JP2009184280A - 折機の胴 - Google Patents

Abstract

【課題】周面に保持されたシート状物の滑りを抑制できる搬送胴を提供することにある。
【解決手段】搬送されるウェブを断裁刃２０ａ〜２０ｃによって断裁し、断裁刃２０ａ〜２０ｃによって断裁されて形成されたシート状物を折って折丁とする折機の胴１０において、胴１０の表面の表面粗さＲａを、０．２μｍ≦Ｒａ≦１５０μｍとした。
【選択図】図３

Description

本発明は、シート状物を搬送する折機の胴に関し、特に巻紙輪転印刷機の折機の搬送胴に関する。

巻紙輪転印刷機の折機にはシート状物を保持して搬送する搬送胴が種々設けられ、前記種々の搬送胴により、印刷後、乾燥冷却されたウェブ（シート状物）を所定の長さ毎に断裁し、この断裁されたウェブをその幅方向または長さ方向に折ることで、ウェブから折丁を形成している。

例えば、特許文献１には、断裁刃と第一針を有する断裁胴と、第二針と断裁受けと差込ナイフを有する折胴と、くわえ板を有するくわえ胴とを備え、互いに周面を対向させて回転させるようにした折機が開示されている。この折機においては、断裁胴および折胴の回転に応じて第一針および第二針の動作を制御することで、断裁されるウェブが断裁胴の断裁刃と折胴の断裁受けとが対向する位置に搬送されることにより断裁された第一の断裁ウェブを第一の針にて保持して断裁胴を１回転させた後、断裁胴の断裁刃と折胴の断裁受けとが対向する位置に再度搬送された第一の断裁ウェブと、断裁胴の断裁刃と折胴の断裁受けとが対向する位置に搬送されることにより断裁された第二のウェブとを２枚重ねにして折胴の第二の針にて保持して搬送している。

特開平１−１９２６６８号公報（第１図、第３図など参照）

上記折機においては、各胴に設けられた針やくわえ板などの保持手段によりシート状物の先端側が保持されているものの、その後端側が当該各胴の周面に巻き付けられた状態となっているだけであり、どこにも保持されていない。そのため、シート状物における後端側が胴の周面上を滑ってアバレ、当該胴近傍に配置される機器と接触してしまうおそれがあった。

そこで、本発明では、前述した問題に鑑み提案されたもので、周面に保持されたシート状物の滑りを抑制できる折機の胴を提供することを目的とする。

上述した課題を解決する第１の発明に係る折機の胴は、搬送されるウェブを断裁手段によって断裁し、前記断裁手段によって断裁されて形成されたシート状物を折って折丁とする折機の胴において、前記胴の表面の表面粗さＲａを、０．２μｍ≦Ｒａ≦１５０μｍとしたことを特徴とする。

上述した課題を解決する第２の発明に係る折機の胴は、第１の発明に係る折機の胴であって、前記表面粗さＲａが、滑り防止部材に形成され、前記滑り防止部材が、前記胴に着脱自在に支持されていることを特徴とする。

本発明に係る折機の胴によれば、搬送されるウェブを断裁手段によって断裁し、前記断裁手段によって断裁されて形成されたシート状物を折って折丁とする折機の胴において、前記胴の表面の表面粗さＲａを、０．２μｍ≦Ｒａ≦１５０μｍとしたことにより、周面に保持されたシート状物の滑りを抑制できる。

本発明に係る折機の胴によれば、前記表面粗さＲａが、滑り防止部材に形成され、前記滑り防止部材が、前記胴に着脱自在に支持されていることにより、その機能の低下や使用期間などに応じて当該滑り防止部材を交換できるため、保守作業が容易になり、その費用を低減できる。

本発明に係る折機の胴の最良の形態について、図面に基づき具体的に説明する。

本発明に係る折機の胴を巻紙輪転印刷機の折機に配置される断裁待機胴に適用した場合の第１の実施例につき図１乃至図３を参照して説明する。
図１は折機の概略側面図であり、図２はその搬送経路の概略構成図であり、図３は搬送胴（断裁待機胴）の模式図である。

巻紙輪転印刷機において、図１に示すように、ウェブ（シート状物）Ｗは、給紙装置１およびインフィード装置２から連続的に送出され、印刷装置３の第１の印刷ユニット〜第４の印刷ユニット３ａ〜３ｄを通過して各種の印刷が施される。そして、印刷が施されたウェブＷは、乾燥装置４において加熱乾燥された後冷却装置５にて冷却され、ウェブパス装置６においてテンション調整および方向変更され、フォーマ７により搬送方向に沿って縦折されてから、折機８内に送給される。

