JP5843435B2 - 印刷胴、印刷ユニット、印刷機並びに印刷胴の製造方法 - Google Patents

印刷胴、印刷ユニット、印刷機並びに印刷胴の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、印刷機に用いられる版胴やブランケット胴などの印刷胴、この印刷胴を有する印刷ユニット、印刷機、並びに、印刷胴の製造方法に関するものである。
例えば、一般的な新聞用オフセット輪転印刷機は、給紙装置と、印刷装置と、ウェブパス装置と、折機と、排紙装置とから構成されている。従って、給紙装置から複数のウェブが各印刷ユニットに供給されると、各ウェブに対して印刷装置により異なる印刷が施され、ウェブパス装置で各ウェブの走行ルートが変更されてから所定の順番に重ね合わされた後、折機にて、ウェブが重ねられた状態で縦折りされ、所定の長さに横裁断されると共に横折されることで折帖が形成され、印刷物(新聞)として排紙される。
このような新聞用オフセット輪転印刷機にて、印刷装置は多色印刷が可能となるように、複数の印刷ユニットが縦に配置されるタワー型となっている。そして、各印刷ユニットは、インキ供給装置、多数のインキ供給ローラ、版胴、ブランケット胴により構成される。従って、インキ供給装置から供給されたインキが各インキ供給ローラから版胴を介してブランケット胴に供給され、このブランケット胴と走行するウェブとの間に所定の印圧が作用することで、版胴からブランケット胴に転写されたインキ(画像)がウェブに転写されて印刷が行われる。
上述した版胴は、例えば、炭素鋼により製造され、外周面にクロムめっきが施されることで、耐食性、耐摩耗性、汚れ除去性などが確保されている。ところが、版胴は、外周面に刷版が装着され、特に、ブランケット胴との間に所定の圧力(印圧)が作用した状態で使用される。刷版は、版胴の外周面に巻きつけられた状態で、版胴における周方向の各端部が版胴の版締め装置により支持されているものの、版胴とブランケット胴との間の圧力により周方向にずれやすくなっている。また、ブランケット胴も同様であり、ブランケットがブランケット胴の外周面に巻きつけられた状態で、ブランケットにおける周方向の各端部がブランケットの版締め装置により支持されているものの、版胴とブランケット胴との間の圧力により周方向にずれやすくなっている。このように版胴に対して刷版がずれたり、ブランケット胴に対してブランケットがずれたりすると、印刷精度が低下してしまうという問題が発生する。
そこで、版胴に対する刷版のずれを防止するものとして、例えば、下記特許文献1に記載された技術が提案されている。この特許文献1に記載されたオフセット輪転機版胴は、版胴の表面粗さを所定値に調整することで、刷版と版胴との摩擦係数を増加させることで、刷版のずれを防止するものである。
特公平08−018423号公報
ところで、近年、新聞業界では、資材削減の流れがあり、胴、特に、版胴の小型化(小径化)が図られており、倍胴(例えば、2倍胴)であるブランケット胴に対して、版胴をその半分の径となる単胴とすることが提案されている。版胴を単胴にすると、この版胴に巻き付けて装着されたときの刷版は、その曲率が大きくなり、印刷時に、版胴に対して刷版がずれやすい環境となってしまう。そのため、上述した従来のオフセット輪転機版胴のように、版胴の表面粗さを調整して刷版との摩擦係数を増加させることで、刷版のずれを防止する技術が重要となる。なお、ブランケット胴が単胴の場合も、刷版の場合と同様に曲率が大きくなるため、ブランケットがずれやすい環境となる。
版胴の表面粗さを調整して刷版との摩擦係数を増加させる場合、例えば、版胴の表面にショットブラスト処理を行うことが考えられる。このショットブラスト処理は、版胴の表面に対して微小の粒体を衝突させるものである。しかし、版胴は、外周部に刷版の端部を締結する版締め装置を収容するための凹部が設けられており、版胴の表面にショットブラスト処理を行うと、外周面と凹部との間にあるエッジ部に対してもこの処理がなされてしまう。このエッジ部は、刷版を版胴に装着する場合に、端部を係止するものであり、このエッジ部の表面が粗度なってしまうと、刷版の装着精度が低下したり、刷版がずれやすくなったりして、その結果、印刷精度が低下してしまうという課題がある。
本発明は上述した課題を解決するものであり、印刷胴と刷版またはブランケットとのずれを防止すると共に印刷胴に対する刷版またはブランケットの装着精度の向上を可能とする印刷胴、印刷ユニット、印刷機並びに印刷胴の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の印刷胴は、円柱形状をなして外周部に軸心方向に沿って刷版またはブランケット締結用の凹部が設けられる印刷胴において、少なくとも外周面と前記凹部との間のエッジ部を除く外周面の領域に表面粗度調整加工が施されたことを特徴とするものである。
従って、印刷胴は、外周面が表面粗度調整加工されていることから、印刷胴の表面粗さを所定値に調整することで、印刷胴と刷版またはブランケットとの摩擦係数を増加させて刷版またはブランケットのずれを抑制することができ、また、エッジ部に表面粗度調整加工がなされておらず、刷版またはブランケットを印刷胴に高精度に装着することが可能となり、印刷胴に対する刷版またはブランケットの装着精度を向上することができる。
本発明の印刷胴では、前記エッジ部及び前記凹部を除く外周面に表面粗度調整加工が施されたことを特徴としている。
従って、エッジ部だけでなく凹部にも表面粗度調整加工がなされておらず、この凹部に刷版またはブランケットの締め装置を適正に収容することができる。
本発明の印刷胴では、耐久性処理が施された外周面に前記表面粗度調整加工が施されることを特徴としている。
従って、印刷胴における耐食性、耐摩耗性、汚れ除去性などを確保した上で、印刷胴と刷版とのずれを適正に抑制することができる。
