JP5673684B2 - 膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池、膜電極接合体の製造方法 - Google Patents

膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池、膜電極接合体の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、燃料電池に関する。
燃料電池としては、プロトン伝導性を有する電解質膜の両側に電極が配置された膜電極接合体を備えるものが知られている。電極は、反応ガスを電極面全体に行き渡らせるためのガス拡散層と、燃料電池反応を促進させるための触媒が担持された触媒層とを有する(下記特許文献1)。
ところで、燃料電池の発電の際には、反応ガスである水素や酸素がそれぞれ電解質膜を透過して、供給された側の電極とは反対側の電極へと移動してしまう場合がある。この場合には、膜電極接合体の同じ電極の側に水素と酸素とが存在することとなり、それらの水素と酸素とが互いに反応して過酸化水素が生成されてしまう可能性がある。過酸化水素がラジカル化した過酸化水素ラジカルは、電解質膜を劣化させる原因となることが知られている。
また、ガス拡散層は、一般に、導電性を有する繊維基材によって構成される場合があるが、繊維基材の外表面、特に、その端部には微細な突起である毛羽が存在する。膜電極接合体では、その毛羽が電解質膜に突き刺さり、電解質膜を損傷させてしまう場合があった。これまで、こうした電解質膜の劣化を抑制することについて十分な工夫がなされてこなかったのが実情であった。
特開2007−213830号公報
本発明は、燃料電池における電解質膜の劣化を抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
燃料電池に用いられる膜電極接合体であって、電解質膜と、前記電解質膜の両側に配置された第1と第2の電極層と、を備え、前記第1と第2の電極層は、前記電解質膜に接して配置された触媒層と、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有しており、前記第1と第2の電極層のうちの少なくとも前記第1の電極層は、前記触媒層の前記ガス拡散層側の面より、前記ガス拡散層の前記触媒層側の面を小さくすることにより、前記ガス拡散層の外周端が、前記触媒層の外周端より内側に入り込んでいる、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、ガス拡散層の外周端が触媒層の外周端より内側に入り込むことにより、ガス拡散層と電解質膜とが直接的に接触することが抑制されている。そのため、ガス拡散層において発生した過酸化水素ラジカルが、電解質膜に到達する前に触媒層を通過することとなり、過酸化水素ラジカルを触媒層において消滅させることができる。従って、過酸化水素ラジカルによる電解質膜の劣化を抑制できる。また、触媒層を、ガス拡散層の端部から電解質膜を保護するための保護層として機能させることができる。
[適用例2]
適用例1記載の膜電極接合体であって、前記ガス拡散層は、繊維基材により構成されており、前記第1と第2の電極層のうちの少なくとも第1の電極層には、前記触媒層と前記ガス拡散層との間に撥水層が設けられ、前記撥水層は、前記ガス拡散層の外周端の端面の少なくとも一部を被覆している、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、ガス拡散層の触媒層側の面と外周端面に存在する毛羽が、撥水層によって被覆されるため、ガス拡散層の基材外表面に存在する毛羽から電解質膜を保護することができる。特に、ガス拡散層の外周端部には多数の毛羽が存在するため、ガス拡散層の外周端部が撥水層によって被覆されることによって、電解質膜の保護効果がより向上する。
[適用例3]
適用例2記載の膜電極接合体であって、前記撥水層は、撥水性樹脂を主成分とする撥水性薄膜により構成されている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、撥水層である撥水性薄膜によって、ガス拡散層の外表面の毛羽を被覆することができ、電解質膜を、より確実に保護することができる。
[適用例4]
適用例1〜3のいずれか一つに記載の膜電極接合体であって、前記第1と第2の電極層の少なくとも一方には、発電領域の周縁部に、前記ガス拡散層と前記触媒層との乖離を抑制するための接着部材が配置されている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、ガス拡散層と触媒層との乖離が抑制されるため、反応ガスのリークの発生を抑制でき、電解質膜および電極の劣化を抑制できる。
[適用例5]
適用例4記載の膜電極接合体であって、前記接着部材は、少なくとも前記第1の電極層において、前記ガス拡散層の外周端より外側に突出している前記触媒層の外周端への反応ガスの拡散を抑制するために、前記触媒層の外周端より内側に入り込んでいる前記ガス拡散層の外周端に沿った周状の領域において、前記触媒層および前記ガス拡散層の内部に含浸されている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、接着部材によって、ガス拡散層の外周端から突出している触媒層の外周端への反応ガスの拡散が抑制され、触媒層の外周端において反応熱が発生することが抑制される。そのため、当該触媒層の外周端における部位から電解質膜へと反応熱が移動することが抑制され、反応熱による電解質膜の劣化が抑制される。
[適用例6]
適用例1〜5のいずれか一つに記載の膜電極接合体であって、前記第1と第2の電極層のうちの少なくとも前記第2の電極層には、前記触媒層の前記ガス拡散層の外周端より突出した前記ガス拡散層側の面が前記ガス拡散層側に折り曲げられて形成された、前記触媒層と前記ガス拡散層との乖離を抑制する係止部が設けられている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、ガス拡散層の外周端から突出した触媒層の部位を利用して、ガス拡散層と触媒層との乖離を抑制するための係止部が設けられているため、ガス拡散層と触媒層との乖離を効率よく抑制することができる。
[適用例7]
適用例1〜6のいずれか一つに記載の膜電極接合体であって、前記第2の電極層には、前記ガス拡散層の外周端において、前記ガス拡散層の前記触媒層の外周端より突出した部位を前記触媒層側に折り曲げた、前記触媒層と前記ガス拡散層との乖離を抑制する係止部が設けられている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、ガス拡散層の触媒層より突出した部位を利用して、ガス拡散層と触媒層との乖離を抑制するための係止部が設けられるため、ガス拡散層と触媒層との乖離を効率よく抑制することができる。
[適用例8]
適用例6記載の膜電極接合体であって、前記電解質膜の外周端部は、前記ガス拡散層の外側に突出するとともに、前記第1の電極層側の面と前記第2の電極層側の面とが、前記電解質膜の厚み方向に沿った二方向に分離して、前記第1と第2の電極層のそれぞれの側に折り曲げられており、前記第1と第2の電極層における前記触媒層の外周端には、前記ガス拡散層側の面が、前記ガス拡散層の外側において、前記電解質膜の外周端部とともに、前記ガス拡散層に向かって折り曲げられた、前記触媒層と前記ガス拡散層との乖離を抑制するための係止部が設けられている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、2つの電極層の外周端に電解質膜と触媒層とを利用した係止部が設けられることにより、ガス拡散層と触媒層との乖離が効率よく、かつ、確実に抑制される。また、その係止部により、膜電極接合体の一体性が向上する。
[適用例9]
燃料電池であって、請求項1〜8のいずれか一項に記載の膜電極接合体を備える、燃料電池。
この燃料電池によれば、膜電極接合体の電解質膜の劣化が抑制されているため、燃料電池の耐久性が向上する。
[適用例10]
電解質膜に接するように配置された触媒層と、繊維基材によって構成され、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有する電極層を備える燃料電池用の膜電極接合体の製造方法であって、
(a)前記ガス拡散層の基材である繊維基材を準備する工程と、
(b)前記繊維基材の一方の面に撥水層を形成する工程と、
(c)前記ガス拡散層の外周端が前記触媒層の外周端より内側に入り込むように、前記繊維基材の外周端を切断する工程と、
(d)前記電解質膜に予め形成された前記触媒層に、前記触媒層と前記撥水層とが接するように、前記繊維基材を重ねて接合し、前記電極層を形成する工程と、
を備え、
前記工程(d)は、前記繊維基材を切断する切断線上を切断前に予め押圧することにより、前記繊維基材の表面に前記撥水層が前記繊維基材の内側へと入り込んだ溝部を形成し、前記溝部に沿って、前記繊維基材を切断する工程を含む、製造方法。