前記折機８内において、図２に示すように、断裁待機胴（搬送胴）１０と折胴１１との間に送り込まれたウェブＷは、断裁待機胴１０における後述の断裁刃２０ａ〜２０ｃ（図３参照）によって所定の寸法に断裁される。断裁されたウェブ（断裁ウェブ）Ｗ１の先端が断裁待機胴１０における後述の針２１ａ〜２１ｃ（図３参照）に一旦保持されて当該断裁待機胴１０を周回する。続いて、断裁されたウェブの搬送方向下流側に位置するウェブＷの先端が折胴１１の針（図示せず）に保持される一方、断裁待機胴１０で周回した断裁ウェブＷ１が折胴１１へ受け渡され、この断裁ウェブＷ１の先端も折胴１１の前記針にて保持される。続いて、断裁されたウェブの搬送方向下流側に位置するウェブＷの後端が、断裁待機胴１０の断裁刃２０ａ〜２０ｃによって所定の寸法に断裁される。折胴１１にてウェブが重ねられ、２部重ねの断裁ウェブＷ２となって第１くわえ胴１２で平行一回折される。この平行一回折された折丁が必要に応じて第２くわえ胴１３で、その折丁搬送方向における任意の位置において幅方向に折られる。

第２くわえ胴１３の側方（図２中右側）に設けられた搬送装置１４により搬送され、当該搬送装置１４内の上方に配置されたチョッパブレード１５により下方へ揺動させることにより、搬送装置１４の搬送ベルト１４ａにより搬送される折丁Ｗ３に対してチョッパ折りが行われる。搬送装置１４の搬送ベルト１４ａの走行方向下流側に羽根車１６が設けられている。さらに、羽根車１６の下方には、排紙コンベア１７が設けられている。

よって、上述した折機８においては、断裁待機胴１０と折胴１１でウェブＷを断裁して一部の断裁ウェブＷ１毎に当該断裁待機胴１０と当該折胴１１で交互に保持し、前記断裁待機胴１０に保持された断裁ウェブＷ１を前記折胴１１へ受け渡して、前記折胴１１で２部重ねの断裁ウェブＷ２を保持して搬送している。

上述した断裁待機胴１０は、図３に示すように、その周面１０１を円周方向に３等分する位置に、ウェブＷを所定の寸法毎に断裁する断裁刃２０ａ〜２０ｃと軸方向に並列に複数個の針（保持手段）２１ａ〜２１ｃが配設された３倍胴で形成されている。各針２１ａ〜２１ｃは図示しない付勢部材（トーションバー）により断裁待機胴１０の周面１０１から突出側に付勢され、各針２１ａ〜２１ｃはカムフォロア２２ａ〜２２ｃの移動によって没動するようになっている。

断裁待機胴１０には、その周面１０１を円周方向にて隣接する針間に凹部１０１ａ〜１０１ｃが当該胴１０の全幅に亘ってそれぞれ形成されている。各凹部１０１ａ〜１０１ｃには、断裁待機胴１０の周面１０１よりも摩擦係数が高いシート状物滑り止め具（滑り防止部材）２３ａ〜２３ｃがボルト２４ａ〜２４ｃでそれぞれ取付けられている。すなわち、シート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃは、断裁待機胴１０の周面１０１に取外し可能に設けられている。ただし、シート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃは、凹部１０１ａ〜１０１ｃに取り付けたとき、断裁待機胴１０の周面１０１と略同一円弧となるように形成されている。

上述した各シート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃの表面粗さは、ブラスト処理にて加工した場合には０．２μｍ以上１５０μｍ以下の範囲となり、溶射処理にて加工した場合には１０μｍ以上１５０μｍ以下の範囲となっている。すなわち、各シート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃの表面は、０．２μｍ以上１５０μｍ以下の範囲の表面粗さとなるように加工されている。これにより、周面に保持された断裁ウェブＷ１の滑りが抑制される。また、シート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃの表面粗さの調整を従来技術で行うことができ、シート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃの製造コストの大幅な増加を抑制できる。なお、上述した表面粗さとは、中心線平均粗さＲａであり、粗さ曲線を中心線から折り返し、その粗さ曲線と中心線によって得られた面積を長さＬで割った値である。

したがって、本発明の第１の実施例に係る断裁待機胴１０によれば、シート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃを設けて、断裁待機胴１０の表面の表面粗さＲａを、０．２μｍ≦Ｒａ≦１５０μｍとしたことにより、断裁待機胴１０で断裁ウェブＷ１を搬送するときに断裁待機胴１０の周面１０１に保持された断裁ウェブＷ１の滑りを抑制できる。さらに、表面粗さＲａが、シート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃに形成され、これらシート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃが、断裁待機胴１０に着脱自在に支持されていることにより、その機能の低下や使用期間などに応じてシート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃを交換できる。その結果、保守作業が容易になり、保守作業に要する時間を低減できると共に、その費用も低減できる。

