JP5803539B2 - リチウム含有複合酸化物粉末の製造方法 - Google Patents

リチウム含有複合酸化物粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、主としてリチウムイオン二次電池の正極活物質として使用される複合酸化物粉末およびその複合酸化物粉末を用いた二次電池に関するものである。
近年、携帯電話やノート型パソコンなどのポータブル電子機器の発達や、電気自動車の実用化などに伴い、小型軽量でかつ高容量の二次電池が必要とされている。たとえば、リチウムイオン二次電池は、リチウム(Li)を挿入および脱離することができる活物質を正極と負極にそれぞれ有する。そして、両極間に設けられた電解液内をLiイオンが移動することによって動作する。
二次電池の性能は、二次電池を構成する正極、負極および電解質の材料に左右される。そのなかでも、活物質を形成する活物質材料の研究開発が活発に行われている。たとえば、二次電池の正極活物質として、LiNi0.5Mn1.5のようなスピネル構造をもつリチウムマンガンニッケル系酸化物が挙げられる。LiNi0.5Mn1.5は、金属リチウム基準で4.8V付近で充放電する。そのため、理論的には、5.0V程度の高電圧まで充電させることで、エネルギー密度が高くなる。
たとえば、特許文献1では、5V級の電位が期待されるリチウムマンガンニッケル酸化物を使用したリチウム電池を構成する材料として実用価値の高い、単結晶のリチウムマンガンニッケル酸化物を合成している。実施例3では、LiCl粉末、NiCl粉末およびMnCl粉末をモル比で120:1:3で混合した後、この混合粉末を750℃60時間加熱することで、LiNi0.5Mn1.5を基本組成とする単結晶を育成している。得られる単結晶は、最大で200μm角程度の正八面体状であることが記載されている。
また、特許文献2では、正極活物質として使用されるLiMnの平均粒径を5μm以下さらには1μm以下とすることで、二次電池の出力を向上させている。使用されるLiMnは、LiOHとMnOとをLi:Mnが原子比で1:2となるように混合して、大気中700〜900℃で焼成する「固相法」によって合成する。
特開2004−196579号公報 特開2005−116304号公報
特許文献1には明記されていないが、リチウムイオン二次電池を高電圧で充放電させると、二次電池に使用される一般的な有機電解液が分解することが知られている。有機電解液の分解は、サイクル特性などの電池特性の低下に繋がる。そのため、LiNi0.5Mn1.5は、現行の電池システムでは効率良く使用し難く、改善すべき問題が多くある。
特許文献1には、LiNi0.5Mn1.5を基本組成とする単結晶中の構成元素の濃度分布が均質であることから、5V級の電位が期待されると記載されている。確かに、特許文献1では、実施例3において粗大な単結晶のリチウムマンガンニッケル酸化物の合成に成功している。しかし、実施例3で合成されたリチウムマンガンニッケル酸化物は、二次電池の正極活物質として使用した場合の初期容量やサイクル特性などが明らかにされていない。さらには、この酸化物が、二次電池として十分な充放電を行うか否かさえ不明である。
特許文献2では、平均粒径が5μm以下さらには1μm以下のLiMnを正極活物質として使用することが記載されている。さらに、LiMnの粒子構造が単結晶であるのが好ましいと記載されている。しかしながら、各実施例には、LiMn粒子が単結晶であるかどうかは記載されておらず、平均粒径についても、単結晶粒子の平均一次粒子径であるのか、多結晶粒子あるいは単結晶粒子の凝集体の平均粒子径であるのか、不明である。また、実施例に記載の固相法では、その焼成温度(800℃前後)から考えて、1μm未満の複数の微細な単結晶粒子が凝集した多結晶に近い単粒子が合成されると推測される。そのため、特許文献2は、二次粒子の平均粒径と二次電池の出力との関係を示していても、特定の粒径をもつ単結晶のLiMnを二次電池の正極活物質に用いた場合の電池特性を評価するまで至っていない。
本発明は、スピネル構造に属するリチウムマンガンニッケル系酸化物を含み、非水電解液二次電池の正極活物質として用いられた場合に高電圧まで充放電しても二次電池を安定的に使用することができるリチウム含有複合酸化物粉末製造方法を提供する。
本発明者等は、リチウム供給源としてリチウム水酸化物を用い、マンガンおよびニッケルを含む原料とリチウム水酸化物とをリチウム水酸化物の分解温度付近あるいは分解温度以上の高温で加熱することで、高電圧で使用される非水電解液二次電池の正極活物質として好適なリチウムマンガンニッケル系酸化物を合成できることを新たに見出した。そして、このような方法により得られるリチウムマンガンニッケル系酸化物は、高電圧での使用に有利な粒子構造を有することから、本発明に至った。
すなわち、リチウム含有複合酸化物粉末は、少なくともリチウム、マンガンおよびニッケルを含み結晶構造がスピネル構造に属するリチウムマンガンニッケル系酸化物からなる単結晶の一次粒子を含み、該一次粒子の平均粒径である平均一次粒径が1μm以上50μm以下であることを特徴とする。
チウム含有複合酸化物粉末は、単結晶の一次粒子を含み、その平均一次粒径が1μm以上50μm以下である。単結晶と対比した表現として多結晶がある。多結晶粒子には、結晶粒界が存在する。そのため、多結晶粒子を含むリチウム含有複合酸化物粉末を非水電解液二次電池の正極活物質として用いた二次電池を充放電させると、結晶粒界を起点として崩壊しやすい。また、結晶粒界には、目的のリチウムマンガンニッケル系酸化物と異なる組成の化合物(不純物)が存在しやすい。そのため、結晶粒界は、電解液分解の活性点となりやすい。単結晶の一次粒子を含みその平均一次粒径が1μm以上50μm以下であるリチウム含有複合酸化物は、単結晶粒子の粒径がミクロンオーダーで比較的大きいため、仮に単結晶粒子同士の間に結晶粒界があったとしても、その量は比較的少なくなる。また、単結晶粒子が比較的大きければ、電解液と接触する面積が小さくなることで電解液の分解する領域が減少する。その結果、二次電池の充放電に伴う活物質粒子の崩壊および電解液の分解が抑制され、電池特性、なかでもサイクル特性に優れる二次電池が得られる。このような効果は、金属リチウム基準で4.3V以上の高電圧まで充電を行う非水電解液二次電池において顕著である。
なお、本明細書における「一次粒子」としては、単体粒子(単粒子)、または、多結晶体あるいは凝集体を構成する最小単位の粒子が挙げられる。したがって、凝集体および多結晶体は、「二次粒子」として扱う。凝集体や多結晶体との判別は困難である、複数の粒子同士が焼結結合してなる粗大粒子も、二次粒子の範疇である。また、「平均一次粒径」とは、単粒子の径、または、多結晶体、凝集体あるいは粗大粒子を構成する最小単位の粒子の径、つまり一次粒子の径を指す。
チウム含有複合酸化物粉末は、単結晶粒子の単粒子および/または単結晶粒子の凝集体を含むのが好ましい。単結晶粒子の単粒子および単結晶粒子の凝集体には、理論的には結晶粒界が存在しないため、このようなリチウム含有複合酸化物を非水電解液二次電池の正極活物質を用いた二次電池は、サイクル特性に非常に優れる。
