JPH0693827B2 - カツオ煮汁よりのジペプチド分取精製方法 - Google Patents

カツオ煮汁よりのジペプチド分取精製方法

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JPH0693827B2 JP61279494A JP27949486A JPH0693827B2 JP H0693827 B2 JPH0693827 B2 JP H0693827B2 JP 61279494 A JP61279494 A JP 61279494A JP 27949486 A JP27949486 A JP 27949486A JP H0693827 B2 JPH0693827 B2 JP H0693827B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 現在、ビーフエキス素材には畜肉の煮汁濃縮液が用いら
れているが、ビーフエキスの呈味成分を鋭意検討した結
果、江口は動物体組織に存在するジペプチドであるアン
セリンおよびカルノシンに糖を反応させて生ずる褐変物
質がそのうま味成分の主要構成成分であるとの知見を得
ている(特開昭61-181357)。
カツオ煮汁より、例えば、後述のような方法でL−ヒス
チジン塩酸塩1水和物(以下L−His・HCl・H2Oと略記
する)を回収した母液中にも、その中の固形分当り、ア
ンセリン(以下、Ansと略記する)1〜3%程度、カル
ノシン(以下、Carと略記する)0.5〜1%程度存在して
おり、これらよりAnsおよび/又はCarを含むジペプチド
画分が分取精製できれば、このジペプチド画分に糖を反
応させるだけでビーフエキスのうま味因子となる褐変物
質が得られるので、より経済的なビーフエキス素材を提
供できる。因みに、カツオ煮汁に含まれているジペプチ
ドはAnsおよびCarであることは公知である。
本発明の目的は、カツオ煮汁よりL−His・HCl・H2Oを
分離した母液より、ビーフエキス素材に適するAnsおよ
びCarを含むジペプチド画分を安価に分取精製する技術
を提供することにある。因みに、上記母液のままでは、
その固形分の組成中に占めるAnsおよびCarの割合が小さ
く、この固形分に糖を反応させて生ずるAnsおよびCarの
褐変物質もまた少量であって、そのような反応生成物は
ビーフエキスの構成成分とはなり得ないが、前記母液を
一定の処理(後述)に付し、固形分の組成中に占めるAn
sおよびCarの割合を一定以上に大きくすると、この固形
分に糖を反応させて生ずるAnsおよびCarの褐変物質もま
た多量となり、そのような反応生成物はビーフエキスの
構成成分となり得る。本発明でジペプチド画分を分取精
製するとは、糖を反応させればビーフエキスの構成成分
を与える程度にAnsおよびCarを含有するようにカツオ煮
汁を処理することであって、必ずしもAnsおよびCarのみ
からなる100%ジペプチド画分を分取することではない
(実施例2参照)。
(従来技術) 水産物煮汁液(カツオ煮汁等)よりの天然タウリンの回
収については限外過膜で高分子画分を分別後、電気透
析で脱塩、不純物除去を行ないエタノール晶析で分離す
る技術が見られる(特開昭60-61558)。しかしながら水
産物煮汁液(カツオ煮汁等)よりのジペプチドの工業的
製法に適した回収方法についての検討は、まだ報告がな
い。
AnsはN−β−アラニル−L−1−メチル−ヒスチジン
でpI=8.27、CarはN−β−アラニル−L−ヒスチジン
でpI=8.17の値をもちいづれもL−ヒスチジン(L−Hi
s)とβ−アラニンとのジペプチドである。従って、こ
れらはL−HisのPI=7.47と同様、塩基性能を有してお
り、この特徴を生かした分離技術が考えられる。
Kuninは、塩基性アミノ酸の相互分離に際し、弱酸性陽
イオン交換樹脂の混合塩型(H+型+Na+型)を用いた結
果を報告している(US Pat.2,549,378(1951))。又、
堀坂らは、畜肉よりCarおよびAnsを分離するにあたり弱
酸性陽イオン交換樹脂を用いて分離している(J.Bioche
m.54,349−354(1963))。
(本発明が解決しようとする問題点) カツオ煮汁よりL−His・HCl・H2Oを分離した母液を弱
