JP2010166870A - 機能性食品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】うま味ないし食味または風味を損ねず酵母エキス自体の潜在力を最大限引き出し、価値をより高めた機能性食品を提供可能とすること。
【解決手段】 酵母を破砕して、アルカリ電解水による還元環境下で酸化されることなくエキス分を溶解抽出し、これに乳酸菌を添加して、エキス分の自己消化によりグルタミン酸を供給しながらGABAを連続的に生成させ、同時に、エキス分の自己消化により遊離必須アミノ酸およびACE阻害活性を有するペプチドを分解生成させることを特徴とする機能性食品の製造方法である。
【選択図】図3

Description

本発明は、機能性食品の製造方法に関し、特に、遊離必須アミノ酸とGABAを豊富に含みACE阻害活性を有する食しやすい機能性食品を製造する方法に関する。
近年、酵母の中にある各種アミノ酸やタンパク質を原料とした天然調味料ないし健康食品が注目を浴びている。たとえば、特開2008−79581号公報(特許文献1)には、酵母にアルカリイオン水を加えてエキス分を抽出する技術が開示されている。また、特開2006−42674号公報(特許文献2)には、酵母エキスに酸を添加し自己消化を有効に誘発させる技術が開示されている。これらの技術により、味のバランスの良い、低コスト高収率の酵母エキスを得ることが可能となる。
また、特開2007−104977号公報(特許文献3)には、酵母エキス中のグルタミン酸に着目し、乳酸菌を添加してグルタミン酸を総てGABA(γアミノ酪酸)に変換する技術が開示されている。GABAは、血圧降下作用を有するので、本技術により簡易な工程で食品素材としても利用可能なGABA高濃度含有物を得ることができる。
一方、特開平5−858号公報(特許文献4)では、酵母を破砕し、これにプロテアーゼ処理を施すことにより、ACE阻害物質を得る技術が開示されている。ACE阻害により血圧上昇が抑制されるため、安全性の高い酵母に由来する、医薬品や機能性食品としても有用な物質を得ることができる。
また、本願発明者による特開2006−166737号公報(特許文献5)では、酵母を破砕してアルカリ性電解水で順次洗浄して不要分を取り除き、酵母細胞壁由来のβグルカンを製造する技術が開示されている。
特開2008−79581号公報 特開2006−42674号公報 特開2007−104977号公報 特開平5−858号公報 特開2006−166737号公報
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
すなわち、特許文献1に係る発明は、従来知られている塩基性水溶液を用いた抽出ではその後の中和過程で塩が多量に生成されてしまうので、これを回避する要素技術を開示するものに過ぎず、酵母エキス自体の更なる機能付加ないし機能増進を目的とするものではない。
また、特許文献2に係る発明は、自己消化のみによって高収率の酵母エキスを調整することが可能と言及しているものの、実際は、多くの実験例で明らかなようにその後にプロテアーゼを添加しており、技術的意義が不明瞭であり、かつ、実施例4を含み自己消化によってどのようなアミノ酸が蓄積されているかも不明である。唯一図1に示されている例についても、本願で着目するGABA生成の原料たるグルタミン酸は絶対値にしてもプロテアーゼ添加による増量割合にしても小さいという現実がある。
また、特許文献3に係る発明は、単に乳酸菌を使い酵母エキス中のグルタミン酸を総てGABAに変換させるので(0020段落)、酵母エキスの実質的に最も重要な評価項目であるうま味ないし食味または食べやすさに関係するグルタミン酸をなくしてしまうという致命的な欠陥を有する。すなわち、単にアミノ酸(グルタミン酸を除く)+GABAの混合物を得る技術に過ぎず、酵母を用いなくともよい発明となっている。
また、特許文献4に係る発明は、カンジダ属酵母の破砕エキスをプロテアーゼ処理した場合にACE阻害活性が見られることは確認できるものの、他の属の酵母を用いた場合または開示されたプロテアーゼでないものを用いた場合の結果は分からず、ましてや、自己消化によりACE阻害活性が確認できるか、他の菌が存在する中でもACE阻害活性が確認できるかなどは、予見できるものではない。
