JP6155957B2 - 正極活物質粒子粉末及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池 - Google Patents

正極活物質粒子粉末及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

初期充放電効率及びエネルギー密度が高い非水電解質二次電池用正極活物質粒子粉末を提供する。
近年、AV機器やパソコン等の電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として小型、軽量で高エネルギー密度を有する二次電池への要求が高くなっている。また、近年地球環境への配慮から、電気自動車、ハイブリッド自動車の開発及び実用化がなされ、大型用途として保存特性の優れたリチウムイオン二次電池への要求が高くなっている。このような状況下において、充放電容量が大きいという長所を有するリチウムイオン二次電池が注目されている。
従来、4V級の電圧をもつ高エネルギー型のリチウムイオン二次電池に有用な正極活物質としては、スピネル型構造のLiMn、ジグザグ層状構造のLiMnO、層状岩塩型構造のLiCoO、LiNiO等が一般的に知られており、なかでもLiNiOを用いたリチウムイオン二次電池は高い充放電容量を有する電池として注目されてきたが、この材料は、充電時の熱安定性及びサイクル特性に劣るため、更なる特性改善が求められている。
近年、更なる高容量化の要望を受けて、より高容量のLiMnOを含む正極活物質が高い放電容量を示すことが見出されているが、この材料は初回充電時にLiO脱離を伴う構造変化により初期充放電効率が低下する(非特許文献1)。
初期充放電効率の改善方法としては、正極活物質に対する酸処理(特許文献1)が報告されているが、サイクル特性の低下や、比表面積の増加によって塗料化が困難になる点や、設備コストの点で問題がある。
また、VのようなLi吸蔵材をLiMnO含有正極活物質に混合する方法によって改善されたという報告(非特許文献2)があるものの、Li吸蔵材の特性は限られており、混合により初期充放電効率は向上するが、Vの放電電圧が低いために、混合物のエネルギー密度が低下してしまう。
さらに、Li吸蔵材としてNa含有化合物を用いた報告もある(特許文献2)。特にP2構造のNa含有酸化物はエネルギー密度が高いため、混合によりエネルギー密度をあまり損なわずに初期充放電効率を向上させることができる。しかしこの方法は別々に合成した2つの物質を混合するための後工程が必要になるということや、粉末の状態で混合するため均一性に欠け、高いエネルギー密度が得られないということが問題であった。
米国特許出願公開第2005/0026040号明細書 国際公開第2008/081839号
C. S. Johnson, J. S. Kim, C. Lefief, J. T. Vaughey and M. M. Thackeray, 「Electrochemistry Communications」, 2004, volume6, pages1085−1091 J. Gao, J. Kim and A. Manthiram, 「Electrochemistry Communications」, 2009, volume11, pages84−86
正極活物質の初期充放電効率が低いと負極活物質の量も必要になるため、電池としてのエネルギー密度が減少してしまう。エネルギー密度の高い非水電解質二次電池及びその正極活物質は、現在最も要求されているところであるが、未だ必要十分な要求を満たす材料は得られていない。
特に、電気自動車等では、軽量で大容量の二次電池が渇望されている。
そこで、本発明は、初期充放電効率及びエネルギー密度が高い非水電解質二次電池用正極活物質粒子粉末、その製造方法及び該正極活物質粒子粉末を含有する正極を用いた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、LiとNaとMnとNi及び/又はCoとを含有する複合酸化物からなる正極活物質粒子粉末であり、該正極活物質粒子粉末のCu−Kα線を使用した粉末X線回折図の2θ=20.8±1°における最大回折ピークの強度(a)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの強度(b)との相対強度比(a)/(b)が0.02〜0.2であり、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの強度(c)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの強度(b)との相対強度比(c)/(b)が0.001〜0.1であり、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅が0.05〜0.8であることを特徴とする正極活物質粒子粉末である(本発明1)。
また、本発明は、Na含有量が0.1〜2.5wt%である本発明1に記載の正極活物質粒子粉末である(本発明2)。
また、本発明は、Mn含有量がモル比でMn/(Ni+Co+Mn)が0.5以上である本発明1又は2に記載の正極活物質粒子粉末である(本発明3)。
また、本発明は、Li含有量がモル比でLi/(Ni+Co+Mn)が1.25〜1.65である本発明1〜3のいずれかに記載の正極活物質粒子粉末である(本発明4)。
また、本発明は、前駆体粒子粉末がNa含有アルカリ水溶液を使用した共沈法により作製され、Mn含有量がモル比でMn/(Ni+Co+Mn)が0.5以上であり、NaとMnとNi及び/又はCoとを含有する前駆体粒子粉末と、リチウム化合物とを含有する混合物を500〜1500℃の範囲で焼成する本発明1〜4のいずれかに記載の正極活物質粒子粉末の製造方法である(本発明5)。
また、本発明は、NaとMnとNi及び/又はCoとを含有する前駆体粒子粉末のNa含有量が0.08〜2.5wt%である本発明5に記載の正極活物質粒子粉末の製造方法である(本発明6)。
また、本発明は、NaとMnとNi及び/又はCoとを含有する前駆体粒子粉末が、NaとMnとNi及び/又はCoとを含有する複合水酸化物又は複合炭酸塩を主成分とする本発明5又は6に記載の正極活物質粒子粉末の製造方法である(本発明7)。
