以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
先ず、コンバインの全体構成について、図1及び図2により説明する。
図1及び図2には、稲や麦等の作物を収穫するコンバインの一例として、自脱型コンバインを示している。コンバインにおける前部には、植立穀稈を刈り取る刈取部1が設けられている。刈取部1の後方には、走行可能なクローラ式の走行装置2が設けられている。走行装置2の上部には、機体フレーム3が設けられている。
機体フレーム3上における左側には、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置4が設けられている。脱穀装置4の後方には、排藁を切断する排藁切断装置5が設けられている。脱穀装置4の左方には、刈取穀稈を脱穀装置4に搬送するフィードチェーン7が設けられている。
機体フレーム3上における右側前部には、運転部6及びエンジンEが設けられている。機体フレーム3上における右側後部には、穀粒を貯留するグレンタンク8が設けられている。グレンタンク8には、グレンタンク8内の穀粒を取り出すためのアンローダ9が設けられている。
以上のような構成により、コンバインは、走行装置2で走行しながら、刈取部1で植立穀稈を刈り取り、刈取穀稈をフィードチェーン7で脱穀装置4に搬送し、刈取穀稈を脱穀装置4で脱穀する。そして、刈取穀稈が脱穀装置4で脱穀された後、穀粒がグレンタンク8に貯留される。排藁は、そのまま圃場に排出することもできるが、排藁切断装置5で切断して圃場に排出することもできる。
次に、脱穀装置4について、図3及び図4により説明する。
図3及び図4に示すように、脱穀装置4の上部には、扱室10が形成されている。扱室10には、脱穀処理用の扱胴11が、前後向きの軸心Y1周りに回転可能(図4に示す矢印R1方向)に設けられている。扱胴11は、複数の扱歯12を有している。扱室10には、扱歯12に当接して扱胴11の回転を阻止可能なストッパ28が設けられている。扱胴11の下方には、脱穀処理で得られた処理物(脱穀処理物)を漏下させる受網13が設けられている。
扱室10の左方には、扱室10の扱口10aに沿って刈取穀稈を挟持搬送するフィードチェーン7が設けられている。フィードチェーン7と上下に対向する位置には、フィードチェーン7と共に刈取穀稈を挟持するレール機構27が設けられている。扱室10の後方には、塵埃を外部に排出する排塵ファン14、及び排藁を排藁切断装置5に搬送する排藁チェーン15が設けられている。
脱穀装置4の下部には、揺動選別用の揺動選別装置16、並びに風選別用の主唐箕17、副唐箕18及び二番唐箕19が設けられている。主唐箕17の後方には、前方から順に、一番回収部20及び二番回収部21が設けられている。脱穀装置4の下部前方には、左右向きのカウンタ軸26が設けられている。なお、詳しくは後述するが、エンジンEの動力は、カウンタ軸26を介して、フィードチェーン7、主唐箕17及び一番回収部20に伝達される。
一番回収部20は、一番物の穀粒を回収するものである。一番回収部20には、一番物の穀粒を左右方向に搬送する一番横スクリュ22が設けられている。一番回収部20には、一番物の穀粒をグレンタンク8に揚穀搬送する揚穀装置23が連設されている。
二番回収部21は、二番物の穀粒を回収するものである。二番回収部21には、二番物の穀粒を左右方向に搬送する二番横スクリュ24が設けられている。二番回収部21には、二番物の穀粒を揺動選別装置16に還元する二番還元装置25が連設されている。
以上のような構成により、脱穀装置4では、刈取穀稈がフィードチェーン7で挟持搬送されながら扱胴11で脱穀処理され、脱穀処理物が受網13から漏下する。そして、受網13から漏下した脱穀処理物に対して、揺動選別装置16による揺動選別、並びに主唐箕17、副唐箕18及び二番唐箕19による風選別が施される。これにより、比重が大きい単粒化穀粒は、前方の一番回収部20に一番物として回収され、揚穀装置23でグレンタンク8に揚穀搬送される。また、比重が小さい枝梗付き穀粒は、後方の二番回収部21に二番物として回収され、二番還元装置25で揺動選別装置16に還元される。
次に、ストッパ28について、図4から図9により説明する。
図4及び図5に示すように、ストッパ28は、扱室10の上部を形成する脱穀天板33に設けられている。具体的には、ストッパ28は、脱穀天板33における左横外方寄りの部分に設けられている。つまり、ストッパ28は、扱胴11の軸心Y1よりも左横外方に配置されている。