また、本発明の印刷ユニットは、インキ供給装置と、外周面に刷版が巻き付けられて該刷版の端部が外周面に形成された凹部に締結されて前記インキ供給装置から前記刷版にインキが供給可能な版胴と、該版胴から転写されたインキを被印刷媒体に転写するブランケット胴と、を備える印刷ユニットにおいて、少なくとも前記版胴の外周面と前記凹部との間のエッジ部を除く外周面の領域に表面粗度調整加工が施されたことを特徴とするものである。
従って、版胴は、外周面が表面粗度調整加工されていることから、版胴の表面粗さを所定値に調整することで、版胴と刷版との摩擦係数を増加させて刷版のずれを抑制することができ、また、エッジ部に表面粗度調整加工がなされておらず、刷版を版胴に高精度に装着することが可能となり、版胴に対する刷版の装着精度を向上するため、刷版のずれが抑制されることから、所望の印刷位置にインキが被印刷媒体に転写されることとなり、見当精度を安定させることができる。
本発明の印刷ユニットでは、前記刷版は、前記版胴が1回転することで該版胴の回転方向における1つの印刷画像を前記ブランケット胴に転写可能であることを特徴としている。
従って、版胴が単胴であることから、刷版の有効利用を可能として印刷コストを低減することが可能となる一方で、版胴と刷版とのずれを適正に抑制することができる。
本発明の印刷ユニットでは、前記版胴は、軸心方向における胴幅Wを周方向における外周長Lで割ったW/Lが1.6以上となるように構成されることを特徴としている。
従って、版胴が長尺胴であることから、装着後の刷版が版胴からずれやすいにも拘らず、版胴の表面粗さが所定値に調整されることで、版胴と刷版とのずれを適正に抑制することができる。
本発明の印刷ユニットでは、前記版胴は単胴であり、前記ブランケット胴の直径が前記版胴の直径よりも大きく設定されることを特徴としている。
従って、ブランケット胴の直径が版胴の直径よりも大きい場合、版胴の方が剛性が弱いため、版胴とブランケット胴の接触による衝撃で版胴の方が変位、振動が発生し易く、その衝撃を受けたときに刷版が版胴エッジ部から外れやすい環境となるが、少なくとも、版胴の外周面と凹部との間のエッジ部を除く外周面の領域に表面粗度調整加工が施されているので、表面粗度調整加工が施されていない場合よりも大きな効果を奏することができる。
また、本発明の印刷機は、被印刷媒体を供給する給紙部と、該給紙部から供給された被印刷媒体に印刷を行う複数の前記印刷ユニットと、印刷済の被印刷媒体を排出する排出部とを備えると共に、前記印刷ユニットは、版胴に見当を修正する見当調整装置が設けられることを特徴としている。
従って、刷版のずれが抑制されることから、安定した見当精度が得られやすくなり、見当調整装置で修正できないような見当ずれが抑制され、また、版ずれによる印刷障害も抑制することができるため、品質の高い印刷物を安定して製作することができる。
また、本発明の印刷胴の製造方法は、円柱形状をなして外周部に軸心方向に沿って刷版またはブランケット締結用の凹部が設けられる印刷胴において、前記印刷胴における少なくとも外周面と前記凹部との間のエッジ部を被覆した状態で、表面粗度調整加工を行うことを特徴とするものである。
従って、印刷胴は、外周面が表面粗度調整加工されることで、印刷胴の表面粗さを所定値に調整し、印刷胴と刷版またはブランケットとの摩擦係数を増加させて刷版またはブランケットのずれを抑制することができ、また、エッジ部が表面粗度調整加工されないことで、刷版またはブランケットを印刷胴に高精度に装着することが可能となり、印刷胴に対する刷版またはブランケットの装着精度を向上することができる。
本発明の印刷胴の製造方法では、前記エッジ部を含む前記凹部をマスキングテープにより被覆した状態で、表面粗度調整加工を行うことを特徴としている。
従って、簡単な構成でエッジ部や凹部を被覆することができ、印刷胴の製造コストを低減することができる。
本発明の印刷胴、印刷ユニット、印刷機並びに印刷胴の製造方法によれば、印刷胴(版胴、ブランケット胴)における少なくとも外周面と凹部との間のエッジ部を除く外周面の領域に表面粗度調整加工を施したので、印刷胴と刷版またはブランケットとのずれを抑制することができると共に、印刷胴に対する刷版またはブランケットの装着精度を向上することができる。
図1は、本発明の実施例1に係る版胴を表す概略図である。 図2は、実施例1の版胴の凹部を表す概略図である。 図3は、実施例1の版胴における凹部のマスキング方法を表す概略図である。 図4は、実施例1の版胴における凹部のマスキング状態を表す断面図である。 図5は、実施例1の新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図である。 図6は、実施例1の印刷ユニットを表す概略構成図である。 図7は、実施例1の印刷ユニットにおける胴配列を表す概略図である。 図8は、実施例1の版胴とブランケット胴の関係及び版胴に装着される刷版を表す概略図である。 図9は、本発明の実施例2に係る版胴における凹部のマスキング状態を表す断面図である。 図10は、本発明の実施例3に係る版胴における凹部のマスキング状態を表す断面図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る印刷胴、印刷ユニット、印刷機並びに印刷胴の製造方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、本発明の実施例1に係る版胴を表す概略図、図2は、実施例1の版胴の凹部を表す概略図、図3は、実施例1の版胴における凹部のマスキング方法を表す概略図、図4は、実施例1の版胴における凹部のマスキング状態を表す断面図、図5は、実施例1の新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図、図6は、実施例1の印刷ユニットを表す概略構成図、図7は、実施例1の印刷ユニットにおける胴配列を表す概略図、図8は、実施例1の版胴とブランケット胴の関係及び版胴に装着される刷版を表す概略図である。