さらに、上記のリチウム含有複合酸化物粉末は、比較的大きなサイズの単結晶粒子からなるため、均一かつ高密度で正極の活物質層に充填できる。その結果、上記のリチウム含有複合酸化物粉末を用いて、サイクル特性に優れ高容量を示す非水電解液二次電池が得られる。
発明は、上記のリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法であって、
少なくともマンガンおよびニッケルを含む金属含有原料とリチウム水酸化物とを、該金属含有原料に含まれる金属元素に対する該リチウム水酸化物に含まれるリチウムの原子比が、前記リチウムマンガンニッケル系酸化物の金属元素に対するリチウムの化学量論比の1.0倍を超え1.1倍以下となるように調製された反応原料を900℃以上で加熱する加熱反応工程を含むことを特徴とする。
リチウム供給源としてリチウム水酸化物を用い、上記の金属含有原料とリチウム水酸化物とをリチウム水酸化物の分解温度付近あるいは分解温度以上の高温で加熱することで、結晶構造がスピネル構造に属するリチウムマンガンニッケル系酸化物からなる単結晶粒子を含み平均一次粒径が1μm以上50μm以下であるリチウム含有複合酸化物粉末が容易に得られる。
また、本発明のリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法は、上記製造方法において、
前記加熱反応工程は、前記反応原料にさらに塩化リチウムを配合させて、前記金属含有原料をリチウム水酸化物および塩化リチウムの溶融塩中で反応させる工程であり、
さらに、前記加熱反応工程後の前記溶融塩を冷却する冷却工程と、生成された前記リチウムマンガンニッケル系酸化物を冷却後の固形物から回収する回収工程と、を含むことを特徴としてもよい。
すなわち、上記のリチウム含有複合酸化物粉末は、溶融塩法によっても合成可能である。添加される塩化リチウムはフラックスとしてはたらき反応に寄与しないと考えられるが、加熱反応工程において合成される単結晶粒子が凝集するのを抑制することができる。
上記のリチウム含有複合酸化物粉末は、リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池の正極活物質として使用することができる
上記のリチウム含有複合酸化物粉末をリチウムイオン二次電池のような非水電解液二次電池の正極活物質として使用した場合に、サイクル特性などの電池特性が向上する。
本発明のリチウム含有複合酸化物粉末(LiNi0.5Mn1.5粉末:実施例1)を走査電子顕微鏡(SEM)により観察した結果を示す図面代用写真である。 従来の方法により合成されたLiNi0.5Mn1.5粉末(比較例1−1)をSEMにより観察した結果を示す図面代用写真である。 従来の方法により合成されたLiNi0.5Mn1.5粉末(比較例1−2)をSEMにより観察した結果を示す図面代用写真である。 塩化リチウムを用いて合成した本発明のリチウム含有複合酸化物粉末(LiNi0.5Mn1.5粉末:実施例2)をSEMにより観察した結果を示す図面代用写真である。 塩化ナトリウムを用いて合成した比較例のリチウム含有複合酸化物粉末(LiNi0.5Mn1.5粉末:比較例2)をSEMにより観察した結果を示す図面代用写真である。 本発明および従来のリチウム含有複合酸化物粉末(LiNi0.5Mn1.5粉末)を正極活物質として使用した二次電池の充放電特性を示すグラフである。 本発明および従来のリチウム含有複合酸化物粉末(LiNi0.5Mn1.5粉末)を正極活物質として使用した二次電池のサイクル特性を示すグラフである。
以下に、本発明のリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a〜b」は、下限aおよび上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。
<リチウム含有複合酸化物粉末>
本発明のリチウム含有複合酸化物粉末は、少なくともリチウム、マンガンおよびニッケルを含み結晶構造がスピネル構造に属するリチウムマンガンニッケル系酸化物からなる粒子を含む。リチウムマンガンニッケル系酸化物は、二次電池の正極活物質として用いた場合に高いカットオフ電圧(たとえばLi基準で4.8V以上まで充電)で使用されることで、エネルギー密度が高くなり容量増加が期待される化合物である。
スピネル構造に属する結晶構造をもつリチウムマンガンニッケル系酸化物を組成式で表すのであれば、Li1+x(Ni0.5Mn1.51−x−yMe(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、(x+y)<1、MeはAl、Mg、CaおよびCoのうちの一種以上)である。なお、Liの一部がHに置換されていてもよく、原子比で60%以下さらには45%以下のLiがHに置換されてもよい。特に好ましくは、LiNi0.5Mn1.5である。リチウムマンガンニッケル系酸化物は、上記組成式またはLiNi0.5Mn1.5を基本組成とするものであり、言うまでもなく、不可避的に生じるLi、Ni、Mn、MeまたはOの欠損等により、上記組成式からわずかにずれた複合酸化物をも含む。リチウムマンガンニッケル系酸化物の結晶構造および組成の同定は、X線回折(XRD)、電子線回折、発光分光分析(ICP)などにより可能である。
本発明のリチウム含有複合酸化物粉末は、平均一次粒径が1μm以上50μm以下である。なお、平均一次粒径の測定は、SEMなどの顕微鏡写真から複数個の一次粒子の最大径(粒子を2本の平行線で挟んだとき平行線の間隔の最大値)を測定し、それらの平均値とする。平均一次粒径が上記の範囲にあれば、二次電池の充放電に伴う活物質粒子の崩壊および電解液の分解が抑制され、電池特性、なかでもサイクル特性に優れる二次電池が得られることは前述の通りである。
平均一次粒径が1μm以上の粉末は、工業的に取り扱いやすい。具体的には、電極の作製時に粒子同士の凝集が抑制され、活物質層に均一に分散させやすい。また、結晶性が高いため、活物質層における充填性、熱安定性、等の特性に優れる。好ましくは1.1μm以上、1.2μm以上、さらに好ましくは1.3μm以上である。一方、平均一次粒径が大きすぎると、電解液と接触して電池反応に寄与する表面が少なくなるが、平均一次粒径を50μm以下とすることで、容量やレート特性などの面で十分な電池特性が得られる。また、平均一次粒径が50μmを越えると、集電体に形成される正極活物質層の厚さ(通常30〜100μm程度)を考慮しても現実的ではない。好ましい平均一次粒径は30μm以下、25μm以下さらに好ましくは10μm以下である。