また、特許文献5に係る発明は、βグルカンを高効率に製造することができ、換言すれば、それ以外をエキスとして高収率に分離できる技術を開示する。従って、この副生成物であるエキス分を有効活用したいという潜在的な要請が存在している。
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、うま味ないし食味または風味を損ねず酵母エキス自体の潜在力を最大限引き出し、価値をより高めた機能性食品を提供可能とすることを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の機能性食品の製造方法は、酵母を破砕してアルカリ性電解水に晒すことによりエキス分を溶解抽出し、これに乳酸菌を添加して、エキス分の自己消化によりグルタミン酸を供給しながらGABAを連続的に生成させ、同時に、エキス分の自己消化により遊離必須アミノ酸およびACE阻害活性を有するペプチドを分解生成させることを特徴とする。
すなわち、請求項1に係る発明は、風味を低下させないように還元雰囲気として、塩を多量に含有させることなくエキスを効率的に抽出し、失活させずに自己消化およびGABA発酵によりエキスからグルタミン酸もGABAもその他のアミノ酸も蓄積させることが可能となる。驚くべきことに、製造物は、特定のプロテアーゼでなく自己消化によってでも、かつ、乳酸菌が存在する環境下でもACE阻害活性が見られた。すなわち、請求項1に係る発明によれば、遊離必須アミノ酸を豊富に含み、グルタミン酸に由来するうま味ないし食味または風味を確保し、GABAの蓄積による血圧降下作用を有し、ACE阻害活性による血圧上昇抑制作用も有する機能性食品を提供可能となる。なお、破砕とは摩砕を含むものである。
また、請求項2に記載の機能性食品の製造方法は、請求項1に記載の機能性食品の製造方法において、自己消化の際に、pHを中性ないし酸性、温度を30℃〜55℃とすることを特徴とする。
すなわち、請求項2に係る発明は、自己消化効率を高めるpHとしてグルタミン酸の供給量を増やし、乳酸菌の活性を高める温度としてGABAへの変換効率を高めることが可能となる。なお、pHは好ましくは、6〜3であり、更に好ましくは5〜4である。温度は、始めは自己消化によりグルタミン酸の量を増やすことを意図して55℃とし、次いで乳酸菌の活性を高める温度であるたとえば30℃〜40℃にするように段階的に変化させても良い。なお、30℃であっても時間をかけることにより自己消化で十分に遊離必須アミノ酸は分解生成されるので、グルタミン酸を供給しながらのGABA生成は可能である。また、熱変成の観点から55℃を大きく超える温度には長時間曝さないようにする。30℃〜55℃の範囲外の温度域とするステップがあったとしても、30℃〜55℃の温度域を利用した処理(自己消化または乳酸菌によるGABA発酵)を利用するのであれば、この温度域を使用していることに該当するのはいうまでもない。
また、請求項3に記載の機能性食品の製造方法は、請求項1または2に記載の機能性食品の製造方法において、酵母がサッカロミセス属酵母であることを特徴とする。
すなわち、請求項3に係る発明は、使用量とも使用実績とも最も多い酵母を用いて、低価格かつ安定的な原料供給を実現し、また、遊離必須アミノ酸のバランスに優れる機能性食品を提供可能となる。酵母の例としては、サッカロミセス
セレビシエを挙げることができる。
また、請求項4に記載の機能性食品の製造方法は、請求項1、2または3に記載の機能性食品の製造方法において、自己消化およびGABA発酵後の処理液を乾燥粉末化したとして換算した場合に、乾燥粉末100g中に、グルタミン酸を3000mg以上、GABAとリジンとを共に2500mg以上含有することを特徴とする。
すなわち、請求項4に係る発明は、うま味ないし食味または風味を保ちながら血圧降下作用を発揮し、かつ、植物性蛋白質における含量の少ない遊離必須アミノ酸であるところのリジンも豊富に含む機能性食品を提供可能となる。
また、請求項5に記載の機能性食品の製造方法は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の機能性食品の製造方法において、酵母由来のβグルカンを製造する際の破砕洗浄に用いられたアルカリ性電解水を、原料であるエキス分の溶解抽出液として使用することを特徴とする。
すなわち、請求項5に係る発明は、酵母由来のβグルカンを製造する際の単なる副生成物に過ぎなかったエキスを有効利用可能となる。また、酵母由来のβグルカンの製造単価を下げることにも寄与可能となる。