酸性陽イオン交換樹脂を用いてジペプチド画分の回収を
試みたが、吸着量が僅少であり、工業的に利用し得ない
事が判明した。すなわち、Kuninの方法又は堀坂らの方
法を単にカツオ煮汁に転用したのではジペプチド画分を
精製度よく分取することは不可能であった。
(問題点を解決するための手段) 本発明者は、弱酸性陽イオン交換樹脂へのカツオ煮汁中
のジペプチド画分の吸着能を向上させるべく鋭意検討し
た結果、吸着能を向上させるには、カルボン酸型弱酸
性陽イオン交換樹脂のうち素材及び使用イオン型として
はアクリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂のH+型が有効で
あること、又通液前処理としてカツオ煮汁を充分に脱
塩を行なえば、吸着能が飛躍的に向上することを発見し
た。
又、以上の方法により得られる樹脂吸着部の組成は、塩
基性画分としてAnsとCarとの混合画分以外にL−His、
クレアチニン(以下、Crnと略記する)、その他塩基性
タンパク質、無機塩の吸着が認められる。溶離剤として
は、アンモニア水によって無機塩以外の物質の溶出を選
択的に行なえることが認められた。又、アンモニア濃度
を変えて溶離分別能を検討したところ、0.2N〜0.5N程度
のアンモニア水によってCrnのみが溶出されることを認
め、その後アンモニア濃度を0.5N〜1.5N程度に上げて溶
離を行なえば、ジペプチドの豊富な画分が得られること
を発見した。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明による被処理液たるカツオ煮汁よりL−His・HCl
・H2Oを回収した母液は、例えば次のようにして得られ
る。すなわち、カツオ節製造工程においてカツオ煮熟時
に産するカツオ煮汁を塩酸によりpHを1〜5望ましくは
2〜4として加熱し、上層の油分及び下層の変性タンパ
ク質を含有する水層を分層除去後、半透膜により高分子
画分を除去し、濃縮、冷却してL−ヒスチジンをL−ヒ
スチジン塩酸塩・1水和物として回収した後の母液であ
る(昭和61年10月17日特許出願参照)。このようにして
得られた母液(固形分35%含有)の固形分組成の1例
は、表1のようであった。
第1工程の脱塩は次のようにして行なうとよい。
強酸性陽イオン交換樹脂(H+型)による脱塩: 強酸性陽イオン交換樹脂(H+型)に無機イオンのみを吸
着させ目的ジペプチドの吸着ロスをできるだけ少なくす
る為に、樹脂の分子篩効果とイオン交換効果を利用し、
架橋度の異なる樹脂(H+型)を用い、カツオ煮汁母液
(pH2〜4)のAns並びにCarの樹脂(H+型)への吸着挙
動を検討したところ、架橋度10%以上、好ましくは12%
以上でAns及びCarは分子篩効果によって排除されその吸
着量は架橋度8%での吸着量の1/5〜1/8に減少させるこ
とができた。一方、Na+及びK+イオンはいずれの架橋度
においても優先的に吸着された。これより架橋度12%以
上の強酸性陽イオン交換樹脂(H+型)を用いれば脱塩が
可能で、かつジペプチドの高収率での回収が可能である
ことがわかった。
一方本発明の第2工程たる弱酸性陽イオン交換樹脂(H+
型)へのジペプチド吸着において好ましい方法は、pH7.
0〜8.5に脱塩液を調整して通液する方法であるが、先に
述べた強酸性陽イオン交換樹脂(H+型)への通液(脱
塩)により、貫流液のpHがpH0.5〜2.0と低下しているの
で、強塩基性陰イオン交換樹脂(OH-型)に通液し、脱C
l-することによりpHを調整すればよい。
この方法によりAnsとCarの貫流液中への回収率75%、及
び脱塩率(Na+Kとして)90%〜95%が得られた。
電気透析による脱塩: カツオ煮汁よりL−His・HCl・H2Oを分離した母液のpH
をジペプチドの等電点付近pH7.5〜8.5にNaOH溶液で調整
した所、難溶性ピロリン酸ナトリウムカルシウム・水和
物が析出した。
この析出結晶を別後、電気透析法により温度50〜55
℃、15V定電圧の条件で電気伝導度10ms/cmになる迄脱塩
を行なった所、AnsとCarとの混合物はほぼ定量的に90〜
95%供給液中に保持され、脱塩率(Na+Kとして)は93
〜95%の結果を得た。
工業的脱塩方法として、この外ドナン透析法、濃縮脱
