以下に添付図面を参照して、本発明に係るウェブの印刷不良検出装置及び方法、印刷機の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
図7は、新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図、図8は、新聞用オフセット輪転印刷機における印刷ユニットを表す概略構成図である。
本実施形態の印刷機は、図7に示すように、新聞用オフセット輪転印刷機であって、給紙装置Rと、インフィード装置Iと、印刷装置Uと、ウェブパス装置Dと、折機Fとから構成されている。給紙装置Rは、複数(実施形態1では、7台)の給紙ユニットR1〜R7を有し、インフィード装置Iは、複数(実施形態1では、7台)のインフィードユニットI1〜I7を有し、印刷装置Uは、複数(実施形態1では、6台)の印刷ユニットU1〜U6を有し、ウェブパス装置Dは、複数(実施形態1では、2台)のウェブパスユニットD1,D2を有し、折機Fは、複数(実施形態1では、2個)の折ユニットF1,F2を有している。
この場合、印刷ユニットU1〜U6を6台として説明したが、各印刷ユニットU1〜U6は、4色刷りが可能であると共に、上下に分割して12台の2色刷りが可能な印刷ユニットU11,U12,U21・・・U61,U62として用いることができる。また、2つの折ユニットF1,F2を上下に並べて記載したが、実際には、紙面に直交する方向に並んで配置される操作側折ユニットF1と駆動側折ユニットF2となっている。更に、印刷装置Uを2つの部分から記載したが、機能上2つに分けて記載しただけであり、実際には、1つの装置となっている。
そして、この新聞用オフセット輪転印刷機では、図示しない建屋の1階の床面上に給紙ユニットR1〜R7が設置され、2階にインフィードユニットI1〜I7が設置され、2階及び3階に印刷ユニットU1〜U6が設置され、3階から5階にウェブパス装置Dが設置され、また、2階、3階に折機Fが設置されている。
給紙装置Rにおいて、給紙ユニットR1〜R7は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブ(印刷媒体)Wがロール状に巻かれた3つの巻取紙を保持する保持アーム11を有し、この保持アーム11を回動することで、巻取紙を給紙位置に回動することができる。また、この各給紙ユニットR1〜R7には、図示しない紙継装置が設けられており、給紙位置で繰り出されている巻取紙が残り少なくなると、この紙継装置により給紙位置にある巻取紙に対して、待機位置にある巻取紙を紙継することができる。
インフィード装置Iにおいて、インフィードユニットI1〜I7は、ほぼ同様の構成をなし、印刷装置Uの各印刷ユニットU1〜U6に送り込むウェブWのテンションを調整することで、印刷装置Uを走行するウェブWのテンションを適正値に安定して維持するようにしている。例えば、各インフィードユニットI1〜I7は、インフィードローラ、紙押えゴムローラ、ダンサローラ、ガイドローラなどを有している。そして、ダンサローラをウェブWの張り方向に力を加えることでウェブWのテンションを適正にし、このダンサローラの揺動に応じてインフィードローラの周速を変更し、ウェブWの適正なテンションを維持している。
なお、給紙装置Rからインフィード装置IまでのウェブWのテンションは、給紙ユニットR1〜R7に設けられた図示しないブレーキ装置により行っており、給紙装置Rに設けられたテンション検出ローラの検出結果に基づいて、このブレーキ装置を制御している。また、印刷装置Uの下流側には、駆動源により駆動回転可能なドラグローラ12が設けられており、このドラグローラ12の周速やダンサローラに加えている力を制御することで、ウェブWのテンションを調整している。
印刷装置Uにおいて、印刷ユニットU1〜U6は、両面4色印刷を行うことができる多色刷印刷ユニットである。但し、各印刷ユニットU1〜U6は、上下に分割することで、両面2色印刷を行うことができる印刷ユニットU11〜U62とすることができる。各印刷ユニットU11〜U62は、ほぼ同様の構成をなし、後述するが、インキ供給装置、版胴、ブランケット胴などを有している。本実施形態では、各印刷ユニットU1〜U6は、版胴に周方向に沿って印刷物としての新聞の1頁分に対応する刷版を装着可能であり、この版胴の周長(直径)に対して、ブランケット胴の周長(直径)が同じに設定されている。
なお、本実施形態では、印刷ユニットU1〜U6を、全て多色刷印刷ユニットにより構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、両面2色刷印刷ユニット、両面単色刷印刷ユニット、一面4色または単色刷印刷ユニットなど、印刷物に応じて適宜各種ユニットを組み合わせて使用すればよい。
