JP2006238857A - 醗酵加工野菜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生野菜を洗浄し、さらに付着菌による汚染防止処理を施したものを、細断、磨砕等の前処理を施し、乾燥工程を経て含水率15%以下の乾燥野菜粉末としたもの、並びに濃縮工程を経て、濃度20〜60%程度に濃縮したものの、各々に糖類と有機酸を適宜添加混合し、pH7以下調製したものに酵母類、コウジ菌類、乳酸菌類の一種ないしは複数種組み合わせて種菌として添加し、さらに好気的に混合、撹拌して醗酵前駆体と成す。これを容器に充填して容器内で醸成、熟成させて醗酵加工野菜とする。
【選択図】なし
Description
従って、現状では消化性潰瘍やストレス性胃腸障害に作用効果を示す野菜食材は皆無である。
野菜の香気成分は酵素作用で生合成された精油成分であるが、抽出された多くの精油は平滑筋と感覚神経に同時に作用して胃の弛緩と腸の緊張および蠕動を亢進させる駆風作用を示し、内服によって胃腸粘膜を刺激し、運動と分泌を促すため健胃劑として有効であるとされており、医薬品の駆風劑として生薬に利用されていることは公知の事実である。
例1)生のキャベツの精油成分として、アリルイソシアネート、γ−ジメチルメルカプト−α−アミノ−ブチリックアシド−サルフォニームソルト、I−S−メチルシステインサルフォキサイド等が機能性の発現物質と考えられるが、課題▲1▼、刻んだ新鮮な生キャベツを摂取した場合や、課題▲2▼、新鮮な生キャベツジュースを摂取した場合、精油の生成、分離の過程で豊富に含有する金属酵素カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコシダーゼ等が未変性のため疎水性領域に保持され、酵素表面に露出しないので触媒反応が促進されない。それ故、胃腸で機能性の発現に到らないものと考えられる。また、課題▲3▼、乾燥した粉末キャベツを復水で戻し、ジュ−スにして摂取した場合に機能性が発現しない理由は、キャベツを乾燥粉末化したことで酵素ミロシナーゼ、グルコシダーゼが失活し、精油の生成分離が促進されないためであると思われるが、醗酵体と成すことにより酵素の賦活化並びに生成が精油の生成分離を促すので機能性が発現するものと考えられる。
例2)課題▲1▼、大根おろしの場合も、精油の主成分としてブチル−クロトニル−イソシアネート、ブチル−ブチル−イソシアネート、ジメチル−スルフィド等が機能性の発現物質と考えられるが、これも上述のキャベツジュースと同様な機序で説明することができるが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人が摂取した場合、酵素アミラーゼが胃酸の分泌を亢進させるので、患部に痛みをともない、潰瘍を悪化させる要因となる。胃潰瘍患者に柔らかく煮た大根やキャベツを食事に出す理由は消化性が改善された栄養価の優れた食材として考えられたものであろうが、一方で加熱により酵素を失活させたことにより、胃酸の分泌を抑制する意味でも整合性がとれた良い食事と言える。
例3)課題▲3▼、桜餅の材料となる桜の葉や花を粉末化し水に溶かして摂取した場合も、濃縮した場合も同様で、精油の主成分、クマリンはアントシアニンと結合した配糖体として潜在的に含有しているが、醗酵体と成すことによりβグルコシダーゼ等の加水分解酵素が作用し、クマリンが遊離するので機能性が発現されるものと考えられる。
