ところで、版胴は、外周部にシート形状をなす刷版が装着されており、この刷版は、長手方向の各端部が版胴の切欠部に収容された版締め装置に拘束されている。一方、ブランケット胴は、外周部にシート形状をなすブランケットが装着されており、このブランケットは、長手方向の各端部がブランケット胴の切欠部に収容されたブランケット締め装置に拘束されている。
この場合、ブランケット胴と版胴が2倍胴であれば、各胴の周長が同じであることから、各胴の回転時に、切欠部同士が常時一致するように回転位相が調整される。そのため、版胴の切欠部に溜まったインキかすがブランケット胴に転写することが防止される。ところが、ブランケット胴が2倍胴で、版胴が1倍胴になると、各胴の周長が異なることから、ブランケット胴が1回転するときに版胴が2回転する。そのため、各胴の切欠部同士を常時一致させることができず、版胴の切欠部に溜まったインキかすがブランケット胴に転写してしまう。その結果、ブランケット胴に転写したインキかすがウェブに転写されてしまい、ウェブの外周部に汚れが発生してしまうという問題がある。
本発明は上述した課題を解決するものであり、版胴からブランケット胴へのインキかすの転写を抑制して印刷品質の向上を図る印刷用ブランケット及びその製造方法、ブランケット胴並びに印刷機を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の印刷用ブランケットは、回転体の外周部に装着されてインキ画像を印刷媒体に転写可能な印刷用ブランケットにおいて、表面における所定の位置に、前記回転体の軸方向に沿う凹部が設けられることを特徴とするものである。
本発明の印刷用ブランケットでは、シート形状をなして長手方向における各端部に前記回転体に締結可能な締結部を有し、長手方向における中間位置、または、長手方向における均等間隔位置に前記凹部が設けられることを特徴としている。
本発明の印刷用ブランケットでは、円筒形状をなして前記回転体に嵌合して締結可能な締結部を有し、表面に前記凹部が周方向に均等間隔で複数設けられることを特徴としている。
本発明の印刷用ブランケットでは、前記回転体に締結可能な基部と、該基部の表面に設けられる弾性層とを有し、該弾性層の表面に前記凹部が設けられることを特徴としている。
本発明の印刷用ブランケットでは、前記回転体に締結可能な基部と、該基部の表面に長手方向に所定間隔で設けられる複数の弾性層とを有し、該複数の弾性層の間に前記凹部が設けられることを特徴としている。
本発明の印刷用ブランケットでは、前記回転体に締結可能な基部と、該基部の表面に設けられる弾性層とを有し、前記基部における所定の位置に薄肉部が設けられ、該薄肉部により前記弾性層が変形して前記凹部が形成されることを特徴としている。
また、本発明の印刷用ブランケットの製造方法は、回転体の外周部に装着されてインキ画像を印刷媒体に転写可能な印刷用ブランケットにおいて、前記回転体に締結可能な基部の表面に弾性層を設け、該弾性層における長手方向の所定の位置を幅方向に切除することで、凹部を形成して前記印刷用ブランケットを製造することを特徴とするものである。
本発明の印刷用ブランケットの製造方法は、回転体の外周部に装着されてインキ画像を印刷媒体に転写可能な印刷用ブランケットにおいて、前記回転体に締結可能な基部の表面に弾性層を長手方向に所定間隔で設けることで、幅方向に沿う凹部を形成して前記印刷用ブランケットを製造することを特徴とするものである。
また、本発明のブランケット胴は、版胴に同期回転して該版胴から転写されるインキ画像を印刷媒体に転写可能であり、周長が前記版胴の周長の整数倍に設定されるブランケット胴において、表面に、前記版胴における刷版の締結位置に対応して、軸方向に沿う凹部が均等間隔で複数設けられることを特徴とするものである。
本発明のブランケット胴では、ブランケット胴本体の外周部に、シート形状をなすブランケットの長手方向における各端部が締結され、前記複数の凹部のうちの少なくとも一つの凹部は、前記ブランケットの各端部を前記胴本体に締結する締結機構が収容されるものであり、残りの凹部は、前記ブランケットの表面に設けられるものであることを特徴としている。
本発明のブランケット胴では、ブランケット胴本体の外周部に、円筒形状をなすブランケットが嵌合して締結され、前記複数の凹部は、前記ブランケットの表面に設けられるものであることを特徴としている。
本発明のブランケット胴では、ブランケット胴本体の外周部に、周方向に所定隙間をもってシートが複数装着され、該複数のシートの表面にブランケットが装着され、前記複数のシートの隙間により前記ブランケットが変形して前記凹部が形成されることを特徴としている。
本発明のブランケット胴では、前記凹部における周方向の長さは、前記版胴における刷版の締結部に形成された切欠部の周方向の長さより長く設定されることを特徴としている。
また、本発明の印刷機は、刷版が装着される版胴と、ブランケットが装着されて前記版胴に同期回転して該版胴から転写されるインキ画像を印刷媒体に転写可能なブランケット胴と、を備える印刷機において、前記ブランケット胴の周長が前記版胴の周長の整数倍に設定され、前記ブランケットの表面に、前記版胴における前記刷版の締結位置に対応して、軸方向に沿う凹部が均等間隔で複数設けられることを特徴とするものである。
本発明の印刷用ブランケットによれば、回転体の外周部に装着されてインキ画像を印刷媒体に転写可能に構成し、表面における所定の位置に回転体の軸方向に沿う凹部を設けている。従って、版胴からブランケット胴へのインキかすの転写を抑制して印刷品質の向上を図ることができる。