本発明のリチウム含有複合酸化物粉末は、単結晶の一次粒子の粒径が上記の範囲にあれば多結晶粒子や複数の粒子同士が焼結結合してなる粗大粒子を含んでもよいが、単結晶粒子の単粒子および/または単結晶粒子の凝集体を含むのが好ましい。本明細書において「単粒子」とは、複数の結晶粒からなる多結晶粒子や微粒子が複数凝集してなる二次粒子とは異なり、結晶粒界を含まない単一粒子からなる粒子を言う。なお、単粒子が単結晶であることは、たとえば、透過型電子顕微鏡による電子線回折像の解析によって知ることができる。
本発明のリチウム含有複合酸化物粉末を比表面積により規定するのであれば、0.01m/g以上2.0m/g以下であるのが好ましい。比表面積が上記の範囲にあれば、電解液との適度な接触面積が確保される。さらに好ましい粉末の比表面積は、0.05〜1.5m/g、0.1〜1.3m/gさらには0.5〜0.8m/gである。なお、本明細書において上記の比表面積は、リチウム含有複合酸化物粉末をBET法により測定した値を採用する。
<リチウム含有複合酸化物粉末の製造方法>
次に、上記本発明のリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法について、各工程を説明する。リチウム含有酸化物粉末の製造方法は、主として加熱反応工程を含む。
加熱反応工程においては、はじめに、Li、NiおよびMnの供給源を含む反応原料を調製する原料調製工程を行うとよい。Li供給源として、リチウム水酸化物を用いる。NiおよびMnなどの金属元素の供給源として、少なくともそれらを含む金属含有原料を用いる。いずれも粉末状で用いるのが好ましく、その粒径に特に限定はないが、100μm以下さらには50μm以下に篩い分けするなどして粗大な粒子を除くことが望ましい。原料調製工程を行う場合には、金属含有原料とリチウム水酸化物とを均一に混合して原料混合物を得るとよい。
リチウム水酸化物は、無水物水酸化リチウム(LiOH)を用いても水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)を用いてもよい。
金属含有原料は、少なくともNiおよびMn、必要に応じてAl、Mg、Ca、Co等の添加金属(Me)のうちの一種以上を含む材料であれば特に限定はない。それぞれの単体金属、Mn化合物、Ni化合物、さらには添加金属(Me)の化合物、を目的のリチウム含有複合酸化物粉末の組成に応じて併用するのがよい。特に好ましくは、Ni、MnおよびMeのうちの少なくとも一種を含む金属酸化物、金属水酸化物、その他の金属塩である。具体的には、Mn供給源であれば、二酸化マンガン(MnO)、三酸化二マンガン(Mn)、一酸化マンガン(MnO)、四三酸化マンガン(Mn)、水酸化マンガン(Mn(OH))、オキシ水酸化マンガン(MnOOH)、等が挙げられる。Ni供給源であれば、酸化ニッケル(NiO)、硝酸ニッケル(Ni(NO・6HO)、硫酸ニッケル(NiSO・6HO)、塩化ニッケル(NiCl・6HO)、等が挙げられる。また、添加金属(Me)の供給源としては、水酸化アルミニウム(Al(OH))、硝酸アルミニウム(Al(NO・9HO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、硝酸マグネシウム(Mg(NO・6HO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、酸化コバルト(CoO、Co)、硝酸コバルト(Co(NO・6HO)、水酸化コバルト(Co(OH))、塩化コバルト(CoCl・6HO)、硫酸コバルト(Co(SO)・7HO)などが挙げられる。これらの酸化物、水酸化物または金属塩に含まれる金属元素の一部が他の金属元素で置換された金属化合物であってもよい。
上記の金属化合物のうち、Mn供給源であればMnO、Mn、Mn、Ni供給源であればNi(OH)、が好ましく、入手が容易であるとともに、比較的高純度のものが入手しやすい。
また、金属含有原料は、加熱反応工程の前に金属含有原料合成工程を行い、少なくともマンガンイオンおよびニッケルイオンを含む水溶液をアルカリ性にして沈殿物(前駆体)として得るとよい。水溶液としては、水溶性の無機塩、具体的には金属元素の硝酸塩、硫酸塩、塩化物塩などを水に溶解し、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水などで水溶液をアルカリ性にすると、前駆体は沈殿物として生成される。前駆体を用いた製造方法を採用することで、除去が困難な副生成物(NiO)の生成が抑制されるため好ましい。得られた沈殿物は、乾燥させた後そのまま金属含有原料として使用してもよい。あるいは、得られた沈殿物を酸素含有雰囲気中で熱処理し、沈殿物を金属水酸化物から金属酸化物にした後で金属含有原料として使用してもよい。
金属含有原料とリチウム水酸化物との配合割合は、金属含有原料に含まれる金属元素(NiおよびMn必要に応じてMe)に対するリチウム水酸化物に含まれるLiの原子比が、目的のリチウムマンガンニッケル系酸化物の金属元素(Li除く)に対するLiの化学量論比の1.0倍を超え1.1倍以下となるように調製する。より好ましくは、1.03倍以上1.1倍以下さらには1.05倍以上1.1倍以下である。したがって、本製造方法は、反応において存在するリチウム量において、後述する塩化リチウムを用いた溶融塩法とは異なる。
加熱反応工程は、調製された反応原料を900℃以上で加熱する工程である。リチウム水酸化物の分解温度が925℃であることから、加熱反応工程は、900℃以上さらには930℃以上1300℃以下で行われるとよい。加熱温度が低い場合には、粗大な多結晶粒子が形成されやすい。加熱温度を高くすることで、単結晶粒子が形成されやすくなるが、900℃未満では、一次粒子の平均粒径が1μm未満の微細な単結晶粒子しか得られない。
加熱反応工程(本焼成)に先立ち、予備的な焼成(仮焼成)を行ってもよい。つまり、予備的な焼成を行う第一加熱反応工程と、必須の焼成工程である第二加熱反応工程(すなわち前述の加熱反応工程)と、の二段階の焼成を行ってもよい。二段階の焼成のうち、前者は主にNiおよびMn等をLiと反応させて目的の組成の複合酸化物を合成する工程であり、後者は主に粒子を成長させて所望の粒子構造にする工程である。第一加熱反応工程は、調製された反応原料を450〜700℃さらには600〜700℃で加熱する工程であるのが望ましい。加熱時間に特に限定はないが、1〜24時間さらには5〜14時間が望ましい。第二加熱反応工程は、第一加熱反応工程後の粉末をさらに焼成する工程であって、900℃以上さらには930℃以上1300℃以下で行うのが好ましい。加熱時間に特に限定はないが、1〜24時間さらには5〜14時間が望ましい。なお、第一加熱反応工程を行わず、第二加熱反応工程のみ(すなわち前述の加熱反応工程のみ)を行う場合には、第二加熱反応工程においてNiおよびMn等とLiとの反応および結晶成長が順に進行する。
また、加熱反応工程を行う雰囲気に特に限定はなく、大気中で行えばよい。スピネル構造を有する化合物は、高温で酸素欠損組成となりやすい。そのため、加熱反応工程後の冷却(冷却工程)を大気中のような酸素含有雰囲気で行うことで、スピネル構造を有するリチウム含有複合酸化物粉末が単相で得られやすい。加熱反応工程および冷却における雰囲気中の酸素ガス濃度は、50体積%以下さらには15〜25体積%とするのがよい。
