JP3881557B2 - キノコ類発酵食品の製造方法、キノコ類発酵食品、およびそれを添加した食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キノコ類を発酵処理して、キノコ類が本来有する生理活性作用、例えば免疫賦活作用、抗癌作用、抗酸化作用などを増加させると共に高齢者にも消化吸収を良くし、さらには食味を改善し、発酵菌である麹菌類の生育をコントロールし、胞子形成を抑制することにより、麹菌特有の胞子の色、例えば、黒色に着色しないように食品として視覚的に食欲を阻害することのないキノコ類発酵食品の製造方法、キノコ類発酵食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
発酵食品(以下「発酵食材」ともいう)にキノコ類あるいはそのエキスを添加することはあっても、キノコ類自体を直接発酵素材として発酵させた発酵食品は知られていない。また、キノコ類を原料として多くの医薬品が生産されている事情からみて、キノコ類はそれ自体が機能性食品である。しかしながら、キノコ類は食品という観点からみると、好き嫌いの激しい食品で、キノコ類が嫌いな人にとっては、それがどんなに薬効があっても、臭いを感じるだけで食欲をなくしてしまう人もいる。又、高齢者にとって消化吸収の良い食品ではない。したがって、キノコ類特有の臭いを抑制し、キノコ類の嫌いな人にとっても素直に食することができ、しかもキノコ類の有する機能性を兼ね備えた消化吸収の良い優れた健康に良い食品の開発が重要となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
キノコ類は南方系から北方系まで多様で、その種類は約4000〜5000種あるとされていて、このうち2000種近くが同定され、約一割の200種が食用になることが認められている。そして、キノコ類には、数多くの抗腫瘍活性成分が見いだされていて、その一つが多糖体(β−D−グルカン)で、代表的なものとして椎茸のレンチナン、カワラタケのクレスチン、スエヒロタケのシゾフィンラン等がある。また、血圧降下作用を示すマンネンタケ(霊芝)のトリテルペン、血清コレステロール低下作用を示す椎茸のエリタデニンがある。このように、一般にキノコ類の多くが抗がん作用あるいは免疫賦活作用などの生理活性成分を有し、健康に良いといわれている。しかし、その活性成分の一つであるβ−グルカンは分子量が数十万と大きく、その消化吸収には疑問がもたれている。また、キノコ類はミネラルその他滋養成分が多いが、消化吸収されにくい食品でもあり、また独特の臭いがあり、上記のように栄養成分が多いにもかかわらず好き嫌いの激しい食品でもあるという短所も有する。
【0004】
本出願人は永年発酵食品技術分野において研究開発を行って得た知見に基づき、新規な発酵方法および発酵食品を見い出した。すなわち、上記のように長所、短所を兼ね備えたキノコ類を発酵させることにより、さらに新しい生理活性作用を付加すると同時に、本来有する生理活性作用を増強することで、高齢者にも消化吸収を良くし、食味、旨味も改善したキノコ類発酵食品の製造方法、キノコ類発酵食品、およびそれを添加した食品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、次の構成を有する。すなわち、
【0006】
請求項1の発明は、キノコ類に、麹菌を接種して閉鎖系環境下で一次発酵させ、次に酵母菌又は乳酸菌を接種して二次醗酵させることを特徴とするキノコ類発酵食品の製造方法であることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、キノコ類に、麹菌を接種して閉鎖系環境下で一次発酵させ、次に酵母菌又は乳酸菌を接種して二次醗酵させることを特徴とするキノコ類発酵食品であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用いて具体的に行う。図1は本発明の一実施例であるキノコ類発酵食品の製造工程を示す製造工程図、図2は柴田化学製油脂TBAテスターに基づく椎茸発酵エキスの食用油に対する抗酸化性を示す抗酸化性グラフ、図3は黒色胞子形成抑制臨界調査を示すグラフである。図1において、本実施例に係るキノコ類発酵食品の製造方法を説明する。この製造方法に用いられるキノコ類には、生椎茸又は干し椎茸が原料として使用される。なお、キノコ類である椎茸は、これ以外の担子菌類、例えば、松茸、エノキタケ、アガリクス、エリンギ、ツクリタケ、マイタケ、ナメコ等のキノコ類を使用してもよいのは言うまでもない。さて、まず最初に生椎茸のトリミング工程1において、生椎茸に付着した石ずき等の異物を除去するために生椎茸をトリミングする。干し椎茸の場合には、水分含有率を65〜85%になるように調整する。次工程の裁断工程2でそのトリミングされた生椎茸を5mm角程度に裁断する。
