JP5761584B2 - エポキシ化合物、その製造方法、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

エポキシ化合物、その製造方法、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、溶剤溶解性が良く、耐熱性、耐吸湿性が優れるエポキシ樹脂組成物を提供する、エポキシ化合物およびその製造方法に関する。
エポキシ化合物およびその硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物は、耐熱性、耐吸湿性等の諸物性に優れる点から、積層板樹脂材料、電気絶縁材料、半導体封止材料、繊維強化複合材料、塗装材料、成型材料、接着材料等で広く用いられている。
近年、これらの各種用途、とりわけ先端材料分野において、耐熱性や耐吸湿性、低熱膨張性に代表される性能の一層の向上が求められている。さらに、環境問題に対する法規制等により、鉛を使用しない高融点半田(鉛フリー半田)が主流となっており、この鉛フリー半田は従来の共晶半田よりも使用温度が約20〜40℃高くなることから、エポキシ樹脂硬化物にはこれまで以上に高い耐熱性、耐吸湿性が要求されている。
高度な耐熱性、耐吸湿性、低熱膨張性の要求に対応できるエポキシ樹脂材料として、例えば、下記構造式
Figure 0005761584
で表される四官能型ナフタレン系エポキシ化合物が知られている(特許文献1)。
上記四官能型ナフタレン系エポキシ化合物は、一般的なフェノールノボラック型エポキシ化合物と比較して、耐熱性および疎水性が高いナフタレン骨格を有すること、四官能であり架橋密度が高いこと、対称性に優れる分子構造を持つことから、その硬化物は極めて優れた耐熱性、耐吸湿性および低熱膨張性を発現する。しかしながら、近年、耐熱性においてはより高い性能が求められ、一層の改善が必要となっている。さらに前記の四官能型ナフタレン系エポキシ化合物は、溶剤への溶解性が低いことから、例えばプリント配線板製造において硬化物の特性が十分に発現されないものであった。
耐熱性を向上する手段として、前記の四官能型ナフタレン系エポキシ化合物において、ナフタレン環がメチレン構造を介した結合ではなく、直接の結合である事が有効であると考えられる。ジヒドロキシナフタレンの2量体において、メチレン構造を含まず、直接に単結合で繋がれたビ(ジヒドロキシナフタレン)構造のエポキシ化合物の記載がある(特許文献2〜5)。ジヒドロキシナフタレンの水酸基の位置や2量体の結合位置は、それを用いたエポキシ樹脂の軟化点、溶剤溶解性、およびその硬化物の耐熱性等の物性に影響を与える重要因子であるが、特許文献2〜5はいずれも、ジヒドロキシナフタレンの水酸基の位置や2量体の結合位置が特定しておらず、具体的な化合物についての記載がない。
[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの合成には、一般的にジヒドロキシナフタレンまたはジヒドロキシナフタレン誘導体のカップリング反応が用いられるが、これらの反応では、2,7−ジヒドロキシナフタレンが、1,1’位で選択的にカップリング反応するため、高純度の[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを得ることが可能であり、それより得られるエポキシ化合物は、低軟化点、低溶融粘度、高溶剤溶解性等の優れた性能を示す。また、本発明の[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールから得られるエポキシ化合物は、過去に合成されておらず、新規のエポキシ化合物である。
[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールは、特許文献6に記載された1,1−ビス(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)アルカンと非常に類似した分子構造であるが、高熱条件で不安定なアルキレン基を持たず、さらに、1,1−ビス(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)アルカンよりも融点が低いことから、耐熱性と低温でのハンドリング性が優れている。また、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールは、無水物の他、一水和物及び二水和物といった水和物の形態をとることが可能である。無水物は融点が218℃であるのに対し、一水和物は融点の他に124℃に軟化点を示すため、より低温領域での用途拡大が可能である。
[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールは非特許文献1〜3において、その合成例が記載されている。ナフタレン−2,7−ジオールの酸化カップリング反応で得られる生成物は、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの他、未反応の原料や三量体、四量体等の多量体であり、何れも構造が類似しているため、溶媒への溶解挙動が近く、分離が難しい。そのため、文献記載の二硫化炭素、ベンゼン、エタノールを使用した再結晶では、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不純物との混合結晶ができてしまい、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを高純度で得ることができず、これを用いて得られる樹脂の高耐熱性、耐湿性などの諸物性が期待値通りに得られない原因となっていた。
特許3137202号公報 特開2004−111380 特開2007−308640 特開2010−24417 特開2010−106150 特開平4−217675
Chemische Berichte,70(1937),1341−1348 Chinese Chemical Letters,20(2009),663−667 Journal of American Chemical Society,127(2005),6632−6640
本発明が解決しようとする課題は、溶剤溶解性、低軟化点、低溶融粘度であって成形が容易であり、なおかつ得られる硬化物が優れた耐吸湿性、低熱膨張性を発現することで成形性や成形後の寸法安定性に優れ、さらには良好な耐熱性を有する硬化物を実現するエポキシ樹脂組成物、その硬化物、およびこれらの性能を与える新規エポキシ化合物を提供することにある。
また本発明の課題は、高純度の[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール及び[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール一水和物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、上記の2,7−ジヒドロキシナフタレンを1,1’位で選択的にカップリング反応させた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールにエピハロヒドリンを反応させて得られるエポキシ化合物、すなわち、2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−1,1’−ビナフタレンを用いることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−1,1’−ビナフタレン、及び[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールにエピハロヒドリンを反応させるエポキシ化合物の製法、及び2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−1,1’−ビナフタレンおよび硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物およびそれを硬化反応させてなる硬化物に関する。