実施例1の印刷機は、図5に示すように、新聞用オフセット輪転印刷機であって、複数(本実施例では、8台)の給紙ユニットR1〜R8を有する給紙装置Rと、複数(本実施例では、6台)の印刷ユニットU1〜U6を有する印刷装置Uと、複数(本実施例では、2台)のウェブパスユニットD1,D2を有するウェブパス装置Dと、複数(本実施例では、2個)の折ユニットF1,F2を有する折機Fとから構成されている。
この場合、印刷ユニットU1〜U6を6台として説明したが、各印刷ユニットU1〜U6は、4色刷りが可能であると共に、上下に分割して12台の2色刷りが可能な印刷ユニットU11,U12,U21・・・U61,U62として用いることができる。また、2つの折ユニットF1,F2を左右に並べて記載したが、実際には、紙面に直交する方向に並んで配置される操作側折ユニットF1と駆動側折ユニットF2となっている。更に、印刷装置Uを2つの部分から記載したが、機能上2つに分けて記載しただけであり、実際には、1つの装置となっている。
そして、本実施例の新聞用オフセット輪転印刷機では、図示しない建屋の1階に給紙ユニットR1〜R8が設置され、2階及び3階に印刷ユニットU1〜U6が設置され、3階から5階にウェブパス装置Dが設置され、また、2階、3階に折機Fが設置されている。
ここで、上述した給紙装置R、印刷装置U、ウェブパス装置D、折機Fについて詳細に説明する。
給紙装置Rにおいて、給紙ユニットR1〜R8は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブWがロール状に巻かれた3つの巻取紙を保持する保持アーム11が設けられ、この保持アーム11を回動することで、巻取紙を給紙位置に回動することができる。また、この各給紙ユニットR1〜R8には、図示しない紙継装置が設けられており、給紙位置で繰り出されている巻取紙が残り少なくなると、この紙継装置により給紙位置にある巻取紙に対して、待機位置にある巻取紙を紙継することができる。
印刷装置Uにおいて、印刷ユニットU1〜U6は、両面4色印刷を行うことができる多色刷印刷ユニットである。但し、各印刷ユニットU1〜U6は、上下に分割することで、両面2色印刷を行うことができる印刷ユニットU11〜U62とすることができる。また、各印刷ユニットU1〜U3は、版胴12の周長(直径)に対して、ブランケット胴13の周長(直径)が2倍に設定され、各印刷ユニットU4〜U6は、版胴14の周長(直径)とブランケット胴15の周長(直径)が同じに設定されている。この場合、ブランケット胴13と版胴14とブランケット胴15の各周長(各直径)が同じに設定されている。
なお、本実施例では、印刷ユニットU1〜U6を、全て多色刷印刷ユニットにより構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、両面2色刷印刷ユニット、両面単色刷印刷ユニット、一面4色または単色刷印刷ユニットなど、印刷物に応じて適宜各種ユニットを組み合わせて使用すればよい。
ウェブパス装置Dにおいて、ウェブパスユニットD1は、印刷ユニットU1〜U3に対して設けられ、ウェブパスユニットD2は、印刷ユニットU4〜U6に対して設けられている。各ウェブパスユニットD1,D2は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブWを縦(ウェブWの天地長手方向、ウェブWの搬送方向)に沿ってその幅方向の中央部で裁断するスリッタ、縦裁断したウェブWの搬送経路を設定するターンバー、ウェブWにおける天地長手方向における搬送位置を調整するコンペンセータなどを有している。
即ち、各印刷ユニットU1〜U3で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD1にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。また、印刷ユニットU4〜U6で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD2にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。
折機Fにおいて、2つの折ユニットF1,F2は、操作側と駆動側に配設されている。即ち、ウェブパスユニットD1から複数のウェブW1が重ねられて導入されると、折ユニットF1は、ウェブW1を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙することができる。また、ウェブパスユニットD2から複数のウェブW2が重ねられて導入されると、折ユニットF2は、ウェブW2を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙することができる。この場合、折機Fでは、折ユニットF1,F2が各ウェブパスユニットD1,D2からのウェブW1,W2を処理するだけでなく、各折ユニットF1,F2の一方がまとめて処理することもできる。
また、上述した印刷装置Uの各印刷ユニットU1〜U3は、ほぼ同様の構成をなし、図6に示すように、墨(Black)、藍(Cyan)、紅(Magenta)、黄(Yellow)ごとの4つのスタックa,b,c,dが上下に配置されて構成され、各スタックa,b,c,dにて、それぞれ左右に対向して版胴12a,12b,12c,12dが配置され、この各版胴12a,12b,12c,12dにブランケット胴13a,13b,13c,13dが対接され、各ブランケット胴13a,13b,13c,13dの間にウェブWが走行可能となっている。