【0009】
裁断工程2を経た生椎茸は半乾燥工程3で、麹菌が生育し易いように半乾燥処理される。ドンコ椎茸の場合は、重量で約二分の一、水分含有率で65〜85%になるように調整される。また乾燥方法は送風乾燥、熱風乾燥、マイクロ波乾燥等一般的に知られた食品の乾燥方法が用いられる。次に、半乾燥工程3を経た生椎茸は、蒸煮殺菌工程4において耐熱容器に充填される。充填量は例えば容器容量1000ml当たり30g〜250g、より好ましくは100g〜150gが良い。充填後に蒸煮殺菌処理がなされるが、酵素活性の失活及び殺菌という観点からは、単なる加熱処理でも良い。加熱処理の条件としては、加熱温度が80℃〜130℃、より好ましくは100℃〜120℃の温度範囲、加熱時間が3分以上、加熱方法としてはマイクロ波、蒸煮、あるいは加熱蒸煮等の手段が採用される。こうして、蒸煮殺菌工程4で殺菌と麹菌の生育を促進させる処理が施される。エキス類の添加は、加熱工程の前後で良いが、閉鎖環境下においては、加熱工程の前に行う。
【0010】
蒸煮殺菌工程4を経た生椎茸に、麹接種工程5で麹菌、例えば、Aspergillusphoenicis(IFO8872)を接種する。これ以外にも、麹菌としてAspergillus niger, Aspergillus oryzae, Aspergillus kawachii, Aspergillus sojae,等醸造食品に利用される麹菌類が使用できる。麹接種工程5を経た生椎茸は次工程の純粋発酵工程6において発酵させる。この際に、好ましくは、周囲雰囲気から遮断された閉鎖系環境下で無菌培養して発酵させる。この発酵条件は、たとえば温度範囲が10℃〜35℃、より望ましくは25℃〜30℃、培養期間が5日〜50日、より望ましくは10日〜35日間である。こうして一次発酵たる純粋発酵工程6を経ることにより発酵椎茸が得られる。
【0011】
上記発酵椎茸は、次工程のペーストミキシング工程7で生椎茸の蒸煮処理品とブレンドされてペースト化される。すなわち、ここで投入される生椎茸は、上記したと同様の生椎茸トリミング工程8,裁断工程9および蒸煮殺菌工程10の各工程を経て生成された蒸煮処理椎茸である。本ペーストミキシング工程7においては、工程6を経た発酵椎茸、工程10を経た蒸煮椎茸、食塩、昆布パウダー、鰹パウダー、水、酵母懸濁液、乳酸菌懸濁液等が添加配合される。ここで、酵母、乳酸菌等が投入され、ペースト状にミキシングされて二次発酵が行われる。る。酵母としてはSaccharomyces cervisiae,Zygosaccaromyces rouxii,Candida tropicalis,Candida etchellsii等であり、乳酸菌としてはLactobacillus delbrueckii,Lactbacillus plantarum,Lactobacillus sake,Streptococcus thermophilus,Leuconostoc mesenteroides,Tetragenococcus harophilus等を用いることができる。
【0012】
ペーストミキシング工程7を経た後、熟成工程11に移行する。ここでは、熟成温度は4℃〜35℃の範囲で、より望ましくは冷蔵で5℃〜20℃の範囲が良く、熟成期間は3日以上にして熟成させる。こうして各製造工程1〜11を経ることで椎茸発酵食品が得られることになる。
【0013】
次に、椎茸発酵食品の製造工程における菌の役割について説明する。すなわち、水分調整した椎茸に麹菌が工程5で接種され、工程6で一次発酵されるが、このとき麹菌の酵素アミラーゼによって椎茸の炭水化物成分が低分子の糖類に、酵素プロテアーゼによりタンパク質あるいは核酸がアミノ酸や旨味成分に、酵素エステラーゼによりタンパク質が旨味成分に、酵素リパーゼにより脂肪がグリセリン、脂肪酸に変化する。その他酵素類により椎茸成分が分解され、旨味成分、抗酸化成分等の生理活性成分が生成してくる。
【0014】
