JP6008258B2 - コンバイン - Google Patents

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Description

本発明は、コンバインに関するものである。
従来、コンバインの製造コストを低減して、刈取穀を搬送するフィードチェンを安定した速度に保持して脱穀作業を円滑に行なうために、刈取装置とフィードチェンを無段変速装置により駆動し、通常の刈取作業時には、コンバインの走行速度に応じてフィードチェンの搬送速度を無段変速装置により制御し、手扱ぎ作業時には、フィードチェンの搬送速度を一定に維持する構造が提案されている(特許文献1)。
特開2002−291323号公報
しかし、無段変速装置を含むフィードチェンの伝動部が、刈取装置と脱穀装置の間に形成された空間の多くを占有し、カウンター軸等の他の機材の配置が制限されるという問題があった。
そこで、本発明の主たる課題は、フィードチェンの前部に設けられる伝動部のコンパクトな構成を具現して、刈取装置と脱穀装置の間に形成された空間を有効に活用することにある。次なる課題は、伝動部周辺への藁屑等の異物の堆積を防止して、伝動部での伝動を好適に維持することにある。更なる課題は、フィードチェンの伝動状態を通常の刈取作業と手扱ぎ作業とで円滑に切替えることができる制御方法を具現することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、圃場の穀を収穫する刈取装置(4)と脱穀および選別を行う脱穀装置(3)を備えたコンバインにおいて、
前記脱穀装置(3)の扱ぎ口(32)に沿って刈取穀稈を搬送するフィードチェン(34)を設け、前記フィードチェン(34)に刈取装置(4)の駆動力を伝動する前側伝動部(FD)と、前記フィードチェン(34)に脱穀装置(3)の駆動力を伝動する後側伝動部(BD)を設け、前記前側伝動部(FD)は、前記刈取装置(4)から前記フィードチェン(34)への伝動を接続および接続解除する前側クラッチ(60)と、該前側クラッチ(60)よりも伝動の下流側に設けられた前側ギヤボックス(50)を備え、前記前側クラッチ(60)のベルト(61)を、前記刈取装置(4)の駆動力を取り出すプーリ(21A)と前記前側ギヤボックス(50)の入力軸(51)に支持されたプーリ(51A)に巻回し、前記ベルト(61)の張力を緊張状態と弛緩状態に切換えるテンションアーム(62)を、前記前側ギヤボックス(50)の前記入力軸(51)と出力軸(52)の間に設けられた支軸(53)に回転自在に支持し、前記刈取装置(4)の後部に、回転自在に支持された手扱ぎ規制部材(26)と、該手扱ぎ規制部材(26)の状態を検知する手扱ぎセンサ(27)を設け、前記手扱ぎセンサ(27)により手扱ぎ規制部材(26)がフィードチェン(34)の始端部の上方を覆った通常の刈取作業時には、前記前側伝動部(FD)からフィードチェン(34)に刈取装置(4)の駆動力を伝動し、前記手扱ぎセンサ(27)により手扱ぎ規制部材(26)がフィードチェン(34)の始端部の上方を開放した手扱ぎ作業時には、前記後側伝動部(BD)からフィードチェン(34)に脱穀装置(3)の駆動力を伝動する制御装置(45)を設けたことを特徴とするコンバインである。
請求項2に係る発明は、前記プーリ(21A)が設けられた回転軸(21)を内装する筒体(24)に、プーリ(21A)に巻回されたベルト(61)の外周部位を覆うベルトカバー(64)を設けた請求項1記載のコンバインである。
請求項3に係る発明は、前記前側ギヤボックス(50)を、前記回転軸(21)を支持する懸架台(20)と脱穀装置(3)の前壁(30A)を連結する連結プレート(23)に支持した請求項記載のコンバインである。
請求項に係る発明は、前記前側クラッチ(60)の接続状態を検知する前側センサ(54)と、前記後側伝動部(BD)の後側ギヤボックス(80)に内装された後側クラッチ(90)の接続状態を検知する後側センサ(89)を設け、前記制御装置(45)は、前記通常の刈取作業時で、且つ、前記後側センサ(89)により後側クラッチ(90)の接続が解除されたことが検出された場合に、前記前側伝動部(FD)からフィードチェン(34)に刈取装置(4)の駆動力を伝動し、前記手扱ぎ作業時で、且つ、前記前側センサ(54)により前側クラッチ(60)の接続が解除されたことが検出された場合に、前記後側伝動部(BD)からフィードチェン(34)に脱穀装置(3)の駆動力を伝動する請求項記載のコンバインである。
