JPH0794465B2 - 改良されたフイチン酸の製造方法 - Google Patents

改良されたフイチン酸の製造方法

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JPH0794465B2
JPH0794465B2 JP29047786A JP29047786A JPH0794465B2 JP H0794465 B2 JPH0794465 B2 JP H0794465B2 JP 29047786 A JP29047786 A JP 29047786A JP 29047786 A JP29047786 A JP 29047786A JP H0794465 B2 JPH0794465 B2 JP H0794465B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、金属キレート化作用を有し、金属防蝕作用、
除金属作用、抗酸化作用、缶詰めのストラバイト生成防
止作用など興味ある性質を有するフィチン酸の改良され
た製造方法に関するものである。詳しくいえば、膜分離
技術を駆使し、フィチン酸を純度よく、しかも効率よく
製造する改良されたフィチン酸の製造方法に関するもの
である。
従来の技術 フィチン酸は、ミオ(myo)−イノシトールのヘキサリ
ン酸エステルのことであって、植物界に広く存在する有
機リン酸化合物である。植物界にあっては、フィチン酸
はほとんどの植物体中に含まれる。植物体中では、フィ
チン酸は遊離状の形で存在することはほとんどなく、カ
ルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどの
混合結合塩(これは、一般に「フィチン酸塩」あるいは
たんに「フィチン」といわれるが、この明細書において
は、以下、「フィチン」と呼ぶ。)を形成して存在して
いる。
従来のフィチン酸の製造方法は、まず穀物、種子などの
植物体に含有されるフィチンを抽出することから始ま
る。フィチンは常温で容易に酸に溶解するから、一般に
無機酸の希薄水溶液または有機酸の希薄水溶液が抽出溶
剤として使用される。抽出されたフィチンは、酸性水溶
液中でフィチン酸およびフィチンとして存在し、沈澱物
として分別される。沈殿方法としては、有機溶剤添加
法、水溶性重金属塩(塩化鉄、硫酸マンガンなど)添加
法、水溶性アルカリ土類金属塩添加法およびアルカリ添
加法があるが、取り扱いの容易さ及び価格の安価さとい
う観点からしてアルカリ添加法が一般に用いられてい
る。
このようにして上記の方法で分別したフィチンを無機酸
またはフィチン酸の希薄水溶液に大部分を溶解した後、
イオン交換樹脂処理を行なって陽イオン及び夾雑する陰
イオンを除去し、さらに濃縮、脱色工程等を経て、約50
重量%濃度のフィチン酸水溶液として生産される。
従来の技術の問題点 このようにフィチン酸は、穀物、種子などの植物体から
フィチンを酸で抽出し、沈澱分別、イオン交換樹脂処
理、濃縮、脱色等の工程を経て製造される。フィチンの
抽出工程では、酸性液にタンパク質、穀類、その他組織
成分が溶解するので、これらの物が分別に際して不純物
として混入する。分別したフィチンはコロイド状の沈降
物であり、混入する不純物も同様にコロイド状であるか
ら、不純物の除去は非常に困難となる。また、除去でき
ぬ不純物は、フィチン酸の品質を著しく低下させるばか
りか、イオン交換樹脂処理をするときに樹脂層を詰まら
せる原因となり、樹脂寿命を短くする原因ともなる。
さらに、フィチンは水不溶性であるから、イオン交換樹
脂処理する場合、通常、酸に大部分を溶解して通液する
が、カルシウム、マグネシウム等の2価金属と塩を形成
するフィチンほどその溶解性は低く、イオン交換樹脂処
