JP4292577B2 - システイン高含有食品素材の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、γ−グルタミルシステインを含有する酵母菌体から酵母エキスを調製し、同エキスを60℃以下の低温に制御しながら濃縮して固形分濃度10%以上の液体の形態の食品素材を調製し、該素材を70〜130℃に保持すること(特定条件下での2段加熱)を特徴とするシステイン高含有食品素材の製造法に関する。
システイン及びその酸化型ジスルフィドであるシスチンは食品の風味改善目的で使用されている。特開平10−136883号公報には、システイン及びシスチンを含有する電解液に食品を浸漬し、食品の褐変を抑制する方法が開示されている。この発明によると、シスチンが還元極においてシステインに還元され、このシステインにより酵素的酸化によるキノン類の生成を経た褐色色素の生成が抑制されると開示されている。即ち、シスチンを用いてこのような食品の変色を抑制する為には還元によりシステインを生成させるという煩雑な操作が必要となる。また、特許第3246064号公報には、魚節の製造の際にシステインを利用する技術が開示されている。この発明によると、原料魚から節を製造する際に含硫化合物を添加して製造した魚節は、風味が強化されかつ風味劣化が抑制されると記載されており、シスチンよりもシステインの方が重量あたりの効果が高いと記載されている。また、国際公開WO93/08274号公報には、動植物蛋白質に含まれる酸化型システイン残基を還元して得られるシステイン残基をパン生地の改良に用いる技術が開示されている。このように、システインはその酸化型であるシスチンよりも使用範囲が広く、使用効果が高い。
このように広い用途を有するシステインの製法としては、蛋白分解法や半合成法などが知られているが、現在主に用いられている方法は蛋白分解法と半合成法である。しかしながら、システインを上記の目的で用いる場合、これを高含有量で含有する食品素材の強い要望があるが、システインを高含有量で含有する食品素材は従来ほとんど知られていなかった。
しかるところ、最近、国際公開WO00/30474号公報(特許文献1)にて、γ−グルタミルシステイン(以下、γ−GCと表記することがある)を含む食品素材を酵素処理又は特定条件下での加熱処理に付することによりシステイン及びその酸化型ジスルフィドであるシスチンを高含有する食品素材が得られることが明らかとなった。しかしながら、特許文献1には、γ−GCからシステイン(Cysteine。以下、Cysと表記することがある)及び酸化型ジスルフィドであるシスチン(Cystine)の合計生成率は記載されているが、γ−GCからシステイン単独の生成率は記載されていない。前述したように、システインはシスチンよりもその用途が広く、その効果も高いことがわかっており、システインを効率的に製造する方法は産業上有益である。また、酵素処理によりシステイン及び酸化型ジスルフィドであるシスチンを製造するためには酵素が必要であり、加熱処理によりシステイン及びその酸化型ジスルフィドであるシスチンを製造するよりもコスト高になる。
このような状況のもと、γ−GCより加熱処理によりシステインを効率的に製造する改良方法が強く望まれていた。
γ−GCを加熱処理するプロセスは、特許文献1の他に、特許第2830415号公報(特許文献2)、特許第2903659号公報(特許文献3)等でも公開されている。特許文献2では、γ−GCに糖類を添加して加熱することにより良好なローストミート様の香りや風味がするフレーバー組成物が得られると開示されおり、そして特許文献3ではグルタミルシステイン等の含硫化合物を一定量含有する酵母エキスに糖類を添加し、脂肪非存在下で加熱することによりローストミートフレーバー様風味を有する調味料が得られると開示されている。しかしながら、これら2つの特許文献2および3でもやはり、γ−GCから効率的にシステインが得られるとの知見は開示されていない。