請求項1記載の発明によれば、前側伝動部(FD)は、刈取装置(4)からフィードチェン(34)への伝動を接続および接続解除する前側クラッチ(60)と、前側クラッチ(60)よりも伝動の下流側に設けられた前側ギヤボックス(50)を備え、前側クラッチ(60)のベルト(61)を、刈取装置(4)の駆動力を取り出すプーリ(21A)と前側ギヤボックス(50)の入力軸(51)に支持されたプーリ(51A)に巻回し、ベルト(61)の張力を緊張状態と弛緩状態に切換えるテンションアーム(62)を、前側ギヤボックス(50)の入力軸(51)と出力軸(52)の間に設けられた支軸(53)に回転自在に支持しているので、前側伝動部(FD)の前側クラッチ(60)をコンパクトに構成でき刈取装置(4)と脱穀装置(3)の間に形成される空間を有効に活用することができる。また、前側クラッチ(60)のテンションアーム(62)を支持する部材を別途設ける必要も無くなり部品点数を削減することもできる。
刈取装置(4)の後部に、回転自在に支持された手扱ぎ規制部材(26)と、手扱ぎ規制部材(26)の状態を検知する手扱ぎセンサ(27)を設け、手扱ぎセンサ(27)により手扱ぎ規制部材(26)がフィードチェン(34)の始端部の上方を覆った通常の刈取作業時には、前側伝動部(FD)からフィードチェン(34)に刈取装置(4)の駆動力を伝動し、手扱ぎセンサ(27)により手扱ぎ規制部材(26)がフィードチェン(34)の始端部の上方を開放した手扱ぎ作業時には、後側伝動部(BD)からフィードチェン(34)に脱穀装置(3)の駆動力を伝動する制御装置(45)を設けているので、通常の刈取作業時には、刈取装置(4)とフィードチェン(34)の搬送速度がシンクロするので、高い刈取脱穀効率を維持することができる。また、手扱ぎ作業時には、フィードチェン(34)の搬送速度が低速になるので作業者が刈取り作業を安全に行なうことができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、プーリ(21A)が設けられた回転軸(21)を内装する筒体(24)に、プーリ(21A)に巻回されたベルト(61)の外周部位を覆うベルトカバー(64)を設けているので、刈取穀内に含まれる藁屑等の異物のベルト(61)への堆積を防止でき、異物がベルト(61)とプーリ(21A)の間に介在することにより発生するスリップを防止することができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項記載の発明の効果に加えて、前側ギヤボックス(50)を、回転軸(21)を支持する懸架台(20)と脱穀装置(3)の前壁(30A)を連結する連結プレート(23)に支持しているので、前側伝動部(FD)の組立て作業を簡易に行なうことができる。
請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明の効果に加えて、前側クラッチ(60)の接続状態を検知する前側センサ(54)と、後側伝動部(BD)の後側ギヤボックス(80)に内装された後側クラッチ(90)の接続状態を検知する後側センサ(89)を設け、制御装置(45)は、通常の刈取作業時で、且つ、後側センサ(89)により後側クラッチ(90)の接続が解除されたことが検出された場合に、前側伝動部(FD)からフィードチェン(34)に刈取装置(4)の駆動力を伝動し、手扱ぎ作業時で、且つ、前側センサ(54)により前側クラッチ(60)の接続が解除されたことが検出された場合に、後側伝動部(BD)からフィードチェン(34)に脱穀装置(3)の駆動力を伝動ので、前側センサ(54)や後側センサ(89)が断線等で作動不良に陥ってもフィードチェン(34)に前側伝動部(FD)と後側伝動部(BD)から同時に駆動力が伝動されるのを防止でき、モータ等の操作機器の破損を抑制することができる。
