JP7381213B2 - イソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物の製造方法 - Google Patents

イソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酵母を用いて製造された、イソ吉草酸の含有量の高い調味料組成物に関する。本発明は、食品製造の分野等で有用である。
イソ吉草酸は、カノコソウ属植物、ホップの精油、人の汗等に含まれる天然に存在する脂肪酸である。特有の刺激臭があり、足や汗、加齢による口臭の原因物質である一方で、低濃度では畜肉フレーバー等を食品に与えるものとして知られている。
食品にイソ吉草酸を用いることが検討されてきている、例えば、特許文献1は、1-オクテン-3-オル及び/又は1-オクテン-3-オンの添加濃度が0.00006重量ppm以上且つ0.065重量ppm以下となり、低級脂肪酸類の添加濃度が0.0006重量ppm以上且つ0.7重量ppm以下となり、且つ メチオナールの添加濃度が0.2重量ppm以上且つ230重量ppm以下となるように、1-オクテン-3-オル及び/又は1-オクテン-3-オン、低級脂肪酸類、並びにメチオナールを飲食品に添加する工程を含む飲食品の製造方法を提供する。ここでは、低級脂肪酸類の好ましい例として、イソ吉草酸が挙げられており、またこのような成分の添加により、飲食品に醸造発酵食品若しくは魚介系エキスが本来持つ好ましい香気及び/又は風味を付与することができることが述べられている。また特許文献2は、シクロテン、イソ吉草酸及びオクタン酸を有効成分として含有する風味付与組成物を提案し、このような組成物により、食品に油脂感、肉様の風味、甘い風味及び香ばしい風味を主要な構成要素とする、煮込み料理様風味を付与することができると述べている。特許文献3は、熱劣化臭を有する食品に低級脂肪酸類を添加することを特徴とする、加熱劣化臭の抑制方法を提案し、このための好ましい低級脂肪酸類として、イソ吉草酸、吉草酸、及びイソ酪酸を挙げている。特許文献4は、低級脂肪酸類を食品に添加することを特徴とする、香味野菜の風味増強方法を提案し、このための好ましい低級脂肪酸類として、イソ吉草酸、吉草酸、及びイソ酪酸を挙げている。
一方、イソ吉草酸に関しては、食品利用に適した製造方法も検討されてきている。例えば特許文献5は、ピキア属に属し、且つイソ吉草酸を生産する能力を有する酵母を、20~50mMのロイシンを含有する培地中に培養する工程を含む、イソ吉草酸を含む培養物の製造方法を提案する。また特許文献6は、炭素数3~5の脂肪酸水溶液をpH5以上に調整した後、乾燥することを特徴とする、炭素数3~5の脂肪酸を含有する固形物の製造方法を提案する。ここで、炭素数3~5の脂肪酸の好ましい例としてイソ吉草酸が挙げられ、また脂肪酸水溶液は、当該脂肪酸を生産する能力を有する微生物の発酵液が好ましいことが述べられている。そして、実際にGluconobacter thailandicusの発酵液を用いてイソ吉草酸を含有する固形物の製造を行った実施例が掲載されている。
他方、本出願人は、アミノ酸、ペプチド、ミネラル分が豊富に蓄えられている酵母から成分を抽出し、調味料化した酵母エキスについて、研究・開発を重ねてきた。その中で、乳酸菌および酵母による発酵物が、冷凍食品等の具材の素材感を改良することができる等、調味料として種々の用途に用いうることを見出している(特許文献7)。
特許第6079644号公報(国際公開WO2012/118741) 国際公開WO2014/142267 特開2017-225417号公報 特開2018-42484号公報 特開2013-223485号公報 特開2016-13103号公報 国際公開WO2017/014253号公報
イソ吉草酸を含む調味料に関する特許文献1~4においては、イソ吉草酸は、市販の試薬として添加されているに過ぎない。また、特許文献5、および6のように特定の微生物用いて天然物としてのイソ吉草酸を製造する場合であっても、高濃度のイソ吉草酸を含む発酵物を生産することは達成されていない。
本発明は、イソ吉草酸を高濃度で含有する発酵調味料組成物、およびその発酵調味料組成物を製造するための方法を提供することを課題とする。またそのような製造方法で得られたイソ吉草酸を含む調味料組成物の新規な用途を提供することを課題とする。
本発明は、酵母がロイシンからイソ吉草酸を転換する能力を有することを見出し、その酵母を用いて、ロイシンを高濃度で含めた培地中で培養することによってイソ吉草酸のみを高濃度で含有する発酵調味料組成物を見出した。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
[1]サッカロマイセス属、キャンディダ属またはハンセヌラ属に属する酵母の発酵により得た発酵調味料組成物であって、固形分2.0%の液に換算したときに、イソ吉草酸を1500ppm含有する、発酵調味料組成物。
[2]酵母が、サッカロマイセス・セレビジエ、キャンディダ・ユーティリス、またはハンセヌラ・スアベオレンスである、1に記載の発酵調味料組成物。
[3]乳酸菌の培養物から酵母の発酵により得た発酵調味料組成物である、1または2に記載の発酵調味料組成物。
[4]乳酸菌が、エンテロコッカス・フェカリス、ペディオコッカス・アシドラクティチス、ラクトバチルス・ラムサノス、ロイコノストック・メゼンテロイデス、またはテトラゲノコッカス・ハロフィラス である、3に記載の発酵調味料組成物。
[5]乳酸を含有するpHが5.0以下である培地、またはpH5.0以下の乳酸菌培養物を、酵母で発酵し、酵母発酵物を得る工程;および
得られた酵母発酵物から固形物を除去して発酵液を得る工程
を含む、イソ吉草酸を含む発酵調味料組成物の製造方法。
[6]酵母が、サッカロマイセス属、キャンディダ属またはハンセヌラ属に属するものである、5に記載の製造方法。
[7]培地または乳酸菌発酵物が、ロイシンを0.3%以上含む、5または6に記載の製造方法。
[8]培地または乳酸菌発酵物が、魚醤を3%以上含む、5~7のいずれか1項に記載の製造方法。
[9]肉風味の増強、植物タンパク質の不快風味のマスキング、または甘味の増強 のためのものであるである、1~4のいずれか1項に記載の発酵調味料組成物。
酵母培養液のイソ吉草酸濃度。 酵母培養中のpHの推移。実線:乳酸菌培養後、乳酸菌培養液へ酵母を接種して培養したもの(共培養、実験1)、破線:乳酸菌培養後、乳酸菌培養液を殺菌した後に、酵母を接種して培養したもの(実験2)、点線:pHを乳酸で調整した培地(表3)を用いて酵母を培養したもの(実験4)。 共培養後のイソ吉草酸濃度。白:乳酸菌培養後、乳酸菌培養液へ酵母を接種して培養したもの(共培養、実験1)、灰: 乳酸菌培養後、乳酸菌培養液を殺菌した後に、酵母を接種して培養したもの(実験2)、斜線:pHを乳酸で調整した培地を用いて酵母を培養したもの(実験4)、黒:乳酸濃度を揃えたもの(実験3)。 酵母接種量を増やした場合の培養中のイソ吉草酸濃度の経時変化 酵母菌株IAHP-1の培養中のイソ吉草酸濃度の経時変化 発酵中のイソ吉草酸の濃度
数値範囲「X~Y」は、特に記載した場合を除き、両端の値XおよびYを含む。「Aおよび/またはB」は、特に記載した場合を除き、A、Bのうち少なくとも一方が存在することを指し、AとBの双方が存在する場合も含む。食品は、固形のもののみならず、飲料およびスープのような液状の経口摂取物も含む。また、そのまま摂取される形態のもの(例えば、調理済みの各種の食品、サプリメント、ドリンク剤)のみならず、食品添加物、発酵調味料組成物、飲料濃縮物も含む。食品は、さらに、ヒト用のみならず、非ヒト動物(ペット、家畜等)のためのものも含む。食品はまた、一般食品(いわゆる健康食品を含む。)のほか、保健機能食品(機能性表示食品、栄養機能食品、および特定保健用食品を含む。)を含む。濃度、または比(%、部等)を表す場合は、特に記載した場合を除き、質量に基づく。
本発明は、酵母を用いたイソ吉草酸を高い濃度で含む、発酵調味料組成物に関する。
[製造方法]
本発明の酵母を用いた発酵調味料組成物は、酵母による発酵工程で得た発酵物から、酵母菌体を除去することに製造できる。
(酵母)
本発明には、イソ吉草酸を生産する能力を有する酵母を用いる。用いる酵母は、ロイシンを添加した培地を用いて候補酵母を培養し、得られた培養液中のイソ吉草酸の濃度が高いものから選択することができ、また得られた培養液の風味(イソ吉草酸特有の風味)に基づき、選択することができる。