ウェブパス装置Dにおいて、ウェブパスユニットD1は、印刷ユニットU1〜U3に対して設けられ、ウェブパスユニットD2は、印刷ユニットU4〜U6に対して設けられている。各ウェブパスユニットD1,D2は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブWを縦(ウェブWの天地長手方向、ウェブWの搬送方向)に沿ってその幅方向の中央部で裁断するスリッタ、縦裁断したウェブWの搬送経路を設定するターンバー、ウェブWにおける天地長手方向における搬送位置を調整するコンペンセータなどを有している。
即ち、各印刷ユニットU1〜U3で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD1にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。また、印刷ユニットU4〜U6で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD2にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。
折機Fにて、2つの折ユニットF1,F2は、操作側と駆動側に配設されている。即ち、ウェブパスユニットD1から複数のウェブW1が重ねられて導入されると、折ユニットF1は、ウェブW1を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙することができる。また、ウェブパスユニットD2から複数のウェブW2が重ねられて導入されると、折ユニットF2は、ウェブW2を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙することができる。この場合、折機Fでは、折ユニットF1,F2が各ウェブパスユニットD1,D2からのウェブW1,W2を処理するだけでなく、各折ユニットF1,F2の一方がまとめて処理することもできる。
従って、新聞用オフセット輪転印刷機では、給紙装置Rの各給紙ユニットR1〜R7からそれぞれ供給された各ウェブWは、インフィード装置Iの各インフィードユニットI1〜I7によりテンションが調整され、印刷装置Uの各印刷ユニットU1〜U6に供給される。この印刷装置Uにおける各印刷ユニットU1〜U6にて、各ウェブWの両面に印刷が施される。そして、各印刷ユニットU1〜U3で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD1にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。また、印刷ユニットU4〜U6で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD2にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。
その後、折機Fでは、ウェブパスユニットD1から複数のウェブW1が重ねられて導入されると、折ユニットF1は、ウェブW1を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙する。また、ウェブパスユニットD2から複数のウェブW2が重ねられて導入されると、折ユニットF2は、ウェブW2を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙する。
ここで、印刷装置Uにおける印刷ユニットU1について詳細に説明する。印刷ユニットU1は、図8に示すように、4色印刷が可能となるように、H型のタワーユニットとなっている。この印刷ユニットU1は、ウェブWの搬送方向(下から上)に沿って、墨(Black)、藍(Cyan)、紅(Magenta)、黄(Yellow)ごとの4つのスタック21,22,23,24が配置されて構成されており、各スタック21,22,23,24は、それぞれ左右対称となるローラ配列となっている。
即ち、印刷ユニットU1における各スタック21,22,23,24は、左右に対向してブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bがウェブWの搬送経路を挟んで対接可能であり、各ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bに版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bが対接している。そして、各スタック21,22,23,24は、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bが設けられている。また、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、湿し装置61a,61b,62a,62b,63a,63b,64a,64bが設けられている。
