JP2014168412A - 酵素処理昆布エキスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 昆布の風味を増強するために、酵素処理することによりミリスチン酸エチルエステルやパルミチン酸エチルエステル、オレイン酸エチルエステル等の脂肪酸エチルエステルを含有する昆布エキスを製造する方法を提供することである。
【解決手段】 昆布を抽出処理中又は抽出処理後の抽出処理液を、エタノール存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することを特徴とする、脂肪酸エチルエステルを含有する酵素処理昆布エキスの製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、風味力価の強い昆布エキスの製造方法に関する。
昆布は、古くから日本各地で食用に供されており、中でも、日本料理等の調味を目的として幅広く用いられている。昆布特有の風味は、グルタミン酸、マンニトール及びカリウムの特徴的な組成比によって得られる呈味、及びアラキドン酸を出発原料として変換された飽和又は不飽和アルデヒド類やアルコール類等の揮発性香気成分によって形成されることが知られている(非特許文献1)。
昆布の風味を向上させる方法については、「脂肪酸、脂肪酸光照射物および脂肪酸加熱物の中から選ばれる1種以上を有効成分として含有する昆布風味増強剤」(特許文献1)の発明が開示されているが、脂肪酸の光照射や加熱は、脂肪酸の酸化、過酸化を生じさせる。
一方、脂肪酸エチルエステルが、焼酎等の醸造物の風味形成において重要であることが知られている(非特許文献2)が、昆布に脂肪酸エチルエステルが含まれているという報告、又は、昆布エキスに脂肪酸エチルエステルを含ませるようにしたという報告はない。
特開2005−6511号公報
梶原忠彦、「海藻香気成分」、堀輝三、外2名編、21世紀初頭の藻学の現況、日本藻類学会、2002年12月1日、p.132−135 宮川博士、外7名、「長期間の差しもとを伴う従来法および返し仕込み法による芋焼酎製造技術の実証試験」、日本醸造協会誌、財団法人日本醸造協会、2011年、第106巻、第9号、p.611−619
本発明の課題は、昆布の風味を増強するために、酵素処理することにより脂肪酸エチルエステルを含有する昆布エキスを製造する方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、昆布エキスを製造するに際し、昆布を抽出処理中又は抽出処理後の抽出処理液を、エタノール存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、昆布を抽出処理中又は抽出処理後の抽出処理液を、エタノール存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することを特徴とする、脂肪酸エチルエステルを含有する酵素処理昆布エキスの製造方法を提供するものである。
本発明には、下記の態様が含まれる。
項(1)
昆布を抽出処理中又は抽出処理後の抽出処理液を、エタノール存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することを特徴とする、酵素処理昆布エキスの製造方法。
項(2)
該酵素処理時のエタノール存在下におけるエタノール濃度が0.01〜60重量%である、項(1)に記載の製造方法。
項(3)
エタノールの存在下がエタノール水溶液中である、項(1)又は項(2)に記載の製造方法。
項(4)
前記抽出処理が、水及び/又はエタノールを抽出溶媒として行なわれる、項(1)乃至項(3)のいずれか1項に記載の製造方法。
本発明によれば、ミリスチン酸エチルエステルやパルミチン酸エチルエステル、オレイン酸エチルエステル等の脂肪酸エチルエステルを酵素処理により昆布エキスに効果的に含有させることができ、これにより、昆布本来の風味に加え、熟成感のある香気や厚みを増した呈味が付与された新規の酵素処理昆布エキスを提供することができる。本発明により得られる酵素処理昆布エキスは、昆布由来の生臭さや苦味、雑味といった不快な呈味をほとんど感じることなく、全体としてバランスが良くまとまりのある風味を有している。
本発明は、昆布を抽出処理中又は抽出処理後の抽出処理液をエタノール存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することを特徴とする、脂肪酸エチルエステルを含有する酵素処理昆布エキスの製造方法である。以下に、本発明について詳細を記載する。
