JP2010170892A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料流路から供給された燃料が高分子電解質膜を通過し、カソードで酸化されるメタノールクロスオーバーなどの現象を簡易な手段で抑制し、燃料の利用効率と、発電電圧や発電効率などの発電性能とに優れた燃料電池を提供することを目的とする。
【解決手段】高分子電解質膜11と、高分子電解質膜11を挟むアノード23およびカソード25と、燃料流路を有するアノード側セパレータ17と、酸化剤流路を有するカソード側セパレータ21と、アノード側セパレータ17およびカソード側セパレータ21と高分子電解質膜11の周縁部との間に介在されるガスケット26、27と、を備える燃料電池30において、アノード23を構成するアノード触媒層31の法線方向から見た正投影面積が、アノード23を構成するアノード多孔質基材15の法線方向から見た正投影面積よりも大きくなるように設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、直接燃料酸化型燃料電池に関し、詳しくは、直接メタノール型燃料電池などにおけるセル構造の改良に関する。
燃料電池は、使用される電解質の種類によって、固体高分子型、リン酸型、アルカリ型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型などに分類される。なかでも固体高分子型燃料電池(PEFC)は、動作温度が低く、出力密度が高いことから、車載用電源や家庭用コージェネレーションシステムなどで実用化されつつある。
また、近年、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)などの携帯用小型電子機器における電源として、燃料電池を用いることが検討されている。燃料電池は燃料の補充によって発電可能であることから、充電が必要な二次電池に代えることで、機器の利便性をさらに向上させることが期待できる。そして、動作温度の低いPEFCは、携帯用小型電子機器用の電源としても注目されている。
PEFCのなかでも直接燃料酸化型燃料電池は、常温で液体の燃料を使用し、この燃料を水素に改質することなく、直接酸化して電気エネルギーを取り出すことから、改質器が不要で、小型化が容易である。また、この直接燃料酸化型燃料電池のなかでも、燃料としてメタノールを用いる直接メタノール型燃料電池(DMFC)は、エネルギー効率や出力の観点より、上述の分野における電源として最も有望視されている。
DMFCのアノードおよびカソードでの反応は、それぞれ、下記反応式(1)および(2)で示される。カソードに導入される酸素は、一般に、大気中から取り入れられる。
アノード: CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- …(1)
カソード: 3/2O2+6H++6e-→3H2O …(2)
DMFCなどの固体高分子型燃料電池は、例えば、図1に示すように、高分子電解質膜11を挟んで、アノード触媒層12とカソード触媒層13とが対向している。アノード触媒層12には、高分子電解質膜11と反対側の表面に、アノード撥水層14およびアノード多孔質基材15からなるアノード拡散層16と、アノード側セパレータ17とが、この順に積層されている。また、カソード触媒層13には、高分子電解質膜11と反対側の表面に、カソード撥水層18およびカソード多孔質基材19からなるカソード拡散層20と、カソード側セパレータ21とが、この順に積層されている。そして、これらの積層体は、セルと呼ばれる基本構成を形成している。なお、高分子電解質膜11と一対の触媒層12、13とからなる構成は、燃料電池の発電を担っており、CCM(Catalyst Coated Membrane)と呼ばれている。また、CCMと一対の拡散層16、20とからなる構成は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly;MEA)と呼ばれている。一対の拡散層16、20は、供給される燃料および空気の均一な分散や、生成物である水および二酸化炭素の円滑な排出を担っている。