また、本発明は、ナフタレン−2,7−ジオールまたはナフタレン−2,7−ジオール誘導体の二量化反応によって得られる粗生成物を、芳香族系溶媒に接触させる工程と、
芳香族系溶媒に溶解した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不溶物とに分離する工程と、
[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール溶液から溶媒を除去する工程とを有することを特徴とする、
[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの製造方法を提供するものである。
更に本発明は、ナフタレン−2,7−ジオールまたはナフタレン−2,7−ジオール誘導体の二量化反応によって得られる粗生成物を、芳香族系溶媒に接触させる工程と、
芳香族系溶媒に溶解した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不溶物とに分離する工程と、
得られた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール溶液を加熱濃縮して、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを得る工程とを有する、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの製造方法を提供するものである。
更に本発明は、得られた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと水とを反応させ、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール一水和物を得る工程を有することを特徴とする、
[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール一水和物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、得られるエポキシ化合物は低軟化点、低溶融粘度で溶剤溶解性が良く、該エポキシ化合物を含有するエポキシ樹脂組成物は、耐熱性および耐吸湿性の性能に優れたエポキシ樹脂硬化物を提供できる。
また、本発明の[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール製造方法によって、高純度の[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを得ることができる。また、得られる[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールに水を接触させることで、高純度の[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール一水和物を得ることができる。
実施例1で得られた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールのGPCチャートである。 実施例1で得られた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールのMSチャートである。 実施例2で得られた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールのGPCチャートである。 実施例2で得られた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールのGPCチャートである。 実施例6のGPCチャートである。 実施例6のNMRチャートである。 実施例6のMSスペクトルである。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔エポキシ化合物〕
本発明のエポキシ化合物は、例えば、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールとエピハロヒドリンを反応させる本発明の製法によって得ることができるものであり、具体的には、次に構造式(1)で示されるものである。
Figure 0005761584
本発明のエポキシ化合物の原料となる[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールは、ジヒドロキシナフタレンまたはジヒドロキシナフタレン誘導体のカップリング反応によって得られる。ジヒドロキシナフタレンまたはジヒドロキシナフタレン誘導体のカップリング反応において、2,7−ジヒドロキシナフタレンが、1,1’位で選択的にカップリング反応を起こすため多量体化し難く、類似構造の1,1’−メチレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)に比較して低融点であり、さらにそのグリシジルエーテル化物は、1,1’−メチレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)の四官能グリシジルエーテル化物に比べ、低軟化点で低粘度であり、さらに溶剤溶解性も高い。
以下に、本発明のエポキシ化合物の製法を詳述するが、本発明のエポキシ化合物の製造方法はこれらに限定されるものではない。
すなわち、本発明の製法は[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールとエピハロヒドリンを反応させるものである。具体的には、例えばフェノール化合物中のフェノール性水酸基のモル数に対し、エピハロヒドリンを2〜10倍量(モル基準)となる割合で添加し、更に、フェノール性水酸基のモル数に対し0.9〜2.0倍量(モル基準)の塩基性触媒を一括添加または徐々に添加しながら20〜120℃の温度で0.5〜10時間反応させる方法が挙げられる。この塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよく、水溶液を使用する場合は、連続的に添加すると共に、反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出せしめ、更に分液して水は除去しエピハロヒドリンは反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい。
なお、工業生産を行う際、エポキシ化合物生産の初バッチでは仕込みに用いるエピハロヒドリン類の全てが新しいものであるが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリン類と、反応で消費される分で消失する分に相当する新しいエピハロヒドリン類とを併用することが可能であり、経済的に好ましい。この時、使用するエピハロヒドリンは特に限定されないが、例えばエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等が挙げられる。なかでも工業的入手が容易なことからエピクロルヒドリンが好ましい。