塩法も可能でありこれらいずれの方法で行なっても良
い。
第2工程でジペプチドを弱酸性陽イオン交換樹脂に吸着
させる場合のイオン交換樹脂の素材及び使用イオン型に
ついての概要は前述したが、ここで若干付言する。
第1工程で脱塩された液の、必要に応じて調整した後の
pHは7.0〜8.5である。この液を用い、弱酸性陽イオン交
換樹脂のうち骨格構造の異なる2種類の樹脂(いずれも
三菱化成工業(株)製商品)メタアクリル酸系弱酸性陽
イオン交換樹脂ダイヤイオンWK−10およびWK−13Sとア
クリル酸系弱酸性陽イオン交換樹脂ダイヤイオンWK−20
のそれぞれH+型におけるCarの吸着能を調べた。その結
果、WK−10で0.1mol/l−R、WK−13Sで0.15mol/l−Rで
あるのに対し、WK−20では0.65mol/l−Rと顕著な差が
あること、又ダイヤイオンWK−20のH+型および▲NH4 +
型におけるCarの吸着能を調べた結果、H+型では0.65mol
/l−R、▲NH4 +▼型では0.3mol/l−RとなりH+型が有効
である事を発見した。即ち、ジペプチド画分を吸着させ
るには、ダイヤイオンWK−20などのアクリル酸系弱酸性
陽イオン交換樹脂のH+型を用い、pHがジペプチドの等電
点近傍での通液条件で行なうことが良い。因みに、通常
等電点では電解質は解離しない為、イオン交換されない
が、本系における等電点近傍での通液、吸着によってH+
型樹脂からはH+イオンが離脱し、樹脂層内部のpHが低下
することによってAnsおよびCarが解離して、吸着される
と考えられる。
実際に、カツオ煮汁よりL−His・HCl・H2Oを回収した
母液のpHを8.2に調整後、ピロリン酸ナトリウムカルシ
ウム水和物の別のみを行なった母液(晶析ML)及び
別後更に電気透析法で脱塩した母液(晶析MLの脱塩液)
とを用いて(第1工程参照)、アクリル酸系弱酸性陽
イオン交換樹脂WK−20(H+型)での吸着状況の比較例を
表2に示す。
ジペプチドは脱塩液(晶析MLの脱塩液)では未処理液
(晶析ML)の約8倍の吸着量を示し、顕著な脱塩効果が
あることを発見した。
次に、第3工程である弱酸性陽イオン交換樹脂(H+型)
からの吸着物質の分別溶離について、詳述する。
溶離剤としてアンモニア水と塩酸が考えられるが、1N−
アンモニア水で溶離した所無機塩は溶離されず、塩基性
物質のみが溶離されてきた。
更に、アンモニア水濃度を0.5N、1Nの順に変化させるこ
とにより0.5Nアンモニア水区分ではCrnが溶離されてく
るが他の塩基性物質は溶離されない。その後1Nアンモニ
ア水区分では、若干のCrnおよびAns、Car、His、タンパ
ク質、ならびに褐色色素が溶離され、AnsおよびCarをよ
り豊富に含む画分を得た。この現象はCrnと、Crn以外の
吸着物質との塩基度および物理吸着力の違いに起因して
いるので、アンモニア濃度を0.5〜1Nへと僅かづつ変え
ることにより、AnsとCarの混合物及びHis及びタンパク
質と褐色色素の3画分に分別溶離が可能であることを発
見した。アンモニア水での溶離では無機塩は溶離されな
いが、アンモニア水での溶離後に行なう樹脂(▲NH4 +
型)のHClによるH+型への再生工程で、無機塩は溶離さ
れる。
以上の検討によりカツオ煮汁からL−His・HCl・H2Oを
分離した母液より、AnsおよびCarの混合画分を分取精製
する工業的プロセスを完成した。
本発明の方法は、カツオ煮汁よりL−His・HCl・H2Oを
回収した母液でなくても、類似の組成の他の魚類煮汁に
も適用できることは勿論である。
(実施例) 以下、実施例により更に本発明を説明するが、これらは
特許請求の範囲を限定するものではない。
実施例1 カツオ煮汁よりL−His・HCl・H2Oを分離した母液(表
1の母液に同じ)100lをあらかじめH+型に調整した強酸
性陽イオン交換樹脂ダイヤイオンSK−116(架橋度16
%)、100l−Rカラムに流速SV=1.0で通液後、0.5RVの
脱イオン水で水洗し、貫流当初の貫流液50lは廃棄し、
その後の貫流液100lを採取した。この貫流液のpHは0.8
で、AnsおよびCar回収率85%、脱塩率(Na+Kとして)
90%を得た。貫流液を強塩基性陰イオン交換樹脂ダイヤ
