JP5388102B2 - 調味料製造方法 - Google Patents

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本発明は、鰹節、雑節、昆布、乾椎茸の様な天然素材に由来した調味料を製造する技術に関する。
鰹節、雑節、昆布、乾椎茸からとった出汁は、日本料理における必須材料であり、一般家庭でも調理の際に、鰹節、雑節、昆布、乾椎茸から出汁をとることが広く行われている。
出汁をとること、鰹節、雑節、昆布、乾椎茸の何れかを水に入れて、加熱することにより行なわれる。
ここで、出汁をとった後の鰹節、雑節、昆布、乾椎茸、すなわち鰹節の抽出残渣(いわゆる「だしがら」)、雑節の抽出残渣、昆布の抽出残渣、乾椎茸の抽出残渣は、各種栄養素を多量に包含しているにも拘らず、従来はそのまま廃棄されていた。
この様な抽出残渣を廃棄することは、貴重な天然資源の浪費であり、改善することが望まれる。
また、係る廃棄は、近年の環境問題意識の高まりと、ゴミ発生量を出来る限り減少しようとする社会的な要請とも、反している。
そのため、従来から、出汁をとった後の鰹節、雑節、昆布、乾椎茸(鰹節の抽出残渣、雑節の抽出残渣、昆布の抽出残渣、乾椎茸の抽出残渣)を有効利用する技術が望まれている。
しかし、その様な有効利用を可能とする技術は、現時点では、未だに提案されていない。
その他の従来技術として、乳酸、ヒスチジン、イノシン酸、グルタミン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、エタノールを特定の比率で混合して、鰹節だし様の風味調味料を製造する技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、いわゆる「食の安全」について大変に関心が高まっている昨今では、消費者における天然素材由来の調味料に対する要請が強い。上述した(特許文献1に記載されている鰹節だし様の風味調味料の様な)調味料では、その様な消費者の要請に応えることが困難である。
特開2002−262821号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、魚節、海藻、きのこの抽出残渣を有効利用することが出来て、天然素材由来の調味料を提供することが出来る調味料製造方法の提供を目的としている。
本発明によれば、鰹節抽出残渣と、麹(8、8A)と、酵母菌(11)と、乳酸菌(12)と、水分(10)とを撹拌混合する混合工程(S20、S20A、S20B、S20C)と、その混合工程で生成された混合液を発酵・熟成する発酵・熟成工程(S21)と、発酵・熟成工程が終了した混合液を濾過する濾過工程(S23)とを有する調味料製造方法において、蒸煮した大豆(5)と小麦(6)と種麹(7)とを混合して(S8)、麹を培養し(S9)、その製麹した大豆麹(8)を前記混合工程において撹拌混合すると共に、食塩(9)を水(10)に溶解させた(S13)食塩水を前記混合工程において撹拌混合し、前記混合工程における混合の割合は全体を100重量%とすると鰹節抽出残渣20〜40%、大豆麹5〜10%、水40〜67%そして食塩8〜15%であり、前記発酵・熟成工程は16日から28日の間である。
本明細書において、「抽出残渣」なる文言は、アルコール、水、その他の流体を用いて、旨み成分を抽出した残りの部分を意味している。
また、本発明によれば、鰹節抽出残渣と、麹(8、8A)と、酵母菌(11)と、乳酸菌(12)と、水分(10)とを撹拌混合する混合工程(S20、S20A、S20B、S20C)と、その混合工程で生成された混合液を発酵・熟成する発酵・熟成工程(S21)と、発酵・熟成工程が終了した混合液を濾過する濾過工程(S23)とを有する調味料製造方法において、蒸煮した大豆(5)と小麦(6)と種麹(7)とを混合して(S8)、麹を培養し(S9)、その製麹した大豆麹(8)を前記混合工程において撹拌混合すると共に、食塩(9)を水(10)に溶解させた(S13)食塩水を前記混合工程において撹拌混合し、前記混合工程における混合の割合は全体を100重量%とすると鰹節抽出残渣20〜40%、大豆麹5〜10%、水40〜67%そして食塩8〜15%であり、前記発酵・熟成工程(S21)は混合液中のグルタミン酸の量を計測して計測されたグルタミン酸の量が前計測時のグルタミン酸量に比較して減少した時点に終了するようになっている。
そして、本発明によれば、鰹節抽出残渣と、麹(8、8A)と、酵母菌(11)と、乳酸菌(12)と、水分(10)とを撹拌混合する混合工程(S20、S20A、S20B、S20C)と、その混合工程で生成された混合液を発酵・熟成する発酵・熟成工程(S21)と、発酵・熟成工程が終了した混合液を濾過する濾過工程(S23)とを有する調味料製造方法において、蒸煮した大豆(5)と小麦(6)と種麹(7)とを混合して(S8)、麹を培養し(S9)、その製麹した大豆麹(8)を前記混合工程において撹拌混合すると共に、食塩(9)を水(10)に溶解させた(S13)食塩水を前記混合工程において撹拌混合し、前記混合工程における混合の割合は全体を100重量%とすると鰹節抽出残渣20〜40%、大豆麹5〜10%、水40〜67%そして食塩8〜15%であり、前記発酵・熟成工程(S21)は混合液中のpHを計測して計測されたpHが前計測時のpHよりも上昇した時点に終了するようになっている。
