JP3255246B2 - エポキシ樹脂、その製法、エポキシ樹脂組成物及び半導体封止材料 - Google Patents
エポキシ樹脂、その製法、エポキシ樹脂組成物及び半導体封止材料Info
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Description
半導体封止材料に関する。
せることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品
性、耐熱性、電気的性質などの優れた硬化物となり、接
着剤、塗料、積層板、成型材料、注型材料等、幅広い分
野に使用されている。
ルノボラック型エポキシ樹脂(以下「ECN」という)
が広く使用されているが、ECNは吸水性が高く、かつ
高温域の弾性率も高いため、ハンダ耐熱性が非常に悪
く、プリント基盤への実装時にクラックが極めて生じ易
いものであった。
ピン挿入型から表面実装型に移行しつつあるため、ハン
ダ耐熱性が悪く、実装時にクラックが発生することのな
いエポキシ樹脂が要求されている。この、クラック発生
を防止するためには吸水率が低いことと高温域での弾性
率が低いことが重要な要件となる。即ち、吸水率が高い
と、実装時のハンダによる熱衝撃でその水分が膨張し、
その膨張エネルギーによってクラックの発生につなが
る。また、高温域での弾性率が高いと、熱時水分の膨張
エネルギーによってパッケージに応力が生じた際の、発
生最大応力が大きくなり、やはりクラックが発生しやす
くなる。
止用エポキシ樹脂として、例えば特開平2−22741
8号公報にはβ−ナフトールメチレン基架橋2量化物の
2官能エポキシ化物が開示されている。
−227418号公報に記載のβ−ナフトールメチレン
基架橋2量化物の2官能エポキシ化物は、その構造から
優れた物性が期待されるものの、融点が175℃と非常
に高い結晶であることから、通常のコンパウンド化の方
法では、封止材を製造することができなく、またそれに
加え溶剤溶解性が極めて悪いため、エポキシ化工程中に
結晶化を生じてしまい、製造も困難なものであった。
が低く、かつ高温域での弾性率が低いため、半導体封止
材料とした時のハンダ耐熱性に優れ、更に、溶融粘度が
低く、半導体封止剤として成形性に優れ、かつ無機充填
剤の高充填が可能な半導体封止材料を提供することにあ
る。
た結果、1,1’−ビ−2−ナフトールにエピハロヒド
リンを反応させて得られるエポキシ樹脂すなわち1,
1’−ビ−2−(2,3−エポキシプロポキシ)ナフチ
ルを用いることにより上記課題が解決できることを見い
だし本発明を完成するに至った。
(2,3−エポキシプロポキシ)ナフチルと硬化剤とを
必須成分とする半導体封止材料に関するものである。
1,1’−ビ−2−ナフトールと、エピハロヒドリンと
を反応させる本発明の製法によって得ることができるも
のであり、具体的には、次に構造式1で示されるものが
挙げられる。
溶融粘度が低く、流動性に優れるためにフィラーの高充
填率化も可能になる。以下に、上記エポキシ樹脂の製法
を詳述する。
−ビ−2−ナフトールにエピハロヒドリンを反応させる
ものであり、その反応条件は特に限定するものではない
が、具体的には、先ず、原料水酸基に対して0.5〜1
5当量のエピハロヒドリンを添加し溶解する。この際エ
ピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリンが最も一
般的であるが、他にエピヨードヒドリン、エピブロムヒ
ドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等も使用に差し
支えず、またこれらに限定されるものではない。
2当量の10〜50%NaOH水溶液を50〜80℃の
温度で3〜5時間要して適下する。適下後その温度で
0.5〜2時間程度攪拌を続けて、静置後下層の食塩水
を棄却する。次いで過剰のエピハロヒドリンを蒸留回収
し祖樹脂を得る。これにトルエン、MIBK等の有機溶
媒を加え、水洗−脱水−濾過−脱溶媒工程を経て、目的
の樹脂を得ることができる。
の際ジオキサン、DMSO等の溶媒を併用しても良い。
の1,1’−ビ−2−(2,3−エポキシプロポキシ)
ナフチルの理論構造が主体となるが、エポキシ化工程中
に生成する生成エポキシ基と未反応水酸基の付加反応に
よって生ずるオリゴマー成分も相当量含有している。ま
た、当然少量の加水分解性塩素やα−グリコール等の不
純物も含まれる。
要はなく、オリゴマー成分を含有する製造時の反応生成
物として用いることができる。即ち、理論構造の含有量
は、エポキシ化反応条件によって決定され、例えば使用
するエピハロヒドリンの水酸基に対する過剰率を調整す
ることによって任意に調整可能である。半導体封止材用