理する場合、不溶性のフィチンが樹脂層を詰まらせない
ように低濃度のフィチンスラリーとして通液しなければ
ならないためフィチン酸の生産性が非常に悪い。
一方、フィチン抽出時に使用する無機酸やイオン交換樹
脂処理前にフィチンを大部分溶解するために使用する無
機酸などがフィチン酸中に残存するとフィチン酸の重
合、着色を招き、フィチン酸の品質を著しく低下させ
る。これら無機酸の除去のため陰イオン交換樹脂を使用
するが、夾雑陰イオンを除去することは困難である。夾
雑陰イオンを少なくする為フィチン酸水溶液にフィチン
を大部分溶解し通液する方法が考えられている。また陰
イオン交換樹脂を通すとフィチン酸自体も樹脂に吸着さ
れ、フィチン酸の歩留が低下する。
このような理由によって、フィチン酸の製造にあたって
は、原料の種類による抽出溶剤の選択、最適抽出条件の
選定、最適沈殿法の決定などが要求されるだけでなく、
不純物および無機酸などの除去のため、除去操作を繰り
返し、繰り返し行なわなければならないので製造工程が
複雑化している。さらに、これらのことがフィチン酸製
造コストアップの原因となっている。
発明の目的 発明者らは、前述したフィチン酸製造のための従来技術
の問題点を改良し、高品質でかつ廉価なフィチン酸を製
造することを目的として鋭意検討を重ねた結果、フィチ
ン酸およびフィチン含有液を限外ロ過膜を通し、その透
過液から沈殿したフィチンを無機酸の水溶液に溶解し、
イオン交換膜処理してから陽イオン交換樹脂処理を行な
うことにより不純物や夾雑物のない高品質のフィチン酸
が得られることを見出し本発明に到達した。
発明の構成 発明者らは、フィチン酸および/またはフィチン(フィ
チン酸塩)含有液を分画分子量が5,000〜100,000の限外
ロ過膜(以下「UF膜」という。)に通液して膜透過液と
濃縮液とに分画し、その透過液をアンモニア水、アルカ
リ金属の水酸化物あるいはアルカリ土類金属の水酸化物
でpH5〜10の間にすることにより、透過液中のフィチン
酸および/またはフィチンを沈殿させ(フィチン酸はフ
ィチンとなって沈殿する。)、沈殿したフィチンをイオ
ン交換膜処理した後、さらに陽イオン交換樹脂にて処理
してフィチン酸を得ることを特徴とする改良されたフィ
チン酸の製造方法を見い出した。
この方法によれば、従来製造工程の複雑化、品質の低下
を招いていた不純物(すなわち、高分子タンパク質、組
織成分、糖類等)を限外ロ過膜で除去することができ、
さらにイオン交換膜処理をすると脱カチオンと脱アニオ
ンが並行して起こる。
フィチンからの脱カチオンは、仕上げ工程での陽イオン
交換樹脂の負荷及び再生操作の軽減が図れる上、フィチ
ン酸溶液の高濃度化が図れる。一方、脱アニオンにより
フィチン溶液調製用として使用し無機酸に由来する陰イ
オンが優先的に除去されるので陰イオン交換樹脂の工程
を省くことが出来る。
なお、フィチン酸の純度を更に向上させるために、必要
に応じて陽イオン交換樹脂で処理した後、陰イオン交換
樹脂処理や活性炭処理を行なって、残存する陰イオンや
着色物質等の不純物を除去してもよい。
以下に本発明の詳細を説明する。
(出発物質) フィチン酸および/またはフィチン含有液は、米糠、小
麦フスマ、大豆等の酸抽出液、とうもろこしを亜硫酸浸
漬した浸漬液(コーンスティープリカーと呼ぶ)などの
ように、植物体から酸抽出することによって得られる液
体である。膜分離技術を施される対象となるフィチン酸
および/またはフィチンを含有する液体は、膜を汚染し
劣化させるような物質を含んでいなければ、どのような
性状の液体でも制限されるものではない。特に、コーン
スティープリカーはコーンスターチ製造工程から排出さ
れる固形分約10重量%、pH約3.8、フィチン含量約8重