加熱反応工程後の冷却速度に特に限定はないが、単結晶粒子を大きく成長させる観点から、反応温度から室温になるまで徐冷するのが望ましい。たとえば、加熱反応工程に用いた炉内で、室温になるまで炉冷するとよい。具体的には、100℃/時間以下、さらには50℃/時間以下の遅い冷却速度が望ましい。冷却速度の下限に特に限定はないが、たとえば10℃/時間未満の非常に遅い冷却速度では、生産効率がよくないため望ましくない。冷却の後、必要に応じて軽く粉砕などして、粉末状のリチウム含有複合酸化物粉末が得られる。
また、リチウム含有複合酸化物粉末の合成後に、そのLiの一部を水素(H)に置換するプロトン置換工程を行ってもよい。プロトン置換工程では、合成後のリチウム含有複合酸化物を希釈した酸などの溶媒に接触させることで、Liの一部が容易にHに置換する。
<塩化リチウムを用いたリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法>
加熱反応工程において、反応原料は、さらに塩化リチウムを含んでもよい。この場合、反応原料は、上記の配合割合の金属含有原料およびリチウム水酸化物にさらに塩化リチウムを含むため、加熱反応工程では、リチウム水酸化物および塩化リチウムの溶融塩中で金属含有原料を反応させることになる。その結果、生成物の一次粒子の凝集が抑制される。これ以下、塩化リチウムを用いた本発明のリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法を説明するが、既に説明した塩化リチウムを用いないリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法と異なる点のみを説明する。特記しない事項は、既に説明した塩化リチウムを用いないリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法と同様である。
反応原料に含まれる塩化リチウムの配合割合に特に限定はないが、金属含有原料に含まれる金属元素(NiおよびMn必要に応じてMe)に対する塩化リチウムに含まれるLiの原子比が、目的のリチウムマンガンニッケル系酸化物の金属元素(Li除く)に対するLiの化学量論比の5倍以上15倍以下さらには10倍以上15倍以下であるのが望ましい。5倍以上であれば、金属含有原料を分散させる溶融塩が十分に存在し、溶融塩中における生成物の凝集が抑制される。しかし、15倍を超えると、使用する溶融塩原料の量に対して生成物の量が少なくなるため、製造効率の面で望ましくない。
また、塩化リチウムを用いる場合には、溶融塩中で反応が進行する。そのため、金属含有原料、リチウム水酸化物および塩化リチウムは、粗大な粒子を含んでもよく、前述のような篩い分けの工程や、各原料を均一に混合する混合工程などを省略してもよい。
塩化リチウムを用いる場合には、加熱反応工程に先立ち、少なくともリチウム水酸化物を乾燥させる乾燥工程を行うとよい。乾燥工程は、主に、水酸化リチウム一水和物を脱水することを目的とするが、無水水酸化リチウムを用いる場合であっても、金属含有原料に吸湿性の高い化合物を使用する場合には、有効である。加熱反応工程において水酸化リチウムを含む溶融塩中に存在する水は、非常にpHが高くなる。pHの高い水の存在下で加熱反応工程が行われると、その水が坩堝と接触することで、坩堝の種類によっては坩堝の成分が微量ではあるが溶融塩に溶出する可能性がある。乾燥工程では、原料混合物の水分が除去されるため、坩堝の成分の溶出抑制につながる。また、乾燥工程において原料混合物から水分を除去することで、単結晶育成工程において水が沸騰して溶融塩が飛散するのを防止できる。乾燥工程は、真空乾燥器を用いるのであれば、80〜150℃で2〜24時間真空乾燥するとよい。
加熱反応工程は、調製された反応原料を900℃以上で加熱する工程である。塩化リチウムの融点が613℃であることから、900℃以上であれば塩化リチウムの溶融塩が得られる。加熱反応工程は、900℃以上さらには930℃以上1300℃以下で行われるとよい。900℃未満では、溶融した塩化リチウムによるニッケルの還元が発生することがあるため望ましくない。しかし、1300℃を越えると、塩化リチウムが蒸発して溶融塩の形態を取れなくなるため望ましくない。また、加熱反応工程における加熱時間に特に限定はないが、30分〜24時間さらには5〜14時間が望ましい。
加熱反応工程後の冷却速度に特に限定はないが、単結晶粒子を大きく成長させる観点から、反応温度から室温になるまで徐冷するのが望ましい。たとえば、加熱反応工程に用いた炉内で炉冷するとよい。具体的には、100℃/時間以下、さらには50℃/時間以下の遅い冷却速度が望ましい。冷却速度の下限に特に限定はないが、たとえば10℃/時間未満の非常に遅い冷却速度では、生産効率がよくないため望ましくない。冷却工程後には、塩化リチウムの溶融塩は凝固するため、合成されたリチウム含有複合酸化物と溶融塩との混合物が固形物で得られる。
塩化リチウムを用いる場合には、生成された目的のリチウムマンガンニッケル系酸化物を冷却後の固形物から回収する回収工程が必要となる。具体的には、冷却工程により固化した溶融塩を極性プロトン性溶媒に溶解させて、固化した溶融塩から単結晶育成工程で生成されたリチウム含有複合酸化物を分離する分離回収工程であるとよい。極性プロトン性溶媒は、凝固した溶融塩(つまり塩化リチウム)を溶解することができるため本工程に採用される。極性プロトン性溶媒の具体例としては、イオン交換水などの純水、エタノールなどのアルコール類、等が挙げられ、これらのうちの一種を単独、二種以上を混合して使用してもよい。凝固した溶融塩は極性プロトン性溶媒に容易に溶解し、極性プロトン性溶媒に溶解しにくいリチウム含有複合酸化物は溶媒中に溶け残る。そのため、溶融塩とリチウム含有複合酸化物とは、容易に分離される。リチウム含有複合酸化物粉末の回収方法に特に限定はないが、溶液を遠心分離したり濾過したりして、回収可能である。回収後のリチウム含有複合酸化物を乾燥させてもよい。回収工程の後、必要に応じて軽く粉砕などして、粉末状のリチウム含有複合酸化物粉末が得られる。
<二次電池>
本発明のリチウム含有複合酸化物は、非水電解液二次電池のような二次電池、たとえばリチウムイオン二次電池用正極活物質として用いることができる。以下に、上記複合酸化物を含む正極活物質を用いた非水電解液二次電池を説明する。非水電解液二次電池は、主として、正極、負極および非水電解液を備える。また、一般の非水電解液二次電池と同様に、正極と負極の間に挟装されるセパレータを備える。
正極は、リチウムイオンを挿入・脱離可能な正極活物質と、正極活物質を結着する結着剤と、を含む。さらに、導電助材を含んでもよい。正極活物質は、上記本発明の複合酸化物を単独、あるいは、本発明により得られる効果に悪影響のない範囲で、上記本発明の複合酸化物とともに一般の非水電解液二次電池に用いられる一種以上の他の正極活物質を含んでもよい。