ストッパ28は、操作部34によって、非当接位置P1から当接位置P2に切り替えられるように構成されている。非当接位置P1は、ストッパ28が扱歯12の先端部の回転軌跡C外側に退避して扱歯12に当接しない位置である。当接位置P2は、ストッパ28が扱歯12の先端部の回転軌跡C内側に進入して扱歯12に当接する位置である。
ストッパ28は、当接位置P2に揺動するように、捩じりバネ35で付勢されている。ストッパ28は、位置決め機構36によって、非当接位置P1に位置決め可能に構成されている。位置決め機構36によるストッパ28の非当接位置P1への位置決めは、操作部34によって解除される。
図6から図9に示すように、ストッパ28は、受部材37と、一対の支持部材38と、を備えている。
受部材37は、扱歯12に当接する部分としての扱胴11の軸心Y1方向に向くものである。受部材37における扱歯12に当接する箇所は、受部材37の軸心Y2方向における中央部又は略中央部である。非当接位置P1における受部材37は、脱穀天板33の下面に設けられた当接板33c(図5参照)に当接している。
受部材37は、支持部材38の先端部に設けられている。具体的には、受部材37は、支持部材38の先端部のうち当接位置P2において扱胴11の回転方向上流側に向く部分に設けられている。受部材37と支持部材38とは、溶接固定されている。受部材37は、丸棒で構成されている。
一対の支持部材38は、受部材37における扱歯12に当接する箇所を受部材37の軸心Y2方向に挟む箇所を支持するものである。具体的には、一対の支持部材38は、受部材37における軸心Y2方向の両端部を支持している。また、一対の支持部材38同士は、連結片41で連結されている。具体的には、一対の支持部材38における互いに対向する面同士が、連結片41で連結されている。連結片41と支持部材38とは、溶接固定されている。
支持部材38は、ボス部38aを介して支持軸42に揺動可能に支持されている。支持部材38は、所定の形状に屈曲又は湾曲する丸棒で構成されている。具体的には、扱胴11の軸心Y1方向視において、当接位置P2における支持部材38は、扱胴11の回転方向下流側に向かって突き出るように屈曲又は湾曲している。支持部材38の曲り角度は、鈍角となるように設定されている。
支持軸42は、ストッパ28を、扱胴11の軸心Y1方向に向く揺動軸心Y3周りにおいて、非当接位置P1と当接位置P2との間で揺動可能に支持するものである。支持軸42は、脱穀天板33の上部を覆う上外装カバー43と脱穀天板33との間に設けられている。支持軸42は、ベース板44に支持されている。
ベース板44には、支持軸42を支持するブッシュ45が設けられている。ベース板44は、脱穀天板33の形状に略沿って屈曲している。ベース板44の屈曲部分には、ブッシュ45が位置決めされた状態で固定されている。ベース板44には、一対の支持部材38が差し込まれる開口部44aが形成されている。なお、脱穀天板33におけるベース板44の開口部44aに対応する位置にも、一対の支持部材38が差し込まれる開口部33aが形成されている。
捩じりバネ35は、支持軸42に外嵌されている。具体的には、捩じりバネ35は、支持軸42におけるボス部38aとブッシュ45との間の部分に外嵌されている。捩じりバネ35の一端部は、ベース板44の上面に係止され、捩じりバネ35の他端部は、支持部材38に係止されている。
図8及び図9に示すように、操作部34は、ストッパ28を切替駆動するソレノイドバルブ39を備えている。ソレノイドバルブ39は、揺動軸心Y3方向に伸縮可能なロッド39aを有している。ソレノイドバルブ39は、図示しないバルブスイッチの操作によって、作動するように構成されている。
ソレノイドバルブ39は、上外装カバー43の上面に配置されている。ソレノイドバルブ39は、上外装カバー43にボルト40で固定されている。ソレノイドバルブ39は、角箱型のケース46で覆われている。ケース46は、上外装カバー43にボルト55で固定されている。
位置決め機構36は、係合アーム47と、支柱48と、を備えている。位置決め機構36は、ソレノイドバルブ39と共にケース46で覆われている。
係合アーム47は、ストッパ28と係合可能なものである。具体的には、係合アーム47は、支持部材38のボス部38aに設けられた係合片38と係合可能に構成されている。係合アーム47は、ストッパ28(係合片38)と係合可能な部分としての係合ピン47aを有している。