本発明によれば、遊離必須アミノ酸を豊富に含み、グルタミン酸に由来するうま味ないし食味または風味を確保し、GABAの蓄積による血圧降下作用を有し、ACE阻害活性による血圧上昇抑制作用も有する機能性食品を提供可能となる。また、酵母由来のβグルカンを製造する際の単なる副生成物に過ぎなかったエキスを有効利用可能となる。
pHの違いによる酵母破砕エキスの抽出量の違いを示したグラフである。 自己消化による各種アミノ酸量等の増加を調べたグラフである。 酵母エキスに乳酸菌を添加しグルタミン酸等の増減とGABAの蓄積との関係を示したグラフである。 自己消化の際のpHとACE阻害活性との関係を示したグラフである。 乳酸菌を添加して自己消化させた場合のACE阻害活性の有無を検討した結果を示したグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
ここでは、酵母由来のβグルカンを製造する際に副生成物として産出される酵母エキスを原料として用い、機能性食品を製造する方法について説明する。
<酵母エキスの調整>
用いる酵母としては、サッカロミセス属(Saccharomyces)である、ビール酵母、清酒酵母、ワイン酵母、パン酵母、醤油酵母、味噌酵母等を挙げることができる。ただし、これに限定されず、他の属の酵母を用いることもできる。使用に際しては、一種であってもよく、適宜選択されて複数の酵母を用いても良い。なお、これらの酵母は商業的に入手可能であって、たとえば、パン酵母やビール酵母等は乾燥酵母としても市販されている。酵母としては乾燥酵母より生酵母が自己消化の効率性の観点からは好ましい。
グルカンは酵母の細胞壁を構成し水に不溶であるので、エキス分を細胞内から取り出すために、まず酵母を破砕する。破砕はナノマイザーによっておこなう。このほか、乳鉢、ホモジナイザー、コロイドミル等を用い、適宜冷却しながら酵母を加えて物理的な磨砕をおこなってもよい。破砕条件は、使用する酵母の量や種類、使用する機械に応じて適宜に設定できる。目安としては、1から5ミクロン、好ましくは1から3ミクロンの大きさに酵母を破砕するようにする。破砕により細胞壁が壊され、内部の蛋白質(酵素を含む)、糖質、アミノ酸、有機酸、脂質等の各種成分、すなわちエキス分が容易に溶出可能な状態となる。
破砕の際または破砕後、アルカリ性電解水を用いてエキス分を溶解抽出する。次いで、各種成分が溶出したこのアルカリ性電解水を、遠心分離や濾過等の固液分離操作によって細胞壁(βグルカン)と分離する。固形分(細胞壁)については更にアルカリ性電解水を用いて洗浄し、残存するタンパク質等を更に抽出する。この洗浄操作は複数回おこなってもよく、これによりエキスの抽出量が増大し、グルカンの純度も高まることとなる。
ここで、pHによるエキス分の抽出量の違いを調べた。実験は、還元水と水道水で膨潤した酵母エキスを破砕し、遠心分離処理をして、再度同じ電解水または水道水を添加して遠心分離を同数回繰り返すことによりおこなった。pHはそれぞれpH=11.4、pH=9.5、pH≒7となった。上清の乾燥重量を比較した結果を図1に示す。図から明らかなように、pHが高いほど抽出量が多くなることが確認できた。
その他検討をおこなった結果、pHは、8.5〜11.0程度が好ましく、より好ましくは9.5〜10.5である。なお、pHが上記の範囲よりも低くなると蛋白質の溶解抽出が良好とならず、また、pHが上記の範囲より高くなると酵素の活性が失われるおそれが生じる。
なお、アルカリ性電解水には、陰極で生成した水素ガスが溶存している。この水素ガスは、破砕された酵母の油脂分をエマルジョン化し、これを分離すれば、より酸化されにくい原料抽出も可能となる。また、この水素ガスにより、アルカリ性電解水の酸化還元電位は、水道水等の水(原水)に比して低い値となる。この電位によっても原料の酸化は重畳的に防止されることとなり、酸化臭や雑味が生じにくい良質な抽出液およびβグルカンを得られるという利点も生じる。酸化還元電位としては、好ましくは−100mV〜−800mV程度、より好ましくは−500mV〜−800mV程度である。
なお、アルカリ性電解水の量は特に制限されるものでないが、量が多くなり過ぎると、酵母の細胞内酵素による自己消化に影響が出るため、酵母(乾燥重量)の1重量部に対して、1重量部〜20重量部程度、好ましくは5重量部から10重量部となる割合が望ましい。