また、結着剤および導電助材にも特に限定はなく、一般の非水電解液二次電池で使用可能なものであればよい。導電助材は、電極の電気伝導性を確保するためのものであり、たとえば、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛などの炭素物質粉状体の1種または2種以上を混合したものを用いることができる。結着剤は、正極活物質および導電助材を繋ぎ止める役割を果たすもので、たとえば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂などを用いることができる。
正極に対向させる負極は、負極活物質である金属リチウムをシート状にして、あるいはシート状にしたものをニッケル、ステンレス等の集電体網に圧着して形成することができる。金属リチウムのかわりに、リチウム合金またはリチウム化合物をも用いることができる。また、正極同様、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる負極活物質と結着剤とからなる負極を使用してもよい。負極活物質としては、たとえば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができる。結着剤としては、正極同様、含フッ素樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
正極および負極は、少なくとも正極活物質または負極活物質が結着剤で結着されてなる活物質層が、集電体に付着してなるのが一般的である。そのため、正極および負極は、活物質および結着剤、必要に応じて導電助材を含む電極合材層形成用組成物を調製し、さらに適当な溶剤を加えてペースト状にしてから集電体の表面に塗布後、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成することができる。
集電体は、金属製のメッシュや金属箔を用いることができる。集電体としては、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅などの金属材料または導電性樹脂からなる多孔性または無孔の導電性基板が挙げられる。多孔性導電性基板としては、たとえば、メッシュ体、ネット体、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、不織布などの繊維群成形体、などが挙げられる。無孔の導電性基板としては、たとえば、箔、シート、フィルムなどが挙げられる。電極合材層形成用組成物の塗布方法としては、ドクターブレード、バーコーターなどの従来から公知の方法を用いればよい。
粘度調整のための溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)などが使用可能である。
非水電解液には、有機溶媒に電解質を溶解させた一般的な有機溶媒系電解液を用いればよい。本発明のリチウム含有複合酸化物粉末を正極活物質として使用することで、非水電解液二次電池に使用される一般的な電解液の分解が抑制される。
一般に、有機溶媒は、負荷特性の点から鎖状エステルを含んでいることが好ましい。そのような鎖状エステルとしては、たとえば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートに代表される鎖状のカーボネートや、酢酸エチル、プロピロン酸メチルなどの有機溶媒が挙げられる。これらの鎖状エステルは、単独でもあるいは2種以上を混合して用いてもよく、特に、低温特性の改善のためには、上記鎖状エステルが全有機溶媒中の50体積%以上を占めることが好ましく、特に鎖状エステルが全有機溶媒中の65体積%以上を占めることが好ましい。
ただし、放電容量の向上をはかるために、上記鎖状エステルのみで構成するよりも、上記鎖状エステルに誘導率の高い(誘導率:30以上)エステルを混合した有機溶媒を用いることが好ましい。このようなエステルの具体例としては、たとえば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートに代表される環状のカーボネートや、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールサルファイトなどが挙げられ、特にエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状構造のエステルが好ましい。そのような誘電率の高いエステルは、放電容量の点から、全有機溶媒中10体積%以上、特に20体積%以上含有されることが好ましい。また、負荷特性の点からは、40体積%以下が好ましく、30体積%以下がより好ましい。
上記のうち広く使用されているのは、エチレンカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む電解液であって、本発明のリチウム含有複合酸化物粉末の使用は、このような電解液に対しても有効である。
有機溶媒に溶解させる電解質としては、たとえば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)などが単独でまたは2種以上混合して用いられる。中でも、良好な充放電特性が得られるLiPFやLiCSOなどが好ましく用いられる。
電解液中における電解質の濃度は、特に限定されるものではないが、0.3〜1.7mol/dm、特に0.4〜1.5mol/dm程度が好ましい。
また、電池の安全性や貯蔵特性を向上させるために、非水電解液に芳香族化合物を含有させてもよい。芳香族化合物としては、シクロヘキシルベンゼンやt−ブチルベンゼンなどのアルキル基を有するベンゼン類、ビフェニル、あるいはフルオロベンゼン類が好ましく用いられる。
セパレータとしては、強度が充分でしかも電解液を多く保持できるものがよく、そのような観点から、5〜50μmの厚さで、ポリプロピレン製、ポリエチレン製、プロピレンとエチレンとの共重合体などポリオレフィン製の微孔性フィルムや不織布などが好ましく用いられる。特に、5〜20μmと薄いセパレータを用いた場合には、充放電サイクルや高温貯蔵などにおいて電池の特性が劣化しやすく、安全性も低下するが、上記の複合酸化物を正極活物質として用いたリチウムイオン二次電池は安定性と安全性に優れているため、このような薄いセパレータを用いても安定して電池を機能させることができる。
以上の構成要素によって構成される非水電解液二次電池の形状は円筒型、積層型、コイン型等、種々のものとすることができる。いずれの形状を採る場合であっても、正極と負極との間にセパレータを挟装させ電極体とする。そして正極集電体および負極集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電用リードなどで接続し、この電極体に上記電解液を含浸させ電池ケースに密閉し、非水電解液二次電池が完成する。
