【0047】
〔蛋白質分解酵素剤〕
蛋白質分解酵素剤とは、上記の酵素液あるいは酵素剤を有効成分として含み、各種の具体的な用途、例えば難分解性蛋白質の分解,アミノ酸調味料の製造,パンの製造,食肉の軟化,ペプチドの製造,低アレルゲン化蛋白質の製造,チーズの製造等に用いるものを言う。
【0048】
【実施例】
〔実施例1:酵素液の調製と内容分析〕
1%のグルコース,1%のペプトン,0.3%のゼラチン,0.1%の酵母エキス,0.7%のリン酸2カリウム,0.1%のリン酸1カリウム,0.05%のクエン酸及び0.01%の硫酸マグネシウムから組成される培地を、500mL(ミリリッター)容の坂口フラスコに100mL入れて、120°Cで20分間殺菌した後、この培地にバチルス・ズブチリスM2−4株を接種し、30°Cで40時間の振盪培養を行った。振盪培養の後、フラスコの培養液を遠心分離して除菌を行い、粗酵素液を得た。
【0049】
この粗酵素液について、「DEAEセファロースCL6B」のカラムクロマトグラフィを行ったところ、図2に示すように、蛋白質を示す分子量の抽出フラクションにA〜Hの複数のピークが認められた。
【0050】
そこで、これらの各ピークに相当するフラクションを個別に回収して各種の酵素活性試験に供したところ、ピークBの回収液にはコラゲナーゼが、ピークC及びピークDの回収液にはアルカリ性プロテアーゼが、ピークE及びピークFの回収液にはアミノペプチダーゼが、ピークG及びピークHの回収液には中性プロテアーゼが、それぞれ含まれることを確認した。上記の酵素活性は、それぞれ次の方法によって測定した。
【0051】
プロテアーゼ活性:1mLの0.75%のミルクカゼイン溶液(pH7.0)に1mLのフラクション回収液を加え、37°Cで60分間の反応を行った後に2mLの0.4Mトリクロロ酢酸溶液を添加して酵素反応を停止させる。この溶液を37°Cで25分間静置した後に濾紙で濾過する。別に調製した5mLの0.4M炭酸ナトリウム溶液に、上記した濾液を1mL添加した後に更に1mLのフォーリン試液(和光純薬製)を加えて、37°Cで20分間静置する。この液について660nmでの吸光度を測定する。盲験として、上記操作法において、2mLの0.4Mトリクロロ酢酸溶液の添加後に1mLのフラクション回収液を加える順序で反応を行う。なお、上記反応条件下での濾液中に0.1mgのチロシン相当量のアミノ酸を生成させる活性を1単位とする。
【0052】
コラゲナーゼ活性:0.4mLの2.5%のコラーゲン溶液(pH7.5)に0.1mLのフラクション回収液を加え、30°Cで30分間の反応を行った後に0.5mLの0.1M酢酸溶液を添加する。この溶液を遠心分離して上清を取得する。この上清液0.1mLに0.9mLのクエン酸緩衝液(pH5)、0.1mLの塩化スズ溶液及び2mLのニンヒドリン溶液を添加して沸騰水中で20分間加熱する。その後、水を添加して10mLとし、570nmでの吸光度を測定する。盲験として、沸騰水中で5分間加熱処理をしたフラクション回収液を使用して、同一の測定操作を行う。なお、上記反応条件下での1分間に1マイクロモルのチロシン相当量のアミノ酸を生成させる活性を1単位とする。
【0053】
アミノペプチダーゼ活性:0.8mLのロイシン−p−ニトロアニリド溶液(0.072%)に0.1Mトリス緩衝液(pH7.0)を加え、0.2mLのフラクション回収液を添加後、37°Cで60分間の反応を行う。その後に2mLの0.7%塩酸/エタノール溶液を添加し、次いで2mLの0.06%p−ジメチルアミノ・ケイ皮アルデヒド溶液を加え、10分後に540nmでの吸光度を測定する。盲験として、沸騰水中で5分間加熱処理をしたフラクション回収液を使用して、同一の測定操作を行う。なお、上記反応条件下での1分間に1マイクロモルのロイシンを生成させる活性を1単位とする。
【0054】