コンバインの左側面図である。 コンバインの平面図である。 コンバインの要部を断面した左側面図である。 ベルトテンションクラッチが接続された状態の刈取側伝動部の左側面図である。 ベルトテンションクラッチが解除された状態の刈取側伝動部の左側面図である。 前側伝動部の背面図である。 後側伝動部の左側面図である。 後側伝動部の後側ギヤボックス周辺の左側面図である。 後側伝動部の後側ギヤボックス周辺の平面図である。 後側伝動部のモータ周辺の左側面図である。 後側伝動部のモータ周辺の背面図である。 後側伝動部の連結部のスプリングとテンションロッドの拡大図である。 後側伝動部の後側ギヤボックスの要部を断面した(a)は平面図、(b)は左側面である。 制御装置の接続図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
図1,2に示すように、コンバインの機体フレーム1の下方には、土壌面を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上方左側には、脱穀・選別を行う脱穀装置3が設けられ、脱穀装置3の前側には、圃場の穀を収穫する刈取装置4が設けられている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は、脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は、排出筒7により外部へ排出される。また、機体フレーム1の上方右側には、操作者が搭乗する操縦席6が設けられ、操縦席6の下側にはエンジンEを搭載するエンジンルーム8が設けられている。
<刈取装置>
刈取装置4の主枠となる刈取フレーム10は、刈取後フレーム11と、刈取後フレーム10の先端部に左右方向に延在する刈取伝動ケース11と、刈取伝動ケース11から立設された刈取縦フレーム13から形成されている。刈取後フレーム11の基部は、機体フレーム1に立設された左右一対の懸架台20,20の上部に回動可能に軸支された回転軸21を内装する筒体24の右側に偏倚した部位に取付けられている。
刈取装置4は、前側下部に設けられた植立穀稈を分草する分草杆15と、分草杆15の後側に設けられた倒伏した植立穀稈を引き起こす引起装置16と、引起装置16の後側の下部に設けられた植立穀稈の株元を切断する刈刃装置17と、引起装置16と刈刃装置17の後側に設けられた刈取穀稈を脱穀装置3の左側に設けられた脱穀部搬送装置35へ向けて搬送する搬送装置18とを備えている。なお、搬送装置18は、刈取穀稈の株元側を搬送する株元搬送装置18Aと、穂先側を搬送する穂先搬送装置18Bから構成されている。
刈取縦フレーム13の上下方向の中間部には、後側に向かって延出する刈取横フレーム14が設けられており、刈取横フレーム14の後部には、左右方向に延在する支軸25に基部が回転自在に支持された手扱ぎ規制部材26と、手扱ぎ規制部材26の開閉状態を検知する手扱センサ27が取付けられている。なお、通常の刈取作業時には、手扱ぎ規制部材26は、支軸25を中心として時計方向に回動され、刈取横フレーム14の後部と、挟持杆33の前部に取付けられた補助挟扼杆33Aの上方の空間を覆う規制状態とされ、手扱センサ27はOFFとなる。一方、手扱ぎ作業時には、手扱ぎ規制部材26は、支軸25を中心として反時計方向に回動され、刈取横フレーム14の後部と、補助挟扼杆33Aの上方の空間を開放する非規制状態とされ、手扱センサ27はONとなる。
<脱穀装置>
図3に示すように、脱穀装置3の上部には、穀稈の脱穀を行う扱室30が設けられ、扱室30の下方には、脱穀された穀粒の選別を行なう選別室31が設けられている。
扱室30の前後壁30A,30Bには、扱胴を支持する扱胴軸が軸支され、扱室30の左壁には、扱胴に沿って扱ぎ口32が形成されている。また、扱室30には、扱ぎ口32に沿って穀の株元を挟持して後側に搬送する脱穀部搬送装置35が設けられている。
選別室31の上部には、揺動選別装置が設けられ、選別室31の下方には揺動選別装置に空気を送風する唐箕と、揺動選別装置から漏下する穀粒を回収する一番受樋と、揺動選別装置から漏下する枝梗等が付着した二番物である穀粒を回収する二番受樋が前側から順に設けられている。
図1,3に示すように、脱穀部搬送装置35の上部には、挟持杆33が設けられ、挟持杆33の下方には、フィードチェン34が設けられている。なお、挟持杆33は、扱室50の上部カバー30Cの左側下部に取付けられ、スプリング等の付勢手段によりフィードチェン34に向かって付勢して設けられている。
