JP7455534B2 - 乳酸発酵調味料組成物の製造方法、およびその利用 - Google Patents

乳酸発酵調味料組成物の製造方法、およびその利用 Download PDF

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Description

NPMD NITE BP-02956 NPMD NITE BP-02957
本発明は、ビーフエキス風味を有する調味料組成物に関する。
ビーフエキスは、牛肉を利用したコンビーフやボイルドビーフ等を製造する工程において副産物として産出される煮汁を原材料としたもので、南米、オーストラリアが主な産地である。成分としては、クレアチンとクレアチニンの合計量(クレアチニン総量)、核酸、乳酸が他のエキスより含量が高いことが特徴である。(非特許文献1。なおこの文献では、ここでいうビーフエキスは、ミートエキスと称されている。)。
ビーフエキスの風味を、ビーフ以外の原材料から作り出すことが検討されている。例えば、非特許文献1では、配合型エキスとして、ミートエキス、酵素分解エキス、ボーンエキス等の肉・骨を原材料とする原体エキスに、酵母エキス、各種調味料を配合したものが、ビーフエキス調味料の一つとして記載されている。また、特許文献1は、チキンエキスを用いたビーフエキス特有の酸味と旨味と香りを有するビーフエキス様天然調味料であって、チキンエキスに糖を加え乳酸発酵することにより得られた乳酸発酵エキスであることを特徴とするビーフエキス様天然調味料を提案する。また特許文献2は、畜肉だし様の香気・風味が付与されたものとして、1-オクテン-3-オル及び/又は1-オクテン-3-オンと、アセトール、オクタン酸、デカン酸、低級脂肪酸類、ピラジン類、メチオナール、チアゾール類およびジエナール類からなる群より選択される少なくとも1種とを添加してなる、畜肉だし様の香気・風味を有する飲食品であって、1-オクテン-3-オル及び/又は1-オクテン-3-オンの添加濃度が0.0050重量ppb以上910重量ppb未満であり、チアゾール類が、2-イソブチルチアゾール及び5-アセチル-2,4-ジメチルチアゾールからなる群より選択される少なくとも1種であり、ジエナール類が、2,4-デカジエナール、2,4-ヘプタジエナール、2,4-ノナジエナール及び2,4-ウンデカジエナールからなる群より選択される少なくとも1種である飲食品を提案する。
特開2003-310203号公報(特許第3796463号) 国際公開(WO2012/020598(特許第5954176号)
米満宗明, 月刊フードケミカル, 9, p35-42(1993)
ビーフエキスの国際規格品は流通が少なく、高価な調味料である。また、国際規格品に限らず、牛海綿状脳症(BSE)の影響で牛肉の供給量が減少していること、ハラル(イスラム法上で食べることが許されている食材や料理)やベジタリアン向けのような、畜肉を使用しない食品の広がりなどからビーフエキス自体の流通量が低下している。一方、従来のビーフエキスの風味を、ビーフ以外の原材料から作り出した調味料は、酸味、収斂味、コク、鉄による血肉感が弱く、目的とするビーフエキス風味を十分に有したものとはいえない。そのため、ビーフエキスの代わりとなる調味料の開発が求められている。
本発明は、以下を提供する。
[1] 乳酸菌を、酵母エキスを含有する培地中、40℃以上で12時間以上培養し、培養液を得る工程;および
得られた培養液を調味料組成物とする工程
を含む、乳酸発酵調味料組成物の製造方法。
[2] 培地が、亜鉛酵母または鉄酵母をさらに含む、1に記載の製造方法。
[3] 得られた培養液を95℃以上で1時間以上加熱し、加熱処理された培養液を得る工程をさらに含む、1または2に記載の製造方法。
[4] 得られた培養液に1~10%の糖を加えて加熱する、3に記載の製造方法。
[5] 乳酸菌が、Pediococcus属、Lactobacillus属、またはEnterococcus属に属する、1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
[6] 培地が、動物由来の原材料を含まない、1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
[7] 乳酸菌を、酵母エキスを含有する培地中、40℃以上で12時間以上培養して得られた培養液を含む、乳酸発酵調味料組成物。
[8] 固形分100重量部あたり、下記を含む、酵母エキス含有乳酸発酵調味料組成物:
・乳酸 8.0重量部以上;
・カルノシンおよびアンセリンの総量 0.3重量部以下;
・ロイシン 0.1重量部以上。
[9] 下記のいずれかの乳酸菌の培養物を含む、調味料組成物、またはそれを使用した食品組成物:
(a)Pediococcus sp. NITE BP-02956;
(b)Pediococcus sp. NITE BP-02956と同じ種に属し、科学的性質が同じである乳酸菌;
(c)Pediococcus sp. NITE BP-02957;
(d)Pediococcus sp. NITE BP-02957と同じ種に属し、科学的性質が同じである乳酸菌。
[10]ビーフエキス様の風味を付与するための、7~9のいずれか1項に記載の調味料組成物。
[11]7~10のいずれか1項に記載の調味料組成物を、固形分64~65%に換算して、0.01~2.0%含む、食品組成物。
本発明により、安価で入手が容易な原材料でのビーフエキス風味の調味料組成物が製造できる。その結果、ビーフエキス様の製品の安定的な製造・供給が可能となる。
本発明により、ビーフエキス特有の、酸味、収斂味、血肉風味(生臭さ)、およびコクを食品に付与することができる。
本発明の調味料組成物により、植物性タンパク質を用いた食品に、うま味、コク味を付与することができ、また青臭さ、植物性タンパク質独特のえぐみ、または口に残る豆臭を、マスキングすることができる。
%および部は、特に記載した場合を除き、重量(質量)を基準としている。数値範囲「X~Y」は、特に記載した場合を除き、両端の値XおよびYを含む。「Aおよび/またはB」は、特に記載した場合を除き、A、Bのうち少なくとも一方が存在することを指し、AとBの双方が存在する場合も含む。食品は、固形のものみならず、飲料およびスープのような液状の経口摂取物も含む。また、そのまま摂取される形態のもの(例えば、調理済みの各種の食品、サプリメント、ドリンク剤)のみならず、食品添加物、発酵調味料組成物、飲料濃縮物も含む。さらに、ヒトのみならず、非ヒト動物(ペット、家畜等)のためのものも含む。食品はまた、一般食品(いわゆる健康食品を含む。)のほか、保健機能食品(機能性表示食品、栄養機能食品、および特定保健用食品を含む。)を含む。発酵物というとき、形態は特に限定されず、液状であってもよく、固体状であってもよい。発酵物は、有効成分として機能しうる限り、種々の処理を経たもの、例えば発酵液を殺菌、脱塩、濃縮、成分調整、清澄化、および/または乾燥したものであってもよい。
本発明は、乳酸菌を、比較的高温で培養して得た培養物を含む、乳酸発酵調味料組成物、その製造方法、その用途に関する。
〔乳酸菌〕