途では、溶融粘度が低く、耐熱性が高いことが望ましい
ので理論構造を高める反応条件を採用した方が良い。
む半導体封止材料は、吸水率が低く、また、高温時の弾
性率の低いものであるので、熱サイクルによるクラック
の発生が生じにくい。また、内部応力が小さくなるため
に金属等に対する密着性も高い。更に、適度なガラス転
移温度を有するので耐熱性と耐水性のバランスが優れた
ものとなる。
である上述したエポキシ樹脂に加え、さらに公知慣用の
エポキシ樹脂を併用しても構わない。この際に用いられ
るエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグ
リシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹
脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、臭素
化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノ
ボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型2官能エポキシ
樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
通常エポキシ樹脂の硬化剤として常用されている化合物
はすべて使用することができ、ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミンなどの脂肪族アミン類、メタフ
ェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミ
ノジフェニルスルホンなどの芳香族アミン類、フェノー
ルノボラック樹脂、オルソクレゾールノボラック樹脂、
ビスフェノールAノボラック樹脂、ビスフェノールFノ
ボラック樹脂、フェノール類−ジシクロペンタジエン付
加型樹脂、ジヒドロキシナフタレンノボラック樹脂、キ
シリデンを結接基としたフェノール類、ナフトール類樹
脂、ポリアミド樹脂およびこれらの変性物、無水マレイ
ン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水
ピロメリット酸などの酸無水物系硬化剤、ジシアンジア
ミド、イミダゾール、BF3 −アミン錯体、グアニジン
誘導体等の潜在性硬化剤等が挙げられる。中でも半導体
封止材用としては、上記芳香族炭化水素−ホルムアルデ
ヒド樹脂が好ましい。
を硬化せしめる量であれば何れでもよく、特に限定され
ないが、好ましくは用いるエポキシ樹脂の一分子中に含
まれるエポキシ基の数と、硬化剤中の活性水素の数が当
量付近となる量である。
いる際は、硬化促進剤を適宜使用することができる。硬
化促進剤としては公知慣用のものがいずれも使用できる
が、例えば、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属
塩、ルイス酸、アミン錯塩、リン系化合物等が挙げら
れ、これらは単独のみならず2種以上の併用も可能であ
る。
るだけでなく、既に公知の他のエポキシ樹脂と併用して
用いることもできる。
うち、エポキシ樹脂、硬化剤とを必須成分とするもので
あるが、更に好ましくは、硬化促進剤、無機充填剤から
構成される。無機充填剤は特に制限されるものではない
が、例えば結晶性シリカ粉、溶融シリカ粉、アルミナ
粉、タルク、石英ガラス粉、炭酸カルシウム粉、ガラス
繊維などがあげられる。また充填剤の量は50〜90重
量%の範囲で用いられるが、線膨張係数が低くなる点よ
り、80重量%以上が好ましい。
剤、またはカップリング剤などの公知慣用の各種の添加
剤成分も適宜配合せしめることができる。
優れ、薄型パッケージ用途にも充分対応ができる。また
フィラーの高充填率化も果たせられ、85%程度の充填
も可能となる。さらに表面実装時の耐ハンダクラック性
に対しても、優れた性能を有する。具体的に述べると、
高温域(ゴム領域)の弾性率が非常に低いために、保存
中に吸湿した水分がハンダ浴の高温によって蒸発した際
に生ずる応力が緩和され、クラックが極めて生じにく
い。
力が小さく、実装後の熱サイクルに対しても容易にクラ
ックは発生することもない。またリードフレーム等への
密着性も優れるため、フレームからの剥離等も発生しに
くい。
子量タイプエポキシ樹脂を得るための2段法反応の原料
樹脂として使用することもできる。この2段法によっ
て、高分子量タイプエポキシ樹脂を得るには、本発明の
エポキシ樹脂に更に多価フェノール類を反応させればよ
い。
るものではないが、ビスフェノールA、ビスフェノール
F、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノール
S、レゾルシン、ハイドロキノン等が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。
例により具体的に説明する。尚、例中において部は特に
断りのない限りすべて重量部である。
ナフトール286g(1.0モル)、エピクロルヒドリ
ン925g(10モル)をいれ溶解する。それに80℃
で20%NaOH440g(2.2モル)を3時間かけ
て攪拌しながら滴下し、さらに30分間攪拌を続けてそ
の後静置した。下層の食塩水を棄却し、エピクロルヒド
リンを150℃で蒸留回収した後、粗樹脂にMIBK6
00gを加え、さらに水250gを加え80℃にて水洗
した。そして下層の水洗水を棄却した後、脱水、濾過を
経てMIBKを150℃で脱溶剤して目的のエポキシ樹
脂(A)374gを得た。この樹脂は淡黄色固体で、軟
化点61℃、150℃での溶融粘度0.4ポイズ、エポ
キシ当量は223g/eqであった。
ャートを図1に示す。ここで115.6〜153.7pp
mまではナフタレン骨格の炭素に帰属され、43.3、
49.8、69.5ppmの炭素はグリシジル基に帰属さ
れる。またMSチャートを図2に示す。
外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂(B)369
gを得た。この樹脂は淡黄色固体で、軟化点63℃、1
50℃での溶融粘度0.5ポイズ、エポキシ当量は22
5g/eqであった。
外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂(C)330
gを得た。この樹脂は淡黄色固体で、軟化点79℃、1
50℃での溶融粘度2.1ポイズ、エポキシ当量は25
9g/eqであった。
1,1’−ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン30
0g(1モル)に変更した以外は、実施例1と同様にし
てエポキシ化反応を試みた。しかし工程途中で結晶化を
起こし、目的の樹脂を得ることが出来なかった。
ポキシ樹脂(A)〜(C)と、それに比較としてオルソ
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂EPICLON
N−665(大日本インキ化学工業(株)製、軟化点6
7℃、エポキシ当量209)を加え、硬化剤としてバー
カム TD−2131(大日本インキ化学工業(株)
製、軟化点80℃、フェノールノボラック樹脂)を、さ
らには硬化促進剤としてトリフェニルフォスフィンをそ
れぞれ用い、エポキシ樹脂のエポキシ基1個に対して硬
化剤の水酸基が1個になる様に表に示す組成で配合し
て、エポキシ樹脂組成物を得た。
2時間、次いで160℃で2時間、更に180℃で2時
間の条件で硬化せしめて試験片とし、JIS K−69
11に準拠して、常温での曲げ強度、引張り強度、引張
り伸び率および85℃・85%RH条件下での吸水率を
測定した。加えDMAによってガラス転移温度および動
的粘弾性率を測定した。結果を第1表に示した。
ルにて100℃・8分間混練りし、その後粉砕したもの
を1200-1400Kg/cm2 の圧力にてタブレットを作製し、
それを用いてトランスファー成形機にてプランジャー圧
力80Kg/cm2、金型温度175℃、成形時間100秒の
条件下にて封止し、厚さ2mmのフラットパッケージを評
価用試験片を作成した。その後175℃で8時間の後硬
化を施した。それを用いてハンダ耐熱性の評価として耐
ハンダクラック試験を行った。この試験は、試験片を8
5℃・85%RHの雰囲気下中72時間放置し、吸湿処
理を行った後、これを260℃のハンダ浴に10秒浸せ
きし、その際のクラック発生率を調べた。試験片数は2
0個。試験片数は20個。この結果を同じく第2表に示
す。
(株)製「EPICLON152」を、フェノールノホ゛ラック樹
脂(2)は大日本インキ化学工業(株)製「バーカムTD
−2131」を夫々表わす。)
度が低く、流動性に優れるためにフィラーの高充填率化
が可能で、更に硬化物とした際に、低吸水率で高温域で
の弾性率が低いため、半導体封止材料として表面実装時
のハンダ耐熱性に極めて優れた性能を発揮し、実装に際
しての信頼性が飛躍的に向上する。
エポキシプロポキシ)ナフチルの13C−NMRのチャー
トである。図2は、実施例1で得られた1,1’−ビ−
(2,3−エポキシプロポキシ)ナフチルのMSチャー
トである。
Claims (1)
- 【請求項1】 エポキシ樹脂と硬化剤とを必須成分とす
る半導体封止材料において、エポキシ樹脂として1,
1’−ビ−2−(2,3−エポキシプロポキシ)ナフチ
ルを特徴とする半導体封止材料。
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