また、前記塩基性触媒は、具体的には、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。特にエポキシ樹脂合成反応の触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。使用に際しては、これらの塩基性触媒を10〜55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。また、有機溶媒を併用することにより、エポキシ化合物の合成における反応速度を高めることができる。このような有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜2種以上を併用してもよい。
前述のエポキシ化反応の反応物を水洗後、加熱減圧下、蒸留によって未反応のエピハロヒドリンや併用する有機溶媒を留去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに反応を行うこともできる。この際、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量としては、用いるエポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜3.0質量部となる割合であることが好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより目的とする本発明の新規エポキシ化合物を得ることができる。
〔テトラオール〕
本発明のエポキシ化合物の原料である[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールは、公知慣用の方法で製造すればよいが、本発明の[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの製造方法は、ナフタレン−2,7−ジオールまたはナフタレン−2,7−ジオール誘導体の二量化反応によって得られる粗生成物を、芳香族系溶媒を用いて、芳香族系溶媒に溶解した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不溶物とを分離する精製工程を特徴としており、高い純度で[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを得ることができることを特徴とする。
前記の精製工程は、具体的には、ナフタレン−2,7−ジオールまたはナフタレン−2,7−ジオール誘導体の二量化反応で得られる[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを主成分とする粗生成物を、芳香族系溶媒と接触させ、還流して[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを溶解し、室温まで冷却して溶解している不純物を析出させた後、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの溶解液と不溶の不純物を分離したうえで、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール溶液から溶媒を除去することで、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを得るものである。
ナフタレン−2,7−ジオールまたはナフタレン−2,7−ジオール誘導体の二量化反応で得られる生成物は、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの他に、未反応の原料や三量体、四量体等、何れも類似の構造を持つ化合物であり、結晶性及び溶媒への溶解性は非常に良く似た性質を示すため、再結晶法または再沈法等を利用した分離は困難である。しかし、芳香族系溶媒はこれらの化合物の溶解度が低いため、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールとその他の副生成物間の僅かな溶解度の差を利用して、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールのみを溶解物または析出物として分離可能である。
前記の芳香族系溶媒に対して、原料のナフタレン−2,7−ジオールまたはナフタレン−2,7−ジオール誘導体、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール、三量体、四量体と分子量が大きくなるにつれ溶解度が低下し、5量体以上では不溶となる。
前記の芳香族系溶媒としては、ベンゼン;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等のアルキルベンゼン;アニソール、フェネトール等のアルコキシベンゼン等が挙げられ、好ましくは、トルエンまたはキシレンである。ここで、使用される溶媒は、芳香族系溶媒の単独あるいは複数の混合で使用される事が好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲において、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等が混合されていても良い。
前記の芳香族系溶媒の使用量は純度と収率で決められる適切な範囲の中で、純度を重視する場合はより少ない量の溶媒で、収率を重視する場合はより多い量の溶媒を使用する。適切な範囲を外れ、少なすぎる場合、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールが析出し、多すぎる場合、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールよりも溶解度の低い不純物が溶解し、好適な[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールが得られないため、芳香族系溶媒の使用量は、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール1gに対して、好ましくは50〜150mL、さらに好ましくは80〜100mLである。
前記の精製工程における、芳香族系溶媒に溶解した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不溶物との分離方法については、特に限定はなく、ろ過法または遠心分離法等が挙げられる。
得られた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール溶液から、公知慣用の方法で溶液を除去することで、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを得ることができる。溶液の除去方法としては特に限定は無く、真空乾燥や熱乾燥、スプレードライ等の方法を用いることができる。