フィードチェン34は、チェンレール39の前部に回転自在に設けられた第1スプロケット36と、チェンレール39の後側に設けられた後述する後側伝動部BDの後側ギヤボックス80に支持された第3スプロケット38と、チェンレール39の下方に設けられた後述する前側伝動部FDの前側ギヤボックス50に支持された第2スプロケット37に巻回されている。なお、チェンレール39の下部は、左側の懸架台20に回転自在に支持された支持フレーム22に取付けられている。
<操縦席>
図2,3に示すように、操縦席6の左側に設けられたサイドパネル40の前部には、油圧式無段変速装置を遠隔操作する主変速レバー41が設けられ、主変速レバー41の後側には、植立穀の倒伏状態に応じてトランスミッション内の有段式の副変速装置の切換えを行なう副変速レバー42が設けられている。また、副変速レバー42のグリップ部には、脱穀クラッチを操作する脱穀スイッチ43と、刈取クラッチを操作する刈取スイッチ44が設けられている。
エンジンEの回転は、エンジンEのクランク軸で分岐され機体フレーム1の前部に設けられた油圧式無段変速装置と、脱穀装置3の前側の設けられたカウンタ軸に伝動される。なお、エンジンEのクランク軸とカウンタ軸の間の伝動系には、脱穀スイッチ43の操作により接続、接続解除状態が切換えられる脱穀クラッチが設けられている。
油圧式無段変速装置に伝動された回転は、油圧式無段変速装置内で増減速等されてトランスミッションに伝動され、トランスミッションに伝動された回転は、トランスミッション内で分岐され走行装置2と、刈取装置4に伝動される。なお、トランスミッションと刈取装置4の間の伝動系には、刈取スイッチ44の操作により接続、接続解除状態が切換えられる刈取クラッチが設けられている。
刈取装置4に伝動された回転は、前側伝動部FDの前側ギヤボックス50に伝動され、前側ギヤボックス50に伝動された回転は、第2スプロケット37を介してフィードチェン34に伝動され、フィードチェン34の穀を挟持する作用面側を前側から後側に向かって駆動させる。なお、刈取装置4と前側ギヤボックス50の間の伝動系には、刈取装置4と前側ギヤボックス50の伝動系の接続、接続解除状態を切換える前側クラッチ60を構成するテンションアーム62が設けられている。
一方、カウンタ軸に伝動された回転は、カウンタ軸内で分岐され脱穀装置3の前側の設けられた中間ギヤボックスと、後側伝動部BDの後側ギヤボックス80に伝動される。後側ギヤボックス80に伝動された回転は、第3スプロケット38を介してフィードチェン34に伝動され、フィードチェン34の穀を挟持する作用面側を前側から後側に向かって駆動させる。なお、後側ギヤボックス80内には、後側ギヤボックス80の入力軸81に伝動された回転を、第3スプロケット38を支持する後側ギヤボックス80の出力軸82に伝動系の接続、接続解除状態を切換える後側クラッチ90の爪クラッチ85が設けられている。
<フィードチェンの駆動方法>
次に、脱穀部搬送装置35のフィードチェン34の伝動系について説明する。
通常の刈取作業時、すなわち手扱センサ27がOFFとなった状態で、且つ、後側センサ89がON、すなわち爪クラッチ85の接続が解除された状態の場合には、エンジンEの回転は、前側伝動部FDを介してフィードチェン34に伝動される。このように、後側センサ89がONとなった場合に、エンジンEの回転を前側伝動部FDを介してフィードチェン34に伝動するので、後側センサ89が断線等により作動不良に陥った場合に、エンジンEの回転を、前側伝動部FDと後側伝動部BDから同時にフィードチェン34に伝動するいわゆる同時駆動による機器の破損を防止することができる。なお、この場合には、前側センサ54はOFFとなる。
一方、手扱ぎ作業時、すなわち手扱センサ27がONとなった状態で、且つ、前側センサ54がON、すなわちテンションアーム62が下方に移動してベルト62の張力が弛緩状態の場合には、エンジンEの回転は、後側伝動部BDを介してフィードチェン34に伝動される。このように、前側センサ54がONとなった場合に、エンジンEの回転を後側伝動部FDを介してフィードチェン34に伝動するので、前側センサ54が断線等により作動不良に陥った場合に、エンジンEの回転を、前側伝動部FDと後側伝動部BDから同時にフィードチェン34に伝動するいわゆる同時駆動による機器の破損を防止することができる。なお、この場合には、後側センサ89はOFFとなる。
(前側伝動部)