本発明において、原料として用いる昆布は、一般に入手可能な食品用又は食品加工用の昆布であれば限定されない。例えば、利尻昆布、日高昆布(三石昆布)、真昆布、羅臼昆布、細目昆布、長昆布(浜中昆布)等が挙げられる。これら原料として用いる昆布は、1種を単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。また、該昆布は、生鮮のものであっても、乾燥したものであっても、いずれも用いることができる。
さらに、原料として用いる昆布は、そのままの形状で用いてもよく、細切処理又は粉砕処理して用いてもよい。昆布を細切処理又は粉砕処理する方法は、特に限定されず、食材の加工に一般に用いられる方法を単独又は組み合わせて処理することができる。細切処理又は粉砕処理に用いる機器としては、例えば、切断、粉砕、摩擦、空気圧、水圧等を利用して加工する各種の裁断機、粉砕機等が挙げられる。
本発明においては、昆布を抽出処理中又は抽出処理後の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う。すなわち、昆布を抽出処理中の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行うか、又は、昆布を抽出処理後の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う。
本発明において、昆布を抽出処理中の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う場合、該抽出処理をしながら該酵素処理を行えばよく、該抽出処理を開始するのと同時に該抽出処理と並行して該酵素処理を行ってもよく、該抽出処理の途中から該抽出処理と並行して該酵素処理を行ってもよい。また、本発明において、昆布を抽出処理後の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う場合、該抽出処理液を固液分離して得られた液部として該酵素処理に用いることができる。
本発明において、昆布を抽出処理中の抽出処理液、又は、抽出処理後の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う場合、該抽出処理に用いる抽出溶媒は、食品加工に用いることのできる溶媒であればいずれでもよく、好ましくは、水及び/又はアルコールであり、より好ましくは、水、エタノール又はエタノール水溶液であり、特に好ましくは、エタノール水溶液である。
本発明において、昆布を抽出処理中の抽出処理液、又は、抽出処理後の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う場合、該抽出処理液にエタノールを含有していない場合には、該酵素処理を行うまでに、エタノール又はエタノールを含有する溶液を該抽出処理液に添加して該酵素処理を行えばよい。
本発明において、昆布を抽出処理中の抽出処理液、又は、抽出処理後の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う場合、該抽出処理における処理温度は、通常、0℃〜70℃、好ましくは、10℃〜60℃、より好ましくは、15℃〜50℃である。また、該抽出処理における処理時間は、抽出溶媒の種類や抽出処理の温度にもよるが、通常、0.1時間〜24時間である。
本発明において、昆布を抽出処理中の抽出処理液、又は、抽出処理後の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う場合、該酵素処理に用いるリパーゼ活性を有する酵素は、食品加工に用いることができるリパーゼ活性を有する酵素であればいずれでもよい。また、該酵素を含むものであってもよく、酵素製剤の形で用いることもできる。リパーゼ活性を有する酵素としては、例えば、リパーゼ製剤であるリパーゼOF(名糖産業株式会社製)、リパーゼA「アマノ」6(天野エンザイム株式会社製)、リリパーゼ(登録商標)A−10D(ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
本発明において、昆布を抽出処理中の抽出処理液、又は、抽出処理後の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う場合、該酵素処理を行うときのエタノール存在下におけるエタノール濃度は、酵素が適切に作用するようにエタノールが存在していればよいが、エタノール濃度が高すぎると、該酵素処理における酵素活性が低下する傾向にあることから、好ましくは0.01〜60重量%、より好ましくは0.1〜55重量%、さらにより好ましくは0.3〜45重量%、特に好ましくは0.5〜40重量%である。
本発明において、昆布を抽出処理中の抽出処理液、又は、抽出処理後の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う場合、該酵素処理における処理温度は、通常10〜70℃、好ましくは15〜60℃、より好ましくは20〜50℃である。また、該酵素処理における処理時間は、通常10分間〜12時間、好ましくは20分間〜8時間、より好ましくは30分間〜6時間である。