さらに本発明において、前記混合工程(S20、S20A、S20B、S20C)で添加される水分(10)としては、水か、鰹節製造における「なまり」を作る際の煮熟工程における廃液(いわゆる「煮汁」)の何れかを用いることが好ましい(請求項4)。
ここで、「なまり」を作る際の煮熟工程とは、4つ割にされたカツオを煮籠に並べ、当該煮籠を熱湯が充填された煮釜に入れて煮る工程である。そして、煮釜の熱湯が、前記廃液(いわゆる「煮汁」)となる。
これに加えて本発明において、前記発酵工程を開始してから所定期間を経過した後に(発酵工程を開始して7日目〜20日目、好ましくは15日目)、酵母菌を添加するのが好ましい。
或いは、前記発酵工程を開始してから所定期間を経過した後に(発酵工程を開始して7日目〜20日目、好ましくは15日目)、アルコールを添加するのが好ましい。
上述する構成を具備する本発明によれば、鰹節、雑節、昆布、乾椎茸、それ等の抽出残渣、すなわち自然材料である出汁素材を用いているので、天然素材由来の調味料を求める消費者の要請に応えることが出来る。
そして、本発明により製造された調味料は、天然素材の材料のみが生じ得る旨みや風味を有している。特に、鰹節、雑節或いはその抽出残渣を用いた場合には、「節(鰹節、雑節)」様の風味を持つ調味料を製造することが出来る。
また、鰹節、雑節、昆布、乾椎茸、それ等の抽出残渣は、「出汁」をとるための天然素材であり、安全な「天然素材」からの旨み及び風味を提供することが出来るので、「食の安全」を求める消費者の要請にも応えることが出来る。
そして、本発明によれば、鰹節、雑節、昆布、乾椎茸、それ等の抽出残渣を麹(例えば、大豆麹)で発酵させているので、鰹節、雑節、昆布、乾椎茸、それ等の抽出残渣の様に、固体原料を使用した場合においても、発酵が進行する過程で液化され、最終的には液体の調味料となる。
そして、液体の調味料であれば、固体或いは粉体の調味料に比較して、調理の際や、食卓において使用し易いという利点がある。
また、鰹節、雑節、昆布、乾椎茸、それ等の抽出残渣を麹(例えば、大豆麹)で発酵させることにより、鰹節、雑節、昆布、乾椎茸の「出汁」そのものではなく、発酵食品として独特な風味及び旨みを持つ調味料を提供することが出来る。
ここで、酵素を使用せず、安価に提供可能な麹を使用しているので、製造コストを低く抑えることが出来る。
また、酵素を用いた場合には、(酵素による分解では)苦味や雑味が強く、いわゆる「癖」のある味になり易い傾向があるが、麹を用いた本発明では、その様な問題はなく、万人が美味に感じられる調味料を製造することが出来る。
そして、本発明により製造された調味料は、動物性タンパク質等に由来する「生臭さ」がないので、誰にとっても味わい易く、美味に感じられる。
また、鰹節の抽出残渣、雑節の抽出残渣、昆布の抽出残渣、乾椎茸の抽出残渣を調味料の原材料として用いることが出来るので、従来は廃棄されていたこれ等の抽出残渣を有効利用することが出来る。その結果、いわゆる「ゼロ・エミッション」を達成することが可能となる。
さらに本発明によれば、麹(例えば、大豆麹)のみならず酵母菌(例えば、耐塩性酵母菌)をも投入し、前記発酵工程では、麹と酵母菌とによる並行発酵が行なわれる。
麹と酵母菌とによる並行発酵により、発酵が早期に終了するので、製品製造期間を短縮することが可能になる。
それに加えて、酵母菌が存在することにより、発酵工程における腐敗を防止することが出来る。
ここで、発酵工程においてpHが高いと酵母菌が減少してしまう。これに対して、本発明の製造方法では、混合工程で乳酸菌が投入されており、乳酸菌の働きにより、pHの増加が抑制される。
従来の醸造技術においては、発酵・熟成を行なう工程でpHが高いと酵母菌が減少してしまうため、発酵が進行して、pHが低下した後でなければ、酵母菌を添加することが出来なかった。そのため、従来の醸造技術では、発酵の当初から、酵母菌による並行発酵や、腐敗防止という生物学的作用効果を発揮させることは出来なかった。
これに対して、本発明では、乳酸菌12を添加してpHの増加が抑制されるので、発酵当初から酵母菌を添加することが可能であり、酵母菌による生物学的作用効果(発酵の進行、腐敗の抑制)を、発酵当初から発揮することが出来る。
それに加えて、乳酸菌は雑菌の繁殖を抑制するので、発酵工程における雑菌の繁殖を防止することが出来る。
ここで、従来の醸造では、高温にすると雑菌の繁殖力が旺盛になるため、醸造過程において温度を高温に設定することは困難であった。それに対して本発明の製造方法によれば、上述したように、乳酸菌により雑菌の繁殖が抑制されるので、発酵工程における温度を上昇して、発酵を促進させることが出来る。
本発明において、発酵工程を終了の時点を決定する発酵終了時決定工程を設ければ(請求項2)、グルタミン酸含有量が最大となった状態で発酵を停止して、発酵食品として最も旨みがある状態にすることが出来る。
その結果、消費者に「生臭い」と感じさせることなく、多数の消費者の嗜好に合致した「美味しい」調味料を製造することが出来る。