本発明は、比較的高温で、具体的には40℃以上、好ましくは45℃以上、より好ましくは48℃以上で乳酸菌を培養するため、用いる乳酸菌は、少なくとも40℃で増殖することができる耐熱性のものであり、食品製造のために使用できるものであれば特に限定されるものではない。乳酸菌は、食品製造のために使用できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ペディオコッカス (Pediococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus) 属、エンテロコッカス(Enterococcus) 属、ラクトコッカス (Lactococcus) 属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、ワイセラ(Weissella) 属、ストレプトコッカス(Streptococcus) 属、メリソコッカス(Melissococcus) 属、カルノバクテリウム(Carnobacterium) 属、およびテトラゲノコッカス(Tetragenococcus)属からなる群より選択されるいずれかの属に属する乳酸菌を用いることができる。具体的には、ペディオコッカス・アシドラクティチ(Pediococcus acidlactici)、ラクトバチルス・メールファメンタス(Lactobacillus malefermentans)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・コンフュサス(Lactobacillus confusus)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム (Enterococcus faecium)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)、およびラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、並びにこれらの近縁種が挙げられる。チーズのような風味があり、酵母との共培養にも適しているとの観点からは、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、またはペディオコッカス・アシドラクティチ(Pediococcus acidlactici)を用いることが好ましい。
好ましい実施態様においては、乳酸菌としては、Pediococcus sp. TM23343もしくはそれと同じ種に属し、かつ同じ科学的性質を有する菌株、またはPediococcus sp. TM27872、もしくはそれと同じ種に属し、かつ同じ科学的性質を有する菌株を用いることができる。
Pediococcus sp. TM23343は、以下の科学的性質を有する。
細胞形態:球形
コロニー:クリーム色
特徴:ホモ乳酸菌、適性温度37℃~45℃、好気培養
Pediococcus sp. TM27872は、以下の科学的性質を有する。
細胞形態:球形
コロニー:クリーム色
特徴:ホモ乳酸菌、適性温度37℃~45℃、好気培養
Pediococcus sp. TM23323、およびPediococcus sp. TM27872は、それぞれ順に、受託番号NITE BP-02956、およびNITE BP-02957として、2019年5月27日付けで、テーブルマーク株式会社(住所:日本国東京都中央区築地6-4-10)により、独立行政法人製品評価技術基盤機構(住所:日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)へ、ブタペスト条約および日本国特許法に基づき、寄託された。
〔培養条件〕
乳酸菌による発酵のための温度以外の条件は、当業者であれば、用いる乳酸菌に応じ、適宜設計することができる。発酵は、使用菌株にもよるが、例えば12~48時間、好ましくは20~36時間行うことができる。発酵は、乳酸菌が好気性であることを考慮して、攪拌を行いながら実施することができる。発酵はまた、pHが3.0~4.0、好ましくは3.2~3.8の範囲となるまで行うことができる。
培地には、種々のものを添加してよい。
窒素源としては、酵母エキスを含むことが好ましく、ペプトン、コーンスティプリカー(CSL)、カゼイン、チキンエキス等の含窒素有機物、ならびに尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、およびリン酸アンモニウム等の無機塩からなる群より選択されるいずれかを用いることができる。市販の酵母エキスの例としては、バーテックスIG20(富士食品工業社製)、ハイマックスGL(富士食品工業社製)、ハイマックスAG(富士食品工業社製)、ハイマックスSA(富士食品工業社製)、イーストエキス21-YK(富士食品工業社製)、イーストエキス21-TF(富士食品工業社製)、イーストックS-Pd(アサヒグループ食品社製)、アロマイルド(三菱商事ライフサイエンス社製)、アジレックスLK(三菱商事ライフサイエンス社製)等が挙げられる。さらに、リン酸成分、カリウム成分、マグネシウム成分を培地に添加してもよく、ビオチン、パントテン酸、チアミン、イノシトール、ピリドキシン等のビタミン類、亜鉛、銅、鉄、マンガン等のミネラル類を添加してもよい。
炭素源として、例えば、グルコース、サトウキビ廃糖蜜、ビート廃糖蜜、蔗糖、木材チップ蒸解液、亜硫酸パルプ廃液、サトウキビ抽出液、およびエタノールからなる群より選択されるいずれかを用いることができる。
好ましい態様の一つにおいては、培地は、亜鉛酵母および/または鉄酵母(鉄含有酵母ということもある。)、好ましくは鉄酵母を含む。鉄酵母とは、乾燥菌体100gあたり0.3g以上の鉄を含有する酵母をいう。鉄酵母の製造方法は、特開2004-33207号公報、特開2006-238878号公報、再表2009/084122号公報を参照できる。市販の鉄酵母の例としては、鉄を5%含有するHigh Iron Yeast(Grow社製)を挙げることができる。本発明者らの検討によると、培地が鉄酵母を含むことにより、乳酸発酵後に鉄酵母を添加した場合に比較して、得られる調味料組成物においてコクや生臭さ(血肉感)をより多く付与することができる。
好ましい態様の一つにおいては、培地は、動物由来のものを含まない。すなわち、本発明の発酵調味料組成物の原材料としては、動物由来のものを含まないことが好ましい。動物由来のものの例としては、例えば、畜肉、畜骨、畜皮、これらの抽出物、ビーフエキス、ミートエキス、チキンエキス、動物性タンパク加水分解物(HAP)が挙げられる。
発酵の終点は、当業者であれば適宜決定しうるが、例えば、発酵の進行にしたがい低下するpH値の低下の停止、pH値、減少するBrix値の減少の停止、Brix値、およびビーフエキス様の香気が生じていること等を基準とすることができる。なお Brix値は20℃のショ糖溶液の質量百分率に相当する値で定められたもので、ショ糖1gのみを溶質として含む水溶液100gをBrix屈折計で測定したときその示度 Brix 値が1%である。ショ糖以外の固形成分を含む溶液では、Brix値は固形成分の濃度の目安になる。Brix値を測定するための機器は市販されており、当業者であれば適宜測定しうる。本発明者らの検討によると、実施例に記載の乳酸菌を用いた場合、37℃で24時間で、ビーフエキス様の香気が確認できることがわかっている。したがって、好ましい態様においては、発酵の終点は、発酵開始から24時間以上経過した時点であり、例えば、発酵開始後24時間の時点、48時間の時点、等である。
〔加熱工程〕
好ましい実施態様の一つにおいては、このようにして得られた乳酸菌培養液に対して、逐次の工程として、加熱処理を行う。加熱処理に際して、培養液には糖を添加してもよい。