酵母は、その培養液を最終的にそのまま食品に用いることができるように、食品製造のために用いられるものの中から選択することが望ましい。本発明に用いる酵母は、例えば、酒酵母、ビール酵母、ワイン酵母、野生酵母等の慣用されている酵母を用いることができる。より具体的には、例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、キャンディダ(Candida)属、ハンセヌラ (Hansenula)属、シゾサッカロマイセス(Shizosaccharomyces)属、ピキア(Pichia)属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、ウィリオプシス(Williopsis)属、デバリオマイセス(Debaryomyces)属、ガラクトマイセス(Galactomyces)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、およびヤロウィア(Yarrowia)属からなる群より選択されるいずれかの属に属する酵母である。酵母は、増殖性が良好であることから、酒製造に用いられている酒酵母、ビール製造に用いられているビール酵母、食料や飼料等の製造に用いられている酵母(例えば、トルラ酵母(Candida utilis))であることが好ましく、サッカロマイセス属、キャンディダ属、またはハンセヌラ属、に属する酵母であることがより好ましい。サッカロマイセス属の例として、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・サケ(Saccharomyces sake)、サッカロマイセス・ベティカス(Saccharomyces beticus)が挙げられる。なお、サッカロマイセス・サケ(Saccharomyces sake)とサッカロマイセス・ベティカス(Saccharomyces beticus)は、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)の一種として分類される場合もある。キャンディダ属の例として、キャンディダ・ユーティリス(Candida utilis)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・リポリティカ(Candida lypolitica)、キャンディダ・サケ(Candida sake)が挙げられる。ハンセヌラ属の例として、ハンセヌラ・スアベオレンス(Hansenula suaveolens)、ハンセヌラ・アノマーラ(Hansenula anomala)、ハンセヌラ・ジャバニカ(Hansenula javanica)、ハンセヌラ・シェネッギ(Hansenula schneggii)、ハンセヌラ・サタヌス(Hansenula saturnus)、ハンセヌラ・オデッサ(Hansenula odessa)が挙げられる。より好ましくは、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、キャンディダ・ユーティリス(Candida utilis)、およびハンセヌラ・スアベオレンス(Hansenula suaveolens)からなる群より選択されるいずれかである。
好ましい実施態様においては、酵母としては、ハンセヌラ・スアベオレンス IAHP-1株、もしくはそれと同じ種に属し、かつ同じ科学的性質を有する菌株、またはサッカロマイセス・セレビジエ IAHP-2株、もしくはそれと同じ種に属し、かつ同じ科学的性質を有する菌株:サッカロマイセス・セレビジエ IAHP-3株、もしくはそれと同じ種に属し、かつ同じ科学的性質を有する菌株:サッカロマイセス・セレビジエ IAHP-4株、もしくはそれと同じ種に属し、かつ同じ科学的性質(寄託の申請書に詳細に説明されている)を有する菌株を用いることができる。IAHP-1株については、ロイシンを代謝し、イソ吉草酸の前駆体であるイソアミルアルコールを産生することが確認されていたため、ロイシンからイソ吉草酸の産生を行う可能性が推測され、この点は本発明者の実験により確認された。IAHP-1株と同様に、IAHP-2、3、および4株も、イソアミルアルコールを産生することが確認されている。そのため、これらの株を用いた場合、IAHP-1株の場合と同様にイソ吉草酸を製造できると考えられる。
ハンセヌラ・スアベオレンス IAHP-1株は、以下の科学的性質(形態的、培地上の特徴、生理学的特徴等)を有する。
細胞形態:卵型
コロニー:クリーム色
特徴:発酵能を有する、子嚢胞子をつくる
ハンセヌラ・スアベオレンス IAHP-1株は、以下の培養条件で培養できる。
培地名:YPD培地
培地の組成:
Yeast Extract (Difco) 10g
グルコース 20g
Polypeptone (Difco) 20g
蒸留水 1L
培地のpH(滅菌前):5.8
滅菌温度・時間:121℃、15分
培養温度:30℃
培養期間:24時間
酸素要求性:好気
サッカロマイセス・セレビジエ IAHP-2株、IAHP-3株、およびIAHP-4株は、以下の科学的性質(形態的、培地上の特徴、生理学的特徴等)を有する。
細胞形態:卵型
コロニー:クリーム色
特徴:発酵能を有する、子嚢胞子をつくる
サッカロマイセス・セレビジエ IAHP-2株、IAHP-3株、およびIAHP-4株は、以下の培養条件で培養できる。
培地名:YPD培地
培地の組成:
Yeast Extract 10g
グルコース 20g
Polypeptone 20g
蒸留水 1L
培地のpH(滅菌前):5.8
滅菌温度・時間:121℃、15分
培養温度:30℃
培養期間:24時間
酸素要求性:好気、浸盪培養
ハンセヌラ・スアベオレンス IAHP-1株、サッカロマイセス・セレビジエ IAHP-2株、
サッカロマイセス・セレビジエ IAHP-3株、サッカロマイセス・セレビジエ IAHP-4株
は、それぞれ順に、受託番号NITE BP-02335、NITE BP-02417、NITE BP-02418、NITE BP-02419
として、NITE BP-02335は2016年8月22日付で、NITE BP-02417、NITE BP-02418、NITE BP-02419は2017年2月9日付けで、テーブルマーク株式会社(住所:日本国東京都中央区築地6-4-10)により、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物センター(住所:日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)へ、ブタペスト条約および日本国特許法に基づき、寄託された。
(酵母発酵条件)
酵母による発酵のための条件は、当業者であれば、用いる酵母に応じ、適宜設計することができる。
培地には、イソ吉草酸の生産前駆体となりうる特定のアミノ酸を添加することができる。添加するアミノ酸の種類は、酵母の代謝経路によりイソ吉草酸の生産の前駆体となるものが好ましく、具体的にはロイシンが好ましい。培地におけるロイシンの濃度(ロイシンの塩を添加する場合は、ロイシンに換算した濃度)は、例えば0.05%~10%とすることができ、0.1~5%とすることが好ましく、0.3~3%とすることがより好ましい。なお、本発明に関し、培地の成分の濃度をいうときは、特に記載した場合を除き、培養開始時の濃度を指す。また培地のpHをいうときも、特に記載した場合を除き、培養開始時のpHを指す。
培地には、炭素源として、例えば、サトウキビ廃糖蜜、ビート廃糖蜜、蔗糖、木材チップ蒸解液、亜硫酸パルプ廃液、サトウキビ抽出液、グルコースなどの糖液、酢酸、およびエタノールからなる群より選択されるいずれかを用いることができる。さらに、リン酸成分、カリウム成分、マグネシウム成分を培地に添加してもよく、ビオチン、パントテン酸、チアミン、イノシトール、ピリドキシン等のビタミン類、亜鉛、銅、鉄、マンガン等のミネラル類を添加してもよい。培養に際しては、用いる培地を滅菌してもよい。
培地には、酵母の増殖に必要な窒素源を添加することが好ましい。用いることができる窒素源は、食品原料として適した成分であれば特に限定されない。醤油、魚醤、アミノ酸調合液、モルトエキス、酵母エキス、乳清、豆乳(液状であってもよく、粉末状であってもよい。)ペプトン、コーンスティプリカー(CSL)、カゼイン等の含窒素有機物、ならびに尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、およびリン酸アンモニウム等の無機塩からなる群などを用いることができる。本発明者の検討によると、窒素源を、合成培地に用いられる酵母ニトロゲンベース(通常、アミノ酸を含まない)のような単純な成分から、酵母エキス、魚醤、モルトエキス、豆乳のような天然由来の複雑な有機物にすることにより、イソ吉草酸など香気の発生がより促進されうる。そのため、培地に添加される窒素源として好ましいものの一つが、酵母エキス、魚醤、モルトエキス、豆乳である。これらに加えて、さらに酵母エキス、アミノ酸調合液などの窒素源をさらに添加してもよい。なお、魚醤を用いる場合、培地における魚醤の濃度は、例えば1~10%とすることができ、2~7%とすることが好ましく、3~6%とすることがより好ましい。粉末豆乳を用いる場合、培地における粉末豆乳の濃度は、例えば0.1~10%とすることができ、0.2~7%とすることが好ましく、0.3~6%とすることがより好ましい。モルトエキスを用いる場合、培地におけるモルトエキスの濃度は、例えば0.1~10%とすることができ、0.2~7%とすることが好ましく、0.3~3%とすることがより好ましい。