量%(純乾物に対して)、分子量1,000以上の蛋白質を
含有する液状物質で、改めて酸抽出工程を入れる必要が
なく、その上廃液同然のコーンスティープリカーの有効
利用が可能となるため好ましい原料である。
(限外ロ過) フィチン酸および/またはフィチン含有液を処理する膜
は、分画分子量が5,000〜100,000の限外ロ過膜である。
分画分子量は、好ましくは10,000〜50,000が良い。分画
分子量が100,000以上の限外ロ過膜を使用すると、可溶
性タンパク質が阻止されず限外ロ過膜を通過し、透過液
中に移行する。したがって、フィチンを回収する際その
大部分が不純物としてフィチン中に混入する場合がある
から、好ましくない。また、分画分子量が5,000以下の
限外ロ過膜を使用すると、透過流束が極端に小さくなる
から不経済である。
限外ロ過膜処理をする液(フィチン酸および/またはフ
ィチン含有液)の温度は、室温以上の温度であればよ
く、好ましくは40℃〜60℃が良い。温度を室温以下とす
るには、冷却エネルギーが必要となり、しかもそのよう
な温度では透過流束が小さいから不経済である。また逆
に、あまりにも高温にすると、限外ロ過膜の寿命が低下
すること、および過熱のためのエネルギーが必要以上に
かかるという問題があるから好ましくない。
(フィチンの沈殿分別) 限外ロ過膜を透過した透過液は透明である。この透明液
にアンモニア水、アルカリ金属の水酸化物あるいはアル
カリ土類金属の水酸化物を添加し、pHを5〜10の間に調
整して、コロイド状のフィチンを析出させる。このコロ
イド状のフィチンをフィルタープレス等の脱水ロ過機で
脱水して、フィチンケーキとする。抽出液から限外ロ過
膜処理をせずに直接的にフィチンを回収した場合には、
そのフィチンの色は黒ずんだり黄色がかったりして、不
溶性タンパク質の混入が認められたが、膜透過液から回
収されたフィチンの色は白〜灰白色であって、不溶性タ
ンパク質の少ないことは明らかであり、もはや不純物を
除く必要がなく、ただちに次の工程へ移ることができ
る。このように限外ロ過膜を透過した液から析出し、回
収されるフィチンケーキは、ほとんど不純物を含まず、
従来のように沈殿分別操作を数回繰り返す必要がなく、
工程の簡略化が図れる。
(フィチンの脱金属イオン) 上記の方法で得た純度の高いフィチンは、水に分散する
かあるいは酸に分散溶解し、イオン交換膜を用いた電気
透析装置(以下の記載においては、これをE.D.と略記す
る。)にかけて金属イオン等を除去する。
フィチンから金属イオン等を除去してフィチン酸を得る
常法として、イオン交換樹脂処理法があるが、この方法
はフィチンが水不溶性であるため、フィチンスラリーを
イオン交換樹脂に通すと、フィチンがイオン交換樹脂層
を閉塞させ、通液できなくなる。したがって一般にはフ
ィチン酸水溶液にフィチンを大部分溶解して、その溶液
を陽イオン交換樹脂に通すのである。さらにその後、夾
雑する陰イオンを除去するため陰イオン交換樹脂を通
す。このような方法によれば、製造したフィチン酸の一
部をフィチンの溶解に使用するので不経済であるのみだ
けでなく、陰イオン交換樹脂へのフィチン酸の吸着が生
じ、夾雑陰イオン除去の効率低下の他、フィチン酸の歩
留低下を招き、コストアップとなる。
一方、E.D.はイオン交換膜のイオン選択透過性を利用し
て脱塩を行なう。すなわち陽イオン交換膜は、陽イオン
のみを透過して陰イオンはほとんど透過しない、陰イオ
ン交換膜は、陰イオンのみを透過して陽イオンはほとん
ど透過しないという機能を利用し、直流電流を駆動力と
して、塩類の脱塩を行なうものである。したがって、イ
オン交換樹脂のような煩雑な再生操作を全く必要としな
い長所をもっている。
本発明のようにフィチンを無機酸の水溶液に溶解し、E.