この場合、スタック21,23は、ブランケット胴31a,31b,33a,33bと版胴41a,41b,43a,43bがハの字形状に配列され、スタック22,24は、ブランケット胴32a,32b,34a,34bと版胴42a,42b,44a,44bが逆ハの字形状に配列されている。そして、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bにて、外周面に異なる絵柄を印刷する刷版(図示略)が軸方向、つまり、ウェブWの幅方向に2つ(または、4つ)並べて装着可能となっている。なお、刷版の取付数は適宜設定すればよい。
なお、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bは、一般的に、インキつぼ、インキ元ローラ、インキ受渡しローラ、複数のインキ練ローラ、複数のインキ往復ローラ、複数のインキ着ローラなどにより構成され、インキつぼが本発明のインキ供給源であり、インキ元ローラとインキ受渡しローラと複数のインキ練ローラと複数のインキ往復ローラと複数のインキ着ローラが本発明のインキ供給ローラである。
本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機は、ウェブWの印刷不良検出装置101を有している。図1は、本実施形態のウェブの印刷不良検出装置を表す概略構成図、図2は、ウェブの印刷不良検出方法を説明するための説明図、図3は、印刷機の印刷準備を表す概略図である。
本実施形態のウェブWの印刷不良検出装置101は、図1に示すように、印刷機(印刷装置U)の運転状態を制御する制御装置102と、印刷不良の判定項目を入力する操作装置103と、判定項目に対する白紙部とベタ刷り部との反射光量の閾値が格納された判定データ格納部104と、ベタ刷りされたウェブWの反射光量値を検出する第1検出センサ(検出センサ)105と、第1検出センサ105により検出された反射光量値と判定データ格納部104に格納された反射光量の閾値を比較判定する判定装置106と、判定装置106の判定結果を表示する表示装置107とを有している。
即ち、新聞用オフセット輪転印刷機にて、例えば、図8に示すように、スタック21は、ブランケット胴31a,31bと、版胴41a,41bと、インキ供給装置51a,51bと、湿し装置61a,61bが設けられている。スタック21でウェブWに対して印刷を行うとき、インキ供給装置51a,51bは、版胴41a,41bを介してブランケット胴31a,31bにインキを供給し、湿し装置61a,61bは、版胴41a,41bを介してブランケット胴31a,31bに湿し水を供給する。ここで、インキの供給位置が画線部となり、湿し水の供給位置が非画線部となる。そのため、湿し装置61a,61bが湿し水を供給せずに、インキ供給装置51a,51bがインキを供給すると、ブランケット胴31a,31bの全面にインキが供給される。この状態で印刷を行うと、ブランケット胴31a,31bにおける全面のインキがウェブWに転写されることとなり、ベタ刷り印刷が行われる。
但し、ブランケット胴31a,31bは、ブランケット胴本体の外周面にブランケットが装着されて構成されている。ブランケットは、金属製の基板にゴム層が固定されて構成されており、ブランケット胴本体の外周面に巻き付けられ、周方向における各端部がブランケット胴本体のギャップに設けられた締め付け装置により支持されている。そのため、ブランケット胴31a,31bは、このギャップの位置にインキが転写されることはなく、ウェブWにベタ刷り印刷が行われても、図2に示すように、ウェブWは、印刷部Aの間に白紙部Bが形成されることとなる。即ち、この白紙部Bは、ブランケット胴31a,31bにおけるブランケット装着用ギャップにより形成されるものである。
図1に示すように、第1検出センサ105は、例えば、ウェブWの幅方向の一か所に設けられるスポット式検出器、または、ウェブWの幅方向に沿って設けられるエリア式検出器であり、ウェブパスユニットD1と折ユニットF1との間であって、複数のウェブWが重ねられる前のウェブWの上方に対向して配置されている。即ち、ウェブパスユニットD1は、ウェブWを縦方向(ウェブWの搬送方向)に沿ってその幅方向で3つに均等に裁断するスリッタ71と、縦裁断したウェブWの搬送経路を設定するターンバー72と、ウェブWにおける長手方向における搬送位置を調整するコンペンセータ73を有している。折ユニットF1は、ドラグローラ74と三角板75を有している。