酵母発酵は、使用菌株にもよるが、例えば20~40℃、好ましくは25~35℃で行うことができる。発酵時間は、植菌量にもよるが、本発明者らの検討によると、目的のイソ吉草酸は酵母発酵中に経時的に増加するため、通常の植菌量である場合は、18時間以上であることが好ましく、20時間以上であることがより好ましく、22時間以上であることがさらに好ましい。植菌量を増やすことにより、培養時間を短縮することができる。
酵母発酵は、好気条件下で行う。必要に応じ、酵母発酵上十分な通気および/または攪拌を行いながら実施することができる。通気および/または攪拌は、具体的には、1分間当たり発酵液体積の約1/5量から同量の無菌エアーを発酵槽底部に吹き込み、必要に応じ50~1000rpmで攪拌することにより行うことができる。好ましい態様の一つは、1分間当たり発酵液体積の約1/4~2/3量の無菌エアーを発酵槽底部に吹き込むことにより行うことである。尚、酒類の製造工程においては、通常、嫌気条件下で発酵を行うため、酵母は多量のエタノールを生成する。しかし本実施態様では、好気条件下で発酵を行うため、発酵中のエタノール濃度は低く保たれ、酵母はエステルや脂肪酸、高級アルコール等の各種香気成分を多く生成しうる。酵母発酵過程および発酵終了後における発酵液中のアルコール濃度は、1.0%未満であることが好ましい。
酵母発酵工程の終点は、当業者であれば適宜決定しうるが、Brix値、pH値、イソ吉草酸の濃度等を指標とすることができる。
発酵工程から得られた発酵物は不溶性の固形分や酵母菌体を含んでいるので、これらの固形物を除くために、固液分離処理を行うことにより、目的の発酵調味料組成物を得ることができる。固液分離の手段は、同様の目的で食品の製造分野で用いられる種々の手段を適用することができる。例えば、遠心分離による沈殿物の除去、珪藻土やパーライトを濾過助剤としたフィルタープレス濾過、または精密濾過(MF:Micro filtration)が挙げられる。得られた発酵調味料組成物のBrixは、その発酵工程の良否によって左右されるが、通常は1~10%、好ましくは3~7%、より好ましくは2~6%であり得る。なお本発明の酵母を用いた発酵調味料組成物は、酵母菌体を除去することにより得られる発酵液を用いた調味料組成物であり、酵母菌体を含まない点で、酵母菌体を回収し、その酵母菌体であるビール酵母やパン酵母を自己消化等して得る酵母エキスとは異なるものである。
(乳酸菌)
乳酸菌を用いる場合、乳酸菌は、食品製造のために使用できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、エンテロコッカス(Enterococcus) 属、ペディオコッカス (Pediococcus)属、ラクトコッカス (Lactococcus) 属、ラクトバチルス(Lactobacillus) 属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、ワイセラ(Weissella) 属、ストレプトコッカス(Streptococcus) 属、メリソコッカス(Melissococcus) 属、カルノバクテリウム(Carnobacterium) 属、およびテトラゲノコッカス(Tetragenococcus)属からなる群より選択されるいずれかの属に属する乳酸菌を用いることができる。乳酸菌は、食経験が豊富であることから、ヨーグルトや乳酸菌製剤に利用されている乳酸菌、ピクルス等の植物性の発酵物に含まれる乳酸菌であることが好ましくより具体的には、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム (Enterococcus faecium)、ペディオコッカス・アシドラクティチ(Pediococcus acidlactici)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、およびラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・コンフュサス(Lactobacillus confusus)、ラクトバチルス・メールファメンタス(Lactobacillus malefermentans)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)、ロイコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、またはテトラゲノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus)等が挙げられる。チーズのような風味があり、酵母との共培養にも適しているとの観点からは、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ペディオコッカス・アシドラクティチ(Pediococcus acidlactici)、ロイコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、テトラゲノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus)、またはラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)を用いることが好ましい。
乳酸菌による発酵のための条件は、当業者であれば、用いる乳酸菌に応じ、適宜設計することができる。炭素源として、例えば、サトウキビ廃糖蜜、ビート廃糖蜜、蔗糖、木材チップ蒸解液、亜硫酸パルプ廃液、サトウキビ抽出液、グルコース、酢酸、およびエタノールからなる群より選択されるいずれかを用いることができる。窒素源として、例えば、酵母エキス、乳清、豆乳、粉末豆乳、ペプトン、コーンスティプリカー(CSL)、カゼイン等の含窒素有機物、ならびに尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、およびリン酸アンモニウム等の無機塩からなる群より選択されるいずれかを用いることができる。さらに、リン酸成分、カリウム成分、マグネシウム成分を培地に添加してもよく、ビオチン、パントテン酸、チアミン、イノシトール、ピリドキシン等のビタミン類、亜鉛、銅、鉄、マンガン等のミネラル類を添加してもよい。乳酸菌発酵は、使用菌株にもよるが、例えば30~45℃、好ましくは35~40℃で、例えば16~48時間、好ましくは20~36時間行うことができる。発酵は、乳酸菌が嫌気性であることを考慮して、静置または弱い攪拌を行いながら、実施することができる。発酵はまた、pHが3.0~5.0、好ましくは3.1~4.8、より好ましくは3.2~4.5の範囲となるまで行うことができる。
(乳酸菌培養物の使用)
本発明者らの検討によると、イソ吉草酸を高濃度で生産するとの観点からは、酵母による発酵原料は、乳酸菌培養物であることが好ましい。乳酸菌培養物に代えて、乳酸を添加したpHの低い培地を用いてもよい。乳酸菌培養物を用いる場合、そのpHは、乳酸の濃度等に応じて適宜でありうるが、十分な量の乳酸が含まれている場合は、そのpHは5.0以下であり、好ましくは4.8以下であり、より好ましくは4.5以下であり、さらに好ましくは4.3 以下である。乳酸濃度としては、例えば0.25%以上であり、0.35%以上であり、0.45% 以上である。乳酸菌培養物は殺菌してから酵母発酵のための培地として用いてもよく、乳酸菌が生きた状態で酵母を添加し、乳酸菌と酵母とを共培養するようにしてもよい。
(乳酸添加)
乳酸菌培養物に代えて、乳酸を添加した培地を用いる場合、そのpHは、乳酸の濃度等に応じて適宜でありうるが、十分な量の乳酸が含まれている場合は、そのpHは5.0以下であり、好ましくは4.8以下であり、より好ましくは4.5以下であり、さらに好ましくは4.3以下である。乳酸濃度としては、例えば0.25%以上であり、0.35%以上であり、0.45%以上である。pHの下限値は、酵母の培養に悪影響を与えない限り、適宜とすることができる。例えば、3.0以上とすることができ、3.1以上とすることが好ましく、3.2以上とすることがより好ましい。
[発酵調味料組成物、およびその特徴]
本発明の発酵調味料組成物は、イソ吉草酸を高い濃度で含むことを特徴とする。
(イソ吉草酸)