また、ペーストミキシング工程7において、麹菌で発酵させた椎茸に酵母菌や乳酸菌が接種されて二次発酵が行われるが、このとき酵母により糖分がアルコールやグリセロールに代謝され、コク味、まろやかさ、香り等が付与される。また、乳酸菌により糖分が有機酸類に変化する。この有機酸類により、食品としてのほどよい酸味を呈し、かつ保存性が向上する。
【0015】
油脂の劣化度の測定を柴田科学製の油脂TBAテスターCODE8057−41を用いて実施した。その結果を図2に示す。
【0016】
また、図3に示されるように、麹菌(Aspergillus phoenicis IFO8872)の発酵中に黒色胞子が形成されるのを抑制する効果が現れる胞子形成臨界点、かさ比重の異なる動物性食材での胞子抑制臨界点を、発酵容量と充填量(重量あるいは容量)との相関関係で調査した。これによれば、容器容量1000mlに対して充填量が35g以上のとき黒色胞子が形成されないことが判明した。かかる発酵条件の下で椎茸を発酵させれば、黒色に着色される事態を回避できる。このように、本実施例の椎茸発酵食品の製造方法によれば、閉鎖系で椎茸を発酵させたので、黒色胞子の形成を円滑に抑制でき、したがって視覚的にも食欲をなんら損なうことのない椎茸発酵食品を得ることができ、またこの椎茸発酵食品はそのままペースト状調味食品として幅広く料理に使用できる。また、椎茸発酵食品の上澄み液は調味液の態様で使用できる。また、係る製造方法により製造された椎茸発酵食品には、消化吸収を向上し、クセを抑制し、発酵熟成により椎茸特有の生臭味、キノコ臭を無くすることができる。また、発酵熟成時に麹菌が生成する酵素類、例えばセルラーゼ等により軟化され、消化吸収が向上できる。又、発酵食品をろ布等によってしぼって生じた上澄み液は調味液として使用できる。
【0017】
椎茸発酵食品を食品に練り込み添加した食品に係る実施例を説明する。
1.椎茸発酵食品を食品素材ハンバーグの材料中に添加して練りあげ、ハンバーグ食品すなわち、椎茸発酵食品を食品素材ハンバーグの材料中に添加して練りあげ、ハンバーグ食品を加熱処理すれば、食することができる。
かかるハンバーグに椎茸発酵食品を練り込み添加(無添加を対照とし、2%、4%および6%添加)した場合の、その香り、味、食感に及ぼす効果を、色々な年代層8人をパネラーとして評価した。評価法は香り、味、食感の各項目について、好ましくないものを1点、最も好ましく感じるものを5点とする5段階評価を行った結果、図4、図5、図6に示す官能評価表を得た。なお、添加数字はハンバーグ重量に対して練り込んだ椎茸発酵食品の配合比率を示す。図4、図5、図6によれば、椎茸発酵食品を添加したハンバーグ食品は、椎茸発酵食品を4%添加した方が、味がまろやかになり、挽肉の獣肉臭が抑制された。また、食感的にソフトになりジューシーになったという官能評価を得ることができた。しいたけの味、臭いは全くしなかった。
【0018】
2.椎茸発酵食品を手作り食品素材餃子に添加した食品また、椎茸発酵食品を手作り食品素材餃子に添加した食品を作る実施例を説明する。キャベツ、豚挽肉、白菜、ニラ、ニンニクをみじん切りにしたもの、ショウガをみじん切りにしたものを混ぜた餃子の具に、椎茸発酵食品を添加した餃子を作ったものである。図7,図8に示されるように、餃子に椎茸発酵食品を2%、4%添加したもの、および対照となる無添加の3種類を作り、上記ハンバーグと同様によるモニター評価を行った。モニターは12才から58才まで8人(図5(a))で、餃子を試食することによる味と、食感についての官能評価を5段階で評価した。評価法は、1が「悪い」、2が「あまりよくない」、3が「ふつう」、4が「まあ良い」、5が「良い」とした。
【0019】
かかる官能評価の結果、図7(c)および図8(b)の各棒グラフからも明らかなように、各モニターによる味と食感について、対照や2%添加の場合よりも4%添加の場合が、一番まろやかな味で、コクがあり、ジューシーで、しかもニンニクの臭いが抑制されていたという評価を得た。
3.焼肉のたれ、畜肉・魚肉練製品、ラーメン、カレー、シチュー味噌汁等和洋中の食品素材に添加して加工した食品。
本発明の発酵食品を、焼肉のたれ、畜肉・魚肉練製品、ラーメン、カレー、シチュー味噌汁等の調理の際に、重量約4%程度を添加した。いずれも旨みが増強され、こくがあり且つまろやかになる良好な官能評価の結果を得た。
4.調味液の製造例及び使用例椎茸発酵食品をろ布でしぼって作った調味液を添加して煮いわしを調理した。又、焼き魚に調味液をかけて使用した。いずれも良好な官能評価の結果を得た。
【0020】