この製造方法によれば、ガス拡散層の基材の外周端面および触媒層側の面が撥水層によって被覆されるとともに、ガス拡散層の基材の外周端面の毛羽立ちが触媒層とは反対の側へと向くように整えられる。そのため、ガス拡散層の基材表面の毛羽による電解質膜の損傷が抑制される。また、この製造方法により製造された膜電極接合体によれば、ガス拡散層の触媒層側の面が触媒層のガス拡散層側の面より小さくなるため、ガス拡散層と電解質膜とが直接的に接触することを抑制でき、過酸化水素ラジカルによる電解質膜の劣化を抑制できる。
[適用例11]
電解質膜に接するように配置された触媒層と、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有する電極層を備える燃料電池用の膜電極接合体の製造方法であって、
(a)一方の面に前記触媒層が形成された電解質膜を準備する工程と、
(b)前記ガス拡散層の基材として、前記触媒層よりサイズが小さい繊維基材を準備する工程と、
(c)前記触媒層の外周端より前記繊維基材の外周端が内側となるように、前記触媒層の上に前記繊維基材を配置する工程と、
(d)前記触媒層と前記繊維基材とを、前記電解質膜とともにホットプレスすることにより接合するとともに、前記電解質膜と前記触媒層の熱収縮による変形を利用して、前記触媒層と前記電解質膜の前記繊維基材の外側に突出した部位を、前記繊維基材側に折り曲がらせて、前記触媒層と前記繊維基材との乖離を抑制する係止部を設ける工程と、
を備える、製造方法。
この製造方法によれば、ホットプレスによる熱収縮に伴う変形を利用して、触媒層とガス拡散層との乖離を抑制するための係止部を、膜電極接合体に設けることができる。従って、触媒層とガス拡散層との乖離が抑制された膜電極接合体を、効率よく製造することができる。
[適用例12]
適用例11記載の製造方法であって、前記工程(d)は、前記触媒層と前記繊維基材とが積層配置された第1と第2の電解質膜を準備し、前記第1と第2の電解質膜同士を重ねてホットプレスすることにより、前記触媒層と前記繊維基材とを接合するとともに、前記第1と第2の電解質膜同士を接合する工程を含む、製造方法。
この製造方法によれば、膜電極接合体の2つの電極層に、電解質膜と触媒層の外周端を利用した係止部を、効率よく設けることができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池用の膜電極接合体、その膜電極接合体を用いた燃料電池、その燃料電池を備えた燃料電池システム、その燃料電池システムを搭載した車両等の形態で実現することができる。
燃料電池の構成を示す概略図。 参考例として膜電極接合体の構成を示す概略図と、膜電極接合体における電解質膜の劣化を説明するための模式図。 参考例としての膜電極接合体の構成を示す概略図と、保護シートを設けたことによる電解質膜の損傷を説明するための模式図。 膜電極接合体において電解質膜の劣化が抑制される効果を説明するための模式図。 第2実施例としての燃料電池の構成を示す概略図。 電極の形成工程を工程順に示す模式図。 ガス拡散層の基材の端部を示す模式図。 第2実施例の他の構成例としての膜電極接合体の外周端部を示す模式図。 第3実施例としての燃料電池の構成を示す概略図。 第4実施例としての燃料電池の構成を示す概略図。 第5実施例としての燃料電池の構成を示す概略図。 2つの電極のそれぞれにおける接着部材の含浸領域を示す概略図。 ガス拡散層と触媒層との乖離による不具合を説明するための模式図。 接着部材による膜電極接合体の劣化の抑制機能を説明するための模式図。 第5実施例の他の構成例としての燃料電池の構成を示す概略図。 第6実施例としての燃料電池の構成を示す概略図。 係止部の形成工程を工程順に示す模式図。 係止部の他の形成工程を工程順に示す模式図。 第6実施例の他の構成例としての燃料電池の構成を示す概略図。 第6実施例の他の構成例としての燃料電池の構成を示す概略図。 2種類の係止部の形成工程を工程順に示す模式図。 第6実施例の他の構成例としての燃料電池の構成を示す概略図。 第6実施例の他の構成例としての燃料電池の構成を示す概略図。 第7実施例としての燃料電池の構成を示す概略図。 第7実施例の膜電極接合体の製造工程を工程順に示す模式図。 第7実施例の膜電極接合体の他の製造工程を工程順に示す模式図。 第7実施例の他の構成例としての燃料電池の構成を示す概略図。
A.第1実施例:
図1は本発明の一実施例としての燃料電池の構成を示す概略図である。この燃料電池100は、反応ガスとして水素と酸素の供給を受けて発電する固体高分子形燃料電池である。燃料電池100は、複数の単セル110が積層されたスタック構造を有する。単セル110は、シール一体型膜電極接合体10と、シール一体型膜電極接合体10を狭持する2枚のセパレータ40とを備える。
シール一体型膜電極接合体10は、膜電極接合体5と、膜電極接合体5の外周端に設けられたシール部20とを有する。膜電極接合体5は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す電解質膜1の両側に、ガス拡散性を有する電極2が一体的に配置された発電体である。電極2は、燃料電池反応を促進するための触媒(例えば、白金(Pt))が担持された触媒層2cと、反応ガスを電極面全体に行き渡らせるためのガス拡散層2gとを有する。
電解質膜1としては、フッ素樹脂系のイオン交換膜を用いることができる。触媒層2cは、電解質膜1の外表面に、水溶性溶媒または有機溶媒に触媒担持カーボンと電解質膜と同種の化合物である電解質を分散させた混合溶液である触媒インクを塗布し、乾燥させることによって形成することができる。なお、触媒層2cは、予めフィルム基材の表面に形成された触媒層を電解質膜1の表面に転写することにより形成するものとしても良い。
ガス拡散層2gは、炭素繊維や黒鉛繊維などの導電性およびガス透過性・ガス拡散性を有する多孔質の繊維基材によって構成できる。電極2は、ガス拡散層2gを構成する基材を、電解質膜1に予め形成された触媒層2cの上に重ねて配置し、ホットプレスなどで接合することにより形成される。
ところで、本実施例の膜電極接合体5では、電極2において、ガス拡散層2gのサイズを触媒層2cのサイズより小さく構成することにより、ガス拡散層2gの外周端が触媒層2cの外周端より内側に入り込むように構成し、触媒層2cの内周縁部を露出させている。このように、電極2において、ガス拡散層2gの外周端が触媒層2cの外周端より内側に入り込むように構成する理由については後述する。
シール部20は、膜電極接合体5の電解質膜1および電極2の外周端部を被覆するように樹脂材料を射出成形することにより設けられている。シール部20は、セパレータ40によって両側から狭持されたときに、セパレータ40との間にシールラインを形成する。このシールラインによって、反応ガスが燃料電池100の外部へと漏洩してしまうことが抑制される。なお、シール部20は、樹脂材料の射出成形による形成工程以外の方法により形成されるものとしても良い。シール部20は、接着性を有する樹脂材料を注入・固化させることにより形成するものとしても良い。
ここで、本実施例の燃料電池100では、電解質膜1の外周端部が触媒層2cの外周端部より突出しており、その突出した外周端部をシール部20が被覆している。この構成により、電解質膜1および電極2の外周端面を介した反応ガスのクロスリークが抑制されている。なお、シール部20には、反応ガスや冷媒のためのマニホールドが形成されるが、その図示および説明は省略する。
セパレータ40は、導電性を有するガス不透過の板状部材(例えば金属板)によって構成することができる。セパレータ40の電極2側の面には、反応ガスのための流路溝43が、発電領域(シール部20によって囲まれた領域)全体にわたって形成されている。なお、セパレータ40には、反応ガスや冷媒のためのマニホールドや、冷媒のための流路が形成されるが、その図示および説明は省略する。
単セル110では、セパレータ40と電極2との間に、流路溝43の反応ガスをガス拡散層2g全体に行き渡らせるためのガス流路部材30が配置されている。ガス流路部材30は、膜電極接合体5とセパレータ40との間の導電パスとしても機能する。ガス流路部材30は、エキスパンドメタルやパンチングメタルなどの金属板を多孔質に加工した部材や、カーボン焼結体などの導電性を有する多孔質部材によって構成することができる。
なお、2つのガス流路部材30は、その一方、または、その両方が省略されるものとしても良い。ただし、この場合には、セパレータ40の外表面に設けられた流路溝43の流路壁と電極2のガス拡散層2gとが直接的に接触するように構成されることが好ましい。また、2枚のセパレータ40のうちの一方、またはその両方の流路溝43が省略されるものとしても良い。
図2(A)は、本発明の参考例として膜電極接合体5aの構成を示す概略図である。この膜電極接合体5aは、電極2aの構成が異なる点以外は、本実施例の膜電極接合体5とほぼ同じである。参考例の電極2aでは、ガス拡散層2gのサイズが、触媒層2cのサイズより大きく構成されており、ガス拡散層2gの外周端部が、電解質膜1と直接的に接触している。