イソ吉草酸(Isovaleric acid、分子式: (CH3)2CHCH2COOH、融点:-29℃、沸点:175~177℃)は、3-メチル酪酸(3-Methylbutanoic acid) 、3-メチル酪酸(3-Methylbutyric acid) 、3-メチル-n-酪酸(3-Methyl-n-butyric acid) 、β-メチル酪酸(.beta.-Methylbutyric acid) 、イソペンタン酸(iso-Pentanoic acid) 、3-メチルブタン酸(3-Methyl Butanoic Acid)と称されることもある。イソ吉草酸の臭いは、単独では一般的には不快に感じられるが、そのエステルであるイソ吉草酸イソアミルおよびイソ吉草酸エチルは食品添加物である香料に含まれ、着香の目的で使用されている。
本発明の発酵調味料組成物は、イソ吉草酸以外の食品に風味や呈味を付与しうる成分を含んでいてもよい。本発明の発酵調味料組成物に含まれるイソ吉草酸以外の香気成分としては、イソアミルアルコール、3-ヘキサノン、イソブチルアルコール、2-メチル-1-ブタノール アセテート、2,4-ジメチル-3-ペンタノン、2,5-ジメチル-3-ヘキサノン、イソ酪酸、イソヘキシルアルコール、酢酸、イソ吉草酸イソブチル、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、ベンズアルデヒド、吉草酸、カプロン酸、フェネチルアルコール、プロピオン酸、3-メチル吉草酸、エナント酸、イソブチル 2-メチルブタノエート、1,3-シクロペンタンジオンが挙げられる。
香気成分の定性および定量分析は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)法で行うことができる。本発明に関し、香気成分の種類や量をいうときは、特に記載した場合を除き、GC-MS法で検出・測定されたものである。
本発明の発酵調味料組成物は、固形分2.0%の発酵調味料組成物に換算したときに1500ppm以上のイソ吉草酸を含む。ここでいう固形分には食塩(塩化ナトリウム)は含まれない。具体的には、対象発酵調味料組成物について水分量を測定した値から、添加した食塩分を減じた値が、ここでいう固形分である。例えば、ある発酵調味料組成物において測定される水分量が78.0%であり、その発酵調味料組成物の食塩濃度が20.0%である場合に、その発酵調味料組成物の固形分は、2.0%であると計算される。また、このようにして計算した固形分濃度が2.0%より低い場合、または高い場合は、固形分を2.0%とした場合に換算した、イソ吉草酸の濃度について判断される。水分量の測定は、食品分野で慣用されている方法により行う。
従来、サッカロマイセス属、キャンディダ属またはハンセヌラ属に属する酵母の発酵液において、イソ吉草酸の培養上清中の濃度を1500ppm以上とすることは達成されなかった。したがって、固形分2.0%の発酵調味料組成物に換算したときに1500ppm以上のイソ吉草酸を含む、発酵調味料組成物、あるいはイソ吉草酸の濃度が1500ppm以上である培養上清から得られた発酵調味料組成物は、新規なものであり、かつ進歩性を有するものである。なおピキア属に属する酵母を用いてイソ吉草酸を含む培養物を製造した従来技術はあるが(前掲特許文献5)、100ml程度の小スケールでの培養に留まっていた。1000ppm以上の高い濃度で産業上利用可能といえるレベルでイソ吉草酸を含む発酵液を得ることは達成されなかった。
好ましい態様においては、発酵調味料組成物におけるイソ吉草酸の濃度は、固形分2.0%の液に換算したときに、1000ppm以上であり、好ましくは1600ppm以上であり、より好ましくは1700ppm以上であり、さらに好ましくは2000ppm以上である。あるいは、本発明は一態様として、イソ吉草酸の濃度が1000ppm以上である培養上清から得られた発酵調味料組成物を提供することができ、このとき培養上清におけるイソ吉草酸の濃度は好ましくは1600ppm以上であり、より好ましくは1700ppm以上であり、さらに好ましくは2000ppm以上である。
(他の成分、発酵調味料組成物の形態等)
発酵調味料組成物には、保存安定性を高める目的で食塩、澱粉、糖などを添加されていてもよい。これらの添加量は、特に限定されるものではないが、水分活性を充分に下げるため、食塩の場合には酵母発酵液に対して、例えば10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは18%以上となるように添加することができる。
発酵調味料組成物は、種々の形態であり得る。例えば、上記の液状のものを、必要に応じ、濃縮または乾燥等し、ペースト状、固形状、粉末状、顆粒状等とすることができる。
発酵調味料組成物は、他の調味料組成物の有効成分とすることができる。また発酵調味料組成物は、発酵調味料組成物そのものでもよく、有効成分が目的の効果を発揮しうる限り、他の成分を配合することができる。他の成分は、食品として許容される種々の食品素材、添加剤等を用いることができる。。この例には、酸化防止剤(抗酸化剤)、香料、調味料、甘味料、着色料、増粘安定剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、ガムベース、苦味料等、酵素、光沢剤、酸味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、賦形剤、結合剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、凝固剤等である。発酵調味料組成物中の有効成分の量は、例えば1~100%であり、10~80%とすることができ、20~60%としてもよい。
[発酵調味料組成物の用途]
本発明のイソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物は、イソ吉草酸を用いることが好ましい食品に対して、種々の目的で用いることができるが、特に、肉風味の増強、植物タンパク質の不快風味のマスキング、または甘味の増強のために好適に用いることができる。
(肉風味の増強)
本発明者らの検討によると、本発明のイソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物の添加により、肉エキス、または肉を用いた加工食品において、肉の風味を増強できることが分かった。すなわち、本発明のイソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物は、肉風味の増強のために用いることができる。したがって、本発明の一態様は、イソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物を有効成分として用いる、肉風味の増強剤、肉風味の増強方法である。また本発明者らの検討によると、本発明のイソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物による肉風味増強効果は、発酵調味料組成物の代わりに、イソ吉草酸の濃度が同じになるようにイソ吉草酸試薬を食品に添加した場合よりも優れていた。一般に、肉の代わりに植物タンパク質等の代替物を用いた食品は肉風味が物足りなく感じられる場合が多いが、本発明により、そのような食品の風味においても、コク味やうま味を感じられるものとすることができる。
(植物タンパク質の不快風味のマスキング)
本発明者らの検討によると、本発明のイソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物の添加により、大豆蛋白を用いた加工食品において、大豆蛋白特有の青臭さ、えぐみ、口に残る豆臭をマスキングできることが分かった。すなわち、本発明のイソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物は、植物タンパク質が有する、青臭み、えぐみ、臭い等の不快風味をマスキングするために用いることができる。したがって、本発明の一態様は、イソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物を有効成分として含有する、植物タンパク質の不快風味のマスキング剤、植物タンパク質の不快風味のマスキング方法である。植物タンパク質には、大豆蛋白(それを原料とする加工品を含む。)、および小麦蛋白が含まれる。本発明の発酵調味料組成物は、大豆蛋白の不快臭のマスキングのために特に適している。本発明のイソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物による植物タンパク質の不快風味のマスキング効果は、発酵調味料組成物の代わりに、イソ吉草酸の濃度が同じとなるようにイソ吉草酸試薬を食品に添加した場合よりも優れている可能性がある。
(甘味の増強)