そのため、ベタ刷り印刷されたウェブWは、ドラグローラ(図示略)により所定の速度で搬送され、スリッタ71により3つに縦裁断され、ターンバー72により搬送経路が変更され、コンペンセータ73により各ウェブWにおける搬送方向の位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。そして、複数重ねられたウェブW1は、折ユニットF1にて、ドラグローラ74により案内されながら搬送され、三角板75により縦折される。
なお、ウェブパス装置D及び折機Fは、2つのウェブパスユニットD1,D2及び折ユニットF1,F2から構成されており、第1検出センサ105は、ウェブパスユニットD1と折ユニットF1との間だけでなく、ウェブパスユニットD2と折ユニットF2との間にも設けられている。
各第1検出センサ105は、重ねられる前のウェブWの表面を検出する。この第1検出センサ105は、ウェブWの表面における反射光量(反射光率)を計測し、判定装置106は、第1検出センサ105の計測結果(反射光量)を、例えば、二値化処理し、印刷部Aか白紙部Bかを把握する。即ち、図2に示すように、判定装置106は、第1検出センサ105の計測結果(反射光量)に基づいて、印刷部AとしてOFF信号として認識し、白紙部BとしてON信号として認識する。そして、この判定装置106は、第1検出センサ105の検出結果に基づいてウェブWに形成された白紙部Bの位置が予め設定された規定位置にあることを判定する。
折機F(折ユニットF1,F2)は、ウェブWを縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成するものであり、縦折りしたウェブを所定の長さで横裁断する断裁装置(例えば、鋸胴と受胴)を有している。この場合、印刷装置U(印刷ユニットU1〜U6)により画像が印刷されたウェブWは、印刷画像の間で断裁装置により横断裁される。ウェブWの搬送位置がずれると、断裁装置は、印刷画像の間で横断裁せずに、印刷画像の位置で横断裁してしまう。
各第1検出センサ105は、断裁装置による横断裁位置から所定距離だけウェブWの搬送方向における上流側の所定の位置に配置されている。そのため、第1検出センサ105は、所定の位置で白紙部Bを検出することで、判定装置106は、この白紙部Bが所定のタイミング(断裁装置による横断裁のタイミング)で、横断裁位置に到達するかを判定する。
この場合、作業者は、操作装置103により判定する印刷不良の判定項目を入力する。すると、制御装置102は、印刷装置Uの運転状態を制御することで、ウェブWにベタ刷りを行う。また、この判定項目に対するベタ刷り部Aと白紙部Bとの反射光量の閾値が予め実験等により設定されており、判定データ格納部104に格納されている。そのため、判定装置106は、第1検出センサ105により検出された反射光量値と判定データ格納部104に格納された反射光量の閾値を比較判定する。
操作装置103は、判定装置106に対して判定項目を入力するものである。表示装置107は、判定装置106による判定結果を表示するものである。即ち、作業者は、操作装置103を用いて判定装置106によるウェブWの重ね合わせ位置の不良検出処理の開始指令を出力することができ、その結果が表示装置107に表示され、表示装置107は、白紙部Bの位置と規定位置とがずれていたとき、断裁見当不良として表示する。なお、規定位置とずれていることの判断は、コンペンセータ73の位置、シャフトレス駆動の場合は印刷ユニットと折機の駆動モータの位相角とを考慮に入れて適正な位置を求めている。
そして、本実施形態のウェブWの印刷不良検出方法は、印刷機を緩動速度で運転してウェブWにベタ刷りを行う工程と、ベタ刷りされたウェブWの反射光量値を検出する工程と、検出された反射光量値と予め設定された反射光量の閾値を比較判定する工程と、判定結果を表示する工程とを有している。
図4は、ブランケットの不良検出装置を表す概略構成図である。
本実施形態のウェブWの印刷不良検出装置101は、図4に示すように、単色刷りされたウェブWにおける印刷部(ベタ刷り部)A中の色抜け部(白紙部)を検出する第2検出センサ(検出センサ)111を設け、判定装置106は、第2検出センサ111の検出結果に基づいて印刷部A中に色抜け部を検出すると、ブランケット不良であると判定する。第2検出センサ111は、例えば、ウェブWの幅方向に沿って設けられるエリア式検出器である。