国際公開WO00/30474号公報 特許第2830415号公報 特許第2903659号公報 国際公開WO01/90310号公報
前項記載の従来技術の背景下に、本発明の目的は、γ−CGから効率的にシステインを得ることができる方法、延いては酵母エキスからシステイン高含有食品素材の優れた製造法を提供することにある。
ところで、特許文献1では、γ−GCを加熱することにより、前述のように、システイン及びその酸化型ジスルフィドであるシスチンの総量が高収率で得られると開示されている。
さて、本発明者は、γ−GCの加熱による反応が分子内反応により進行することを実験により確認した(後掲実験例1参照)。その為、加熱分解によりγ−GCから遊離するシステイン及びその酸化型ジスルフィドの収率は、γ−GCの濃度によらない為、γ−GCを含有する水溶液を濃縮する必要はない。一方、酵母エキスには含硫化合物が豊富に含まれており、γ−GCと相互作用する(後掲実験例2参照)。その為、酵母エキス等の含硫化合物が含まれている食品素材の溶液中でγ−GCを加熱分解する場合は、2分子以上の反応に特徴的な分子間反応が生じることが想定される。よって、γ−GCを酵母エキス等の食品素材の溶液中で加熱分解するプロセスは、分子間反応と分子内反応が競合する反応機構を示す。このような、分子間反応と分子内反応が競合する場合には、反応溶液の反応物質(reactant)濃度を低くすることにより分子間反応を抑制できる。一方、分子内反応自体は基質濃度に依存しない為、反応溶液の反応物質濃度を低くしても反応速度に影響しない。その為、反応溶液中の反応物質濃度を低くすることにより、分子間反応が抑制される為に、相対的に分子内反応の効率が上昇する。
このような、分子間反応と分子内反応が競合するような反応例として、ペプチドの環化反応をあげることができる。環状ペプチドを合成する場合は、分子内環化(分子内反応)を優先させる為、高希釈化又は溶液中に反応物の溶液を滴下しながら反応させることにより、反応溶液中の反応物質濃度を低くし、環状ペプチドを高収率で合成する。
このような理論的背景の下、γ−GCを酵母エキスなどの食品素材溶液中で加熱分解する場合は、食品素材溶液の固形分濃度が低い条件下で反応を行なうことがγ−GCからシステイン及びその酸化型ジスルフィドであるシスチンの生成率を高めることに資する。特許文献1においても、γ−GCを4.5%含有する酵母エキス粉末を固形分濃度が2%水溶液になるように溶解して加熱分解したところ、システインおよびその酸化型ジスルフィドであるシスチンを総量で2%含有する酵母エキス粉末が得られたと記載されている(同文献実施例1参照)。この時のγ−GCからシステイン及びその酸化型ジスルフィドであるシスチンの生成率は90%以上であり、前述の理論通り極めて高い生成率を示している。
システインはシスチンに比較して、前述のように用途が広くその使用効果も高いことから、同文献記載の条件下でのシステインの生成率(システインへの変換率)を確認することが必要である。そこで、本発明者らは、同文献記載の実施例1に準じ、γ−GCを含有する酵母エキス粉末を固形分濃度2%の水溶液に調製し、同様の条件で加熱処理を行いシステインへの変換率(すなわち、加熱処理した水溶液中のシステインのモル数を加熱処理前の水溶液中のγ−CGのモル数で除した商)を求めたところ、γ−GCからシステインへの変換率は約40%であった。
本発明者らは、γ−GCからシステインへの変換率を高めるために鋭意検討を行なった結果、γ−GCを含有する酵母エキスを60℃以下の低温に制御しながら濃縮して固形分濃度10%以上の濃縮物となし、好ましくは酸性条件下、より好ましくはpH3.5〜6、かつ好ましくは還元糖の存在量が1%以下の水溶液状態で前記濃縮温度より高温の70〜130℃に保持する加熱処理に付することによりγ−GCからシステインへの変換率を70%にも高めることができることを見出し、このような知見に基いて本発明を完成するに到った。この結果は、分子内反応と分子間反応が競合するγ−GCの水溶液中での分解反応からは推定される結果とは異なる予想外のものである。