次に、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの製造方法において、ナフタレン−2,7−ジオールまたはナフタレン−2,7−ジオール誘導体の二量化反応によって得られる粗生成物を、芳香族系溶媒を用いて、芳香族系溶媒に溶解した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不溶物とを分離し、得られた溶液を加熱濃縮して、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの固体を析出させる精製工程を特徴としている。この方法により、さらに高純度の[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを好適に製造することができる。
前記の精製工程は、具体的には、ナフタレン−2,7−ジオールまたはナフタレン−2,7−ジオール誘導体の二量化反応で得られる[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを主成分とする粗生成物を、芳香族系溶媒の混合液とし、還流して[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを溶解させ、室温まで冷却して僅かに溶解している不純物を析出させた後、溶媒に不溶の不純物を分離し、得られた溶液を加熱撹拌しながら[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの固体が十分に析出するまで溶媒を留去し、高温のまま熱時ろ過を行うものである。
前記の精製工程において、芳香族系溶媒を用いて、芳香族系溶媒に溶解した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不溶物とを分離する工程のみでは、芳香族系有機溶剤に溶解し易い原料のナフタレン−2,7−ジオールまたはナフタレン−2,7−ジオール誘導体およびごく少量の多量体等の副生成物が残ってしまうため、さらに高い純度が要求される場合や未反応の原料がある場合等、更なる精製が必要な場合において有効である。
前記の精製工程における、不溶物を分離して得られた溶液を加熱濃縮して[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの固体を析出させる工程では、少量の不純物が溶解したまま、大量に存在する[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールのみを析出することが可能であり、純度の高い[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを得ることができ、加熱濃縮以外の方法、すなわち、低温濃縮、再沈または再結晶を行った場合よりも高純度となる。
前記の精製工程における、芳香族系溶媒に溶解した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不溶物との分離方法については、特に限定はなく、ろ過法または遠心分離法等が挙げられる。ろ過法においては、高温状態でのろ過を行うと、不純物が析出するのを防ぐことができるため、好ましい。混合液およびろ過器の温度は60℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、上限は芳香族系溶媒の沸点である。
加熱濃縮によって得られた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールは、真空乾燥や熱乾燥によって、少量残留している芳香族系溶媒を除去してもよい。
次に、上記製造方法で得られた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと水と接触させることで、高純度の[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール一水和物を製造することができる。
前記の[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと水との接触方法は、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールが水と万遍なく接触できる方法であれば特に限定はなく、具体的には、水中で[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを撹拌しても良く、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール粉末に水を噴霧しても良い。
前記の[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと水との接触物は、常圧で乾燥するのが良い。乾燥温度は、40〜130℃の範囲が好ましく、特に、80〜100℃が好ましい。乾燥時間は、含水量によって前後するが、80℃の場合は約10日間、100℃の場合は約20時間程度、乾燥すれば良い。
本発明の、芳香族系溶媒を用いて芳香族系溶媒に溶解した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不溶物とを分離する工程、または、芳香族系溶媒を用いて芳香族系溶媒に溶解した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不溶物とを分離し、得られた溶液を加熱濃縮して[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの固体を析出させる工程、を特徴とする、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの製造方法は、ナフタレン−2,7−ジオールまたはナフタレン−2,7−ジオール誘導体を二量化する種々の反応、例えば、ナフタレン−2,7−ジオール、ナフタレン−2,7−ジオールのハロゲン化物、シラン誘導体、スズ誘導体、リチウム誘導体、ボロン酸誘導体、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸誘導体等のホモカップリング反応、または、ナフタレン−2,7−ジオール、ナフタレン−2,7−ジオールのハロゲン化物、シラン誘導体、スズ誘導体、リチウム誘導体、ボロン酸誘導体、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸誘導体、アルコキシ誘導体、マグネシウムハライド誘導体、亜鉛ハライド誘導体等のうち、何れか二つを組み合わせたカップリング反応等によって得られた粗生成物の精製に適しており、特に、ナフタレン−2,7−ジオールを誘導体化することなく簡便に二量化できるナフタレン−2,7−ジオールの酸化カップリング反応によって得られた粗生成物の精製に適している。
前記のナフタレン−2,7−ジオールの酸化カップリング反応において、使用される反応触媒は、鉄、銅、銀、ニッケル、マグネシウム、コバルト、マンガン、チタン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム等金属の塩化物、臭化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、硫酸水素塩、酢酸塩、酸化物、または、硫酸鉄アンモニウム、塩化水素銅等の複塩、または、塩化銅−テトラメチルエチレンジアミン錯体等の銅塩とアミンの錯塩、または、上記の金属塩をシリカ、アルミナ、酸化チタン上に担持したもの、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物、(NO)−ルテニウムサレン錯体、オキソバナジウム錯体等が挙げられ、これらを単独または併用して使用することができる。
