JPH06225721A - 発酵調味料およびその製法並びにそれを用いた漬物調味料 - Google Patents

発酵調味料およびその製法並びにそれを用いた漬物調味料

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JPH06225721A
JPH06225721A JP1575493A JP1575493A JPH06225721A JP H06225721 A JPH06225721 A JP H06225721A JP 1575493 A JP1575493 A JP 1575493A JP 1575493 A JP1575493 A JP 1575493A JP H06225721 A JPH06225721 A JP H06225721A
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fermented
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bran
konbu
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Toshiya Toda
登志也 戸田
Shiyuri Kobayashi
珠里 小林
Fujiko Nagano
富士子 長野
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Fujicco Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本格的な糠床の風味を有する発酵調味料およ
びこの発酵調味料を短時間で製造することが可能な発酵
調味料の製法、および短時間で本格的な風味を有した糠
漬けを作ることが可能な漬物調味料を提供する。 【構成】 糠類の懸濁液に、こんぶ抽出物を混合し、こ
れに乳酸菌および酵母を接種し、発酵させて発酵調味料
を製造する。この発酵調味料に、調味成分を添加して漬
物調味料を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糠類およびこんぶ抽出
物を発酵させて得られる発酵調味料およびその製法並び
にこの発酵調味料を主成分とした良好な糠床風味を有す
る漬物調味料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】古来より我が国において、漬物は、日常
欠かせぬ保存食として食されており、最近では、欧米風
の食生活化に対する反省から、日本の伝統食品に対する
評価の高まりとともに低カロリー食品として注目を集め
ている。さらに、高血圧症等の成人病に配慮した、塩分
が控えめの漬物等も市販されており、益々その需要は高
まりつつある。この漬物の中で、糠漬けは、その特有の
風味により今なお人気の高い漬物の種類のひとつであ
る。従来この糠漬けは、一般家庭において、糠床により
作られていた。しかし、この糠床は、手入れが大変であ
ることや、その臭気により主婦等から敬遠され、最近で
は、一般家庭において糠漬けを作ることは稀となり、ス
ーパー等で市販されているものを利用する機会が増えて
いるのが現状である。このスーパー等で市販されている
漬物は、工業的に大量生産するため、糠床を使用せず、
化学調味料等により糠漬け風に人工的に味付けされた調
味液に、野菜を浸漬して製造されるものである。この製
造方法による糠漬けは、本来の糠漬けが備えている風味
を備えているとは言いがたい。また、食品添加剤等の問
題をも有する。このため、家庭で生野菜を使用し、簡便
で、しかも本格的な風味を有した糠漬けを作る方法の提
供が強く望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般家庭において、手