加熱処理のための温度は、糖と培養液中の成分が反応するのに適した温度であることが好ましく、例えば85℃以上であり、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは110℃以上である。また、加熱処理は、例えば120℃以下で行うことができ、好ましくは118℃以下であり、より好ましくは116℃以下である。
加熱処理のための時間は、例えば1時間以上であり、好ましくは2時間以上であり、より好ましくは2.5時間以上である。加熱処理が行き過ぎると培養液が苦みを帯びてくるため、加熱処理は5時間以内に終了することが好ましく、4時間以内に終了することがより好ましく、3.5時間以内に終了することがさらに好ましい。
本発明者らの検討によると、糖としてグルコースを選択し、添加量を培養液の5%とした場合、加熱処理のための温度は、90℃以上であることが好ましく、115℃以下であることがより好ましい。115℃で加熱処理を行う場合、処理時間は3時間以下とすることが好ましい。それ以上では苦味が増すからである。
好ましい態様の一つは、培養液にグルコースを1~5%添加し、95~105℃で2.5~3.5時間で処理することである。
〔他の工程〕
得られた培養液は、乳酸菌菌体を含んでいるので、清澄性が求められる商品に使用したい場合は、清澄化処理を行ってもよい。清澄化の手段は、同様の目的で食品の製造分野で用いられる種々の手段を適用することができる。例えば、珪藻土やパーライトを濾過助剤としたフィルタープレス濾過、または精密濾過(MF:Micro filtration)が挙げられる。また得られた培養液は、濃縮することができ、また保存安定性を高めるために殺菌処理を行ってもよい。
得られた培養液は、種々の形態とすることができる。例えば、上記の液状のものを、必要に応じ、濃縮または乾燥等し、ペースト状、固形状、粉末状、顆粒状等とすることができる。
〔発酵調味料組成物〕
得られた培養液は、発酵調味料組成物の有効成分とすることができる。発酵調味料組成物は、培養液(発酵物)そのものでもよく、有効成分が目的の効果を発揮しうる限り、他の成分を配合することができる。他の成分は、食品として許容される種々の添加剤、であり得る。この例には、酸化防止剤(抗酸化剤)、香料、調味料、甘味料、着色料、増粘安定剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、ガムベース、苦味料等、酵素、光沢剤、酸味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、賦形剤、結合剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、凝固剤等である。発酵調味料組成物中の有効成分の量は、例えば1~100%であり、10~80%とすることができ、20~60%としてもよい。発酵調味料組成物の原材料として特に好ましいのは、酵母エキスである。
本発明者らの検討によると、本発明の発酵調味料組成物は、原材料がいずれの場合であっても、種々の有機酸、例えば、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸を含む。有機酸の含量は、ビーフエキス風味を損なわない限り特に限定されない。
原材料に酵母エキスを含む場合、本発明の発酵調味料組成物の固形分100重量部あたりの有機酸の含量は、具体的には、他の成分の含量がいずれの場合であっても、下記のとおりである。なお、本発明に関し固形分というときは、特に記載した場合を除き、全量から、水分測定器により測定した水分含量を差し引いた量を指す。
リンゴ酸:例えば0.04重量部以上、好ましくは0.06重量部以上、より好ましくは0.10重量部以上、さらに好ましくは0.14重量部以上。例えば1.00重量部以下、好ましくは0.80重量部以下、より好ましくは0.60重量部以下、さらに好ましくは0.50重量部以下。
コハク酸:例えば0.05重量部以上、好ましくは0.10重量部以上、より好ましくは0.25重量部以上、さらに好ましくは0.50重量部以上。例えば4.00重量部以下、好ましくは3.00重量部以下、より好ましくは2.00重量部以下、さらに好ましくは1.50重量部以下。
酢酸:例えば0.05重量部以上、好ましくは0.10重量部以上、より好ましくは0.15重量部以上、さらに好ましくは0.20重量部以上。例えば0.10重量部以下、好ましくは0.80重量部以下、より好ましくは0.70重量部以下、さらに好ましくは0.60重量部以下。
プロピオン酸:例えば0.30重量部以上、好ましくは0.40重量部以上、より好ましくは0.50重量部以上、さらに好ましくは0.80重量部以上。例えば3.00重量部以下、好ましくは1.50重量部以下、より好ましくは1.30重量部以下、さらに好ましくは1.20重量部以下。
乳酸:例えば8重量部以上、好ましくは10重量部以上、より好ましくは11重量部以上、さらに好ましくは12重量部以上。例えば30.0重量部以下、好ましくは22.0重量部以下、より好ましくは20.0重量部以下、さらに好ましくは15.0重量部以下。
本発明者らの検討によると、本発明の発酵調味料組成物は、リン酸、ピログルタミン酸の含量が低い。なお、本発明に関し、含量について低いというときは、含量が一定値以下である場合のほか、含まれない場合(測定限界以下であるとき、真に存在しないとき)も包含する。
リン酸、およびピログルタミン酸の少ない含量は、具体的には、他の成分の含量がいずれの場合であっても、下記のとおりである。
リン酸:例えば9.00重量部以下、好ましくは5.00重量部以下、より好ましくは1.50重量部以下、さらに好ましくは1.00重量部以下または含まれない。
ピログルタミン酸:例えば3.00重量部以下、好ましくは2.00重量部以下、より好ましくは1.00重量部以下、さらに好ましくは0.10重量部以下または含まれない。
本発明者らの検討によると、本発明の発酵調味料組成物は、原材料がいずれの場合であっても、種々のアミノ酸、例えば、グルタミン酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンを含む。アミノ酸の含量は、ビーフエキス風味を損なわない限り特に限定されない。
原材料に酵母エキスを含む場合、本発明の発酵調味料組成物における、アミノ酸総量100重量部あたりの各アミノ酸の含量は、具体的には、他の成分の含量がいずれの場合であっても、下記のとおりである。
グルタミン酸:例えば2.0重量部以上、好ましくは4.0重量部以上、より好ましくは5.0重量部以上、さらに好ましくは10重量部以上。例えば20重量部以下、好ましくは16重量部以下、より好ましくは15重量部以下、さらに好ましくは14重量部以下。
グリシン:例えば1.0重量部以上、好ましくは2.0重量部以上、より好ましくは3.0重量部以上、さらに好ましくは3.5重量部以上。例えば20重量部以下、好ましくは10重量部以下、より好ましくは7.5重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下。
アラニン:例えば5.0重量部以上、好ましくは7.5重量部以上、より好ましくは9.0重量部以上、さらに好ましくは12.0重量部以上。例えば22.0重量部以下、好ましくは20.0重量部以下、より好ましくは15.0重量部以下。