なお、本発明の二次電池の使用時における充電のカットオフ電圧は、金属リチウム基準(Li/Liを基準)で4.3V以上さらには4.8V以上に設定するのが望ましい。本発明のリチウム含有複合酸化物粉末を使用することで、従来4.3V以上の充放電で生じやすい電解液の分解が抑制される。特に、本発明のリチウム含有複合酸化物粉末は、4.8V付近で効率よく充放電を行うため、充電のカットオフ電圧を4.8〜5.0Vの範囲で設定するのが好ましい。
以上説明した本発明のリチウム含有複合酸化物粉末を用いた二次電池は、携帯電話、パソコン等の通信機器、情報関連機器の分野の他、自動車の分野においても好適に利用できる。たとえば、この二次電池を車両に搭載すれば、二次電池を電気自動車用の電源として使用できる。
以上、本発明のリチウム含有複合酸化物およびその製造方法、さらには二次電池の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明のリチウム含有複合酸化物およびその製造方法の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
<実施例1:LiNi0.5Mn1.5の高温合成>
0.67molの無水水酸化リチウム(LiOH、25.6g)と、金属化合物原料として前駆体(100g)と、を混合して原料混合物を調製した。以下に、前駆体の合成手順を説明する。
0.30molのMn(NO・6HO(86.1g)と、0.10molのNi(NO・6HO(29.0g)と、を500mLの蒸留水に溶解させて金属塩含有水溶液を作製した。この水溶液を氷浴中でスターラーを用いて撹拌しながら、50g(1.2mol)のLiOH・HOを300mLの蒸留水に溶解させたものを2時間かけて滴下して水溶液をアルカリ性とし、金属水酸化物の沈殿を析出させた。この沈殿溶液を5℃に保持したまま酸素雰囲気下で1日熟成を行った。得られた沈殿物を濾過、蒸留水を用いて洗浄することによりNiおよびMnをMn:Ni=3:1で含む金属水酸化物を得た。この金属水酸化物を500℃で2時間焼成して、金属酸化物からなる前駆体を得た。
なお、得られた前駆体は、XRD測定および発光分光分析(ICP)により、MnおよびNiOの混合相からなることが確認された。そのため、この前駆体100gのNiおよびMnの合計の含有量は1.28molである。したがって、原料混合物に含まれるLi、MnおよびNiのモル比は、Li:(Ni+Mn)=1.05:2となり、このLi量は、目的のLiNi0.5Mn1.5のNiおよびMnに対するLiの化学量論比(Li:(Ni+Mn)=1:2)の1.05倍であった。
なお、LiNi0.5Mn1.5は、組成式、Li1+x(Ni0.5Mn1.51−x−yMe(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、(x+y)<1、MeはAl、Mg、CaおよびCoのうちの一種以上)において、x=0、y=0の場合に相当する。
上記の手順で得られた原料混合物をアルミナ製坩堝に入れて、600℃に加熱したマッフル炉内で大気中6時間加熱し、仮焼成を行った。その後、マッフル炉内で室温まで徐冷した。冷却後の粉末は、乳鉢と乳棒を用いて粉砕した。
次いで、仮焼成後の粉末を、1000℃に加熱したマッフル炉内で大気中6時間加熱し、本焼成を行った。その後、マッフル炉内で室温まで徐冷した。全体が室温(25℃)となるまでに24時間要したため、冷却速度は40℃/時間であった。冷却後の粉末は、乳鉢と乳棒を用いて粉砕した。
得られた粉末について、発光分光分析(ICP)および酸化還元滴定によるMnの平均価数分析をおこなった。その結果、組成はLiNi0.5Mn1.5であると確認された。また、得られた粉末についてCuKα線を用いたX線回折(XRD)測定を行った。XRDによれば、得られた化合物はスピネル構造であることがわかった。
なお、Mnの価数評価は、次のように行った。0.05gの試料を三角フラスコに取り、シュウ酸ナトリウム水溶液(1%)40mLを正確に加え、さらにHSOを50mL加えて窒素ガス雰囲気中90℃水浴中で試料を溶解した。この溶液に、過マンガン酸カリウム水溶液(0.1N)を滴定し、微紅色にかわる終点(滴定量:V1)まで行った。別のフラスコに、シュウ酸ナトリウム水溶液(1%)20mLを正確に取り、上記と同様に過マンガン酸カリウム水溶液(0.1N)を終点まで滴定した(滴定量:V2)。V1およびV2から下記の式により、高価数のMnがMn2+に還元された時のシュウ酸の消費量を酸素量(活性酸素量)として算出した。
活性酸素量(%)={(2×V2−V1)×0.00080/試料量}×100
上記の式において、V1およびV2の単位はmL、試料量の単位はgである。そして、試料中のMn量(ICP測定値)と活性酸素量からMnの平均価数を算出した。
<比較例1−1:固相法によるLiNi0.5Mn1.5の低温合成I>
実施例1で調製した原料混合物を用い、LiNi0.5Mn1.5を低温で合成した。
上記の手順で得られた原料混合物をアルミナ製坩堝に入れて、700℃に加熱したマッフル炉内で大気中12時間加熱し、仮焼成を行った。その後、マッフル炉内で室温まで徐冷した。冷却後の粉末は、乳鉢と乳棒を用いて粉砕した。
次いで、仮焼成後の粉末を、800℃に加熱したマッフル炉内で大気中6時間加熱し、本焼成を行った。その後、マッフル炉内で室温まで徐冷した。全体が室温(25℃)となるまでに24時間要したため、冷却速度は32℃/時間であった。冷却後の粉末は、乳鉢と乳棒を用いて粉砕した。
得られた粉末について、ICPおよび酸化還元滴定によるMnの平均価数分析をおこなった。その結果、組成はLiNi0.5Mn1.5であると確認された。また、得られた粉末についてCuKα線を用いたXRD測定を行った。XRDによれば、得られた化合物はスピネル構造であることがわかった。
<比較例1−2:固相法によるLiNi0.5Mn1.5の低温合成II>
実施例1で調製した原料混合物を用い、LiNi0.5Mn1.5を低温で合成した。
上記の手順で得られた原料混合物をアルミナ製坩堝に入れて、700℃に加熱したマッフル炉内で大気中6時間加熱し、仮焼成を行った。その後、マッフル炉内で室温まで徐冷した。冷却後の粉末は、乳鉢と乳棒を用いて粉砕した。
次いで、仮焼成後の粉末を、650℃に加熱したマッフル炉内で大気中12時間加熱し、本焼成を行った。その後、マッフル炉内で室温まで徐冷した。全体が室温(25℃)となるまでに24時間要したため、冷却速度は26℃/時間であった。冷却後の粉末は、乳鉢と乳棒を用いて粉砕した。
得られた粉末について、ICPおよび酸化還元滴定によるMnの平均価数分析をおこなった。その結果、組成はLiNi0.5Mn1.5であると確認された。また、得られた粉末についてCuKα線を用いたXRD測定を行った。XRDによれば、得られた化合物はスピネル構造であることがわかった。
<実施例2:LiClを用いた溶融塩法によるLiNi0.5Mn1.5の合成>