本発明の第1実施形態における製造手順を示す工程図である。 実験1における発酵期間−グルタミン酸含有量特性図である。 実験2における発酵期間と全窒素量とpHの特性図である。 本発明の第2実施形態における製造手順を示す工程図である。 本発明の第3実施形態における製造手順を示す工程図である。 本発明の第4実施形態における製造手順を示す工程図である。 本発明の第5実施形態における製造手順を示す工程図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図3は、本発明の第1実施形態を示している。
第1実施形態では、鰹節、雑節等の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、椎茸(好ましくは乾椎茸)等のきのこの抽出残渣を用いて、調味料を製造している。
図1において、算用数字で示す符号は材料或いはその種類を模式的に示しており、「S」をつけた符号は製造における各種工程を模式的に示している。
説明の簡略化のため、図1では、魚節、特に鰹節の抽出残渣を用いる場合について説明する。
ただし、図1を参照して説明したのと同一の態様で、雑節その他の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、乾椎茸等のきのこの抽出残渣を用いても調味料を製造することが出来る。
また、鰹節、雑節等の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、乾椎茸等のきのこの抽出残渣の何れかを単独で使用するのみならず、複数種類を混合して用いても、調味料を製造することが出来る。
図1において、ステップS1では、原材料である鰹節1(雑節その他の魚節、昆布等の海藻、乾椎茸等のきのこ、或いは鰹節、雑節その他の魚節、昆布等の海藻、乾椎茸等のきのこを複数種類混合した材料であっても良い)と、水2とを加熱して、鰹出汁を抽出する。
加熱された鰹節1と水2とは、ステップS2で濾過されて、濾液(すなわち鰹出汁)3と、鰹節の抽出残渣4とに分離される。
図1では示されていないが、鰹出汁3は、例えば別種の調味料として製品化され、或いは、調理用に使用される。
一方、鰹節の抽出残渣4は秤量され(ステップS3)、秤量された鰹節の抽出残渣4は、図示しない発酵槽に投入されて(ラインL1参照)、攪拌、混合される(ステップS20)。
なお水2は、鰹出汁3を抽出するのに使用されている。
ステップS20では、大豆麹も攪拌、混合される(ラインL2)。係る大豆麹の製造について、説明する。
蒸煮した大豆5を用意して、所定量を秤量する(ステップS4)。
また、小麦6を秤量し(ステップS5)、種麹7を秤量する(ステップS6)。そして秤量された小麦6と種麹7とを混合する(ステップS8)。
図示の実施形態において、種麹としては、アスペルギルス(Aspergillus)属の「Aspergillus oryzae」を使用した。或いは、種麹として、同じくアスペルギルス(Aspergillus)属の「Aspergillus sojae」を用いることも可能である。
ここで、小麦6に代えて、鰹節、雑節等の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、乾椎茸等のきのこの抽出残渣、これ等を複数種混合した抽出残渣に、米粉を混合した材料を使用する(いわゆる「だしがら麹」を使用する)ことも可能である。
さらに、種麹に、いわゆる「鰹節カビ」として使用されている「Eurotium herbariorum」を用いても良い。「Eurotium herbariorum」は脂質を分解して、いわゆる「鰹節の香り」を生成する生物学的反応に関連する麹である。
「Eurotium herbariorum」は、脂質を分解する能力が強く(リパーゼ活性が高く)、タンパク質分解能力は弱い(プロテアーゼ活性は低い)ので、例えば、脂質を多く包含する雑節の場合には、上述した麹(Aspergillus oryzae、Aspergillus sojae)と「Eurotium herbariorum」を併用することが有効である。
秤量された小麦6と種麹7とを混合(ステップS8)した後、さらに、秤量(ステップS4)された蒸煮大豆5と混合して(ステップS9)、麹を培養する(製麹工程:ステップS9)。
図1では明示されていないが、製麹工程(ステップS9)では、蒸煮大豆5、小麦6、種麹7との混合物を室温(例えば25℃)で静置する(いわゆる「寝かした」状態)。
「寝かした」状態においては、種麹の生物学的作用による発酵熱が生じて、蒸煮大豆5、小麦6、種麹7との混合物が昇温する。そのため、適当な間隔を空けて当該混合物を攪拌し、発酵熱を空中に拡散して、混合物自体を降温させる必要がある。
適切に「寝かして」培養した結果、大豆麹8が生成されたならば、秤量して(ステップS10)、ステップS20で攪拌、混合する。
ステップS20が行われる図示しない発酵槽には、食塩水も添加される(ラインL3)。
食塩9を秤量し(ステップS11)、水10(混合工程で添加される水分)を秤量し(ステップS12)、秤量された食塩を水に溶かして食塩水とせしめ(ステップS13)、当該食塩水をステップS20で攪拌、混合する。
食塩9は、雑菌の繁殖を抑制し、雑菌による汚染を防止するために添加される。
ここで、鰹節1と混合される水2は鰹出汁3を抽出するのに使用され、ステップS20で攪拌、混合はされないのに対して、水10はその全量がステップS20で攪拌、混合されることになる。