例4)ニンニクの精油は配糖体アリインであるがニンニク根を磨砕することにより加水分解酵素アリイナーゼの作用を受けて精油アリシンとなるが不安定で水蒸気や加熱により分解され、含硫化合物ジアリル−ジスルフィド、ジスルフィド等、他にゲラニオール、リナロール等の精油となるが、課題▲1▼、生のおろしニンニクの状態で摂取した場合、タンパク質のペプチドや糖質の含有量が多く、酵素プロテアーゼ、酵素アミラーゼが胃酸の分泌をより亢進させるので、逆に精油が潰瘍を悪化させる要因ともなる。醗酵体と成すことにより、ペプチドや糖質の消化性が改善されるので胃酸の分泌が抑制され、さらに
次に、例5)真菌植物類であるキノコについて詳述する。キノコ類の精油は主に配糖体として柄と傘部に存在するが、醗酵体と成すことにより加水分解酵素グルコシダーゼがレンチオニン、ベンジル−イソチオシアネート、ベンズアルデヒド−シアノヒドリン等を遊離するので機能性が発現されるものと考えられる。ちなみにマツタケやシイタケの精油はメチルシナメート、オクテノール等、シイタケはレンチオニン等である。
次に例6)藻類、例えば紅藻類のオオソゾにはメタンシオール、ミルセン、d−リモネン、シネオール等、また緑藻類のアオ海苔やアオサには、αーメチルフルフラール、αーピネン、d−リモネン、ターピネオール、シネオール等の精油が遊離して機能性を発現するものと考えられる。
以下、『第一工程』として生野菜の前処理過程、『第二工程』として乾燥、濃縮処理等による醗酵前駆体の製造工程、『第三工程』として前駆体から醗酵体を製造する工程および『摂取方法』、『好ましい実施条件』について各々詳述する。
『第一工程』について説明する。
採取した生野菜は処理前に土壌菌や空気中の雑菌、例えば付着微生物、乳酸菌、酵母、コウジ菌、酢酸菌等に汚染されているので採取直後から広義の醗酵がはじまり、時間の経過と伴にこれらの微生物、菌体(主体は酵母、乳酸菌、コウジ菌、他の真菌類等)の酵素作用で葉、茎の外側組織から浸潤し徐々に醗酵が進行する。同時に、葉組織(細胞)においても根を切られた野菜自体(仮死状態から死に到る経過)に必然的に励起される組織内酵素による消化作用、取り扱い上、野菜に物理的ストレスを与えて起こる酵素作用が、組織内で自動消化を進行させるので“組織に弛み”が起り、自然醗酵が促進される。しかしながら自然醗酵を利用する場合、採取した生野菜の有害付着菌、例えば大腸菌群(Aerobacter、Sc.faecium等)、真菌(Asperrgillusflavus,Penicillum等)の有害微生物に汚染される場合も想定されるので、その管理対策として有害となる付着微生物や付着菌の“汚染防止処理”を施すことで、最終製品となる醗酵体の、糖濃度、水素イオン濃度、殺菌料の有無等による依存性を少なくできるので、広範囲の商品目的に対応する際に非常に有利である。“汚染防止処理”とは短時間の湯どうし、高温蒸気による高温短時間殺菌および高温空気加熱による高温短時間殺菌、放射線、紫外線等の照射処理、殺菌剤溶液の浸漬を指すものであるが、その目的は有害付着微生物の減少やその酵素の不活化であり、重要なことは生野菜の持つ酵素作用(組織内で進行する自然醗酵を含む)の不活化を意味しない。
『第二工程』乾燥又は濃縮工程、醗酵前駆体製造工程について説明する。
予め付着微生物による汚染防止処理をした生野菜を各々、ホモゲナイズし噴霧乾燥工程を経て含水率8%以下の乾燥野菜粉末としたもの、または乾燥物品温が60℃以下の低温熱風乾燥法、真空乾燥法、真空凍結乾燥法により製造した野菜乾燥物を粉砕し、含水率8%以下の乾燥野菜粉末とする。或いはコロイドミル等で磨砕したものを薄膜式濃縮法、カランドリヤ式濃縮法等で濃度、約20〜60%に真空濃縮し、液状ないしは練り状の野菜濃縮物とした物に“種菌”を添加し、濃度5〜100%の液状もしくは粉末状糖類と有機酸を添加混合させて混練し、必要に応じ加温しながら、好気的に良く撹拌混合させpH7以下、好ましくはpH7以下の最適活性に調製し、さらに醗酵が促進するように良く混練させて醗酵前駆体を製造する。