0.67molの無水水酸化リチウム(LiOH、25.6g)と、金属化合物原料として前駆体(100g)と、を混合して原料混合物を調製した。前駆体は、実施例1と同じ前駆体を用いた。したがって、原料混合物に含まれるLi、MnおよびNiのモル比は、Li:(Ni+Mn)=1.05:2となり、このLi量は、目的のLiNi0.5Mn1.5のNiおよびMnに対するLiの化学量論比(Li:(Ni+Mn)=1:2)の1.05倍であった。
上記の原料混合物に、5.73molの塩化リチウム(LiCl、242.95g)を添加した。LiClに含まれるLiと原料混合物に含まれるMnおよびNiのモル比は、Li:(Ni+Mn)=5:1となり、このLi量は、目的のLiNi0.5Mn1.5のNiおよびMnに対するLiの化学量論比(Li:(Ni+Mn)=1:2)の10倍であった。
このLiCl含有原料混合物をアルミナ製坩堝に入れて、真空乾燥容器にて120℃で12時間真空乾燥した。その後、乾燥機を大気圧に戻し、原料混合物の入った坩堝を取り出し、直ちに900℃のマッフル炉に移し、900℃の大気中で3時間加熱した。このとき、坩堝の中の原料混合物は融解して溶融塩となり、黒色の生成物が沈殿していた。
その後、炉内で溶融塩の入った坩堝を室温まで冷却し、坩堝を電気炉から取り出した。溶融塩が固化して室温(25℃)となるまでに24時間要したため、冷却速度は36℃/時間であった。溶融塩が十分に冷却されて固体化した後、坩堝ごと200mLのイオン交換水に浸し、攪拌することで、固体化した溶融塩を水に溶解した。生成物は水に不溶性であるため、水は黒色の懸濁液となった。黒色の懸濁液を濾過すると、透明な濾液と、濾紙上に黒色固体の濾物と、が得られた。
得られた濾物をさらにアセトンを用いて十分に洗浄しながら濾過した。洗浄後の黒色固体を120℃の恒温槽で12時間以上保持した後、乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、黒色粉末を得た。
得られた粉末について、ICPおよび酸化還元滴定によるMnの平均価数分析をおこなった。その結果、組成はLiNi0.5Mn1.5であると確認された。また、得られた粉末についてCuKα線を用いXRD測定を行った。XRDによれば、得られた化合物はスピネル構造であることがわかった。
<比較例2:NaClを用いた溶融塩法によるLiNi0.5Mn1.5の合成>
塩化リチウムを用いず塩化ナトリウムを用い、合成温度を変更した他は実施例2と同様にして、LiNi0.5Mn1.5を合成した。
具体的には、0.67molの無水水酸化リチウム(LiOH、25.6g)と、金属化合物原料として前駆体(100g)と、を混合して原料混合物を調製し、さらに、5.73molの塩化ナトリウム(NaCl、335g)を添加した。このNaCl含有原料混合物をアルミナ製坩堝に入れて、1000℃で12時間加熱した。その他の手順は、実施例2と同様とした。
得られた粉末について、ICPおよび酸化還元滴定によるMnの平均価数分析をおこなった。その結果、組成はLiNi0.5Mn1.5であると確認された。また、得られた粉末についてCuKα線を用いたXRD測定を行った。XRDによれば、得られた化合物はスピネル構造であることがわかった。
<粒子の観察>
上記の手順で合成された実施例および比較例のリチウム含有複合酸化物粉末を、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。各リチウム含有複合酸化物粉末の観察結果を、図1〜図5にそれぞれ示した。
実施例1(図1)、比較例1−1(図2)、実施例2(図4)および比較例2(図5)では、単結晶粒子に特徴的な面や稜が見られることから、単結晶性の一次粒子を含むことが分かった。また、SEM観察(ただし比較例1−2はTEM観察)により得られた複数の粒子の画像から、粒子の最大径を測定し、平均一次粒径を算出した。結果は次の通りであった。
実施例1 : 8μm
比較例1−1:950nm
比較例1−2: 80nm(ただし二次粒子は多結晶粒子)
実施例2 :1.3μm
比較例2 :620nm
<比表面積の測定>
低温低湿物理吸着によるBET法(吸着質:窒素)を用い、各実施例のリチウム含有複合酸化物粉末の比表面積を測定した。結果は次の通りであった。
実施例1 : 0.61m/g
比較例1−1: 1.28m/g
比較例1−2: 3.23m/g
実施例2 : 0.79m/g
比較例2 : 1.59m/g
<電子線回折>
実施例1および2のリチウム含有複合酸化物粉末を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、加速電圧200kVの条件下の制限視野電子線回折を行い、単結晶の同定および評価を行った。一つの粒子全体を制限視野に入れた制限視野電子線回折パターンは、いずれの粒子を観察しても、単結晶の特徴を示す規則的な回折点が観察された。また、一つの粒子における同一の面内の異なる位置から得られる回折パターンは、互いに同一の面指数を示す回折点として観察された。したがって、一次粒子は結晶粒界のない単結晶粒子であることがわかった。
一方、比較例1−2について同様のTEM観察を行うと、一つの粒子全体を制限視野に入れた制限視野電子線回折パターンは、多結晶の特徴を示す不規則な回折パターンであった。したがって、比較例1−2は、多結晶粒子の単粒子からなることがわかった。
<充放電試験>
上記の手順で合成された実施例1、比較例1−1および1−2のリチウム含有複合酸化物粉末を、それぞれ正極活物質として用い、三種類の二次電池を作製した。
いずれかの複合酸化物、導電助剤としてのアセチレンブラック、結着材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を質量比で50:40:10の割合で混合した。次いで、この混合物を集電体であるアルミニウムメッシュに圧着した。その後、120℃で12時間以上真空乾燥し、電極(正極:φ12mm)とした。正極に対向させる負極は、金属リチウム(φ14mm、厚さ30μm)とした。
正極および負極の間にセパレータとして厚さ20μmの微孔性ポリエチレンフィルムを挟装して電極体電池とした。この電極体電池を電池ケース(宝泉株式会社製CR2032コインセル)に収容した。また、電池ケースには、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒にLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解した非水電解液を注入して、リチウムイオン二次電池を得た。
作製した二次電池を用いて室温(25℃)において充放電試験を行った。充電は0.2Cのレートで5.0Vまで定電流充電を行い、その後0.02Cの電流値まで一定電圧で充電を行った。放電は、3.5Vまで0.2Cのレートで行った。それぞれの二次電池の5サイクル目の充放電カーブを図6に示した。また、初回から50サイクル目までの放電容量の変化を図7に示した。
<評価結果>