なお、破砕処理の後、グルカンに結合している蛋白質等であってアルカリ性電解水に溶出していないものを、所定のプロテアーゼで酵素処理して、更にエキス分として分解抽出を促進してもよい。プロテアーゼの例としては、プロレザーFG−F(食品添加物用:天野エンザイム株式会社製品)等を挙げることができる。なお、プロテアーゼの添加量としては、種類等に応じて適宜に調整すればよいが、添加量が少な過ぎると蛋白質の分解が充分に実現されず、また、多過ぎると製造コストの高騰を招くおそれがある。好ましくは、使用する酵母の重量(乾燥重量)の100重量部に対して、0.01重量部〜2.0重量部であり、より好ましくは0.1重量部〜1.0重量部である。また、処理温度としては、自己消化の活性が損なわれない程度であればよく、40℃〜55℃程度が好適である。処理時間としては、12〜24時間程度が好適である。
<自己消化>
次に、得られた酵母エキス(原料)を自己消化させ、遊離アミノ酸量等を増加させる。事前実験により、アルカリ性のままでは酵母エキスの自己消化効率が良くなく、中性又は酸性で良いことが分かっていたので、酵母エキスのpHを中性付近にもどして各種アミノ酸量の経時変化を測定した。原料エキスを100g/リットルとなるように調整し、温度を50℃とし、4時間、8時間、19時間後のアミノ酸量を測定した。図2に結果を示す。図から明らかなように、うま味成分であるグルタミン酸は経時的に増加していることが確認できる。なお、この結果は、pHが高い電解水により抽出・洗浄をおこなってもその後の自己消化には影響を及ぼさないことが確認できたことも意味する。
<GABAの同時生成>
次に、乳酸菌を添加して、逐次供給されるグルタミン酸をGABAに連続的に変化させる検討をおこなった。すなわち、原料を補充しながらGABAを生成させる検討をおこなった。図2では、自己消化によりGABA原料であるグルタミン酸が増加していることは確認できるが、この環境中で乳酸菌を投入した場合にGABAを生成するか、また、生成されたGABAがこの環境中で他の酵素等によって自己消化されてしまったり変質や変質が生たりしてしまわないか、に関しては予見ができない。ここでは、この点を確認する実験をおこなうこととした。
まず、アルカリ性電解水で抽出した酵母エキスの濃度を100g/リットルに調整し、これに、GABA生産乳酸菌(10個/ml)をエキスに対して10wt%添加し液温を30℃とした。0時間、4時間、6時間、24時間後にサンプリングし、凍結乾燥粉末にして当該粉末100g中の各種アミノ酸量等を測定した。結果を図3に示す。
図示したように、GABAは24時間後には3000mg近く蓄積され、かつ、30℃という自己消化の観点からは比較的低温ではあるものの、原料であるグルタミン酸はほぼ減ることなく、自己消化された分だけGABAとなることが確認できた。また、植物性タンパク中にはほとんど含まれない必須アミノ酸であるリジンも3000mg近く含まれ、この点からも機能性が高まっていることも確認できた。加えて、筋肉のエネルギー源として近年着目されている分岐鎖アミノ酸(BCAA)を構成するバリン、ロイシン、イソロイシンは、いずれも2000mg以上含まれ、この点からも機能性が高まっていることが確認できた。
温度条件ないし処理時間としては、乾燥粉末100g中に、グルタミン酸は2500mg以上、GABAとリジンとは共に2000mg以上含有するようになるように調整することが好ましく、更には、グルタミン酸は3000mg以上、GABAとリジンとは共に2500mg以上含有するように調整することが好ましい。これは、当初エキスの濃度、乳酸菌の種類、添加量、温度、処理時間を調整して適宜設定可能である。一般的に、温度としては30℃から45℃、処理時間は48時間以内が好ましい。なお、乳酸菌は、原料エキスを抽出したら直ちに添加してもよいが、ある程度自己消化させてグルタミン酸を蓄積した後に添加してもよい。グルタミン酸は、最終的に食品として添加したり口に入れたりするときのうま味ないし食味、風味に関するので、乳酸菌がグルタミン酸を消費しきってしまわない条件とする。なお、乳酸菌は25℃程度でも生育可能である。
<ACE阻害活性>