バリン:例えば2.0重量部以上、好ましくは3.0重量部以上、より好ましくは6.0重量部以上、さらに好ましくは8.0重量部以上。例えば30重量部以下、好ましくは20重量部以下、より好ましくは15重量部以下、さらに好ましくは9.0重量部以下。
ロイシン:例えば2.0重量部以上、好ましくは5.0重量部以上、より好ましくは11重量部以上、さらに好ましくは14重量部以上。例えば30重量部以下、好ましくは20重量部以下、より好ましくは17重量部以下、さらに好ましくは15重量部以下。
原材料に酵母エキスを含む場合、本発明の乳酸発酵調味料組成物固形分100重量部あたりのアミノ酸含量は、具体的には、他の成分の含量がいずれの場合であっても、下記のとおりである。
グルタミン酸:例えば0.05重量部以上、好ましくは0.06重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、さらに好ましくは0.2重量部以上。例えば1.5重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.25重量部以下、さらに好ましくは0.22重量部以下。
グリシン:例えば0.02重量部以上、好ましくは0.03重量部以上、より好ましくは0.04重量部以上、さらに好ましくは0.045重量部以上。例えば0.29重量部以下、好ましくは0.25重量部以下、より好ましくは0.17重量部以下、さらに好ましくは0.15重量部以下。
アラニン:例えば0.05重量部以上、好ましくは0.075重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、さらに好ましくは0.15重量部以上。例えば1.5重量部以下、好ましくは0.7重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、さらに好ましくは0.3重量部以下。
バリン:例えば0.085重量部以上、好ましくは0.09重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、さらに好ましくは0.12重量部以上。例えば0.8重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下、さらに好ましくは0.15重量部以下。
ロイシン:例えば0.1重量部以上、好ましくは0.125重量部以上、より好ましくは0.15重量部以上、さらに好ましくは0.2重量部以上。例えば1.2重量部以下、好ましくは1.0重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、さらに好ましくは0.3重量部以下。
本発明者らの検討によると、好ましい態様において、本発明の発酵調味料組成物は、アンセリン、カルノシン、およびアルギニンの含量が低い。
アンセリン、カルノシン、およびアルギニンの少ない含量は、アミノ酸総量100重量部あたり、具体的には、他の成分の含量がいずれの場合であっても、下記のとおりである。
アンセリン:例えば5.0重量部以下、好ましくは4.0重量部以下、より好ましくは3.0重量部以下、さらに好ましくは1.0重量部以下または含まれない。
カルノシン:例えば50重量部以下、好ましくは10重量部以下、より好ましくは3.0重量部以下、さらに好ましくは1.0重量部以下または含まれない。
アルギニン:例えば3.5重量部以下、好ましくは3.0重量部以下、より好ましくは1.9重量部以下、さらに好ましくは1.4重量部以下または含まれない。
好ましい態様における、アンセリン、カルノシン、およびアルギニンの乳酸発酵調味料組成物固形分100重量部あたりの含量は、具体的には、他の成分の含量がいずれの場合であっても、下記のとおりである。
アンセリン:例えば0.4重量部以下、好ましくは0.2重量部以下、より好ましくは0.1重量部以下、さらに好ましくは0.05重量部以下または含まれない。
カルノシン:例えば1.0重量部以下、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.14重量部以下、さらに好ましくは0.05重量部以下または含まれない。
アンセリンとカルノシンの総量:例えば1.0重量部以下、好ましくは0.6重量部以下、より好ましくは0.2重量部以下、さらに好ましくは0.075重量部以下または含まれない。
アルギニン:例えば0.4重量部以下、好ましくは0.2重量部以下、より好ましくは0.1重量部以下、さらに好ましくは0.05重量部以下または含まれない。
本発明者らの検討によると、本発明の乳酸発酵調味料組成物は、鉄を比較的多く含む。固形分100重量部あたりの含量は、ビーフエキス風味を損なわない限り特に限定されないが、具体的には、他の成分の含量がいずれの場合であっても、下記のとおりである。
例えば0.010重量部以上、好ましくは0.030重量部以上、より好ましくは0.050重量部以上、さらに好ましくは0.75重量部以上。例えば0.40重量部以下、好ましくは0.30重量部以下、より好ましくは0.20重量部以下、さらに好ましくは0.10重量部以下。
特に好ましい態様においては、乳酸発酵調味料組成物は、固形分100重量部あたり、8.0重量部以上の乳酸、および0.050重量部以上の鉄を含み、アミノ酸総量100重量部あたり、下記のアミノ酸を含む:
・カルノシンおよびアンセリンの総量 0~5重量部
・アルギニン 0~3重量部
・バリンおよびロイシンの総量 15重量部以上
別の好ましい態様においては、乳酸発酵調味料組成物は、酵母エキスを含み、かつ固形分100重量部あたり、下記を含む:
・乳酸 8.0重量部以上;
・カルノシンおよびアンセリンの総量 0.3重量部以下;
・ロイシン 0.1重量部以上。
上記の乳酸発酵調味料組成物は、さらに以下を含むことが好ましい:
・アラニン 0.1重量部以上。
〔用途〕
<ビーフエキス様の風味の付与>
本発明の発酵調味料組成物は、食品のビーフエキス風味を増強するため、または食品にビーフエキス風味を付与するために用いることができる。ビーフエキスとは、牛肉を利用したコンビーフやボイルドビーフ等を製造する工程において副産物として産出される煮汁を原材料としたものを指し、前掲非特許文献1ではミートエキスと称されているものを指す。ビーフエキス風味は、ビーフエキス特有の、酸味、収斂味、血肉風味(生臭さ)、およびコクを含む。
<植物タンパク質臭マスキング>
本発明の発酵調味料組成物は、植物タンパク質臭の風味を改良するために用いることができる。具体的には、本発明の調味料組成物により、植物性タンパク質を用いた食品に、うま味、コク味を付与することができ、また青臭さ、植物性タンパク質独特のえぐみ、または口に残る豆臭を、マスキングすることができる。植物タンパク質、特に大豆タンパク質(それを原材料とする加工品を含む。)は独特の青臭さ、植物性タンパク質独特のえぐみ、または口に残る豆臭を有していることが知られている。
<評価方法および基準>
ビーフエキス風味が付与されているか否か、またその程度は、当業者であれば、適切な対照食品を基準とした官能試験を企画して評価することができる。より具体的には、例えば有効成分を含まない食品等適切な対照を準備し、3~10段階程度の基準を定め、基準(産業上意義のある基準、例えば3段階目以上を合格とするように定めることができる。)に基づき、訓練されたパネラーが対象となる食品と対照とを比較することにより評価することができる。
より具体的な評価のための方法として、本明細書の実施例の項に記載した方法を参照することができる。
〔適用される食品〕
