JP2845410B2 - 新規エポキシ樹脂、樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

新規エポキシ樹脂、樹脂組成物及びその硬化物

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JP2845410B2 JP13868091A JP13868091A JP2845410B2 JP 2845410 B2 JP2845410 B2 JP 2845410B2 JP 13868091 A JP13868091 A JP 13868091A JP 13868091 A JP13868091 A JP 13868091A JP 2845410 B2 JP2845410 B2 JP 2845410B2
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epoxy resin
resin
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博美 森田
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富好 石井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子部品の封止又は積
層用の材料として有用なエポキシ樹脂、樹脂組成物及び
その硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から電気・電子部品、特にICの封
止剤の分野では、エポキシ樹脂、フェノールノボラック
樹脂、硬化促進剤を主成分とした樹脂組成物が広く用い
られている。なかでも、クレゾールノボラック型エポキ
シ樹脂は、特に封止剤などの電気・電子部品の材料とし
て、その硬化物の耐熱性等のバランスの良さから広く一
般的に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ノボラック型エポキシ樹脂では、最近のICの高密度、
高集積化に伴うフィラー量の増加には、溶融粘度等の点
で対応できなくなっている。そこで、耐熱性を保持した
まま、各種物性にバランスのとれた硬化物を与え、なお
かつ溶融粘度が低く作業性に優れる高純度エポキシ樹脂
の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題の解決を目的に鋭意検討した結果、ナフタレン核の炭
素同士で直接結合させたメチレン鎖を持たない熱安定性
の良いナフトール類ポリマーをエポキシ化することによ
り上記目的を達成できる熱安定性の良いエポキシ樹脂が
得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、(1)式[1]
【0006】
【化2】
【0007】(式中、Rは、水素原子、炭素数1から4
のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示し、n
は、0〜10の値、好ましくは0〜4の値をとる。)で
表されるエポキシ樹脂、
【0008】(2)上記(1)の式[1]で表されるエ
ポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を含むエポキシ樹脂
組成物、
【0009】(3)上記(2)のエポキシ樹脂組成物の
硬化物、に関する。
【0010】以下本発明を詳細に説明する。本発明のエ
ポキシ樹脂は、次のようにして製造することができる。
即ち、式[2]
【0011】
【化3】
【0012】(式中、Rは、水素原子、炭素数1から4
のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示し、n
は、0〜10の値をとる。)で表される熱安定性の良い
ナフトール樹脂と、式[3]
【0014】
【化4】
【0015】(式中、Xはハロゲン原子を表す。)で表
されるエピハロヒドリン化合物を塩基性化合物の存在下
で反応させることにより、式[1]で表されるエポキシ
樹脂が容易に得られる。前記式[2]で表される樹脂と
しては具体的には、1−ナフトールポリマー、2−ナフ
トールポリマー、2−メチル−1−ナフトールポリマ
ー、4−ブロム−1−ナフトールポリマー、2−ブロム
−1−ナフトールポリマー、4−フェニル−1−ナフト
ールポリマー等が挙げられ、特に1−ナフトールポリマ
ー、2−ナフトールポリマーが好ましいが、特にこれら
に限定されるものではない。
【0016】前記式[3]において、Xで表されるハロ
ゲン原子としてCl、Br、I等が挙げられ、式[3]
の化合物としては、具体的には、エピクロルヒドリン、
エピブロムヒドリン、エピヨードヒドリン等が挙げら
れ、これらの混合物を用いることもできるが、工業的に
はエピクロルヒドリンが好適に使用される。式[2]で
表される樹脂とエピハロヒドリン化合物の反応は、公知
の方法により行うことができる。
【0017】例えば、式[2]で表される熱安定性の良
い樹脂と、その水酸基当量に対して過剰モル量のエピハ
ロヒドリン化合物とをテトラメチルアンモニウムクロリ
ド、テトラメチルアンモニウムブロミド、トリエチルア
ンモニウムクロリドなどの第4級アンモニウム塩または
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属
水酸化物などの存在下で反応させ、第4級アンモニウム
塩などを用いた場合は開環付加反応の段階で反応が止ま
るので次いで上記アルカリ金属水酸化物を加えて閉環反
応を行わせる。
【0018】また最初からアルカリ金属水酸化物を加え
て反応させる場合は、開環付加反応及び閉環反応を一気
に行わせる。エピハロヒドリン化合物の使用割合は、式
[2]で表される樹脂の水酸基1当量に対して通常1〜
50モル、好ましくは、3〜15モルの範囲である。
又、この際、反応を円滑に行わせる為、メタノールなど
のアルコール類、或いはアセトン又は、ジメチルスルホ
キシド、ジメチルスルホン、ジメチルホルムアミドなど
の非プロトン性極性溶媒を用いることができ、特にジメ
チルスルホキシドを用いることは好ましい。
【0019】アルカリ金属水酸化物の使用量は、式
[2]で表される樹脂の水酸基当量1に対して通常0.