又、上記各ピークに相当する回収液の内、ピークE及びピークFの回収液については、分画分子量3000のUF膜(アミコン社製のミニタンプレート)を用いて濃縮を行い、アミノペプチダーゼの熱安定性を評価した。その結果、図3に示すように、pH7における40〜65°Cの各温度域での1時間の熱処理に対して、いずれもほぼ100%の残存活性を示すと言う高耐熱性を確認した。
【0055】
〔実施例2:濃縮酵素液の調製〕
実施例1と同じ組成の培地を各100mL入れた20本の坂口フラスコに、それぞれバチルス・ズブチリスM2−4株を接種して、実施例1と同じ条件で振盪培養し、次いで遠心分離により除菌して粗酵素液を得た後、これらの粗酵素液を一緒にした(合計量約1900mL)。この粗酵素液において、中性プロテアーゼ活性は11.0u/mL、アルカリ性プロテアーゼ活性は12.1u/mL、コラゲナーゼ活性は4.4u/mL、アミノペプチダーゼ活性は0.48u/mLであった。
【0056】
次に、上記の粗酵素液約1900mLをアミコン社製のミニタンプレート(分画分子量3000)の膜を用いて濃縮し、濃縮酵素液約90mLを得た。この濃縮酵素液において、中性プロテアーゼ活性は166u/mL、アルカリ性プロテアーゼ活性は180u/mL、コラゲナーゼ活性は66.4u/mL、アミノペプチダーゼ活性は5.9u/mLであった。
【0057】
〔実施例3:酵素剤の調製〕
実施例1と同じ組成の培地20Lを用いて、30L容のジャーファーメンターにて、30°C、回転数250rpm、通気量20L/分の条件でバチルス・ズブチリスM2−4株を40時間培養した。
【0058】
培養後、遠心分離により18Lの除菌液を得て、これを旭化成(株)製のUF膜(分画分子量13000)で900mLに濃縮した。この濃縮液を硫安0.8飽和で塩析を行い、生成した沈澱を凍結乾燥して、75gの粗酵素粉末からなる酵素剤を得た。
【0059】
この酵素剤の酵素活性は、中性プロテアーゼ活性が1992u/mL、アルカリ性プロテアーゼ活性が2200u/mL、コラゲナーゼ活性が790u/mL、アミノペプチダーゼ活性が71u/mLであった。
【0060】
〔実施例4:蛋白質低分子化能力〕
pH7の1%酸カゼイン溶液に対して、実施例3で調製した酵素剤、及び、比較対照としてのバチルス・ズブチリス起源の中性プロテアーゼである「プロテアーゼN」と、バチルス・ズブチリス起源のアルカリ性プロテアーゼである「プロレザー」(いずれも天野製薬(株)製)を、酸カゼイン1g当たりpH7のプロテアーゼ活性で200単位添加となるように添加し、45°Cで17時間分解反応を行って、反応物の分子量分布を測定した。
【0061】
この測定はゲル濾過法で行い、 Amarciam 社製のFPLCシステムにより、分析カラムは Amarciam 社製の「スーパーロース12」を用いた。又、分子量の標準物質として、血清アルブミン(分子量67000),キモトリプシノーゲン(分子量25000),チトクロームC(分子量12300),トリプシンインヒビター(分子量6500)及びバシトラシン(分子量1450)を使用した。
【0062】
実施例に係る酵素剤についての測定結果を図4(a)に、プロレザーについての測定結果を図4(b)に、プロテアーゼNについての測定結果を図4(c)にそれぞれ示す。
【0063】
図4(b)及び図4(c)より明らかなように、プロレザー及びプロテアーゼNによる分解ペプチドには、分子量が1000超〜10000の高分子量ペプチドが多く、分子量1000以下の低分子量ペプチドが少なかった。そして、高分子量ペプチド(X)の低分子量ペプチド(Y)に対する量比X/Yは、いずれも約4以上であった。
【0064】
一方、図4(a)より分かるように、実施例に係る酵素剤による分解ペプチドでは、分子量1000以下の低分子量ペプチドが大半を占め、高分子量ペプチド(X)の低分子量ペプチド(Y)に対する量比X/Yは0.7以下であって、図4(b)及び図4(c)の結果とは顕著な差異を示した。
【0065】
分子量1000以下の低分子量ペプチドは、消化管からの吸収速度が早く、医療用の経腸栄養剤や食品素材たる栄養補給剤として有効であると言われており、実施例に係る酵素剤を用いて得られたペプチドは、このような目的に適う。
