JP5976313B2 - 醤油様調味料の製造方法 - Google Patents
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醤油において、原材料は麹の酵素によって分解されているため、アレルゲンは減少していると考えられるものの、大豆または小麦のアレルギー患者は、健康障害の程度によっては醤油を使用することができなかった。特に小麦など、グルテンを含む穀類は、セリアック病患者に重篤な症状を引き起こすことが知られており、世界中でグルテンフリー食品の開発が求められている。このように、日本国内やコーデックスにおいて食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている、アレルゲンを含む食物を使用せず(以下、アレルゲンフリーという)に、醤油の味、香りを有する代替調味料が強く求められてきた。
1)トマトを無塩または低塩下で乳酸発酵させる工程を含むことを特徴とする醤油様調味料の製造方法。
2)トマトを無塩または低塩下で乳酸発酵させた後、食塩を添加して酵母により発酵・熟成させることを特徴とする醤油様調味料の製造方法。
3)トマトを無塩または低塩下で乳酸発酵させた後、さらにトマトと食塩を添加して、酵母により発酵・熟成させることを特徴とする醤油様調味料の製造方法。
4)上記1)〜3)のいずれかに記載の方法で得られる醤油様調味料。
である。
また、本発明によれば、日本国内で食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている25品目の食物や、コーデックスで定められている8種の食物の、いずれかのアレルギーが気になる消費者であっても、安心して調理時の味付けや、直接食品につけたりかけたりする用途に用いることができる醤油様調味料を、より短い発酵期間で製造し提供することができる。発酵期間をより短くすることで、発酵タンクの占有期間が短縮され、製造の回転率が向上することで、製造コストを引き下げることが可能となり、より低価格で醤油様調味料を消費者に提供することができる。
トマト諸味は、15〜45℃の温度にて乳酸発酵を行うことが好ましく、特に20〜37℃の温度で乳酸発酵を行うことが好ましい。本発明における乳酸発酵に用いられる乳酸菌としては、公知に醤油醸造に用いられているTetragenococcus halophilus等の耐塩性乳酸菌の他、漬物等の発酵食品に見出されるPediococcus pentosaceus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus pentosus、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus sakei、Lactobacillus casei、Lactobacillus brevis、チーズ・ヨーグルト等の乳加工製品に用いられるLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus、Streptococcus thermophylus、Lactococcus lactis、Lactococcus lactis subsp. cremoris、Leuconostoc mesenteroides、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium adolescentisが好ましく、風味と機能性の観点からは、特にLeuconostoc mesenteroides、Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus、Streptococcus thermophylus、Pediococcus pentosaceus、Lactobacillus plantarumが好ましい。
乳酸発酵を完了したトマト諸味は、さらにトマトと食塩を添加しpHを調整した後、あるいは食塩のみを加えた後、酵母を添加して酵母発酵を行う。食塩は、乳酸発酵を完了した後に、または酵母発酵の直前に、トマト諸味へ添加する。HEMFを効率よく生成させる観点から、酵母発酵時の食塩濃度は1.0〜20.0%(w/v)であることが好ましく、特に4.0〜16.0%(w/v)であることが好ましい。pHを調整する場合は、酵母の生育性や、HEMFの生産性の観点から、pH4.0〜6.5にすることが好ましい。温度は、酵母による発酵を効率よく行わせる観点から15〜45℃において発酵を行うことが好ましく、特に20〜35℃の温度で酵母発酵を行うことが好ましい。本発明における酵母発酵に用いられる酵母としては、公知に醤油醸造に用いられているZygosaccharomyces rouxii、Zygosaccharomyces bailli、Candida etchellsii、Candida verstilis等の耐塩性酵母が好ましい。