軽に、しかも本格的な風味を有する糠漬けを作る方法と
して、実際に糠を発酵させて調製された発酵調味料を原
料とした家庭用の漬物調味料が各種提案され、一部で市
販されている(特公昭57−56852号,特開昭59
−39267号および特開昭62−58950号)。こ
れらの漬物調味料を用いれば、一般家庭において糠床を
使用しなくても糠床の風味を有した糠漬けを作ることが
可能である。しかしながら、生野菜を浸漬してから漬け
上がるまで、数時間から数十時間の長時間を要するとい
う問題を有する。したがって、食べたい時に直ちに食べ
ることができず、例えば、夕食に糠漬けを出すために
は、少なくともその日の午前中に、場合によっては前日
から準備をしなければならないという煩雑さが生じる。
この問題を解決するためには、さらに好ましい糠床風味
を増強させた発酵調味料の開発が望まれていた。また、
上記調味料に糠床の風味を付与するためには、発酵調味
料を製造する際に、糠類を充分に発酵し、糠床特有の香
気成分および呈味成分を生成させる必要がある。このた
め、発酵調味料の製造に長時間を要し、その製造コスト
が高くなるという問題も有する。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、本格的な糠床の風味を有する発酵調味料および
この発酵調味料を短時間で製造することが可能な発酵調
味料の製法、および短時間で本格的な風味を有した糠漬
けをつくることが可能な漬物調味料を提供することをそ
の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、糠類の発酵成分およびこんぶ抽出物の発
酵成分を主要成分とすることを特徴とする発酵調味料を
第1の要旨とし、糠類の懸濁液に、こんぶ抽出物を混合
し、これに乳酸菌および酵母の少なくとも一つを接種し
て発酵させることを特徴とする発酵調味料の製法を第2
の要旨とし、糠類の発酵成分およびこんぶ抽出物の発酵
成分を含有する発酵調味料に調味成分を添加してなる漬
物調味料を第3の要旨とする。
【0006】
【作用】上記課題を解決するために、本発明者らは、糠
類の発酵を中心に鋭意研究を重ねた。その結果、こんぶ
の抽出物が、糠床の発酵に関わる乳酸菌および酵母の増
殖促進作用を有することを突き止めた。そこで、こんぶ
の抽出物を糠類の懸濁液に添加し、乳酸菌および酵母を
接種して、発酵させたところ、発酵に要する時間が数日
と大幅に短縮することができ、かつこのようにして得ら
れた発酵調味料(通常、原液となる)は糠床特有の風味
を備えることを見出した。さらに、この発酵調味料を主
成分とする漬物調味料(原液+調味成分)は、これに生
野菜を浸漬すると、速やかに、野菜内部の水分と、上記
漬物調味料が置換するため、数十分で漬物が漬け上がる
ことを見出し、本発明に到達した。
【0007】つぎに、本発明を詳しく説明する。
【0008】本発明の発酵調味料は、糠類の懸濁液およ
びこんぶ抽出物を原料とし、乳酸菌および酵母の少なく
とも一つを用いて製造することができる。
【0009】上記糠類としては、米糠に限定されず、小
麦,ひえ,燕麦,メイズ,ソルガム,コーン等の雑穀類
の麩も含まれる。また、野菜やこれを搾汁した後の残渣
やくず野菜等の野菜粕も含まれる。そして、上記米糠
は、生糠に限定されず、焙煎,蒸煮および微細化等の処
理を施したものを使用することも可能である。
【0010】上記糠類は、水に懸濁した糠類懸濁液、ま
たは糠類のエキス抽出物として使用される。上記懸濁液
の場合の濃度は、糠1重量部(以下「部」と略す)に対
し、水5〜30部の範囲に設定することが好ましく、さ
らに好ましくは10〜20部の範囲である。
【0011】上記糠類懸濁液には、糠類の他に、砂糖,
グルコース,フラクトース,マルトース,オリゴ糖,水