発明者らの検討によると、本発明のイソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物を、生クリーム、栗または小豆を材料に用いた食品に添加することにより、喫食時に風味や甘味をより強く感じさせることができた。すなわち、本発明のイソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物は、食品に含まれる素材の自然な甘味、特に栗、小豆、南瓜、生クリーム、卵等の元来甘味を有する素材の自然な甘味を、増強するために用いることができる。したがって、本発明の一態様は、イソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物を有効成分として含有する、食品の甘味の増強剤、増強方法である。本発明で甘味を増強するというときは、特に記載した場合を除き、上述のような素材の自然な甘みを増強することを指す。本発明のイソ吉草酸を含有する発酵調味料組成物による甘味増強効果は、発酵調味料組成物の代わりに、イソ吉草酸の濃度が同じとなるようにイソ吉草酸試薬を食品に添加した場合よりも優れている可能性がある。
(評価方法および基準)
肉風味が増強されているか否か、またはその程度;植物タンパク質の不快風味がマスキングされているか否か、またはその程度;食品の甘味が増強されているか否か、またはその程度は、当業者であれば、適切な対照(比較例)食品を基準とした官能評価を企画して評価することができる。より具体的には、例えば有効成分を含まない食品等適切な対照を準備し、3~10段階程度の基準を定め、基準(産業上意義のある基準を超えた場合に、合格とするように定めることができる。)に基づき、訓練されたパネラーが対象となる食品と対照とを比較することにより評価することができる。
より具体的な評価のための方法として、本明細書の実施例の項に記載した方法を参照することができる。
[適用される食品]
本発明のイソ吉草酸を含む発酵調味料組成物は、種々の食品に適用できる。適用される食品の特に好ましいものの一つとして、焼売、小龍包、肉まん、春巻、中華丼(の具)、餃子、八宝菜、回鍋肉、青椒肉絲、野菜炒め、きんぴら、筑前煮のような各種加工食品(冷蔵食品および冷凍食品であってもよい);コロッケ、メンチカツ、エビカツ等のフライ製品;ハンバーグ等の肉製品;ラーメン、うどん、そば、広東麺、担担麺、タンメン、長崎ちゃんぽん、焼きそば等の麺製品、そのスープおよびソース;スパゲッティナポリタン、マカロニグラタン、ラザニア等のパスタ製品;チャーハン、ピラフ、炊き込みご飯、ちらしずし等の米飯製品;お好み焼き、たこ焼き、ピザ等の小麦粉製品;食パン、フランスパン(バゲット)、ベーグル、ハンバーガーバンズ、ホットドッグバンズ、サンドイッチバンズ、ホテルブレッド、バターロール、レーズンパン、コーンパン、フォカッチャ、イングリッシュマフィン、ブリオッシュ、クロワッサン、ペストリー、デニッシュ、シナモンロール、マフィン、カレーパン、ドーナツ、蒸蒸しパン、アンマン、肉マン、カレーマン、ピザマン、ポンデケージョ、菓子パン(アンパン、ジャムパン、クリームパン、コロネ、メロンパン)、ピザパン、フレンチトースト等の各種パン類;キムチ、ザーサイ、ザワークラウト、ピクルス、メンマ等の漬物類が挙げられる。また、本発明のイソ吉草酸を含む発酵調味料組成物は、各種調味料、例えば、しょうゆ(薄口、濃口)、オイスターソース、カレールウ、ハヤシルウ、めんつゆ(濃縮タイプ、ストレート)、みそ、豆板醤、ソース(ウスター、とんかつ、中濃)、ねりわさび、ねりがらし、トマトケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング、チリソース、チリペッパーソース、トマトソース、ピザソース、バター、マーガリン、コーンスープの素、マーボー豆腐の素;卵焼き、オムレツ、スクランブルエッグ、炒り卵、のりたまふりかけ、キッシュ、卵サラダ、かきたま汁、卵とじ、茶わん蒸し、プリン等の卵を用いた食品等に用いることもできる。上述の食品において本発明のイソ吉草酸を含む発酵調味料組成物は、肉風味の増強のために用いることができるほか、植物タンパク質の不快風味のマスキングのため、甘味増強のためにもちいてもよい。
特に、植物タンパク質の不快風味をマスキングする対象となる食品の例としては、植物タンパク質が使用されている食品であれば特に限定されず、食肉調製品(牛肉、豚肉、その他の食肉を原料としたもので、加熱調理、または味つけした製品や半加工品等)、具体的には、牛肉調製品(ビーフカレー、ビーフジャーキー、コンビーフ、ローストビーフ、シーズンド・ビーフ等)、豚肉調製品(シーズンド・ポーク、 ソーセージ、 缶入りハム、ポークランチョンミート等)、ハンバーガー用のパティー、ハンバーグ、餃子、ポークビーンズ;魚肉加工品(魚肉ソーセージ、かまぼこ、揚げかま、ちくわ、はんぺん等)、つみれ等が挙げられる。
特に、甘味増強の対象となる食品の例としては、限定されないが、栗、小豆、南瓜、いんげん豆、生クリーム、および卵からなる群より選択されるいずれかを用いた食品が好ましく、具体的には、ケーキ、ケーキ類、アイスクリーム類(アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス等)、プリン、シュークリーム、クリームブリュレ、こしあん、粒あん、白あん、さらしあん、和菓子、カスタードソース、オムレツおよび玉子焼き等が挙げられる。
食品への発酵調味料組成物の添加量は、食品の種類にもよるが、固形分2.0%の発酵調味料組成物(他に、塩化ナトリウムが20%含まれるものとする。)として、喫食時の濃度が0.0050~2.0%の範囲で用いることができる。喫食時の食品における濃度の下限値は、例えば0.0050%以上であり、好ましくは0.030%以上であり、より好ましくは0.025%以上である。0.0050%未満では効果が乏しいからである。添加量の上限は、発酵調味料組成物の酸味や香気が、対象となる食品の風味を損なわない限り、限定されない。食品にも拠るが、固形分2.0%の発酵調味料組成物(他に、塩化ナトリウムが20%含まれるものとする。)として、喫食時の濃度が2.0%を超えるとイソ吉草酸の不快な風味が感じられるようになるので、2.0%以下であることが好ましく、1.8%以下としてもよく、1.5%以下としてもよい。
より詳細には、本発明の発酵調味料組成物(固形分2.0%、他に塩化ナトリウムが20%含まれる。)は、肉風味の増強のためには、喫食時の濃度において0.010~2.0%で用いることができ、0.050~1.5%で用いることが好ましく、0.1~1.0%で用いることがより好ましい。また、植物タンパク質の不快風味のマスキングのためには、喫食時の濃度において0.0050~2.0%で用いることができ、0.010~1.0%で用いることが好ましく、0.050~0.50%で用いることがより好ましい。さらに、甘味の増強のためには、喫食時の濃度において0.0050~0.10%で用いることができ、0.025~0.075%で用いることが好ましく、0.025~0.050%で用いることがより好ましい。
[実験方法]
(培地の調製方法)
下表の処方の培地成分を水に溶解後、121℃、15分間殺菌し、冷却後、以下の試験に供した。
Figure 0007381213000001
Figure 0007381213000002
Figure 0007381213000003
Figure 0007381213000004
(イソ吉草酸濃度の測定方法)
発酵液中のイソ吉草酸濃度は、HPLC法で分離し、測定した。具体的には、有機酸をHPLC用カラムで分離した後に、pH指示薬であるブロモチモールブルーと合流させ、酸性成分を可視吸収(440nm)で検出した。
HPLCの条件
カラム:ShodexKC-811
溶離液: 3mM過塩素酸(流速0.5mL/min)
反応液:ブロモチモールブルー(流速0.5mL/min)
検出器: UV-VIS検出器(440nm)
[実施例1:官能評価による酵母のスクリーニング]
ファルコン・チューブ(Falcon社製)にYPD培地を3mlに入れ、各酵母菌株を植菌し、30℃で24時間、振とう培養した。培養後、集菌した菌は、滅菌水で2回洗浄した後、3mLの滅菌水に懸濁した。菌懸濁液10μLを、3種類の培地(表2、3、4)に各々接種し、30℃で6日間、振とう培養を行った。培養開始時、2日目、3日目、6日目に、培養液の香気を官能評価した。結果を表5~7に示す。
Figure 0007381213000005
Figure 0007381213000006
Figure 0007381213000007
(表5~7共通)
A:アルコール臭
B:香ばしいかおり
C:発酵臭
D:甘いかおり
E:さわやかなかおり
F:納豆様の香気
酵母ニトロゲンベース培地を用いて酵母を培養した場合には、アルコール臭や弱い発酵の香気は感じるものの、今回、目標としたイソ吉草酸を想起させる強い発酵臭を有する酵母を発見することはできなかった(表5)。