図2(B)は、参考例の膜電極接合体5aにおける電解質膜1の劣化を説明するための模式図である。図2(B)には、燃料電池を構成したときの膜電極接合体5aの外周端部近傍が模式的に図示されている。ガス拡散層2gは、前記したとおり、繊維基材によって構成されるため、その外表面、特に外周端部には微細な突起である毛羽2fが存在する。従って、参考例の膜電極接合体5aのように、ガス拡散層2gと電解質膜1とが直接的に接触している場合には、ガス拡散層2gの毛羽2fが電解質膜1に突き刺さってしまい、反応ガスのクロスリークや、電極2同士の短絡が引き起こされる可能性がある。
また、燃料電池では、その発電の際に、水素がカソード側に、あるいは、酸素がアノード側に、それぞれ電解質膜を透過して移動してしまう場合がある。こうした反応ガスの透過移動により、同じ電極の側に水素と酸素とが存在してしまうと、その水素と酸素とが反応して過酸化水素(H22)が生成されてしまう場合がある。膜電極接合体において生じた過酸化水素は、ラジカル化して電解質膜を劣化させてしまう可能性がある。
ここで、過酸化水素がラジカル化した過酸化水素ラジカルは、触媒層において、触媒の作用により、水や酸素に変換され、消滅する可能性が高い。しかし、この参考例の膜電極接合体5aでは、触媒層2cの外周において、電解質膜1とガス拡散層2gとが直接的に接している領域を有している。そのため、その領域において、過酸化水素ラジカルが、触媒作用によって消滅することなく、電解質膜1に到達し、電解質膜1を劣化させる可能性が高い。
図3(A)は、本発明の参考例としての膜電極接合体5bの構成を示す概略図である。図3(A)は、触媒層2cの外周に保護シート4が設けられている点以外は、図2(A)とほぼ同じである。この参考例の膜電極接合体5bでは、触媒層2cの外周に、電解質膜1を保護するための保護シート4が配置されており、ガス拡散層2gの外周端部は、保護シート4の上に配置されている。即ち、膜電極接合体5bでは、保護シート4によって、ガス拡散層2gと電解質膜1とが直接的に接触することが抑制されている。なお、保護シート4は、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂部材によって構成することができる。
図3(B)は、保護シート4を設けたことによる電解質膜1の損傷を説明するための模式図である。図3(B)には、燃料電池に組み付けられ、発電している際の膜電極接合体5bの状態の変化が段階的に図示されている。なお、図3(B)では、膜電極接合体5bの一部のみが図示されており、ガス拡散層2gの図示および膜電極接合体5b以外の燃料電池の他の構成部の図示は省略されている。
ここで、燃料電池の発電の際には、膜電極接合体は高温(例えば80℃程度)となるとともに、その発電領域では、多量の水分が生成されるため、電解質膜は膨潤する。しかし、参考例の膜電極接合体5bの電解質膜1では、保護シート4で狭持された部位の膨潤が抑制される一方で、保護シート4によって囲まれた中央領域が膨潤する。そのため、電解質膜1の膨潤が始まると、電解質膜1の保護シート4で狭持された部位では、中央領域に向かって引っ張られる方向に応力が発生し、膜破れが生じてしまう可能性がある。
また、燃料電池の発電が停止され、膨潤した電解質膜1の収縮が始まる際には、保護シート4によって電解質膜1の収縮が抑制される。そのため、電解質膜1では、保護シート4で狭持された部位と、保護シート4に囲まれた中央領域とが乖離する方向に応力が働き、膜破れが生じてしまう可能性がある。
図4は、本実施例の膜電極接合体5において電解質膜1の劣化が抑制される効果を説明するための模式図である。図4には、燃料電池100に組み付けられたときの膜電極接合体5の端部近傍が模式的に図示されている。なお、図4では、膜電極接合体5の一方の電極2のみが図示され、他方の電極2の図示は省略されている。また、図4では、燃料電池100の他の構成部の図示は省略されている。
本実施例の膜電極接合体5では、ガス拡散層2gの外周端部が触媒層2cの外周端部より内側に配置されているため、触媒層2cによって、ガス拡散層2gの毛羽2fが電解質膜1に突き刺さることが抑制されている。即ち、触媒層2cを電解質膜1の保護層として機能させている。また、電極2において過酸化水素が生成され、ラジカル化してしまった場合であっても、その過酸化水素ラジカルは、触媒層2cの触媒作用によって酸素や水に変換され、電解質膜1に到達することが抑制される。
このように、本実施例の燃料電池100では、膜電極接合体5において、ガス拡散層2gの外周端部が触媒層2cの外周端部より内側に入り込んでおり、ガス拡散層2gと電解質膜1との直接的な接触が抑制されている。従って、ガス拡散層2gの毛羽や、過酸化水素ラジカルによって、電解質膜1が損傷・劣化することを抑制できる。
B.第2実施例:
図5は本発明の第2実施例としての燃料電池100Aの構成を示す概略図である。図5は電極2Aの構成が異なる点以外は図1とほぼ同じである。この燃料電池100Aの膜電極接合体5Aでは、ガス拡散層2gの外周端部が、触媒層2cの側に向かって先細りとなる略テーパー状の傾斜面で構成されている。即ち、ガス拡散層2gの端面と、ガス拡散層2gの触媒層2c側の表面とが形成する角度が鋭角となるように構成されている。また、ガス拡散層2gの外表面には撥水層3が設けられている。撥水層3は、ガス拡散層2gの触媒層2c側の表面と、外周端面の一部とを被覆している。
図6(A)〜(F)は、電極2Aの形成工程を工程順に示す模式図である。なお、図6(A)〜(F)では、一方の電極2Aの形成工程のみを図示しているが、他方の電極2Aの形成工程も同様であるため、その図示および説明は省略する。第1工程では、電解質膜1を準備する(図6(A))。第2工程では、電解質膜1の外表面に、第1実施例で説明したのと同様な触媒インクを塗布し、乾燥・固化させ、触媒層2cを形成する(図6(B))。
第3工程では、ガス拡散層2gの基材を準備する(図6(C))。ガス拡散層2gの基材は、第1実施例で説明したのと同様な繊維基材である。ここで、ガス拡散層2gの基材には、触媒層2cと接触させる面全体に撥水層3が形成されている。撥水層3は、ガス拡散層2gの基材表面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの撥水性樹脂とカーボンブラックなどの導電性材料とを主成分とする撥水薄膜(マイクロポーラス層(MPL))として形成される。
図5で説明したように、撥水層3は、電極2Aが構成されたときに、ガス拡散層2gと触媒層2cとの間に配置される。このように、ガス拡散層2gと触媒層2cとの間に撥水層3が設けられることにより、燃料電池100の運転中において、電解質膜1の湿潤状態が良好に保持されるとともに、ガス拡散層2gの細孔が水分により閉塞されていまうことが抑制される。なお、この燃料電池100Aの撥水層3は、電解質膜1を保護する機能も有するが、その詳細については後述する。
第4工程では、ガス拡散層2gのサイズが触媒層2cのサイズより小さくなるように、ガス拡散層2gの基材の外周端部を切断する。なお、この切断加工は、以下に説明する2段階の工程で実施される。具体的には、まず、外周端部の切断に先だって、押圧工具200によって、ガス拡散層2gの基材の撥水層3側の表面を、切断されるべき切断線に沿って予め押圧し、切断線上を走る溝部6を形成する(図6(D))。なお、この溝部6の形成工程では、撥水層3をガス拡散層2gの内側に入り込ませ、撥水層3によって溝部6の内壁面が構成されるように、ガス拡散層2gの表面を押圧する。
次に、切削工具202によって、溝部6の底面部を切断する(図6(E))。図6(D),(E)の工程によって、ガス拡散層2gの基材のサイズが、触媒層2cのサイズより小さくなり、ガス拡散層2gの外周端面が、その一部が撥水層3によって被覆された傾斜面として構成される。さらに、第5工程では、ガス拡散層2gの基材が、撥水層3と触媒層2cとが接触するように触媒層2cに重ねられて接合される(図6(F))。これによって、電解質膜1に電極2Aが形成される。
図7は、図6(F)に示す破線領域7におけるガス拡散層2gの基材の端部を示す模式図である。ガス拡散層2gの基材の外表面、特に、その外周端部には、前記したように毛羽2fが存在している。しかし、ガス拡散層2gの電解質膜1側の表面および外周端面には撥水層3が設けられており、その毛羽2fは、撥水層3に被覆された状態となる。従って、ガス拡散層2gが触媒層2cと接合されたときに、毛羽2fが触媒層2cを介して電解質膜1に突き刺さり、電解質膜1を損傷させることが抑制される。
即ち、撥水層3は、触媒層2cとともに電解質膜1の保護するための保護層としても機能していると解釈することができる。特に、膜電極接合体5Aでは、ガス拡散層2gの外周端面まで撥水層3が被覆しているため、ガス拡散層2gの外周端部に存在する毛羽2fによって、電解質膜1が損傷してしまうことを抑制できる。
また、電極2Aの形成工程では、ガス拡散層2gの外周端部の切断に先立って、撥水層3をガス拡散層2gの内側に折り込み、図6(D)で説明した溝部6を形成していた。この加工によって、ガス拡散層2gの外周端部における毛羽立ちの方向は、溝部6の底面側(電極2Aの外側)に向くように整えられる。従って、毛羽2fの突き刺しによる電解質膜1の損傷がより抑制される。