飴等の糖類、小麦でんぷん,ポテトでんぷん,とうもろ
こしでんぷん等のでんぷん類を添加することが可能であ
る。また、大豆タンパク質,小麦タンパク質等の分離タ
ンパク質や、大豆,おから,魚粉,脱脂粉乳等のタンパ
ク質含量の多いタンパク質食品原料あるいはこれらのタ
ンパク質加水分解物等のタンパク質類を添加すことも可
能であり、さらに野菜汁等を添加することが可能であ
る。これらを添加しても、こんぶ抽出物の乳酸菌および
酵母の増殖促進作用は阻害されることはない。これら糖
類,でんぷん類,タンパク質類および野菜汁の配合割合
は、特に限定されるものではなく、目的とする発酵調味
料の用途により適宜決定される。
【0012】本発明に用いるこんぶは、褐藻類の中のこ
んぶ科に属するものの全てをいう。このようなものとし
ては、例えば、真こんぶ,利尻こんぶ,羅臼こんぶ,三
石こんぶ,長こんぶ,厚葉こんぶ,かごめこんぶ等があ
げられる。これらのこんぶは産地,等級で限定されるも
のではない。
【0013】上記こんぶ抽出物としては、こんぶを水抽
出して得られたこんぶ抽出液を用いることができる。ま
た、水抽出する際の水として、熱水を使用すことが好ま
しいく、さらにpH2.0〜6.5の範囲の酸性水溶液
を使用することが特に好ましい。このようにすることに
より、乳酸菌および酵母の増殖促進作用を有する成分
を、高い効率でこんぶから抽出することができるからで
ある。また、このようにして得られたこんぶ抽出液を、
活性炭処理および限外濾過処理を施すことも可能であ
る。すなわち、活性炭処理することにより、こんぶ抽出
液の脱色を行うことができ、こんぶ由来の色に影響され
ることなく、最終商品において、糠漬け本来の色を表現
することが可能となる。また、限外濾過処理を施すこと
により、不要な成分、すなわち、こんぶの不快臭成分等
を除去することができ、これにより、不要成分の悪影響
を抑制することが可能となる。なお、本発明においてこ
んぶ抽出物は、その形態を制限するものではなく、上記
のこんぶ水抽出液のような液状のものや、これを濃縮し
てペーストとしたもの、および乾燥させ粉末としたも
の、さらに、この粉末を打錠してペレットとしたもの等
を含む趣旨である。このこんぶ抽出物の配合割合は、こ
んぶ抽出物を固形とした時、糠類懸濁液に対して、0.
1〜10重量%(以下「%」と略す)の範囲が好まし
く、特に好ましくは、1〜5%の範囲である。すなわ
ち、0.1%未満であると、乳酸菌および酵母の増殖促
進作用の効果が充分発揮されず、また10%を超えて配
合しても、配合量増加分に対応する顕著な効果が認めら
れないからである。また、このこんぶ抽出物は、上記乳
酸菌および酵母等の増殖促進作用の他に、こんぶの好ま
しい風味を発酵調味料に付与するという作用も有する。
【0014】本発明に使用される乳酸菌および酵母は、
特に制限されるものではなく、糠床において一般的な菌
が使用される。
【0015】このような乳酸菌としては、例えば、ラク
トバチルス,ペディオコッカス,ストレプトコッカス,
ロイコノストックがあげられる。
【0016】また、上記酵母としては、例えば、ジゴサ
ッカロマイセス,デバリオマイセス,ピキア,ハンゼヌ
ラ,キャンディダがあげられる。
【0017】糠漬けの独特の風味は、これらの菌の発酵
により長期間をかけて醸しだされるものである。そし
て、その呈味成分および香気成分は、複雑な組成を持
ち、それを化学的に合成することは困難である。したが
って、本格的な風味を備えた発酵調味料を得るために
は、上記菌を用いて実際に糠類を長期間発酵させる必要
があるが、本発明により、この発酵時間を著しく短縮す
ることが可能となる。また、菌の種類を選択することに
より、多様な風味の発酵調味料を得ることが可能であ
る。
【0018】以上の原料の他に、野菜や野菜汁およびア
ミラーゼ等の酵素を用いることも可能である。