すなわち、本発明は、酵母菌体を処理して得られる酵母エキスを60℃以下の低温に制御しながら濃縮し、固形分濃度10%以上の濃縮物となし、これを好ましくは酸性条件下、より好ましくはpH3.5〜6でかつ好ましくは還元糖の低存在量、具体的には、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、の条件下で前記濃縮温度より高温の70〜130℃、好ましくは70〜100℃、より好ましくは75〜100℃に保持すること(加熱処理)により、γ−GCを含有する酵母エキスからシステインを高含有する食品素材を効率的に製造する方法に関するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
先ず、(1)本発明に用いる酵母について説明する。これは、γ−GCを含有する酵母であれば、特に制限されない。γ―GCの含有量も特に限定されないが、γ―GCの含有量が低すぎる酵母を用いる場合には、システインの濃度が高い目的製品である食品素材を得ようとすると、製品に酵母臭が感ぜられるようになるため好ましくない。システィンを高濃度含有し、しかも、酵母臭の発現のない食品素材を得るためには、γ―GC含有量が1%以上(乾燥菌体重量に対するγ−GC重量%)の酵母を用いることが好ましい。このような酵母は、国際公開WO00/30474号公報(前掲特許文献1)に記載されているH4△GSH2株、国際公開WO01/90310号公報(特許文献4)に記載のNα2株、Nα3株などを挙げることができる。後述するように、γ−GCは分解反応時に酵母エキス中のSH基を有する化合物と相互作用してシステインの生成率が低下する為、菌体中のグルタチオン含量が低下した酵母、好ましくは乾燥酵母菌体あたり0.5%以下、より好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは菌体の生育とのバランスからグルタチオンを微量しか含有していない菌株を用いることが好ましい。このような菌株として、例えば、387位のグリシン残基がアルパラギン酸残基に変異したグルタチオン合成酵素を有するサッカロマイセス・セレビシエ、54位のプロリン残基がロイシン残基に変異したグルタチオン合成酵素を有するサッカロマイセス・セレビシエ、370位のアルギニン残基以降が欠失したグルタチオン合成酵素を有するサッカロマイセス・セレビシエなどをあげることができる。
なお、γ−GCは、酵母菌体中の可溶性区分に存在し、かつ、該可溶性区分は酵母菌体のほぼ1/3を占めることから、酵母中のγ-GC含有量の上限は30重量%を超えないものと推定される。
酵母は、前記のように、γ−GCを含有するものであれば特に制限されないが、具体的にはサッカロマイセス・セレビシエなどのサッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス・ポンベなどのシゾサッカロマイセス属、キャンディダ・ユティリスなどのキャンディダ属等に属する酵母を挙げることができる。因みに、後掲実施例1においては、国際公開WO01/90310号公報(前掲特許文献4)に記載の手法を利用して取得したグルタチオン合成酵素活性が弱化した2倍体酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)N3株を用いた。
次に、(2)上のように準備した酵母から酵母エキスを製造する方法を説明する。