図1〜図3は、本焼成の温度が異なるLiNi0.5Mn1.5粉末のSEM像である。本焼成の温度は、図1(実施例1)が1000℃、図2(比較例1−1)が800℃、図3(比較例1−2)が650℃であった。非常に低温で本焼成を行った比較例1−2では、粗大な粒子を含む粉末が合成されたが、この粒子は、非常に微細な単結晶粒子から構成される多結晶の二次粒子であった。比較例1−2よりも高い温度で本焼成を行った比較例1−1では、微細な単結晶一次粒子が複数集まって二次粒子を形成した。この二次粒子が、単結晶の凝集体であるか単結晶が焼結結合した粗大粒子であるかの判別は困難であるが、二次粒子を構成する一次粒子の平均粒径は1μm未満の微細な粒子であった。さらに高い温度で本焼成を行った実施例1では、1.2〜9.5μm程度の粒径の単結晶一次粒子からなる粉末が得られた。
また、図6より、実施例1、比較例1−1および1−2で得られたLiNi0.5Mn1.5粉末を正極活物質として用いた二次電池は、いずれもLi基準で4.8V付近で効率よく充放電が行われることが確認できた。しかし、SEMにより観察された粒子構造の違いから、放電容量とその安定性に差が生じることが分かった。
図6および図7から、比較例1−1および1−2で得られたLiNi0.5Mn1.5粉末を用いた二次電池の2〜7サイクル目あたりの放電容量に、大きな差はなかった。しかし、サイクル特性は、比較例1−1で得られたLiNi0.5Mn1.5粉末を用いた二次電池の方が優れていた。これは、比較例1−2にて合成された粉末に多結晶粒子が含まれており、多結晶粒子を構成する結晶粒界が、充放電に伴う粒子の崩壊および電解質の分解の原因となったためであると考えられる。比較例1−1は、サイクル特性に優れているため、比較例1−1で得られたLiNi0.5Mn1.5粉末は単結晶微粒子の凝集体であって、結晶粒界が無く不純物が少なかったと推測される。サイクル特性がよくても高い放電容量が得られなかったのは、合成中に酸素の脱離が発生してLiNi0.5Mn1.5から組成が大きくずれたためであると考えられる。さらに、50サイクル後には、比較例1−2で得られたLiNi0.5Mn1.5粉末を用いた二次電池に膨れが見られ、これは充放電により発生したガスによると推測される。一方、実施例1で得られたLiNi0.5Mn1.5粉末を用いた二次電池は、サイクル特性に優れ、初回から50サイクル目に至るまで、高い放電容量を示した。これは、一次粒子が比較的大きな単結晶粒子であることから、サイクル特性の低下の原因となる結晶粒界が少なく、比表面積が小さいためである。つまり、本発明のリチウム含有複合酸化物粉末を用いることで、高容量でサイクル特性に優れた非水電解液二次電池が得られることがわかった。
なお、前述の特許文献2に記載の固相法は、比較例1−1と同様にLiOHを使用しており、同程度の温度で焼成されている。そのため、特許文献2に記載の固相法によれば、図2に示した微細な単結晶微粒子の凝集体が得られるものと推測される。
図4および図5は、LiClまたはNaClをフラックスとして用いた溶融塩法により得られたLiNi0.5Mn1.5粉末である。LiClを用いた実施例2で得られたLiNi0.5Mn1.5粉末は、1〜5μm程度の粒径の単結晶一次粒子からなる粉末であった。したがって、実施例2で得られたLiNi0.5Mn1.5粉末を正極活物質として含む二次電池も、実施例1と同様にサイクル特性に優れると推測される。また、実施例1のLiNi0.5Mn1.5粉末は、図1において単結晶粒子同士が直接隣接する箇所が部分的に観察されたが、実施例2では、ほとんどの単結晶粒子は、それぞれ独立した単粒子であった。つまり、LiClをフラックスとして用いることで、単結晶粒子を単粒子で得ることができることが分かった。一方、NaClを用いた比較例2で得られたLiNi0.5Mn1.5粉末は、1μm未満の非常に微細な粒子から構成された二次粒子を含んだ。すなわち、NaClをフラックスとして用いても、単結晶粒子の凝集を抑制する効果は無く、一次粒子が微細となり、所望のLiNi0.5Mn1.5粉末は得られないと言える。

Claims (6)

  1. 少なくともリチウム、マンガンおよびニッケルを含み結晶構造がスピネル構造に属するリチウムマンガンニッケル系酸化物からなる単結晶の一次粒子を含み、該一次粒子の平均粒径である平均一次粒径が1μm以上50μm以下のリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法であって、
    少なくともマンガンおよびニッケルを含む金属含有原料とリチウム水酸化物とを、該金属含有原料に含まれる金属元素に対する該リチウム水酸化物に含まれるリチウムの原子比が、前記リチウムマンガンニッケル系酸化物の金属元素に対するリチウムの化学量論比の1.0倍を超え1.1倍以下となるように調製された反応原料を900℃以上で加熱する加熱反応工程を含むことを特徴とするリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法。
  2. 前記加熱反応工程の前に、少なくともマンガンイオンおよびニッケルイオンを含む水溶液をアルカリ性にして前記金属含有原料を沈殿物として得る金属含有原料合成工程を含む請求項に記載のリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法。
  3. 前記加熱反応工程は、930℃以上1300℃以下で前記反応原料を加熱する工程である請求項またはに記載のリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法。
  4. 前記加熱反応工程は、前記金属含有原料と前記リチウム水酸化物とを、該金属含有原料に含まれる金属元素に対する該リチウム水酸化物に含まれるリチウムの原子比が、前記リチウムマンガンニッケル系酸化物の金属元素に対するリチウムの化学量論比の1.05倍以上1.1倍以下となるように調製する工程である請求項またはに記載のリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法。
  5. 請求項のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法において、
    前記加熱反応工程は、前記反応原料にさらに塩化リチウムを配合させて、前記金属含有原料をリチウム水酸化物および塩化リチウムの溶融塩中で反応させる工程であり、
    さらに、前記加熱反応工程後の前記溶融塩を冷却する冷却工程と、生成された前記リチウムマンガンニッケル系酸化物を冷却後の固形物から回収する回収工程と、を含むことを特徴とするリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法。
  6. 前記金属含有原料に含まれる前記金属元素に対する塩化リチウムに含まれるリチウムの原子比が、前記リチウムマンガンニッケル系酸化物の金属元素に対するリチウムの化学量論比の5倍以上15倍以下である請求項に記載のリチウム含有複合酸化物粉末の製造方法。
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