【0019】上記野菜としては、きゅうり,なす,にん
じん,かぶ等およびこれらの搾汁をあげることができ、
単独であるいは2種類以上併せて用いることができる。
この野菜や野菜汁の配合割合は、糠類懸濁液に対して、
0.1〜10%の範囲に設定され、好ましくは、1〜5
%の範囲である。
【0020】また、上記酵素としては、アミラーゼの他
に、プロテアーゼ,セルラーゼ,リパーゼをあげること
ができ、単独であるいは2種類以上併せて用いることが
できる。なお、必要に応じて、グルタミナーゼを用いる
ことも可能である。これら酵素の配合割合は、野菜等の
配合割合により適宜決定されるが、通常、糠類懸濁液に
対して、0.001〜1%の範囲に設定され、好ましく
は0.01〜0.5%の範囲である。
【0021】なお、上記野菜等と酵素は必ず併せて用い
る必要がある。これは、上記酵素が野菜等に作用するこ
とにより、発酵中にうま味成分を生成させるからであ
る。これにより、さらに好ましい風味を有した発酵調味
料を得ることができるようになる。
【0022】上記原料を用いて、発酵調味料は、例え
ば、以下に示すようにして製造することができる。
【0023】糠類を水に懸濁させ、さらに必要に応じ
て、糖類等の添加物を配合して、懸濁液を調製する。他
方、水抽出等によりこんぶ抽出物を調製する。そして、
両者を混合し、ついで、酢酸,リン酸,リン酸塩,クエ
ン酸等によりpHをpH4.0〜5.0の範囲に調整し
た後、これを75〜90℃で10〜50分間加熱した
後、40℃以下に冷却することにより殺菌処理を行う。
これは、原料由来の雑菌による異常発酵を防止するため
である。冷却後、別に培養していた乳酸菌および酵母の
少なくとも一種類の菌を、菌濃度が、懸濁液1gあたり
104 以上になるように、上記糠類懸濁液に接種する。
そして、温度を20〜40℃の範囲に保ち、静置,振盪
あるいは攪拌しながら菌を培養することにより発酵を行
う。なお、発酵中の糠類懸濁液のpHの調整は任意であ
る。また、発酵時間は、2〜6日間であるが、発酵開始
4日目で充分に香気成分および呈味成分が生成してお
り、良好な糠床の風味を有する発酵液を得ることがで
き、これを発酵調味料とすることが可能である。なお、
アミラーゼ等の酵素および野菜等の添加は、発酵前およ
び発酵中のいずれの段階でも行うことができる。これら
の添加により、さらに風味が向上した発酵調味料を得る
ことができる。また、発酵後得られた発酵液は、そのま
まで発酵調味料とすることも可能であるが、必要に応じ
て遠心分離,布濾過,珪藻土濾過等の方法により、不溶
成分を除去してもよい。そして、発酵に供した乳酸菌お
よび酵母は、殺菌または除菌しなくても特に発酵調味料
の風味等に影響を与えるおそれはないが、保存等の観点
からこれらの処理をすることが好ましい。これらの処理
は、加熱処理法あるいは除菌フィルターを用いる方法に
より行われる。加熱処理による殺菌は、通常、温度75
〜90℃で10〜30分間の条件で行われるが、加熱の
際の香気成分の揮散および分解を防止するために、超高
温短時間殺菌(UHT)で数秒間で行うこともできる。
【0024】以上のようにして、製造された発酵調味料
は、糠類の発酵成分およびこんぶ抽出物の発酵成分を主
要成分とすることを特徴とする。なお、本発明において
主要成分の趣旨は、上記発酵成分を量的に主要成分とす
るという趣旨ではなく、発酵調味料を特徴付けるのに最
も寄与する質的成分のことである。すなわち、組成的に
上記発酵成分が少なくても、本発明の発酵調味料は、糠
床の発酵成分およびこんぶ抽出物の発酵成分の両者の特
有の風味を有することを特徴とする。
【0025】なお本発明の発酵調味料は、その形態を制
限するものではなく、液状のものや、これを濃縮してペ
ーストとしたもの、および乾燥させ粉末としたもの、さ