図8は、第2実施例の他の構成例としての膜電極接合体5Aaの外周端部を示す模式図である。この膜電極接合体5Aaの構成は、以下に説明する点以外は、上記の膜電極接合体5Aと同様である。膜電極接合体5Aaの電極2Aaでは、ガス拡散層2gと触媒層2cとがほぼ同サイズで構成されている。しかし、ガス拡散層2gの外周端部には、触媒層2c側の角部が押圧されることにより形成された撥水層3の傾斜面が設けられている。これによって、膜電極接合体5Aaでは、触媒層2cのガス拡散層2g側の面より、ガス拡散層2gの触媒層2c側の面が大きくなり、ガス拡散層2gの外周端部が触媒層2cの外周端の内側に入り込んでいる。このような構成であっても、撥水層3によって電解質膜1をガス拡散層2gの毛羽から保護することができる。
ここで、膜電極接合体5Aaでは、第1実施例の膜電極接合体5と同様に、触媒層2cの内周縁表面がガス拡散層2gから露出している。この露出面や触媒層2c、ガス拡散層2gの端面は、シール部20(図示は省略)によって被覆されることとなる。従って、この構成であっても、過酸化水素ラジカルは、触媒層2cを介さずにガス拡散層2gから電解質膜1へと移動してしまうことが抑制される。そのため、電解質膜1の劣化を抑制することができる。
このように、第2実施例の膜電極接合体5A,5Aaによれば、撥水層3やガス拡散層2gの外周端部の加工により、ガス拡散層2gの毛羽の突き刺しによる膜電極接合体5aの損傷を抑制できる。また、過酸化水素ラジカルによる電解質膜1の劣化を抑制することができる。
C.第3実施例:
図9は、本発明の第3実施例としての燃料電池100Bの構成を示す概略図である。図9は、膜電極接合体5Bの一方の面側に、電極2Aとは外周端部の構成が異なる電極2Bが設けられている点以外は、図5とほぼ同じである。膜電極接合体5Bの一方の電極2Bでは、触媒層2cと、ガス拡散層2gと、撥水層3とが、電解質膜1とほぼ同じサイズで形成されており、電解質膜1と触媒層2cとガス拡散層2gと撥水層3のそれぞれの端面が、ほぼ揃った状態で積層されている。この燃料電池100では、電極2A側をカソードとし、電極2B側をアノードとして、それぞれに酸素と水素とが供給されるものとする。なお、電極2Bの撥水層3は省略されるものとしても良い。
このように、一方の電極2B側においてのみガス拡散層2gの外周端部が触媒層2cの外周端部より内側に入り込んでいる構成であっても、電極2側における電解質膜1の損傷・劣化を抑制することができる。また、この構成によれば、電極2Bの外周端を電解質膜1の外周端の支持部として機能させることができる。そのため、膜電極接合体5Bの外周にシール部20を設ける工程など、膜電極接合体5Bの組み付け工程において、電解質膜1が損傷してしまうことを抑制することができる。
D.第4実施例:
図10は、本発明の第4実施例としての燃料電池100Cの構成を示す概略図である。図10は、膜電極接合体5Cにおいて、アノード側の電極2Aに換えて外周端部の構成が異なる電極2Cが設けられている点以外は、図9とほぼ同じである。燃料電池100Cの膜電極接合体5Cでは、ガス拡散層2gの外周端面が傾斜しておらず、触媒層2cの外表面に対してほぼ垂直な面として構成されている。
このような構成であっても、電極2C側では、ガス拡散層2gの外周端部が、触媒層2cの外周端部より内側に入り込んでいるため、電解質膜1の電極2C側における損傷・劣化を抑制することができる。また、ガス拡散層2gと電解質膜1との間に設けられた撥水層3によっても、電解質膜1の損傷・劣化が上記実施例と同様に抑制される。なお、この第4実施例の構成において、ガス拡散層2gの外周端面の一部または全部が、撥水層3によって被覆されるものとしても良い。
E.第5実施例:
図11は、本発明の第5実施例としての燃料電池100Dの構成を示す概略図である。図11は、2つの電極2A,2Bのそれぞれの内部に含浸された接着部材7が設けられている点と、シール領域SAの範囲が図示されている点以外は、図9とほぼ同じである。燃料電池100Dは、2つの電極層2A,2Bの内部に接着部材7が含浸された膜電極接合体5Dを備える。接着部材7は、ガス拡散層2gと触媒層2cとの乖離を抑制するためのものである。
接着部材7は、電解質膜1を構成する固体電解質と同種の化合物や、細孔への含浸が可能な接着剤によって構成することができる。具体的には、接着部材7として、デュポン社製のナフィオン(登録商標)溶液(商品名「ナフィオンDE2020」など)や、コニシ社製のボンド(登録商標;商品名「MOS7」など)を用いることができる。
図12(A),(B)は、2つの電極2A,2Bのそれぞれにおいて接着部材7が含浸された領域を示す概略図である。図12(A)は、電極2Aの外表面を電極面に対して垂直な方向に沿って見たときの図であり、図12(B)は、電極2Bの外表面を電極面に対して垂直な方向に沿って見たときの図である。図12(A),(B)には、接着部材7の配置領域を、図11と同様なハッチングを付すことにより示してある。また、図12(A),(B)には、電極2A,2Bの外表面においてシール部20によって囲まれたシール領域SAを一点鎖線で図示してある。
接着部材7は、2つの電極2A,2Bにおいて、シール領域SAを囲むように、周状の領域に含浸されている。接着部材7は、流動性を有する状態のときに、ディスペンサーなどによって、図12(A),(B)に図示された領域に、ガス拡散層2gや触媒層2cの接着面側から、撥水層3やガス拡散層2g、触媒層2cの細孔(気孔)に含浸される。なお、接着部材7は、スクリーン印刷によって、撥水層3やガス拡散層2g、触媒層2cの細孔に含浸されるものとしても良い。
図13は、ガス拡散層2gと触媒層2cとの乖離による不具合を説明するための模式図である。図13には、参考例としての燃料電池100cが図示されている。この燃料電池100cは、撥水層3が省略されている点と、電極2Cの触媒層2cおよびガス拡散層2gのサイズが小さく構成されている点以外は、第4実施例の燃料電池100Cと同様な構成である。なお、図13では、電極2Bの端部において、ガス拡散層2gと触媒層2cとが剥離した状態が模式的に図示されている。
ここで、電解質膜1と触媒層2cとは、高温(例えば100℃)において、熱収縮による変形を生じやすい。また、一般に、電解質膜1と触媒層2cとでは、電解質膜1の方が触媒層2cよりも熱収縮率が高い。そのため、シール部20の成形工程などの加熱工程では、電極2Bの触媒層2cとガス拡散層2gとが乖離すると、それら電解質膜1と触媒層2cとが、電極2C側へとめくれあがるように変形してしまう可能性がある。
このような触媒層2cとガス拡散層2gとがめくれあがった変形が生じたまま、燃料電池100cが構成されると、その変形部位において、電極2B側から電極2C側への反応ガスのリークが生じやすくなる。そのため、燃料電池100cの性能低下や電解質膜1の劣化が生じる可能性が高くなる。
第5実施例の燃料電池100Dも、参考例の燃料電池100cと同様に、電極2Aの外周端部から電解質膜1および電極2Bの外周端部が突出した構成を有している。しかし、電極2Bの外周端部には、接着部材7が含浸されており、ガス拡散層2gおよび撥水層3と、触媒層2cとの剥離が抑制されている。そのため、燃料電池100Dの製造工程では、図13で説明したような電解質膜1および触媒層2cの変形の発生が抑制される。
図14(A),(B)は、第5実施例における接着部材7による膜電極接合体1の劣化の抑制機能を説明するための模式図である。図14(A)には、第5実施例の燃料電池100Dにおける膜電極接合体5Dの電解質膜1と電極2Aの端部のみが図示されており、燃料電池100Dの他の構成部の図示は省略されている。図14(B)は、接着部材7が省略されている点以外は、図14(A)とほぼ同じである。
ここで、燃料電池100Dでは、発電反応として、電極2Aにおいて下記の反応(A)が生じている。
2 + 1/2O2 → H2O …(A)
この反応は発熱反応であるため、触媒層2cには反応熱が発生する。この反応熱の電解質膜1側への移動量が増大すると、電解質膜1の劣化が促進されてしまう。
ところで、図12で説明したように、接着部材7はシール領域SAを囲むように設けられている。そのため、この膜電極接合体5Dでは、接着部材7によって、シール領域SAの外側における触媒層2cの突出部位にまで反応ガスが拡散してしまうことが抑制されており、反応熱が当該部位で発生することが抑制されている(図14(A))。シール領域SA内であれば、触媒層2cは、比較的熱伝導率の高いガス拡散層2gおよび撥水層3と隣接しているため、シール領域SA内の触媒層2cで発生した反応熱は、ガス拡散層2g側へと移動することができ、電解質膜1の劣化は抑制される。
一方、接着部材7が省略されている場合には、ガス拡散層2gの外周端より突出した触媒層2cの外周端部まで拡散する反応ガスの量が増大する(図14(B))。そのため、触媒層2cが、ガス拡散層2gおよび撥水層3と隣接せず、シール部20と直接的に接触する部位における反応熱の発生量が増大する。樹脂部材で構成されるシール部20は比較的熱伝導率が低いため、上記のような部位においては、電解質膜1側へと移動する反応熱の量が増大してしまう。従って、当該部位における反応熱によって電解質膜1の劣化が促進される可能性がある。