前記のナフタレン−2,7−ジオールの酸化カップリング反応は、無溶剤または溶媒中で反応することができる。溶媒中で反応を行う場合、水またはメタノール、エタノール等のアルコール系有機溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系有機溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系有機溶媒、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族系有機溶媒、アセトン、2−ブタノン等のケトン系有機溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系有機溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系有機溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系有機溶媒、ジメチルスルホオキシド等またはこれらの組合せの中から、触媒に応じて選択することができる。
以下、前記のナフタレン−2,7−ジオールの酸化カップリング反応について、塩化第二鉄六水和物を触媒として用いる反応を例に、具体的に説明する。
前記の塩化第二鉄六水和物を触媒として用いる反応は、ナフタレン−2,7−ジオールを、水と親水性有機溶媒の混合溶剤中で塩化第二鉄六水和物と反応させることで、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを合成するものである。
前記反応において、塩化第二鉄六水和物は、出発原料のナフタレン−2,7−ジオールに対してモル比として理論必要量の0.5以上の量であれば特に限定はないが、量が多くても反応性は変わらないため、1.0〜2.0の範囲の量で用いることが好ましい。
前記反応は、水の単独溶媒中で反応を行っても良いが、水に不溶の生成物が、凝集して塊状物を形成し撹拌を困難にするため、親水性有機溶媒を添加して、凝集物を膨潤、分散させ、撹拌を容易にすることが好ましい。水と親水性有機溶媒との混合溶剤におけるそれらの混合比は、特に限定はないが、親水性有機溶媒の比が大きいほど副反応が起こりやすくなるため、重量比で水/親水性有機溶媒=99/1〜90/10の範囲で混合することが好ましい。
前記の親水性有機溶媒は、水との相溶性があり、かつ、生成物を溶解できるものであれば、特に限定はなく、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系有機溶媒、アセトン、2−ブタノン等のケトン系有機溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系有機溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系有機溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系有機溶媒、ジメチルスルホオキシド等またはこれらの混合溶媒が挙げられる。親水性有機溶媒の好ましい例としては、アルコール系有機溶媒であり、さらに好ましくはメタノール、エタノール、2−プロパノールである。
上記反応において、ナフタレン−2,7−ジオール、塩化第二鉄六水和物、水、親水性有機溶媒のそれぞれの仕込み方法については、特に限定はないが、
1) 塩化第二鉄六水和物と水もしくは水と親水性極性溶媒の混合溶液が混合撹拌されている反応容器の中に、2,7−ジヒドロキシナフタレンを粉末、もしくは、親水性極性溶媒の溶液、もしくは、水と親水性極性溶媒の混合溶液の状態で添加する方法、
1) 2,7−ジヒドロキシナフタレンの粉末、もしくは、親水性極性溶媒の溶液、もしくは、水と親水性極性溶媒の混合溶液が混合撹拌されている反応容器の中に、塩化第二鉄六水和物を水溶液もしくは水と親水性極性溶媒の混合溶液として添加する方法
が好ましい。
上記の2つの仕込み方法において、後から添加するものについては、一度に全量を添加しても良く、分割して添加しても良く、さらに溶液の場合は、連続して滴下しても良い。好ましくは分割添加か連続滴下である。
上記反応において、反応温度は、通常0〜90℃であれば、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールが主生成物として得られるが、副生成物の生成を抑制するためには、好ましくは0℃〜60℃、さらに好ましくは20℃〜40℃であり、反応時間は0.5時間〜10時間、好ましくは1〜6時間である。
前記の反応後は、疎水性有機溶媒による抽出工程により、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを含む有機物と鉄塩との分離が可能である。
前記の抽出工程で使用する有機溶媒は、疎水性溶媒であって、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールが溶解するものであれば特に限定はなく、ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、およびこれらの組合せが挙げられ、好ましくは酢酸エチルである。
前記抽出工程から、本発明の、芳香族系溶媒を用いて芳香族系溶媒に溶解した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不溶物とを分離する精製工程、または、芳香族系溶媒を用いて芳香族系溶媒に溶解した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールと不溶物とを分離し、得られた溶液を加熱濃縮して[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの固体を析出させる精製工程、に至るには、抽出溶媒を芳香族系有機溶媒に置換する工程が必要である。
前記の抽出溶媒を芳香族系有機溶媒に置換する工程では、あらかじめ脱溶剤した組成生物にトルエンを加えても良く、抽出溶媒の沸点が芳香族系溶媒の沸点よりも低い場合には、抽出溶液に芳香族系溶媒を添加し、加熱還流下で徐々に抽出溶媒を除去しても良い。
〔硬化剤〕
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物は、以上詳述した新規エポキシ化合物と硬化剤とを含有するものであるが、該エポキシ化合物は、オリゴマー成分を含有する製造時の反応生成物として用いて良い。
ここで用いる硬化剤は、特に限定はなく、通常のエポキシ樹脂の硬化剤として常用されている化合物は何れも使用することができ、例えば、アミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。具体的には、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられ、アミド系化合物としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられ、酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、レゾルシンノボラック樹脂に代表される多価ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドから合成される多価フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でナフトール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどがメチレン結合を介してフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。これらの硬化剤は、単独でも2種類以上の併用でも構わない。