らにはこの粉末を打錠してペレットとしたもの等を含む
趣旨である。
【0026】また、本発明の発酵調味料は、菌の種類,
糠類懸濁液の組成等により多様な風味とすることができ
るので、これらをさらにブレンドして、発酵調味料とす
ることも可能である。
【0027】つぎに、本発明の発酵調味料を用いた漬物
調味料について説明する。
【0028】本発明の漬物調味料は、本発明の発酵調味
料および調味成分を原料として得られる。
【0029】上記調味成分は、特に制限されるものでは
なく、目的とする漬物調味料の用途、例えば、浅漬け
用,糠漬け用あるいは古漬け用等の用途により適宜選択
することができる。この調味成分としては、例えば、食
塩、クエン酸,リンゴ酸,乳酸,フマール酸,コハク
酸,酒石酸,酢酸等の有機酸、グルコース,砂糖,オリ
ゴ糖,水飴等の糖類、ソルビトール,マルチトール糖の
糖アルコール類、甘草,ステビア,サッカリン等の甘味
料、グルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸類,みそ,し
ょう油,タンパク質分解物等の呈味成分、唐辛子,さん
しょ,しょうが,にんにく,ねぎ,玉ねぎ,ハーブ,ス
パイス,香料等の香気および辛味成分、酒,酒粕,エチ
ルアルコール等のアルコール類をあげることができる。
これらの調味成分の配合割合も、目的とする漬物調味料
の用途により適宜決定されるが、例えば、通常の糠漬け
用の漬物調味料の場合、固形分換算の発酵調味料100
部に対し、食塩30〜40部、有機酸類2〜5部、糖類
(含糖アルコール類)150〜200部、甘味料0〜2
0部、呈味成分20〜30部、香気および辛味成分1〜
5部、アルコール類10〜20部、水700〜900部
の割合である。
【0030】上記調味成分の他に、必要に応じて、増粘
剤,安定剤等の食品添加剤を配合することも可能であ
る。この配合割合は、特に制限されるものではないが、
例えば、通常の糠漬け用の漬物調味料の場合、固形分換
算の発酵調味料100部に対し、0.5〜5部の範囲で
ある。
【0031】本発明の漬物調味料は、上記調味成分およ
び食品添加剤を、発酵調味料の製造段階で配合すること
により製造することが可能である。
【0032】本発明の漬物調味料と生野菜を用いて、糠
漬けはつぎのようにして作ることができる。まず、きゅ
うり等の生野菜を、厚み5mm程度の適当な大きさに切
る。そして、これを野菜の重量の約半分の量の本発明の
漬物調味料に5〜30分浸漬する。そして、水気を切る
ことにより、本格的な風味を有した糠漬けを得ることが
できる。なお、上記漬物調味料の割合および浸漬時間
は、上記条件に限定されず、各自の好みに応じて変える
ことができる。
【0033】本発明の発酵調味料は、上記漬物調味料の
原料にその用途を限るものではない。例えば、これに適
当な調味成分を加え、味の濃度を調節することにより、
ドレッシングやソースとしたり、また調理の際の調味料
として使用することも可能である。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明の発酵調味料は、
糠類の懸濁液に、こんぶ抽出物を添加して発酵させて製
造される。したがって、こんぶ抽出物の乳酸菌および酵
母の増殖促進作用により、短時間にしかも糠床の強く好
ましい風味を生成させることができる。すなわち、こん
ぶ抽出物を添加することにより、単にこんぶの風味が相
加的に付与され、香味が改善されるだけでなく、乳酸菌
および酵母の菌叢形成あるいは代謝等に影響を与え、よ
り複雑で好ましい香味成分に富んだ発酵調味料の製造が
可能となる。このため、従来の漬物調味料を使用して糠
漬けを作った場合、香味成分が相対的に希釈されるた
め、その調味に数時間から数十時間を要していたが、本
発明の漬物調味料を使用すれば、生野菜を5〜30分間