係合アーム47は、揺動軸心Y3に直交する方向に向く揺動軸心X1周りにおいて、係合位置と非係合位置との間で揺動可能に支持されている。係合位置は、係合アーム47がストッパ28と係合する位置である。非係合位置は、係合アーム47がストッパ28と係合しない位置である。係合アーム47は、係合位置に揺動するように、引張バネ49で付勢されている。係合アーム47には、引張バネ49が取り付けられる取付アーム50が設けられている。
取付アーム50は、係合アーム47から揺動軸心X1方向における一方側(右方)に延出している。取付アーム50と係合アーム47とは、溶接固定されている。取付アーム50の右端部(係合アーム47とは反対側の端部)には、引張バネ49の一端部が係止されている。
支柱48は、係合アーム47を揺動可能に支持するものである。支柱48は、ベース板51上に立設されている。支柱48は、ベース板51にボルト53で固定されている。
ベース板51は、上外装カバー43にボルト54で固定されている。ベース板51には、引張バネ49が取り付けられる取付部52が設けられている。取付部52には、引張バネ49の他端部が係止されている。
以上のような構成により、ストッパ28が非当接位置P1に位置している状態において、前記バルブスイッチが操作されると、ソレノイドバルブ39のロッド39aが伸長する。そして、ロッド39aが係合アーム47に突き当たった後、ロッド39aがさらに伸長すると、係合アーム47が引張バネ49の付勢力に抗して、係合位置から非係合位置に揺動する。
そうすると、係合アーム47と係合片38bとの係合が解除されるため、ストッパ28が捩じりバネ35の付勢力によって、非当接位置P1から当接位置P2に揺動する。こうして、ストッパ28が非当接位置P1から当接位置P2に切り替えられると、ストッパ28が扱歯12の先端部の回転軌跡C内側に進入して扱歯12に当接することにより、扱胴11の回転が阻止される。
ここで、図5に示すように、脱穀天板33には、当接位置P2における支持部材38の基端部側に当接する当接面33bが形成されている。当接面33bは、扱胴11に近付く側ほど扱胴11の回転方向下流側に位置する形状に形成されている。本実施形態では、ストッパ28は、扱胴11の軸心Y1よりも左横外方に配置されているので、当接面33bは、左下がりに傾斜している。これにより、当接位置P2において、支持部材38が当接面33bで受け止められるため、扱胴11の回転をストッパ28で確実に阻止することができる。
次に、レール機構27について、図3及び図4並びに図10及び図11により説明する。
図3及び図4に示すように、レール機構27は、フィードチェーン7と上下に対向する位置においてフィードチェーン7と共に刈取穀稈を挟持するものである。レール機構27は、横向き軸心X4周りに上下揺動可能に構成されている。レール機構27は、ダンパ100(本発明に係る「付勢機構」に相当)によって上方に揺動するように付勢されている。レール機構27は、位置決め機構98によって、フィードチェーン7と上下に対向する位置に位置決め可能に構成されている。レール機構27は、位置決め機構98による位置決めが解除されると、ダンパ100によって扱口10aが開放する位置まで上方に揺動するように構成されている。
レール機構27は、レール101と、レールフレーム102と、を備えている。
レール101は、フィードチェーン7と共に刈取穀稈を挟持するものである。レール101は、フィードチェーン7と上下に対向する位置において、フィードチェーン7の上側搬送経路に沿うように構成されている。レール101は、少なくとも扱胴11の軸心Y1方向の全長に亘る長さに構成されている。
レールフレーム102は、レール101を支持するものである。具体的には、レールフレーム102は、複数のスプリング103を介して、レール101を弾性的に支持している。
詳述すると、レールフレーム102には、複数のパイプ104がレールフレーム102の長手方向に所定の間隔をあけて上下向きに取り付けられている。レール101には、パイプ104に挿入される複数のロッド106が、レール101の長手方向に所定の間隔をあけて上下向きに取り付けられている。ロッド106には、スプリング103が外嵌されている。パイプ104には、スプリング103の上端部を受ける上スプリング受け105が固定されている。ロッド106には、スプリング103の下端部を受ける下スプリング受け107が固定されている。こうして、レールフレーム102は、複数のスプリング103を介して、レール101を弾性的に支持している。