この場合、前述したように、作業者は、操作装置103により判定する印刷不良の判定項目(ブランケット不良検出処理)を入力する。すると、制御装置102は、印刷装置Uの運転状態を制御することで、ウェブWにベタ刷りを行う。また、この判定項目に対するベタ刷り部Aと白紙部Bとの反射光量の閾値が予め実験等により設定されており、判定データ格納部104に格納されている。そのため、判定装置106は、第2検出センサ111により検出された反射光量値と判定データ格納部104に格納された反射光量の閾値を比較判定することで、ベタ刷り部A中の色抜け部を検出するとブランケット不良であると判定し、表示装置107は、ブランケット不良を表示する。
ブランケット胴31a,31bは、表面に傷や摩耗などにより凹みが発生すると、ウェブWに対して全面が接触できないことから、インキが適正に転写されずに色抜け部が発生する。そのため、印刷不良検出装置101は、各スタック21,22,23,24だけが印刷した印刷部Aに対して中に色抜け部の有無を検出し、ブランケット不良を判定する。
例えば、スタック21のブランケット胴31a,31bだけをウェブWに接触させ、他のスタック22,23,24のブランケット胴32a,32b,33a,33b,34a,34bをウェブWから離間させた状態でウェブWを搬送する。すると、ウェブWは、スタック21のブランケット胴31a,31bからだけインキが転写され、第2検出センサ111は、このウェブWの表面を検出する。この第2検出センサ111は、ウェブWの表面における反射光量(反射光率)を計測し、判定装置106は、第2検出センサ111の計測結果(反射光量)を、例えば、二値化処理し、印刷部Aか色抜け部かを把握する。そして、判定装置106は、第2検出センサ111の検出結果に基づいてウェブWに形成された印刷部Aに色抜け部があるかどうかを検出し、印刷部Aに色抜け部があるとブランケット不良であると判定する。
なお、スタック22,23,24に対しても同様の処理を行い、全てのブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bに対して、ブランケット不良判定を行う。
図5及び図6は、印刷機の印圧不良検出方法を説明するための説明図である。
また、本実施形態のウェブWの印刷不良検出装置101は、図5に示すように、停止状態にあるインキ着ロール81a,81bと版胴41a,41bとを対接することで転写されて更にブランケット胴31a,31bを介してウェブWに転写されたインキ(白紙部)を検出する第3検出センサ(検出センサ)112を設け、判定装置106は、第3検出センサ112の検出結果に基づいてウェブWにインキが転写された印刷部Cの長さが予め設定された規定長さにあることを判定する。第3検出センサ112、例えば、ウェブWの幅方向の一か所に設けられるスポット式検出器、または、ウェブWの幅方向に沿って設けられるエリア式検出器である。
この場合、前述したように、作業者は、操作装置103により判定する印刷不良の判定項目(印圧不良検出処理)を入力する。すると、制御装置102は、印刷装置Uの運転状態を制御することで、ウェブWにベタ刷りを行う。また、この判定項目に対するベタ刷り部Aと白紙部Bとの反射光量の閾値が予め実験等により設定されており、判定データ格納部104に格納されている。そのため、判定装置106は、第3検出センサ112により検出された反射光量値と判定データ格納部104に格納された反射光量の閾値を比較判定することで、ベタ刷り部A中の色抜け部を検出すると印圧不良であると判定し、表示装置107は、印圧不良を表示する。
即ち、インキ着ロール81a,81bと版胴41a,41bとブランケット胴31a,31bを停止し、インキ着ロール81aと版胴41aとを離間する。そして、インキは、インキ着ロール81aまで供給され、版胴41aとブランケット胴31aには供給されていない。ここで、まず、インキ着ロール81aを版胴41aに対接する規定位置まで移動することで接触させた後、再び、インキ着ロール81aを版胴41aから離間する。すると、版胴41aは、その一部にインキが転写されてインキ転写部C1が形成される。
次に、インキ着ロール81a,81bと版胴41a,41bとブランケット胴31a,31bを回転し、版胴41aのインキ転写部C1をブランケット胴31aを介してウェブWに転写することで、印刷部Cを形成する。第3検出センサ112は、このウェブWの表面を検出する。この第3検出センサ112は、ウェブWの表面における反射光量(反射光率)を計測し、判定装置106は、第3検出センサ112の計測結果(反射光量)を、例えば、二値化処理し、印刷部CにおけるウェブWの搬送方向の長さを把握する。そして、判定装置106は、第3検出センサ112の検出結果に基づいてウェブWに形成された印刷部Cの長さが規定長さにあることを判定する。