“種菌”として酵母類(Sacch.cerevisiae,Canndidautilis,Rhodotorulagracilis、磨砕酵母等)、コウジ菌類(Streptcoccus,Micrococcus,Aspergillus oryzae等)、乳酸菌類として(Streptcoccus,Pediococcus.Leuconostoc,Lactbacillus等)が挙げられるが各々1種ないしは複数種を組み合わせて使用するのが好ましい。また当該醗酵加工野菜を“種菌”として添加代用することもできる。糖の種類は高濃度の難醗酵性糖類、例えばマルチトール、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコール類は好ましくないが、各種オリゴ糖、非還元糖および還元糖をとわず醗酵性糖類との混在に於いては問題を生じない。有機酸として、例えば醸造および合成のクエン酸、リンゴ酸、酢酸等、あるいはそれらの混合物で調製した水溶液または、果実汁、有機酸で適宜調製した果実汁、または果実濃縮汁等が挙げられる。『第三工程』について説明する。当該醗酵前駆体を撹拌器付き容器に導入し、再度醗酵を促すために好気処理を行う場合もあるが、通常はビン等の密封容器に充填し、一定期間エイジングさせて醗酵体と成す。野菜の種類、外気温によって醗酵状態が変動するが室温で約10日以上エイジングさせることにより可及的にエイジングが調製され、炭酸ガスの0.2mm前後の小気泡が全体に均一に発生、および乳酸およびアルコールの検出をもって製品とするのが一番好ましい。冬期に製造する際、エイジングに時間が掛かる場合は、醗酵助剤として酒精を添加することにより醗酵を促すと同時に、有害菌を不活化できる。また長期間の貯蔵中の変性防止対策として、65℃、10分間前後の火入、冷蔵貯蔵、糖類の濃度を高める、食品保存料の安息香酸塩、ソルビン酸、エタノール、レダクトン、アスコルビン酸、BHA等の酸化防止剤を酵素作用を阻害させない程度に適宜添加させることが肝要である。
『摂取方法』について説明する。
当該醗酵野菜の練り状物を直接スプーン等で摂取したり、水や白湯に溶かして飲む、或いは一口サイズのゲル状物、飴状物に形成して簡単に摂取できる。ゲル化剤および増粘固定化剤として天然多糖類および多糖類誘導体として、寒天、カラギナン、ゼラチン、グルコマンナン、ガールガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、キサンタンガム、アルギン酸等が挙げられる。
本明細書による生野菜とは科学技術庁資源調査会、日本食品標準成分表による有色、淡色野菜で厚生労働省の定める緑黄色野菜類、その他の食用野菜、芋、芋類の葉、豆類、豆類の葉、食用野草類、椿科の茶葉、茸類、藻類を指すものである。
〈実施例1〉
大根葉100kgを採取し、採取後、葉を選定し、清水で3回洗浄し、沸騰水に2分程度、ブランチングさせ、金ザルに挙げて湯切りをする。次に湯切りした生野菜を数cmに細斷し、撹拌式熱風乾燥機で品温60℃の条件下で乾燥温度を設定し含水率5%の乾燥野菜とし、次に粉砕工程を経て80メッシュ前後の粒度分布とした野菜粉末4.2kgを温度65℃に加温した濃度50%の転化糖4kgに、40%濃縮夏蜜柑果汁5リットルにクエン酸を適宜溶解させて20分間混練させてpH5.2、温度48℃に調製し、種菌として乾燥酵母(乳酸菌含有酵母)100g、を添加し撹拌混合させて、30分程良く混練させて醗酵前駆体を製造し、密封容器に導入して、30日間エイジングさせて練り状の当該醗酵野菜と成した。以上、摂取方法は食前または食後、朝晩2回または朝昼晩3回、全量で30gをスプーンで摂取した。