この場合、スタックa,cは、版胴12a,12c及びブランケット胴13a,13cがハの字形状に配列され、スタックb,dは、版胴12b,12d及びブランケット胴13b,13dが逆ハの字形状に配列されている。
各スタックa,b,c,dは、ほぼ同様の構成となっており、例えば、スタックaにて、図7に示すように、上方へ向かって走行するウェブWに対して、一対のブランケット胴13aが左右に対向して対接可能に配置され、各ブランケット胴13aに対接して各版胴12aが配置されている。そして、各版胴12aは、それぞれ2つのインキ着ローラ16a,17aが対接して配置され、各インキ着ローラ16a,17aは、多数のインキローラからなるインキローラ群18aを介してインキ元ローラ19aに対接され、このインキ元ローラ19aに対してインキつぼ20aが配置されている。ここで、インキ着ローラ16a,17a、インキローラ群18a、インキ元ローラ19a、インキつぼ20aによりインキ供給装置が構成される。なお、他のスタックb,c,dも同様である。
この場合、図6及び図7に示すように、各スタックa,b,c,dにて、各版胴12a,12b,12c,12d、各ブランケット胴13a,13b,13c,13d、各インキ着ローラ16a,17a、各インキローラ群18a、各インキ元ローラ19aは、同期して回転可能であり、図示しないギアによりそれぞれ駆動連結されており、一つの駆動モータ21a,21b,21c,21dにより連動して駆動回転可能となっている。
従って、インキ元ローラ19aにより供給量が調整されたインキが、インキつぼ20aから供給され、インキローラ群18aを介してインキ着ローラ16a,17aに供給され、このインキ着ローラ16a,17aから版胴12aの版面に供給され、版面に付着したインキがブランケット胴13aに転写される。そして、各ブランケット胴13aとの間でウェブWに所定の印圧が掛けられることで、各ブランケット胴13aのインキを絵柄(画像)としてウェブWの表面及び裏面に転写することができる。
ここで、版胴12a,12b,12c,12dとブランケット胴13a,13b,13c,13dについて説明するが、これらは、各スタックa,b,c,dでほぼ同様の構成であり、且つ、左右で同様の構造であることから、スタックaにおける一方の版胴12a及びブランケット胴13aについて説明する。
図8に示すように、版胴12aは、外周部に刷版31(31A,31B,31C,31D)を装着可能となっている。そして、この版胴12aに対して、4つの刷版31A,31B,31C,31Dを装着可能となっている。各刷版31A,31B,31C,31Dは、それぞれ表面に1つの絵柄A,B,C,Dが形成されたものであり、版胴12aの外周面に対して、この版胴12aの軸心方向に沿って並んで装着される。
なお、版胴12aに装着される刷版は、このような構成に限るものではない。例えば、それぞれ2つの絵柄A,B、絵柄C,Dが形成された2つの刷版32A,32Bを形成し、版胴12aの外周面に対して、この版胴12aの軸心方向に沿って並んで、つまり、各絵柄A,B,C,Dが版胴12aの軸心方向に沿って並んで配置されるように装着可能に構成してもよい。また、図示しないが、4つの絵柄A,B,C,Dが形成された1つの刷版を形成し、版胴12aの外周面に対して、各絵柄A,B,C,Dが版胴12aの軸心方向に沿って並んで配置されるようにこの刷版を装着可能に構成してもよい。
一方、ブランケット胴13aは、外周部にブランケット(図示略)を装着可能となっている。このブランケットは、金属製(または、ガラス繊維製、繊維強化樹脂製)の板材からなる基部と、この基部の表面に設けられるブランケット材からなる弾性層とを有している。
また、この版胴12aは、円柱形状をなし、外周部における周方向における所定の箇所に、軸心方向に沿って凹部33が形成され、この凹部33に図示しない版締め装置が収容されている。この版締め装置は、刷版31における長手方向(版胴12aへの装着状態で、版胴12aの周方向)の各端部が折り曲げられて形成された締結部を締結するものである。具体的には、刷版31の咥え側の締結が凹部33における一方のエッジ部に係止した状態で、この刷版31を版胴12aに巻き付け、尻側の締結部を他方のエッジ部に係止して引っ張りながら固定するものである。
一方、ブランケット胴13aは、円柱形状をなし、外周部における周方向における所定の箇所に、軸心方向に沿って凹部34が形成され、この凹部34に図示しないブランケット締め装置が収容されている。このブランケット締め装置は、ブランケット胴13aにおける長手方向(ブランケット胴13aへの装着状態で、ブランケット胴13aの周方向)の各端部が折り曲げられて形成された締結部を締結するものである。具体的には、ブランケットの咥え側の締結部が凹部34における一方のエッジ部に係止した状態で、このブランケットをブランケット胴13aに巻き付け、尻側の締結部を他方のエッジ部に係止して引っ張りながら固定するものである。
本実施例にて、ブランケット胴13aは、その周長(直径)が、版胴12aの周長(直径)の整数倍(本実施例では、2倍)に設定されている。即ち、版胴12aの周長がブランケット胴13aの1/2となっており、版胴12aに対して、その軸心方向に4つの絵柄A,B,C,Dが直列に並ぶと共に、周方向に1種類の絵柄A,B,C,Dが位置するように、各刷版31A,31B,31C,31D(または、刷版32A,32B)が装着される。
従って、版胴12aとブランケット胴13aとが同期回転するとき、版胴12aが1回転することで、この版胴12aに装着された刷版31A,31B,31C,31D(刷版32A,32B)に形成された回転方向における1つの画像(インキ)をブランケット胴13aに転写可能となっている。即ち、版胴12aが2回転することで、ブランケット胴13aにおける周方向に、刷版31A,31B,31C,31D(刷版32A,32B)に形成された画像(インキ)を2つ連続して転写可能となっている。