図4〜6に示すように、前側伝動部FDは、前側ギヤボックス50と、前側クラッチ60を備えている。なお、前側ギヤボックス50と、前側クラッチ60は、左側に設けられた懸架台20と扱室30の前壁30Aを連結する連結プレート23に取付けられている。
前側ギヤボックス50の左側面には、前側クラッチ60を介してエンジンEの回転が入力される入力軸51と、前側ギヤボックス50の内部で増減速された回転を出力する出力軸52と、後述する前側クラッチ60のテンションアーム62の基部を回転自在に支持する支軸53と、テンションアーム62の回動を検出する前側センサ54が設けられている。なお、入力軸51には、前側クラッチ60のベルト61を巻回するプーリ51Aが支持され、出力軸52には、フィードチェン34を巻回する第2スプロケット37が支持されている。
また、連結プレート23に前側ギヤボックス50を取付けた状態において、前側ギヤボックス50の上部に入力軸51が位置し、下部に出力軸52が位置し、入力軸51と出力軸52の間に支軸53が位置し、支軸53の下側に前側センサ54が位置する。これにより、懸架台22と扱室30の前壁30Aの間に形成された空間を有効に利用することができ、テンションアーム62の回動を正確に検出することができる。
前側クラッチ60の上部には、回転軸21の左側部に支持されたプーリ21Aに伝動されたエンジンEの回転を前側ギヤボックス50の入力軸51に支持されたプーリ51Aに伝動するために、プーリ21Aとプーリ51Aにベルト61が巻回されている。
プーリ21Aに巻回されたベルト61の外周部には、後側が開口された略横コ字形状のベルトカバー64が設けられている。ベルトカバー64は、懸架台20の上部に取付けられたブラケット28の左面にボルトにより着脱自在に取付けられている。これにより、ベルト61上への搬送装置34からフィードチェン34に引継がれる穀中に混在している藁屑の堆積を抑制し、ベルト61とプーリ21Aのスリップを防止することができ、ベルトカバー64を外部から容易に着脱することができる。
また、プーリ51Aに巻回されたベルト61の外周部には、ベルト61の蛇行を防止するために、左側が開口された略コ字形状のベルトストッパ55が設けられている。なお、ベルトストッパ55は、前側ギヤボックス50の左側面に溶接されている。
ベルト61の下方には、図4に示すように、ベルト61の張力を緊張状態、すなわちプーリ21Aに伝動されたエンジンEの回転をプーリ51Aに伝動される状態と、図5に示すように、ベルト61の張力を弛緩状態、すなわちプーリ21Aに伝動されたエンジンEの回転をプーリ51Aに伝動されない状態に切換えるテンションアーム62が設けられている。
テンションアーム62は、ベルト61を押圧するローラ62Aと、ローラ62Aを回転自在に支持するアーム62Bを備えている。ローラ62Aは、プーリ21Aとプーリ51Aの中間部に位置するベルト61の部位を下方から上方に押圧する位置に配置され、アーム62Bの後部前側は、前側ギヤボックス50の左側面の支軸53に回転自在に支持されている。
アーム62Bの左側面には、前側センサ54により検知される平面カムとしての検出体63が取付けられている。検出体63の後部は、支軸53に外嵌され、検出体63の前部には、支軸53を中心に円弧状の長穴63Aが開口されており、使用時に発生するベルト61の長さの変化等に応じて検出体63の位置を支軸53を中心に回動して調整できる。
図4に示すように、テンションアーム62が、支軸53を中心として時計方向に回動してベルト61の張力が緊張状態になった場合は、前側センサ54の検出端子と検出体63が非接触となり、前側センサ54がOFFとなる。一方、図5に示すように、テンションアーム62が、支軸53を中心として反時計方向に回動してベルト61の張力が弛緩状態になった場合には、前側センサ54の検出端子と検出体63が接触して、前側センサ54がONとなる。
アーム62Bの後端部は、スプリング71と前側連結部材75を介して前側モータ70の出力軸70Aに連結されている。
通常の刈取作業時、すなわち手扱センサ27がOFFとなった状態で、且つ、後側センサ89がON、すなわち爪クラッチ85の接続が解除された状態の場合には、図4に示すように、前側モータ70の出力軸70Aを時計方向に回転させて、テンションアーム62のアーム62Bの後端部を下方に移動させてローラ62Aをベルト61に向かって上方に移動させベルト61の張力を緊張状態にする。なお、この場合、前側センサ54はOFFとなり、プーリ21Aに伝動されたエンジンEの回転は、ベルト61を介してプーリ51Aに伝動され、プーリ51Aに伝動された回転は、前側ギヤボックス50内で増減速され第2スプロケット37を介してフィードチェン34に伝動されてフィードチェン34が駆動する。