以上、この発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更等があっても本発明に含まれる。例えば、上記ではキノコ類として椎茸を取り上げて説明してきたが、アガリクスでもよい。アガリクスはアガリクス・ブラゼイの効能が注目されていることは周知である。すなわち、アガリクスには、抗高血圧作用、抗腎機能不全作用、抗炎症作用、抗糖尿病作用、抗高脂血症作用、アトピー性皮膚炎改善作用、脳虚血性傷害改善作用、抗がん作用、免疫増強作用等があることが報告されている。しかし、かかる生理活性効果を有する一方で、アガリクスには独特の臭いがあり、かつ大変味がまずいキノコである。まずいと思いながらも薬効のために、アガリクスを煎じて呑んだり、食している人が多い。ところが、アガリクスを本発明による発酵を行うことにより、食品として抵抗なく摂取することができ、調味食品として使用すれば、他の食材も美味しく食することができ、その結果日常の食生活の中で無理なく摂取できる効果がある。また、エリンギは生理活性効果として高脂血症改善効果が報告されているが、椎茸の代わりに、エリンギを使用すれば、強い抗酸化力があり高脂血症改善効果に優れた発酵食品となる。また、このほかに椎茸の代わりとして、松茸、エノキダケ、マイタケ、ナメコ、マッシュルーム、しめじ等であってもよいのは勿論である。また、上記製造方法では、キノコ類に接種する微生物として麹菌、乳酸菌、酵母をそれぞれ使用した場合について説明したが、これら全てを使用するのでなく、いずれか一つだけを使用したり、あるいはいずれか2つの組み合わせにより使用してもよい。また、上記製造方法では、椎茸に麹菌を接種して発酵を行ったが、この発酵の際に、野菜類および/またはそのエキス、果実類および/またはそのエキス、穀類および/またはそのエキス、海草類および/またはそのエキス、海藻類および/またはそのエキス、魚介類および/またはそのエキスの群から選ばれた一つまたは複数を添加して閉鎖系環境下で発酵および/または熟成し、必要に応じて味付けする構成にすることもできる。また、上記では食品素材として、ハンバーグ、餃子について例を挙げて説明したが、これ以外に例えば煮魚、焼肉のたれ、畜肉・魚肉練製品、ラーメン、カレー、シチュー味噌汁等和洋中の食品素材に椎茸発酵食品を添加して食品を製造してもよい。また、椎茸を閉鎖系環境下で発酵させた後において、野菜類および/またはそのエキス、果実類および/またはそのエキス、穀類および/またはそのエキス、海草類および/またはそのエキス、海藻類および/またはそのエキス、魚介類および/またはそのエキスの群から選ばれた一つまたは複数を添加して熟成し必要に応じて味付けしてもよいのは言うまでもない。
【0021】
【発明の効果】
本願発明に係わるキノコ類発酵食品の製造方法は、多くの栄養機能を有するキノコ類を食材とし、これに麹菌を接種して発酵させる構成にした。担子菌類であるキノコを発酵させる、すなわち菌類を菌類で発酵させることにより子実体を軟化させ消化吸収を良くし味の改善を大幅に図ることができた。これにより栄養機能の宝庫でもあるキノコ類の嫌いな人にとっても抵抗なく素直に食することができるようになった。
【0022】
又、本願発明に係わるキノコ類発酵食品の製造方法は、閉鎖系容器で発酵量を規定することにより、食としてマイナス要因である麹菌の胞子形成が抑制でき、ひいては視覚的にも食欲を阻害することを回避したキノコ類発酵食品を得ることができ、しかもキノコの有する機能性、すなわち抗酸化性に優れた機能性食品を得ることができる効果を奏する。
【0023】
又、本願発明は、前記キノコ類に、野菜類および/またはそのエキス、果実類および/またはそのエキス、穀類および/またはそのエキス、海草類および/またはそのエキス、海藻類および/またはそのエキス、魚介類および/またはそのエキスの群から選ばれた一つまたは複数を添加した状態で、閉鎖系環境下で発酵および/または熟成し、必要に応じて味付けした構成であるので、かかる製造方法により製造したキノコ類発酵食品は、そのままペースト状調味食品として幅広く料理に使用でき、また、キノコ類発酵食品の上澄み液は、調味液としても使用できる効果を奏する。
【0024】
又、本願発明は、キノコ類を閉鎖系環境下で発酵させたキノコ類発酵食品に、野菜類および/またはそのエキス、果実類および/またはそのエキス、穀類および/またはそのエキス、海草類および/またはそのエキス、海藻類および/またはそのエキス、魚介類および/またはそのエキスの群から選ばれた一つまたは複数を添加して熟成し必要に応じて味付けした構成にしたため、ペースト状調味食品として幅広く料理に使用できる効果を奏する。