水10に代えて、鰹節製造における「なまり」を作る際の煮熟工程における廃液(いわゆる「煮汁」)の用いることが出来る。
鰹節製造の中間工程として煮熟工程があり、「なまり」は煮熟工程で作られる。煮熟工程では、4つ割にされたカツオを煮籠に並べ、当該煮籠を熱湯が充填された煮釜に入れて煮る。この際、煮釜に残留した熱湯が、前記廃液(いわゆる「煮汁」)である。
なお、水10を添加する場合には、煮汁は添加しない。
係る廃液或いは煮汁を用いた場合には、いわゆる「鰹の風味」がより一層付加された調味料を製造することが出来る。
また、廃液(煮汁)には、全窒素として0.2〜0.6(g/100ml)が包含されているので、「旨味」をより一層付加することが出来るという効果がある。
ここで、出願人が行なった実験では、全窒素0.6(g/100ml)の煮汁を2〜7倍以上に濃縮し、全窒素4.3(g/100ml)まで濃縮可能であることが分かっている。その様な濃縮した煮汁も使用可能である。
これに加えて、ステップS20で混合・攪拌が行われる図示しない発酵槽には、秤量された(ステップS14)耐塩性酵母菌11と、秤量された(ステップS15)乳酸菌12も、攪拌、混合される(ラインL4)。
ここで、耐塩性酵母菌11は、「Zygosaccharomyces rouxii」を用いた。或いは、「Candida versatilus」を用いることも可能である。
また乳酸菌12としては、「Pediococcus halophilus」を用いた。
大豆麹8に加えて耐塩性酵母菌11を添加することにより、後述する発酵・熟成工程S21において、大豆麹8と耐塩性酵母菌11とによる並行発酵が行なわれる。
係る並行発酵が行われることにより、発酵・熟成工程S21が早期に終了するので、調味料の製造期間を短縮することが出来る。
また、耐塩性酵母菌11が存在することにより、発酵・熟成工程S21における腐敗を防止することが出来る。
さらに、雑菌の繁殖を抑制し、雑菌による汚染を防止するため食塩9を添加しても、酵母菌11は耐塩性を有しているので、食塩9により耐塩性酵母菌11による発酵作用、腐敗の防止作用が抑制されてしまうことはない。
また、乳酸菌12を加えることにより、pHの増加が抑制され、且つ、雑菌の繁殖も抑制させる。
発酵・熟成工程S21においてpHが高いと耐塩性酵母菌11が減少してしまう恐れがある。そのため、例えば、従来における醤油の製造技術では、pHが低下しないと酵母菌を添加することが出来なかった。
これに対して、図示の実施形態では、乳酸菌12を加えてpHの増加が抑制されるので、発酵・熟成工程S21の当初から(換言すれば、その前段階である攪拌・混合工程S20から)耐塩性酵母菌11を添加しても、当該酵母菌が減少してしまうことが防止され、上述した耐塩性酵母菌11の生物学的作用効果(発酵の進行、腐敗の抑制)が、発酵・熟成工程S21の当初から発揮されるというメリットがある。
これに加えて、乳酸菌12は雑菌の繁殖を抑制するので、発酵工程における雑菌の繁殖を防止することが出来る。そのため、雑菌の繁殖が抑制しつつ、発酵・熟成工程S21を高温下で行なって、発酵を促進させることが出来る。
上述した材料が図示しない発酵槽において混合・攪拌された(ステップS20)ならば、ステップS21において、混合液(抽出残渣4、大豆麹8、食塩9を溶融した水10、耐塩性酵母菌11、乳酸菌12を工程S20で混合・攪拌した混合物)を寝かして、発酵を進行させて熟成させる(発酵・熟成工程)。
図示はされていないが、熟成工程(ステップS21)において、7日目〜20日目(好ましくは15日目)に酵母菌を追加する(後熟酵母菌を入れる)のが好ましい。後熟酵母菌を入れることにより、いわゆる「発酵臭」が強くなり過ぎることが防止できるからである。
後熟酵母菌を入れることにより発酵臭が抑制出来るのは、アルコール発酵菌である酵母菌が乳酸菌と拮抗して、乳酸菌による過剰な作用を抑制するためと思われる。
後熟酵母菌としては、Zygosaccharomyces rouxiiか、Candida versatilusの何れかであるのが好ましい。また、後熟酵母菌添加量は、前記混合液1gに対して菌数が10以上、好ましくは1gに対して10以上である。
また、後熟酵母菌を入れることに代えて、7日目〜20日目(好ましくは15日目)にアルコール(例えば、エタノール)を添加しても、発酵臭を抑制することが出来る。ここで、添加するべきアルコールは、食品添加可能なアルコールであれば、特に限定する条件はない。エタノール、ソルビトール、キシリトール、イノシトールが選択可能である。添加量としては、前記混合液に対して0.2%〜1.0%、好ましくは0.5%(特にエタノールの場合)である。
この場合も、添加されるアルコールにより、乳酸菌による過剰な作用が抑制されることにより、発酵臭が抑制されると思量する。
出願人の実験では、熟成工程(ステップS21)において、例えば3日毎に或いは7日毎に、混合液(抽出残渣4、大豆麹8、食塩9を溶融した水10、耐塩性酵母菌11、乳酸菌12を工程S20で混合・攪拌した混合物)全体を攪拌して行なった。
これに対して、出願人が行なった別の実験では、熟成工程(ステップS21)の間に一回も攪拌せず、いわゆる「寝かしたまま」の状態であっても、良好な調味料が製造できることが確認されている。