このように本実施例の新聞用オフセット輪転印刷機において、図5に示すように、各印刷ユニットU1〜U3は、刷版の無駄を省くと共に小ロット数での印刷に対応すべく、版胴12の周長(外周長)Lが、ウェブWに印刷される印刷ページのページ長の1ページ分となる、所謂、4(W)×1(L)形式となっている。一方、各印刷ユニットU4〜U6は、版胴14の周長(外周長)Lが、ウェブWに印刷される印刷ページのページ長の2ページ分となる、所謂、4(W)×2(L)形式となっている。そのため、印刷ユニットU1〜U3では、版胴12の周長が、印刷ユニットU4〜U6における版胴14の周長に比べて半分であることから、刷版の枚数を半減する一方でその使用回数を2倍とし、この刷版を無駄なく使用することが可能となる。
ここで、Lは、版胴12の外周面における周方向の長さ、つまり、周長(外周長)であり、Wは、版胴12の外周面における軸心方向の長さ、つまり、胴幅である。この場合、各印刷ユニットU1〜U3における版胴12は、上述した4(W)×1(L)形式であることから、胴幅Wを周長Lで割ったW/Lは、1.6以上となっている。なお、W/Lが1.6以上となる胴を長尺胴としている。
このように構成された版胴12(12a,12b,12c,12d)は、本実施例にて、少なくとも外周面と凹部33との間のエッジ部を除く外周面の領域に表面粗度調整加工が施されている。具体的に、版胴12(12a,12b,12c,12d)は、エッジ部及び凹部33を除く外周面に表面粗度調整加工が施されている。この場合、表面粗度調整加工は、好ましくは、表面粗さ(最大高さ粗さ)Rz(Rzは、日本規格協会の「JIS B 0601:2001 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語、定義及び表面性状パラメータ」で定義される「最大高さ粗さ」のこと)が、
1.0μm≦Rz≦100μm
に調整されている。
なお、表面粗さRzが大きいほど、版ずれ防止効果が優れる傾向にあるが、Rz>100μmでは、版胴の寸法精度や汚れ除去特性が落ちる場合もある。また、Rz<1.0μmでは版ずれ防止効果が小さいので、表面粗さRzは、
1.0μm≦Rz≦100μm
の範囲が好ましい。
また、上記の表面粗さ測定方法は、日本規格協会の「JIS B 0651:2001 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触診式表面粗さ測定機の特性」を用いて触診式で計測することができると共に、その結果の評価は、日本規格協会の「JIS B 0633:2001 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−表面性状評価の方式及び手順」を用いることができる。
版胴12の表面粗さを上述した範囲とすることで、刷版31と版胴12間の摩擦係数を増加させることができ、これにより版ずれトラブルが防止できる。この場合、Rzが大きい程、版ずれ防止効果も優れていることが推測されるが、Rzが100μm以上では、版胴の寸法精度や汚れ除去特性に影響が生じる場合も考えられるので、Rzの上限値を100μmとすることが好ましい。また、Rzが1.0μmより小さいと、従来の版胴に比べて版ずれ防止効果が小さくなるので、Rzは1.0μmより以上の方が好ましい。
このように構成された版胴12(12a,12b,12c,12d)は、本実施例にて、少なくとも外周面と凹部33との間のエッジ部を除く外周面の領域に表面粗度調整加工が施されている。具体的に、版胴12(12a,12b,12c,12d)は、エッジ部及び凹部33を除く外周面に表面粗度調整加工が施されている。この場合、表面粗度調整加工は、表面粗さRzが、
1.0μm≦Rz≦100μm
に調整されている。
また、版胴12(12a,12b,12c,12d)は、外周面に耐久性処理が施された後に表面粗度調整加工が施されている。
また、版胴12(12a,12b,12c,12d)は、外周面と凹部33との間のエッジ部、または、エッジ部及び凹部33を被覆した状態で、表面粗度調整加工を行うことで、製造している。
以下、本実施例の版胴12(12a,12b,12c,12d)について詳細に説明する。まず、版胴12の製造方法を具体的に説明する。
版胴12は、図4に示すように、外周部における周方向における所定の箇所に軸心方向に沿って凹部33が形成され、この凹部33に図示しない版締め装置が収容されている。この凹部33は、底面41の両側に縦壁42,43が連続して形成され、この各縦壁42,43の上端に傾斜天井44,45が連続して形成されて構成されている。そして、版胴12の外周面と凹部33、つまり、傾斜天井44,45との間にエッジ部46,47が形成されている。この各エッジ部46,47は、刷版31A,31B,31C,31D(図8参照)における周方向の各端部が折り曲げられて形成された締結部をそれぞれ係止するものであり、所定の円弧形状となっている。版締め装置は、各エッジ部46,47に係止した刷版31A,31B,31C,31Dの各締結部を固定することができる。
本実施例では、版胴12は、素材としての炭素鋼を切削加工により形成し、外周面に耐久性処理としてクロムめっき加工を施すことで、めっき部48を形成する。この場合、このめっき部48は、外周面だけでなく、凹部33におけるエッジ部46,47、傾斜天井44,45、縦壁42,43、底面41の一部にまで形成されている。なお、刷版31A,31B,31C,31Dは、アルミニウム製である。
そして、この版胴12に対して、図3及び図4に示すように、まず、エッジ部46,47を含む凹部33を外側から被覆するように被覆材としてのマスキングテープ51を貼り付ける。このマスキングテープ51は、エッジ部46,47を含む凹部33を外周面から被覆する外周テープ51aと、エッジ部46,47を含む凹部33を両方の端面から被覆する一対の端面テープ51bとから構成されている。これによりエッジ部46,47を含む凹部33がマスキングテープ51により外側から被覆される。