の短時間浸漬するだけで、本格的糠漬け風味を付与する
ことができる。このため、食べたい時に準備すれば、直
ちに食べることができる。例えば、夕食に糠漬けを出す
ためには、食事の準備の前に、生野菜を本発明の漬物調
味料に浸漬し、浸漬中は食事の準備を行い、そして、食
事の直前に野菜の水を切り、皿等に盛りつけて食卓に供
することができる。したがって、忙しい主婦等の負担を
軽減することができ、また、いつでも好きな時に糠漬け
を楽しむことができるため、食生活を豊なものとするこ
とができるようになる。
【0035】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0036】
【実施例1】真こんぶ100gを、水1リットル、80
℃,30分間の条件で熱水抽出を行い、屈折濃度計でB
rix13のこんぶ抽出物を得た。そして、米糠7部、
タンパク質分解物3部、グルコース2部、水62部の糠
類懸濁液を調製し、上記こんぶ抽出物を26部添加し、
これを酢酸とクエン酸を用いてpH4.7〜4.8の範
囲に調整した。ついで、80℃、40分間の加熱処理を
行い、40℃以下に冷却した後、別に培養した乳酸菌
(ラクトバチルス プランタルム)および酵母(ジゴサ
ッカロマイセス ルキシ)を菌濃度が各々懸濁液1gあ
たり104 菌数になるように接種した。そして、30℃
で4日間時々攪拌しながら発酵させ、発酵調味料を得
た。
【0037】
【実施例2】水として、pH2.0〜6.5の酸性水溶
液を用いた他は、実施例1と同様の操作を行い発酵調味
料を得た。
【0038】
【実施例3】水として、pH2.0〜6.5の酸性水溶
液を用い、実施例1と同様にして熱水抽出を行い、さら
に活性炭処理および限外濾過処理を行いこんぶ抽出液を
得た。その他は実施例1と同様の操作を行い、発酵調味
料を得た。
【0039】
【実施例4】糠類懸濁液100部に対し、大根葉粉砕物
5部およびセルラーゼ0.2部の割合で配合した他は、
実施例1と同様の操作を行い、発酵調味料を得た。
【0040】
【比較例1】こんぶ抽出物を添加しなかった他は、実施
例1と同様の操作を行い、発酵調味料を得た。
【0041】以上の実施例1〜4、比較例1の発酵工程
中の菌数および有機酸濃度を測定した。その結果を表1
に示す。なお、有機酸濃度の測定は、通常のアルカリ滴
定法によった。また、実施例1〜4および比較例1で得
た発酵調味料の評価も行った。
【0042】
【表1】
【0043】表1よりこんぶ抽出物あるいはこんぶ抽出
液を添加した実施例品1〜4は、どれも発酵工程中の乳
酸菌および酵母の増殖は速いことがわかる。また、有機
酸の濃度も速やかに上昇した。さらに、実施例1〜4で
得られた発酵調味料は、どれも好ましい糠床の香りと味
を有していた。特に、実施例4の発酵調味料は、風味が
豊かなものであった。それに対し、比較例1は、発酵工
程中の乳酸菌および酵母の増殖は遅く、有機酸の生成も
遅かった。また、比較例1で得られた発酵調味料は、生
糠の香りを有し、味も好ましいものではなかった。
【0044】
【実施例5】実施例1で得た発酵調味料を用いて、漬物
調味料を調製した。すなわち、まず、上記発酵調味料
を、3000rpmで20分間遠心分離を行い、清澄な
発酵調味料を得た。この発酵調味料100部に対し、食
塩13部,クエン酸0.4部,砂糖0.8部,水飴11
部,タンパク質分解物16部,たまねぎエキス0.4部
を配合して混合溶解させ、漬物調味料を得た。この漬物
調味料は、整った糠床の風味およびうま味を有してい
た。
【0045】
【実施例6】実施例5で調製した漬物調味料を用いて、
糠漬けを作った。すなわち、約4mmの厚みに切ったき
ゅうりの輪切り100gおよび上記漬物調味料50cc
(約50g)とを、ビニール袋に入れて、軽く手もみし