本発明において、昆布を抽出処理中の抽出処理液、又は、抽出処理後の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う場合、該酵素処理におけるリパーゼ活性を有する酵素の添加量は、処理温度及び処理時間により適宜変更することができるが、例えば、製剤として、通常0.0001〜1.0重量%、好ましくは0.0005〜0.5重量%、より好ましくは0.001〜0.2重量%である。
本発明において、昆布を抽出処理中の抽出処理液、又は、抽出処理後の抽出処理液を、エタノールの存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理を行う場合、該酵素処理を行う前に、該抽出処理液のpHを、リパーゼ活性を有する酵素の至適pH付近に調整することが好ましい。調整するpHは、通常pH3.0〜8.0であり、好ましくはpH4.0〜7.0である。なお、該pH調整を行った場合、該酵素処理した後に中和処理を行ってもよい。pHの調整及び中和処理は、pH調整剤として一般に食品に利用されているものを用いることができる。pH調整剤は、食品添加物として指定されたものであれば特に限定されない。pH調整剤としては、酸、アルカリ、及びそれらの塩等が用いられるが、例えば、塩酸、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明により得られる酵素処理昆布エキスは、少なくとも脂肪酸エチルエステルを含有していればよい。本発明により得られる酵素処理昆布エキスに含有される脂肪酸エチルエステルは、特に限定されないが、例えば、カプリン酸エチルエステル、ラウリン酸エチルエステル、ミリスチン酸エチルエステル、パルミチン酸エチルエステル、パルミトレイン酸エチルエステル、ステアリン酸エチルエステル、オレイン酸エチルエステル、バクセン酸エチルエステル、リノール酸エチルエステル、α−リノレン酸エチルエステル、β−リノレン酸エチルエステル、エイコサジエン酸エチルエステル、エイコサトリエン酸エチルエステル、エイコサペンタエン酸エチルエステル、ドコサヘキサエン酸エチルエステル等が挙げられる。中でも、ミリスチン酸エチルエステル、パルミチン酸エチルエステル、オレイン酸エチルエステル、リノール酸エチルエステル、アラキドン酸エチルエステル又はエイコサペンタエン酸エチルエステルのうち1種以上が含有され、特に、ミリスチン酸エチルエステル、パルミチン酸エチルエステル、オレイン酸エチルエステルのうち1種以上が含有される。
本発明により得られる酵素処理昆布エキスが含有する脂肪酸エチルエステルの含有量は、各種の脂肪酸エチルエステルの合計含有量として、昆布由来固形物あたり10ppm以上であり、より好ましくは昆布由来固形物あたり20ppm以上、さらに好ましくは昆布由来固形物あたり50ppm以上、特に好ましくは昆布由来固形物あたり100ppm以上である。
本発明においては、前記酵素処理を行った後の処理液について、酵素失活処理を行ってもよい。該酵素失活処理は、最終的に得られる酵素処理昆布エキスにおいて酵素活性が残存しないように行えばよく、また、該酵素失活処理の条件は、該酵素処理において用いた酵素が失活する条件であれば特に限定されない。酵素失活処理の条件としては、該酵素処理において用いる酵素の種類により異なるが、リパーゼ活性を有する酵素の場合、通常、60℃以上で加熱することで達成され、好ましくは60〜100℃程度で1〜60分程度加熱処理すればよい。
本発明により得られる酵素処理昆布エキスは、風味が良好で嗜好性に優れていることから、そのままの形態でも利用することができるが、さらに、該酵素処理昆布エキスを固液分離した液部として用いることができる。固液分離する方法は、特に限定されず、濾過、遠心分離等の公知の方法により行うことができる。また、本発明により得られる酵素処理昆布エキスは、そのまま又は固液分離した液部を常法により濃縮機等を用いて濃縮処理することで濃縮物として用いてもよく、また、乾燥処理して用いてもよい。乾燥処理方法は、特に限定されず、公知の手段を用いて乾燥することができる。乾燥処理方法としては、例えば、スプレードライヤー、ドラムドライヤー、フリーズドライヤー、エアードライヤー等の公知の手段を用いることができる。また、デキストリン等の賦形剤を添加して乾燥処理してもよい。さらに、乾燥処理により得られたものを粉砕後、粉末等として用いてもよく、必要に応じて造粒機等を用いて顆粒品とすることができる。
本発明により得られる酵素処理昆布エキスは、そのまま又は水等で希釈して利用することができる。さらに、本発明により得られる酵素処理昆布エキスは、種々の加工食品、例えば、即席食品、乳製品、菓子類、調味料、飲料等の各種飲食品に適宜添加、配合して用いることもできる。また、必要に応じて、通常の飲食品の原料や添加物として使用されているものと併用することもできる。