次に、自己消化の際のpHとACE阻害活性との関係、および、乳酸菌が添加された場合のACE阻害活性を検討した。まず、酵母エキスを、pH=4.0、6.0、8.0に調整し、温度を30℃、40℃、50℃として20時間処理したもののACE阻害活性を検討した。ACE阻害活性は、活性を50%阻害する濃度IC50(mg/ml)により評価した。図4に結果を示す(図4(a)は30℃処理、図4(b)は40℃処理、図4(c)は50℃処理)。図示したように、pHが低く温度が高い方が速やかに活性が上昇するように自己消化が進んでいる。なお、これは、抽出エキスが酸性である方が自己消化が効率的に進むという事前実験の結果にも付合し、酸性であってもACE阻害活性が発揮されるように自己消化が進むことも示している。
次に、乳酸菌を添加した環境下であってもACE阻害活性が発揮されるように自己消化が進むか否かを検討した。抽出液濃度を100g/リットルとし、pHは無調整(測定値pH=6.8)、10個/ml以上のGABA生産乳酸菌を10wt%添加して、30℃で、24時間自己消化させたもののACE阻害活性を検討した。図5は、0時間、4時間、6時間、24時間経過後のIC50を測定した結果を示した図である。図5には図4に示した結果も併せてプロットした。図から明らかなように、乳酸菌が存在する状況であっても、乳酸菌が存在しない場合の活性と同様に、自己消化によってACE阻害活性が発揮されることを確認した。このとき、24時間程度時間をかければ、乳酸菌が存在する30℃の雰囲気であっても、乳酸菌が存在しない状態で50℃で自己消化した場合と同様のACE阻害活性が発揮されることも確認できた。
<官能評価>
GABAを蓄積させた後凍結乾燥により粉末化したものを用いて5名の被験者に食してもらい官能評価をおこなった。全員、食するのに何ら抵抗はないばかりか、乳酸菌由来のさわやかな風味が加わり、うま味もある、との高い評価であった。また、酵母由来エキスにありがちな脂質酸化に由来する後味の悪さも感じられないとの評価であった。
次に、一実施例を示す。
1.まず、乾燥パン酵母(S.I.Lesaffre社製)1380gにpH約11.4のアルカリ性電解水12.0リットルを添加して膨潤させた。
2.この酵母をナノマイザー(吉田機械興業株式会社製)を用いて150MPaの圧力で破砕した。この処理は5回繰り返した。
3.つづいて、25℃の雰囲気下で15300g×2分50秒の遠心分離をおこない、エキス分を抽出した(遠心分離器は日立製作所製)。
4.GABA生産乳酸菌を投入し30℃で24時間発酵させた。
5.最後に真空凍結乾燥機(株式会社アルバック製)で処理し、エキス分を粉末化させた。
得られたエキス分を分析したところ、GABAは2.79g/100gDW、グルタミン酸は3.35g/100gDW(グルタミン酸ナトリウム換算)、ACE阻害活性はIC50=0.72mg/mlであった。
本発明により得られた機能性食品は、いわゆる健康食品でありかつ血圧上昇を抑制する作用も発揮する。また、人体では合成できない遊離必須アミノ酸を豊富に含むため、特に、摂取過多となることもなく、そのまま食したり、たとえば、サワークリームを添加するボルシチのような料理に添加したり、サラダに添加して、日常的に食することができる。

Claims (5)

  1. 酵母を破砕してアルカリ性電解水に晒すことによりエキス分を溶解抽出し、
    これに乳酸菌を添加して、エキス分の自己消化によりグルタミン酸を供給しながらGABAを連続的に生成させ、
    同時に、エキス分の自己消化により遊離必須アミノ酸およびACE阻害活性を有するペプチドを分解生成させることを特徴とする機能性食品の製造方法。
  2. 自己消化の際に、pHを中性ないし酸性、温度を30℃〜55℃とすることを特徴とする請求項1に記載の機能性食品の製造方法。
  3. 酵母がサッカロミセス属酵母であることを特徴とする請求項1または2に記載の機能性食品の製造方法。
  4. 自己消化およびGABA発酵の処理液を乾燥粉末化したとして換算した場合に、乾燥粉末100g中に、グルタミン酸を3000mg以上、GABAとリジンとを共に2500mg以上含有することを特徴とする請求項1、2または3に記載の機能性食品の製造方法。
  5. 酵母由来のβグルカンを製造する際の破砕洗浄に用いられたアルカリ性電解水を、原料であるエキス分の溶解抽出液として使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の機能性食品の製造方法。
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