本発明のエポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂と硬化剤の配合量としては、特に制限されるものではないが、得られる硬化物特性が良好である点から、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基が0.7〜1.5当量になる量が好ましい。
〔配合物・添加剤〕
また必要に応じて本発明のエポキシ樹脂組成物に硬化促進剤を適宜併用することもできる。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分として、前記した本発明のエポキシ化合物を単独で用いてもよいが、必要に応じて、その他の公知慣用のエポキシ樹脂を本発明のエポキシ化合物と併用して用いても良い。
詳述した本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記した通り、優れた溶剤溶解性を発現することを特徴としている。従って、該エポキシ樹脂組成物は、上記各成分の他に有機溶剤を配合しても良い。ここで使用し得る前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル系溶媒、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、さらに必要に応じて、充填剤、着色剤、難燃剤、離型剤またはシランカップリング剤等の公知慣用の各種添加剤を添加しても良い。
上記充填剤として代表的なものには、シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が、着色剤として代表的なものにはカーボンブラック等が、難燃剤として代表的なものには、三酸化アンチモン等が、離型剤として代表的なものにはカルナバワックス等があり、シランカップリング剤として代表的なものには、アミノシランまたはエポキシシラン等がある。
〔組成物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記した各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ化合物、硬化剤、さらに必要により硬化促進剤を含有する本発明のエポキシ樹脂組成物は、従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。該硬化物としては、積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成型硬化物が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、積層板樹脂材料、電気絶縁材料、半導体封止材料、繊維強化複合材料、塗装材料、成型材料、導電性接着剤やその他の接着剤の材料等の用途に利用できる。
本発明のエポキシ化合物は、耐熱性が良く疎水性が高いナフタレン骨格を有すること、四官能であり架橋密度が高いこと、対称性に優れる分子構造を持つことから、その硬化物は極めて優れた耐熱性、耐水性および低熱膨張性を満足できる。類似の骨格を有す特許3137202号公報記載のジヒドロキシナフタレンとホルムアルデヒドとの反応生成物から得た1,1’−アルキレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)の四官能グリシジルエーテル化物と比較すると、本発明のエポキシ化合物は、ナフタレン骨格由来の低吸湿率および高い架橋密度に由来する低熱膨張性を維持しつつ、高温に比較的弱いアルキレン構造を持たないためより優れた耐熱性と、低い溶融粘度、良好な溶剤溶解性を示す。溶融粘度が91℃から61℃まで減少すると、作業性が向上することに加え、1,1’−アルキレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)の四官能グリシジルエーテル化物では困難であった、低溶融粘度もしくは液状のエポキシ樹脂組成物の作製が可能となる。例えば、酸無水物を硬化剤に用いた場合、1,1’−アルキレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)の四官能グリシジルエーテル化物は固形のエポキシ樹脂組成物となるのに対して、本発明のエポキシ化合物は、液状のエポキシ樹脂組成物が作製できる。また、本発明のエポキシ化合物は溶剤溶解性が良いため、プリント配線板用絶縁材料等の溶剤を使用する用途へ好適に使用でき、より多くの用途に適応可能である。
本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。尚、150℃における溶融粘度及びGPC、MSスペクトルは以下の条件にて測定した。
1)150℃における溶融粘度:ASTM D4287に準拠し、以下の機器で測定した。
機器名 :(株)コーデックス製 MODEL CV−1S
コーン : 10dPa.s用
2)軟化点測定法:JIS K7234に準拠し、グリセリンを熱媒とし、ボール&リング(B&R)法にて測定した。
機器名 :(株)メイテック製 ASP−M2型
昇温速度:5/min
3)GPC:測定条件は以下の通り。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折率計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
移動相: テトラヒドロフラン
流速: 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
4)NMR:日本電子株式会社製 NMR LA300
溶媒 :アセトン‐d6
5)MS :日本電子株式会社製 ガスクロマトグラフ飛行時間質量分析計JMS−T100GC
イオン化モード:FD
カソード電圧:−10kV
エミッタ電流:0mA → 40mA[25.6 mA/min.]
溶媒:テトラヒドロフラン
サンプル濃度:2%
<実施例1>
温度計、撹拌機、還流冷却器を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、塩化鉄(III)六水和物139g(0.5モル)、水1330mLを仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した後、ナフタレン−2,7−ジオール82g(0.5モル)をイソプロピルアルコール190mLにあらかじめ溶解した溶液を加え、40℃で30分撹拌した。塩化鉄(III)六水和物139g(0.5モル)及び水664mL、イソプロピルアルコール94mLの混合溶液を加え、40℃まで昇温してから、さらに1時間撹拌した。反応液に酢酸エチル500mLを加え、10分撹拌した。反応液を分液漏斗に移し、有機層を分離した後、さらに、水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した。真空下で溶媒を200mL程度になるまで留去した後、溶液を温度計、攪拌機、ディーンスタークトラップを備えたSUS容器に移し、トルエン5Lを加えた後、トルエンの沸点以下で加熱することで酢酸エチルを蒸発させ、溶媒を酢酸エチルからトルエンに置換した。トルエン溶液を室温まで冷却した後、不溶物をアドバンテック社製の定量ろ紙 No.5Cを用いてろ別した。ろ液を、真空下で溶媒留去し、110℃で5時間乾燥させ、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールが主成分の固体66g(収率82%)を得た。図1および図2に得られた化合物のGPCチャートおよびMSスペクトルチャートを示す。MSスペクトルチャートから、得られた化合物は[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの他、副生成物および原料であるナフタレン−2,7−ジオールが少量観測されたものの、GPCチャートから求めた純度は98%であった。また、得られた化合物の示差走査熱量測定により、この化合物は融点218℃の無水物であることが確認できた。