上記のようにして得られる種酵母を好適な条件で培養して得られた酵母培養物は、γ−GCを含有する酵母菌体を含有する。培養物からそのまま酵母エキスを製造することもできるが、酵母培養物からγ−GCを含有する酵母菌体を一旦分離し、この菌体から酵母エキスを製造することもできることは言うまでもない。酵母エキスの製法は、その条件はγ−GC又はCysを著しく分解しない限り特に制限されず、常法によることができる。1例として、酵母菌体を60〜80℃の熱水で保持することにより内容物を抽出し、抽出残渣(菌体残渣)を取り除くことにより製造する方法を挙げることができる。このような熱水抽出法で酵母エキスを製造した場合、酵母エキスの固形分濃度は通常数%程度である。また、熱水抽出により酵母エキスを製造した場合、菌体残渣が取り除かれる為酵母エキスに含まれる固形分あたりのγ−GC含有量は数倍に上昇する。例えば、1重量%のγ−GCを含有する酵母菌体から熱水抽出により内容物を抽出した場合、酵母エキスに含まれる固形分あたりのγ−GC含有量は約4〜8重量%程度に上昇する。なお、抽出効率は劣るが、酵母菌体や酵母培養物から酵母エキスを製造する際、抽出温度を60℃以下の低温に保持する方法も本発明の実施態様から排除されるものではない。この場合、次工程である濃縮工程にそのまま連続するため、抽出物である酵母エキスが固形分濃度10%以上になるまで60℃以下に連続保持することになる。
(3)上のようにして得られた酵母エキスの本発明の方法による濃縮方法は、次の通りである。
すなわち、上記のようにして製造した酵母エキスは固形分濃度が通常数%の低濃度であるので、γ−GCをCysへ変換する加熱処理前に濃縮する必要がある。濃縮方法は、γ−GC及びCysを著しく分解しない限り特に制限されないが、低温濃縮であることが好ましい。高温条件下での濃縮は、γ−GC及びCysが酵母エキス中の含硫化合物と相互作用し、Cysの生成率が低下する為好ましくない。
かくして、本発明においては、酵母エキスを60℃以下の低温に制御しながら濃縮して固形分濃度10%以上の液体の形態の食品素材を調製する。低温濃縮法としては、具体的には、真空濃縮、冷凍濃縮などが挙げられる。また、濃縮は、低溶存酸素共存下、例えば溶存酸素量3ppm以下、好ましくは2ppm以下、より好ましくは1ppm以下で行うことが好ましい。溶存酸素共存下での濃縮は、γ−GC及びCysのSH基が酸化を受け、Cysの生成率が低下する為好ましくない。このような条件下での低温濃縮によれば、酵母エキスの固形分濃度は例えば6〜15時間で固形分濃度10%以上になる。この場合、例えば、酵母エキスを固体状となるまで濃縮することも可能であるが、固体状とした場合、次工程である濃縮後の加熱反応は、固体状としたものを水等によって液体状に戻す必要がある。従って、濃縮後の酵母エキスは、液体状であることが工程管理上からも望ましい。
次に、(4)上のようにして得られた液体形態の食品素材を加熱処理してシステイン高含有食品素材とする方法を説明する。
濃縮後の酵母エキスの加熱反応(加熱分解)は固形分濃度10%以上の液体の形態の食品素材(水溶液)中で行なうことが好ましい。固形分濃度10%未満の水溶液中で加熱分解を行なった場合、γ−GCの分解反応が1次反応に従わず、Cysへの分解以外の副反応が生じ、Cysの生成率が低下するため好ましくない。また、加熱温度は70〜130℃の間で行なうことが、Cysの効率的生成にとって好ましい。70℃未満で加熱反応を行なった場合、γ−GCからCysへの分解反応に時間がかかり、その間にγ−GC及びCysのSH基が溶液中の溶存酸素によって酸化を受けるため好ましくない。一方、130℃より高温で分解反応を行なう場合、γ−GC及びCysのSH基が酸化を受けCysの生成率が低下するため、同様に好ましくない。このような条件下での加熱処理によれば、該食品素材は、例えば30分から120分でCysを固形分濃度に占める割合で2%もの高含有率で含有するCys高含有食品素材となる。
(a)なお、液体の形態の食品素材の、前項(4)で説明した加熱処理の際の還元糖の存在量については、次の通りである。