本発明により得られる酵素処理昆布エキスは、特定保健用食品、機能性食品、栄養補助食品といった食品や、医薬部外品又は飼料等に用いることができる。形態としては、アンプル、カプセル、丸剤、錠剤、粉末、顆粒、固形、液剤、ゲル、エアロゾル等とすることができるほか、各種製品中に配合することができる。これら製品の調製に当たっては、賦形剤、結合剤、潤沢剤等を適宜配合することができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。なお、本実施例において、各原料及び素材の配合比率、含有比率、濃度は断りのない限り全て重量部基準である。
[調製1]
利尻昆布(乾燥物)210gに、70%エタノール水溶液490gを加えて、30℃で30分間抽出処理を行った。抽出処理後、濾紙(No.2)を用いて固液分離を行うことで、エタノール抽出昆布エキス450g(調製1:固形分6.06%)を得た。
[実施例1]
調製1で得られた昆布エキス100gに、水道水90gを加えて、さらに、リパーゼ製剤であるリパーゼOFを0.02g添加して、40℃で2時間酵素処理を行った。酵素処理後、70℃で30分間酵素失活処理を行うことで、本発明の酵素処理昆布エキス180g(実施例1:固形分3.1%)を得た。リパーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理時のエタノール濃度は、35%であった。
[実施例2]
調製1で得られた昆布エキス100gに、水道水30gを加えて、さらに、リパーゼ製剤であるリパーゼOFを0.02g添加して、40℃で2時間酵素処理を行った。酵素処理後、70℃で30分間酵素失活処理を行うことで、本発明の酵素処理昆布エキス120g(実施例2:固形分5.1%)を得た。リパーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理時のエタノール濃度は、50%であった。
[対比試験1]
実施例1及び2の本発明の酵素処理昆布エキス並びに調製1のエタノール抽出昆布エキスについて、ガスクロマトグラフィー(以下、GCという)で以下に示す測定条件にて脂肪酸エチルエステル含有量を測定し、昆布由来固形物あたりの含有量を算出した。結果を表1に示す。
さらに、実施例1の本発明の酵素処理昆布エキス及び調製1のエタノール抽出昆布エキスについて、モニター8人による官能評価(香気及び呈味)を実施した。試料は、各エキスの固形物重量の5倍量となるデキストリン(パインデックス(登録商標)#2:松谷化学工業株式会社製)をそれぞれ添加し溶解させた後、スプレードライにて乾燥させ各エキス粉末とし、得られた各エキス粉末3gを0.5%食塩水100gで希釈して調製した。結果を表2に示す。
<GCの測定条件>
検出器:Flame Ionization Detector(FID)
カラム:BPX70(内径:0.25mm、長さ:30m、膜圧:0.25μm。SGE社製)
カラム温度:150℃→5℃/分で昇温→180℃(10分間保持)→10℃/分で昇温→220℃(5分間保持)
キャリアガス:ヘリウム(110kPa、流量:0.9ml/分)
インジェクタ温度:260℃
内部標準:n−ヘンエイコサン酸メチル
検体:試料を常法に従ってジエチルエーテル抽出・留去した後、ヘキサンに溶解した。
Figure 2014168412
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表1に示すとおり、実施例1及び実施例2の本発明の酵素処理昆布エキスは、各種の脂肪酸エチルエステルを含有していたが、調製1のエタノール抽出昆布エキスは、脂肪酸エチルエステルが全く検出されなかった。さらに、表2に示すとおり、官能評価について、酵素処理により脂肪酸エチルエステルを含有させた実施例1の本発明の酵素処理昆布エキスは、熟成感のある香気が強く、その呈味も厚みがあり、まとまりのあるバランスの良い風味を有していたが、調製1のエタノール抽出昆布エキスでは、生臭い香りを有し、不快な苦味や雑味を多く感じるもので、全体としての風味のまとまりがないものであった。
[実施例3]
利尻昆布(乾燥物)50gに、5%エタノール水溶液450gを加えた後、リパーゼ製剤であるリパーゼOFを0.025g添加し、50℃で2時間抽出処理をしながら酵素処理を行った。抽出及び酵素処理後、80℃で10分間酵素失活処理を行った後、不織布を用いて固液分離を行い、液部を回収することで、本発明の酵素処理昆布エキス265g(実施例3:固形分5.8%)を得た。リパーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理時のエタノール濃度は、5%であった。
[比較例1]