〈実施例2〉
春菊10kg、しそ葉10kg、ほうれん草10kg、小松菜10kg、ブロコリー10kg、大根10kg、玉葱10kg、トマト5kg、パセリ5kg、桜葉5kg、シイタケ5kg、舞茸5kg、かわ苔5kg、以上の生野菜を洗浄し、細断した物を撹拌式熱風乾燥機で、付着菌の汚染防止対策として入口熱風温度120℃、30分間後に品温57℃保持で各々含水率5%の乾燥野菜とし、粉砕して歩留まり総量3.4kgと濃度70%の大豆オリゴ糖(不純物としてブドウ糖を含有する。)5kgとクエン酸水溶液4リットルを混合させpH4.2に調製し温度60℃に加温したところで種菌として練り状の当該醗酵野菜500gを30分間好気的に混合撹拌させて温度50℃に調整し醗酵前駆体を製造し、撹拌器付き容器に導入し、1日1回15分、7日間好気的に撹拌させ、7日目に醗酵助剤として濃度70%エタノール0.5リットルを添加混合させて密封し室温で20日間エイジングさせて練り状の当該醗酵野菜と成した。以上、ゼラチンの8%溶解液ゾル120mlに当該醗酵野菜130gを混合溶解し冷却してゲル状物と成し、摂取方法は食前または食後、朝晩2回、全量で40gを一口サイズに形成して摂取した。
〈実施例3〉
採取したドクダミ50Kg,ミョウガ50kgを、48時間程ござ干したものを洗浄、細斷し、コロイドミルで磨砕し、5時間程好気的に撹拌した後、薄膜式真空濃縮装置で品温45℃に設定し50%自然醗酵野菜濃縮液としたものを間接加熱式混練器に導入し固形分95%の転化糖10Kg、固形分92%の醸造クエン酸、醸造酢酸の混合物を加えてpH3.8に調製し温度45℃、30分撹拌混合した後、約60℃に10分間昇温させた後42℃まで冷却し種菌として種コウジ菌150gを添加し撹拌混合させて醗酵前駆体を製造し、密封容器に充填し、室温で60日エイジングさせて練り状の当該醗酵野菜と成した。摂取方法は食前または食後、朝晩2回または朝昼晩3回、全量で30gを水または白湯100mlに溶解しジュースにして摂取した。
消化性潰瘍の成因は多元的であり様々な因子が複雑にからみ合って発症するものと考えられているが、特に神経性ストレス(極度の心配)から発症する場合、この潰瘍症からの離脱は現実的にも理論的にも困難であると考えられている。(1)症状の改善、(2)治癒促進、(3)再発防止を臨床的治療目標とするものであるが、(3)の再発防止を防ぐには近年開発されたH2ブロッカー、プロトンポンプインヒビター等の抗潰瘍作用の薬剤を用いても殆ど困難であると考えられている。その理由は精神的負荷の根本的な解放が急務であり、心身医学的アプローチも必要となり、神経性ストレスからの解放がまず治療の大前提となっているからである。また近年、ヘリコバクタ−ピロリ(以下Hpという)と呼ばれる細菌が慢性胃炎、胃、十二指腸潰瘍との関連性が注目されている。慢性胃炎、胃潰瘍患者の胃粘膜から高頻度に検出され、この菌の特徴は尿素分解酵素ウレアーゼを産生することであり、細胞間隙から漏出する尿素を分解してアンモニアと炭酸ガスを産生し、このアンモニアが胃粘膜の障害因子の一つと考えられている。Hpの陽性率は胃炎に於ける急性の炎症性細胞浸潤(多形核白血球)の程度と相関することから胃炎の成因としての可能性がいわれている。除菌により難治性潰瘍の治療率が向上すること、潰瘍の再発抑制率が向上することから、潰瘍の発症、治癒、再発の因子としてHpの起因説が疑われているが、その機序については、未だ解明されていないと考えるものである。