栄養源がより豊富であり、乳酸によりpHを低く(pH4.32)した、酵母エキス・乳酸添加培地を用いて酵母を培養した場合、酵母ニトロゲンベース培地を用いた場合と比較して、多くの菌株から強い発酵臭が感じられた(表6)。さらに、その中の数株はイソ吉草酸を想起させる納豆様の発酵臭や重たい臭気を有していた。
酵母に必要な微量元素を酵母エキスと魚醤により供給し、乳酸によるpHの調整を行わない魚醤使用培地培地を用いて酵母を培養した場合、2日目までの培養初期においては、同様にpH調整をしていない酵母ニトロゲンベース培地を用いた場合と同様にアルコール臭を多く感じたが、3日目以降には多くの菌株から強い発酵臭が感じられた(表7)。また、酵母エキス・乳酸添加培地を用いた場合よりも多くの菌株からイソ吉草酸を想起させる納豆様の香気が感じられた。
以上の結果から、窒素源を、合成培地である酵母ニトロゲンベースのような単純なものから、魚醤のような天然由来の複雑なものにすることにより、イソ吉草酸など香気の発生がより促進されることが示唆された。また、培地のpHを下げることにより、イソ吉草酸が産生されやすいことが示唆された。
[実施例2:イソ吉草酸の濃度による酵母のスクリーニング]
実施例1おいて、イソ吉草酸由来と思われる臭気を有する菌株の培養液について、HPLC法によりイソ吉草酸濃度を測定した。
Figure 0007381213000008
Figure 0007381213000009
酵母エキス・乳酸添加培地を用いた場合、300ppmから760ppmの濃度が示された。酒酵母21が402.55ppm、ビール酵母1が687.6ppm、酒酵母25が760.61ppmと、高いイソ吉草酸濃度を示した。また、魚醤使用培地を用いた場合、酒酵母13の3日目で908.9ppm、酒酵母21の6日目で694.1ppmが示された。なお、表8、表9に掲載した酵母のうち、野生酵母4はトルラ酵母(Candida utilis)であるが、他はすべてSaccharomyces cerevisiaeであった。
[実施例3:フラスコレベルでの酵母の培養によるイソ吉草酸の生産]
実施例2でイソ吉草酸濃度が400ppmを超えていた株について、スケールアップした検討を行った。イソ吉草酸濃度の再現性があるのかを確認すると同時に、通気効率を上げた場合にイソ吉草酸濃度が変化するかどうかを確認した。また、新たにIAHP-1株(NITE BP-02335)も確認対象に加えた。
培地をファルコン・チューブ(Falcon社製)に3mLずつ分注し、選抜した株を無菌的に接種して30℃で24時間、振とう培養を行った。培養液全量を、表3または4に示す培地100mlを調製した500mLの三角フラスコに無菌的に接種し、30℃で3日間または6日間、振とう培養を行い、培養液のイソ吉草酸の濃度をHPLC法により測定した。
Figure 0007381213000010
Figure 0007381213000011
本実施例の培養条件の方が、試験管レベルでの培養試験(実施例2)に比べて、イソ吉草酸はより多く産生することができた。これは、ファルコンチューブによる培養よりもフラスコによる培養のほうが通気効率が良かったことが原因であると考えられる。また、魚醤使用培地で培養を行った場合、培養3日間でイソ吉草酸濃度が1000ppmを超えるものがあったが、培養6日目では、どちらの培地でもイソ吉草酸濃度が1000ppmを超えるものがあったことから、どちらの培地であってもイソ吉草酸濃度の高い発酵液が得られることが示唆された。
[実施例4:乳酸菌の選抜]
乳酸を添加することに代えて、乳酸菌を培養することとすれば、乳酸は乳酸菌により生産されるため、添加物としての乳酸の添加とならず、また乳酸菌発酵により、呈味が改善・複雑化することが期待できる。そこで、培地に乳酸を添加して酵母を培養するのではなく、乳酸菌により乳酸を産生させた後に酵母を培養することを検討した。まず、そのための乳酸菌を選抜した。
ファルコン・チューブ(Falcon社製)に無菌的に調製したMRS培地(Difco社製) 3mlを入れ、各乳酸菌株を植菌し、37℃で24時間、静置培養した。
チーズのような香気を有する培養液が得られた乳酸菌8株を選抜した。乳酸菌1はLeuconostoc mesenteroides、乳酸菌2はTetragenococcus halophilus 、乳酸菌3はEnterococcus faecalis、乳酸菌4はPediococcus acidilactici、乳酸菌5、6、7、8はLactobacillus rhamnosusであった。
[実施例5:共培養法の検討1]
実施例4で選抜した乳酸菌株8株と、実施例1、2で選抜した酵母株との共培養を行った。
各乳酸菌を用い、表12の培地を使用して37℃で24時間、嫌気培養を行った。培養後の乳酸菌発酵液のpHを測定し、酸性であることを確認した後に、乳酸菌発酵液に表13に示す栄養源を2.5g添加した。さらに表14に示す培地で前培養した酵母培養液を100μL添加し、30℃で6日間、振とう培養を行った。
Figure 0007381213000012
Figure 0007381213000013
Figure 0007381213000014
酵母培養行った後の培養液のイソ吉草酸濃度をHPLC法で測定したところ、下表のようになった。
Figure 0007381213000015
実施例2のように酵母単独で培養した場合は、1000ppm程度までしかイソ吉草酸濃度を増加させることができなかったが、乳酸菌で培養し、その後に酵母を接種して、培養することによって、イソ吉草酸濃度をさらに増加させることができた。特に、酒酵母25と乳酸菌3を組み合わせることによって、発酵液中のイソ吉草酸濃度1983.55ppmが達成できた。なお、
[実施例6:共培養法の検討2]
実施例4で高い効果を奏した乳酸菌2株(乳酸菌3、4)と、実施例5で用いた酵母2株(酒酵母21、25)および実施例1でそれら2株と同様に高い効果を奏した酵母2株(ビール酵母1、酵母菌株IAHP-1(NITE BP-02335))による、共培養法の条件を検討した。
実験は次のように行った。
実験1:
(1) 実施例4と同様に、それぞれの乳酸菌を培養した。
(2) 乳酸菌培養液に実施例4と同様に、栄養源と酵母を添加し、培養した。酵母植菌後1日目、2日目、5日目、6日目のpHを、をpHメーター(HORIBA)で測定した。
また、乳酸菌の効果を検証するために、次の実験も行った。
実験2:乳酸菌と酵母が共存していることが重要であるか否かを検証するため、乳酸菌を培養した後、90℃にまで加熱することにより乳酸菌を殺菌した後に、酵母を接種して培養した。
実験3:乳酸の濃度がイソ吉草酸の高濃度産生のために重要であるか否かを検証するため、表10の培地に乳酸を添加した後、酵母を接種して培養する実験を行った。このとき、乳酸の量は、乳酸菌培養後の培養液中の乳酸濃度をHPLCで測定し、得られた濃度に相当する量とした。具体的には、乳酸菌の培養終了時の乳酸濃度が0.45%程度であったため、酵培地には0.45%となるように乳酸を添加した。
実験4:乳酸菌が産生する乳酸以外の成分の影響を検証するため、酵母エキス・乳酸添加培地(pH 4.32)(表3)を使用し、酵母を培養した。
結果を、図1~3に示した。実験1において、酵母培養開始時(0日目)にはイソ吉草酸は検出されず、イソ吉草酸は、乳酸菌ではなく酵母により産生されていることが分かった。酵母のみによる発酵ではイソ吉草酸濃度は1000ppm程度だったが、乳酸菌との共培養により、イソ吉草酸濃度が1000ppm~2500ppmまで上昇した。酵母を乳酸菌と組み合わせることにより、2000ppmを超えるイソ吉草酸濃度が達成できることが分かった(図1)。
pHは、酵母培養開始時は4~4.5、終了時には5.5程度になった。各培養で大きな差は見られなかった(図2)。pH、乳酸量、または乳酸菌殺菌等の調整を行ったが、調整を行わなかった実験1のイソ吉草酸濃度が高い結果となった(図3)。これらの結果から、酵母発酵の際に乳酸菌が共存していることがイソ吉草酸産生に大きな影響を与えていることが示唆された。
[実施例7:酵母植菌量の検討1]
酵母の植菌量を変え、イソ吉草酸の生産量への影響を検討した。
(酵母シードクリームの調整)
500mlの三角フラスコに下表に示す培地を調製し、酵母菌株IAHP-1(NITE BP-02335)を無菌的に接種し、30℃で24時間、振とう培養を行った。フラスコ60本から、3000rpmで5分間、遠心機器(HIMAC社製)を用いて遠心分離を行って集菌し、上清を除去し、菌体を蒸留水で2回洗浄し、回収した。回収した菌体量を測定し、菌体:水が2:1になるように蒸留水を添加し、懸濁することにより、酵母シードクリームを調製した。また、調製したシードクリームの水分含有量を水分測定器で測定し、その差分から酵母シードクリームの固形分(乾燥重量)を算出した。
Figure 0007381213000016
(乳酸菌シードの調整)