γ−GCの加熱分解中には還元糖は存在しないことが好ましい。具体的には、先に説明したように、好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。還元糖が存在すると、これがγ−GC及びCysと反応し、Cys以外の物質に変換されてしまうからである。還元糖の存在量はCysへの変換率に影響するため極力存在しないことが好ましい。このような還元糖の存在量が上記の範囲内にある食品素材は、酵母の培養時に残糖が可及的少量となるように糖を酵母に資化させた酵母培養物から調製することができる。また、残糖が多い場合は、酵母培養物からそのまま酵母エキスを製造しないで酵母培養物から酵母菌体を一旦分離し、また必要に応じて一旦分離した酵母菌体を水洗するなどしてから酵母エキスを作成することで調製することができる。γ−GCからCysへの加熱反応(加熱分解)時に還元糖が存在する場合は、モル当量などから考えて、還元糖の存在量は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下であり、かつ酸性条件下、好ましくはpH3.5〜6でγ−GCからCysへの変換反応を行なうことが好ましい。
(b)また、加熱反応時のpHについては次の通りである。
加熱によるγ−GCからCysへの変換工程は後述実験例1に記載のように、γ−GCのカルボニル基の酸素原子の部位にプロトネーションが生じる結果、この部位を起点とした脱離反応が生じることにより起きる。その為、酸性条件下で行なうことが好ましい。例えば、十分なプロトネーションが生じるpH3.5〜6とすることができる。
以下、実験例および実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実験例1:γ−GCからシステインの遊離反応は分子内反応によることの確認
まず、MOPAC(Cambridge Soft ChemOffice Ultra, CS MOPAC)を用いたγ−GCの構造最適化計算を行なったところ、γ−GCの分子構造は通常のα結合をしたジペプチドでみられるような伸びた構造ではなく、γ−グルタミル基がシステイン(Cys)のアミノ基(グルタミン酸とシステインのアミド結合部分)に接近するように曲がった構造をとることが予測された。また、γ−GCの分極電荷を計算したところ、γ位のカルボニル基の酵素原子の部位に負の電荷を有していた。その為、酸性条件下では、γ−GCのこの部位がプロトネーションを起こしやすく、この部位を起点とした脱離反応が起き、Cysが遊離すると予測される。γ−GCの持つこのような分子構造から、γ−GCからのCysの遊離反応(γ−GCのCysへの分解反応)は分子内反応にて進行すると推測される。
次に、γ−GCからCysの遊離反応が分子内反応によって進行し、基質濃度に依存しない事を確認する為、反応速度論による解析を行なった。γ−GCを約10mM及び約100mM含有する2種の水溶液を調製し、各々を50、60、70および80℃に加熱し、0〜24時間後のγ−GC量を測定した。この結果より分解速度定数を求め、アレニウスプロットを作成した。
結果を図1A〜図1Dに示す。この結果から、加熱温度が高いほど分解速度は速いことがわかる。このことから、γ−GCからのCysの遊離反応は基質濃度依存的ではなく、温度依存的に進行することが示された。
上記の結果より、γ−GCからのCysの遊離反応は分子内反応により起こり、γ−GCの基質濃度に依存しない事が確認された。
実験例2:γ−GCと酸化型含硫化合物の相互作用
γ−GCは食品素材中の他の含硫化合物と相互作用する。そこで、酸化型ジスルフィドである酸化型グルタチオン含有溶液中でのγ−GCの分解反応を調べた。その結果、酸化型含硫化合物が共存するような食品素材中では、γ−GCはその還元力の高さから酸化型含硫化合物を還元し、次にγ−GCを含む化合物の分解反応が進行することが予測される。その反応は後掲図2に示す反応機構により分解することが推測された。
そこで、まずCys、γ−GCおよびグルタチオン(以下、GSHと表記することがある)の還元電位を調べたところ、Cys、γ−GCそしてGSHの順に還元力が高かった。次に、10mMのGSSG(酸化型グルタチオン)またはGSSG非添加及び10mMのγ−GCを含む水溶液(pH5)を調製し、90℃で加熱し、Cys、γ−GCおよびGSHの値を経時的に測定した。