インキ着ロール81aを版胴41aに対接する規定位置まで移動した後に、再び離間すると、版胴41aは、外周面にインキ転写部C1が形成される。このインキ転写部C1の周方向長さは、インキ着ロール81aと版胴41aとの接触圧力(印圧)により決まる。そのため、ウェブWに形成された印刷部Cの長さが規定長さより長かったり、短かったりすると、制御装置103は、インキ着ロール81aと版胴41aとの間の印圧が不良であると判定する。
更に、本実施形態のウェブWの印刷不良検出装置101は、図6に示すように、停止状態にある版胴41a,41bとブランケット胴31a,31bとを対接することで転写されて更にウェブWに転写されたインキを検出する第3検出センサ112を設け、判定装置106は、第3検出センサ112の検出結果に基づいてウェブWにインキが転写された印刷部Dの長さが予め設定された規定長さにあることを判定する。
即ち、インキ着ロール81a,81bと版胴41a,41bとブランケット胴31a,31bを停止し、版胴41aとブランケット胴31aを離間する。そして、インキは、版胴41aまで供給され、ブランケット胴31aには供給されていない。ここで、まず、版胴41aをブランケット胴31aに対接する規定位置まで移動することで接触させた後、再び、版胴41aをブランケット胴31aから離間する。すると、ブランケット胴31aは、その一部にインキが転写されてインキ転写部C2が形成される。
次に、インキ着ロール81a,81bと版胴41a,41bとブランケット胴31a,31bを回転し、ブランケット胴31aのインキ転写部C2をウェブWに転写することで、印刷部Cを形成する。第3検出センサ112は、このウェブWの表面を検出する。この第3検出センサ112は、ウェブWの表面における反射光量(反射光率)を計測し、判定装置106は、第3検出センサ112の計測結果(反射光量)を、例えば、二値化処理し、印刷部CにおけるウェブWの搬送方向の長さを把握する。そして、判定装置106は、第3検出センサ112の検出結果に基づいてウェブWに形成された印刷部Cの長さが規定長さにあることを判定する。
版胴41aをブランケット胴31aに対接する規定位置まで移動した後に、再び離間すると、ブランケット胴31aは、外周面にインキ転写部C2が形成される。このインキ転写部C2の周方向長さは、版胴41aとブランケット胴31aとの接触圧力(印圧)により決まる。そのため、ウェブWに形成された印刷部Cの長さが規定長さより長かったり、短かったりすると、制御装置103は、版胴41aとブランケット胴31aとの間の印圧が不良であると判定する。
なお、上述の説明では、インキ着ロール81aと版胴41aとブランケット胴31aに対する印圧不良の判定処理の説明をしたが、インキ着ロール81bと版胴41bとブランケット胴31bに対する印圧不良の判定処理も同様に行う。このとき、インキ着ロール81a,81bと版胴41a,41bとブランケット胴31a,31bに対して、同時に印圧不良の判定処理を行ってもよい。
ここで、本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機による印刷準備作業について説明する。まず、印刷不良検出装置101は、図5に示すように、印刷機の運転開始前に、インキ着ロール81aと版胴41aとの間の印圧が良好であるか不良であるかを判定し、図6に示すように、版胴41aとブランケット胴31aとの間の印圧が良好であるか不良であるかを判定する。
ここで、印刷不良検出装置101にて、判定装置106は、インキ着ロール81aと版胴41aとの間の印圧が不良であるかを判定すると、表示装置107に「インキ着ロール81aと版胴41aとの間の印圧を調整する必要有」などのメッセージを表示する。また、判定装置106は、版胴41aとブランケット胴31aとの間の印圧が不良であると判定すると、表示装置107に「版胴41aとブランケット胴31aとの間の印圧を調整する必要有」などのメッセージを表示する。このとき、作業者は、各胴間の印圧を調整する。更に、判定装置106は、ブランケット不良を判定すると、表示装置107に、該当するブランケット胴に対して「ブランケットを交換する必要有」などのメッセージを表示する。このとき、作業者は、ブランケットを交換する。