500mLの三角フラスコ内に下表に示す培地を調製し、乳酸菌株(乳酸菌4)を無菌的に接種し、37℃で24時間、静置して嫌気培養を行った。乳酸菌による発酵が進んでいることを確認するために培養上清のpHをpHメーター(HORIBA)で測定し、pH4.1 以下であることを確認した後に、全量の回収を行い、培養を終了させた。この培養液を以下の実験に供した。
Figure 0007381213000017
(イソ吉草酸含有発酵液の調製)
下表に示す培地をJar fermenter(Biot)に調製し、前記の乳酸菌培養液30mLを無菌的に植菌し、37℃で20時間、嫌気培養を行った。乳酸発酵中はJar fermenterの攪拌機を100rpmで稼動させ、培地の温度を一定に保った。その後、前記の酵母シードクリームを固形分として4.08gまたは16.32g、および下表に示す追加栄養源を添加し、30℃で3日間、通気培養を行った。なお、酵母接種後22時間経過した時点から培養終了時まで、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、培養液のpHを8に調整した。
Figure 0007381213000018
Figure 0007381213000019
結果を図4に示した。酵母の植菌量を4倍に増やすと、イソ吉草酸の産生速度は上昇する一方で、その濃度はシードの添加量には比例せず、4倍になることは無かった。このことはイソ吉草酸の濃度は、単に添加する酵母量に比例するものではなく、より複雑な系が寄与していることが示唆された。
また、酵母植菌量を固形分として4.08gとした場合には、イソ吉草酸濃度が2000ppmを超えるために90時間以上(酵母植菌後70時間)要するのに対し、植菌量を4倍にした場合では、培養開始48時間目(酵母植菌後28時間目)には既に2000ppmを超えていた。この結果から、酵母の植菌量を増やすことにより、短時間でより多くのイソ吉草酸を蓄積できることが判明した。
さらに、酵母植菌量を固形分として4.08gとした場合には、培養開始42時間~68時間の間、イソ吉草酸濃度が急激に上昇した。このことから、この間にイソ吉草酸が急激に産生されたことが明らかになった。この間は培養中に水酸化ナトリウムを添加することでpHを8に維持していた。なお、120時間の培養後のイソ吉草酸濃度は、酵母植菌量を固形分として4.08gとした場合には、2306ppm、酵母植菌量を固形分として16.32gとした場合には、2852ppmであった。微生物培養によりイソ吉草酸を製造する試みの中では、特に高い濃度であった。
[実施例8:酵母植菌量の検討2]
これまでの実施例により、(1)イソ吉草酸は、乳酸菌により生産されず、専ら酵母により生産されること、 (2)酵母の植菌量を増加させるとイソ吉草酸の生産量が増加することが明らかになった。
次に、酵母の植菌量を増加させることにより乳酸菌発酵なしにイソ吉草酸を生産できるか否かについて検討した。
(酵母シードクリームの調製)
500mlの三角フラスコに200gのYPD培地(表1)を調製し、酵母菌株IAHP-1を無菌的に接種した後に、24時間 30℃で振とう培養を行った。フラスコは30本使用し、3000rpmで5分間遠心機器(HIMAC社製)を用いて遠心分離を行い、上清を除去した後に、蒸留水で2回菌体を洗浄し、菌体を回収した。回収した菌体量を測定し、菌体:水が2:1になるように、蒸留水を添加し、懸濁することにより、酵母シードクリームを調製した。また、調製したシードクリームの水分含有量を水分測定器にて測定を行い、その差分から酵母シードクリームの固形分を算出した。
(イソ吉草酸含有発酵液の調製)
表19、表20の培地をJar fermenter(Biot)に調製し、前記の酵母シードクリームを固形分として16.32g、および表19の培地を使用した場合はロイシン(和光純薬)11gを加熱殺菌せずにそのまま追加し、30℃で3日間、通気培養を行った。培養中の攪拌速度は500rpm、通気量は0.5vvmとした。なお、酵母接種後20時間経過した時点から培養終了時まで、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、培養液のpHを8に調整した。
Figure 0007381213000020
Figure 0007381213000021
図5の結果より、乳酸添加や乳酸菌培養工程を行わなくとも、イソ吉草酸産生能力の高い株を使用し、さらに酵母の植菌量を増やすことにより、培養24時間で1500~2000ppmのイソ吉草酸濃度を達成できた。この結果は、乳酸発酵を20時間行った後に酵母発酵を24時間行った場合と同程度であった。
また、酵母菌株IAHP-1の場合には、モルトエキス含有培地で培養した場合に比較して、酵母エキスのみを窒素源として加えた培地で培養したほうが、イソ吉草酸濃度が約1.3倍、高かった。
以上より、酵母の植菌量を調整することによってイソ吉草酸を効率的に生産できることが明らかになった。
[実施例9:発酵調味料の製造]
以上の結果を元に、イソ吉草酸を高濃度で含有する発酵調味料の製造方法を検討した。
(酵母シードクリームの調整)
500mlの三角フラスコに表21の培地調整し、酵母菌株IAHP-1を無菌的に接種した後に、30℃で24時間、振とう培養を行った。フラスコ60本から、3000rpmで5分間遠心機器(HIMAC社製)を用いて遠心分離を行って集菌し、上清を除去した後に、蒸留水で2回菌体を洗浄して菌体を回収した。回収した菌体量を測定し、菌体:水が2:1になるように、蒸留水を添加して懸濁することにより、酵母シードクリームを調製した。また、調製したシードクリームの水分含有量を水分測定器で測定し、その差分から酵母シードクリームの固形分を算出した。
Figure 0007381213000022
(乳酸菌シードの調整)
乳酸菌株(乳酸菌4)を 500mLの三角フラスコ内に調製した表16に示す培地に、無菌的に接種した後、37℃で24時間、静置して嫌気培養を行った。乳酸菌による発酵が進んでいることを確認するために、培養後の培養上清のpHを、pHメーター(HORIBA)で測定し、pH4.1 以下であることを確認した後に、全量の回収を行い、培養を終了させた。この培養液を以下の実験に供した。
(イソ吉草酸含有発酵液の調製)
前記の乳酸菌培養液2L分を、表22の培地に無菌的に植菌し、37℃で20時間、嫌気培養を行った。乳酸発酵中、培養槽の攪拌機を50rpmで稼動させ、培地の温度を一定に保った。その後、前記の酵母シードクリーム60L分と表23に示す栄養源を添加し、30℃で3日間、通気培養を行なった。なお、酵母接種後22時間経過した時点から培養終了時まで、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、培養液のpHを8に調整した。
培養終了後、培養液を6NのHClでpHを7に調整した。その後、3000rpmで 5分間、遠心分離を行い、上清を回収した。上清からは、さらにMFろ過フィルターで夾雑物を除去した。回収した培養上清に、NaClを20%となるように添加し、湯煎で90℃まで加温することにより、加塩殺菌を行なった。116.6kgの発酵液が得られ、歩留まりは95%であった。
Figure 0007381213000023
Figure 0007381213000024
発酵中のイソ吉草酸の濃度を、図6に示した。参考のため、イソ酪酸の濃度も示した。イソ吉草酸濃度が1690ppmである液体の発酵調味料液を製造できた。
(分析)
以下の方法で、本実施例で得られた発酵調味料中の、アミノ酸量等を測定した。なお、測定は、食品成分の測定のために用いられる標準的な方法で行った。結果を以下に示した。
Figure 0007381213000025
Figure 0007381213000026
[実施例10:白湯スープ]
下表の配合の白湯スープ(富士食品工業)30mlに、湯300mlを添加し、希釈した。希釈した白湯スープに実施例9で試作した発酵調味料を0.2重量%添加するか、またはそれとイソ吉草酸濃度が同じとなるようにイソ吉草酸試薬(和光純薬)を添加し、官能評価により比較を行った。官能評価は、訓練されたパネラー7名で行った。
Figure 0007381213000027
Figure 0007381213000028
[実施例11:発酵調味料]
イソ吉草酸含有発酵調味料の評価を行った。豚肉のミンチ肉のみを使用した肉みそと豚肉と大豆タンパク質を併用した肉みそ、それぞれのを以下の配合で調理し、発酵調味料添加の効果を検討した。
(大豆蛋白の前処理)
大豆蛋白(粒状大豆たん白等、商品名:アペックス350、不二製油)に対し、2倍量の水を添加して水戻しして用いた。
Figure 0007381213000029
官能評価は、訓練されたパネラー10名で行った。水準1を基準(5点)とし、8点満点で、以下の基準で判断した。