D.(イオン交換膜)で処理し、その後陽イオン交換樹脂
を通すと、E.D.でフィチンの脱カチオンが起こりフィチ
ンの溶解性が増すので陽イオン交換樹脂で処理する際、
樹脂層が閉塞するという問題がなく、イオン交換樹脂だ
けの処理と比べると、高濃度フィチン溶液が処理でき、
その結果高濃度フィチン酸溶液を作ることができるので
フィチン酸の生産性の向上が可能となる。さらに、従来
法では、フィチンの溶液調製に陰イオン除去が困難なこ
とから塩酸等の無機酸の使用が避けられ、その代わりに
フィチン酸の水溶液が使われていたが、本発明によれ
ば、フィチンの溶液調製に塩酸等の無機酸が使用可能と
なるため、従来フィチン酸を使用することで不経済と考
えられていたことが解消できる。使用する無機酸由来の
陰イオンはE.D.(イオン交換膜)処理で製品に影響ない
ほどほとんど除去されるので、後工程での必要に応じた
陰イオン交換樹脂処理を省くことが出来る。ランニング
コストおよびフィチン酸のロスを考慮すれば本発明のよ
うなE.D.(イオン交換膜)と陽イオン交換樹脂の組合わ
せが有利である。このようにすることにより、従来法に
比べ、イオン交換樹脂の負荷を極端に下げることがで
き、煩雑な再生操作の回数も大幅に減り、再生操作も容
易になる。さらに高濃度のフィチンが処理でき陰イオン
交換樹脂処理を省くことができる。
実施例 実施例−1 コーンスターチを製造する工程から排出されるとうもろ
こし浸漬液を、200メッシュのストレーナーに通して異
物を除去した。
異物を除去した液125lは、固形分94.09g/l、トータル窒
素7.30g/l、トータルリン3.40g/l、無機リン0.60g/lを
含有していた。この液を40,000分画のチューブラー型限
外ろ過膜(UF膜)DUY−L(ダイセル化学工業株式会社
製)で回分的に処理して透過液を得た。処理条件として
は、平均循環線速度2m/秒、入口圧力6.8Kg/cm2、出口圧
力4.6Kg/cm2、液温45℃を適用した。この時の容量減少
率*は5であった。
(*容量減少率=供給液量/(供給液量−透過液量) この透過液は、トータル窒素5.89g/l、トータルリン2.5
8g/l、無機リン0.60g/lを含有し、固形分は80.50g/lで
あった。
次に透過液100lにカ性ソーダを添加してpHを8.5とし、
沈澱物を得た。
この沈澱物を、ブフナー漏斗と東洋濾紙(株)製のロ紙
No.131を使って吸引ロ過し、固液分離を行なった後、十
分に水で洗浄し、ケーキ4,200gを得た。
このケーキは固形分17.1重量%を含有し、固形分中のト
ータル窒素は1.0重量%、トータルリンは17.1重量%、
無機リンは0.2重量%であった。
これを1.5%の塩酸水溶液に溶解し、pH3.5、固形分10%
(W/V)の溶液とした。
この溶液をまず強酸性陽イオン交換膜(旭硝子株式会社
製セレミオンCMV)と強塩基性陰イオン交換膜(旭硝子
株式会社製セレミオンAMV)で構成された電気透析装置
(旭硝子株式会社製DU−Ob型)に供給し、通電時間3時
間、電圧10V、極液及び濃縮液として1%食塩水を使用
して処理した。
次に、この処理溶液を直径6cm、高さ90cmのアクリル樹
脂製カラムに強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化成工業株
式会社製ダイヤイオンSK1B)を1500ml充填し、通液速度
をSV(1時間当りの通液量l/イオン交換樹脂容量l)3
で通液・処理し固形分が78.5g/l、トータル窒素が0.003
g/l、トータルリンが22.0g/l、無機リン0.2g/l、塩素濃
度0.04g/lのフィチン酸溶液を得た。
このようにして得られた液体をエバポレーターで濃縮し
て、濃度が50重量%のフィチン酸溶液を得た。
このフィチン酸溶液を高速液体クロマトグラフィー(カ
ラム:強酸性陽イオン交換樹脂CK08H型、検出器RI、流
速1ml/min)で分析したところ、98.5%の純度のフィチ
ン酸溶液を得た。
実施例−2 実施例−1同様200メッシュのストレーナー処理したと
うもろこし浸漬液125lは、固形分98.0g/l、トータル窒
素7.80g/l、トータルリン3.50g/l、無機リン0.6g/lを含
有していた。この液を13,000分画のキャピラリー型UF膜
MU−6302H(株式会社クラレ製)で回分的に処理した。