利尻昆布(乾燥物)50gに、水道水450gを加えて、50℃で2時間抽出処理を行った。抽出処理後、80℃で10分間加熱処理を行った後、不織布を用いて固液分離を行い、液部を回収することで、水抽出昆布エキス246g(比較例1:固形分5.9%)を得た。
[比較例2]
利尻昆布(乾燥物)50gに、5%エタノール水溶液450gを加えて、50℃で2時間抽出処理を行った。抽出処理後、80℃で10分間加熱処理を行った後、不織布を用いて固液分離を行い液部を回収することで、エタノール抽出昆布エキス252g(比較例2:固形分6.1%)を得た。
[比較例3]
利尻昆布(乾燥物)50gに、水道水450gを加えた後、リパーゼ製剤であるリパーゼOFを0.025g添加し、50℃で2時間抽出・酵素処理を行った。抽出・酵素処理後、80℃で10分間酵素失活処理を行った後、不織布を用いて固液分離を行い、液部を回収することで、水抽出酵素処理昆布エキス248g(比較例3:固形分6.0%)を得た。
[対比試験2]
実施例3の本発明の酵素処理昆布エキス、比較例1の水抽出昆布エキス、比較例2のエタノール抽出昆布エキス及び比較例3の水抽出酵素処理昆布エキスについて、対比試験1と同様にしてGCで脂肪酸エチルエステル含有量を測定し、昆布由来固形物あたりの含有量を算出した。結果を表3に示す。
さらに、実施例3の本発明の酵素処理エキス及び比較例2のエタノール抽出昆布エキスについて、モニター10人による官能評価(香気及び呈味)を実施した。試料は、各エキスを0.5%食塩水で10倍に希釈して調製した。結果を表4に示す。
Figure 2014168412
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表3に示すとおり、実施例3の本発明の酵素処理昆布エキスは、脂肪酸エチルエステルを含有していたが、比較例1の水抽出昆布エキス、比較例2のエタノール抽出昆布エキス及び比較例3の水抽出酵素処理昆布エキスは、いずれも脂肪酸エチルエステルが全く検出されなかった。さらに、表4に示すとおり、官能評価においても、脂肪酸エチルエステルを酵素処理により含有させた実施例3の本発明の酵素処理昆布エキスは、比較例2のエタノール抽出昆布エキスより、その香気や呈味が顕著に強く、全体の風味もまとまっており、格別優れたものとなった。
[実施例4]
日高昆布(乾燥物)25gに、10%エタノール水溶液475gを加えた後、リパーゼ製剤であるリパーゼA「アマノ」6を0.05g添加し、30℃で4時間抽出処理をしながら酵素処理を行った。抽出及び酵素処理後、70℃で1時間酵素失活処理を行った後、濾紙(No.2)を用いて固液分離を行い、得られた濾液をエバポレータを用いて減圧濃縮することで、本発明の酵素処理昆布エキス50g(実施例4:固形分21.0%)を得た。リパーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理時のエタノール濃度は、10%であった。
[比較例4]
日高昆布(乾燥物)25gに、水道水475gを加えて、30℃で4時間抽出処理を行った。抽出処理後、70℃で1時間加熱処理を行った後、濾紙(No.2)を用いて固液分離を行い、得られた濾液をエバポレータを用いて減圧濃縮することで、水抽出昆布エキス48g(比較例4:固形分21.6%)を得た。
[対比試験3]
実施例4の本発明の酵素処理昆布エキス及び比較例4の水抽出昆布エキスについて、対比試験1と同様にしてGCで脂肪酸エチルエステル含有量を測定し、昆布由来固形物あたりの含有量を算出した。結果を表5に示す。
さらに、実施例4の本発明の酵素処理エキス及び比較例4の水抽出昆布エキスについて、モニター10人による官能評価(香気及び呈味)を実施した。試料は各エキスを水道水で40倍に希釈して調製した。結果を表6に示す。
Figure 2014168412
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表5に示すとおり、実施例4の本発明の酵素処理昆布エキスは、脂肪酸エチルエステルを含有していたが、比較例4の水抽出昆布エキスは、脂肪酸エチルエステルが全く検出されなかった。さらに、表6に示すとおり、官能評価においても、脂肪酸エチルエステルを酵素処理により含有させた実施例4の本発明の酵素処理昆布エキスは、比較例4の昆布エキスより、その香気や呈味が顕著に強く、全体の風味もまとまっており、格別優れたものとなった。
[実施例5]
利尻昆布(乾燥物)40gに、50%エタノール水溶液160gを加えて、40℃で1時間抽出処理を行った後、水道水160gを加えて、さらに、リパーゼ製剤であるリパーゼOFを0.02g添加して、40℃で2時間さらに抽出処理しながら酵素処理を行った。抽出及び酵素処理後、70℃で30分間酵素失活処理を行った後、濾紙(No.2)を用いて固液分離を行うことで、本発明の酵素処理昆布エキス280g(実施例5:固形分7.3%)を得た。リパーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理時のエタノール濃度は、25%であった。