本実施態様により得られた発酵調味料組成物は、種々の食品に適用できる。適用される食品の好ましい例は、畜肉またはその代替物を使用した食品、およびビーフエキス風味を有することが好ましい食品である。具体的には、牛肉調製品(ビーフカレー、ビーフジャーキー、コンビーフ、ローストビーフ、シーズンド・ビーフ等)、牛丼、ステーキ用肉、焼き肉用肉(タン、ハラミ、肝臓等)、ハンバーグ、メンチカツ、ミートボール、ミートローフ、ロールキャベツ、ハンバーガー用のパティー、ハム、ソーセージ、ベーコン、味付けスペアリブ、カレー、シチュー、フォンドボー、ビーフブイヨン、ステーキソース、バーベキューソース、焼き肉のたれ、ハーブソルト、カレールー、シチュールー等が挙げられる。
食品への組成物の添加量は、食品の種類にもよるが、典型的には食品に対し、固形分64~65%の組成物に換算して、0.01%以上であり、好ましくは0.05%以上であり、より好ましくは0.10%以上であり、さらに好ましくは0.13%以上である。0.01%未満では効果が乏しいからである。添加量の上限は、発酵物の風味が対象となる食品の元来の風味を損なわない限り、特に限定されない。食品にも拠るが、2%を超えると乳酸発酵物の風味が感じられるようになるので、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下としてもよく、0.50%以下としてもよい。雑味や渋みを感じやすい味の薄い食品、例えば豆乳に対しては、0.40%以下としてもよく、また雑味・渋みが感じられず、かつ十分に高い効果を得るとの観点からは、0.30%以下としてもよい。
〔その他〕
食品の製造における、組成物の添加の段階は、作業性等を考慮し、適宜とすることができる。
次に、本発明を実施例および比較例により更に詳細に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:乳酸菌のスクリーニング〕
いくつかの乳酸菌をチキンエキス培地を用いて培養し、得られた培養液の官能評価を行うことにより、畜肉風味を出す乳酸菌のスクリーニングを行った。
<方法>
(1)乳酸菌をMRS培地(Lactobacilli MRS Agar:Difco社製)3mlに白金耳植菌し、温度37℃条件下、目視で培地が十分に白濁することが確認できるまで前培養した。
(2)チキンエキスAF (食塩12.4%, Brix 51.2:富士食品工業社製) をBrix20.4、食塩濃度5.0%に調整した。そこへタンパク質分解酵素(プロテアーゼP「アマノ」3SD:天野エンザイム社製) をチキンエキスAFの固形分(17.13%) に対して0.5%添加し、40℃、4時間、pH7.0で反応させた。
(3)このようにして得られたチキンエキス分解液30mlに対し、3mlの(1)の乳酸菌培養液を植菌し、37℃、24時間静置培養した。
(4)培養液を、蒸留水でBrix2に調整し、国際規格品のビーフエキス(BORDON Beef extract:JBS S.A.社製)をBrix2に希釈したものを基準として、専門のパネラー5名による官能評価を行い、香りの特徴を判断した。
<評価結果>
Figure 0007455534000001
乳酸菌6 、乳酸菌8、TM23343、TM27872、乳酸菌18を用いて培養させたものがビーフエキスに近い匂いであった。乳酸菌6、TM23343、TM27872、乳酸菌18の4サンプルはいずれも酸臭が強く、一般的な国際規格品ビーフエキスであるBORDONと同様の香気を有していた。また、pHの変化が大きいものは、フルーティーな酸臭を有する傾向を有していた。なお、乳酸菌6、8および18はそれぞれ順に、Lactobacillus brevis、Lactobacillus malefermentans、Enterococcus faecalisであった。
〔実施例2:TM23343およびTM27872の同定〕
TM23343およびTM27872は、株式会社テクノスルガ・ラボに委託し、16S rRNA遺伝子(16S rDNA)配列等に基づく微生物の同定を行った。
Figure 0007455534000002
TM23343は、分類学上、Pediococcus acidilacticiに近縁なPediococcus sp.と同定された。なおTM23343は、国際寄託された(寄託番号NITE BP-02956)。
TM23343の分離原と科学的性質は下記のとおりである。
分離原:大麦
細胞形態:球形
コロニー:クリーム色
特徴:ホモ乳酸菌、適性温度37℃~45℃、好気培養
Figure 0007455534000003
TM27872は、分類学上、Pediococcus acidilacticiに近縁なPediococcus sp.と同定された。なおTM27872は、国際寄託された(寄託番号NITE BP-02957)。
TM27872の分離原と科学的性質は下記のとおりである。
分離原:清酒もろみ
細胞形態:球形
コロニー:クリーム色
特徴:ホモ乳酸菌、適性温度37℃~45℃、好気培養
〔実施例3:酵母エキス培地を使用した乳酸菌培養条件の検討〕
3-1:培養条件の検討(その1)
乳酸菌TM23343とチキンエキスを用い、酵素の種類、培養温度、時間を改変した場合の培養液の変化について検証した。
<方法>
(1)乳酸菌TM23343は実施例1と同じ方法で前培養した。
(2)チキンエキス(親鶏たっぷりチキンスープ、食塩0%, Brix 8.6:富士食品工業社製) をロータリーエバポレーターで濃縮しBrix25.6に調整した。
(3)タンパク質分解酵素(サモアーゼPC10F:天野エンザイム社製)をチキンエキスに対して固形分あたり0.5%添加し、65℃、1時間反応させた。
(4)サモアーゼを失活させた後、更にタンパク質分解酵素(プロテアーゼP「アマノ」3SD:天野エンザイム社製)をチキンエキスAFの固形分に対して0.5%添加し、50℃で3時間反応させた。そしてグルコースを5%加え、酵素を失活させた。
(5)このようにして得られたチキンエキス分解液30mlに対し、3mlの前培養した乳酸菌TM23343を添加し、種々の条件で培養した。その後、加熱殺菌により酵素を失活させた。
(6)加熱殺菌処理した培養液を、蒸留水でBrix2に調整し、専門のパネラー5名による官能評価を行い、香りの特徴を判断した。
<評価結果>
培養温度が37℃の培養のみでは、ビーフ様の香気を発生するものの、収斂味がなく、ビーフ様エキスとはならなかった。37℃で培養後、更に50℃で培養することにより味に深み、収斂味がでて、目的とするビーフ様エキスに近づいた。
Figure 0007455534000004
3-2.:培養条件の検討(その2)
酵母エキスベースの培地に乳酸菌TM23343を植菌し、培養温度の検討を行った。
<方法>
以下の表1に示した培地30mLにTM23343を3mL植菌した後、
(1)100rpmで37℃24時間培養後、更に50℃24時間培養、または
(2)100rpmで50℃24時間培養
の2通りの培養条件で検討した。
Figure 0007455534000005
培養後の培養液をロータリーエバポレーターで濃縮しBrix75に調整した。これらを蒸留水でBrix24まで希釈し、ビーフブイヨン(シェフソシエ フォン・ド・ヴォー:ハインツ日本社製)に0.5%添加して官能評価した。