すなわち、熟成工程(ステップS21)において、3日〜7日に一度、前記混合液を攪拌しても良いし、或いは、攪拌することなく、いわゆる「寝かしたまま」の状態でも良い。
係る発酵・熟成工程S21において、発酵期間が短過ぎると発酵が十分に行なわれず、調味料としての風味や旨みが出ない。一方、発酵期間が長過ぎると、却って風味や旨みが減少して、味を損ねてしまう。
そのため、ステップS22において、発酵・熟成工程S21を終了する時機について判断する(発酵終了時決定工程:終点チェック工程)。
ステップS22において、発酵・熟成工程S21を終了する時機を判断する手法としては、例えば、発酵・熟成工程S21を行なっている混合液(抽出残渣4、大豆麹8、食塩9を溶融した水10、耐塩性酵母菌11、乳酸菌12を工程S20で混合・攪拌した混合物)中のグルタミン酸の量を計測し、計測されたグルタミン酸の量が前計測時のグルタミン酸量に比較して減少した時点を発酵工程終了時点と決定すれば良い。
図2を参照して後述するように、旨みにおける支配的な組成であるグルタミン酸の含有量は、発酵初期には増加し続けるが、最大値になると、それ以降は減少してしまう。
グルタミン酸含有量が前計測時のグルタミン酸含有量に比較して減少した時点は、グルタミン酸含有量のピークを越えた直後であり、この時点で発酵・熟成工程S21を終了すれば、発酵食品として最も旨みがある状態にすることが出来る。
なお、グルタミン酸含有量のピーク近傍の期間であれば、製造された調味料が「美味しい」と感じられる旨は、表3を参照して後述される。
或いは、ステップS22において、には、例えば、抽出残渣4、大豆麹8、食塩9を溶融した水10、耐塩性酵母菌11、乳酸菌12を工程S20で混合・攪拌した混合物のpHを計測し、計測されたpHが前計測時のpHよりも上昇した時点を発酵工程終了時点と決定する。
実験2でも述べられているが、pHが最も低下するタイミングと、グルタミン酸の含有量のピークとは、殆ど一致する。計測されたpHが前計測時のpHよりも上昇した時点は、pHが最も低下するタイミングの近傍であり、グルタミン酸含有量のピーク近傍の時点でもある。
そのため、計測されたpHが前計測時のpHよりも上昇した時点で発酵・熟成工程S21を終了すれば、最も旨みがある状態の発酵食品を提供することが出来る。
さらに、ステップS22において、発酵・熟成工程S21を終了する時機を判断するため、抽出残渣4、大豆麹8、食塩9を溶融した水10、耐塩性酵母菌11、乳酸菌12を工程S20で混合・攪拌した混合物について官能検査(味のチェック)を行い、官能検査の結果に基づいて、発酵・熟成工程S21を終了する時点を決定しても良い。
発酵・熟成工程S21が終了する時点では、抽出残渣4、大豆麹8、食塩9を溶融した水10、耐塩性酵母菌11、乳酸菌12を工程S20で混合・攪拌した混合物は、発酵、熟成の結果、完全に液化している可能性が高い。しかしながら、この段階では液化が完了していないことも考えられる。
ステップS22で発酵・熟成工程が終了した旨が判断されたならば、係る混合液を圧搾して、濾過する(ステップS23:第1の濾過工程)。
ステップS23で濾過された濾液は、ステップS24で加熱されて、大豆麹8、耐塩性酵母菌11、乳酸菌12を失活させる(火入れ工程)。この火入れ工程S24で温度上昇の過程で、液化は終了する。
ここで、火入れ工程S24により、濾液は褐変する。
ステップS25では、火入れ工程S24により褐変した濾液に対して、さらに圧搾及び濾過を行なう(第2の濾過工程)。そして、ステップS25で濾過された濾液が、製品として、容器に充填され、梱包等の出荷に必要な工程に送られる(ステップS26)。
また、ステップS25で濾過された濾液やステップS26の製品を原料として、各種調味料を製造することも可能である。
図1で示す製造方法で用いられる原料及びその投入量について、下表1で示す。
表1
Figure 0005388102
表1において、「配合幅」及び「望ましい配合幅」で示す数値は、何れも、重量%を示している。
ただし、耐塩性酵母菌及び乳酸菌における配合幅の「+」という表示は、「ゼロでなければ良い」ことを意味している。
表1における抽出残渣は鰹節の抽出残渣である。
また、表1における水は、図1において符号10で示す水を意味している。そして、図1を参照して説明したように、煮汁は水10に代えて使用されるものであり、水10が添加される場合には、煮汁は添加されない。
出願人による実験では、鰹節の抽出残渣4の添加量が5重量%未満の場合には、製品である調味料における窒素含有量が少なくなり、旨みや風味が乏しくなることが分かった。
一方、鰹節の抽出残渣の添加量が50重量%より多い場合には、抽出残渣4、大豆麹8、食塩9を溶融した水10、耐塩性酵母菌11、乳酸菌12の混合物は、発酵・熟成工程が終了した後(ステップS22以降)、粘性の高い流動体状となってしまい、圧搾及び濾過(ステップS23)が困難になってしまう。
製品である調味料に一定以上の窒素含有量があり、旨みや風味が十分であり、且つ、製造工程において、発酵、熟成され、液化された前記混合物の粘度が高くなり過ぎないためには、鰹節の抽出残渣の添加量が5重量%〜50重量%、より好ましくは20重量%〜40重量%とするべきことが、判明した。