また、本発明は、NaとMnとNi及び/又はCoとを含む前駆体粒子粉末とリチウム化合物とを含有する混合物のリチウム含有量がモル比でLi/(Ni+Co+Mn)が1.25〜1.65である本発明5〜7のいずれかに記載の正極活物質粒子粉末の製造方法である(本発明8)。
また、本発明は、本発明1〜4のいずれかに記載の正極活物質粒子粉末を含有する正極を用いた非水電解質二次電池である(本発明9)。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は、エネルギー密度及び初期充放電効率が高いので、非水電解質二次電池用の正極活物質粒子粉末として好適である。
実施例1で得られた正極活物質粒子粉末のX線回折図である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は、少なくともLiとNaとMnとNi及び/又はCoとを含有する複合酸化物である。
この複合酸化物は、空間群R−3mに属する結晶系を有する化合物と、空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系を有する化合物とを有する。
空間群R−3mに属する結晶系を有する化合物としては、LiMMn1−x(MはNi及び/又はCo、xの範囲が0<x≦1)が好ましい。具体的には、LiCoMn1−x2、LiNiMn1−x、Li(Ni、Co)Mn1−xなどが好ましい。
なお、空間群R−3mは正式には、R3mの3の上にバーのついた表記が正しいが、ここでは便宜上、R−3mと記す。
空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系を有する化合物としては、LiM’(1−y)Mn(M’はNi及び/又はCo、yの範囲が0<y≦1)が好ましい。
本発明に係る正極活物質粒子粉末について、Cu−Kα線を線源とした粉末X線回折を行った場合に、空間群R−3mに属する結晶系に属する化合物であるLiMMn1−xに特徴的なピークの一つが2θ=18.6±1°に現れ、空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系に属する化合物であるLiM’(1−y)Mnに特徴的なピークの一つが2θ=20.8±1°に現れる。
本発明に係る正極活物質粒子粉末の2θ=20.8±1°における最大回折ピークの強度(a)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの強度(b)との相対強度比(a)/(b)は0.02〜0.2である。相対強度比(a)/(b)が0.02未満の場合には、空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系を有する化合物が少なすぎて十分な充放電容量が得られず、相対強度比(a)/(b)が0.2を超える場合には、空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系を有する化合物が多すぎてスムーズなリチウムイオンの移動ができずに十分な充放電容量が得られない。好ましい相対強度比(a)/(b)は0.02〜0.15であり、より好ましくは0.03〜0.12であり、さらにより好ましくは0.04〜0.1である。
また、本発明に係る正極活物質粒子粉末について、Cu−Kα線を線源とした粉末X線回折を行った場合に、空間群P6/mmcに属する結晶系に属すると考えられる化合物であるNa含有酸化物に特徴的なピークの一つが2θ=15.8±1°に現れる。
本発明に係る正極活物質粒子粉末の2θ=15.8±1°における最大回折ピークの強度(c)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの強度(b)との相対強度比(c)/(b)は0.001〜0.1である。相対強度比(c)/(b)が0.001未満の場合には、Na含有酸化物の量が少ないため十分な初期充放電効率が得られず、相対強度比(c)/(b)が0.1を超える場合にはNa含有酸化物の量が多過ぎてスムーズなリチウムイオンの移動ができずに十分な充放電容量が得られないためエネルギー密度が低下する。好ましい相対強度比(c)/(b)は0.001〜0.07であり、より好ましくは0.002〜0.05であり、さらにより好ましくは0.004〜0.03である。
本発明に係る正極活物質粒子粉末の2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅は0.05〜0.8である。半値幅が0.05未満の場合にはNa含有酸化物の結晶子サイズが大きいため、十分なNa含有酸化物の充放電容量が得られず、正極活物質粒子粉末としての十分な初期充放電効率が得られない。半値幅が0.8を超える場合にはNa含有酸化物の結晶子サイズが小さいため、Na含有酸化物のサイクル特性が悪くなってしまい、正極活物質粒子粉末としての十分なサイクル特性が得られない。好ましい半値幅は0.07〜0.5であり、より好ましくは0.08〜0.3であり、さらにより好ましくは0.1〜0.2である。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は、Li含有量をモル比でLi/(Ni+Mn+Co)で示した場合1.25〜1.65であることが好ましい。Li/(Ni+Mn+Co)が1.25未満では充電に寄与できるリチウムが少なくなって充電容量が低くなり、1.65を超えると逆にリチウムが多くなりすぎて放電容量が低くなる。より好ましくは1.28〜1.6、さらに好ましくは1.28〜1.55である。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は、Mn含有量をモル比でMn/(Ni+Co+Mn)で示した場合0.5以上である。Mn含有量がこれを下回ると空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系を有する化合物が十分形成されず、充放電容量が低下する。