本発明の印刷用ブランケットによれば、シート形状をなして長手方向における各端部に回転体に締結可能な締結部を設け、長手方向における中間位置、または、長手方向における均等間隔位置に凹部が設けるので、凹部を容易に形成することができる。
本発明の印刷用ブランケットによれば、円筒形状をなして回転体に嵌合して締結可能な締結部を設け、表面に凹部を周方向に均等間隔で複数設けるので、凹部を容易に形成することができる。
本発明の印刷用ブランケットによれば、回転体に締結可能な基部と、基部の表面に弾性層を設け、弾性層の表面に凹部を設けるので、基部により所定の剛性を確保することができ、弾性層によりインキの転写性を確保することができ、また、この弾性層の表面に凹部を設けることで、凹部の位置を精度良く形成することができる。
本発明の印刷用ブランケットによれば、回転体に締結可能な基部と、基部の表面に長手方向に所定間隔で複数の弾性層を設け、複数の弾性層の間に凹部を設けるので、基部により所定の剛性を確保することができ、弾性層によりインキの転写性を確保することができ、また、この弾性層の間に凹部を設けることで、凹部を容易に形成することができる。
本発明の印刷用ブランケットによれば、回転体に締結可能な基部と、基部の表面に弾性層を設け、基部における所定の位置に薄肉部を設け、薄肉部により弾性層を変形して凹部を形成するので、基部の薄肉部により弾性層に凹部を形成することで、弾性層の形状を変更することなく凹部を形成することができ、弾性層の耐久性を向上することができる。
また、本発明の印刷用ブランケットの製造方法によれば、回転体の外周部に装着されてインキ画像を印刷媒体に転写可能な印刷用ブランケットを、回転体に締結可能な基部の表面に弾性層を設け、弾性層における長手方向の所定の位置を幅方向に切除することで、凹部を形成して製造する。従って、凹部の位置を精度良く形成することができる。
本発明の印刷用ブランケットの製造方法によれば、回転体の外周部に装着されてインキ画像を印刷媒体に転写可能な印刷用ブランケットを、回転体に締結可能な基部の表面に弾性層を長手方向に所定間隔で設けることで、幅方向に沿う凹部を形成して製造する。従って、凹部を容易に形成することができる。
また、本発明のブランケット胴によれば、版胴に同期回転して版胴から転写されるインキ画像を印刷媒体に転写可能とすると共に、周長を版胴の周長の整数倍に設定して構成し、表面に、版胴における刷版の締結位置に対応して、軸方向に沿う凹部を均等間隔で複数設けている。従って、版胴とブランケット胴が回転するとき、版胴における刷版の締結位置とブランケット胴の凹部が対向することで、版胴からブランケット胴へのインキかすの転写を抑制して印刷品質の向上を図ることができる。
本発明のブランケット胴によれば、ブランケット胴本体の外周部にシート形状をなすブランケットの長手方向における各端部を締結し、複数の凹部のうちの少なくとも一つの凹部をブランケットの各端部を胴本体に締結する締結機構を収容するものとし、残りの凹部をブランケットの表面に設けるものとするので、締結機構を収容する部分を凹部として利用することで、構成を簡素化することができる。
本発明のブランケット胴によれば、ブランケット胴本体の外周部に円筒形状をなすブランケットを嵌合して締結し、複数の凹部をブランケットの表面に設けるものとするので、凹部を簡単に形成することができる。
本発明のブランケット胴によれば、ブランケット胴本体の外周部に周方向に所定隙間をもってシートを複数装着し、複数のシートの表面にブランケットを装着し、複数のシートの隙間によりブランケットを変形して凹部を形成するので、シートの隙間によりブランケットに凹部を形成することで、ブランケットの形状を変更することなく凹部を形成することができ、弾性層の耐久性を向上することかできる。
本発明のブランケット胴によれば、凹部における周方向の長さを版胴における刷版の締結部に形成された切欠部の周方向の長さより長く設定するので、版胴の切欠部がブランケット胴の外周面に接触することがなく、版胴からブランケット胴へのインキかすの転写を抑制することができる。
また、本発明の印刷機によれば、刷版が装着される版胴と、ブランケットが装着されて版胴に同期回転して版胴から転写されるインキ画像を印刷媒体に転写可能なブランケット胴とを備え、ブランケット胴の周長を版胴の周長の整数倍に設定し、ブランケットの表面に版胴における刷版の締結位置に対応して軸方向に沿う凹部を均等間隔で複数設けている。従って、版胴とブランケット胴が回転するとき、版胴における刷版の締結位置とブランケット胴の凹部が対向することで、版胴からブランケット胴へのインキかすの転写を抑制して印刷品質の向上を図ることができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る印刷用ブランケット及びその製造方法、ブランケット胴並びに印刷機を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係るブランケット胴及び版胴を表す概略図、図2は、本実施例1の印刷用ブランケットを表す概略図、図3は、実施例1のブランケット胴が適用された印刷ユニットの概略図、図4は、実施例1の新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略図である。