その後、図3に示すように、時間t1にて、作業者は、印刷機の運転を開始し、緩動速度V1で運転する。ここで、印刷機は、ベタ刷り印刷を行い、次に、印刷不良検出装置101は、図4に示すように、単色刷りされたウェブWにおける印刷部(ベタ刷り部)A中の色抜け部を検出し、ブランケット不良を判定する。即ち、印刷不良検出装置101は、図1に示すように、各第1検出センサ105がウェブWにおける白紙部Bを検出し、判定装置106は、この白紙部Bが所定のタイミング(断裁装置による横断裁のタイミング)で、横断裁位置に到達するかを判定する。そして、判定装置106は、ウェブWの搬送位置がずれていると判定すると、表示装置107に、該当するウェブWの搬送経路に対して「ウェブWの搬送経路を確認する必要有」などのメッセージを表示する。このとき、作業者は、コンペンセータの設定値を確認したり、ウェブWの搬送経路を確認したりする。
そして、各胴間の印圧、ブランケット、ウェブWの搬送経路が適正であると判定されたら、時間t2にて、印刷機の運転速度を色調整用の速度V2まで上昇し、時間t3にて、印刷物の色調整作業を開始する。時間t4にて、印刷物の色調整作業が完了すると、印刷機の運転速度を低下させ、時間t5にて、印刷機を停止する。ここで、新聞用オフセット輪転印刷機による印刷準備作業が完了し、最終原稿の入稿を待ち、刷版が装着されてから印刷作業を開始する。
このように本実施形態のウェブの印刷不良検出装置にあっては、ウェブWにベタ刷りを行うことが可能な印刷装置Uと、印刷装置Uの運転状態を制御する制御装置102と、印刷不良の判定項目を入力する操作装置103と、判定項目に対する白紙部とベタ刷り部との反射光量の閾値が格納された判定データ格納部104と、ベタ刷りされたウェブWの反射光量値を検出する第1検出センサ105と、第1検出センサ105により検出された反射光量値と判定データ格納部104に格納された反射光量の閾値を比較判定する判定装置106と、判定装置106の判定結果を表示する表示装置107とを有している。
従って、判定装置106は、ウェブWに形成された白紙部Bの位置が規定位置にあることを判定することから、ウェブWに形成された白紙部Bの位置がこの規定位置にないとき、複数のウェブWにおける重ね合わせ不良、つまり、搬送位置不良であると判定する。そのため、複数のウェブWにおける重ね合わせ状態を検出して印刷品質の向上を図ることができると共に、損紙を減少して印刷コストの低減を図ることができる。また、黒損ギャップを用いた場合に比べて湿しの水の量を絞るための調整が不要となり、更に、ベタ刷り印刷にて白紙部Bを検出する方が、確実に不良箇所を検出することができる。
本実施形態のウェブの印刷不良検出装置では、ブランケット胴におけるブランケット装着用ギャップにより白紙部Bを形成している。従って、ブランケット胴におけるブランケット装着用ギャップにより白紙部Bを形成することで、別途特別な印刷操作を不要として作業性を向上することができる。
本実施形態のウェブの印刷不良検出装置では、第1検出センサ105は、ウェブパス装置Dと折機Fとの間であって、複数のウェブWが重ねられる前のウェブWに対向して配置されている。従って、第1検出センサ105は、白紙部Bの位置を適正に検出することができる。
本実施形態のウェブの印刷不良検出装置では、判定装置106は、第1検出センサ105が検出した白紙部Bの位置と規定位置とがずれていたとき、断裁見当不良を表示する。従って、例えば、第1検出センサ105を折機Fの横断裁位置から所定の距離をあけた位置に配置することで、この位置を通過する白紙部Bが規定位置とずれていたとき、適正のウェブWの搬送ずれを断裁見当不良として検出することができ、表示装置107がこの断裁見当不良を表示することでウェブWの重ね合わせ不良を作業者に的確に知らせることができる。
本実施形態のウェブの印刷不良検出装置では、印刷装置Uを緩動速度で運転してベタ刷りを行うようにしている。従って、印刷装置Uは、緩動速度で運転するときにベタ刷りを行い、不良検出を実施することで、損紙を減少して印刷コストを低減することができる。従来、図3に示すように、印刷機の運転速度を色調整用の速度V2まで上昇し、時間t3から、印刷物の色調整作業を実施するときに、作業者が印刷物を見て印刷不良(各胴間の印圧不良、ブランケット不良、ウェブWの搬送経路不良)を判定している。そのため、図3に二点鎖線で示すように、印刷準備の完了が長くなってしまい、多量の損紙が発生してしまう。
つまり、作業者は、印刷物の中から抜き取って印刷不良を判定する場合は、絵柄が印刷された紙面を見て判定をするため、印刷不良(各胴間の印圧不良、ブランケット不良、ウェブWの搬送経路不良)を容易に判定できない。例えば、チェックした絵柄のブランケット不良部分が非画線部であれば、ウェブWに印刷されないため、不良があることを確認することができない。また、グラデーションの部分については、元々そういう絵柄(版)であるのか、ブランケットの凹みによるものなのか判断できない。さらに、このようなブランケット不良、印圧不良が印刷完了後に確認されると全て刷り直しとなるため、膨大な損紙が発生してしまう。また、販売店を通じて読者からのクレームになってしまう。