【0066】
〔実施例5:高温度域での蛋白質低分子化能力〕
pH7の1%酸カゼイン溶液に対して、実施例3で調製した酵素剤と、比較対照としてのアスパーギルス・オリゼー( Aspergillus oryzae )起源の中性プロテアーゼである「プロテアーゼA」(天野製薬(株)製)とを、酸カゼイン1g当たりpH7のプロテアーゼ活性で200単位添加となるように添加し、45°C及び60°Cでそれぞれ17時間分解反応を行って、反応物の分子量分布を測定した。測定法は実施例4と同様である。
【0067】
実施例に係る酵素剤について、45°Cにおける分解の場合の測定結果を図5(a)に、同60°Cにおける分解の場合の測定結果を図5(b)に、プロテアーゼAについて、45°Cにおける分解の場合の測定結果を図5(c)に、同60°Cにおける分解の場合の測定結果を図5(d)に、それぞれ示す。
【0068】
プロテアーゼAによる分解ペプチドには、図5(c)より明らかなように、45°Cにおける分解の場合にも実施例4と同様に高分子量ペプチドが多い傾向が認められるが、図5(d)に見られるように、60°Cにおける分解の場合にはこの傾向が一層顕著になり、高温度域におけるプロテアーゼAのかなりの活性低下が推測される。
【0069】
一方、図5(a)及び図5(b)より分かるように、実施例に係る酵素剤による分解ペプチドでは、60°Cにおける分解の場合にも、45°Cにおける分解の場合とほぼ同等に、分子量1000以下の低分子量ペプチドが大半を占めており、優れた低分子化能力と同時に高耐熱性が裏付けられた。
【0070】
従って、実施例に係る酵素剤を用いて工業的スケールでペプチドを製造する際、雑菌の繁殖による微生物汚染を生じ得る50°C以下での分解操作を回避して、55°C以上(例えば、60°C)での工程管理が可能となるため、大きな工業的利点が得られる。
【0071】
〔実施例6:難分解性蛋白質の分解〕
市販の分離大豆蛋白質である不二製油(株)製の「ニューフジプロR」100gを1000mLの水に溶解し、前記「プロレザー」及び「プロテアーゼA」各1gを添加して、50°Cで17時間の分解反応を行った。その後、分解液を遠心分離して上記プロテアーゼ剤で分解できなかった沈澱物を分離、乾燥して、水に不溶の25gの難分解性物質を取得した。
【0072】
この難分解性物質についてケルダール法で蛋白質の定量を行った処、原料蛋白質に対して20重量%の蛋白質が含まれていた。上記乾燥した難分解性物質5gを100mLの水に懸濁し、前記実施例1で得た粗酵素液6mLを添加して、50°Cで17時間の分解反応を行った。
【0073】
又、比較対照として、上記と同様に調製した難分解性物質の懸濁液の各100mLに対して、それぞれプロレザー0.1gを添加したものと、プロテアーゼA0.1gを添加したものとを準備し、上記と同条件で分解反応を行った。
【0074】
これらの各例につき、分解反応終了後に遠心分離を行って、上清液の蛋白量をケルダール法で定量し、難分解性蛋白質の可溶化率を算出した。その結果、プロレザーによる分解例では5%、プロテアーゼAによる分解例では4%の可溶化率であったのに対し、実施例に係る粗酵素液による分解例では、70%の可溶化率であった。
【0075】
従って、実施例に係る粗酵素液を用いることにより、難分解性蛋白質を含む蛋白質原料を用いるペプチドもしくはアミノ酸の製造において、難分解性蛋白質を有効に資化し、ペプチドの収率を向上させ、廃棄物量を低減させることができると言う工業的メリットが得られる。
【0076】
〔実施例7:ペプチド分解部位特異性〕
pH7の1%酸カゼイン溶液に対して、実施例3で調製した酵素剤と、比較対照としてのプロレザー及びプロテアーゼNとを、適宜な同一単位量添加して分解反応を行い、その後、各例の分解反応液に酵母カルボキシペプチダーゼYを添加して遊離アミノ酸を分析することにより、分解されたペプチドのカルボキシル末端を推定した。
【0077】