その理由は慢性的に胃潰瘍を再発するHp感染を確認された2人の当該醗酵野菜摂取者の5年間に渡る試飲試験に於いて再発を見ないばかりでなく、胃腸薬も全く飲まずに経過することができたからである。食前食後に摂取する当該醗酵野菜の胃、十二指腸内での作用機序は明確ではないが、神経性ストレス(極度の心配)によって起る胃の硬直が血流を悪下させる結果、胃の蠕動運動が妨げられ、消化活動がスムーズに促進されない。その弊害として胃酸やペプシンの粘膜における局所遍在を招き、粘膜を局部的に徐々に侵食するものと考えられる。それゆえ、その周辺に棲息環境が顕在化してくるのでHpの増殖が促され、潰瘍の進行が助長されるものと考えられる。従ってHpは消化性潰瘍の発症機序に於ける増悪因子の一つであるとみなすのが適当であると、本発明者は考えるものである。
1)野菜に含まれる香気成分は精油成分と呼ばれるもので、一般に生野菜の香りは酵素作用で生合成された精油成分であり、潜在性の香気成分として組織に多く存在する。
“第一作用”として、当該醗酵野菜を摂取することによって胃のなかで酵素作用を受けて精油成分が遊離し胃粘膜に拡散する。これを感覚性受容器細胞が感知することにより胃壁にある内在性神経の働きを通した作用によって、胃の緊張が解除され血流が促され、くわえて、ペプチドを胃粘膜にある化学受容器が感知し、局所ホルモンを介する作用により、内分泌細胞を刺激しガストリンを血中に放出するので血流が徐々に増加し、胃の蠕動運動と胃酸の分泌を亢進させる。消化性潰瘍がある場合、こうした状態は寧ろ弊害と成る。その理由は胃酸やペプシンの分泌が攻撃因子として患部に作用するからである。しかしながら、“第二作用”として、当該醗酵野菜を摂取することで、攻撃因子と防御因子とのバランスが穏やかに適正化されることが定性的であるが、痛みの患部にコウチング作用(絆創膏の貼付効果)を感じて楽になると複数の試飲者による協力から確認された。これは、攻撃因子の作用が穏やかに抑制されたことを示唆するものである。さらに消化薬的作用がそれを補足するので、消化も促されて自然治癒力が回復し、症状が段々と改善される経過状態を説明していると考えられる。さらに詳述すれば、“第二作用”として、醗酵により生野菜の消化性が促され、種々の酵素による触媒作用が発現し易くなり、含有する金属イオンやビタミンが共同因子となり、酸化還元酵素を含む他の酵素による相互作用を介して、水素イオンを補酵素へ転移、または基質に水素イオンを付加させたり、基質から酵素に水素イオンを転移させることにより、水素イオンが調節的にブロックされ、能動輸送系に於けるカリウムイオンとの置換反応が抑制されるものと考えられる。それゆえ局部的に破壊された胃粘膜の防御作用が促され、患部を直撃する攻撃因子(胃酸、ペプシン)の生成を緩慢に抑制し、防御因子とのバランスが調節された結果と考えられる。胃痛時に当該醗酵野菜を摂取した試飲者が虫歯の疼痛時に、痛止めにより痛みが緩和され、抑制されている感覚と類似していると説明する理由と考えられる。この状態は胃潰瘍の際に抗潰瘍治療薬を服用した場合の感覚とも類似しており、痛みが消失する迄の時間は当該醗酵野菜を摂取した場合の方が応答が速く、殆ど10分以内で効果を発現する。
次に当該醗酵野菜の下痢や便秘の改善効果について詳述する。