【0025】
又、本願発明は、キノコ類を細かく裁断する裁断工程、該裁断工程を経たキノコ類の水分を調整する半乾燥工程、該半乾燥工程を経たキノコ類を酵素失活して殺菌する殺菌工程、該殺菌工程を経たキノコ類に麹菌を接種する麹接種工程、該麹接種工程を経たキノコ類を周囲環境から閉鎖して無菌培養する発酵工程、該発酵工程を経た発酵物に純粋培養した酵母および/または乳酸菌を添加するペーストミキシング工程、および該ペーストミキシング工程を経た発酵物を熟成する熟成工程からなる構成を有するので、請求項1の発明と同様の効果を奏する。
【0026】
又、本願発明は、キノコ類発酵食品であって、キノコ類に、麹菌、乳酸菌および酵母の群から選択された一種または複数種を接種して閉鎖系環境下で発酵させる構成を有するので、本願発明に係る製造方法により製造されたキノコ類発酵食品と同様の効果を奏する。
【0027】
又、本願発明は、前記キノコ類に、野菜類および/またはそのエキス、果実類および/またはそのエキス、穀類および/またはそのエキス、海草類および/またはそのエキス、海藻類および/またはそのエキス、魚介類および/またはそのエキスの群から選ばれた一つまたは複数を添加して閉鎖系環境下で発酵および/または熟成し、必要に応じて味付けした構成であるので、請求項2の発明により製造されたキノコ類発酵食品と同様の効果を奏する。
【0028】
又、本願発明は、前記キノコ類を閉鎖系環境下で発酵させた後、野菜類および/またはそのエキス、果実類および/またはそのエキス、穀類および/またはそのエキス、海草類および/またはそのエキス、海藻類および/またはそのエキス、魚介類および/またはそのエキスの群から選ばれた一つまたは複数を添加して熟成し必要に応じて味付けした構成であるので、請求項3の発明により製造したキノコ類発酵食品と同様の効果を奏する。
【0029】
又、本願発明に係るキノコ類発酵食品を添加した食品は、請求項6乃至8のいずれか一に記載のキノコ類発酵食品を、ハンバーグ、餃子、煮魚、焼肉のたれ、畜肉・魚肉練製品、ラーメン、カレー、シチュー、味噌汁等和洋中の食品素材に添加して加工する構成にしたため、食品素材の味、食感、香り等の改善を大幅に図ることができる効果を奏する。請求項11の発明に係るキノコ類発酵食品から製造した調味液は、請求項7乃至10のいずれか一に記載のキノコ類発酵食品から、加工して(ろ布等によりしぼり)、得られた上澄み液を、調味液としたものである。この調味液は、食品素材の味、食感、香り等の改善を大幅に図ることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例におけるキノコ類発酵食品の製造工程を示す製造工程図である。
【図2】 油脂の劣化度の測定を柴田科学製の油脂TBAテスターCODE8057−41を用いて実施した図である。
【図3】 黒色胞子形成が抑制される臨界を容器容積と充填量の関係を示す図である。
【図4】 椎茸発酵食品をハンバーグに添加したときの官能(香り)結果を示す評価表である。
【図5】 椎茸発酵食品をハンバーグに添加したときの官能(味)結果を示す評価表である。
【図6】 椎茸発酵食品をハンバーグに添加したときの官能(食感)結果を示す評価表である。
【図7】 椎茸発酵食品を餃子に添加したときの官能評価データであり、(a)はモニター一覧表、(b)は味の評価を数値化した評価表、(c)は(b)を棒グラフで示した味評価グラフである。
【図8】 椎茸発酵食品を餃子に添加したときの官能評価データであり、(a)は食感に関する評価表、(b)は(a)を棒グラフで示した食感評価グラフである。
【符号の説明】
1…生椎茸のトリミング工程、2…裁断工程、3…半乾燥工程、4…蒸煮殺菌工程、5…麹接種工程、6…純粋発酵工程、7…ペーストミキシング工程、8…生椎茸トリミング工程、9…裁断工程、10…蒸煮殺菌工程、11…熟成工程
Claims (2)
- キノコ類に、麹菌を接種して閉鎖系環境下で一次発酵させ、次に酵母菌又は乳酸菌を接種して二次醗酵させることを特徴とするキノコ類発酵食品の製造方法。
- キノコ類に、麹菌を接種して閉鎖系環境下で一次発酵させ、次に酵母菌又は乳酸菌を接種して二次醗酵させることを特徴とするキノコ類発酵食品。
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