その結果、図1の該当欄において上向きの矢印で示すように、プロテアーゼNはロイシン,フェニルアラニン及びスレオニンの3種のアミノ酸のカルボキシル側を切断し、プロレザーはロイシン,フェニルアラニン,リシン,アラニン,セリン及びグルタミンの6種のアミノ酸のカルボキシル側を切断するのに対して、実施例に係る「M2−4」と表記する酵素剤は、ロイシン,イソロイシン,フェニルアラニン,リシン,バリン,アラニン,スレオニン,グリシン,セリン,グルタミン,アスパラギン,アルギニンの12種のアミノ酸のカルボキシル側を切断すると言う、非常に広範囲にわたるペプチド分解部位特異性を示す事が分かった。
【0078】
本発明の酵素液や酵素剤が発現する優れた蛋白質低分子化能力や、難分解性蛋白質に対する分解力には、上記の広範囲にわたるペプチド分解部位特異性が関係しているものと考えられる。
【0079】
〔実施例8:アミノ酸調味料の製造〕
pH7の10%酸カゼイン溶液に対して、実施例3で調製した酵素剤と、比較対照としてのプロレザー及びプロテアーゼAを、それぞれ酸カゼイン1g当たりpH7のプロテアーゼ活性で200単位添加となるように添加し、55°Cでそれぞれ17時間分解反応を行った後、遠心分離した上清についてアミノ酸分析及び呈味の官能評価を行った。
【0080】
プロレザーによる分解例では、上清液における遊離アミノ酸の生成量が15%で、苦味があり、旨味に欠けていた。プロテアーゼAによる分解例では、上清液における遊離アミノ酸の生成量が36%であったが、やや苦味があり、やはり旨味に欠けていた。一方、実施例に係る酵素剤による分解例では、上清液における遊離アミノ酸の生成量が46%に達し、呈味性に優れていた。
【0081】
〔実施例9:中華饅頭の製造〕
100gの強力粉と100gの薄力粉に、10gの砂糖及び1gの食塩を添加混合し、これに30°Cの温湯を105mL添加して、良く混合した。この混合物に、実施例1で調製した酵素液及び市販のパン酵母(オリエンタル酵母工業(株)製)を4g添加して、30°Cで4時間の1次発酵後に、20gずつに分割・成形を行い、30°Cで4時間の2次発酵を行った。その後、沸騰湯浴上で6分間蒸して、中華饅頭とした。
【0082】
対照として、上記混合物に上記市販のパン酵母(オリエンタル酵母工業(株)製)のみを4g添加して、同様の方法にて中華饅頭を調製した。
【0083】
調製した実施例及び対照に係る中華饅頭の体積を測定した処、実施例に係る酵素液添加の中華饅頭は、対照に係る酵素液無添加の中華饅頭に比較して、約15%の体積増加が認められた。
【0084】
〔実施例10:パンの製造〕
100gの小麦粉、50gの砂糖、20gの食塩、40gのショートニング及び30gの市販パン酵母(オリエンタル酵母工業(株)製)を混合し、それに水690mLと実施例1で調製した酵素液50mLを添加して、27〜29°Cで混合を行った。そして30分間の1次発酵後に450gに分割し、30分間の2次発酵を行った。これを食パンケースに入れ、230°Cで25分間の焼成を行った。
【0085】
対照として、上記酵素液無添加のものを、上記と同様の方法で1次発酵,2次発酵及び焼成した。
【0086】
調製した実施例及び対照に係るパンの体積を測定した処、実施例に係る酵素液添加のパンは、対照に係る酵素液無添加のパンに比較して、約10%の体積増加が認められた。
【0087】
〔実施例11:酵母エキスへの利用〕
市販の乾燥パン酵母(オリエンタル酵母工業製)100gに水を加えて1Lとした。これを2モルの塩酸溶液にてpH7に調整した後、90°Cで30分間加熱を行った。この溶液に溶菌酵素「YL−15」(天野製薬製)を1g添加して、攪拌しつつ50°Cで16時間の反応を行った。その後、90°Cで20分間加熱を行うことにより、酵母菌体を溶菌してエキスを抽出した。抽出液の遠心分離を行い、上清液を凍結乾燥して70gの酵母エキス粉末を得た。本粉末中の蛋白質の含有量は35%であった。
【0088】