一方、手扱ぎ作業時、すなわち手扱センサ27がONとなった状態の場合は、図5に示すように、前側モータ70の出力軸70Aを反時計方向に回転させて、テンションアーム62のアーム62Bの後端部を上方に移動させてローラ62Aをベルト61から下方に移動させベルト61の張力を弛緩状態にする。なお、この場合、前側センサ54はONとなり、プーリ21Aに伝動されたエンジンEの回転は、ベルト61を介してプーリ51Aに伝動されない。
図4〜6に示すように、前側連結部材75は、前側第1〜6ロッド72A〜72Fと、前側第1〜4連結軸73A〜73Dから形成されている。
図6に示すように、前側モータ70の出力軸70Aに下部が支持された第1ロッド72Aと、連結プレート23に立設された支軸29に回転自在に外嵌された中空回転軸77の外周部に上部が溶接された第3ロッド72Cは、第2ロッド72Bを介して連結されている。なお、第1ロッド72Aの上部と第2ロッド72Bの下部は、第1連結ピン73Aにより連結され、第2ロッド72Bの上部と前側第3ロッド72Bの中間部は、第2連結ピン73Bにより連結されている。
また、第3ロッド72Cの下部には、連結プレート23に向かって延出するストッパ74が設けられている。これにより、前側モータ70の出力軸70Aが所定の範囲を超えて時計方向に回転した場合には、ストッパ74が連結プレート23の後端部に係合して過度な張力がベルト61に作用することを防止することができる。
中空回転軸77の外周部に下部が溶接された第4ロッド72Dと、スプリング71の下部に上部が係合した第6ロッド72Fは、第5ロッド72Eを介して連結されている。なお、第4ロッド72Dの上部と第5ロッド72Eの下部は、第3連結ピン73Cにより連結され、第5ロッド72Eの上部には、第6ロッド72Fの下部が挿通され、第6ロッド72Fの下部は、上下2個のボルトにより第5ロッド72Eの上部に取付けられている。
また、図4,5に示すように、前側モータ70の負荷を低減するために、前側モータ70の出力軸70Aを時計方向に回転させたスプリング71の収縮力の方向を示した第1仮想線L1が支軸29の前側を通過するように設定し、前側モータ70の出力軸70Aを反時計方向に回転させたスプリング71の収縮力の方向を示した第2仮想線L2が支軸29の後側を通過するように設定し、支軸29に発生するスプリング71の収縮力に起因するモーメントの方向を時計方向から反時計方向に切換えるのが好適である。また、第1連結ピン73Aを挿通する前側第1ロッド72Bの下部の穴を上下方向に長径を有する長穴にするのが好適である。
(後側伝動部)
図7に示すように、後側伝動部BDは、後側ギヤボックス80と、後側クラッチ90を備えている。なお、後側ギヤボックス80と、後側クラッチ90は、脱穀装置3の選別室31の後部に取付けられている。なお、後側クラッチ90とは、後側ギヤボックス80に内装された後述する爪クラッチ85と、爪クラッチ85の接続・解除状態を操作するシフタ軸86と、シフタ軸86を回動させるワイヤ91、スプリング93、後側連結部材94、後側モータ97を総称している。
図8,9に示すように、後側ギヤボックス80の左側面には、カウンタ軸に伝動された回転が入力される入力軸81と、後側ギヤボックス80の内部で増減速された回転を出力する出力軸82が備えられている。なお、入力軸81には、カウンタ軸の回転を伝動するベルト(図示省略)を巻回するプーリ81Aが支持され、出力軸82には、フィードチェン34を巻回する第3スプロケット38が支持されている。
また、選別室31の後部に後側ギヤボックス80を取付けた状態において、後側ギヤボックス80の前部に出力軸82が位置し、後部に入力軸81が位置する。これにより、選別室31の後部の空間の有効に利用して後側クラッチ90を設けることができる。