このように、第5実施例の膜電極接合体5Dであれば、接着部材7によって、シール領域SAの外側の触媒層2cの突出部位への反応ガスの拡散を抑制でき、当該部位における反応熱の発生を抑制できる。従って、電解質膜1の劣化を抑制できる。
図15(A)は、第5実施例の他の構成例としての燃料電池100Daの構成を示す概略図である。図15(A)は、シール領域SAの外側における電極2B,2Cの外周端部全体に接着部材7が含浸されている点以外は、図11とほぼ同じである。この構成例における電極2B,2Cの接着部材7は、触媒層2cおよび撥水層3が設けられたガス拡散層2gの外周端部を接着部材7の液層に浸漬させる、いわゆるディッピング工程により、触媒層2cおよびガス拡散層2gの外周端部の内部全体に含浸されている。このような構成であれば、触媒層2cとガス拡散層2gとの乖離を、より確実に抑制できる。また、電極2Cの触媒層2cの外周端部における反応熱によって電解質膜1が劣化してしまうことを、より確実に抑制できる。
図15(B)は、第5実施例の他の構成例としての燃料電池100Dbの構成を示す概略図である。図15(B)は、接着部材7が、第5実施例の燃料電池100Dと同様に設けられている点以外は、図10とほぼ同じである。このように、第4実施例で説明した燃料電池100Cの構成において、電極2C,2Bに接着部材7を含浸させて設けることも可能である。これによって、第5実施例の燃料電池100Dと同様に、ガス拡散層2gと触媒層2cとの乖離が抑制されるとともに、反応熱による電解質膜1の劣化を抑制することができる。
F.第6実施例:
図16は、本発明の第6実施例としての燃料電池100Eの構成を示す概略図である。図16は、紙面下側の電極2に換えて、外周端に係止部8が設けられた電極2Eが設けられている点以外は、図1とほぼ同じである。なお、図16では、便宜上、電解質膜1の厚みが図1より薄型化して図示してある。
この燃料電池100Eの膜電極接合体5Eは、第1の電極2と第2の電極2Eとを有している。第1の電極2は、第1実施例で説明したのと同様な構成であり、ガス拡散層2gのサイズが触媒層2cのサイズより小さく、ガス拡散層2gの外周端が触媒層2cの外周端に入り込んでいる。第2の電極2Eは、第1の電極2と同様に、ガス拡散層2gのサイズが触媒層2cのサイズより小さい構成を有している。なお、第2の電極2Eの触媒層2cは、電解質膜1の面全体に触媒インクを塗布することにより形成されている。
また、第2の電極2Eでは、ガス拡散層2gの外周端から突出した触媒層2cのガス拡散層2g側の面2sを、ガス拡散層2gの外周端部に沿って折り曲げることにより、係止部8が形成されている。この係止部8は、触媒層2cとガス拡散層2gとの乖離を抑制するためのものであり、ガス拡散層2gの外周に沿って周状に形成されている。
このように、第5実施例の燃料電池100Eでは、電解質膜1および触媒層2cを変形加工して係止部8を設けることにより、触媒層2cとガス拡散層2gとの乖離が抑制されている。従って、触媒層2cやガス拡散層2gの乖離を抑制するための別部材の追加を省略することができる。
なお、この第2の電極2Eにおいても、触媒層2cが、ガス拡散層2gに対する電解質膜1の保護層として機能している。ここで、第2の電極2Eにおける触媒層2cの外周端2ctは、係止部8を構成する部位の最も外側に位置する部位である。従って、この電極2Eにおいても、ガス拡散層2gの外周端が触媒層2cの外周端より内側に入り込んだ構成を有していると解釈することができる。
図17(A)〜(D)は、第2の電極2Eにおける係止部8の形成工程を工程順に示す模式図である。図17(A)には、触媒層2cが形成された電解質膜1の概略断面図が示されている。第1工程では、電解質膜1の一方の面全体に触媒インクを塗布し、乾燥させることにより、触媒層2cを形成する。なお、触媒層2cは、フィルム基材に形成された触媒層2cを電解質膜1に転写することにより形成されるものとしても良い。
図17(B)には、触媒層2cが形成された電解質膜1を触媒層2cの形成面側からみたときの模式図が図示されている。第2工程では、触媒層2cが形成された電解質膜1の4つの角部CPを切除する。このように、4つの角部CPを切除することにより、係止部8を形成したときに、電解質膜1および触媒層2cの係止部8を構成する部位同士が、ガス拡散層2gの面上で重なり合うことを回避する。
図17(C)には、触媒層2cの外表面状にガス拡散層2gが配置された状態が模式的に図示されている。第3工程では、ガス拡散層2gが、触媒層2cの外表面内に収まるように配置される。図17(D)には、電解質膜1および触媒層2cの外周端部を折り曲げて係止部8が形成された様子が模式的に図示されている。なお、図17(D)では、便宜上、曲げ加工を施す前の電解質膜1および触媒層2cの外周輪郭線が破線で図示されている。
第4工程では、ガス拡散層2gの外周端より突出している触媒層2cを、電解質膜1とともに、ガス拡散層2g側に折り曲げることにより、係止部8が形成される。なお、図17(B)で説明したとおり、電解質膜1および触媒層2cの角部CPが切除されているため、電解質膜1および触媒層2cの係止部8を構成する部位同士が重なり合うことが回避されている。
図18(A),(B)は、係止部8の他の形成工程を工程順に説明するための模式図である。図18(A)は、触媒層2cが形成された電解質膜1にガス拡散層2gを配置する工程を模式的に示している。この製造工程では、一方の面に触媒層2cが形成された電解質膜1は、電解質膜1側に凸の湾曲形状が保持できる程度の厚みで準備される。そして、触媒層2cの凹面に、ガス拡散層2gが、その外周端が触媒層2cの外周端より内側に収まるように配置される。なお、この製造工程においても、図17(B)で説明したように、電解質膜1および触媒層2cの4つの角部CPが切除されていることが好ましい。
図18(B)は、触媒層2cとガス拡散層2gとを接合するホットプレス工程を模式的に示している。この工程では、2つの電熱板210によって、触媒層2cが形成された電解質膜1と、ガス拡散層2gとを狭持した状態で、押厚・加熱し、触媒層2cとガス拡散層2gとを接合する。ここで、電解質膜1は、上述のように湾曲した形状を有している。そのため、ガス拡散層2gの外周端から突出している電解質膜1の外周端部は、ホットプレス工程における電解質膜1の熱収縮により、ガス拡散層2g側へと折れ曲がりやすくなっている。そこで、この工程では、変形加工しやすくなっている電解質膜1および触媒層2cの突出した外周端部を、ガス拡散層2g側に折り曲げて係止部8を形成する。
なお、図18(B)では、図16に示した構成とは異なり、係止部8を構成する触媒層2cおよび電解質膜1は、ガス拡散層2gの触媒層2cの配置面とは反対側の面にまで折り曲げられてはいない。このように、係止部8は略U字状に折り曲がった構成を有していなくとも良い。また、係止部8は、ガス拡散層2gの外周端面を完全に被覆していなくとも良い。係止部8は、触媒層2cとガス拡散層2gとの乖離が抑制できる程度に、電解質膜1および触媒層2cが折り曲げられていれば良い。
ところで、燃料電池100E(図16)のシール部20は、以下のように形成することができる。即ち、2つのセパレータ40の間に、膜電極接合体5Eと、ガス拡散部材30とを配置するとともに、膜電極接合体5Eの外周縁にゲル状の熱硬化性樹脂を配置する。そして、その熱硬化性樹脂を加熱して硬化させることにより、シール部20を形成する。あるいは、シール部20は、シール部20を象った樹脂部材を予め準備し、その樹脂部材を、膜電極接合体5Eおよびガス拡散部材30とともに2枚のセパレータ40に狭持・接合することにより形成されるものとしても良い。
図19は、第6実施例の他の構成例としての燃料電池100Eaの構成を示す概略図である。図19は、第2の電極2Eに換えて第2の電極2Eaが設けられている点以外は、図16とほぼ同じである。この燃料電池100Eaの膜電極接合体5Eaは、互いに構成の異なる第1と第2の電極2,2Eaを有する。第1の電極2は、図16で説明した燃料電池100Eの電極2と同様の構成である。
第2の電極2Eaは、電解質膜1の一方の面全体を被覆するように形成された触媒層2cと、触媒層2cよりも大きいサイズで構成されたガス拡散層2gEとを備える。ガス拡散層2gEの外周端部には、触媒層2cとの乖離を抑制するための係止部8aが設けられている。具体的には、係止部8aは、触媒層2cの外周端より突出したガス拡散層2gEの外周部位を第1の電極2側へと折り曲げて、電解質膜1および触媒層2cの外周端部を被覆させることにより形成されている。なお、ガス拡散層2gEは、図17(B)で説明した触媒層2cおよび電解質膜1と同様に、係止部8aを形成するために4つの角部が切除されていることが好ましい。
このように、ガス拡散層2gEの外周部位を利用した係止部8aを設けた場合であっても、ガス拡散層2gEと触媒層2cとの乖離を抑制することができる。なお、この係止部8aを形成した場合には、ガス拡散層2gEの端面と電極2との間が、シール部20によって確実にシールされることが望ましい。これによって、係止部8aを介したクロスリークの発生を抑制できる。