また、大豆麹8の添加量は、出願人の実験では、20重量%以下であるべきことが分かった。
出願人が行なった官能試験の結果、大豆麹の添加量が20重量%を超えると、製品である調味料の味が醤油の様になってしまい、「鰹風味の調味料」とは言えなくなってしまうからである。
ここで、大豆麹の添加量の加減については、「+」、すなわちゼロでなければ良い。大豆麹が添加されてさえいれば、その添加量が少なくても、発酵、熟成する期間を調整することにより、十分な発酵、熟成が期待できるからである。
出願人が行なった官能試験では、大豆麹の添加量が5重量%〜10重量%の範囲であれば、旨みと風味のバランスがとれた調味料が製造された。
図1では表示されていないが、大豆麹ではなく、麹菌が存在すれば、発酵、熟成工程を実行することが出来る。
その様な場合には、麹菌はゼロでなければ良く、好ましくは、単位質量あたり10以上存在すれば良い。
水(表1の水:図1において符号10で示す水)の添加量を変動させて行なった出願人の実験では、水の添加量が10重量%以下の場合には、発酵・熟成工程が終了した後(ステップS22以降)の混合物が、粘性の高い流動体状となってしまった。
一方、水の添加量が90重量%を超えた場合には、製品である調味料における窒素含有量が少なくなり、旨みや風味が乏しくなることが分かった。
そして出願人の実験では、製造工程において、発酵、熟成された混合物の粘度が高くなり過ぎず、且つ、製品である調味料に一定以上の窒素含有量があり、旨みや風味が十分となるためには、水の添加量が10重量%〜90重量%、より好ましくは40重量%〜67重量%とするべきことが、判明した。
なお、煮汁を代用した場合における添加量の範囲と、その範囲を外れた場合のデメリットについても、水と同様である。
出願人の実験では、食塩添加量が5重量%未満であると、混合物の発酵・熟成工程において、雑菌の繁殖という問題と、雑菌による汚染という問題とが惹起されてしまうことが分かった。
一方、官能実験の結果、食塩添加量が18重量%を超えてしまうと、製造された調味料における塩気が強すぎて、いわゆる「しょっぱい」味になってしまうことが分かった。
したがって、食塩添加量は5重量%〜18重量%とするべきである。出願人が別途行なった実験によれば、食塩添加量は8重量%〜15重量%が好適であることが分かった。
耐塩性酵母菌及び乳酸菌はゼロでなければ良く、好ましくは、単位質量あたり10以上存在すれば良い。
図1を参照して説明したように、耐塩性酵母菌が存在しないと発酵・熟成工程が長期化すると共に、腐敗が生じる恐れがあり、雑菌が繁殖し、それによる汚染の問題が生じてしまう。
また、乳酸菌が存在しないと、pHが高くなって耐塩性酵母菌が減少してしまうと共に、雑菌が繁殖してしまう。
[実験1]
出願人が行なった発酵実験である実験1について説明する。
下表2で示すように、雑節(図2における試験区1)、昆布(図2における試験区2)、鰹節(図2における試験区3)を大豆麹によって45日間に亘って発酵し、毎日、各種アミノ酸の含有量を計測した。
それと共に、発酵工程にある雑節、昆布、鰹節の味について、毎日、官能検査を行なった。
表2
Figure 0005388102
実験1における各種アミノ酸の含有量を図2で示す。
図2から明らかなように、旨みについて大きな影響を及ぼすグルタミン酸については、その含有量にピークが存在する。
そして、ピークを過ぎても発酵を続けていると、「旨みの指標」ともいうべきグルタミン酸含有量は減少する。
一方、実験1における官能検査の結果を下表3で示す。
下表3において、「×」は風味や旨みが感じられなかったことを意味しており、「△」は風味や旨みが感じられたが比較的弱かったことを意味しており、「○」は風味や旨みが十分に感じられたことを意味している。
表3
Figure 0005388102
表3から明らかなように、官能検査の結果、「美味しい」と感じられる領域は、図2において、グルタミン酸の含有量がピークになる範囲と概略一致している。
表3と図2とを比較することにより得られる結果、すなわち、官能検査で「美味しい」と判定された範囲と、図2におけるグルタミン酸含有量がピークになる範囲とが概略一致するという結果より、ステップS22(図1)において、発酵、熟成の終了時点を判断するのに、グルタミン酸の含有量で判断することの妥当性が明らかとなった。
すなわち、発酵、熟成は、風味、旨みがあると感じられる範囲で終了するべきであり、官能試験により風味、旨みがあると感じられる範囲と、グルタミン酸の含有量がピークになる範囲とは概略一致している。そのため、発酵、熟成の終了は、官能試験で風味、旨みを直接判断することのみならず、グルタミン酸の含有量によって、判断することが出来るのである。
[実験2]
さらに、実験1とは別に出願人が行なった発酵実験について説明する。
実験2では、発酵品の全窒素量とpHを計測した。
計測した発酵品の組成を表4で示す。
表4
Figure 0005388102
発酵品の全窒素量とpHの計測結果を図3で示す。
図3から明らかなように、発酵の初期にはpHが低下するが、ある時点からpHが上昇する。
明確には図示してはいないが、出願人の実験では、pHが最も低下する発酵日数と、表3の官能検査で「美味しい」と感じられる領域とが近接している。