これらの結果を図3(a)及び図3(b)に示す。それらの結果から、γ−GCによってGSSGが還元されてGSHが生成し、GS−γ−GCが生成する結果、γ−GCからのCysの遊離が効率的に生じない事がわかった。即ち、酸化型SHを有する食品素材中でγ−GCを加熱分解するとその濃度依存的に副反応が生じ、システインの生成率が低下することが示された。
実験例3:γ−GC含有酵母エキス及び酵母エキス粉末の調製
以下の実験例に用いるγ−GC含有酵母エキス粉末を以下のようにして調製した。
(a)γ−GC含有酵母N3株の取得
2倍体サッカロマイセス・セレビシエ野生株から常法に従って、1倍体Na株(MAT a)を取得した。Na株と国際公開WO 01/9310号公報(前掲特許文献4)記載の1倍体酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)Nα3株(MATα gsh2)を接合させ、2倍体酵母を取得した。この2倍体酵母を常法に従い、胞子形成させ、Nα3株と同じ変異型グルタチオン合成酵素遺伝子を有する1倍体酵母Na3株(MATa gsh2)を取得した。Nα3株とNa3株を接合させ取得した2倍体の中から、ホモの形で変異型グルタチオン合成酵素を有し、SD培地で培養した時対数増殖期に1重量%以上のγ−GCを含有する2倍体酵母N3株を選抜した。なお、Nα3株の代わりにサッカロマイセス・セレビシエ FERM P−18546(国際寄託番号 BP−8228)を用いることによっても取得することができる。
或いは、Nα3株の代わりに2倍体株であるサッカロマイセス・セレビシエ AJ14861株(国際寄託番号 BP−08553)を用いることによっても取得することができる。
(b)γ−GC含有酵母菌体の調製
上記のようにして取得したN3株をジャーファンメーターを用いて培養した。YPD培地を用い、30℃でグルコースをフィードして培養した。培養物を集菌・洗浄することによりγ−GC含有酵母菌体を調製した。
(c)γ−GC含有酵母エキス及び酵母エキス粉末の調製
上記のようにして調製したγ−GC含有酵母菌体を10g/dlの濃度になるように水に懸濁し、70℃で10分間加熱することにより内容物を抽出した。遠心分離により、酵母菌体残渣と内容物を分離した。分離された内容物(酵母エキス。固形分濃度1.7%)を凍結乾燥により乾燥させ、DM(dry matter、固形分)に占める割合が8%のγ−GCを含有する酵母エキス粉末を調製した。
実験例4:糖存在下でのγ−GCの分解反応(1)
前掲特許文献1および2には、γ−GCを酵母エキス中で糖類を添加して加熱処理することにより良好なローストビーフ風味のフレーバー組成物が得られることが開示されている。そこで、この反応中のCys生成率を測定した。
すなわち、実験例3で調製した酵母エキス粉末を30重量部、グルタミン酸を30重量部およびキシロース(還元糖)を3重量部の割合で含む濃度83%の水溶液を調製し(還元糖の存在量3%)、90℃で35分加熱処理した。その結果、Cysは生成していなかった。これは、生成したCysが糖類と反応した為であると推測される。
実験例5:糖存在下でのγ−GCの分解反応(2)
実験例3で作成した酵母エキス粉末を濃度30%、pH4.5の水溶液に調製し、この溶液を10等分して、それぞれにキシロース又はグルコースを終濃度で0%、0.25%、0.5%、1%および3%になるように添加した。各水溶液を90℃で2時間保持して加熱処理を行った。
その結果を後掲図4に示す。この結果から、酸性条件下では、キシロース濃度が1%以下であるとき効率的にCysが得られることが示された。
実験例6:酵母エキス濃縮条件(溶存酸素濃度)
実験例3で作成したγ−GCを含む酵母エキス粉末を濃度3.4%の水溶液(pH4.5)に調製し、これを50℃で10時間加熱した。水溶液中の溶存酸素濃度によるγ−GC(生成したCysも合算する)の残存率を調べた。