レールフレーム102は、扱室10の側部を形成する上部側壁体4A(本発明に係る「側壁体」に相当)に上下揺動可能に支持されている。具体的には、レールフレーム102は、後支点で横向き軸心X4周りに上下揺動可能に構成されている。上部側壁体4Aには、レールフレーム102の後端部を上下揺動可能に支持する揺動軸108が設けられている。レールフレーム102は、上部側壁体4Aを覆う横外装カバー109(本発明に係る「外装カバー」に相当)と一体的に上下揺動可能に構成されている。レールフレーム102は、横外装カバー109の内面側に取付フレーム110を介して取り付けられている。
ダンパ100は、ガススプリング式のショックアブソーバである。ダンパ100は、シリンダ111と、シリンダ111に伸縮可能に挿入されるロッド112と、を備えている。シリンダ111の端部は、上部側壁体4Aに設けられたピン113に、揺動可能に取り付けられている。ロッド112の端部は、レールフレーム102に揺動可能に取り付けられている。具体的には、ロッド112の端部は、レールフレーム102の上面に固定された取付ステー114に、揺動可能に取り付けられている。
図10及び図11に示すように、位置決め機構98は、位置決め操作レバー115(本発明に係る「レバー」に相当)と、係合ローラ116と、を備えている。
位置決め操作レバー115は、上部側壁体4Aに設けられ、上下向き軸心Z1周りに揺動可能に構成されている。位置決め操作レバー115は、レールモータ119(本発明に係る「モータ」に相当)によって揺動駆動される。位置決め操作レバー115は、レバー本体115Aと、ハンドル部115Bと、を備えている。
レバー本体115Aは、支持板117に揺動可能に支持されている。レバー本体115Aは、板状部材で構成されている。レバー本体115Aは、レールフレーム102に設けられた係合ローラ116と係合可能に構成されている。
ハンドル部115Bは、レバー本体115Aに連結されている。具体的には、ハンドル部115Bは、レバー本体115Aに対して平面視において所定の傾斜角度で交差する状態で連結されている。前記所定の傾斜角度は、位置決め機構98がレール機構27をフィードチェーン7と上下に対向する位置に位置決めしている状態において、ハンドル部115Bが扱胴11の軸心Y1方向と平行又は略平行となるように設定されている。
ハンドル部115Bは、横外装カバー109の内面側に設けられた挟み込み式(クリップ式)の留め具123に挟持可能に構成されている。ハンドル部115Bは、上部側壁体4Aを覆う横外装カバー109よりも前方に突出している。これにより、ハンドル部115Bは、位置決め操作レバー115が手動で操作可能に構成されている場合に、持ち手部分として好適である。
支持板117には、レバー本体115Aを揺動可能に支持するボス部117aが形成されている。支持板117は、上部側壁体4Aの前端部に、ボルト118で固定されている。支持板117には、ボルト118が挿通される上下方向に長いボルト孔117bが形成されている。これにより、支持板117ひいては位置決め操作レバー115の上下位置を調節することができる。
レールモータ119は、扱室10の前部を形成する前壁体4Bの前面に取り付けられている。レールモータ119は、図示しないレールモータスイッチに操作によって、駆動するように構成されている。レールモータ119は、前後向きの出力軸119aを有している。レールモータ119の出力軸119aには、揺動アーム120が連結されている。揺動アーム120とレバー本体115Aとは、リンク121を介して連係されている。
係合ローラ116は、レバー本体115Aと係合可能なものである。係合ローラ116は、レール機構27に設けられている。具体的には、係合ローラ116は、レールフレーム102の前端部に前後向きの軸心Y4周りに回動可能に支持されている。
以上のような構成により、レバー本体115Aと係合ローラ116とが係合することにより、レール機構27がフィードチェーン7と上下に対向する位置に位置決めされる。このとき、ハンドル部115Bは、留め具123に挟持されている。