したがって、計測したpHが前回計測したpHよりも高くなった段階で、官能検査で「美味しい」と感じられる様になる。
実験1で述べた通り、発酵、熟成は、風味、旨みがあると感じられる範囲で終了すべきであり、係る範囲はグルタミン酸の含有量がピークになる範囲と概略一致する。
そして、計測したpHが前回計測したpHよりも高くなった時期と官能検査で「美味しい」と感じられる領域とは広い範囲に亘って重複しているので、計測したpHが前回計測したpHよりも高くなった時期を以って、発酵、熟成の終了時期とすることも妥当である。
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
主として図1で説明した第1実施形態では、鰹節の抽出残渣(雑節その他の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、乾椎茸等のきのこの抽出残渣、或いは鰹節の抽出残渣、雑節その他の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、乾椎茸等のきのこの抽出残渣を複数種類混合した抽出残渣の場合もある)を秤量して、原料として混合しているが、図4の第2実施形態では、出汁をとっていない鰹節を、調味料製造の原料として使用している。
図4において、ステップS31では、原材料である鰹節1A(雑節その他の魚節、昆布等の海藻、乾椎茸等のきのこ、或いは鰹節、雑節その他の魚節、昆布等の海藻、乾椎茸等のきのこを複数種類混合した材料であっても良い)を秤量し、そしてラインL11で示す様に、図示しない発酵槽にて混合・攪拌する(ステップS20A)。
図4の第2実施形態において、その他の原料や工程は、図1を参照して説明した第1実施形態と同様である。
図5は、本発明の第3実施形態を示している。
第3実施形態では、鰹節の抽出残渣と、出汁をとる前の鰹節とを、調味料の原料として使用している。
図5において、鰹節の抽出残渣4(雑節その他の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、乾椎茸等のきのこの抽出残渣、或いは鰹節の抽出残渣、雑節その他の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、乾椎茸等のきのこの抽出残渣を複数種類混合した抽出残渣の場合もある)と、鰹節1A(雑節その他の魚節、昆布等の海藻、乾椎茸等のきのこ、或いは鰹節、雑節その他の魚節、昆布等の海藻、乾椎茸等のきのこを複数種類混合した材料であっても良い)とを秤量し(ステップS32)、ラインL12で示す様に、図示しない発酵槽にて混合・攪拌する(ステップS20B)。
図5の第3実施形態において、その他の原料や工程は、第1実施形態或いは第2実施形態と同様である。
図6は、本発明の第4実施形態を示している。
図1、図4、図5で示す実施形態(第1実施形態〜第3実施形態)では、小麦6と種麹7とを混合(ステップS7)した後、蒸煮大豆5と混合して(ステップS8)、製麹工程(ステップS9)に移行する。
それに対して、図6の第4実施形態では、製麹工程以前における材料を混合する順序が、図1、図4、図5で示す各実施形態とは異なっている。
図6においては、蒸煮大豆5と小麦6とを混合し(ステップS33)、蒸煮大豆5と小麦6との混合物に種麹7を混合している(ステップS34)。そして、製麹工程(ステップS35)に移行する。
図6において、ステップS35の製麹工程における作業は、図1、図4、図5における製麹工程(ステップS9)と同様である。
図6の製麹工程(ステップS35)で製造された大豆麹8Aは、秤量されて(ステップS10)、攪拌、混合(ステップS20C)を行なうべく、図示しない発酵槽に投入される(ラインL22参照)。
図6の第4実施形態において、その他の原料や工程は、第1実施形態〜第3実施形態と同様である。
ここで、図6の第4実施形態では、鰹節の抽出残渣4(雑節その他の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、乾椎茸等のきのこの抽出残渣、或いは鰹節の抽出残渣、雑節その他の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、乾椎茸等のきのこの抽出残渣を複数種類混合した抽出残渣も含む)を図示しない発酵槽に投入しているが(ラインL1参照)、雑節その他の魚節、昆布等の海藻、乾椎茸等のきのこ1A(図4参照)を図示しない発酵槽に投入しても良く(図4のラインL11参照)、或いは、節1と抽出残渣4の双方を図示しない発酵槽に投入して、混合、攪拌しても良い(図5のラインL12参照)。
図7は、本発明の第5実施形態を示している。
図1、図4〜図6の各実施形態では、発酵により液化した混合物を圧搾して、濾過し(ステップS23)、分離した濾液を加熱して、麹や酵母を失活せしめている(ステップS24:火入れ工程)。
これに対して、図7の第5実施形態では、発酵により液化した混合物を圧搾、濾過した後(ステップS23の後)、分離した濾液を加熱せずに(ステップS24の火入れ工程を行なうことなく)、麹や酵母が失活していない状態で、製品として、容器に充填され、梱包等の出荷に必要な工程に送られる(ステップS38)。