2)下痢の特徴は過剰の水分と水様の糞便が頻回排出する症状であると定義されている。当該醗酵野菜を摂取することにより速やかに下痢を改善することができる。現代の生理学によれば、神経性ストレス(極度の心配)は下部腸管の交感神経の活動を刺激し、腸の蠕動運動を抑制するので吸収時間が低下し下痢が起ると考えられているが、こうした下痢症状も直前、直後の摂取によって速やかに水様糞便を濃縮し、まとめる作用を発現させるので下痢を抑制しつつ解消することができる。その理由は、神経性ストレスによる拘束から“自律”して、“第一作用”が下部腸管の緊張を解除させ、腸の蠕動運動が亢進がされて浸透圧が適正化されるので性急な下痢症状が改善されると考えられる。また小腸の酵素欠損によって引き起こされると言われている、例えば腸の粘膜細胞で産生される加水分解酵素ラクターゼ分泌活性の弱い人は牛乳不耐症または乳糖不耐症と呼ばれ、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロし、腹部膨満感、腹痛、下痢を起こす。その理由は牛乳に含まれるラクトースをうまく消化できないことが起因となり、重症の場合、腸内腔の浸透圧を上昇させ、小腸から水の吸収を低下させて下痢を引き起こすと考えられている。一方、対象摂取試験として難消化性糖類、例えば糖アルコール類のマルチトールを過剰摂取した際の症状と上記症状に顕著な類似性を見出すことができる。当該醗酵野菜をこうした症状の直後に摂取することで、速やかに症状が改善されることから、その理由を当該醗酵野菜の機能性が腸内腔の浸透圧バランスを適性化したものと、概ね断定することができる。しかしながコウジ菌の産生するβガラクトシダーゼとの相互作用によって症状が改善されたことも否定できない。
3)次に便秘、a),b),c)について詳述する。大腸の蠕動運動が低下すると通常の消化障害である便秘が起ると考えられている。大腸の蠕動運動の低下と増便作用が減少することで腸管内の便の滞留時間が長くなり糞便から吸収される水分量が増加して乾燥糞便となり固形化し嵩が縮小する。腸の蠕動運動の低下は規則的な便通の感知も鈍麻させるので次第に排便が困難となる。
a)通常、適度の運動と毎日の食事で食物繊維を多く含む野菜、芋類、果実等を摂取することが、一過性単純便秘の改善に有効であると言われている。
b)弛緩性便秘は老年者および思春期の女性に多いといわれている。原因としては、加齢による蠕動運動機能低下、低残渣食の摂取による腸管蠕動運動に対する刺激の低下、排便抑制の習慣が挙げられる。当該醗酵野菜を摂取することにより、“第一作用”および“第二作用”が促され、微細に磨砕、粉砕された食物繊維と食事から取る食物繊維との増便作用が大腸の蠕動運動と消化液分泌亢進を促し、同時に腸管壁と便との潤滑性を高める。さらに腸内腔の浸透圧の適正化作用により、糞便の物性が改善され、それが腸内の細菌醗酵の基質となって炭酸ガス、水素ガス、メタンガスの発生を促し、蠕動運動による機械的混練作用が上記ガスを均一に巻き込み、多孔質となり嵩量を増加させたことが増便作用を促し、かつ腸管壁と糞便との圧損抵抗が緩衝される。また糞便が細菌醗酵の基質となり低級脂肪酸を生成することで潤滑性がより促されるので、ガスが出易くなり、腸内腔のガス圧が低下してガス溜まりが解消され、腹痛が改善される。同時に蠕動運動による糞便排出作用(ポンプ作用)の適正化が促されるので、バナナ状で多孔質、嵩量が大きい潤滑性の良い糞便が形成される。しかも多量に排出されるので排便するのが心地よくなり、直腸S状結腸の内腔が空になり満足感が得られ、さらに排便反射の有無に関わらず随意排便が容易になるので旅行等による排便抑制の便秘、加齢による腸管蠕動運動の機能低下による便秘も改善することができる。