得られた酵母エキス粉末7gを100mLの水に溶解すると共に2モルの塩酸溶液にてpH7に調整した溶液を用いて、本発明の酵素剤による遊離アミノ酸の生成率を、前記プロテアーゼN「アマノ」を対照として比較した。上記酵母エキス溶液に所定単位の酵素剤を添加した後、50°Cで17時間反応させ、90°Cで20分間加熱を行った。得られた酵素処理溶液についてアミノ酸分析を行い、遊離アミノ酸生成率を算出した。なお、酵素剤の添加量は酵母エキス粉末1g当たりのプロテアーゼ活性として表示した。
【0089】
本発明の酵素剤と対照酵素剤であるプロテアーゼN「アマノ」との比較結果を末尾の表4に示した。表4より明らかなように、本発明の酵素剤による処理群は遊離アミノ酸の生成率が高く、かつ呈味性に優れ、苦味がなく酵母エキスとして優れた特色を有していた。
【0090】
【表1】
Figure 0004278831
【0091】
【表2】
Figure 0004278831
【0092】
【表3】
Figure 0004278831
【0093】
【表4】
Figure 0004278831

【図面の簡単な説明】
【図1】酵素のペプチド分解部位特異性を示す一覧図である。
【図2】実施例に係るクロマトグラフ図である。
【図3】酵素の熱安定性を示すグラフ図である。
【図4】分解反応物の分子量分布を示すグラフ図である。
【図5】分解反応物の分子量分布を示すグラフ図である。

Claims (8)

  1. バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)M2−4株(FERM BP−7155)を培養して得られる蛋白質分解活性を示す酵素液であって、pH7における60〜65°Cでの1時間の熱処理に対して実質的に100%の残存活性を示す高耐熱性ペプチダーゼ活性を備えることを特徴とする酵素液。
  2. 前記高耐熱性ペプチダーゼ活性が高耐熱性アミノペプチダーゼ活性であることを特徴とする請求項1に記載の酵素液。
  3. 前記酵素液が更にプロテアーゼ活性とコラゲナーゼ活性とを併せ備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酵素液。
  4. 前記酵素液が、下記1)〜4)の少なくとも1の特性を示すことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の酵素液。
    1)蛋白質のペプチド鎖における少なくとも10種類以上のアミノ酸の結合部位を切断するペプチド分解部位特異性を示す。
    2)酸カゼイン1g当たりプロテアーゼ活性で200単位の前記酵素液を添加して17時間の分解を行うことにより、分子量1000以下のペプチド又はアミノ酸を前記酸カゼインに対して50重量%以上生成すると言う蛋白質低分子化能力を示す。
    3)上記2)の蛋白質低分子化能力が、45°C及び60°Cの温度条件での分解において同等に発現される。
    4)大豆の難分解性蛋白質に対して、所定の作用条件において50%以上の可溶化率を示す。
  5. バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)M2−4株(FERM BP−7155)を培養し、培養物から請求項1〜請求項4のいずれかに記載の酵素液を取得することを特徴とする酵素液の製造方法。
  6. 請求項5に記載の酵素液の製造方法により得られた酵素液から酵素蛋白質を分離して得られることを特徴とする酵素剤。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の酵素液あるいは請求項6に記載の酵素剤を有効成分として含み、難分解性蛋白質の分解,アミノ酸調味料の製造,パンの製造,食肉の軟化,ペプチドの製造,低アレルゲン化蛋白質の製造,チーズの製造のいずれかの用途に用いることを特徴とする蛋白質分解酵素剤。
  8. バチルス・ズブチリスM2−4株(FERM BP−7155)であることを特徴とする蛋白質分解酵素生産菌。
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