好ましいMn含有量は0.55以上であり、より好ましくは、0.6以上であり、さらにより好ましくは0.65以上である。また、上限は、好ましくは0.95程度である。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は、Ni含有量をモル比でNi/(Ni+Co+Mn)で示した場合0〜0.45であることが好ましい。Ni含有量が0.45を超えると熱安定性が低下するので好ましくない。より好ましいNi含有量は0.05〜0.4であり、さらにより好ましくは0.1〜0.35である。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は、Co含有量をモル比でCo/(Ni+Co+Mn)で示した場合0〜0.45であることが好ましい。Co含有量が0.45を超えると構造が不安定になるので好ましくない。より好ましいCo含有量は0.05〜0.4であり、さらにより好ましくは0.1〜0.35である。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は、Naを0.1〜2.5wt%含有することが好ましい。Naの含有量が0.1wt%未満の場合、該正極活物質粒子粉末を用いた二次電池の初期充放電効率を改善させることが出来ない。Na含有量が2.5wt%を超える場合には、Na含有酸化物の量が多過ぎてスムーズなリチウムイオンの移動ができずに十分な充放電容量が得られずエネルギー密度が低下するため好ましくない。好ましいNa含有量は0.1〜2.0wt%であり、より好ましくは0.2〜1.3wt%であり、さらにより好ましくは0.3〜1.0wt%である。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は、その特性を著しく損なわない範囲で、少量のMg、Ti、Zr、Al等の元素を含んでも良い。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は、BET法による比表面積が0.5〜30m/gであることが好ましく、より好ましくは1〜20m/gであり、さらにより好ましくは2〜15m/gである。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は、一次粒子が凝集した二次粒子からなる正極活物質粒子粉末であって、平均一次粒子径が好ましくは5μm以下であり、より好ましくは0.005〜2μmであり、さらに好ましくは0.01〜0.8μmである。
本発明に係る正極活物質粒子粉末の平均二次粒子径は好ましくは1〜50μmである。平均二次粒子径が1μm未満の場合、電解液との接触面積が上がりすぎることによって、電解液との反応性が高くなり、充電時の安定性が低下する場合がある。平均粒子径が50μmを超えると、電極内の抵抗が上昇して、充放電レート特性が低下する場合がある。より好ましい平均二次粒子径は1〜40μmであり、さらに好ましくは2〜30μmである。
次に、本発明に係る正極活物質粒子粉末の製造方法について述べる。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は、あらかじめ作製した遷移金属を含む前駆体粒子粉末とリチウム化合物とを混合して焼成することによって得ることができる。
本発明における遷移金属を含む前駆体粒子粉末は、下記の通り、所定の濃度のニッケル塩、コバルト塩、マンガン塩を含有する混合溶液とNa含有アルカリ水溶液とを反応槽へ供給し、pHが6〜13になるように制御し、反応槽中の前駆体粒子濃度が0.1〜15mol/lになるまで反応を行って得ることができる。また、反応槽からオーバーフローした懸濁液から前駆体粒子粉末を得ても良い。
本発明のNa含有アルカリ水溶液に用いるナトリウム化合物としては、特に限定されることなく各種のナトリウム塩を用いることができるが、例えば、水酸化ナトリウム・一水和物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピルビン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、などが挙げられ、これらの2つ以上の混合物を用いても良い。好ましくは炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムであり、より好ましくは炭酸ナトリウムである。
前記反応で得られた前駆体粒子を含むスラリーは、スラリーのままシックナーやセラミックスフィルターで水洗しても、濾布や濾紙等でスラリーの水分を絞ってケーキ状にしてから水洗を行っても良いが、好ましくはスラリーの水分を絞ってケーキ状にしてから水洗を行ったほうが良い。
水洗に使用する前駆体粒子粉末100gあたりの水の量は、1〜20Lである。好ましい水の量は、前駆体粒子粉末100gに対して、2〜20Lであり、より好ましくは2〜15Lであり、さらにより好ましくは8〜15Lである。水の量が1Lより少ない場合、SOなどの不純物が多量に残留するためにエネルギー密度が低下する。水の量が20Lより多くなると、Na残留量が少なすぎるため本発明の効果が発揮できない。
水洗に使用する水の温度は、5〜70℃である。好ましい水の温度は、20〜70℃であり、より好ましくは30〜70℃であり、さらにより好ましくは40〜60℃である。水の温度が5℃より低い場合、SOなどの不純物が多量に残留するためにエネルギー密度が低下する。水の温度が70℃より高い場合、Na残留量が少なくなりすぎるため本発明の効果が発揮できない。
この所定の条件で水洗した後に乾燥、粉砕を行って前駆体粒子粉末を得ることができる。
本発明における遷移金属を含む前駆体粒子粉末としては、特に限定されることなく各種の遷移金属化合物を用いることができるが、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩又はそれらの混合物が好ましく、より好ましくは遷移金属の水酸化物若しくは炭酸塩である。
本発明における前駆体粒子粉末は、平均粒子径が0.15〜50μm、BET比表面積が0.5〜300m/gであることが好ましい。