実施例1において、図4に示すように、印刷機として適用された新聞用オフセット輪転印刷機は、給紙装置11と、印刷装置12と、ターンバー装置13と、折機14とから構成されている。そして、給紙装置11には、それぞれウェブ(用紙)Wがロール状に巻かれた3つの巻取紙Rを保持する複数の保持アーム15が設けられ、この各保持アーム15を回動することで、巻取紙Rを給紙位置に回動することができる。また、この給紙装置11には、図示しない紙継装置が設けられており、給紙位置で繰り出されている巻取紙Rが残り少なくなると、この紙継装置により給紙位置にある巻取紙Rに対して、待機位置にある巻取紙Rを紙継することができる。
また、印刷装置12には、両面4色印刷を行う多色刷印刷ユニット16と、両面2色印刷を行う2色刷印刷ユニット17が設けられている。この多色刷印刷ユニット16及び2色刷印刷ユニット17は、給紙装置11から供給されたウェブWに対して所定の印刷を行うことができる。なお、本実施例では、印刷装置12を、多色刷印刷ユニット16と2色刷印刷ユニット17により構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、両面単色印刷を行う両面単色刷ユニット、一面4色または2色印刷を行う多色刷印刷ユニットなど印刷物に応じて適宜各種ユニットを組み合わせて使用すればよい。
また、ターンバー装置13には、図示しない複数のターンバーが設けられており、各印刷ユニット16,17から送り出された各ウェブWの走行ルートを変更し、所定の順番に重ね合わせることができる。折機14は、ターンバー装置13から搬送されたウェブWを縦折りし、所定の長さで横裁断し、更に横折りして所望の折帖を形成した後に排紙するものである。
従って、まず、給紙装置11から印刷装置12を構成する多色刷印刷ユニット16や2色刷印刷ユニット17にウェブWが供給されると、各印刷ユニット16,17では、各ウェブWに対して4色刷や2色刷が行われる。次に、各印刷ユニット16,17で印刷が施された複数のウェブWは、ターンバー装置13にて、走行ルートが変更されると共に、所定の順番に重ね合わせられる。そして、複数重ね合わされたウェブWは、折機14に搬送され、ここで縦折りされた後、横裁断され、更に横折りされて所望の折帖が形成され、羽根車により排紙コンベア上に排紙される。
この新聞用オフセット輪転印刷機における印刷装置12にて、印刷ユニット16は4色印刷が可能であるように、H型のタワーユニットとなっている。この印刷ユニット16は、墨(Black)、藍(Cyan)、紅(Magenta)、黄(Yellow)ごとの4つのスタックが上下方向に沿って配置されて構成されている。この各スタックは、ほぼ同様の構成をなしていることから、その一つのスタックを取り出して説明する。
印刷ユニット16における一つのスタックは、図3に示すように、上方へ向かって走行するウェブWに対して、左右(表裏)対称の構成となっている。即ち、ウェブWの表面及び裏面に接触するように、一対のブランケット胴21,31が対向して対接可能に配置されており、各ブランケット胴21,31に対接して版胴22,32が配置されている。そして、一方の版胴22には、2つのインキ着ローラ23a,23bが対接して配置され、各インキ着ローラ23a,23bは、多数のインキローラからなるインキローラ群24を介してインキ元ローラ25に対接され、このインキ元ローラ25に対してインキつぼ26が配置されている。また、他方の版胴32には、2つのインキ着ローラ33a,33bが対接して配置され、各インキ着ローラ33a,33bは、多数のインキローラからなるインキローラ群34を介してインキ元ローラ35に対接され、このインキ元ローラ35に対してインキつぼ36が配置されている。
従って、インキ元ローラ25,35により供給量が調整された水性インキが、インキつぼ26,36から供給され、インキローラ群24,34を介してインキ着ローラ23a,23b,33a,33bに供給され、このインキ着ローラ23a,23b,33a,33bから版胴22,32の版面に供給され、版面に付着したインキがブランケット胴21,31に転写される。そして、表面印刷を行うブランケット胴21と裏面印刷を行うブランケット胴31との間でウェブWに所定の印圧が掛けられることで、各ブランケット胴21,31のインキを絵柄としてウェブWの表面及び裏面に転写することができる。
ここで、このように構成された印刷ユニット16におけるブランケット胴21,31及び版胴22,32について説明するが、印刷ユニット16は左右対称構造であることから、一方のブランケット胴21及び版胴22について説明する。
図1に示すように、版胴22は、版胴本体41の外周部に刷版42が装着されて構成されている。版胴本体41は、円柱形状をなし、外周部における周方向における所定の箇所に、軸方向に沿った切欠部43が形成され、この切欠部43に版締め装置44が収容されている。この版締め装置44は、刷版42における長手方向の各端部が折り曲げられて形成された締結部42a,42bを締結するものである。具体的には、刷版42の咥え側の締結部42aが切欠部43に係止した状態で、この刷版42を版胴本体41に巻き付け、尻側の締結部42bを保持して引っ張りながら固定するものである。