た後、20分間放置した。その後、袋から取り出し、水
気をきってきゅうりの糠漬けを得た。
【0046】
【比較例2】比較例1で調製した発酵調味料を、実施例
5および実施例6と同様の操作を行いきゅうりの糠漬け
を得た。
【0047】以上のようにして得た、実施例6および比
較例2のきゅうりの糠漬けの官能検査を、20名の専門
パネラーにより行った。その結果を、表2に示す。ま
た、実施例6および比較例2で用いた発酵調味料の評価
も併せて行った。その結果も、同表に示す。
【0048】
【表2】
【0049】上記表2より、実施例6の糠漬けは、香
り,風味,味の全てにおいて比較例2の糠漬けより優れ
ていることがわかる。また、比較例2の発酵調味料は、
生糠臭を有していた。これは、発酵が充分でないためと
思われる。
【0050】
【実施例7】実施例1と同様にして調製した糠類懸濁液
およびこんぶ抽出物の混合物に、別に培養した、ラクト
バチルス ブレビス,ペディオコッカス ペントサセウ
ス,キャンディダ ベルサティリス,およびピキア フ
ァリノサの合計4種類の乳酸菌および酵母をそれぞれ別
々に接種した後、実施例1と同様の操作を行い発酵さ
せ、4種類の発酵調味料を得た。このようにして得た発
酵調味料を用いて、実施例5および6と同様の操作を行
い、4種類のきゅうりの糠漬けを得た。これらの糠漬け
は、それぞれ独特の好ましい糠床風味を有していた。
【0051】
【実施例8】実施例1と同様に処理した植菌前の糠類懸
濁液100部に、大根の搾汁を5部加え、実施例1と同
じ菌の接種と同時に、グルタミナーゼ0.05部を添加
した後、発酵させた。その他は、実施例1と同様の操作
を行い、発酵調味料を得た。この発酵調味料を用いて、
実施例5および6と同様の操作を行い、きゅうりの糠漬
けを得た。この糠漬けは、先の実施例6および7のもの
より、さらに風味および味が向上したものとなった。
【0052】
【実施例9】実施例1で得た発酵調味料に、サラダオイ
ルを加え、ドレッシングタイプの調味料とした。これ
を、キャベツの千切りにかけて、試食したところ、あっ
さりとして、かつ風味豊かであった。
【0053】
【実施例10,比較例3】実施例10については実施例
1と同様の操作を、また比較例3については比較例1と
同様の操作をそれぞれおこない、発酵調味料を製造し
た。そして、この発酵の際の香気成分の生成量の経時的
変化ついて調べた。その結果を下記の表3に示す。な
お、生成量は、つぎのようにして測定した。すなわち、
経時的に採取した発酵調味料(0日目,4日目,7日
目)を、3000rpmで20分間遠心分離を行い清澄
な液を得て、これをNickersone−Linke
ns改良型連続蒸留装置でジエチルエーテルを用いて抽
出処理を行い抽出物得た。そして、この抽出物を濃縮乾
固して重量を測定し、これを香気成分生成量とした。
【0054】
【表3】
【0055】上記表3より、こんぶ抽出物を添加した実
施例10は、香気成分の生成速度が著しく速いことがわ
かる。それに対し、比較例3は、香気成分の生成が遅
く、発酵7日目における香気成分量は、実施例10の4
日目の量よりも少なかった。
【0056】つぎに、上記各抽出物(0日目,4日目,
7日目)をガスクロマトグラフィーにより分析して、香
気成分の各成分ごとの相対増加量を調べた。その結果を
下記の表4に示す。なお、相対増加量は、発酵0日目を
基準として、±:ほぼ同じ、+:2〜5倍、++:6〜
10倍、+++:11倍以上として表した。
【0057】
【表4】
【0058】上記表4より、実施例10は、糠床香気成
分の特徴的な成分である脂肪酸エステルが多く生成して
いることがわかる。このことより、表3においての実施
例10の香気成分の増加量は、糠床香気成分の生成によ