[比較例5]
利尻昆布(乾燥物)40gに、50%エタノール水溶液160gを加えて、40℃で1時間抽出処理を行った後、水道水160gを加えて、さらに、40℃で2時間抽出処理を行った。抽出処理後、70℃で30分間加熱処理を行った後、濾紙(No.2)を用いて固液分離を行うことで、エタノール抽出昆布エキス280g(比較例5:固形分6.2%)を得た。
[対比試験4]
実施例5の本発明の酵素処理昆布エキス及び比較例5のエタノール抽出昆布エキスについて、対比試験1と同様にしてGCで脂肪酸エチルエステル含有量を測定し、昆布由来固形物あたりの含有量を算出した。結果を表7に示す。
Figure 2014168412
表7に示すとおり、実施例5の本発明の酵素処理昆布エキスは、脂肪酸エチルエステルを含有していたが、比較例5のエタノール抽出昆布エキスは、脂肪酸エチルエステルが全く検出されなかった。さらに、0.5%食塩水で10倍希釈した各エキスについて香気及び呈味をモニターにより評価したところ、いずれについても、実施例5の本発明の酵素処理昆布エキスの方が好ましいと評価した人数が、比較例5の昆布エキスの方が好ましいと評価した人数を上回った。脂肪酸エチルエステルを酵素処理により含有させた実施例5の本発明の酵素処理昆布エキスは、比較例5の昆布エキスよりも、その香気や呈味が顕著に強く、全体の風味もまとまっており、格別優れたものとなった。
[実施例6]
真昆布(乾燥物)50gに、食塩25g、15%エタノール水溶液425gを加えた後、リパーゼ製剤であるリリパーゼA−10Dを0.01g添加し、40℃で2時間抽出及び酵素処理を行った。抽出及び酵素処理後、80℃で30分間酵素失活処理を行った後、目開き75μmのふるいを用いて固液分離を行い、濾液(固形分:6.7%)を回収した。得られた濾液50gに、デキストリン(パインデックス#2:松谷化学工業株式会社製)20gを加えて溶解させた後、フリーズドライにて乾燥させることで、本発明の酵素処理昆布エキス粉末20g(実施例6)を得た。リパーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理時のエタノール濃度は、15%であった。
[比較例6]
真昆布(乾燥物)50gに、食塩25g、水道水425gを加えて、40℃で2時間抽出処理を行った。抽出処理後、80℃で1時間加熱処理を行った後、目開き75μmのふるいを用いて固液分離を行い、濾液(固形分:7.3%)を回収した。得られた濾液50gに、デキストリン(パインデックス#2:松谷化学工業株式会社製)20gを加えて溶解させた後、フリーズドライにて乾燥させることで、水抽出昆布エキス粉末20g(比較例6)を得た。
[対比試験5]
実施例6の本発明の酵素処理昆布エキス粉末及び比較例6の水抽出昆布エキス粉末について、対比試験1と同様にしてGCで脂肪酸エチルエステル含有量を測定し、昆布由来固形物あたりの含有量を算出した。結果を表8に示す。
Figure 2014168412
表8に示すとおり、実施例6の本発明の酵素処理昆布エキス粉末は、脂肪酸エチルエステルを含有していたが、比較例6の水抽出昆布エキス粉末では、脂肪酸エチルエステルが全く検出されなかった。さらに、各エキス粉末5gを水道水100gで希釈した試料について香気及び呈味をモニターにより評価したところ、いずれについても、実施例6の本発明の酵素処理昆布エキス粉末の方が好ましいと評価した人数が、比較例6の水抽出昆布エキス粉末の方が好ましいと評価した人数を上回った。脂肪酸エチルエステルを酵素処理により含有させた実施例6の本発明の酵素処理昆布エキス粉末は、比較例6の水抽出昆布エキス粉末より、その香気や呈味が顕著に強く、全体の風味もまとまっており、格別優れたものとなった。

Claims (4)

  1. 昆布を抽出処理中又は抽出処理後の抽出処理液を、エタノール存在下でリパーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することを特徴とする、酵素処理昆布エキスの製造方法。
  2. 該酵素処理時のエタノール存在下におけるエタノール濃度が0.01〜60重量%である、請求項1に記載の製造方法。
  3. エタノールの存在下がエタノール水溶液中である、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記抽出処理が、水及び/又はエタノールを抽出溶媒として行なわれる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
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