後側ギヤボックス80の上側面の中間部には、後側ギヤボックス80に内装された爪クラッチ85の接続・解除状態を操作するシフタ軸86が設けられている。シフタ軸86には、アーム87が取付けられており、アーム87の下部には、後述するワイヤ91の先端部を取付ける第1ピン87Aと、シフタ軸86を中心としてアーム87を前側に付勢するスプリング83の後部を係合する第2ピン87Bが立設されている。また、アーム87の後部には、後述する後側センサ89により検知される上方に向かって延出する延出部87Cが形成されている。
後側ギヤボックス80の上側面の後部には、部品点数を削減するために、後側センサ89とワイヤチューブ91Aの先端部を支持する支持プレート88が着脱自在に取付けられている。ワイヤチューブ91Aの先端部は、支持プレート88の左前端部88Aに取付けられ、後側センサ89は、支持プレート88の右前端部88Bに取付けられている。また、選別室31の後部に、ワイヤ91のキンクを防止しながらワイヤ91を効率的に配置するために、ワイヤチューブ91Aの先端部よりもワイヤチューブ91Aの後部が左側に位置するように、左前端部88Aは、前後方向に対して一定の傾斜角をもって形成するのが好適である。
図10,11に示すように、ワイヤチューブ91Aの後端部は、下側支持プレート92に取付けられており、ワイヤ91の後端部は、スプリング93、後側連結部材94を介して後側モータ97の出力軸97Aに接続されている。なお、後側モータ97は、選別室31の後下部に設けられたモータブラケット98に取付けられており、下側支持プレート92はモータブラケット98の上部に連結された部材である。
後側モータ97の出力軸97Aに上部が支持された第1ロッド95Aと、スプリング93に上部が係合された第2ロッド95Bは、連結ピンを介して連結されている。また、図12に示すように、スプリング93のキンクを防止するために、第2ロッド95Bの上端部は、略三角形状に形成されスプリング93内に挿入されている。
図7,10に示すように、通常の刈取作業時、すなわち手扱センサ27がOFFとなった状態の場合は、後側モータ97の出力軸97Aを時計方向に回転させて、ワイヤ97を下側に移動させてアーム87を介してシフタ軸を回転させて爪クラッチ85を解除状態にする。なお、この場合、後側センサ89はONとなり、エンジンEの回転は、前側ギヤボックス50内で増減速され第2スプロケット37を介してフィードチェン34に伝動され、フィードチェン34が駆動される。
一方、手扱ぎ作業時、すなわち手扱センサ27がONとなった状態で、且つ、前側センサ54がON、すなわちベルト61の張力が弛緩状態となった状態の場合には、後側モータ97の出力軸97Aを反時計方向に回転させて、ワイヤ97を上側に移動させスプリング83の収縮力によりアーム87を介してシフタ軸を初期位置に戻して爪クラッチ85を接続状態にする。なお、この場合、後側センサ89はOFFとなり、エンジンEの回転は、後側ギヤボックス50内で増減速され第3スプロケット38を介してフィードチェン34に伝動され、フィードチェン34が駆動される。また、センサ54、89の故障時に爪クラッチ85の破損を防止するために、爪クラッチ85に替えてワンウエイクラッチにするのが好適である。
<フィードチェンの駆動方法>
次に、脱穀部搬送装置35のフィードチェン34の駆動方法について説明する。図14に示すように、操縦席6に設けられた制御装置45の入力側には、通常の刈取作業と手扱ぎ作業の切換えを行なう手扱ぎ規制部材26の状態を検出する手扱センサ27と、前側伝動部FDの前側クラッチ60の接続・解除状態を検出する前側センサ54と、後側クラッチ90の接続・解除状態を検出する後側センサ89が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。一方、出力側には、前側伝動部FDのテンションアーム62を回動させる前側モータ70と、後側伝動部BDのシフタ軸86を回動させる後側モータ97が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
手扱センサ27がOFFで、且つ、後側センサ89がONとなった場合、すなわち、通常の刈取作業時で、且つ、爪クラッチ85の接続が解除された状態の場合には、前側モータ70を駆動して、テンションアーム62のローラ62Aをベルト62方向に移動させてベルト62の張力を緊張させる。これにより、エンジンEの回転は、前側ギヤボックス50の出力軸52に支持された第2スプロケット37を介してフィードチェン34に伝動され、フィードチェン34が駆動される。