イオンSA−10A(OH-型)、100l−RにSV=1.0で通液
し、水洗0.5RVを行ない、初流0.5RVを廃棄後に得られる
貫流液100lのpHは7.5〜8.5となり、AnsおよびCar回収率
は85%であった。
得られた貫流液を50lに濃縮後、アクリル酸系弱酸性陽
イオン交換樹脂ダイヤイオンWK−20(H+型)25l−RにS
V=1.0で通液し水洗1.5RVを行なった後、0.5Nアンモニ
ア水4RVによりCrnのみを溶離後、0.5〜1Nまで徐々にア
ンモニア濃度を変化させながら約6RV溶離を行ない、Ans
とCarの混合物、His、タンパク質と褐色色素の3画分の
分別溶離を行なった。得られたAnsおよびCarの混合物画
分の固形分組成は、Ans51%、Car23%であった。
このAnsおよびCarの混合画分を濃縮し脱アンモニア後、
固形分濃度40%とし、当該溶液中のAnsおよびCarの総モ
ル数と等モル数のキシロースを加え、160℃、4時間、
脱気下で褐変反応させた。
以下、当該褐変物質のビーフエキス代替調味料の構成成
分としての評価を述べる。
一例として、当該褐変物質19.6g(固形分として)に、
市販のHVP(Hydrolysed Vegetable Protein)36.0g(固形
分として)、食用ゼラチンのプロテアーゼによる部分分
解物(調製法は後述する)44.0g(固形分として)、コ
ハク酸結晶0.4gおよび適量の水を加え、その固形分濃度
が70%のペースト状の調味料(pH5.6)を調製した。次
いで、当該調味料10gを500mlの蒸留水に溶解し、これを
味覚検査の被検液とした。
一方、市販のビーフエキス(南米産のビーフエキス、商
品名「Safra,CIF」)10gを500mlの蒸留水に溶解し、こ
れを味覚検査の対照液とした。
次いで、20人の熟練した味覚検査員により当該被検液お
よび対照液、それぞれ20mlずつを褐色コップに入れて、
試飲比較検査を行なった。その結果、香り、甘・酸・塩
・苦・旨等の基本味、コク・広がり、および血漿様の風
味の検査項目のいずれにおいても、被検液は対照液と全
く官能的な差がないとの結果を得た。
なお、先述のペースト状調味料の調製に用いた食用ゼラ
チンのプロテアーゼによる部分分解物は以下の方法で作
成した。即ち、5%食用ゼラチン溶液1を加温して、
その温度を50℃にした後、稀カセイソーダ溶液を摘下し
てpH7.0に調整した。次いで、当該溶液に市販のプロテ
アーゼ(商品名「ビオプラーゼ」長瀬産業(株)製)12
5mgを蒸溜水10mlに溶解した酵素液を加え、良く攪拌し
乍ら、50℃で240分間分解し、ただちに当該液を100℃、
10分間加熱し、酵素を失活せしめた後凍結乾燥した。な
お、当該部分分解物の平均分子量は、約8,000であっ
た。
実施例2 カツオ煮汁よりL−His・HCl・H2Oを分離した母液(表
1の母液に同じ)100lを実施例1と同様にして強酸性陽
イオン交換樹脂による脱塩、および強塩基性陰イオン交
換樹脂によるpH調整、および濃縮を行ない、貫流液50l
を得た。この貫流液をアクリル酸系弱酸性陽イオン交換
樹脂ダイヤイオンWK−20(H+型)25l−RにSV=1.0で通
液し、水洗1.5RVを行なった後、0.5Nアンモニア水3RV
画分、1.0Nアンモニア水3RV画分、更に水洗1〜1.5RV
ののち、1.0NHCl再生3.5RV画分を分取したところ、
にはCrnのみが検出され、には無機イオンのみ検出さ
れた。得られた画分の組成は固形分中にAns17%、Car
8%、His22%、Crn18%、タンパク質および褐色色素35
%であった。この固形分組成を前記母液の固形分組成
(表1)と比較すると、AnsおよびCarの固形分中に占め
る割合が本発明の処理により顕著に増加していることが
明白である。
次いで得られた画分を濃縮し脱アンモニア後、固形分
含量を20%とし、これにグルコースを当該溶液中のAns
およびCarの総モル数の2倍モルになるように加え、100
℃、22時間、脱気下で加熱褐変させて本実施例の褐変物
質を得た。
次いで、この褐変物質を用いることの外は、実施例1と
全く同様の方法でペースト状の調味料を調製した。
次に、当該調味料を使用し、実施例1において用いたの
と全く同じ市販ビーフエキスを対照品として、実施例1