図20は、第6実施例の他の構成例としての燃料電池100Ebの構成を示す概略図である。図20は、紙面左側において、係止部8aに換えて、図16で説明した係止部8が設けられている点以外は、図19とほぼ同じである。この構成例の膜電極接合体5Ebの第2の電極2Ebは、触媒層2cEbと、ガス拡散層2gEbとを有し、2種類の係止部8,8aが設けられている。
図21(A)〜(C)は、2種類の係止部8,8aの形成工程を工程順に示す模式図である。図21(A)には、電解質膜1に形成された触媒層2cEbと、ガス拡散層2gEbとが図示されている。第1工程では、電解質膜1の一方の面全体を被覆するように形成された触媒層2cEbと、ガス拡散層2gEbとを準備する。なお、電解質膜1に形成された触媒層2cEbと、ガス拡散層2gEbとはそれぞれ、ほぼ同程度のサイズで準備されるとともに、1つの角部が切除された状態で準備されることが好ましい。
図21(B)には、触媒層2cEbとガス拡散層2gEbとが重ね合わされた状態が図示されている。第2工程では、触媒層2cEbとガス拡散層2gEbとを互いの位置を対角線方向に沿ってオフセットさせつつ重ね合わせる。即ち、係止部8を構成する触媒層2cEbの二辺をガス拡散層2gEbの外周端より突出させつつ、係止部8aを構成するガス拡散層2gEbの二辺を触媒層2cEbの外周端より突出させた状態で、触媒層2cEbとガス拡散層2gEbとを重ね合わせる。なお、触媒層2cEb(電解質膜1)およびガス拡散層2gEbの角部が切除された部位はそれぞれ、上述のオフセット方向に沿って対角する位置に配置されることが好ましい。
図21(C)には、触媒層2cEbおよびガス拡散層2gEbの端部を折り曲げて係止部8,8aが形成された状態が図示されている。なお、図21(C)には、便宜上、折り曲げ加工される前の触媒層2cEbとガス拡散層2gEbの外周輪郭線が破線で図示されている。第3工程では、ガス拡散層2gEbの外周端より突出した触媒層2cEbの二辺を、電解質膜1とともにガス拡散層2gEb側に折り曲げて係止部8を形成する。また、この第3工程では、触媒層2cEbの外周端より突出したガス拡散層2gEbの二辺を、触媒層2cEb側に折り曲げて係止部8aを形成する。
このように、この構成例では、電極2Ebの外周において、2種類の係止部8,8aが組み合わされて設けられている。このような構成であっても、触媒層2cEbとガス拡散層2gEbとの乖離を抑制することができる。
図22,図23はそれぞれ、第6実施例の他の構成例の燃料電池100Ec,100Edの構成を示す概略図である。図22,図23はそれぞれ、電極2,2E,2Eaの内部に、第5実施例で説明したのと同様な接着部材7が含浸して設けられている点以外は、図16および図19とほぼ同じである。このように、係止部8,8aとともに、接着部材7が設けられることにより、より確実に、触媒層2cとガス拡散層2g,2gEとの乖離を抑制することができる。また、反応熱による電解質膜1の劣化を抑制することができる。なお、図20の構成において、電極2,2Ebに接着部材7を設けるものとしても良い。
G.第7実施例:
図24は、本発明の第7実施例としての燃料電池100Fの構成を示す概略図である。この燃料電池100Fの膜電極接合体5Fは、互いに接合された第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbを有し、第1の電解質膜1Faの外表面には第1の電極2Faが形成され、第2の電解質膜1Fbの外表面には第2の電極2Fbが形成されている。なお、図24では、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbの接合面を破線で図示してある。
第1と第2の電極2Fa,2Fbはそれぞれ、第1または第2の電解質膜1Fa,1Fbの外表面全体を被覆するように形成された触媒層2cFと、繊維基材によって構成されたガス拡散層2gとが積層された構成を有する。また、第1と第2の電極2Fa,2Fbにはそれぞれ、触媒層2cFと第1または第2の電解質膜1Fa,1Fbの端部を折り曲げることにより、図16で説明したのと同様な係止部8が設けられている。
即ち、第7実施例の燃料電池100Fでは、第1と第2の電極2Fa,2Fbはともに、触媒層2cFのガス拡散層2g側の面より、ガス拡散層2gの触媒層2cF側の面が小さく構成されている。そして、ガス拡散層2gの外周端より突出した触媒層2cFのガス拡散層2g側の面を、第1または第2の電解質膜1Fa,1Fbとともにガス拡散層2gに向かって折り曲げることにより係止部8が構成されている。また、第1と第2の電極2Fa,2Fbでは、ガス拡散層2gの外周端は、係止部8を構成している触媒層2cFの外周端2ctより内側に入り込んだ構成を有している。なお、燃料電池100Fでは、第1の電極2Faがカソードとして機能し、第2の電極2Fbがアノードとして機能する。
第5実施例の燃料電池100Fによれば、第1と第2の電極2Fa,2Fbの両方において、触媒層2cFを第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbの保護層として機能させることができ、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbの劣化を抑制できる。また、第1と第2の電極2Fa,2Fbの両方に係止部8が形成されているため、第1と第2の電極2Fa,2Fbの両方において、触媒層2cFとガス拡散層2gとの乖離が抑制される。さらに、これらの係止部8によって、膜電極接合体5Fの各構成部の一体性が向上しており、燃料電池100Fの製造工程における膜電極接合体5Fの取り扱い性(ハンドリング性)が向上している。
図25(A)〜(D)は、第7実施例の膜電極接合体5Fの製造工程を工程順に示す模式図である。第1工程では、一方の面全体を被覆するように触媒層2cFが形成された第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbを準備する(図25(A))。第2工程では、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fb同士を、外側が触媒層2cFとなるように互いに重ね合わせ、ホットプレスにより接合する(図25(B))。
ここで、この工程では、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbの外周端部が突出するように、電熱板210に第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbを狭持させてホットプレスを実行する。これによって、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fb同士が、それらの外周端部において互いに接合されないようにする。図25(B)では、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fb同士が接合される境界を破線で図示してある。なお、電熱板210から突出した第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbの外周端部は、熱収縮による変形を抑制するために、保持部材211によって狭持されることが好ましい。
第3工程では、2つの触媒層2cFの外側にガス拡散層2gを配置し、電熱板210によってホットプレスし、触媒層2cFとガス拡散層2gとを接合する(図25(C))。この工程では、触媒層2cFとガス拡散層2gとの接触面全体が接合されるようにする。ここで、このホットプレス工程の際には、第1と第2の電解質膜2Fa,2Fbの外周端部はそれぞれ、触媒層2cFの外周端部とともに、熱収縮による変形によって、ガス拡散層2g側へとめくれあがる。この変形により、係止部8が形成され、膜電極接合体5Fが完成する(図25(D))。なお、この工程では、係止部8の形成のために、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbおよび触媒層2cFの外周端部に、補助的な外力を加えるものとしても良い。
図26(A)〜(D)は、第7実施例の膜電極接合体5Fの他の製造工程を工程順に示す模式図である。第1工程は、図25(A)で説明したのと同様な第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbの準備工程である(図26(A))。第2工程では、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbをそれぞれ、触媒層2cFが上側となるように、基台212に配置するとともに、触媒層2cの上にガス拡散層2gを配置して、電熱板210によりホットプレスする(図26(B))。