そして、レール機構27がフィードチェーン7と上下に対向する位置に位置決めされている状態において、前記レールモータスイッチが操作されると、レールモータ119の出力軸119aに連結された揺動アーム120が揺動する(図10に示す矢印R2方向)。そうすると、位置決め操作レバー115がリンク121を介して揺動アーム120に引っ張られる形態で、上下向き軸心Z1周りに揺動する(図11に示す矢印R3方向)。そして、位置決め操作レバー115は、当接片122に当接することにより、矢印R3方向への揺動が規制される。これにより、レバー本体115Aと係合ローラ116との係合が解除、つまり、位置決め機構98による位置決めが解除されると、レール機構27がダンパ100によって扱口10aが開放する位置まで上方に揺動する(図3参照)。
次に、コンバインにおける動力伝達経路について、図12により説明する。
図12に示すように、エンジンEの動力は、カウンタ軸26に伝達される。そして、カウンタ軸26に伝達された動力は、フィードチェーン伝達機構32によって、フィードチェーン7に伝達される。また、カウンタ軸26に伝達された動力は、扱胴11及び排藁チェーン15に伝達される。
さらに、カウンタ軸26に伝達された動力は、主唐箕伝達機構29によって、主唐箕17に伝達される。そして、主唐箕17に伝達された動力は、副唐箕伝達機構30によって、副唐箕18に伝達される。つまり、主唐箕伝達機構29及びフィードチェーン伝達機構32は、カウンタ軸26に対して並列に構成されている。
また、カウンタ軸26に伝達された動力は、ベルト式の伝達機構31によって、一番横スクリュ22から揚穀装置23に伝達される。そして、一番横スクリュ22に伝達された動力は、二番横スクリュ24から二番還元装置25、並びに二番唐箕19、揺動選別装置16、排塵ファン14、及び排藁切断装置5に伝達される。
次に、主唐箕伝達機構29、副唐箕伝達機構30及びフィードチェーン伝達機構32について、図3及び図12から図14により説明する。
図3及び図12に示すように、主唐箕伝達機構29は、ベルト式の伝達機構である。主唐箕伝達機構29は、出力プーリ56と、入力プーリ57と、ベルト58と、を備えている。出力プーリ56は、カウンタ軸26の左端部に設けられている。入力プーリ57は、主唐箕17の唐箕軸17aの左端部に設けられている。入力プーリ57は、割りプーリ(可変プーリ)で構成されている。ベルト58は、出力プーリ56及び入力プーリ57に巻き付けられている。主唐箕伝達機構29は、フィードチェーン伝達機構32よりも脱穀装置4における内側(右方)に配置されている。
副唐箕伝達機構30は、ベルト式の伝達機構である。副唐箕伝達機構30は、出力プーリ59と、入力プーリ60と、ベルト61と、を備えている。出力プーリ59は、主唐箕17の唐箕軸17aの右端部に設けられている。入力プーリ60は、副唐箕18の唐箕軸18aの右端部に設けられている。つまり、主唐箕17の唐箕軸17aは、脱穀装置4の左側から右側に貫通しているところ、脱穀装置4の右側における主唐箕17の唐箕軸17aの右端部に、副唐箕伝達機構30が連係されている。ベルト61は、出力プーリ59及び入力プーリ60に巻き付けられている。
フィードチェーン伝達機構32は、伝達機構62と、変速装置63と、を備えている。
伝達機構62は、カウンタ軸26に伝達された動力を変速装置63に伝達するものである。伝達機構62は、ベルト式の伝達機構である。伝達機構62は、出力プーリ64と、入力プーリ65と、ベルト66と、を備えている。出力プーリ64は、カウンタ軸26の左端部に設けられている。入力プーリ65は、変速装置63の入力軸67に設けられている。ベルト66は、出力プーリ64及び入力プーリ65に巻き付けられている。
伝達機構62は、伝達機構31よりも脱穀装置4における内側(右方)に配置され、かつ、主唐箕伝達機構29よりも脱穀装置4における外側(左方)に配置されている。つまり、伝達機構62は、伝達機構31と主唐箕伝達機構29との間に配置されている。
以上のような構成により、カウンタ軸26に伝達された動力は、主唐箕伝達機構29によって、主唐箕17に伝達される。そして、主唐箕17に伝達された動力は、副唐箕伝達機構30によって、副唐箕18に伝達される。
ここで、上述のように、入力プーリ57は、割りプーリ(可変プーリ)で構成されているため、主唐箕伝達機構29の変速比を変更することができる。したがって、主唐箕伝達機構29の変速比を変更することにより、副唐箕伝達機構30の変速比も変更することができる。
図13及び図14に示すように、変速装置63は、カウンタ軸26に伝達された動力、つまり、伝達機構62からの動力を変速するものである。本実施形態では、変速装置63は、変速位置として、低速位置、高速位置及び中立位置を有している。変速装置63は、入力軸67と、出力軸68と、シフタ70と、変速ケース69と、を備えている。