るものであることがわかる。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糠類の発酵成分およびこんぶ抽出物の発
    酵成分を主要成分とすることを特徴とする発酵調味料。
  2. 【請求項2】 こんぶ抽出物が、こんぶの水抽出液であ
    る請求項1記載の発酵調味料。
  3. 【請求項3】 こんぶ水抽出液が、こんぶをpH2.0
    〜6.5の範囲の酸性水溶液で抽出したこんぶ水抽出液
    である請求項2記載の発酵調味料。
  4. 【請求項4】 こんぶ水抽出液が、こんぶをpH2.0
    〜6.5の範囲の酸性水溶液で抽出した後、活性炭処理
    および限外濾過処理の少なくとも一つの処理を施したこ
    んぶ水抽出液である請求項2記載の発酵調味料。
  5. 【請求項5】 糠類の発酵成分およびこんぶ抽出物の発
    酵成分が、糠類の懸濁液およびこんぶ抽出物に、下記の
    (A)および(B)を添加して発酵させてなる糠類の発
    酵成分およびこんぶ抽出物の発酵成分である請求項1〜
    4のいずれか一項記載の発酵調味料。 (A)野菜および野菜汁の少なくとも一つ。 (B)アミラーゼ,プロテアーゼ,セルラーゼおよびリ
    パーゼからなる群より選ばれた少なくとも一つの酵素。
  6. 【請求項6】 糠類の懸濁液に、こんぶ抽出物を混合
    し、これに乳酸菌および酵母の少なくとも一つを接種し
    て発酵させることを特徴とする発酵調味料の製法。
  7. 【請求項7】 こんぶ抽出物が、こんぶの水抽出液であ
    る請求項6記載の発酵調味料の製法。
  8. 【請求項8】 こんぶ抽出液が、こんぶをpH2.0〜
    6.5の範囲の酸性水溶液で抽出したこんぶ水抽出液で
    ある請求項7記載の発酵調味料の製法。
  9. 【請求項9】 こんぶ抽出液が、こんぶをpH2.0〜
    6.5の範囲の酸性水溶液で抽出した後、活性炭処理お
    よび限外濾過処理の少なくとも一つの処理を施したこん
    ぶ水抽出液である請求項7記載の発酵調味料の製法。
  10. 【請求項10】 糠類の懸濁液およびこんぶの抽出物の
    少なくとも一つに、下記の(A)および(B)を添加す
    る請求項6〜9のいずれか一項記載の発酵調味料の製
    法。 (A)野菜および野菜汁の少なくとも一つ。 (B)アミラーゼ,プロテアーゼ,セルラーゼおよびリ
    パーゼからなる群より選ばれた少なくとも一つの酵素。
  11. 【請求項11】 糠類の発酵成分およびこんぶ抽出物の
    発酵成分を含有する発酵調味料に調味成分を添加してな
    る漬物調味料。
  12. 【請求項12】 こんぶ抽出物が,こんぶの水抽出液で
    ある請求項11記載の漬物調味料。
  13. 【請求項13】 こんぶ抽出液が,こんぶをpH2.0
    〜6.5の範囲の酸性水溶液で抽出したこんぶ水抽出液
    である請求項12記載の漬物調味料。
  14. 【請求項14】 こんぶ抽出液が,こんぶをpH2.0
    〜6.5の範囲の酸性水溶液で抽出した後、活性炭処理
    および限外濾過処理の少なくとも一つの処理を施したこ
    んぶ水抽出液である請求項12記載の漬物調味料。
  15. 【請求項15】 糠類の発酵成分およびこんぶ抽出物の
    発酵成分が、糠類の懸濁液およびこんぶ抽出物に、下記
    の(A)および(B)を添加して発酵させてなる糠類の
    発酵成分およびこんぶ抽出物の発酵成分である請求項1
    1〜14のいずれか一項記載の漬物調味料。 (A)野菜および野菜汁の少なくとも一つ。 (B)アミラーゼ,プロテアーゼ,セルラーゼおよびリ
    パーゼからなる群より選ばれた少なくとも一つの酵素。
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