ここで、この工程では、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbのいずれのホットプレスの際にも、ガス拡散層2gは、ガス拡散層2gの外周端より、第1または第2の電解質膜1Fa,1Fbの外周端が突出するように配置される。そして、ホットプレスが実行されたときに、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbの外周端部および触媒層2cFの外周端部は、熱収縮による変形により、ガス拡散層2g側へとめくれ上がる。これによって、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbのそれぞれに係止部8が形成された第1と第2の電極2Fa,2Fbが形成される。なお、この工程では、係止部8の形成のために補助的な外力を、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fcおよび触媒層2cFの外周端部に加えるものとしても良い。
第3工程では、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fb同士を重ね合わせた状態で電熱板210によって狭持し、ホットプレスにより、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbを接合する(図26(C))。このホットプレス工程により、膜電極接合体5Fが完成する(図26(D))。このように、図25や図26の製造工程によれば、ホットプレス工程の際の熱収縮による変形を利用して係止部8を形成することができ、効率よく膜電極接合体5Fを製造することができる。
図27は、第7実施例の他の構成例としての燃料電池100Faの構成を示す概略図である。図27は、第1と第2の電極2Fa,2Fbのそれぞれの内部に、第1実施例で説明したのと同様な接着部材7が含浸されている点以外は、図24とほぼ同じである。このように、係止部8に加えて、第1と第2の電極2Fa,2Fbのそれぞれに、第1実施例で説明したのと同様な接着部材7を設けることにより、触媒層2cFとガス拡散層2gとの乖離をより確実に抑制できるとともに、電解質膜1の劣化を抑制することができる。
H.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
H1.変形例1:
上記実施例において、ガス拡散層2gは繊維基材によって構成されていた。しかし、ガス拡散層2gは繊維基材によって構成されていなくとも良く、ガスを拡散するための多数の細孔を有する部材や、エキスパンドメタルのような金属加工板などによって構成されるものとしても良い。このような構成であっても、ガス拡散層と電解質膜との直接的な接触を抑制することにより、過酸化水素ラジカルが電解質膜に到達することが抑制され、電解質膜の劣化を抑制できる。また、ガス拡散層の基材外表面に存在する微少な凹凸や、ガス拡散層の基材端部などの押圧によって電解質膜が損傷してしまうことを抑制することができる。
H2.変形例2:
上記第1実施例において、膜電極接合体5の電極2には撥水層3が設けられていなかった。しかし、膜電極接合体5のガス拡散層2gと触媒層2cとの間にも、撥水層3が設けられるものとしても良い。なお、この場合には、ガス拡散層2gの外周端面の少なくとも一部が撥水層3によって被覆されることが好ましい。
H3.変形例3:
上記第2実施例では、電極2Aの形成工程において、撥水層3が形成された面に溝部6を形成し、その溝部6に沿ってガス拡散層2gの外周端部を切断することにより、ガス拡散層2gの外周端面に撥水層3による被覆領域を形成していた。しかし、電極2Aは、この工程によって形成されていなくとも良い。例えば、ガス拡散層2gの基材の外周端部を切断して、ガス拡散層2gの基材のサイズを触媒層2cのサイズより小さくした後に、ガス拡散層2gの基材の一方の面および外周端面を被覆するように撥水層3を設けるものとしても良い。
H4.変形例4:
上記第2実施例では、触媒層2cとガス拡散層2gとの間に撥水層3が設けられていた。しかし、撥水層3は省略されるものとしても良い。この場合であっても、ガス拡散層2gの外周端部が触媒層2c側に先細りとなるよう形成され、ガス拡散層2gの外周端部が、触媒層2cの外周端部より内側に入り込むことにより、ガス拡散層2gの毛羽などの突起部による電解質膜1の損傷や、過酸化水素ラジカルによる電解質膜1の劣化が抑制される。また、上記実施例では、撥水層3は、撥水性樹脂材料を主成分に含む撥水性薄膜により構成されていたが、撥水層3は、撥水性樹脂材料を主成分として含む撥水性薄膜によって構成されていなくとも良い。ただし、撥水層3を撥水性薄膜により構成することにより、図7で説明したように、ガス拡散層2gの毛羽2fを撥水性樹脂により被覆できるため好ましい。
H5.変形例5:
上記第3実施例では、燃料電池100Bは、電極2A側をカソードとし、電極2A側をアノードとして、それぞれに酸素と水素とが供給されていた。しかし、燃料電池100Bは、電極2Aをアノードとし、電極2Bをカソードとして、それぞれに水素と酸素とが供給されるものとしても良い。即ち、燃料電池の電極は、アノードおよびカソードのうち、少なくとも一方の電極において、ガス拡散層の外周端部が触媒層の外周端部より内側に入り込むように構成されていれば良い。
H6.変形例6:
上記第5実施例では、接着部材7は、2つの電極2A,2Bの両方に設けられていた。しかし、接着部材7は、2つの電極2A,2Bのうちの一方において省略されるものとしても良い。第5実施例の他の構成例においても同様である。なお、電極2Bに接着部材7を設けた場合には、熱収縮などにより触媒層2cが電解質膜1とともに変形し、ガス拡散層2gから乖離してしまうことを抑制できる。また、電極2Aに接着部材7を設けた場合には、触媒層2cの外周端部における反応熱によって電解質膜1が劣化してしまうことを抑制できる。
H7.変形例7:
上記第5実施例の燃料電池100Dでは、ガス拡散層2gの外周端が触媒層2cの外周端より内側に入り込んだ電極2Aがカソードとして構成されていた。しかし、燃料電池100Dでは、電極2Aがアノードとして構成されるものとしても良い。
H8.変形例8:
上記第5実施例では、接着部材7は、シール領域SAを囲む周状の領域において含浸されていた。しかし、接着部材7は、触媒層2cの外周端より内側に入り込んでいるガス拡散層2gの外周端に沿って周状に含浸されていれば良く、シール領域SAの内側において含浸されていても良い。
H9.変形例9:
上記第5実施例では、接着部材7は、シール領域SAを囲む領域の全周に渡って、触媒層2cと、ガス拡散層2gと、撥水層3の内部に含浸されていた。しかし、接着部材7は、シール領域SAを囲む領域において全周に渡って、触媒層2cと、ガス拡散層2gと、撥水層3の内部に含浸されていなくとも良い。即ち、接着部材7は、ガス拡散層2gと触媒層2cとの乖離が抑制される程度に、ガス拡散層2gと触媒層2cの内周縁部の一部領域にのみ設けられるものとしても良い。また、接着部材7は、電極内部に含浸されていなくとも良く、ガス拡散層2gおよび撥水層3と、触媒層2cとの接触界面にのみ配置されるものとしても良い。ただし、図14で説明したように、上記第5実施例のように構成することにより、反応熱による電解質膜1の劣化を抑制することができるため好ましい。
H10.変形例10:
上記第5実施例では、2つの電極2A,2Bにそれぞれ撥水層3が設けられていた。しかし、撥水層3は省略されるものとしても良い。これは、第5実施例の他の構成例においても同様である。逆に、第6実施例や第7実施例においては、ガス拡散層2g,2gE,2gEbの触媒層2c側の面に撥水層3が設けられるものとしても良い。
H11.変形例11:
上記第6実施例では、触媒層2cの面内にガス拡散層2gの外周全体が収まるようにガス拡散層2gが配置され、ガス拡散層2gの外周端より突出した触媒層2cを折り曲げることにより、係止部8がガス拡散層2gの外周端に沿って周状に形成されていた。しかし、係止部8は、ガス拡散層2gの外周端に沿って周状に形成されていなくとも良い。例えば、係止部8は、ガス拡散層2gの外周端のうち、互いに対向する二辺についてのみ形成されるものとしても良い。また、係止部8は、触媒層2cの一部のみをガス拡散層2gの外周端より突出させ、その突出した一部を折り曲げることにより、ガス拡散層2gの外周端の一部のみを係止するように設けられるものとしても良い。
H12.変形例12:
上記第7実施例では、第1の電極2Faの方が第2の電極2Fbより小さいサイズで構成されていた。しかし、第1と第2の電極2Fa,2Fbは互いにほぼ同程度のサイズで構成されるものとしても良く、第2の電極2Fbの方が、第1の電極2Faよりも小さいサイズで構成されるものとしても良い。
H13.変形例13:
上記第7実施例では、第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbおよびそれらに形成された触媒層2cFの熱収縮による変形を利用して係止部8が形成されていた(図25(C),図26(B))。しかし、係止部8は、そうした熱収縮による変形を利用して形成されなくとも良い。係止部8は、外力を付与して第1と第2の電解質膜1Fa,1Fbおよびそれらに形成された触媒層2cFの外周端部を折り曲げることにより形成されるものとしても良い。
1,1E,1Fa,1Fb…電解質膜
2,2A,2B,2C,2E,2Ea,2Eb,2Fa,2Fb,2a…電極
2c,2cE,2cEb,2cF…触媒層
2f…毛羽
2g,2gE,2gEb…ガス拡散層
2s…面
2ct…外周端
3…撥水層