本発明に用いるリチウム化合物としては、特に限定されることなく各種のリチウム塩を用いることができるが、例えば、水酸化リチウム・一水和物、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、乳酸リチウム、シュウ酸リチウム、リン酸リチウム、ピルビン酸リチウム、硫酸リチウム、酸化リチウムなどが挙げられ、炭酸リチウムが好ましい。
また、用いるリチウム化合物は平均粒子径が50μm以下であることが好ましい。より好ましくは30μm以下である。リチウム化合物の平均粒子径が50μmを超える場合には、前駆体粒子との混合が不均一となり、結晶性の良い複合酸化物粒子粉末を得るのが困難となる。
遷移金属を含む前駆体粒子粉末とリチウム化合物とを含有する混合物のリチウム含有量がモル比でLi/(Ni+Co+Mn)が1.25〜1.65であることが好ましい。
遷移金属を含む前駆体粒子粉末とリチウム化合物の混合処理は、均一に混合することができれば乾式、湿式のどちらでもよい。
遷移金属を含む前駆体粒子粉末とリチウム化合物との混合処理は、一度で行ってもよく、遷移金属を含む前駆体粒子粉末とLi化合物とを混合し焼成した焼成物にLi化合物を加えて再度焼成してもよい。
このとき、焼成温度は、400〜1500℃であることが好ましい。400℃未満の場合にはLiとNi、Co、Mnの反応が十分に進まず、十分に複合化されない。1500℃を超える場合には焼結が進みすぎるので好ましくない。より好ましくは600〜1200℃の温度範囲であり、さらにより好ましくは750〜1050℃の温度範囲である。焼成時の雰囲気は酸化性ガス雰囲気が好ましく、より好ましくは通常の空気である。焼成時間は1〜30時間が好ましい。
本発明において、得られた正極活物質粒子粉末は、Cu−Kα線を線源とした粉末X線回折を行った場合に、少なくとも空間群R−3mに属する結晶系と、空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系と2θ=15.8±1°にピークを示すNa含有酸化物と考えられる結晶系とを特定比率で有する化合物からなる。2θ=15.8±1°のピークは空間群P6/mmcに属するNa含有酸化物のピークと考えられる。焼成して得られる化合物が、このような3種の結晶系を特定比率で有するためには、基本的に、Mn含有量がモル比でMn/(Ni+Co+Mn)が0.5以上、好ましくは0.55〜0.9の範囲であり、かつ、Naを0.08〜2.5wt%、好ましくは0.08〜1wt%、より好ましくは0.16〜0.8wt%、さらにより好ましくは0.25〜0.8wt%含む前駆体粒子を調製すればよい。
前駆体粒子にNaを均一に含有させるには、前駆体粒子粉末がNa含有アルカリ水溶液を使用した共沈法により作製されることが好ましい。
共沈法で作製する前駆体粒子のMn/(Ni+Co+Mn)やNa量を上記範囲内に調製する方法としては、原料であるニッケル塩、コバルト塩及びマンガン塩の量を調節する方法、反応溶液のpHを調節する方法、アンモニアなどの錯化剤を調整する方法、焼成条件を調整する方法、前駆体粒子の水洗に使用する水の量を調整する方法、前駆体粒子の水洗に使用する水の温度を調整する方法などが挙げられる。なお、空間群R−3mに属する結晶系は上記のLiMMn1−x化合物に由来するものであり、空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系は上記のLiM’(1−y)Mnに由来するものであるが、これらの化合物は一連の製造方法で同時に形成されるものであり、その比率は前駆体のLi及びMn含有量で決定されるものである。
反応溶液のpHを調節する方法においては、pHを低くすると、ピーク強度比(a)/(b)は小さくなる傾向、すなわち空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系を有するLiM’(1−y)Mnが少なくなる傾向となる。逆にpHを高くすると、ピーク強度比(a)/(b)は大きくなる傾向、すなわち空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系を有するLiM’(1−y)Mnが多くなる傾向となる。また、pHを低くすると、前駆体に残存するNaの量が少なくなるのでピーク強度比(c)/(b)は小さくなる傾向、すなわちCu−Kα線を線源とした粉末X線回折を行った場合に2θ=15.8±1°にピークを示すNa含有酸化物が少なくなる傾向となる。逆にpHを高くすると、前駆体に残存するNaの量が多くなるので、ピーク強度比(c)/(b)は大きくなる傾向、すなわち2θ=15.8±1°にピークを示すNa含有酸化物が多くなる傾向となる。
反応溶液の錯化剤を調節する方法においては、錯化剤を少なく投入すると、ピーク強度比(a)/(b)は小さくなる傾向、すなわち空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系を有するLiM’(1−y)Mnが少なくなる傾向となる。逆に錯化剤を多く投入すると、ピーク強度比(a)/(b)は大きくなる傾向、すなわち空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系を有するLiM’(1−y)Mnが多くなる傾向となる。
なお、錯化剤としては、アンモニウムイオン供給体、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリト三酢酸、ウラシル二酢酸、ジメチルグリオキシム、ジチゾン、オキシン、アセチルアセトン又はグリシンから選ばれる1種又は2以上を用いることができる。
水洗に使用する水の量を調整する方法においては、水洗に使用する水の量を多くすると、ピーク強度比(c)/(b)は小さくなる傾向、すなわちCu−Kα線を線源とした粉末X線回折を行った場合に2θ=15.8±1°にピークを示すNa含有酸化物が少なくなる傾向となる。逆に水洗に使用する水の量を少なくすると、ピーク強度比(c)/(b)は大きくなる傾向、すなわち2θ=15.8±1°にピークを示すNa含有酸化物が多くなる傾向となる。