<実施例2>
実施例1と同様の条件で酸化カップリング反応及び溶媒抽出、溶媒置換を行い、トルエン溶液を室温まで冷却した後、不溶物をろ別した。ろ液を温度計、攪拌機、ディーンスタークトラップを備えたSUS容器に移し、撹拌しながら、沸点以上の温度に加熱し、トルエンを500mL程度になるまで留去することで濃縮し、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの結晶を析出させた。析出物と溶媒を80℃以上の温度での熱時ろ過でろ取した後、110℃で5時間乾燥させ、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを収量53g(収率68%)で得た。図3および図4に得られた化合物のGPCチャートおよびMSスペクトルチャートを示す。MSスペクトルチャートから、得られた化合物は[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール単品であり、GPCチャートから求めた純度は99%であった。また、得られた化合物の示差走査熱量測定により、この化合物は融点218℃の無水物であることが確認できた。
<実施例3>
実施例1と同様の条件で酸化カップリング反応及び溶媒抽出を行った。酢酸エチルを真空下で留去した後、得られた粗生成物にベンゼンを加え、その混合液を温度計、攪拌機、ディーンスタークトラップを備えたSUS容器に移し、さらにベンゼンを全量で5Lになるように加え還流した。ベンゼン溶液を室温まで冷却した後、不溶物をろ別した。ろ液を、真空下で溶媒留去し、110℃で5時間乾燥させ、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールが主成分の固体70g(収率87%)を得た。得られた化合物のGPCチャートから求めた純度は97%であった。
<実施例4>
実施例1と同様の条件で酸化カップリング反応及び溶媒抽出を行った。真空下で溶媒を200mL程度になるまで留去した後、溶液を温度計、攪拌機、ディーンスタークトラップを備えたSUS容器に移し、キシレン5Lを加えた後、溶媒を酢酸エチルからキシレンに置換した。溶液を室温まで冷却した後、不溶物をろ別した。ろ液を、真空下で溶媒留去し、110℃で5時間乾燥させ、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールが主成分の固体68g(収率84%)を得た。得られた化合物のGPCチャートから求めた純度は98%であった。
<実施例5>
温度計、撹拌機、還流冷却器を取り付けたフラスコに、乳鉢で粉砕した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール50g、水100gを仕込み、60℃で30分撹拌した。懸濁液をろ過し、残渣を90℃で5日間乾燥して、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール一水和物52gを得た(収率99%)。得られた化合物の示差走査熱量測定により、220℃の融点と124℃付近の軟化点を持つ化合物であり、結晶水を放出する185℃の発熱ピークから、一水和物であることを確認した。
<比較例1>
実施例1と同様の条件で酸化カップリング反応及び溶媒抽出を行い、酢酸エチルを真空下で留去した。得られた粗生成物のMS分析を行った結果、得られた粗生成物は[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオール、原料、多量体およびその他の副生成物の混合物であることが判明し、GPCチャートのピーク面積から求めた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの分子量領域の純度は76%であった。
<比較例2>
実施例1と同様の条件で酸化カップリング反応及び溶媒抽出を行った。酢酸エチルを真空下で留去した後、得られた粗生成物にエタノールを加え、
その混合液を温度計、攪拌機、ディーンスタークトラップを備えたSUS容器に移し、さらにエタノールを全量で500mLになるように加え還流
した。エタノール溶液を室温まで冷却した後、不溶物をろ別した。ろ液を、真空下で溶媒留去し、110℃で5時間乾燥させ、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールが主成分の固体80g(収率99%)を得た。得られた化合物のGPCチャートから求めた純度は77%であった。
<比較例3>
実施例1と同様の条件で酸化カップリング反応及び溶媒抽出を行った。酢酸エチルを真空下で留去した後、得られた粗生成物にヘキサンを加え、その混合液を温度計、攪拌機、ディーンスタークトラップを備えたSUS容器に移し、さらにヘキサンを全量で5Lになるように加え還流した。ヘキサン溶液を室温まで冷却した後、不溶物をろ別した。ろ液を、真空下で溶媒留去し、110℃で5時間乾燥さたところ、得られた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールが主成分の固体は2g(収率3%)であった。〔1,1’−ビナフタレン〕]−2,2’,7,7’−テトラオールはヘキサンへの溶解度が低いため、不純物との分離が困難であった。
比較合成例1
温度計、撹拌機、還流冷却器を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、塩化鉄(III)六水和物139g(0.5モル)、水1330mLを仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した後、ナフタレン−1,6−ジオール82g(0.5モル)をイソプロピルアルコール190mLにあらかじめ溶解した溶液を加え、40℃で1時間撹拌した。反応液に酢酸エチル500mLを加え、10分撹拌した。反応液を分液漏斗に移し、有機層を分離した後、さらに、水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、真空下で濃縮した。得られた生成物は、2量体、3量体、4量体の混合物であり、さらにそれぞれがナフタレンが1,1’位で結合したものとそれ以外の位置で結合したものとの複雑な混合物であり、2量体を高純度に取り出すことはできず、エポキシ樹脂の原料に適さないものであった。この結果は、ジヒドロキシナフタレンのヒドロキシ基の位置の重要性を示している。
〈実施例6〉