と全く同様の方法で味覚検査を行なった。
その結果、20人の検査員の全員が、本実施例のペースト
状調味料と対照ビーフエキスの間には、実施例1のいず
れの検査項目においても、官能的な差はないと答えた。
対照例1 本対照例では、本発明の詳細な説明の箇所において説明
したカツオ煮汁からL−His・HCl・H2Oを晶析した残り
の母液(晶析母液)を用いて、ペースト状調味料を調製
した。
即ち、当該母液のpHを稀カセイソーダ溶液にて7.0に調
整した後、その固形分濃度が20%になるように濃縮し
た。
しかる後、当該濃縮液にキシロースを、当該濃縮液中に
含まれるAnsおよびCarの総モル数の2倍モルになるよう
に加え、100℃、22時間、脱気下で加熱褐変せしめた。
次いで、当該褐変物質に、実施例1と全く同様にしてHV
P、ゼラチンのプロテアーゼによる部分分解物及びコハ
ク酸を配合して、その固形分が70%のペースト状調味料
を調製した。
次いで当該調味料を被検体とし、実施例1で用いたもの
と全く同じ市販ビーフエキスを対照として、実施例1と
全く同様の方法で味覚検査を行った。
その結果、実施例1に記載の評価項目の中で、甘・酸・
塩・苦・旨等の基本味の強さについては被検体と対照の
間に差は認められなかったが、その他の評価項目、即
ち、香り、コク・広がり、ならびに血漿様の風味の強さ
の項目において両者間に明白な官能的な差があること
を、検査員全員が指摘した。
この事から本発明の特許請求の範囲に示したジペプチド
の分取精製方法が、本発明が目的とする、当該ジペプチ
ドと糖との加熱褐変反応によるビーフエキス本来のうま
味成分の生成に必須の要件であることが明白となった。
実施例3 カツオ煮汁からL−His・HCl・H2Oを分離して得られた
母液(表1の母液に同じ)30lに98%NaOHを加えてAns、
Carが解離しないpH8.2に調整した。この時析出するピロ
リン酸ナトリウムカルシウム水和物を別後、液27l
を電気透析装置Du−ob型(旭硝子(株)製)透析槽を用
い温度50〜55℃、15V定電圧で透析液(1.8N−NaCl溶
液)に塩を移行させた。透析は、母液の電気伝導度60〜
120ms/cm程度が10ms/cmになる迄行ない脱塩液15lを得
た。AnsおよびCarの回収率は98%、脱塩率(Na+Kとし
て)95%であった。
得られた脱塩液を実施例2と同様アクリル酸系弱酸性陽
イオン交換樹脂ダイヤイオンWK−20(H+型)7.5l−Rに
SV=1.0で通液後、実施例2と同じアンモニア水での溶
離を行ない、溶離の画分(0.1Nアンモニア水3RV画
分)では、固形物中Ans20%、Car10%、His25%、Crn20
%、タンパク質及び褐色色素25%を得た。
次いで、当該画分を実施例2の画分の代りに用いるこ
との外は、実施例2と全く同様の方法でグルコースと加
熱褐変せしめた。
次いで、当該褐変物質を用いることの外は、実施例1と
全く同様の方法で本実施例のペースト状調味料を調製
し、また、これを用いて実施例1と全く同様の味覚検査
を行った。その結果、20人の検査員の全員が、当該被検
調味料と対照ビーフエキスの間に全く官能的な差が無い
と答えた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江口 祝 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 審査官 植野 浩志

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カツオ煮汁よりL−ヒスチジンを回収した
    母液よりカツオ煮汁に含まれるジペプチド(アンセリン
    およびカルノシン)を分取精製するにあたり、該母液を
    脱塩後、弱酸性陽イオン交換樹脂(H+型)に通液して
    後、アンモニア水で吸着物質を分別溶離することを特徴
    とするカツオ煮汁よりのジペプチド分取精製方法。
JP61279494A 1986-11-22 1986-11-22 カツオ煮汁よりのジペプチド分取精製方法 Expired - Fee Related JPH0693827B2 (ja)

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