結果を後掲図5に示す。それらの結果から、溶存酸素濃度1ppm(脱気及び窒素封入により制御した)では、γ−GCは90%程度も残存しているが、溶存酸素濃度6ppmでは、40%程度に低下した。6ppmは常圧下での溶存酸素濃度であるため、酸化型SHを作成しないためにも真空条件下で低温加熱処理することの有効性が示された。
次に、実験例3(c)で調製した酵母菌体抽出液(遠心分離により酵母菌体残渣と分離した内容物)を120mmHgの減圧下で、抽出液を50〜70℃の範囲で加熱することにより、固形分濃度が60%になるまで濃縮した。濃縮途中に、酵母菌体抽出液に含まれるγ−GC及びシステイン含有量を経時的に測定した。その結果、γ−GC及びシステインの総量は85%以上残存していた。
実験例7:固形分濃度によるγ−GCの分解反応の違い
実験例3(c)で調製した酵母菌体抽出液(固形分濃度1.7%)を120mmHgの減圧下で温度を50℃に制御しながら固形分濃度が2〜60%(すなわち、3%、5%、8%、10%、20%および30%)になるまで真空濃縮した。塩酸を添加することによりpHを4.5に調整した各水溶液を50℃、60℃、70℃、80℃および90℃で加熱し、水溶液中のγ−GC含有量を経時的に測定することにより、各濃度におけるγ−GCの分解反応を反応速度論により解析した。
結果を後掲図6A〜6Fに示す。各図において、(a)はある固形分濃度におけるγ−GCの分解経時変化を示し、(b)は対応するアレニウスプロットを示す。それらの結果から、固形分濃度10%以上で加熱処理したときはγ−GCの分解反応は分子間反応より分子内反応が優先し、温度依存的な一次反応にて進行することがわかった。よって、酸化型SHを有する食品素材中では、濃度10%以上で加熱処理することが分子間反応を抑制し、分子内反応を進行させCysの生成効率を高めることに効果的であることが示された。
実験例8:γ−GCからのCysの生成率
実験例3(c)で調製した酵母菌体抽出液(固形分濃度1.7%)を120mmHgの減圧下で温度を50℃に制御しながら固形分濃度が10〜60%(10%、20%、30%、40%、50%および60%)になるまで真空濃縮し、塩酸を添加することによりpHを4.5になるように調整した。各水溶液を90℃で加熱し、Cysの生成率を経時的に測定した。その結果、各々の固形分濃度におけるCysの最高生成率(加熱後の水溶液に含まれるCysのモル数の最高値を濃縮前の溶液に含まれるγ−GCのモル数で除した商)は順に72.5%、77.6%、78.7%、78.1%、77.5%および74%であった。
実験例9:γ−GCからのCys生成率
実験例3(c)で調製した酵母菌体抽出液(固形分濃度1.7%)を120mmHgの減圧下で温度を50℃に制御しながら固形分濃度が10〜60%(10%、20%、30%、40%、50%、60%)になるまで真空濃縮し、塩酸を添加することによりpHを3.0又は水酸化ナトリウム溶液を添加することによりpHを6.0に調整した。各水溶液を90℃で加熱し、Cysの生成率を経時的に測定した。その結果、pH3.0での各々の固形分濃度におけるCysの最高生成率は順に75.8%、79.3%、80.2%、80.1%、76.2%、75.2%であった。また、pH6.0での各々の固形分濃度におけるCysの最高生成率は順に71.8%、72.8%、75.8%、76.3%、74.2%、72.2%であった。
実験例10
(a)γ−GC含有酵母菌体の調製
まず、AJ14861株(国際寄託番号 BP−08553)をYPD培地に植菌し、30℃で1日振とう培養した。培養液をパントテン酸カルシウム0.4mg/dl含む培地Aに植菌し、30℃で振とう培養した。対数増殖期に培地を採取し、遠心分離によって菌体を回収した。回収した菌体を菌体濃度(乾燥酵母重量)が120mg/dlになるように、パントテン酸カルシウムを含まない培地Bに摂取し、30℃で一日振とう培養した(菌体内γ−GC含有量は経時的に増加し、乾燥酵母菌体あたり約4.0%)。培養物を集菌・洗浄することによりγ−GC含有酵母菌体を調製した。
培地Bの組成は、下記第1表に示す通りであり、培地Aの組成は培地Bにパントテン酸カルシウムを0.4mg/dl含む組成である。