変速装置63は、脱穀装置4の下側部を形成する下部側壁体4Cに備えられている。つまり、変速装置63は、下部側壁体4Cに支持されている。なお、変速装置63を下部側壁体4Cに支持させるには、変速装置63を下部側壁体4Cにステー等を介して固定したり、あるいは、変速装置63を下部側壁体4Cに直接固定したりすることができる。
入力軸67は、動力が入力されるものである。入力軸67は、変速装置63の下部に左右向きに配置されている。入力軸67の左端部は、変速ケース69の左側面から左方に突出している。入力軸67における突出部分には、入力プーリ65が設けられている。側面視において、入力軸67の軸心X2と、副唐箕18の唐箕軸18aの軸心とが、一致又は略一致している。つまり、側面視において、入力軸67に設けられる入力プーリ65と、副唐箕18の唐箕軸18aに設けられる入力プーリ60とが、重複している。
図14に示すように、入力軸67は、ベアリング75、76を介して、変速ケース69に回動可能に支持されている。入力軸67には、ギヤ体74が相対回動不能かつスライド可能に設けられている。具体的には、ギヤ体74は、入力軸67にスプライン嵌合されている。
ギヤ体74は、変速操作レバー71の変速操作によって入力軸67の軸心X2方向にスライドするように構成されている。ギヤ体74は、径の異なる二つの低速入力ギヤ72及び高速入力ギヤ73を有している。低速入力ギヤ72は、低速中継ギヤ79と噛み合い可能なギヤである。高速入力ギヤ73は、高速中継ギヤ80と噛み合い可能なギヤである。
低速中継ギヤ79及び高速中継ギヤ80は、中継軸81に相対回動不能に設けられている。具体的には、低速中継ギヤ79及び高速中継ギヤ80は、中継軸81にスプライン嵌合されている。
中継軸81は、ベアリング82、83を介して、変速ケース69に回動可能に支持されている。中継軸81において、低速中継ギヤ79と高速中継ギヤ80との間には、出力中継ギヤ84が、相対回動不能に設けられている。具体的には、出力中継ギヤ84は、中継軸81にスプライン嵌合されている。中継軸81において、高速中継ギヤ80と出力中継ギヤ84との間には、スペーサ85が外嵌されている。これにより、低速中継ギヤ79、高速中継ギヤ80及び出力中継ギヤ84の中継軸81の軸心方向へのスライドが阻止されている。
出力軸68は、動力を出力するものである。出力軸68は、変速装置63の上部に左右向きに配置されている。出力軸68の左端部は、変速ケース69の左側面から左方に突出している。出力軸68における突出部分には、出力スプロケット95が設けられている。出力スプロケット95には、フィードチェーン7が巻き付けられている。出力軸68は、ベアリング77、78を介して、変速ケース69に回動可能に支持されている。出力軸68には、出力ギヤ86、クラッチ部87、摩擦クラッチ88及びテンションアーム97が設けられている。
ここで、入力軸67に設けられる入力プーリ65と、出力軸68に設けられる出力スプロケット95とは、変速装置63における左側、つまり、変速装置63において左右方向(入力軸67の軸心X2方向及び出力軸68の軸心X3方向)における同じ側に配置されている。入力プーリ65は、出力スプロケット95よりも脱穀装置4における内側(右方)に配置されている。入力軸67の軸心X2と、出力軸68の軸心X3とは、上下に並んでいる。つまり、入力軸67の軸心X2と、出力軸68の軸心X3とは、平面視において一致又は略一致する。
図14に示すように、出力ギヤ86は、出力中継ギヤ84と常時噛み合っている。出力ギヤ86は、出力軸68に相対回動可能に設けられている。
クラッチ部87は、出力軸68に動力を伝達するか否かを切り替えるものである。クラッチ部87は、スプリング90によって咬み合い側に付勢されている。クラッチ部87は、図示しないクラッチスイッチの操作によって、咬み合いが解除されるように構成されている。クラッチ部87は、出力ギヤ86に形成された爪部と、伝達筒89に形成された爪部と、を有している。
伝達筒89は、出力軸68に相対回動不能かつスライド可能に外嵌されている。具体的には、伝達筒89は、出力軸68にスプライン嵌合されている。伝達筒89は、スプリング90によって出力ギヤ86側に付勢されている。伝達筒89は、前記クラッチスイッチの操作によって、スプリング90の付勢力に抗して出力ギヤ86とは反対側にスライドするように構成されている。