水洗に使用する水の温度を調整する方法においては、水洗に使用する水の温度を高くすると、ピーク強度比(c)/(b)は小さくなる傾向、すなわちCu−Kα線を線源とした粉末X線回折を行った場合に2θ=15.8±1°にピークを示すNa含有酸化物が少なくなる傾向となる。逆に水洗に使用する水の温度を低くすると、ピーク強度比(c)/(b)は大きくなる傾向、すなわち2θ=15.8±1°にピークを示すNa含有酸化物が多くなる傾向となる。
前駆体に含まれる遷移金属とリチウム化合物の比を調整することでも、ピーク強度比(c)/(b)が異なり、Li/(Ni+Co+Mn)のモル比を大きくするとピーク強度比(c)/(b)は小さくなる傾向、すなわちCu−Kα線を線源とした粉末X線回折を行った場合に2θ=15.8±1°にピークを示すNa含有酸化物が少なくなる傾向となる。逆にLi/(Ni+Co+Mn)のモル比を小さくすると、ピーク強度比(c)/(b)は大きくなる傾向、すなわち2θ=15.8±1°にピークを示すNa含有酸化物が多くなる傾向となる。
また、焼成条件を調整することも、本発明に係る正極活物質粒子粉末の結晶構造に影響を与える。焼成温度が高くなると、ピーク強度比(a)/(b)は小さくなる傾向、すなわち空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系を有するLiM’(1−y)Mnが少なくなる傾向となる。逆に焼成温度が低くなると、ピーク強度比(a)/(b)は大きくなる傾向、すなわち空間群C2/m、C2/c又はP312に属する結晶系を有するLiM’(1−y)Mnが多くなる傾向となる。また、焼成温度が高くなると、2θ=15.8±1°のピークの半値幅が小さくなる傾向、すなわちNa含有酸化物の結晶子サイズが大きくなる傾向となる。逆に焼成温度が低くなると、2θ=15.8±1°のピークの半値幅が大きくなる傾向、すなわちNa含有酸化物の結晶子サイズが小さくなる傾向となる。
次に、本発明に係る正極活物質粒子粉末を含有する正極について述べる。
本発明に係る正極活物質粒子粉末を含有する正極を製造する場合には、常法に従って、導電剤と結着剤とを添加混合する。導電剤としてはアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等が好ましく、結着剤としてはポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等が好ましい。
本発明に係る正極活物質粒子粉末を含有する正極を用いて製造される二次電池は、前記正極、負極及び電解質から構成される。
負極活物質としては、リチウム金属、リチウム/アルミニウム合金、リチウム/スズ合金、グラファイトや黒鉛等を用いることができる。
また、電解液の溶媒としては、炭酸エチレンと炭酸ジエチルの組み合わせ以外に、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル等のカーボネート類や、ジメトキシエタン等のエーテル類の少なくとも1種類を含む有機溶媒を用いることができる。
さらに、電解質としては、六フッ化リン酸リチウム以外に、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩の少なくとも1種類を上記溶媒に溶解して用いることができる。
本発明に係る正極活物質粒子粉末を含有する正極を用いて製造した二次電池は、後述する評価法で初期放電容量が220mAh/g以上であり、好ましくは240mAh/g以上、より好ましくは260mAh/g以上、さらにより好ましくは270mAh/g以上で、高くなるほど良い。
本発明に係る正極活物質粒子粉末を含有する正極を用いて製造した二次電池は、後述する評価法で初期充放電効率が80%以上であり、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上で、高くなるほど良い。
本発明に係る正極活物質粒子粉末を含有する正極を用いて製造した二次電池は、後述する評価法で初期エネルギー密度が900mWh/g以上であることが好ましく、950mWh/g以上であることがより好ましく、1000mWh/g以上であることがさらにより好ましく、高くなるほど良い。
<作用>
本発明において、前駆体合成時にNa化合物を使用し、Naの残留量を水洗等により調整することで、Naをより均一に含有する前駆体となり、Na含有前駆体とLi化合物を反応させることによってナトリウム遷移金属酸化物が均一に分散したリチウム遷移金属酸化物が合成でき、初期充放電効率及び電池としてのエネルギー密度が向上するものと本発明者らは考えている。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
BET比表面積値は、試料を窒素ガス下で120℃、45分間乾燥脱気した後、MONOSORB[ユアサアイオニックス(株)製]を用いて測定した。
前駆体粉末又は正極活物質粒子粉末を構成するリチウム、ナトリウム、ニッケル、コバルト、マンガンの含有量は、該粉末0.2gを酸で溶解し、測定にはICAP[SPS−4000 セイコー電子工業(株)製]を用いて定量して決定した。
平均二次粒子径(D50)はレーザー式粒度分布測定装置マイクロトラックHRA[日機装(株)製]を用いて湿式レーザー法で測定した体積基準の平均粒子径である。
相の同定及び強度の測定は、X線回折測定で行った。X線回折装置は粉末X線回折装置SmartLab[(株)リガク製)](管球:Cu、管電圧:45kV、管電流:200mA、ステップ角度:0.010°、計数時間:0.9s、入射スリット:0.650°、受光スリット1:0.650°、受光スリット2:0.200mm)を使用した。
正極活物質粒子粉末を用いたコインセルによる充放電特性及びサイクル特性評価を行った。
まず、正極活物質として複合酸化物を84重量%、導電材としてアセチレンブラックを4重量%及びグラファイトKS−6を4重量%、バインダーとしてN−メチルピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデン8重量%とを混合した後、Al金属箔に塗布し110℃にて乾燥した。このシートを15mmφに打ち抜いた後、3t/cmで圧着した物を正極に用いた。負極は16mmφに打ち抜いた金属リチウムとし、電解液は1mol/lのLiPFを溶解したECとDMCを体積比で1:2で混合した溶液を用いてCR2032型コインセルを作製した。