8点:比較例より顕著に肉らしくなる、うまみコク味が顕著にあがる
7点:比較例よりかなり肉らしさがあがる、うまみコク味がかなりあがる
6点:比較例より少し肉らしさがあがる、うまみコク味が少しあがる
5点:比較例の基準点(普通の肉の味、香りがする)
4点:比較例より少し肉らしさが下がる、うまみコク味が少し減る
3点:比較例よりかなり肉らしくなくなる、うまみコク味がかなり減る
2点:比較例より顕著に肉らしくなくなる、うまみコク味が顕著に減る
1点:肉ではない、うまみコク味がほぼない
Figure 0007381213000030
水準1と比較して、発酵調味料を加えた水準2は、肉の味、香り、旨味、コク全てにおいて、強く感じられていた。
また、豚肉の一部を大豆蛋白に置き換えた場合(水準3)は、肉の風味、旨味、コク味のすべてにおいて水準1と比較して劣っていたが、発酵調味料を加えることによって(水準4)、それぞれの評価が高くなることが示された。
以上より、発酵調味料を加えることによって、豚肉ミンチにより調理された肉味噌の肉の風味および呈味性を向上できることが明らかになった。さらに、豚肉ミンチの一部を大豆蛋白に置き換えた場合に失われる肉の風味、呈味性の改善にも、発酵調味料は効果があることが示された。
[実施例12:焼売]
焼売に、実施例9の発酵調味料を添加した検討を行った。大豆蛋白の前処理は、実施例11と同様の方法で行った。
(焼売の餡)
下表の配合で焼売の餡を作成した。5mm程度にみじん切りにした玉ねぎに片栗粉をまぶし、豚挽肉、調味料を混合し、発酵調味料を添加した。また、大豆蛋白を用いた餡も同様に作製した(水準9)。比較例として、大豆蛋白、発酵調味料双方を添加していない餡を用いたものも作製した(水準5)。
Figure 0007381213000031
(成形 蒸し工程)
焼売の皮(モランボン)を用い、10gずつ包餡した。フライパンに油をひき、焼売を並べ焼成し、水を75ml入れ10分間蒸し調理を行った。官能評価を訓練されたパネラー10名により実施した。比較例を5点、満点を8点とし、下記の基準で実施した。
8点:比較例より顕著に肉らしくなる、うまみコク味が顕著にあがる
7点:比較例よりかなり肉らしさがあがる、うまみコク味がかなりあがる
6点:比較例より少し肉らしさがあがる、うまみコク味が少しあがる
5点:比較例の基準点(普通の肉の味、香りがする)
4点:比較例より少し肉らしさが下がる、うまみコク味が少し減る
3点:比較例よりかなり肉らしくなくなる、うまみコク味がかなり減る
2点:比較例より顕著に肉らしくなくなる、うまみコク味が顕著にへる
1点:肉ではない、うまみコク味がほぼない
Figure 0007381213000032
発酵調味料を添加していない水準5と比較して、発酵調味料を添加した水準6~8はいずれも、肉の呈味、肉の香り、旨み、コク味が強く感じられ、肉味噌の場合と同様、肉の風味、呈味性の向上に寄与していることが示された。また、発酵調味料の濃度を、0.05%から0.2%の間で変えて評価したところ、発酵調味料の添加量を増加させることによって、肉の呈味は増加し、評価が上がるのに対し、肉の香りについては、納豆様の発酵臭も増加し、むしろ0.05%の方が高い評価となった。一方、添加した発酵調味料の量は、試験した範囲では旨味、コク味には影響を与えていなかった。
豚ひき肉の一部を大豆蛋白に置き換えた場合(水準9)、大豆蛋白を使用しているにもかかわらず、うま味、コク味が大豆蛋白で代替しない水準5と同じであり、発酵調味料の効果が発揮されていると考えられた。
[実施例13:マロンクリーム]
マロンクリーム(サバトン)に以下の表の割合で発酵液を添加し生クリームとまぜ、訓練されたパネラーによる官能評価を10名で行った。結果を下表に示した。
Figure 0007381213000033
発酵調味料を添加することにより、甘味やコク味が増強され、また栗本来の味や風味も強くなり、好ましい結果となった。
[実施例14:粒あん]
粒あん(井村屋)に、下表の割合で発酵調味料を添加し、官能評価を訓練されたパネラー10名で行った。結果を以下表に示す。
Figure 0007381213000034
イソ吉草酸含有発酵調味料を添加することにより、味全体の甘味やコク味が増強され、また小豆本来の味や風味も強くなり、好ましい結果となった。
[実施例15:大豆蛋白を用いたハンバーグ]
発酵調味料を添加した大豆蛋白を用いたハンバーグを評価した。すなわち、粒状の大豆蛋白(アベックス350、不二製油)を、発酵調味料を添加した水で水戻した。また、粉末状大豆蛋白(ニューフジプロ3000、不二製油)と乾燥卵白に、大豆油(日清デリカエースヘルシーアップRO、日清オイリオ)を加え、フードプロセッサーで混合し、エマルジョンカードを作成した。これらを混合後、さらに残りの調味料などを添加し、ハンバーグ生地を調製した。
Figure 0007381213000035
生地を30gずつ分割し、俵状に成形し、加熱水蒸気オーブンで、190℃で400秒間、焼成、した。冷却した後に、-35℃の急速冷凍庫で凍結させた。-25℃のフリーザーで1週間保存後、電子レンジで解凍・加熱したのちに官能評価に供した。
官能評価は、訓練されたパネラー10名で行った。うま味、コク味、特異臭(発酵調味料由来の臭い)、青臭み、えぐみ、豆臭の6項目で行った。うま味、コク味、特異臭は、比較例を1点とする5段階評価とした。また、青臭み、えぐみ、豆臭については、比較例を5点とする5段階評価とした。
うま味、コク味
5点:うま味、コク味が強く感じられ、好ましい。
4点:うま味、コク味があり、好ましい。
3点:うま味、コク味を感じる。
2点:うま味、コク味をわずかに感じる。
1点(比較例):うま味、コク味を感じない。
特異臭
5点:特異臭を感じ、非常に不快に感じる。
4点:特異臭を感じる。不快に感じる。
3点:特異臭をわずかに感じる。不快ではないが、気になる。
2点:特異臭をわずかに感じるが、気にならない。
1点(比較例):特異臭を感じない。
青臭み、えぐみ、豆臭
5点(比較例):比較例と同じ(青臭み、えぐみ、または豆臭があり、気になる)。
4点:比較例より、青臭み、えぐみ、または豆臭が若干減じられている。
3点:比較例より、青臭み、えぐみ、または豆臭が減じられている。
2点:青臭み、えぐみ、または豆臭をわずかに感じるが、気にならない。
1点:青臭み、えぐみ、または豆臭を感じない。
Figure 0007381213000036
発酵調味料を添加した水準17、18では、うま味、こく味などの呈味性が増強し、発酵調味料の特異臭は増加するものの、青臭さ、えぐみなどは低減できた。水準18は水準17より発酵調味料の添加量を増加させているが、それによってうま味、こく味などの呈味性が向上し、発酵により産生された納豆様の香気の特異臭は増すものの、青臭さ、えぐみについては大幅に軽減された。試料の添加量に依存して効果が上昇した。
以上より、発酵調味料を大豆蛋白を用いたハンバーグに使用することにより、呈味性を向上させ、大豆蛋白の青臭さや独特のえぐみなどを低減させることができることが明らかになった。

Claims (7)

  1. サッカロマイセス属、キャンディダ属またはハンセヌラ属に属する酵母発酵物を用いた発酵調味料組成物であって、固形分2.0%の液に換算したときに、イソ吉草酸を1500ppm含有する、発酵調味料組成物。
  2. 酵母が、サッカロマイセス・セレビジエ、キャンディダ・ユーティリス、またはハンセヌラ・スアベオレンスである、請求項1に記載の発酵調味料組成物。
  3. 酵母発酵物が、乳酸菌培養物の酵母発酵物である、請求項1または2に記載の発酵調味料組成物。
  4. 乳酸菌が、エンテロコッカス・フェカリス、ペディオコッカス・アシドラクティチス、ラクトバチルス・ラムサノス、ロイコノストック・メゼンテロイデス、またはテトラゲノコッカス・ハロフィラスである、請求項3に記載の発酵調味料組成物。
  5. ロイシンを0.3%以上含み、乳酸を含有するpHが5.0以下である培地、ロイシンを0.3%以上含み、魚醤、モルトエキス、及び豆乳からなる群より選択されるいずれかを含む培地、またはロイシンを0.3%以上含む、pH5.0以下の乳酸菌培養物を、サッカロマイセス属、キャンディダ属、およびハンセヌラ属からなる群より選択されるいずれかの属に属する酵母で発酵し、酵母発酵物を得る工程;および
    得られた酵母発酵物から固形物を除去して発酵液を得る工程
    を含む、イソ吉草酸を含む発酵調味料組成物の製造方法。
  6. 培地または乳酸菌発酵物が、魚醤、モルトエキス、及び豆乳からなる群より選択されるいずれかを含む、請求項5に記載の製造方法。
  7. 肉風味の増強、植物タンパク質の不快風味のマスキング、または甘味の増強のためのものである、請求項1~4のいずれか1項に記載の発酵調味料組成物。
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