Figure 0004292577
(b)γ−GC含有酵母エキスの調製
上記のようにして調製したγ−GC含有酵母菌体を10g/dlの濃度になるように水に懸濁し、70℃で10分間加熱することにより内容物を抽出した。遠心分離により、酵母菌体残渣と内容物を分離した。このようにして、γ−GCを含有する酵母菌体抽出液を調製した(固形分濃度約2.2%、固形分に占めるγ−GCの割合が約14%)。
(c)γ−GCからCysへの変換率
上記のようにして調製した酵母菌体抽出液を120mmHgの減圧下で50℃に制御しながら固形分濃度が30%になるまで真空濃縮し、塩酸を添加することによりpHを4.5に調整した。水溶液を90℃で加熱し、Cysの生成率を経時的に測定した。その結果、Cysの最高生成率は82.1%であった。この結果は、実験例3(c)に記載の結果と相俟って、Cysの生成率には菌株や培養条件による影響のないことが理解される。
実施例1:システイン高含有食品素材の調製
(a)液体のシステイン高含有食品素材の調製
実験例3記載の方法で調製したγ−GC含有酵母菌体を10g/dlになるように水に懸濁し、70℃で10分間加熱することにより内容物を抽出した。遠心分離により、酵母菌体残渣と内容物を分離した。このようにしてγ−GCを含有する内容物10Lを調製した(エキス中の固形分濃度は約1.7%であり、γ−GCは固形分に対し約8%含有されていた)。内容物を120mmHgの減圧下で温度を50℃に制御して濃縮、約10時間後に固形分濃度約30%まで濃縮した。塩酸を添加しpHを4.5に調整した濃縮液を90℃で約1時間保持し、液体のシステイン高含有食品素材を調製した。すなわち、固形分に占める割合が3.1%のCysを含有する食品素材を得た。この時のγ−GCからCysへの変換率は約80%であった。
(b)粉末のシステイン高含有食品素材の調製
上記で得られた液体のシステイン高含有食品素材を凍結乾燥することにより、固形分に占める割合が3.1%の粉末状のCys高含有食品素材を得た。
本発明によれば、γ−CGから効率的にシステインを得ることができ、延いては酵母エキスからシステイン高含有食品素材を容易に提供することができる。
γ−GC(濃度10mM)の分解反応を示す(実験例1)。 γ−GC(濃度10mM)の分解反応(Cysの生成)を示す(実験例1)。 γ−GC(濃度100mM)の分解反応を示す(実験例1)。 γ−GC(濃度100mM)の分解反応(Cysの生成)を示す(実験例1)。 γ−GCと酸化型含硫化合物の相互作用のメカニズムを示す(実験例2)。 Cys、γ−GCおよびGSHのGSSG共存下および非共存下の加熱反応を示す(実験例2)。 糖存在下でのγ−GCの分解反応(Cys変換率)を示す(実験例5)。 溶存酸素濃度とγ−GCの残存率の関係を示す(実験例6)。 DM3%におけるγ−GCの分解反応を示す(実験例7)。 DM5%におけるγ−GCの分解反応を示す(実験例7)。 DM8%におけるγ−GCの分解反応を示す(実験例7)。 DM10%におけるγ−GCの分解反応を示す(実験例7)。 DM20%におけるγ−GCの分解反応を示す(実験例7)。 DM30%におけるγ−GCの分解反応を示す(実験例7)。

Claims (3)

  1. γ−グルタミルシステインを含有する酵母菌体から酵母エキスを調製し、同エキスを60℃以下の低温に制御しながら濃縮して固形分濃度10%以上の液体の形態の食品素材を調製し、該食品素材を70〜130℃に保持することを特徴とするシステイン高含有食品素材の製造法。
  2. 該食品素材中の還元糖の存在量が1%以下でかつ酸性条件下で加熱処理(70〜130℃に保持)することを特徴とする請求項1記載のシステイン高含有食品素材の製造法。
  3. 該低温制御濃縮方法が真空濃縮であることを特徴とする請求項1または2記載のシステイン高含有食品素材の製造法。

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