さらに、上述したようにシート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃが、断裁待機胴１０の周面１０１の円周方向にて隣接する針２１ａ〜２１ｃの間に配置されていることにより、断裁ウェブＷ１を搬送するとき、針２１ａ〜２１ｃでの断裁ウェブＷ１の保持と、シート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃでの断裁ウェブＷ１の滑りの抑制とを、断裁ウェブＷ１における長さ方向の異なる箇所で行うことができ、断裁待機胴１０で断裁ウェブＷ１を搬送するときに断裁待機胴１０の周面１０１における断裁ウェブＷ１の滑りの発生が抑制され、断裁待機胴１０は断裁ウェブＷ１の搬送をより一層確実、且つ円滑に行うことができる。

なお、本実施例では、上述したようにシート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃを断裁待機胴１０の周面１０１に設ける例を示したが、本発明は、上述した実施例に限らず、針を有する折胴、くわえ板を有するくわえ胴、くわえ爪を有する減速胴など、シート状物を保持する保持手段を有する搬送胴の周面にシート状物滑り止め具を設けることも可能である。これら搬送胴の周面にシート状物滑り止め具を設けることにより、上述した、周面１０１にシート状物滑り止め具２３を設けた断裁待機胴１０と同様、保持手段で保持されたシート状物の滑りを抑制することができ、搬送胴はシート状物の搬送を確実、且つ円滑に行うことができる。

また、シート状物滑り止め具２３の表面粗さをブラスト処理や溶射処理で調整したが、他の手法にてシート状物滑り止め具２３の表面粗さを調整するようにしても良い。

さらに、シート状物滑り止め具２３ａ〜２３ｃが周面１０１の一部に設けられた断裁待機胴１０を用いて説明したが、断裁ウェブを保持する針が設けられた箇所以外の周面全体に上記シート状物滑り止め具を設けた断裁待機胴や、周面における円周方向にて隣接する針間に複数個のシート状物滑り止め具を設けた断裁待機胴とすることも可能である。これらのような断裁待機胴であっても、上述した断裁待機胴１０と同様な作用効果を奏する。

表面粗さＲａを有するシート状物滑り止具２３ａ〜２３ｃを胴１０の凹部１０１ａ〜１０１ｃに着脱自在に支持するようにしたが、胴の周面に上述した所定範囲の表面粗さとなる処理を施すことも可能である。このような胴であっても、上述した断裁待機胴１０と同様な作用効果を奏する。

本発明は、搬送胴に関し、詳しくは、シート状物を保持可能な保持手段（針、くわえ板、くわえ爪など）をそれぞれ具備する断裁待機胴、折胴、くわえ胴、減速胴に適用して好適なものである。

本発明の第１の実施例に係る折機の胴が配置される折機の概略側面図である。 本発明の第１の実施例に係る折機の胴が配置される折機の搬送経路の概略構成図である。 本発明の第１の実施例に係る折機の胴の模式図である。

符号の説明

１ 給紙装置
２ インフィード装置
３ 印刷装置
４ 乾燥装置
５ 冷却装置
６ ウェブパス装置
７ フォーマ
８ 折機
１０ 断裁待機胴
１１ 折胴
１２ 第１くわえ胴
１３ 第２くわえ胴
１４ 搬送装置
１５ チョッパブレード
１６ 羽根車
１７ 排紙コンベア
２０ａ〜２０ｃ 断裁刃
２１ａ〜２１ｃ 針
２２ａ〜２２ｃ カムフォロア
２３ａ〜２３ｃ シート状物滑り止め具
２４ａ〜２４ｃ ボルト
１０１ 断裁待機胴の周面
１０１ａ，１０１ｂ，１０１ｃ 凹部
Ｗ ウェブ
Ｗ１，Ｗ２ 断裁ウェブ
Ｗ３ 折丁

Claims (2)

1. 搬送されるウェブを断裁手段によって断裁し、前記断裁手段によって断裁されて形成されたシート状物を折って折丁とする折機の胴において、
   前記胴の表面の表面粗さＲａを、
   ０．２μｍ≦Ｒａ≦１５０μｍ
   としたことを特徴とする折機の胴。
2. 前記表面粗さＲａは、滑り防止部材に形成され、
   前記滑り防止部材は、前記胴に着脱自在に支持されていることを特徴とする請求項１記載の折機の胴。

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