次に、エッジ部46,47を含む凹部33がマスキングテープ51により被覆された版胴12に対して、表面粗度調整加工としてのショットブラスト処理を行う。このショットブラスト処理は、版胴12の外周面に対して、微小の粒体(金属、セラミック、樹脂など)を多数衝突させるものであり、この版胴12の外周面を所定粗さに調整する。この所定粗さとは、版胴12の外周面の表面粗さRzを、
1.0μm≦Rz≦100μm
に調整するものである。
そして、版胴12に対するショットブラスト処理が終了すると、マスキングテープ51を除去することで、版胴12の製造作業が完了する。
その結果、図1及び図2に示すように、版胴12は、マスキングテープ51により被覆された以外の外周面に粗度部49が形成される。即ち、エッジ部46,47を含む凹部33を除く外周面の領域に所定の表面粗さとなる粗度部49が形成される。この場合、エッジ部46,47とは、外周面と傾斜天井44,45との交点の周辺部であり、この交点から外周面側に所定長さ(例えば、5〜10mm)だけ移行した領域を含むものである。つまり、図2にて、版胴12にて、周方向における領域C1を除く領域C2が粗度部49となっている。
このように実施例1の版胴にあっては、円柱形状をなして外周部に軸心方向に沿って刷版31の締結用の凹部33が設けられる版胴12にて、エッジ部46,47を含む凹部33以外の外周面の領域に所定の表面粗さとなる粗度部49を形成している。
従って、版胴12は、外周面に粗度部49が形成されていることから、版胴12の表面粗さが所定値に調整されており、版胴12と刷版31との摩擦係数を増加させて刷版31のずれを抑制することができ、また、エッジ部46,47に表面粗度調整加工がなされておらず、刷版31を版胴12に高精度に装着することが可能となり、版胴12に対する刷版31の装着精度を向上することができる。
この場合、エッジ部46,47だけでなく凹部33全体に表面粗度調整加工が施されていないことから、この凹部33に刷版31の版締め装置を適正に収容することができる。
また、実施例1の版胴では、表面粗度調整加工による表面粗さRzを、1.0μm≦Rz≦100μmに調整している。従って、版胴12の表面粗さをより適正値に調整することで、版胴12と刷版31とのずれを適正に抑制することができる。
また、実施例1の版胴では、耐久性処理としてクロムめっき処理により形成されためっき部48の表面に表面粗度調整加工を施している。従って、版胴12における耐食性、耐摩耗性、汚れ除去性などを確保した上で、版胴12と刷版31とのずれを適正に抑制することができる。
また、実施例1の印刷ユニットにあっては、インキつぼ20a、インキ元ローラ19a、インキローラ群18a、インキ着ローラ16a,17a、版胴12(12a,12b,12c,12d)、ブランケット胴13(13a,13b,13c,13d)により構成され、版胴12におけるエッジ部46,47を含む凹部33以外の外周面の領域に所定の表面粗さとなる粗度部49を形成している。
従って、版胴12は、外周面に粗度部49が形成されていることから、版胴12の表面粗さを所定値に調整することで、版胴12と刷版31との摩擦係数を増加させて刷版31のずれを抑制することができ、また、エッジ部46,47に表面粗度調整加工がなされておらず、刷版31を版胴12に高精度に装着することが可能となり、版胴12に対する刷版31の装着精度を向上することができる。
また、実施例1の印刷ユニットでは、刷版31は、版胴12が1回転することでこの版胴12の回転方向における1つの印刷画像をブランケット胴13に転写可能としている。即ち、版胴12にて、軸心方向における胴幅Wを周長Lで割ったW/Lが1.6以上となるように構成している。従って、版胴12が単胴になることから、刷版31の有効利用を可能として印刷コストを低減することが可能となる一方で、版胴12が長尺胴になることから、装着後の刷版31が版胴12からずれやすいにも拘らず、版胴12の表面粗さが所定値に調整されることで、版胴12と刷版31とのずれを適正に抑制することができる。
また、実施例1の版胴の製造方法にあっては、円柱形状をなして外周部に軸心方向に沿って刷版31の締結用の凹部33が設けられる版胴12にて、この版胴12におけるエッジ部46,47を含む凹部33を被覆した状態で、表面粗度調整加工を行うようにしている。
従って、版胴12は、外周面が表面粗度調整加工されることで、版胴12の表面粗さを所定値に調整し、版胴12と刷版31との摩擦係数を増加させて刷版31のずれを抑制することができ、また、エッジ部46,47が表面粗度調整加工されないことで、刷版31を版胴12に高精度に装着することが可能となり、版胴12に対する刷版31の装着精度を向上することができる。
また、実施例1の版胴の製造方法では、エッジ部46,47を含む凹部33をマスキングテープ51により被覆した状態で、表面粗度調整加工を行うようにしている。従って、簡単な構成でエッジ部46,47や凹部33を被覆することができ、版胴12の製造コストを低減することができる。
この場合、版胴12の凹部33をマスキングテープ51により被覆して、ショットブラスト処理を行うことで、使用する粒体が凹部33内に入り込むことがなく、処理後の清掃などを不要として製造作業を簡素化することができる。
図9は、本発明の実施例2に係る版胴における凹部のマスキング状態を表す断面図である。なお、本実施例の版胴の基本的な構成は、上述した実施例1とほぼ同様の構成であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例2では、実施例1と同様に、図1及び図9に示すように、版胴12は、エッジ部46,47を含む凹部33以外の外周面に表面粗度調整加工が施されることで、粗度部49が形成されており、この粗度部49の表面粗さRzは、1.0μm≦Rz≦100μmに調整されている。