ブランケット胴21は、ブランケット胴本体51の外周部にブランケット(印刷用ブランケット)52が装着されて構成されている。ブランケット胴本体51は、円柱形状をなし、外周部における周方向における所定の箇所に、軸方向に沿った切欠部53が形成され、この切欠部53にブランケット締め装置54が収容されている。このブランケット締め装置54は、ブランケット52における長手方向の各端部が折り曲げられて形成された締結部52a,52bを締結するものである。具体的には、ブランケット52の咥え側の締結部52aが切欠部53に係止した状態で、このブランケット52をブランケット胴本体51に巻き付け、尻側の締結部52bを保持して引っ張りながら固定するものである。
このブランケット胴21は、ブランケット胴本体(回転体)51の外周部にブランケット52が装着されてなり、版胴22に同期回転することで、この版胴22の刷版42から転写されるインキ画像をウェブWに転写可能である。この実施例1にて、ブランケット胴21は、周長(直径)が版胴22の周長(直径)の整数倍(本実施例では、2倍)に設定されている。そして、ブランケット胴21と版胴22とが同期回転するとき、各切欠部43,53が常時一致するように、その回転位相が設定されている。
また、実施例1では、ブランケット胴21にて、外周部に装着されるブランケット52の表面に、版胴22における刷版42の締結位置、つまり、切欠部43に対応して、軸方向に沿う凹部55が設けられている。
即ち、版胴22に対してインキが転写され、この転写されたインキをブランケット胴21に転写するとき、版胴22における外周面と切欠部43との角部にインキかすが溜まりやすい。版胴22の切欠部43の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴21に転写されると、ブランケット胴21は、このインキかすまでもウェブWに転写してしまい、ウェブWおける外周部(新聞紙の額縁部)を汚してしまう。
この場合、ブランケット胴21の周長が版胴22の周長の2倍に設定されていることから、ブランケット胴21が1回転するとき、版胴22は2回転し、このとき、版胴22の切欠部43は、ブランケット胴21の外周面に対して2回対向位置にくる。そのため、本実施例では、ブランケット胴21の外周部に、版胴22の切欠部43に対応して均等間隔で複数の凹部を設けることで、版胴22の切欠部43の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴21に転写されないようにしている。
ブランケット胴21の凹部は2個必要であり、切欠部53を一つの凹部として兼用し、この切欠部53と周方向に180度対向した位置に、上述した凹部55を設けている。従って、版胴22とブランケット胴21が同期回転し、ブランケット胴21が1回転するときに版胴22が2回転するが、このとき、版胴22の切欠部43に対して、切欠部53と凹部55が交互に対向することで、版胴22の切欠部43の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴21に転写されることが防止される。
この場合、ブランケット胴21における切欠部53及び凹部55の周方向の長さは、版胴22における切欠部43の周方向の長さより長く設定する必要がある。即ち、版胴22の切欠部43が、ブランケット胴21の切欠部53及び凹部55に対向する位置にきたとき、版胴22における外周面と切欠部43との角部が、ブランケット胴21における切欠部53及び凹部55の内部に位置することで、この角部がブランケット胴21の外周面に接触せず、版胴22からブランケット胴21へのインキかすの転写が防止される。
具体的には、ブランケット胴21と版胴22のニップ幅A、ブランケット胴21における切欠部53及び凹部55の周方向の長さL1、版胴22における切欠部43の周方向の長さL2とすると、A>L1>L2の関係とすることが望ましい。
ここで、ブランケット胴21のブランケット52について詳細に説明する。ブランケット52は、図2に示すように、表面における所定の位置、本実施例では、長手方向(ブランケット胴本体51への巻き付け方向−周方向)における中間部に、ブランケット胴本体51の軸方向に沿う凹部55が設けられている。
具体的に説明すると、ブランケット52は、ブランケット胴本体51に締結可能な基部56と、この基部56の表面に長手方向に所定間隔で設けられる複数(本実施例では、2つ)の弾性層57a,57bとを有し、2つの弾性層57a,57bの間に凹部55が設けられる。この基部56は、金属(例えば、スチール、アルミなど)製の板材であって、長手方向における端部が折り曲げられることで、上述した締結部52a,52bが形成されている。なお、基部56を金属製とせずに、ガラス繊維(グラスファイバ)、このガラス繊維などプラスチックの中に入れて強度を高めた繊維強化プラスチック(FRP)などを用いてもよい。また、弾性層57a,57bは、一般的に使用されるブランケット材であり、基布層と発泡層(圧縮層)とゴム層が一層または多層に重ねられて構成され、このゴム層が表面側に配置される。
この場合、基部56の表面に同じ長さの2つの弾性層57a,57bを長手方向に対して所定の間隔をあけて接着剤により貼り付け、基部56と各弾性層57a,57bの端部との間にシール材58を貼り付けることで、各弾性層57a,57bの間に幅方向に沿う凹部55が形成され、ブランケット52が製造される。なお、シール材58により基部56からの弾性層57a,57bのはがれが防止されている。また、基部56に対して、締結部52a,52bを予め形成しておいてもよいし、最後に形成してもよい。