比較サンプルとして、乳酸菌培養液を添加していないもの(サンプル1)と国際規格品ビーフエキス(BORDON Beef extract:JBS S.A.社製)をBrix24に希釈してビーフブイヨン(シェフソシエ フォン・ド・ヴォー:ハインツ日本社製)に0.5%添加したもの(サンプル2)を一緒に評価した。
官能評価基準について、酸味、収斂味、生臭さ、コクの評価は、培養液の添加なしの評価をすべて1として比較し、1~5段階で評価した。また、ビーフエキスへの類似度は、国際規格品ビーフエキスの評価を5として比較し、1~5段階で評価した。
(官能評価基準)
酸味
5:酸味が強すぎる
4:酸味を強く感じる
3:酸味を感じる
2:僅かに酸味を感じる
1:酸味を感じない
収斂味
5:収斂味が強すぎる
4:収斂味を強く感じる
3:収斂味を感じる
2:僅かに収斂味を感じる
1:収斂味を感じない
生臭さ
5:生臭さ過ぎる
4:生臭さを強く感じる
3:生臭さを感じる
2:僅かに生臭さを感じる
1:生臭さを感じない
コク
5:コクが強すぎる
4:コクを強く感じる
3:コクを感じる
2:僅かにコクを感じる
1:コクがない
ビーフエキスへの類似度 (3以上が、ビーフエキス風味を有するといえる。)
5:ビーフエキスとほぼ同一である
4:ビーフエキスとかなり類似する
3:ビーフエキスとやや類似する
2:ビーフエキスとはあまり類似しない
1:ビーフエキスとは類似しない
<評価結果>
乳酸菌を37℃24時間培養後、更に50℃24時間培養した条件(サンプル3)では、酸味があり、あっさりとした味である。また、酸味に付随した収斂味があった。乳酸菌を50℃24時間培養した条件(サンプル4)では、マイルドな酸味と収斂味があり、旨みが強いことから、50℃24時間の培養が最も適していると評価された。下表に、5名の平均点と代表的な評価コメントを示した。
Figure 0007455534000006
3-3:培地の検討(その1):酵母エキスの使用
酵母エキスを基質とした場合の培養エキスの評価を行った。
<方法>
下表に示した培地30mLに3mLの乳酸菌TM23343を植菌し、100rpmで37℃24時間培養後、更に、50℃24時間培養した。
Figure 0007455534000007
次に、培養液にグルコースを5%加え、115℃、3時間加熱した後、ロータリーエバポレーターを用いて培養液をBrix75まで濃縮した。これらを蒸留水でBrix24まで希釈し、ビーフブイヨン(シェフソシエ フォン・ド・ヴォー:ハインツ日本社製)に0.5%添加し、専門のパネラーによる官能評価を行い、味、香りの特徴を判断した。また、培養液0.1mLあたりのコロニー数を測定した。更に、乳酸菌添加による培養前後でのpHの変化を測定した。
<評価結果>
酵母エキスベースの培地を用いても、乳酸菌が増殖し、ビーフ様の風味が増強された。
Figure 0007455534000008
更に、収斂味やコクを増強させるため、上記培養液に亜鉛酵母(ZY-20P:テーブルマーク社製)を0.1%添加し、再度、官能評価を行った。その結果、収斂味が増し、目的とするビーフ様エキスの呈味に近づいた。
3-4:培地の検討(その2):タンパク加水分解物の使用
動物性タンパク加水分解物(HAP)を栄養源とした培地に乳酸菌を植菌した培養エキスを調製した。
<方法>
動物性タンパク加水分解物(エキストラートYP(N)、AP-L(P):富士食品工業社製)を塩分濃度3~4%まで希釈し、グルコースを全量の3%添加して培地を作成した。このようにして得られた培地30mLに対し3mLの乳酸菌TM23343を植菌し、37℃24時間培養後、更に、50℃24時間培養させた。培養液にグルコースを6%加え、115℃、3時間加熱した後、蒸留水でBrix2に調整した。専門のパネラー5名による官能評価を行い、味、香りの特徴を判断した。
<評価結果>
Figure 0007455534000009
今回の結果からHAPのみを原材料に使うとペプチドがないためにコクや旨味等が弱かったと考えられた。そのため、今後はHAPをベースに酵母エキスを加えて乳酸菌を培養させてみることにした。
3-5:培地の検討(その3):HAPと酵母エキスの使用
<方法>
下表に示した培地30mLに3mLの乳酸菌TM23343を植菌し、100rpmで37℃24時間培養後更に、50℃24時間培養した。
Figure 0007455534000010
次に、培養液にグルコースを5%加え、115℃、3時間加熱した後、蒸留水でBrix2 に調整した。専門のパネラー5名による官能評価を行い、味、香りの特徴を判断した。また、培養液0.1mLあたりのコロニー数を測定した。
<評価結果>
Figure 0007455534000011
今回の結果からHAPと酵母エキスを加えた培地の場合には、収斂味が少なくすっきりしており、またコクや旨味も付加されており、ビーフ様エキスとして評価が高かった。
〔実施例4:培地への鉄含有酵母の添加試験〕
鉄含有酵母を添加することで培養液によりビーフエキス様のコク、収斂味を付加させることを検討した。
<方法>
(1)下表の、酵母エキスに鉄含有酵母(High Iron Yeast:Grow社製)を添加した培地(サンプル1)に乳酸菌TM23343を植菌し、50℃24時間培養させたものと、酵母エキス培地(サンプル2)に乳酸菌TM23343を植菌し、培養させた後に、鉄含有酵母を下表と同量添加したものを作成した。
(2)また、HAP(エキストラートYP(N))に酵母エキスと鉄含有酵母を加えた培地(サンプル3)に乳酸菌TM23343を植菌し、50℃24時間培養させたものと、HAP(エキストラートYP(N) 富士食品工業株式会社)に酵母エキスを加えた培地(サンプル4)に乳酸菌TM23343を植菌し、培養させた後に、鉄含有酵母を同量添加したものを作成した。
(3)さらに、これらの作成した培養液にグルコースを5%加え、115℃、3時間加熱した後、蒸留水でBrix2 に調整した。
(4)専門のパネラー5名による官能評価を行い、味、香りの特徴を判断した。
Figure 0007455534000012
<評価結果>
Figure 0007455534000013
結果より、培地に鉄含有酵母を添加してから乳酸菌培養させたほうが、乳酸菌培養させてから鉄含有酵母を添加したものよりも、コクや自然な血肉っぽさを付与することができた。
〔実施例5:乳酸菌培養後の加熱条件検討〕
5-1:加熱時間の検討
<方法>
実施例4の酵母エキス培地(鉄含有酵母添加)(サンプル1)と同様の培地に、乳酸菌TM23343を植菌し、50℃24時間培養させた。培養液にグルコースを5%加え、115℃で1~4時間加熱した後、蒸留水でBrix2 に調整した。専門のパネラー5名による官能評価を行った。
〈評価結果〉
Figure 0007455534000014
加熱反応条件は、3時間のものが一番コクや苦みがあり、力価が強かった。
5-2:反応前糖添加濃度と加熱温度の検討
<方法>
実施例4の酵母エキス培地(鉄含有酵母添加)(サンプル1)と同様の培地に、乳酸菌TM23343を植菌し、50℃24時間培養させた。培養液にグルコースを任意の割合で添加し、3時間加熱した後、蒸留水でBrix2 に調整した。専門のパネラー5名による官能評価を行った。
(官能検査の評価基準)
◎:ビーフエキス様の味と香りを強く感じる
○:ビーフエキス様の味と香りを感じる
△:ビーフエキス様の味と香りが弱い
×:ビーフエキス様の味と香りを感じない
〈評価結果〉
Figure 0007455534000015