1回目の充放電は、25℃で充電は4.6Vまで20mA/gで充電した後、定圧で電流値が1/100になるまで充電し、放電を2.0Vまで20mA/gにて行った。このときの(放電容量/充電容量×100)を初期充放電効率とした。また、この放電時の(平均放電電圧×放電容量)を初期エネルギー密度とした。
実施例1
密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。さらにpH=8.2(±0.1)となるよう、攪拌しながら連続的にNi、Co、Mnの混合硫酸塩水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を加えた。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出して固形分は反応槽に滞留させながら反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗に使用する水の水温は45℃とし、前駆体100gに対して10Lとした。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。得られた前駆体粉末は、遷移金属の含有量がモル比でNi:Co:Mn=0.18:0.12:0.70(Mn/(Ni+Co+Mn)=0.70)、Na含有量が0.2167wt%であった。
得られた共沈前駆体と炭酸リチウム粉末を秤量し、十分に混合した。これを電気炉を用いて、空気流通下830℃で5hr焼成し、正極活物質粒子粉末を得た。
X線回折測定の結果、得られた正極活物質粒子粉末は、ピーク強度比(a)/(b)が0.057、ピーク強度比(c)/(b)が0.0029、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅が0.28であった。
ICP組成分析の結果、それぞれモル比でLi/(Ni+Co+Mn)=1.39、Ni:Co:Mn=0.18:0.12:0.70(Mn/(Ni+Co+Mn)=0.70)、Na含有量が0.2721wt%であった。BET比表面積は5.7m/gで、平均二次粒子径が12.1μmの二次粒子を形成している様子が観測された。
実施例2
密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。さらにpH=9.0(±0.1)となるよう、攪拌しながら連続的にNi、Co、Mnの混合硫酸塩水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を加えた。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出して固形分は反応槽に滞留させながら反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗に使用する水の水温は50℃とし、前駆体100gに対して7Lとした。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体と炭酸リチウム粉末を秤量し、十分に混合した。これを電気炉を用いて、空気流通下850℃で5hr焼成し、正極活物質粒子粉末を得た。ピーク強度比(a)/(b)、ピーク強度比(c)/(b)、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅、Li/(Ni+Co+Mn)モル比、Ni:Co:Mnモル比、Na含有量、BET比表面積、平均二次粒子径は、表1に示す。
実施例3
密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。さらにpH=8.7(±0.1)となるよう、攪拌しながら連続的にNi、Co、Mnの混合硫酸塩水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を加えた。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出して固形分は反応槽に滞留させながら反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗に使用する水の水温は60℃とし、前駆体100gに対して15Lとした。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体と水酸化リチウム一水和物粉末を秤量し、十分に混合した。これを電気炉を用いて、空気流通下800℃で5hr焼成し、正極活物質粒子粉末を得た。ピーク強度比(a)/(b)、ピーク強度比(c)/(b)、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅、Li/(Ni+Co+Mn)モル比、Ni:Co:Mnモル比、Na含有量、BET比表面積、平均二次粒子径は、表1に示す。
実施例4
密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。さらにpH=8.1(±0.1)となるよう、攪拌しながら連続的にNi、Mnの混合硫酸塩水溶液と炭酸ナトリウム水溶液とアンモニア水を加えた。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出して固形分は反応槽に滞留させながら反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗に使用する水の水温は30℃とし、前駆体100gに対して4Lとした。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体と炭酸リチウム粉末を秤量し、十分に混合した。これを電気炉を用いて、空気流通下810℃で5hr焼成し、正極活物質粒子粉末を得た。ピーク強度比(a)/(b)、ピーク強度比(c)/(b)、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅、Li/(Ni+Co+Mn)モル比、Ni:Co:Mnモル比、Na含有量、BET比表面積、平均二次粒子径は、表1に示す。