摩擦クラッチ88は、クラッチ部87が出力軸68に動力を伝達しない状態において作動(摩擦力を発揮)するものである。摩擦クラッチ88は、多板式の摩擦クラッチで構成されている。摩擦クラッチ88は、伝達筒89におけるクラッチ部87とは反対側の端部に設けられている。つまり、伝達筒89が前記クラッチスイッチの操作によってスプリング90の付勢力に抗して出力ギヤ86とは反対側にスライドすると、摩擦クラッチ88が作動(摩擦力を発揮)する。
シフタ70は、変速操作レバー71の変速操作によってギヤ体74をスライドさせるものである。シフタ70は、入力軸67と変速操作レバー71との前後間に配置されている。シフタ70は、フォーク軸91と、シフタフォーク92と、を備えている。
フォーク軸91は、入力軸67と変速操作レバー71との前後間において、左右向きに配置されている。フォーク軸91には、シフタフォーク92がスライド可能に設けられている。
シフタフォーク92は、フォーク軸91において所定の三位置に位置決め可能に構成されている。所定の三位置とは、具体的には、変速装置63の低速位置に対応する低速位置L、変速装置63の高速位置に対応する高速位置H、及び変速装置63の中立位置に対応する中立位置Nである。
詳述すると、フォーク軸91には、低速係合溝91a、高速係合溝91b及び中立係合溝91cが形成されている。シフタフォーク92は、低速係合溝91a、高速係合溝91b及び中立係合溝91cと係合可能な係合ボール93を有している。係合ボール93は、スプリング94によってフォーク軸91側に付勢されている。
これにより、係合ボール93と低速係合溝91aとが係合すると、シフタフォーク92は、低速位置Lに位置決めされる。また、係合ボール93と高速係合溝91bとが係合すると、シフタフォーク92は、高速位置Hに位置決めされる。また、係合ボール93と中立係合溝91cとが係合すると、シフタフォーク92は、中立位置Nに位置決めされる。
変速操作レバー71は、変速装置63を操作するためのものである。変速操作レバー71は、入力軸67の前方に配置されている。変速操作レバー71は、前壁体4Bから前方に突出している。
変速操作レバー71は、変速ケース69に揺動可能に支持されている。変速操作レバー71は、手動で操作可能に構成されている。変速操作レバー71は、シフタフォーク92を介して、ギヤ体74と連係されている。つまり、変速操作レバー71を揺動させると、シフタフォーク92がフォーク軸91に沿ってスライドするのに連動して、ギヤ体74が入力軸67に沿ってスライドする。
変速ケース69は、入力軸67及び出力軸68を支持するものである。変速ケース69は、左右方向に分割された半割ケースが合わせられて構成されている。変速ケース69は、フィードチェーン7よりも脱穀装置4における内側(右方)に配置されている。変速ケース69の下部には、上部よりも前方に突出する突出部69aが形成されている。
突出部69aの前端面は、平坦又は略平坦に形成されている。突出部69aには、変速操作レバー71が揺動可能に支持されている。突出部69aは、前壁体4Bから前方に突出していない。
テンションアーム97は、テンションローラ96を支持するものである。テンションアーム97は、出力軸68と同一軸心X3上において揺動可能に支持されている。具体的には、テンションアーム97は、ベアリング99を介して、出力軸68に揺動可能に支持されている。
テンションローラ96は、フィードチェーン7に緊張力を付与するものである。テンションローラ96の軸心X5は、出力スプロケット95の軸心X3よりも後下方に位置している。フィードチェーン7は、テンションローラ96の前部及び出力スプロケット95の後部に巻き付けられている。
以上のような構成により、変速操作レバー71を手動で揺動させると、シフタフォーク92がフォーク軸91に沿ってスライドし、シフタフォーク92が低速位置L、高速位置H及び中立位置Nのうちの何れかの位置に位置決めされる。
シフタフォーク92が低速位置Lに位置決めされると、低速入力ギヤ72と低速中継ギヤ79とが噛み合う。そうすると、入力軸67に入力された動力は、低速入力ギヤ72、低速中継ギヤ79、中継軸81、出力中継ギヤ84、出力ギヤ86、クラッチ部87、伝達筒89を経て、出力軸68に伝達される。
また、シフタフォーク92が高速位置Hに位置決めされると、高速入力ギヤ73と高速中継ギヤ80とが噛み合う。そうすると、入力軸67に入力された動力は、高速入力ギヤ73、高速中継ギヤ80、中継軸81、出力中継ギヤ84、出力ギヤ86、クラッチ部87、伝達筒89を経て、出力軸68に伝達される。