4…保護シート
5,5A,5Aa,5B,5C,5a,5b,5D,5E,5Ea…膜電極接合体
6…溝部
7…接着部材
8,8a…係止部
10…シール一体型膜電極接合体
20…シール部
30…ガス流路部材
40…セパレータ
43…流路溝
100,100A,100B,100C,100D,100Da,100Db,100E,100Ea〜100Ed,100F,100c…燃料電池
110…単セル
200…押圧工具
202…切削工具
210…電熱板
211…保持部材
212…基台

Claims (10)

  1. 燃料電池に用いられる膜電極接合体であって、
    電解質膜と、
    前記電解質膜の両側に配置された第1と第2の電極層と、
    を備え、
    前記第1と第2の電極層は、前記電解質膜に接して配置された触媒層と、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有しており、
    前記第1と第2の電極層のうちの少なくとも前記第1の電極層は、前記触媒層の前記ガス拡散層側の面より、前記ガス拡散層の前記触媒層側の面を小さくすることにより、前記ガス拡散層の外周端が、前記触媒層の外周端より内側に入り込んでおり、
    前記ガス拡散層は、繊維基材により構成されており、
    前記第1と第2の電極層のうちの少なくとも前記第1の電極層には、前記触媒層と前記ガス拡散層との間に撥水層が設けられ、
    前記撥水層は、前記ガス拡散層の外周端の端面の少なくとも一部を被覆しており、
    少なくとも第1の電極層のガス拡散層では、外周端面における毛羽立ちの方向が前記電解質膜のある側とは反対の側に向くように加工されている、膜電極接合体。
  2. 請求項記載の膜電極接合体であって、
    前記撥水層は、撥水性樹脂を主成分とする撥水性薄膜により構成されている、膜電極接合体。
  3. 燃料電池に用いられる膜電極接合体であって、
    電解質膜と、
    前記電解質膜の両側に配置された第1と第2の電極層と、
    を備え、
    前記第1と第2の電極層は、前記電解質膜に接して配置された触媒層と、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有しており、
    前記第1と第2の電極層のうちの少なくとも前記第1の電極層は、前記触媒層の前記ガス拡散層側の面より、前記ガス拡散層の前記触媒層側の面を小さくすることにより、前記ガス拡散層の外周端が、前記触媒層の外周端より内側に入り込んでおり、
    前記第1と第2の電極層の少なくとも一方には、発電領域の周縁部に、前記ガス拡散層と前記触媒層との乖離を抑制するための接着部材が配置されており、
    前記接着部材は、少なくとも前記第1の電極層において、前記ガス拡散層の外周端より外側に突出している前記触媒層の外周端への反応ガスの拡散を抑制するために、前記触媒層の外周端より内側に入り込んでいる前記ガス拡散層の外周端に沿った周状の領域において、前記触媒層および前記ガス拡散層の内部に含浸されている、膜電極接合体。
  4. 燃料電池に用いられる膜電極接合体であって、
    電解質膜と、
    前記電解質膜の両側に配置された第1と第2の電極層と、
    を備え、
    前記第1と第2の電極層は、前記電解質膜に接して配置された触媒層と、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有しており、
    前記第1と第2の電極層のうちの少なくとも前記第1の電極層は、前記触媒層の前記ガス拡散層側の面より、前記ガス拡散層の前記触媒層側の面を小さくすることにより、前記ガス拡散層の外周端が、前記触媒層の外周端より内側に入り込んでおり、
    前記第1と第2の電極層のうちの少なくとも前記第2の電極層には、前記触媒層の前記ガス拡散層の外周端より突出した前記ガス拡散層側の面が前記ガス拡散層側に折り曲げられて形成された、前記触媒層と前記ガス拡散層との乖離を抑制する係止部が設けられている、膜電極接合体。
  5. 燃料電池に用いられる膜電極接合体であって、
    電解質膜と、
    前記電解質膜の両側に配置された第1と第2の電極層と、
    を備え、
    前記第1と第2の電極層は、前記電解質膜に接して配置された触媒層と、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有しており、
    前記第1と第2の電極層のうちの少なくとも前記第1の電極層は、前記触媒層の前記ガス拡散層側の面より、前記ガス拡散層の前記触媒層側の面を小さくすることにより、前記ガス拡散層の外周端が、前記触媒層の外周端より内側に入り込んでおり、
    前記第2の電極層には、前記ガス拡散層の外周端において、前記ガス拡散層の前記触媒層の外周端より突出した部位を前記触媒層側に折り曲げた、前記触媒層と前記ガス拡散層との乖離を抑制する係止部が設けられている、膜電極接合体。
  6. 燃料電池に用いられる膜電極接合体であって、
    電解質膜と、
    前記電解質膜の両側に配置された第1と第2の電極層と、
    を備え、
    前記第1と第2の電極層は、前記電解質膜に接して配置された触媒層と、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有しており、
    前記第1と第2の電極層のうちの少なくとも前記第1の電極層は、前記触媒層の前記ガス拡散層側の面より、前記ガス拡散層の前記触媒層側の面を小さくすることにより、前記ガス拡散層の外周端が、前記触媒層の外周端より内側に入り込んでおり、
    前記電解質膜の外周端部は、前記ガス拡散層の外側に突出するとともに、前記第1の電極層側の面と前記第2の電極層側の面とが、前記電解質膜の厚み方向に沿った二方向に分離して、前記第1と第2の電極層のそれぞれの側に折り曲げられており、
    前記第1と第2の電極層における前記触媒層の外周端には、前記ガス拡散層側の面が、前記ガス拡散層の外側において、前記電解質膜の外周端部とともに、前記ガス拡散層に向かって折り曲げられた、前記触媒層と前記ガス拡散層との乖離を抑制するための係止部が設けられている、膜電極接合体。
  7. 燃料電池であって、
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の膜電極接合体を備える、燃料電池。
  8. 電解質膜に接するように配置された触媒層と、繊維基材によって構成され、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有する電極層を備える燃料電池用の膜電極接合体の製造方法であって、
    (a)前記ガス拡散層の基材である繊維基材を準備する工程と、
    (b)前記繊維基材の一方の面に撥水層を形成する工程と、
    (c)前記ガス拡散層の外周端が前記触媒層の外周端より内側に入り込むように、前記繊維基材の外周端を切断する工程と、
    (d)前記電解質膜に予め形成された前記触媒層に、前記触媒層と前記撥水層とが接するように、前記繊維基材を重ねて接合し、前記電極層を形成する工程と、
    を備え、
    前記工程(d)は、前記繊維基材を切断する切断線上を切断前に予め押圧することにより、前記繊維基材の表面に前記撥水層が前記繊維基材の内側へと入り込んだ溝部を形成し、前記溝部に沿って、前記繊維基材を切断する工程を含む、製造方法。
  9. 電解質膜に接するように配置された触媒層と、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有する電極層を備える燃料電池用の膜電極接合体の製造方法であって、
    (a)一方の面に前記触媒層が形成された電解質膜を準備する工程と、
    (b)前記ガス拡散層の基材として、前記触媒層よりサイズが小さい繊維基材を準備する工程と、
    (c)前記触媒層の外周端より前記繊維基材の外周端が内側となるように、前記触媒層の上に前記繊維基材を配置する工程と、
    (d)前記触媒層と前記繊維基材とを、前記電解質膜とともにホットプレスすることにより接合するとともに、前記電解質膜と前記触媒層の熱収縮による変形を利用して、前記触媒層と前記電解質膜の前記繊維基材の外側に突出した部位を、前記繊維基材側に折り曲がらせて、前記触媒層と前記繊維基材との乖離を抑制する係止部を設ける工程と、
    を備える、製造方法。
  10. 請求項記載の製造方法であって、
    前記工程(d)は、前記触媒層と前記繊維基材とが積層配置された第1と第2の電解質膜を準備し、前記第1と第2の電解質膜同士を重ねてホットプレスすることにより、前記触媒層と前記繊維基材とを接合するとともに、前記第1と第2の電解質膜同士を接合する工程を含む、製造方法。
JP2012533754A 2010-09-16 2010-11-04 膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池、膜電極接合体の製造方法 Active JP5673684B2 (ja)

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