糖5.0%添加時に、加熱温度を115℃から100℃にすると、苦味が抑えられ、コクや甘みを感じた。更に、糖3.0%や1.0%添加時で酸味が立つようになり旨みを感じた。また、後味がすっきりしている。糖0.8%添加にすると、収斂味が若干弱い印象だが、糖0.5%添加にすると、酵母エキス感が残っていた。以上の結果から、加熱反応前の糖の添加量については、全体量の1%添加時に評価が最も優れていた。加熱反応条件は100℃、3時間で評価が最も優れていた。
〔実施例6:スケールアップ検討〕
6-1:乳酸菌シード1の調製(前培養)
下表の培地を調製し、殺菌後に、 乳酸菌TM23343を5.1kg植菌し、培養を行い、乳酸菌シード1を調製した。
Figure 0007455534000016
6-2:酵母エキスの調製
下表の培地を、pHを調整後、加熱殺菌し、実施例6-1で調製した乳酸菌シード1の全量を植菌した。温度約50℃で、24時間撹拌培養(攪拌羽の回転速度 100rpm)を行い、培養液を得た。
Figure 0007455534000017
6-3:乳酸発酵調味料Aの生成
6-2で得られた培養液から、353.0Lを取り出し、冷却した。その後、濃縮し、加熱殺菌、ろ過工程を経て、60.7kgの生成物を得た(乳酸発酵調味料A)。
6-4:乳酸発酵調味料Bの生成
6-2で得られた培養液から、178.0Lを取り出し、冷却した。次に、グルコースを2.5kg加え、100℃で3時間加熱した。その後、冷却、濃縮し、加熱殺菌、ろ過工程を経て、39.9kg、の生成物を得た(乳酸発酵調味料B)。
6-5:官能評価(フォンドボー)
乳酸発酵調味料A、B、ビーフエキス(ビーフエキスY-5774:日本科研社製)、酵母エキス(マキサボーYBペースト:DSM社製)それぞれを添加したときの官能評価を行った。それぞれ、フォンドボー(シェフソシエ フォン・ド・ヴォー:ハインツ日本社製)に0.3%または1%添加した。なお、各原材料の総塩分量を同一となるよう食塩量を調整した。Blankの評価を1点、ビーフエキスY-5774を7点とし、専門のパネラー8名による官能評価を行った。味、香りの特徴を1~10点で評価し、平均値を算出した。なお、マキサボーYBペーストは、ビーフエキス風の酵母エキスペーストとして知られている。
Figure 0007455534000018
乳酸発酵調味料A、Bを0.3%添加することで、ビーフエキスY-5774以上の酸味が付与された。一方、酵母エキス(マキサボーYBペースト)を添加したときは、ビーフエキスY-5774よりも酸味が弱かった。
乳酸発酵調味料A、Bを0.3%添加することで、ビーフエキスY-5774と同等かそれ以上の収斂味が付与された。一方、酵母エキス(マキサボーYBペースト)を添加したときは、ビーフエキスY-5774よりも収斂味が弱かった。
乳酸発酵調味料A、Bを0.3%添加することで、酵母エキス(マキサボーYBペースト)を添加したときよりも、生臭さを強く感じた。
0.3%添加の場合の評価結果から、下記が考察される。
ビーフエキス風味の特徴である収斂味の強弱は、酸味とコクのバランスによって感じるものである。乳酸発酵調味料A、Bを添加すると、酸味が強く、コクとのバランスにより結果として、収斂味を強く感じる。市販の酵母エキスは、酸味が弱い分、コクとのバランスにより、収斂味が乳酸発酵調味料A、Bよりも劣る。
乳酸発酵調味料A、Bを添加すると、市販のビーフエキス添加時と比較して、ビーフエキス特有の酸味や収斂味が市販のビーフエキスと同等かそれ以上に感じられる。また乳酸発酵調味料A、Bを添加すると、市販の酵母エキス添加時よりも生臭さが強くなる。乳酸発酵調味料A、Bの添加により、ビーフエキス風味の特徴を再現することができる。
Figure 0007455534000019
乳酸発酵調味料A、Bの添加濃度を1.0%にすると、0.3%添加時と比べて、酸味と収斂味が強くなった。一方、酵母エキス(マキサボーYBペースト)を1.0%添加しても、酸味、収斂味等の評価は0.3%添加時とほぼ変わらなかった。酵母エキス(マキサボーYBペースト)1.0%添加すると、酵母エキス臭を感じるようになった。
1.0%添加の場合の評価結果から、下記が考察される。
ビーフエキス風味の特徴である収斂味の強弱は、酸味とコクとのバランスによって感じるものである。乳酸発酵調味料A、Bの1.0%の添加により、酸味が強くなることで収斂味も強くなる。乳酸発酵調味料A、Bの添加量を増やしても、不快な匂いは感じず、ビーフエキスにより近い風味を出すことができる。
6-6:官能評価(カレーソース)
以下の配合で所定の方法によりカレーソースを作成した。
Figure 0007455534000020
作成したカレーソースに、乳酸発酵調味料A、B、ビーフエキス(ビーフエキスY-5774:日本科研社製)、酵母エキス(マキサボーYBペースト:DSM社製)それぞれを0.5%添加した。その後、パウチへ充填し、40分間ボイル殺菌を行った。殺菌後、冷却し、35℃で保存し、官能評価を行った。なお、各原材料の総塩分量が同一となるよう食塩量を調整した。Blankを1点、ビーフエキスY-5774を7点とし、専門のパネラー8名による官能評価を行った。味、香りの特徴を1~10点で評価し、平均値を算出した。
Figure 0007455534000021
乳酸発酵調味料Aを添加すると、ビーフエキスY-5774と同等の酸味を感じることができた。また、収斂味、生臭さ、コクの評価も高く、野菜の甘い味を感じた。乳酸発酵調味料Bを添加すると、ビーフエキスY-5774以上の酸味を感じた。また、乳酸発酵調味料Aよりも、更に収斂味、生臭さ、コクが向上した。一方、酵母エキス(マキサボーYBペースト)を添加した場合は、コクが弱く、ビーフエキスY-5774には劣った。
乳酸発酵調味料A、Bを添加すると、収斂味ではビーフエキスY-5774にやや劣るものの、ビーフエキスY-5774以上に野菜の甘さが引き立ち、まろやかな味となり、全体的に味のバランスが向上した。
乳酸発酵調味料A、Bは、具材入りソース(カレーソース)に添加した場合もフォンドボーに添加した場合と同様に、目的とするビーフエキス風味を付与することができる。
〔実施例7:成分解析〕
7-1:有機酸の測定
乳酸発酵調味料A、B、BORDON Beef extract(JBS S.A.社製)、ビーフエキスY-5774(日本科研社製)、酵母エキス(マキサボーYBペースト:DSM社製)を水で溶解後、0.45マイクロのフィルターでろ過し、測定用試料を調製した。有機酸含量をHPLC法で測定した。HPLCの条件は以下のとおりである。また、比較例として実施例6の6-2に示した培地に、実施例6と同様に得た乳酸菌シード1を植菌した直後における有機酸量も測定した。
測定条件
カラム:GL-C610H-S(日立ハイテク)
カラム温度:56℃
溶離液:3mM 過塩素酸 0.5ml/min
反応液:0.21% リン酸水素二ナトリウム、
0.00938% ブロモチモールブルー
検出:UV 440nm
測定値は、測定サンプルの乾燥重量(固形分)あたりの量(%)で示す。
Figure 0007455534000022
乳酸発酵調味料A、Bの特徴の一つとして、乳酸含量が高いことが分かった。乳酸発酵調味料A、Bの乳酸含量は、マキサボーYBペーストと比較して、高かった。また、乳酸発酵調味料A、Bの他の特徴として、リン酸濃度が低いことが分かった。乳酸発酵調味料A、Bのリン酸濃度は、既存のビーフエキスや酵母エキスと比較して、低かった。
7-2:アミノ酸の測定