8〜1.5モル、好ましくは0.9〜1.3モルの範囲
であり、第4級アンモニウム塩を使用する場合その使用
量は、式[2]で表される樹脂の水酸基当量1に対して
通常0.001〜1.0モル、好ましくは0.005〜
0.5モルの範囲である。反応温度は通常30〜150
℃、好ましくは50〜120℃である。また反応で生成
した水を反応系外に除去しながら反応を進行させること
もできる。反応終了後、副生した塩を水洗、濾過等によ
り除去することにより式 [1] で表される熱安定性の良
いエポキシ樹脂が得られる。
【0020】本発明のエポキシ樹脂組成物において使用
する硬化剤としては、種々のものが使用でき特に限定さ
れない。例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミ
ン、ポリアミドポリアミン等のポリアミン系硬化剤、無
水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタ
ル酸等の酸無水物系硬化剤、フェノールノボラック、ク
レゾールノボラック等のフェノール系硬化剤、前記式
[2]の樹脂、三フッ化ホウ素等のルイス酸又はそれらの
塩類、ジシアンジアミド等を挙げることができる。硬化
剤の量は、樹脂組成物中のエポキシ樹脂のエポキシ基1
当量に対して0.5〜1.5当量が好ましく、特に0.
6〜1.2当量が好ましい。
【0021】硬化促進剤の具体例としては、2−メチル
イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾー
ル系化合物、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール
等の第三アミン系化合物、トリフェニルホスフィン等の
ホスフィン化合物等が挙げられ、特に限定されない。硬
化促進剤は、樹脂組成物中のエポキシ樹脂100重量部
に対して0.01〜10重量部配合するのが好ましい。
【0022】更に、本発明の樹脂組成物には必要に応じ
て公知の添加剤を配合することができる。その例として
は、シリカ、アルミナ、タルク、ガラス繊維等の無機充
填剤、シランカップリング剤のような充填剤の表面処理
剤、離型剤、顔料等が挙げられる。
【0023】本発明の樹脂組成物は、各成分を均一に混
合することにより得られる。本発明の樹脂組成物は、通
常130〜170℃の温度で予備硬化し、更に150〜
200℃の温度で2〜8時間後硬化することにより充分
な硬化反応が進行し、本発明の硬化物が得られる。こう
して得られる硬化物は、耐熱性が高く吸水率が低い等の
優れた物性を有している。
【0024】従って、本発明のエポキシ樹脂及びエポキ
シ樹脂組成物は、高耐熱性、低吸水性等の要求される広
範な分野で用いることができる。具体的には、絶縁材
料、積層板、封止材料等あらゆる電気電子材料の配合成
分として有用である。又、成形材料、複合材料等の分野
に用いることができる。さらに、本発明のエポキシ樹脂
及びエポキシ樹脂組成物は、溶融粘度が低く抑えられて
いるためトランスファー成型等、従来通りの手法を用い
ることができ作業性も良好である。
【0025】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。 実施例1.温度計、攪拌装置、滴下ロート及び生成水分
離装置のついた反応器に樹脂A(前記式[2]中、Rが
水素原子で、水酸基が2位にあり、n=0.5のもの、
平均分子量390、水酸基当量(g/eq)180)1
80g及びエピクロルヒドリン460gを仕込み窒素置
換を行った後、48%水酸化ナトリウム水溶液85gを
5時間かけて滴下した。滴下中は反応温度60℃、圧力
100〜150mmHgの条件下で生成水及び水酸化ナト
リウム水溶液の水をエピクロルヒドリンとの共沸により