実施例5
密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。さらにpH=8.0(±0.1)となるよう、攪拌しながら連続的にNi、Co、Mnの混合硫酸塩水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を加えた。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出して固形分は反応槽に滞留させながら反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗に使用する水の水温は65℃とし、前駆体100gに対して10Lとした。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体と炭酸リチウム粉末を秤量し、十分に混合した。これを電気炉を用いて、空気流通下870℃で5hr焼成し、正極活物質粒子粉末を得た。ピーク強度比(a)/(b)、ピーク強度比(c)/(b)、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅、Li/(Ni+Co+Mn)モル比、Ni:Co:Mnモル比、Na含有量、BET比表面積、平均二次粒子径は、表1に示す。
実施例6
密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。さらにpH=9.1(±0.1)となるよう、攪拌しながら連続的にNi、Co、Mnの混合硫酸塩水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を加えた。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出して固形分は反応槽に滞留させながら反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗に使用する水の水温は40℃とし、前駆体100gに対して10Lとした。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体と炭酸リチウム粉末を秤量し、十分に混合した。これを電気炉を用いて、空気流通下880℃で5hr焼成し、正極活物質粒子粉末を得た。ピーク強度比(a)/(b)、ピーク強度比(c)/(b)、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅、Li/(Ni+Co+Mn)モル比、Ni:Co:Mnモル比、Na含有量、BET比表面積、平均二次粒子径は、表1に示す。
実施例7
密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。さらにpH=11.0(±0.1)となるよう、攪拌しながら連続的にNi、Co、Mnの混合硫酸塩水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とアンモニア水溶液を加えた。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出して固形分は反応槽に滞留させながら反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗に使用する水の水温は50℃とし、前駆体100gに対して7Lとした。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体と炭酸リチウム粉末を秤量し、十分に混合した。これを電気炉を用いて、空気流通下880℃で5hr焼成し、正極活物質粒子粉末を得た。ピーク強度比(a)/(b)、ピーク強度比(c)/(b)、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅、Li/(Ni+Co+Mn)モル比、Ni:Co:Mnモル比、Na含有量、BET比表面積、平均二次粒子径は、表1に示す。
比較例1
密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。さらにpH=8.5(±0.1)となるよう、攪拌しながら連続的にNi、Co、Mnの混合硫酸塩水溶液と炭酸リチウムスラリーを加えた。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出して固形分は反応槽に滞留させながら反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗に使用する水の水温は40℃とし、前駆体100gに対して10Lとした。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体と炭酸リチウム粉末を秤量し、十分に混合した。これを電気炉を用いて、空気流通下820℃で5hr焼成し、正極活物質粒子粉末を得た。ピーク強度比(a)/(b)、ピーク強度比(c)/(b)、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅、Li/(Ni+Co+Mn)モル比、Ni:Co:Mnモル比、Na含有量、BET比表面積、平均二次粒子径は、表1に示す。
比較例2
密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。さらにpH=8.5(±0.1)となるよう、攪拌しながら連続的にNi、Mnの混合硫酸塩水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を加えた。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出して固形分は反応槽に滞留させながら反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗に使用する水の水温は50℃とし、前駆体100gに対して10Lとした。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体と炭酸ナトリウム粉末を秤量し、十分に混合した。これを電気炉を用いて、空気流通下800℃で5hr焼成し、Na含有酸化物を得た。