温度計、撹拌機、還流冷却器を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、塩化鉄(III)六水和物139g(0.5モル)、水1330mLを仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した後、2,7−ジヒドロキシナフタレン82g(0.5モル)をイソプロピルアルコール190mLにあらかじめ溶解した溶液を加え、40℃で30分撹拌した。塩化鉄(III)六水和物139g(0.5モル)及び水664mL、イソプロピルアルコール94mLの混合溶液を加え、40℃まで昇温してから、さらに1時間撹拌した。反応液に酢酸エチル500mLを加え、10分撹拌した。反応液を分液漏斗に移し、有機層を分離した後、さらに、水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した。真空下で溶媒を200mL程度になるまで留去した後、溶液を温度計、攪拌機、ディーンスタークトラップを備えたSUS容器に移し、トルエン5Lを加えた後、溶媒を酢酸エチル及び水からトルエンに置換した。トルエン溶液を室温まで冷却した後、不溶物をろ別した。ろ液を温度計、攪拌機、ディーンスタークトラップを備えたSUS容器に移し、撹拌しながら、沸点以上の温度に加熱し、トルエンを500mL程度になるまで留去することで濃縮し、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの結晶を析出させた。析出物と溶媒を80℃以上の温度での熱時ろ過でろ取した後、110℃で5時間乾燥させ、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールを収量53g(収率68%)で得た。得られた[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールは、GPCおよびMSにより、多量体化した成分を含まず、高純度であることを確認した。
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、上記の方法で合成した[1,1’−ビナフタレン]−2,2’,7,7’−テトラオールの79.5g(0.25モル)、エピクロルヒドリンの462g(5.0モル)、n−ブタノールの126gを仕込み溶解させた。40℃に昇温した後に、48%水酸化ナトリウム水溶液の100g(1.20モル)を8時間要して添加し、その後更に50℃に昇温し更に1時間反応させた。反応終了後、水150gを加えて静置した後、下層を棄却した。その後、150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトンの230gを加え溶解した。更にこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液の100gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂である2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−〔1,1’−ビナフタレン〕(A−1)の135gを得た。得られたエポキシ樹脂(A−1)の軟化点は61℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は1.1dPa・s、エポキシ当量は144g/当量であった。得られたエポキシ樹脂のGPCチャートを図1に、C13NMRチャートを図2に、MSスペクトルを図3に示す。MSスペクトルから2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−〔1,1’−ビナフタレン〕(A−1)を示す542のピークが検出された。
<実施例7および比較例4>
実施例7で得られた本発明のエポキシ樹脂(A−1)および比較用エポキシ樹脂(A−2)[下記構造式で表される4官能型ナフタレン系エポキシ樹脂(DIC(株)社製「エピクロンHP−4700」、軟化点91℃、150℃溶融粘度4.5ps、エポキシ当量166g/当量)]、
Figure 0005761584
硬化剤としてフェノールノボラック型フェノール樹脂(DIC(株)社製「フェノライトTD−2131」、水酸基当量104g/当量)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)を用いて表1に示した組成で配合し、11cm×9cm×2.4mmの型枠に流し込み、プレスで150℃の温度で10分間成型した後、型枠から成型物を取出し、次いで、175℃の温度で5時間硬化して作成した硬化物について、耐熱性、線膨張係数、吸湿性を評価した。また、前記エポキシ樹脂(A−1)およびエポキシ樹脂(A−2)についての溶剤溶解性を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
<耐熱性(ガラス転移温度;Tg(DMA)>
粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置RSAII、レクタンギュラーテンション法;周波数1Hz、昇温速度3℃/min)を用いて、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度をガラス転移温度として評価した。
<耐熱性(5%重量減少温度)>
示差熱熱量重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TG/DTA6200)を用いて、アルミパン容器に樹脂塗膜を秤量し、室温から500℃まで昇温し、5%重量減少温度を測定した。
測定条件
測定温度:室温〜500℃
測定雰囲気:窒素
昇温速度:10℃/min
<線膨張係数>
熱機械分析装置(TMA:セイコーインスツルメント社製SS−6100)を用いて、圧縮モードで熱機械分析を行った。
測定条件
測定架重:88.8mN
昇温速度:3℃/分で2回
測定温度範囲:−50℃から300℃
上記条件での測定を同一サンプルにつき2回実施し、2回目の測定における、25℃か
ら280℃の温度範囲における平均膨張係数を線膨張係数として評価した。
<吸湿率>
恒温恒湿装置内で85℃/85%RHの吸湿条件で、300 時間吸湿させた後の重量増加率から吸湿率を計算した。
<溶剤溶解性>
エポキシ樹脂10部とメチルエチルケトン4.3部をサンプル瓶中、密閉状態60℃で
溶解させた。その後、25℃まで冷却し、結晶が析出するか評価した。結晶が析出しない
場合は○、結晶が析出した場合は×として判定した。
Figure 0005761584
表1の結果からわかるように、本発明のエポキシ化合物は軟化点温度も低く、低溶融粘度であり、その硬化物は、ナフタレン系四官能エポキシ化合物に特徴的な低吸湿率、低熱膨張率を維持しつつ、溶剤溶解性が良く極めて耐熱性に優れていることが明らかである。
本発明のエポキシ化合物、エポキシ樹脂組成物、及び硬化物は、積層板樹脂材料、電気絶縁材料、半導体封止材料、繊維強化複合材料、塗装材料、成型材料、導電性接着剤やその他の接着剤の材料等の用途に好適に利用できる。

Claims (2)

  1. 2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−1,1’−ビナフタレンであるエポキシ化合物、および硬化剤を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。
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