連続的に反応系外に除去し、エピクロルヒドリンは系内
に戻した。
【0026】ついで過剰の未反応エピクロルヒドリンを
減圧下に回収した後、メチルイソブチルケトン1000
mlを加え水層が中性を示すまで水洗した。有機層から
メチルイソブチルケトンを減圧下に除去し、その後再び
メチルイソブチルケトンを400g加え再溶解した。得
られたメチルイソブチルケトン溶液に20%水酸化ナト
リウム水溶液20g加え反応温度70℃で2時間反応さ
せた。
【0027】反応終了後、水層が中性を示すまで水で洗
浄し、油層からメチルイソブチルケトンを減圧下に除去
し、淡黄色の固体(AE−1)228gを得た。本発明
の式[1]で表されるエポキシ樹脂である生成物(AE
−1)のICI粘度は1.3ポイズで軟化温度は74.
2℃、エポキシ当量(g/eq)は250であった。ま
た、加水分解性塩素量は216ppmであった。
【0028】このようにして得られる生成物(AE−
1)は、式[1]においてn=0.5、R=H、グリシ
ジルオキシ基の結合位置が2位のエポキシ樹脂である。
【0029】実施例2.温度計、攪拌装置及び滴下ロー
トの付いた反応器に上記樹脂A180g、エピクロルヒ
ドリン460g及びジメチルスルホキシド115gを仕
込み窒素置換を行った後、30℃の水浴中にて水酸化ナ
トリウム40gを徐々に加えた。発熱に注意しながら3
0℃にて5時間、50℃にて2時間、さらに70℃にて
1時間反応を行った。ついで水を加えて水層が中性を示
すまで洗浄した。その後油層からエピクロルヒドリン及
びジメチルスルホキシドを減圧下に除去した。
【0030】次にメチルイソブチルケトンを400g加
え再溶解した。得られたメチルイソブチルケトン溶液に
20%水酸化ナトリウム水溶液20gを加えて反応温度
70℃で2時間反応した。反応終了後、水層が中性を示
すまで水で洗浄し、油層からメチルイソブチルケトンを
減圧下に除去し、淡黄色の固体(AE−2)230gを
得た。本発明の式[1]で表されるエポキシ樹脂である
生成物(AE−2)のICI粘度は1.8ポイズで軟化
温度は75.0℃でエポキシ当量(g/eq)は249
であった。また、加水分解性塩素量は210ppmであ
った。
【0031】なお、上記実施例において用いた樹脂Aは
次のとおりである。 樹脂A:ハリマ化成株式会社製 2−ナフトールポリマ
ー 平均分子量 390 水酸基当量 180(g/eq) 軟化温度 104.0 (℃) ICI粘度 4.8 ポイズ 軟化温度: JIS K2425K環球法 ICI粘度:コーンプレートタイプ;150℃
【0032】又、加水分解性塩素量は次の方法で測定し
た。(加水分解性塩素量)0.5gの試料(エポキシ樹
脂)を100ミリリットルの共栓付きフラスコに精秤
し、ジオキサン30ミリリットルで溶解する。溶解後、
1N−KOHエタノール溶液5ミリリットルを加え、3
0分間煮沸還流した。その後、この溶液を完全に200
ミリリットルのビーカーに移し、80%濃度のアセトン
水溶液100ミリリットルを加えた後、更に濃硝酸2ミ
リリットルを加えて攪拌し、電位差滴定によって定量し
た。
【0033】応用実施例1〜2.エポキシ樹脂として実
施例1〜2で得られた生成物(AE−1)〜(AE−
2)のエポキシ樹脂を用い、硬化剤として市販のフェノ
ールノボラック樹脂(PNH−1))を用い、トリフェ
ニルホスフィン(TPP)を硬化促進剤とし、これらを
表1に示す割合で配合した組成物を70〜80℃で15
分間ロール混練した。これを冷却後、粉砕、タブレット
化し、更にトランスファー成型機により成型後、160
℃で2時間予備硬化して、180℃で8時間、後硬化を
行って硬化物(試験片)を得た。この硬化物のガラス転
移温度(Tg)及び吸水率を測定した。硬化物の評価結