処理条件は、平均循環線速度2m/秒、入口圧力2.2kg/c
m2、出口圧力0.4kg/cm2、液温45℃であった。この時の
容量減少率は5であった。
この透過液は、固形分82.1g/l、トータル窒素6.14g/l、
トータルリン2.45g/l、無機リン0.6g/lを含有してい
た。固形分は、82.1g/lであった。
この透過液100lを実施例−1と同様に処理してケーキ43
50gを得た。このケーキは、固形分17.1重量%を含有
し、固形分中のトータル窒素は1.1重量%、トータルリ
ンは16.7重量%、無機リンは0.2重量%であった。
このケーキを実施例−1と同様に処理した後、W.D.処理
し、強酸性陽イオン交換樹脂処理後に、固形分78.9g/
l、トータル窒素0.003g/l、トータルリン22.2g/l、無機
リン0.2g/l、塩素濃度0.04g/lのフィチン酸溶液を得
た。
この溶液を実施例−1同様に濃縮し、固形分が50重量%
のフィチン酸溶液を得た。これを高速液体クロマトグラ
フィーで分析したところ、98.9%の純度のフィチン酸溶
液であった。
実施例−3 生米糠10kgを用い、1.5%の塩酸水溶液120l中で2時間
室温で攪拌しフィチンを抽出し、米糠を分離後、この抽
出液100lを実施例−1同様に処理し、透過液80lからフ
ィチンケーキ4,840gを得た。
このケーキは固形分18.5重量%を含有し、固形分中のト
ータル窒素は0.1重量%、トータルリンは19.2重量%、
無機リンは0.1重量%であった。
このフィチンケーキについては、実施例−1同様塩酸水
溶液に溶解後、E.D.(イオン交換膜)処理およびイオン
交換樹脂処理を行ない、フィチン酸溶液を得た。この時
のフィチン酸溶液は、固形分79.8g/l、トータル窒素0.0
02g/l、トータルリン22.5g/l、無機リン0.18/l、塩素濃
度0.035g/l、であった。
このフィチン酸溶液を50重量%に濃縮後、高速液体クロ
マトグラフィーで分析したところ、99.6%の純度のフィ
チン酸溶液であった。
対照例−1 実施例−1で製造したフィチンケーキから固形分10%
(W/V)のスラリーおよび固形分1%(W/V)のスラリー
を調製し、塩酸水溶液への溶解、E.D.処理を行うことな
く直ちにこれらを強酸性陽イオン交換樹脂で処理した。
10%スラリーはカラム通液中に樹脂層を閉塞し、操作不
能となった。1%スラリーからは固形分7.7g/l、トータ
ルリン1.95g/l、無機リン0.03g/lのフィチン酸溶液を得
た。
このフィチン酸の純度は高速液体クロマトグラフィーの
分析の結果88.5%であった。
陽イオン交換樹脂カラム処理の場合 ・高濃度スラリーは樹脂層を閉塞し、使用することが無
理である。
・低濃度スラリーは通液できるが、低濃度のフィチン酸
溶液になってしまう。・フィチンスラリーを塩酸に溶解
して通液を行なえば目詰りはなくなるが、塩素の除去が
困難となる。
対照例−2 実施例−2で製造したフィチンケーキから固形分10%
(W/V)のスラリーを調製し、対照例1と同様に処理し
た。対照例1と同様にカラム通液中に樹脂層を閉塞し操
作不能となった。
対照例−3(限外ロ過膜を利用しない従来法) 固形分89.0g/l、トータル窒素7.10g/l、トータルリン3.
1g/l、無機リン0.7g/lを含有するとうもろこし浸漬液
に、実施例1の透過液に施したのと同様の処理を行な
い、ケーキ7,080gを得た。
このケーキは固形分17.6重量%を含有し、固形分中のト
ータル窒素は3.35重量%、トータルリンは12.0重量%、
無機リンは0.2重量%であった。
このケーキから固形分10%(w/v)のスラリーを作成
し、対照例1と同様に処理した。対照例1と同様にカラ
ム通液中に目詰まりを起こし、操作不能となった。
この対照例では限外ロ過膜処理を行なっていないため、
とうもろこし浸漬液にアルカリを加えフィチンの沈殿物
を生成させる際にタンパク凝集物が生じ、フィチンケー
キ中に混入した 対照例−4 実施例−3同様に処理した生米糠抽出液を限外ロ過膜処
理せず、実施例−3の透過液に施したのと同様の処理を
行ない、ケーキ5,830gを得た。このケーキは、固形分1
9.3重量%を含有し、固形分中のトータル窒素は1.6重量
%、トータルリン13.6重量%、無機リン0.1重量%であ