一方、手扱センサ27がONで、且つ、前側センサ54がONとなった場合、すなわち、手扱ぎ作業時で、且つ、ベルト62の張力が弛緩され前側クラッチ60の接続が解除された状態の場合には、後側モータ97を駆動してシフタ軸86を回動させて爪クラッチ85を接続させる。これにより、エンジンEの回転は、後側ギヤボックス80の出力軸82に支持された第3スプロケット38を介してフィードチェン34に伝動され、フィードチェン34が駆動する。
本発明は、農業用作業車輌に適用できるものである。
3 脱穀装置
4 刈取装置
21 回転軸
21A プーリ
22 支持フレーム
23 連結プレート
24 筒体
26 手扱ぎ規制部材
27 手扱センサ
30A 前壁
32 扱ぎ口
34 フィードチェン
45 制御装置
50 前側ギヤボックス
51 入力軸
51A プーリ
52 出力軸
53 支軸
54 前側センサ
60 前側クラッチ
61 ベルト
62 テンションアーム
64 ベルトカバー
80 後側ギヤボックス
89 後側センサ
90 後側クラッチ
BD 後側伝動部
FD 前側伝動部

Claims (4)

  1. 圃場の穀を収穫する刈取装置(4)と脱穀および選別を行う脱穀装置(3)を備えたコンバインにおいて、
    前記脱穀装置(3)の扱ぎ口(32)に沿って刈取穀稈を搬送するフィードチェン(34)を設け、
    前記フィードチェン(34)に刈取装置(4)の駆動力を伝動する前側伝動部(FD)と、前記フィードチェン(34)に脱穀装置(3)の駆動力を伝動する後側伝動部(BD)を設け、
    前記前側伝動部(FD)は、前記刈取装置(4)から前記フィードチェン(34)への伝動を接続および接続解除する前側クラッチ(60)と、該前側クラッチ(60)よりも伝動の下流側に設けられた前側ギヤボックス(50)を備え、
    前記前側クラッチ(60)のベルト(61)を、前記刈取装置(4)の駆動力を取り出すプーリ(21A)と前記前側ギヤボックス(50)の入力軸(51)に支持されたプーリ(51A)に巻回し、
    前記ベルト(61)の張力を緊張状態と弛緩状態に切換えるテンションアーム(62)を、前記前側ギヤボックス(50)の前記入力軸(51)と出力軸(52)の間に設けられた支軸(53)に回転自在に支持し、
    前記刈取装置(4)の後部に、回転自在に支持された手扱ぎ規制部材(26)と、該手扱ぎ規制部材(26)の状態を検知する手扱ぎセンサ(27)を設け、
    前記手扱ぎセンサ(27)により手扱ぎ規制部材(26)がフィードチェン(34)の始端部の上方を覆った通常の刈取作業時には、前記前側伝動部(FD)からフィードチェン(34)に刈取装置(4)の駆動力を伝動し、前記手扱ぎセンサ(27)により手扱ぎ規制部材(26)がフィードチェン(34)の始端部の上方を開放した手扱ぎ作業時には、前記後側伝動部(BD)からフィードチェン(34)に脱穀装置(3)の駆動力を伝動する制御装置(45)を設けたことを特徴とするコンバイン。
  2. 前記プーリ(21A)が設けられた回転軸(21)を内装する筒体(24)に、プーリ(21A)に巻回されたベルト(61)の外周部位を覆うベルトカバー(64)を設けた請求項1記載のコンバイン。
  3. 前記前側ギヤボックス(50)を、前記回転軸(21)を支持する懸架台(20)と脱穀装置(3)の前壁(30A)を連結する連結プレート(23)に支持した請求項記載のコンバイン。
  4. 前記前側クラッチ(60)の接続状態を検知する前側センサ(54)と、前記後側伝動部(BD)の後側ギヤボックス(80)に内装された後側クラッチ(90)の接続状態を検知する後側センサ(89)を設け、
    前記制御装置(45)は、前記通常の刈取作業時で、且つ、前記後側センサ(89)により後側クラッチ(90)の接続が解除されたことが検出された場合に、前記前側伝動部(FD)からフィードチェン(34)に刈取装置(4)の駆動力を伝動し、前記手扱ぎ作業時で、且つ、前記前側センサ(54)により前側クラッチ(60)の接続が解除されたことが検出された場合に、前記後側伝動部(BD)からフィードチェン(34)に脱穀装置(3)の駆動力を伝動する請求項記載のコンバイン。
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