c)痙攣性便秘(過敏性大腸炎による便秘)はしばしば腹痛、腹部膨満感をともなって、下痢と便秘を繰り返すことを特徴とする疾患であるが、この疾患は大腸の運動性機能障害のために起ると考えられている。この治療には鎮痙剤や精神安定剤の投与と同時に、食物繊維(例えば小麦ふすま)の多い食事を摂取することで有効性が高まり、症状が改善することが多くの研究者によって報告されてきた。当該醗酵野菜を摂取することで、b)弛緩性便秘の改善機序を同様に痙攣性便秘を改善をする作用効果の説明に適用することができる。すなわち痙攣性便秘の症状において、電気生理学的大腸の筋運動性を検討した研究者達はS状結腸ではしばしば逆蠕動(収縮)が活発となっており、正常の蠕動は認められないと示唆している。これに対して直腸では腸管の感受性が異常に亢進していることが報告れている。胃−大腸反射が亢進しているため食後に便意を催すが、排便量は少量なので繊維摂取により排便量を増加させる治療が行われている。従って、本発明者も摂取試験を通じて何度も同様な現象を確認し改善をしている。胃−大腸反射の亢進によって引き起こされるS状結腸の逆蠕動が排便を阻害する第一の要因と考え、それにより便が肛門側に移動しないために起る便秘であり治療を困難にさせていると思われる。逆蠕動が起る機序は腸内細菌の産生するガスが流動抵抗の大きいS状結腸にガス溜まりを形成し、混在する便対ガスの混合比を小さくするので、便の流れが部分流となって停滞するのに蠕動により亢進する便の集団流が流入しようとする。従ってガス溜りにおける便の流動変化が異常脈動流となって逆蠕動がひき起されると考えられる。その物理的現象が自律神経に作用し直腸および肛門括約筋の運動を収縮させて排便を困難にするものと本発明者は考えるものである。その機序を実験的に確認することができる。すなわち機械式蠕動ポンプの実験でしばしば起る、吸引側で巻き込まれる微細な気泡が時間の経過とともに、蠕動を含む吐出側のチュブ内の圧力損失の高い部分(上記のS状結腸に該当)に貯留して大きい空気溜りを形成し、そこに全流が流入しようとするが、貯流水となった部分流と衝突して水撃作用を起こし異常脈動流を発生させる。その脈動エネルギーによって吐出流の運動が阻害され、吐出作用と吸引作用を不連続に繰り返す流動現象に相似しているからである。
以上、本発明の当該醗酵野菜は1日必要量の野菜をスプーンなどで簡単に補うことができる、栄養価にも優れた消化性の良い当該醗酵野菜ということができる。
次に、4)消化薬的効果について詳述する。伝統的な健胃・消化薬的な作用は消化作用、制酸作用、唾液、胃液の分泌促進作用、胃腸の蠕動亢進作用を意味するものである。
当該醗酵野菜の摂取が及ぼす作用効果について説明すれば、例として健康人が高タンパク、高脂肪の肉類等を多量に摂取した後に、しばらくして極度の、胃重感、膨満感、胸やけを起こす。その理由は、食物の多量摂取が胃腸に過剰なストレスを与えることで、一種の急性胃腸障害を発症させるので胃腸の蠕動が停滞し血流を悪化させるものと考えられる。当該醗酵野菜に発現する“第一作用”および“第二作用”(
Claims (2)
- 採取した生野菜を洗浄し、さらに有害となる付着微生物や付着菌の汚染防止処理を施したものを、細断、磨砕等の前処理を施し、(イ)乾燥工程を経て含水率15%以下の乾燥野菜粉末としたもの、並びに(ロ)濃縮工程を経て、濃度20〜60%程度に濃縮したもの、(イ)、(ロ)各々に濃度5〜100%糖類と有機酸を適宜添加混合させて練り状物と成したものに、生野菜の種類に対応して、該練り状物を、pH7以下、好ましくはpH7以下の最適活性の範囲内にpH調製したものに“種菌”を添加し、さらに好気的に混合、撹拌させて醗酵を促して醗酵前駆体と成し、該醗酵前駆体を容器に導入し、さらに経時的に容器内で醸成、熟成させて醗酵体と成すことにより機能性を発現した醗酵加工野菜。
- “種菌”が酵母類、コウジ菌類、乳酸菌類であり、それらの一種ないしは複数種を組み合わせて添加したことを特徴とする請求項1の醗酵加工野菜。
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