即ち、版胴12に対して、まず、エッジ部46,47を含む凹部33を外側から被覆するように被覆材としてのマスキングホルダ52を装着する。このマスキングホルダ52は、版胴12における凹部33側に位置して断面が略三角形状をなすホルダ本体52aと、版胴12の外周面側に位置して断面が略平面形状をなす被覆部52bと、ホルダ本体52aと被覆部52bとの間でエッジ部46,47に嵌合する一対の溝部52c,52dとから構成されている。そして、マスキングホルダ52を、溝部52c,52dが凹部33のエッジ部46,47に嵌合するように、スライド嵌合することで、エッジ部46,47を含む凹部33がマスキングホルダ52により外側から被覆される。なお、エッジ部46,47を含む凹部33を版胴12の各端面から被覆するように、一対の端面テープ51bを設けたが、マスキングホルダ52と一体または別体に設けてもよい。
次に、エッジ部46,47を含む凹部33がマスキングホルダ52により被覆された版胴12に対して、表面粗度調整加工としてのショットブラスト処理を行うことで、この版胴12の外周面を所定粗さ(1.0μm≦Rz≦100μm)に調整する。そして、版胴12に対するショットブラスト処理が終了すると、マスキングホルダ52を除去することで、版胴12の製造作業が完了する。なお、計測方法、評価方法は実施例1に示す方法を用いることができる。
その結果、版胴12は、マスキングホルダ52により被覆された以外の外周面に粗度部49が形成される。即ち、エッジ部46,47を含む凹部33を除く外周面の領域に所定の表面粗さとなる粗度部49が形成される。この場合、版胴12にて、周方向における領域C1を除く領域C2が粗度部49となっている。
このように実施例2の版胴にあっては、円柱形状をなして外周部に軸心方向に沿って刷版31の締結用の凹部33が設けられる版胴12にて、エッジ部46,47を含む凹部33以外の外周面の領域に所定の表面粗さとなる粗度部49を形成している。従って、版胴12と刷版31とのずれを抑制することができると共に、版胴12に対する刷版31の装着精度を向上することができる。
また、エッジ部46,47を含む凹部33を外側から被覆するように被覆材としてマスキングホルダ52を適用している。このマスキングホルダ52は、ゴムや樹脂などにより製作することで、繰り返しの使用が可能となり、製造コストを低減することが可能となる。また、マスキングホルダ52をエッジ部46,47にスライド嵌合するだけでよく、このときの溝部52c,52dとエッジ部46,47との嵌合度合いを適正な嵌合力に調整することで、装着性を向上することができ、製造作業の作業性を向上することができる。
図10は、本発明の実施例3に係る版胴における凹部のマスキング状態を表す断面図である。なお、本実施例の版胴の基本的な構成は、上述した実施例1とほぼ同様の構成であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例3では、実施例1と同様に、図1及び図10に示すように、版胴12は、エッジ部46,47を含む凹部33以外の外周面に表面粗度調整加工が施されることで、粗度部49が形成されており、この粗度部49の表面粗さRzは、1.0μm≦Rz≦100μmに調整されている。
即ち、版胴12に対して、まず、エッジ部46,47を外側から被覆するように被覆材としてのマスキングテープ53,54を装着する。このマスキングテープ53,54は、エッジ部46,47を所定範囲で被覆するものであり、具体的には、版胴12の外周面と傾斜天井44,45との交点から外周面側に所定長さ(例えば、5〜10mm)だけ移行すると共に傾斜天井44,45側に所定長さ(例えば、5〜10mm)だけ移行した領域を被覆している。これによりエッジ部46,47の周辺がマスキングテープ53,54により外側から被覆される。なお、エッジ部46,47を含む凹部33を版胴12の各端面から被覆するように、一対の端面テープ51bを設けている。
次に、エッジ部46,47周辺部がマスキングテープ53,54により被覆された版胴12に対して、表面粗度調整加工としてのショットブラスト処理を行うことで、この版胴12の外周面を所定粗さ(好ましくは、1.0μm≦Rz≦100μm)に調整する。そして、版胴12に対するショットブラスト処理が終了すると、マスキングテープ53,54を除去することで、版胴12の製造作業が完了する。なお、計測方法、評価方法は実施例1に示す方法を用いることができる。
その結果、版胴12は、マスキングテープ53,54により被覆された以外の外周面に粗度部49が形成される。即ち、エッジ部46,47周辺部を除く外周面の領域に所定の表面粗さとなる粗度部49が形成される。この場合、版胴12にて、周方向における領域C11,C12を除く領域C2が粗度部49となっている。なお、凹部33内の領域C3が被覆されていないことから、表面粗度調整加工が施されるおそれがあるが、版胴12に刷版31を装着する精度に悪影響を及ぼすことはない。
このように実施例3の版胴にあっては、円柱形状をなして外周部に軸心方向に沿って刷版31の締結用の凹部33が設けられる版胴12にて、エッジ部46,47を含む凹部33以外の外周面の領域に所定の表面粗さとなる粗度部49を形成している。従って、版胴12と刷版31とのずれを抑制することができると共に、版胴12に対する刷版31の装着精度を向上することができる。
また、エッジ部46,47を外側から被覆するように被覆材としてマスキングテープ53,54を適用している。このマスキングテープ53,54は、エッジ部46,47のみを外側から被覆することから、被覆材料を減少して製造コストを低減することが可能となる。