った。
このケーキからフィチンスラリーを調製して、さらに、
このスラリーを塩酸水溶液に溶解し、固形分10%(W/
V)、pH3.5のスラリーとした。
このスラリーを対照例−1と同様に処理した。対照例−
1と同様に陽イオン交換樹脂カラム通液中に閉塞を起こ
し、操作不能となった。
この対照例は、カラム通液濃度を上げる為に、塩酸でpH
を下げてフィチンの溶解性を上げたが、その通液濃度に
も限界があることを示す。
対照例−5(電気透析装置を使用した場合) 対照例3で作成したケーキを塩酸に溶解し、pH3.5、固
形分10%(W/V)とした後、E.D.(イオン交換膜)処理
を行なったが、塩酸に溶けないで存在するタンパク凝集
物がED膜間に詰まり、操作不能となった。
対照例−5物理的前処理(タンパク凝集物の除去)後に
EDを利用した場合 対照例3の中和液(pH8.5)を150メッシュのふるいを通
し、タンパク凝集物をできるだけ除去した後、実施例1
と同様の処理を行ない、ケーキ7,000gを得た。
このケーキは固形分17.5重量%を含有し、固形分中のト
ータル窒素は2.35重量%、トータルリンは13.9重量%、
無機リンは0.2重量%であった。
これを塩酸に溶解し、pH3.5、固形分10%(W/V)とした
後、東洋濾紙(株)製のろ紙No.1に通し、不溶性の微細
タンパク凝集物を除去した。
これを実施例−1と同様のE.D.(イオン交換膜)処理を
行なって固形分82.0g/l、トータル窒素0.9g/l、トータ
ルリン14.3g/l、無機リン0.2g/l、塩素濃度0.041g/lの
フィチン酸溶液を得た。
この液をエバポレーターで濃縮して、固形分50重量%の
フィチン酸溶液を得た。このフィチン酸の純度は61%で
あった。
対照例−7 実施例−2で製造したフィチンケーキを塩酸水溶液に溶
解し、pH3.5、固形分3.5%(W/V)とした後、強酸性陽
イオン交換樹脂で処理してさらに弱塩基性陰イオン交換
樹脂(三菱化成工業株式会社製ダイヤイオンWA30)処理
した。その結果、固形分8.3g/l、トータルリン2.1g/l、
無機リン0.03g/l、塩素濃度0.2g/lのフィチン酸溶液を
得た。このフィチン酸の純度は、89.8%であった。この
フィチン酸溶液は、塩素濃度が高く、着色も早く、フィ
チン酸の歩留りも悪かった。
(分析結果のまとめ) 以上の実施例および対照例で得られたフィチンケーキと
フィチン酸溶液についての比較データを以下の第1〜3
表にまとめて示す。
C.R=陽イオン交換樹脂、A.R=陰イオン交換樹脂を示
す。
第2表にフィチン酸溶液の比較を示した。膜処理を行な
い、E.D.処理および陽イオン交換樹脂処理を順次行なう
ことにより、純度の高い、そして、高濃度のフィチン酸
溶液が得られる。
第3表は、実施例−1および対照例−7で得られたフィ
チン酸溶液の着色の経時変化を示した。着色は、保存温
度に大きく影響されるが、それとともにフィチン酸に残
存する陰イオン量にも依存する。
発明の効果 本発明によれば、限外ロ過膜およびイオン交換膜を組合
せた膜分離技術の導入により、フィチン抽出工程におけ
る厳格な工程管理の削除、及びフィチン酸製造工程にお
ける不純物除去工程の大巾削減が可能となり、高純度の
フィチン酸を容易に得ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィチン酸および/またはフィチン酸塩含
    有液を分画分子量が5,000〜100,000の限外ロ過膜に通液
    して膜透過液と濃縮液とに分画し、その透過液をアンモ
    ニア水、アルカリ金属の水酸化物あるいはアルカリ土類
    金属の水酸化物でpH5〜10の間にすることにより、透過
    液中のフィチン酸および/またはフィチン酸塩をフィチ
    ン酸塩として沈澱させ、沈澱したフィチン酸塩をイオン
    交換膜処理した後さらに陽イオン交換樹脂にて処理して
    フィチン酸を得ることを特徴とする改良されたフィチン
    酸の製造方法。
JP29047786A 1986-12-08 1986-12-08 改良されたフイチン酸の製造方法 Expired - Lifetime JPH0794465B2 (ja)

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