なお、ここでは、印刷ユニット16における一方のブランケット胴21及び版胴22についてのみ説明したが、他方のブランケット胴31及び版胴32についても同様の構成となっている。また、印刷ユニット16における他のスタックについても同様であると共に、他の印刷ユニット16,17についても同様である。
このように実施例1にあっては、刷版42が装着される版胴22と、ブランケット52が装着されて版胴22に同期回転して版胴22から転写されるインキ画像をウェブWに転写可能なブランケット胴21とを備えて印刷ユニットを構成し、ブランケット胴21の周長を版胴22の周長の2倍に設定し、ブランケット52の表面に版胴22における切欠部43に対応して軸方向に沿う切欠部53及び凹部55を均等間隔で設けている。
従って、版胴22とブランケット胴21が回転するとき、版胴22における切欠部43とブランケット胴21の切欠部53及び凹部55が対向することで、版胴22からブランケット胴21へのインキかすの転写を抑制して印刷品質の向上を図ることができる。
また、実施例1のブランケット胴21では、ブランケット胴本体51の外周部にシート形状をなすブランケット52の長手方向における各端部を締結し、版胴22の切欠部43に対応して切欠部53及び凹部55を設けており、ブランケット締め装置54を収容する切欠部53を凹部として利用することで、構成を簡素化することができる。
また、実施例1のブランケット胴21では、切欠部53及び凹部55における周方向の長さを版胴22における切欠部43の周方向の長さより長く設定しており、版胴22の切欠部43がブランケット胴21の外周面に接触することがなく、版胴22からブランケット胴21へのインキかすの転写を抑制することができる。
また、実施例1のブランケット52では、シート形状をなして長手方向における各端部にブランケット胴21に締結可能な締結部52a,52bを設け、長手方向における中間位置に凹部55を設けており、この凹部55を容易に形成することができる。
また、実施例1のブランケット52の製造方法では、ブランケット胴21に締結可能な基部56の表面に2つの弾性層57a,57bを長手方向に所定間隔で設けることで、その間に幅方向に沿う凹部55を形成してブランケット52を製造している。従って、弾性層57a,57bを加工する必要はなく、凹部55を容易に形成することができる。
図5は、本発明の実施例2に係る印刷用ブランケットを表す概略図である。なお、本実施例の印刷用ブランケットが装着されるブランケット胴及び版胴の構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例2において、図1及び図5に示すように、版胴22は、版胴本体41の外周部に刷版42が装着されて構成され、外周部に軸方向に沿った切欠部43が形成され、この切欠部43に版締め装置44が収容されている。一方、ブランケット胴21は、ブランケット胴本体51の外周部にブランケット(印刷用ブランケット)61が装着されて構成され、外周部に軸方向に沿った切欠部53が形成され、この切欠部53にブランケット締め装置54が収容されている。
このブランケット胴21は、周長が版胴22の周長の2倍に設定されており、ブランケット胴21と版胴22とが同期回転するとき、各切欠部43,53が常時一致するように、その回転位相が設定されている。また、ブランケット胴21にて、外周部に装着されるブランケット61の表面に、版胴22における刷版42の締結位置、つまり、切欠部43に対応して、軸方向に沿う凹部64が設けられている。
即ち、ブランケット胴21の周長が版胴22の周長の2倍に設定されていることから、ブランケット胴21が1回転するとき、版胴22は2回転し、このとき、版胴22の切欠部43は、ブランケット胴21の外周面に対して2回対向位置にくる。そのため、本実施例では、ブランケット胴21の外周部に、版胴22の切欠部43に対応して均等間隔で複数の凹部を設けることで、版胴22の切欠部43の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴21に転写されないようにしている。具体的には、ブランケット胴21にて、切欠部53と周方向に180度対向した位置に凹部64を設けている。従って、版胴22とブランケット胴21が同期回転し、ブランケット胴21が1回転するとき、版胴22の切欠部43に対して、切欠部53と凹部64が交互に対向することで、版胴22の切欠部43の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴21に転写されることが防止される。
ここで、ブランケット胴21のブランケット61について詳細に説明する。ブランケット61は、図5に示すように、表面における所定の位置、本実施例では、長手方向(ブランケット胴本体51への巻き付け方向−周方向)における中間部に、ブランケット胴本体51の軸方向に沿う凹部64が設けられている。
具体的に説明すると、ブランケット61は、ブランケット胴本体51に締結可能な基部62と、この基部62の表面に設けられる1つの弾性層63とを有し、この弾性層63における長手方向の中間部の表面に凹部64が設けられる。また、基部62における長手方向の端部には、ブランケット胴本体51への締結部62a,62bが形成されている。