なお、印刷胴を版胴とし、素材を炭素鋼として表面にクロムめっき加工を施し、アルミニウム製の刷版としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、版胴の素材としてステンレス鋼、強化繊維樹脂(FRP:Fiber Reinforced Plastics)などを用いてもよく、強化繊維樹脂の表面にステンレス板を巻き付けて構成してもよい。また、耐久性処理として、クロムめっき加工に代えて、無電解ニッケルめっき加工を施してもよい。なお、必ずしも耐久性処理をしなくても良い場合いもあり、例えば、版胴の素材がステンレスの場合、耐久性処理を別途施さなくてもステンレス表面に表面粗度調整加工を行ってもよい。
また、上述した各実施例では、印刷胴を版胴として説明したが、この構成に限定されるものではなく、印刷胴をブランケットが装着されるブランケット胴としてもよい。また、被印刷媒体は、枚葉紙(シート)や連続紙(ウェブ)、また、紙に拘わらず、樹脂製などであってもよい。
また、本発明の印刷胴を4(W)×1(L)形式の印刷ユニットU1〜U3における版胴12に適用することで、上述した顕著な作用効果を奏することができるものであり、この場合、版胴12におけるW/Lが1.6以上であればよいため、例えば、6(W)×2(L)や8(W)×2(L)形式の印刷ユニットの版胴に適用してもよい。また、本発明の印刷胴を4(W)×1(L)形式の印刷ユニットU1〜U3における版胴12に適用して説明したが、4(W)×2(L)形式の印刷ユニットU4〜U6における版胴14に適用してもほぼ同様の作用効果を奏することができる。
また、上述した各実施例では、本発明の印刷機を、新聞用オフセット輪転印刷機に適用して説明したが、商業用オフセット輪転印刷機やオフセット枚葉印刷機などに適用することもできる。
また、上述した各実施例では、表面粗度調整加工をショットブラスト処理としたが、溶射処理、めっき処理、化学処理、研削処理、電着処理などいずれの方法であってもよい。また、被覆材も、マスキングテープ51,53,54やマスキングホルダ52としたが、その形状や材質に限定されるものではなく、テープやホルダ以外に被覆材として容易に除去可能な塗装材を使用してもよい。
本発明に係る印刷胴、印刷ユニット、印刷機並びに印刷胴の製造方法は、エッジ部を除く外周面に表面粗度調整加工を施すことで、印刷胴と刷版とのずれを防止すると共に印刷胴に対する刷版の装着精度の向上を可能とするものであり、いずれの印刷機にも適用することができる。
R 給紙装置
R1〜R8 給紙ユニット
U 印刷装置
U1〜U6 印刷ユニット
D ウェブパス装置
D1,D2 ウェブパスユニット
F 折機
F1,F2 折ユニット
12,12a,12b,12c,12d 版胴(印刷胴の一例)
13,13a,13b,13c,13d ブランケット胴
31,31A,31B,31C,31D,32A,32B 刷版
33 凹部
46,47 エッジ部
48 めっき部
49 粗度部
51,53,54 マスキングテープ
52 マスキングホルダ
W ウェブ(被印刷媒体の一例)

Claims (9)

  1. 円柱形状をなして外周部に軸心方向に沿って刷版またはブランケット締結用の凹部が設けられる印刷胴において、
    前記印刷胴の外周面から前記凹部のエッジ部まで耐久性処理として施されるめっき部が設けられ、
    前記めっき部は、少なくとも前記エッジ部及び前記エッジ部に連続する前記印刷胴の外周面の一部を除く前記印刷胴の外周面の領域に所定の表面粗さとなるように表面粗度調整加工が施された粗度部を有する、
    ことを特徴とする印刷胴。
  2. 前記粗度部は、前記エッジ部及び前記凹部を除く前記印刷胴の外周面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の印刷胴。
  3. インキ供給装置と、
    外周面に刷版が巻き付けられて該刷版の端部が外周面に形成された凹部に締結されて前記インキ供給装置から前記刷版にインキが供給可能な版胴と、
    該版胴から転写されたインキを被印刷媒体に転写するブランケット胴と、
    を備える印刷ユニットにおいて、
    前記版胴の外周面から前記凹部のエッジ部まで耐久性処理として施されるめっき部が設けられ、
    前記めっき部は、少なくとも前記エッジ部及び前記エッジ部に連続する前記印刷胴の外周面の一部を除く前記版胴の外周面の領域に所定の表面粗さとなるように表面粗度調整加工が施された粗度部を有する、
    ことを特徴とする印刷ユニット。
  4. 前記刷版は、前記版胴が1回転することで該版胴の回転方向における1つの印刷画像を前記ブランケット胴に転写可能であることを特徴とする請求項3に記載の印刷ユニット。
  5. 前記版胴は、軸心方向における胴幅Wを周方向における外周長Lで割ったW/Lが1.6以上となるように構成されることを特徴とする請求項3または4に記載の印刷ユニット。
  6. 前記版胴は単胴であり、前記ブランケット胴の直径が前記版胴の直径よりも大きく設定されることを特徴とする請求項4または5に記載の印刷ユニット。
  7. 被印刷媒体を供給する給紙部と、該給紙部から供給された該被印刷媒体に印刷を行う複数の前記印刷ユニットと、印刷済の前記被印刷媒体を排出する排出部とを備えると共に、
    前記印刷ユニットは、版胴に見当を修正する見当調整装置が設けられる請求項4から6のいずれか一つの印刷ユニットを備えることを特徴とする印刷機。
  8. 円柱形状をなして外周部に軸心方向に沿って刷版またはブランケット締結用の凹部が設けられる印刷胴において、
    前記印刷胴における少なくとも外周面と前記凹部との間のエッジ部を被覆した状態で、表面粗度調整加工を行うことを特徴とする印刷胴の製造方法。
  9. 前記エッジ部を含む前記凹部をマスキングテープにより被覆した状態で、表面粗度調整加工を行うことを特徴とする請求項8に記載の印刷胴の製造方法。
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