乳酸発酵調味料A、B、BORDON Beef extract(JBS S.A.社製)、ビーフエキスY-5774(日本科研社製)、酵母エキス(マキサボーYBペースト:DSM社製)を水に溶解後、pH2.0に調整した。その後、0.20マイクロのフィルターでろ過し、測定用試料を調製した。試料のアミノ酸含量についてアミノ酸分析機(日立L―8900)を用い、ニンヒドリン法で測定した。また、比較例として実施例6の6-2に示した培地に、実施例6と同様に得た乳酸菌シード1を植菌した直後におけるアミノ酸量も測定した。測定値は、測定サンプルの乾燥重量(固形分)100gあたりの量(mg)で示す。
Figure 0007455534000023
乳酸発酵調味料A、Bは、既存のビーフエキスや酵母エキスと比較し、タウリン(Tau)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、アンセリン(Ans)、カルノシン(Car)、アルギニン(Arg)の含量が低いか、または検出されなかった。
7-4:一般分析
食品分析のための定法にしたがって測定した一般分析の結果を下表に示す。
Figure 0007455534000024
〔実施例8:乳酸菌の検討〕
上記以外の乳酸菌でも、高温耐性菌であればビーフ様の風味を出すことができるか検討した。
所有している菌株のうち、高温耐性(45℃以上で培養可能)のある下表の2株を選定した。各株の16s rRNA遺伝子配列に基づく種を下表に示した。
Figure 0007455534000025
実施例4のサンプル1(酵母エキス培地、鉄含有酵母添加)と同様の培地30mLに対し、前培養した各乳酸菌3MLを植菌し、50℃24時間培養させた。培養液を、蒸留水でBrix2に調整し、ビーフエキス様の酸味、収斂味について官能評価した。その結果、上表中の2株を用いた時でも、ビーフエキス様の酸味や収斂味が得られた。この結果より、Pediococcus属のほか、Lactobacillus属の乳酸菌でも、一定条件下で目的とするビーフエキス風味の発酵調味料が得られることが分かった。
〔実施例9:アプリケーション(ソイバーグ)〕
肉を一切使用せずに、植物性タンパク質を使用したハンバーグに、実施例6で生成した乳酸発酵調味料Bを添加することで、植物性タンパク質特有の風味をマスキングする効果の検討を行った。
<方法>
植物性タンパク質A(アペックス350 :不二製油社製)に乳酸発酵調味料Bを水に添加したものを染み込ませた。これらを下表に示したソイバーグの配合となるようそれぞれ混ぜ合わせ30gずつ形成し、加熱水蒸気オーブンで190℃、400秒加熱調理した。さらに、ショックフリーザーで急速冷凍した後、レンジアップしたものを官能評価した。比較サンプルとして、処理していない植物性タンパク質を用いた配合でソイバーグ(コントロール)を作製し、評価した。
Figure 0007455534000026
うま味、コクの評価と、植物性タンパク質特有の風味のマスキングの評価を、1~5の5段階で行った。うま味、コクの評価に関してはコントロールの評価をすべて1とし、植物性タンパク質特有の風味の評価(青臭さ、独特のえぐみ、口に残る豆臭)に関してはコントロールの評価を5とした。官能評価は、専門のパネラー7名で行い、7名の平均値を下表に示した。
(官能評価基準)
うま味
5:うま味が強すぎる
4:うま味を強く感じる
3:うま味を感じる
2:僅かにうま味を感じる
1:うま味を感じない(control)
コク
5:コクが強すぎる
4:コクを強く感じる
3:コクを感じる
2:僅かにコクを感じる
1:コクがない(control)
青臭さ
5:青臭さが強すぎる(control)
4:青臭さを強く感じる
3:青臭さを感じる
2:僅かに青臭さを感じる
1:青臭さを感じない
独特のえぐみ
5:独特のえぐみが強すぎる(control)
4:独特のえぐみを強く感じる
3:独特のえぐみを感じる
2:僅かに独特のえぐみを感じる
1:独特のえぐみを感じない
口に残る豆臭(口に含んだときに感じる豆の匂い、フレーバー)
5:口に残る豆臭が強すぎる(control)
4:口に残る豆臭を強く感じる
3:口に残る豆臭を感じる
2:僅かに口に残る豆臭を感じる
1:口に残る豆臭を感じない
<評価結果>
Figure 0007455534000027
乳酸発酵調味料Bを添加したソイバーグは、コントロールと比較すると、うま味やコク味が付与された。また、乳酸発酵調味料Bは青臭さや植物性タンパク質独特のえぐみ、口に残る豆臭のマスキング効果があることが示された。

Claims (11)

  1. 乳酸菌を、酵母エキスを含有し、亜鉛酵母または鉄酵母をさらに含有する培地中、40℃以上で12時間以上培養し、培養液を得る工程;および
    得られた培養液を調味料組成物とする工程
    を含む、乳酸発酵調味料組成物の製造方法。
  2. 得られた培養液を95℃以上で1時間以上加熱し、加熱処理された培養液を得る工程をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 得られた培養液に1~10%の糖を加えて加熱する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 乳酸菌が、Pediococcus属、Lactobacillus属、またはEnterococcus属に属する、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 培地が、動物由来の原材料を含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. Pediococcus属、Lactobacillus属、またはEnterococcus属に属する乳酸菌を、酵母エキスを含有する培地中、40℃以上で12時間以上培養し、培養液を得る工程;
    得られた培養液を調味料組成物とする工程
    得られた調味料組成物を、食品組成物に添加する工程であって、このとき調味料組成物の食品組成物への添加量が、固形分64~65%の調味料組成物に換算したときに0.01%以上2.0%以下である、工程
    を含む、食品組成物の製造方法。
  7. 乳酸菌を、酵母エキスを含有し、亜鉛酵母または鉄酵母をさらに含有する培地中、40℃以上で12時間以上培養して得られた培養液を含む、乳酸発酵調味料組成物。
  8. 固形分100重量部あたり、下記を含む、請求項7に記載の調味料組成物:
    ・乳酸 8.0重量部以上;
    ・カルノシンおよびアンセリンの総量 0.3重量部以下;
    ・ロイシン 0.1重量部以上。
  9. 下記のいずれかの乳酸菌の培養物を含む、請求項7または8に記載の調味料組成物、またはそれを使用した食品組成物:
    (a)Pediococcus sp. NITE BP-02956;
    (b)Pediococcus sp. NITE BP-02956と同じに属し、科学的性質が同じである乳酸菌;
    (c)Pediococcus sp. NITE BP-02957;
    (d)Pediococcus sp. NITE BP-02957と同じに属し、科学的性質が同じである乳酸菌。
  10. ビーフエキス様の風味を付与するための、請求項7~9のいずれか1項に記載の調味料組成物。
  11. 請求項7~10のいずれか1項に記載の調味料組成物を、固形分64~65%に換算して、0.01~2.0%含む、食品組成物。
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