このNa含有酸化物の組成は、ICP組成分析の結果、それぞれモル比でNa/(Ni+Mn)=0.67、Ni:Mn=0.33:0.67であった。
得られたNa含有酸化物を比較例1の正極活物質粒子粉末と重量比1:1で乳鉢混合することで正極活物質粉末を得た。ピーク強度比(a)/(b)、ピーク強度比(c)/(b)、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅、Li/(Ni+Co+Mn)モル比、Ni:Co:Mnモル比、Na含有量、BET比表面積、平均二次粒子径は、表1に示す。
比較例3
密閉型反応槽に水を8L入れ、窒素ガスを流通させながら40℃に保持した。さらにpH=8.2(±0.1)となるよう、攪拌しながら連続的にNi、Co、Mnの混合硫酸塩水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を加えた。反応中は濃縮装置により濾液のみを系外に排出して固形分は反応槽に滞留させながら反応後、共沈生成物のスラリーを採取した。採取したスラリーを濾過、水洗した。水洗に使用する水の水温は40℃とし、前駆体100gに対して1Lとした。水洗後、120℃で一晩乾燥させ、共沈前駆体の粉末を得た。
得られた共沈前駆体と炭酸リチウム粉末を秤量し、十分に混合した。これを電気炉を用いて、空気流通下840℃で5hr焼成し、正極活物質粒子粉末を得た。ピーク強度比(a)/(b)、ピーク強度比(c)/(b)、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅、Li/(Ni+Co+Mn)モル比、Ni:Co:Mnモル比、Na含有量、BET比表面積、平均二次粒子径は、表1に示す。
実施例1〜7及び比較例1〜3で得られた正極活物質粒子粉末の諸特性を表1に、その正極活物質粒子粉末を用いて作製した電池の特性を表2に示す。
実施例1〜7で得られた正極活物質粒子粉末は、いずれも初期エネルギー密度が900mWh/g以上、初期充放電効率が80%以上であった。本発明に係る正極活物質粒子粉末は、LiM’(1−y)Mnを有することによって大きな初期エネルギー密度を持ち、さらにNa含有量が0.1〜2.0wt%の範囲であり、Na含有酸化物と考えられるCu−Kα線を使用した粉末X線回折図における2θ=15.8±1°にピークを有する相の量と結晶性を調整することで得られる初期エネルギー密度と初期充放電効率に優れた正極材料である。
比較例1のように前駆体作製時の沈殿剤に炭酸リチウムを使用したNa非含有の正極活物質粒子粉末はNa含有酸化物が生成しないため、初期充放電効率が低くなる。比較例2のようにLi、Mn並びにNi及び/又はCoを含有する複合酸化物とNa含有酸化物を別々に合成し混合した正極活物質粒子粉末は、Na含有酸化物の結晶子が大きいため十分な初期エネルギー密度が得られない。また、比較例3のように前駆体の水洗量が少なすぎる場合は、Na含有酸化物が過剰に生成し、他の不純物も残存するため十分な初期エネルギー密度と初期充放電効率が得られない。
以上の結果から本発明に係る正極活物質粒子粉末は、初期エネルギー密度が大きく、初期充放電効率に優れた非水電解質二次電池用正極活物質として有効であることが確認された。
本発明に係る正極活物質粒子粉末は放電エネルギー密度が大きく、初期充放電効率が向上しているので、非水電解質二次電池用の正極活物質粒子粉末として好適である。

Claims (9)

  1. LiとNaとMnとNi及び/又はCoとを含有する複合酸化物からなる正極活物質粒子粉末であり、該正極活物質粒子粉末のCu−Kα線を使用した粉末X線回折図の2θ=20.8±1°における最大回折ピークの強度(a)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの強度(b)との相対強度比(a)/(b)が0.02〜0.2であり、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの強度(c)と2θ=18.6±1°における最大回折ピークの強度(b)との相対強度比(c)/(b)が0.001〜0.1であり、2θ=15.8±1°における最大回折ピークの半値幅が0.05〜0.8であることを特徴とする正極活物質粒子粉末。
  2. Na含有量が0.1〜2.5wt%である請求項1に記載の正極活物質粒子粉末。
  3. Mn含有量がモル比でMn/(Ni+Co+Mn)が0.5以上である請求項1又は2に記載の正極活物質粒子粉末。
  4. Li含有量がモル比でLi/(Ni+Co+Mn)が1.25〜1.65である請求項1〜3のいずれかに記載の正極活物質粒子粉末。
  5. 前駆体粒子粉末がNa含有アルカリ水溶液を使用した共沈法により作製され、Mn含有量がモル比でMn/(Ni+Co+Mn)が0.5以上であり、NaとMnとNi及び/又はCoとを含有する前駆体粒子粉末と、リチウム化合物とを含有する混合物を500〜1500℃の範囲で焼成する請求項1〜4のいずれかに記載の正極活物質粒子粉末の製造方法。
  6. NaとMnとNi及び/又はCoとを含有する前駆体粒子粉末のNa含有量が0.08〜2.5wt%である請求項5に記載の正極活物質粒子粉末の製造方法。
  7. NaとMnとNi及び/又はCoとを含有する前駆体粒子粉末が、NaとMnとNi及び/又はCoとを含有する複合水酸化物又は複合炭酸塩を主成分とする請求項5又は6に記載の正極活物質粒子粉末の製造方法。
  8. NaとMnとNi及び/又はCoとを含む前駆体粒子粉末とリチウム化合物とを含有する混合物のリチウム含有量がモル比でLi/(Ni+Co+Mn)が1.25〜1.65である請求項5〜7のいずれかに記載の正極活物質粒子粉末の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の正極活物質粒子粉末を含有する正極を用いた非水電解質二次電池。
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