また、シフタフォーク92が中立位置Nに位置決めされると、低速入力ギヤ72及び高速入力ギヤ73の何れもが、低速中継ギヤ79及び高速中継ギヤ80の何れとも噛み合わない。そうすると、入力軸67に入力された動力は、出力軸68に伝達されない。
ここで、前記クラッチスイッチを操作すると、伝達筒89がスプリング90の付勢力に抗して出力ギヤ86とは反対側にスライドする。そうすると、クラッチ部87の咬み合いが解除されるため、出力ギヤ86に伝達された動力は、伝達筒89に伝達されない。さらに、伝達筒89が前記クラッチスイッチの操作によってスプリング90の付勢力に抗して出力ギヤ86とは反対側にスライドすると、摩擦クラッチ88が作動(摩擦力を発揮)するため、伝達筒89ひいては出力軸68の回転にブレーキが掛けられる。
以下、本発明に係る別実施形態について説明する。
(1)上記実施形態においては、前記レールモータスイッチの操作によって、レールモータ119が駆動することにより、自動的にレール機構27が上方に揺動するように構成されているが、前記レールモータスイッチに、前記バルブスイッチ及び前記クラッチスイッチのうちの何れか一方の機能を持たせてもよいし、前記バルブスイッチ及び前記クラッチスイッチの両方の機能を持たせてもよい。
これにより、前記レールモータスイッチの操作によって、レールモータ119が駆動することにより、自動的にレール機構27が上方に揺動すると共に、ソレノイドバルブ39が作動することにより、自動的にストッパ28が非当接位置P1から当接位置P2に切り替わったり、自動的にクラッチ部87の咬み合いが解除されかつ出力軸68の回転にブレーキが掛かったりする。
(2)上記実施形態においては、変速操作レバー71を手動で揺動することによって、変速装置63の変速位置が切り替わるように構成されているが、変速操作レバー71を揺動駆動する変速モータを備え、前記変速モータが図示しない変速モータスイッチの操作によって駆動するように構成されていてもよい。
これにより、前記変速モータスイッチの操作によって、前記変速モータが駆動することにより、自動的に変速装置63の変速位置が切り替わる。
(3)上記実施形態において、位置決め操作レバー115は、レールモータ119によって揺動駆動されるように構成されているが、位置決め操作レバー115は、手動で操作可能に構成されていてもよい。
また、上記実施形態において、操作部34は、ストッパ28を切替駆動するソレノイドバルブ39を備えているが、操作部34は、手動で操作可能なストッパ操作レバーと、前記ストッパ操作レバーとストッパ28とを連係する連係機構と、を備えるものでもよい。
また、上記実施形態において、前記クラッチスイッチの操作によって、自動的にクラッチ部87の咬み合いが解除されかつ出力軸68の回転にブレーキが掛かるように構成されているが、クラッチ操作レバーの手動操作によって、クラッチ部87の咬み合いが解除されかつ出力軸68の回転にブレーキが掛かるように構成されていてもよい。
以上のような、位置決め操作レバー115、前記ストッパ操作レバー及び前記クラッチ操作レバーをのうちから任意に選択した少なくとも二つのレバーを、連係機構を介して連係させることができる。もちろん、位置決め操作レバー115、前記ストッパ操作レバー及び前記クラッチ操作レバーの全てのレバーを、連係機構を介して連係させることもできる。
(4)上記実施形態において、レールフレーム102は、後支点で横向き軸心X4周りに上下揺動可能に構成されているが、レールフレーム102は、前支点で横向き軸心周りに上下揺動可能に構成されていてもよい。
(5)上記実施形態において、位置決め操作レバー115は、上部側壁体4Aに設けられ、係合ローラ116は、レール機構27に設けられているが、位置決め操作レバー115は、レール機構27に設けられ、係合ローラ116は、上部側壁体4Aに設けられていてもよい。また、位置決め操作レバー115は、前壁体4B及びレール機構27のうち何れか一方に設けられ、係合ローラ116は、前壁体4B及びレール機構27のうち何れか他方に設けられていてもよい。
(6)上記実施形態においては、「付勢機構」として、ガススプリング式のショックアブソーバであるダンパ100を採用しているが、「付勢機構」として、コイルバネを採用してもよい。この場合、レール機構の揺動停止時におけるショックを抑制するべく、衝撃吸収部材としてゴム等の弾性部材を備えてもよい。