本実施形態のウェブの印刷不良検出装置では、単色刷りされたウェブWにおける印刷部A中の色抜け部を検出する第2検出センサ111を設け、判定装置106は、第2検出センサ111の検出結果に基づいて印刷部A中に色抜け部を検出すると、ブランケット不良であると判定する。従って、ブランケットに傷などの凹みがあると、インキが適正に転写されないことから、判定装置106は、印刷部A中に色抜け部があると、ブランケット不良であると判定する。そのため、印刷品質の向上を図ることができると共に、損紙を減少して印刷コストの低減を図ることができる。
本実施形態のウェブの印刷不良検出装置では、停止状態にあるインキ着ロールと版胴とを対接することで転写されて更にブランケット胴を介してウェブに転写されたインキを検出する第3検出センサ112を設け、判定装置106は、第3検出センサ112の検出結果に基づいてウェブWにインキが転写された印刷部Cの長さが予め設定された規定長さにあることを判定する。従って、ウェブWに形成された印刷部Cの長さが規定長さにないとき、印圧不良であると判定するため、インキ着ロールと版胴との間の印圧不良を検出して印刷品質の向上を図ることができると共に、損紙を減少して印刷コストの低減を図ることができる。
本実施形態のウェブの印刷不良検出装置では、停止状態にある版胴とブランケット胴とを対接することで転写されて更にウェブWに転写されたインキを検出する第3検出センサ112を設け、判定装置106は、第3検出センサ112の検出結果に基づいてウェブWにインキが転写された印刷部Cの長さが予め設定された規定長さにあることを判定する。従って、ウェブWに形成された印刷部Cの長さが規定長さにないとき、印圧不良であると判定するため、版胴とブランケット胴との間の印圧不良を検出して印刷品質の向上を図ることができると共に、損紙を減少して印刷コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態のウェブの印刷不良検出方法にあっては、ウェブWにベタ刷りを行う工程と、ベタ刷りされたウェブWの反射光量値を検出する工程と、検出された反射光量値と予め設定された反射光量の閾値を比較判定する工程と、判定結果を表示する工程とを有している。従って、ウェブWにおける印刷不良を検出して印刷品質の向上を図ることができると共に、損紙を減少して印刷コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態の印刷機にあっては、インキを供給するインキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bと、インキが供給される版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bと、ウェブWにインキを転写するブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bと、ウェブWの印刷不良を検出する印刷不良検出装置101とを有している。従って、ウェブWにおける印刷不良を検出して印刷品質の向上を図ることができると共に、損紙を減少して印刷コストの低減を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、ベタ刷り後におけるウェブWの白紙部Bを検出する第1検出センサ105を設け、判定装置106が第1検出センサ105の検出結果に基づいてウェブWにおける重ね合わせ状態の不良を判定するように構成したが、この構成に限定されるものではない。即ち、ベタ刷りした印刷物を折帖として排出した後、作業者がこの印刷物の白紙部の位置を見てウェブWにおける重ね合わせ状態の不良を判定してもよい。
また、上述した実施形態では、第2検出センサ111と第3検出センサ112を印刷装置の排出側に配置したが、この位置に限定されるものではなく、例えば、第1検出センサ105の位置でもよく、また、この第1検出センサ105を併用してもよい。
また、上述した実施形態では、本発明の印刷機を新聞用オフセット輪転印刷機に適用して説明したが、商業用オフセット輪転印刷機などに適用してもよい。更に、本実施形態では、版胴を有する印刷機としたが、ブランケット胴を有するバリアブル印刷機であってもよく、編集システムなどで作成したデータをそのまま受け取って印刷可能なデジタル印刷機であればよく、インクジェット式や電子写真方式などでもよい。この場合、両面印刷機であっても、片面印刷機であってもよい。