この場合、基部62の表面に弾性層63を接着剤により貼り付け、この弾性層63における長手方向の所定の位置、本実施例では、長手方向の中間位置を幅方向に沿って所望の厚さを残して部分的に所定厚さだけ切除することで、凹部64を形成する。そして、基部62と弾性層63の端部との間にシール材65を貼り付けることで、ブランケット61が製造される。
このように実施例2にあっては、ブランケット胴21の周長を版胴22の周長の2倍に設定し、ブランケット61の表面に版胴22における切欠部43に対応して軸方向に沿う切欠部53及び凹部64を均等間隔で設けている。従って、版胴22とブランケット胴21が回転するとき、版胴22における切欠部43とブランケット胴21の切欠部53及び凹部64が対向することで、版胴22からブランケット胴21へのインキかすの転写を抑制して印刷品質の向上を図ることができる。
また、実施例2のブランケット61では、ブランケット胴本体51に締結可能な基部62と、この基部62の表面に弾性層63を設け、この弾性層63の表面に凹部64を設けている。従って、基部62により所定の剛性を確保することができ、弾性層63によりインキの転写性を確保することができ、また、この弾性層63の表面に凹部64を設けることで、凹部64の位置を精度良く形成することができる。更に、弾性層63が1つの部材により構成されることから、基部62からのはがれを抑制することができる。
また、実施例2のブランケット61の製造方法では、ブランケット胴本体51に締結可能な基部62の表面に弾性層63を設け、この弾性層63における長手方向の所定の位置を幅方向に切除することで、凹部64を形成して製造する。従って、凹部の位置を精度良く形成することができる。
図6は、本発明の実施例3に係る印刷用ブランケットを表す概略図である。なお、本実施例の印刷用ブランケットが装着されるブランケット胴及び版胴の構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例3において、図1及び図6に示すように、版胴22は、版胴本体41の外周部に刷版42が装着されて構成され、外周部に軸方向に沿った切欠部43が形成され、この切欠部43に版締め装置44が収容されている。一方、ブランケット胴21は、ブランケット胴本体51の外周部にブランケット(印刷用ブランケット)71が装着されて構成され、外周部に軸方向に沿った切欠部53が形成され、この切欠部53にブランケット締め装置54が収容されている。
このブランケット胴21は、周長が版胴22の周長の2倍に設定されており、ブランケット胴21と版胴22とが同期回転するとき、各切欠部43,53が常時一致するように、その回転位相が設定されている。また、ブランケット胴21にて、外周部に装着されるブランケット71の表面に、版胴22における刷版42の締結位置、つまり、切欠部43に対応して、軸方向に沿う凹部74が設けられている。
即ち、ブランケット胴21の周長が版胴22の周長の2倍に設定されていることから、ブランケット胴21が1回転するとき、版胴22は2回転し、このとき、版胴22の切欠部43は、ブランケット胴21の外周面に対して2回対向位置にくる。そのため、本実施例では、ブランケット胴21の外周部に、版胴22の切欠部43に対応して均等間隔で複数の凹部を設けることで、版胴22の切欠部43の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴21に転写されないようにしている。具体的には、ブランケット胴21にて、切欠部53と周方向に180度対向した位置に凹部74を設けている。従って、版胴22とブランケット胴21が同期回転し、ブランケット胴21が1回転するとき、版胴22の切欠部43に対して、切欠部53と凹部74が交互に対向することで、版胴22の切欠部43の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴21に転写されることが防止される。
ここで、ブランケット胴21のブランケット71について詳細に説明する。ブランケット71は、図6に示すように、表面における所定の位置、本実施例では、長手方向(ブランケット胴本体51への巻き付け方向−周方向)における中間部に、ブランケット胴本体51の軸方向に沿う凹部74が設けられている。
具体的に説明すると、ブランケット71は、ブランケット胴本体51に締結可能な基部72と、この基部72の表面に長手方向に所定間隔で設けられる1つの弾性層73とを有し、この弾性層73における長手方向の中間部の表面に凹部74が設けられる。即ち、基部72における長手方向の端部には、ブランケット胴本体51への締結部72a,72bが形成されると共に、長手方向における中間位置の表面に凹部72cが形成されることで、所定長さの薄肉部72dが形成される。そして、基部72の表面に弾性層73が接着剤により貼り付けられることで、薄肉部72dにより弾性層73が凹部72c内に入り込むように変形し、凹部74が形成される。その後、基部72と弾性層73の端部との間にシール材75を貼り付けることで、ブランケット71が製造される。
このように実施例3にあっては、ブランケット胴21の周長を版胴22の周長の2倍に設定し、ブランケット71の表面に版胴22における切欠部43に対応して軸方向に沿う切欠部53及び凹部74を均等間隔で設けている。従って、版胴22とブランケット胴21が回転するとき、版胴22における切欠部43とブランケット胴21の切欠部53及び凹部74が対向することで、版胴22からブランケット胴21へのインキかすの転写を抑制して印刷品質の向上を図ることができる。