果を表1に示した。
【0034】応用比較例1〜2.表1に示す割合で市販
のエポキシ樹脂としてビスフェノール型エポキシ樹脂
(エポミック R−301)又はクレゾールノボラック
型エポキシ樹脂(EOCN−3300)を、硬化剤とし
て市販のフェノールノボラック樹脂(PN( H−
1))を、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン
(TPP)を配合し、応用実施例1〜2と同様の操作に
より硬化物の評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0035】以下に、物性測定の条件を示した。 ガラス転移温度(Tg) :DMA レオログラフ−ソリッド L−1 (株式会社 東洋精機)昇温速度 2℃/min 周波数 10Hz 吸水率 :試 験 片 直径 50 (硬化物) 厚さ 3 円板 条 件 100℃の水中で24時間 煮沸した後の重量増加量 (重量%)
【0036】尚、配合した市販の樹脂は次のとおり。 PN(H−1) : (日本化薬(株)製) フェノールノボラック樹脂 水酸基当量(g/eq)106 軟化温度 85℃ エポミックR−301: (三井石油化学エポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 エポキシ当量(g/eq)470 軟化温度 68℃ EOCN−3300 : (日本化薬(株)製)クレゾールノボラックエポキシ 樹脂 エポキシ当量(g/eq)187 軟化温度 42.0℃
【0037】 表1 応用実施例 応用比較例 1 2 1 2 生成物(AE-1) 250 エポキシ樹脂 生成物(AE-2) 249 エポミック 235 EOCN-3300 187 硬化剤 PN(H-1) 106 106 53 106 硬化促進剤 TPP 2.5 2.5 2.4 1.9 ガラス転移温度(℃) 181 182 170 172 吸水率 (%) 0.9 0.9 1.9 1.2
【0038】
【発明の効果】本発明の樹脂は、粘度が低く作業性に優
れ、熱安定性の良い高純度(加水分解性塩素量の少な
い)エポキシ樹脂である。また、本発明の樹脂組成物を
用いて得られる硬化物は、耐熱性の指標であるガラス転
移温度が高く、しかも、吸水率が低く抑えられている。
従って、本発明の樹脂及び樹脂組成物は、近年の高信頼
性、高純度、高耐熱、低吸水率等の要求に充分応えるこ
とができ、この性能を利用して広範な分野、具体的に
は、電子部品の封止材料、成形材料または積層用の材料
として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−50556(JP,A) 特開 平4−226524(JP,A) 特開 平3−21627(JP,A) 特開 平3−59020(JP,A) 特表 昭63−502079(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 59/06 C08G 59/20 C07D 303/27 H01L 23/29

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式[1] 【化1】 (式中、Rは、水素原子、炭素数1から4のアルキル
    基、アリール基又はハロゲン原子を示し、nは、0〜1
    0の値をとる。)で表されるエポキシ樹脂。
  2. 【請求項2】請求項1のエポキシ樹脂、硬化剤及び硬化
    促進剤を含むエポキシ樹脂組成物。
  3. 【請求項3】請求項2のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
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