トマトとしてトマトエキス(ライコレッド社製、イスラエル産、Brix60%(w/w))をBrix20%、40%(w/v)となるように蒸留水で希釈し、80℃達温の加熱殺菌を行った。希釈したトマトエキスの原料由来のナトリウム含量に基づく食塩換算濃度はそれぞれ、0.07%、0.14%(w/v)であった。Brix20%(食塩換算濃度0.07%(w/v))のトマトエキスに、耐塩性乳酸菌であるPediococcus pentosaceusを添加したものを試験品1−1、非耐塩性乳酸菌であるLactobacillus plantarumを加えたものを試験品1−2とした。Brix40%(食塩換算濃度0.14%(w/v))のトマトエキスに、Pediococcus pentosaceusを加えたものを試験品1−3とした。それぞれ1.5Lのトマト諸味を25〜30℃に保持し、乳酸発酵を行った。
乳酸発酵期間は、乳酸濃度が0.2%(w/v)以上に達することを指標として終了を決定した。2日後、乳酸発酵を終えた試験品1−1、1−2のトマト諸味に、どちらも食塩濃度が11%(w/v)となるように食塩を加え、さらにBrixが約45%となるようにトマトエキスを加え、pH4.8となるように水酸化ナトリウムで調整した。Brixはそれぞれ試験品1−1:45.0%、試験品1−2:45.3%(w/v)となった。10日後に乳酸発酵を終えた試験品1−3のトマト諸味には、トマト諸味の食塩濃度が12%(w/v)となるように食塩のみを加え、Brixは41.6%(w/v)、pHは4.9となった。比較例1〜2のトマト諸味は2週間乳酸発酵を行った。乳酸発酵および食塩濃度、トマトエキス、pH等の添加・調製を終えた試験品1−1〜1−2、乳酸発酵および食塩濃度の調製を終えた試験品1−3、乳酸発酵を終えた比較例1〜2のトマト諸味に、定法に従い耐塩性の醤油酵母(Zygosaccharomyces rouxii)を添加し、諸味品温を25〜30℃に保持しながら14日間通気攪拌し、酵母発酵を行った。さらに諸味品温を25〜30℃に保持し発酵・熟成させた。
各種試験品の発酵終了時点での食塩濃度はそれぞれ試験品1−1:11.8% 、試験品1−2:11.5%、試験品1−3:12.5%、比較例1:11.7%、比較例2:17.2%(いずれもw/v)であった。官能評価時には、一般的なこいくちしょうゆの食塩濃度である16.0%(w/v)となるように食塩を添加した。食塩濃度の高い比較例2はそのまま官能評価を行った。対照品として、トマトエキスをBrix31.2%(w/v)となるように調製した後、食塩濃度が16.0%(w/v)となるように食塩を添加した非発酵のものを用意した。
醤油の一般成分は、しょうゆ試験法(財団法人、日本醤油研究所編、昭和60年(1985年)3月1日発行)記載の方法に従い分析を行った。色度は、日本農林規格で定められた方法に従い測定を行った。
HEMFや、その他の香気成分は、ガスクロマトグラフィー法(Journal of Agricultural and Food Chemistry Vol.39,934(1991)参照)にて分析定量した。試験品1−1のトータルイオンクロマトグラムを図1に、香気成分分析結果を表1にそれぞれ示す。
各試験品の官能評価は、訓練され識別能力を有するパネル5名により、前述の対照品と試験品の味と香りについて、醤油らしさの強度をセマンティック・ディファレンシャル法(以下、SD法という)で評価した。対照品・試験品の香りを嗅いだ後、0.2mlを喫食することで比較を行った。評定尺度は下記の基準に従い、パネリスト間の平均評定を算出した。
(評定尺度)
1.醤油らしさをかなり弱く感じられるか、ほとんど感じられない
2.醤油らしさをやや弱く感じられる
3.醤油らしさを感じられる
4.醤油らしさをやや強く感じられる
5.醤油らしさをかなり強く感じられる
エタノールは3.6〜4.2%(v/v)、HEMFは1.8〜10.3ppmとなり、対照品と比較して顕著に高くなっていることが分かる。色番について、試験品1−1〜1−3はいずれもこいくちしょうゆの規格(18番以下)となった。
本発明の醤油様調味料は、日本国内やコーデックスにおいて食品への表示が義務付けられている、あるいは奨励されている、アレルゲンを含む食物を使用していないことから、アレルギー患者の方でも安心してお使い頂けるものと考えられる。
また本発明で得られる醤油様調味料は、従来の和風・中華風メニューにおいて、醤油と同様に使用することが可能であり、さらに洋風メニューにも適している。
Claims (3)
- 大豆および/または小麦を含まない条件下で、トマトを食塩濃度が0.0〜1.4%(w/v)である無塩または低塩下で乳酸発酵させる工程を含むことを特徴とするトマト諸味の製造方法。
- 大豆および/または小麦を含まない条件下で、トマトを食塩濃度が0.0〜1.4%(w/v)である無塩または低塩下で乳酸発酵させた後、食塩を添加して酵母により発酵・熟成させることを特徴とする醤油様調味料の製造方法。
- 大豆および/または小麦を含まない条件下で、トマトを食塩濃度が0.0〜1.4%(w/v)である無塩または低塩下で乳酸発酵させた後、さらにトマトと食塩を添加して、酵母により発酵・熟成させることを特徴とする醤油様調味料の製造方法。
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