また、実施例3のブランケット71では、ブランケット胴本体51に締結可能な基部72と、この基部72の表面に弾性層73を設け、基部72における所定の位置に薄肉部72dを設け、薄肉部72dにより弾性層73を変形して凹部74を形成している。従って、基部72の薄肉部72dにより弾性層73に凹部74を形成することで、弾性層73の形状を変更することなく容易に凹部74を形成することができ、弾性層73の耐久性を向上することができる。
図7は、本発明の実施例4に係るブランケット胴を表す側面概略図である。
実施例4において、図7に示すように、ブランケット胴81は、ブランケット胴本体82の外周部に複数(本実施例では、2枚)のフィルム(シート)83a,83bを介してブランケット(印刷用ブランケット)84が装着されて構成され、外周部に軸方向に沿った切欠部82aが形成され、この切欠部82aに図示しないブランケット締め装置が収容されている。このフィルム83a,83bは、例えば、金属材料、プラスチック材料、ナイロン(ポリアミド合成繊維)、繊維などが好適である。
このブランケット胴81は、周長が図示しない版胴の周長の2倍に設定されており、ブランケット胴81と版胴とが同期回転するとき、ブランケット胴81の切欠部82aと版胴の切欠部が常時一致するように、その回転位相が設定されている。また、ブランケット胴81にて、外周部に装着されるブランケット84の表面に、版胴における刷版の締結位置、つまり、切欠部に対応して、軸方向に沿う凹部85が設けられている。
即ち、ブランケット胴81の周長が版胴の周長の2倍に設定されていることから、ブランケット胴81が1回転するとき、版胴は2回転し、このとき、版胴の切欠部は、ブランケット胴81の外周面に対して2回対向位置にくる。そのため、本実施例では、ブランケット胴81の外周部に、版胴の切欠部に対応して均等間隔で複数の凹部を設けることで、版胴の切欠部の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴81に転写されないようにしている。具体的には、ブランケット胴81にて、切欠部82aと周方向に180度対向した位置に凹部85を設けている。従って、版胴とブランケット胴81が同期回転し、ブランケット胴81が1回転するとき、版胴の切欠部に対して、切欠部82aと凹部85が交互に対向することで、版胴の切欠部の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴81に転写されることが防止される。
ここで、ブランケット胴81について詳細に説明する。ブランケット胴本体82の外周部には、周方向に所定隙間をもって2枚のフィルム83a,83bが接着剤により貼り付けられ、このフィルム83a,83bの表面にブランケット84を装着し、締結部84a,84bが切欠部82aのブランケット締め装置により締結されている。そのため、2枚のフィルム83a,83bの隙間によりブランケット84がブランケット胴本体82の中心側に変形することで、凹部85が形成される。この場合、フィルム83a,83bの長手方向の長さは同じであることから、ブランケット84における長手方向の中間部の表面に凹部85が設けられることとなる。
このように実施例4にあっては、ブランケット胴81の周長を版胴の周長の2倍に設定し、ブランケット84の表面に版胴における切欠部に対応して軸方向に沿う切欠部82a及び凹部85を均等間隔で設けている。従って、版胴とブランケット胴81が回転するとき、版胴における切欠部とブランケット胴81の切欠部82a及び凹部85が対向することで、版胴からブランケット胴81へのインキかすの転写を抑制して印刷品質の向上を図ることができる。
また、実施例4のブランケット胴81では、ブランケット胴本体82の外周部に周方向に所定隙間をもってフィルム83a,83bを装着し、このフィルム83a,83bの表面にブランケット84を装着し、フィルム83a,83bの隙間によりブランケット84を変形して凹部85を形成している。従って、フィルム83a,83bの隙間によりブランケット84に凹部85を形成することで、ブランケット84の形状を変更することなく容易に凹部85を形成することができ、ブランケット84の耐久性を向上させることかできる。
なお、この実施例4にて、フィルム83a,83bは、ブランケット胴81の外径を微調整して版胴とのニップを調整するためのものであるが、これに限定されるものではなく、単なるシートであってもよい。
図8は、本発明の実施例5に係るブランケット胴を表す側面概略図である。
実施例5において、図8に示すように、ブランケット胴91は、ブランケット胴本体92の外周部にブランケット(印刷用ブランケット)93が装着されて構成されている。このブランケット93は、円筒形状をなし、ブランケット胴本体92の外周面に嵌合して締結可能な締結部として機能する。具体的には、ブランケット胴本体92は、本体部とこの本体部より小さい小径部とを有し、この小径部の外周面に空気吹き出し穴が形成されている。そのため、ブランケット93をブランケット胴本体92の小径部に挿入した後、空気吹き出し穴から空気を吹き出すことでブランケット93を内側から押圧することで拡径し、この状態でブランケット93を本体部に挿入し、吹き出し穴からの空気の吹き出しを停止することで、ブランケット93を縮径してブランケット胴本体92(本体部)に嵌合する。このようにしてブランケット93がブランケット胴本体92の外周面に締結される。