また、ステップS23で圧搾して濾過して分離した濾液、或いは、ステップS38の製品を原料として、各種調味料を製造することも可能である。
図7の第5実施形態によれば、麹や酵母が失活していない状態で容器に充填することにより、いわゆる「生」の状態の発酵調味料となり、独特の風合いを持った調味料が提供される。
図7の第5実施形態において、その他の原料や工程は、図1の第1実施形態と同様である。
ここで、図7では、鰹節の抽出残渣4(雑節その他の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、乾椎茸等のきのこの抽出残渣、或いは鰹節の抽出残渣、雑節その他の魚節の抽出残渣、昆布等の海藻の抽出残渣、乾椎茸等のきのこの抽出残渣を複数種類混合した抽出残渣も含む)を図示しない発酵槽に投入しているが(ラインL1参照)、鰹節、雑節、昆布1A(図4参照)を図示しない発酵槽に投入しても良く(図4のラインL11参照)、或いは、節1や昆布1Aと抽出残渣4の双方を図示しない発酵槽に投入して、混合、攪拌しても良い(図5のラインL12参照)。
また、図7では、小麦6と種麹7を混合(ステップS7)した後に蒸煮大豆5と混合して(ステップS8)して大豆麹8を製造しているが、図6の第4実施形態と同様に、蒸煮大豆5と小麦6とを混合し(図6のステップS33)、その後、蒸煮大豆5を混合(図6のステップS34)して、大豆麹8A(図6)を製造しても良い。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
1、1A・・・鰹節
2・・・水
3・・・鰹出汁
4・・・鰹節の抽出残渣
5・・・蒸煮大豆
6・・・小麦
7・・・種麹
8、8A・・・大豆麹
9・・・食塩
10・・・水(煮汁)
11・・・耐塩性酵母菌
12・・・乳酸菌

Claims (6)

  1. 鰹節抽出残渣と、麹(8、8A)と、酵母菌(11)と、乳酸菌(12)と、水分(10)とを撹拌混合する混合工程(S20、S20A、S20B、S20C)と、その混合工程で生成された混合液を発酵・熟成する発酵・熟成工程(S21)と、発酵・熟成工程が終了した混合液を濾過する濾過工程(S23)とを有する調味料製造方法において、蒸煮した大豆(5)と小麦(6)と種麹(7)とを混合して(S8)、麹を培養し(S9)、その製麹した大豆麹(8)を前記混合工程において撹拌混合すると共に、食塩(9)を水(10)に溶解させた(S13)食塩水を前記混合工程において撹拌混合し、前記混合工程における混合の割合は全体を100重量%とすると鰹節抽出残渣20〜40%、大豆麹5〜10%、水40〜67%そして食塩8〜15%であり、前記発酵・熟成工程は16日から28日の間であることを特徴とする調味料製造方法。
  2. 鰹節抽出残渣と、麹(8、8A)と、酵母菌(11)と、乳酸菌(12)と、水分(10)とを撹拌混合する混合工程(S20、S20A、S20B、S20C)と、その混合工程で生成された混合液を発酵・熟成する発酵・熟成工程(S21)と、発酵・熟成工程が終了した混合液を濾過する濾過工程(S23)とを有する調味料製造方法において、蒸煮した大豆(5)と小麦(6)と種麹(7)とを混合して(S8)、麹を培養し(S9)、その製麹した大豆麹(8)を前記混合工程において撹拌混合すると共に、食塩(9)を水(10)に溶解させた(S13)食塩水を前記混合工程において撹拌混合し、前記混合工程における混合の割合は全体を100重量%とすると鰹節抽出残渣20〜40%、大豆麹5〜10%、水40〜67%そして食塩8〜15%であり、前記発酵・熟成工程(S21)は混合液中のグルタミン酸の量を計測して計測されたグルタミン酸の量が前計測時のグルタミン酸量に比較して減少した時点に終了することを特徴とする調味料製造方法。
  3. 鰹節抽出残渣と、麹(8、8A)と、酵母菌(11)と、乳酸菌(12)と、水分(10)とを撹拌混合する混合工程(S20、S20A、S20B、S20C)と、その混合工程で生成された混合液を発酵・熟成する発酵・熟成工程(S21)と、発酵・熟成工程が終了した混合液を濾過する濾過工程(S23)とを有する調味料製造方法において、蒸煮した大豆(5)と小麦(6)と種麹(7)とを混合して(S8)、麹を培養し(S9)、その製麹した大豆麹(8)を前記混合工程において撹拌混合すると共に、食塩(9)を水(10)に溶解させた(S13)食塩水を前記混合工程において撹拌混合し、前記混合工程における混合の割合は全体を100重量%とすると鰹節抽出残渣20〜40%、大豆麹5〜10%、水40〜67%そして食塩8〜15%であり、前記発酵・熟成工程(S21)は混合液中のpHを計測して計測されたpHが前計測時のpHよりも上昇した時点に終了することを特徴とする調味料製造方法。
  4. 前記混合工程で添加される水分(10)としては、水か、鰹節製造における「なまり」を作る際の煮熟工程における廃液の何れかを用いる請求項1〜3の何れか1項の調味料製造方法。
  5. 前記発酵・熟成工程を開始してから所定期間を経過した後に酵母菌を添加する請求項1〜4の何れか1項の調味料製造方法。
  6. 前記発酵・熟成工程を開始してから所定期間を経過した後にアルコールを添加する請求項1〜4の何れか1項の調味料製造方法。
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