このブランケット胴91は、周長が図示しない版胴の周長の2倍に設定されており、表面に2つの凹部96a,96bが周方向に均等間隔で設けられ、ブランケット胴91と版胴とが同期回転するとき、版胴の切欠部と凹部96a,96bが常時一致するように、その回転位相が設定されている。この場合、ブランケット胴91の外周部に装着されるブランケット93の表面に、版胴における刷版の締結位置、つまり、切欠部に対応して、軸方向に沿う凹部96a,96bが設けられている。
即ち、ブランケット胴91の周長が版胴の周長の2倍に設定されていることから、ブランケット胴91が1回転するとき、版胴は2回転し、このとき、版胴の切欠部は、ブランケット胴91の外周面に対して2回対向位置にくる。そのため、本実施例では、ブランケット胴91の外周部に、版胴の切欠部に対応して均等間隔で2つの凹部96a,96bを設けることで、版胴の切欠部の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴91に転写されないようにしている。具体的には、ブランケット胴91にて、2つの凹部96a,96bを周方向に180度対向した位置に設けている。従って、版胴とブランケット胴91が同期回転し、ブランケット胴91が1回転するとき、版胴の切欠部に対して、凹部96a,96bが交互に対向することで、版胴の切欠部の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴91に転写されることが防止される。
ここで、ブランケット胴91のブランケット93について詳細に説明する。ブランケット93は、ブランケット胴本体92に締結可能な円筒形状をなす基部94と、この基部94の表面に長手方向に所定間隔で設けられる2つの弾性層95a,95bとを有し、この弾性層95a,95bにおける長手方向の両端部に凹部96a,96bが設けられる。
このように実施例5にあっては、ブランケット胴91の周長を版胴の周長の2倍に設定し、ブランケット93の表面に版胴における切欠部に対応して軸方向に沿う凹部96a,96bを均等間隔で設けている。従って、版胴とブランケット胴91が回転するとき、版胴における切欠部とブランケット胴91の凹部96a,96bが対向することで、版胴からブランケット胴91へのインキかすの転写を抑制して印刷品質の向上を図ることができる。
また、実施例5のブランケット胴91では、ブランケット胴本体92の外周部に円筒形状をなすブランケット93を嵌合して締結し、2つの凹部96a,96bをブランケット93の表面に設けている。従って、ブランケット胴91に対して、凹部96a,96bを簡単に形成することができる。
図9は、本発明の実施例6に係るブランケット胴を表す側面概略図である。
実施例6において、図9に示すように、ブランケット胴101は、ブランケット胴本体102の外周部に複数(本実施例では、2枚)のブランケット(印刷用ブランケット)103a,103bが装着されて構成されている。このブランケット胴本体102にて、外周部に周方向に沿って均等間隔をなして2つの切欠部102a,102bが軸方向に沿って形成され、この各切欠部102a,102bにブランケット締め装置102c,102dが収容されている。そして、各ブランケット103a,103bの各端部に設けられた締結部が、対応するブランケット締め装置102c,102dに締結されることで、ブランケット103a,103bがブランケット胴本体102に装着される。
この場合、ブランケット胴101は、周長が図示しない版胴の周長の2倍に設定されており、ブランケット胴101と版胴とが同期回転するとき、版胴の切欠部とブランケット胴101の各切欠部102a,102bが常時一致するように、その回転位相が設定されている。
即ち、ブランケット胴101の周長が版胴の周長の2倍に設定されていることから、ブランケット胴101が1回転するとき、版胴は2回転し、このとき、版胴の切欠部は、ブランケット胴101の外周面に対して2回対向位置にくる。そのため、本実施例では、ブランケット胴101の外周部に、版胴の切欠部に対応して均等間隔で2つの切欠部102a,102bを設けることで、版胴の切欠部の近傍に溜まったインキかすがブランケット胴101に転写されないようにしている。
このように実施例6にあっては、ブランケット胴101の周長を版胴の周長の2倍に設定し、版胴における切欠部に対応して2つの軸方向に沿う切欠部102a,102bを均等間隔で設け、この切欠部102a,102bに各ブランケット103a,103bの端部を締結するブランケット締め装置102c,102dを収容している。従って、版胴とブランケット胴101が回転するとき、版胴における切欠部とブランケット胴101の切欠部102a,102bが対向することで、版胴からブランケット胴101へのインキかすの転写を抑制して印刷品質の向上を図ることができる。
なお、上述の各実施例では、ブランケット胴の周長を版胴の周長の2倍に設定したものについて説明したが、この構成に限定されるものではなく、本発明は、ブランケット胴の周長を版胴の周長の整数倍に設定されたものに実施可能であり、3倍、4倍等であってもよい。この場合、ブランケット胴の周長に応じて凹部の個数を設定し、複数の凹部を周方向に均等間隔で設ければよいものである。
また、本発明の印刷機を新聞用オフセット輪転印刷機に適用して説明したが、商業用オフセット輪転印刷機に適用することもできる。