また、図1に示す燃料電池10において、アノード側セパレータ17は、隣接するアノード多孔質基材15との接触面に溝状の凹部を備えており、この凹部はMEAに燃料を供給するための燃料流路22を形成している。また、カソード側セパレータ21は、隣接するカソード多孔質基材19との接触面に溝状の凹部を備えており、この凹部はMEAに酸化剤(空気)を供給するための酸化剤流路(空気流路)24を形成している。なお、燃料流路22から燃料が供給されるアノード多孔質基材15と、アノード撥水層14と、アノード触媒層12とが、アノード23を形成し、空気流路から空気が供給されるカソード多孔質基材19と、カソード撥水層18と、カソード触媒層13とが、カソード25を形成する。
現在、DMFCなどの直接燃料酸化型燃料電池において解決すべき技術的課題としては、燃料流路から供給され、アノード23と高分子電解質膜11とを透過し、カソード25に到達した燃料(メタノール水溶液など)が、カソード触媒層13で酸化される現象を抑制することが挙げられる。上記現象は、例えば、メタノールクロスオーバー(MCO)と呼ばれ、燃料の利用効率を低下させる原因となっている。また、カソード25での燃料の酸化反応は、酸素の還元反応と混成電位を形成し、カソード25の電位を低下させることから、発電電圧や発電効率の低下を招く。
そこで、DMFCにおいては、MCOを低減させるため、メタノールの透過量が抑制された高分子電解質膜が盛んに開発されている。しかし、現在実用化されている高分子電解質膜は、膜内に存在する水を介してプロトンを伝導する。このため、高分子電解質には水の存在が不可欠であって、水とともにメタノールが高分子電解質膜を透過することを十分に防止できない。
一方、電解質膜中のメタノールの移動は、主として濃度拡散によるものである。このため、MCOの程度(MCO量)は、高分子電解質膜11のアノード23側表面とカソード25側表面とにおけるメタノールの濃度差に大きく依存することが知られている。そして、高分子電解質膜11のカソード25側表面におけるメタノール濃度は、透過したメタノールがカソード25で速やかに酸化されることから、無視できるほど小さいと考えられる。このため、結局のところ、MCO量は、高分子電解質膜11のアノード23側表面におけるメタノール濃度に大きく依存することになる。
また、アノード23においては、アノード触媒層12内での酸化反応によってメタノールが消費される一方で、アノード撥水層14の物質拡散抵抗によってメタノールの拡散速度が制御される。このため、一般に、高分子電解質膜11のアノード23側表面におけるメタノール濃度は、燃料流路22におけるメタノール濃度に比べて極めて小さい。
しかし、MEAの構造的な問題から、高分子電解質膜11のアノード23側表面におけるメタノール濃度が、燃料流路22におけるメタノール濃度に比べて小さくならない部分が生じる。すなわち、通常、アノード23やカソード25の周囲は、燃料や空気の漏出を防止するガスケット26で取り囲まれているが、アノード23やカソード25の端面をガスケット26で隙間なく密封することは製造プロセス上困難である。このため、アノード23やカソード25の端面と、ガスケット26との間には、多少の隙間が生じており、燃料流路から燃料の供給を受けるアノード多孔質基材15と、高分子電解質膜11との間に、アノード触媒層12やアノード撥水層14が存在しない領域が存在する。この領域では、燃料流路から供給されたメタノールが、その濃度を保ったまま、高分子電解質膜11に到達し、その内部を透過する。そして、このことにより、高分子電解質膜11のアノード23側表面とカソード25側表面におけるメタノールの濃度勾配が増加し、その結果、局部的にMCO量が大きくなる。
一方、上述の技術的課題に対し、特許文献1には、多孔質基材とガスケットとを、接着剤を使用して接合する燃料電池の製造方法が記載されている。
特開2003−203646号公報
特許文献1に記載の製造方法をDMFCなどの直接燃料酸化型燃料電池に適用すれば、アノード23やカソード25の端面とガスケット26との間の隙間を高濃度の燃料(メタノール水溶液など)が通過するのを防止することができる。それゆえ、特許文献1に記載の製造方法は、MCO量の増加を防止する上で有効である。
しかしながら、一般的に燃料電池は、有機物やカチオンの混入を嫌う。有機物は、アノード触媒層12などで触媒の表面に吸着して触媒活性を低下させるからであり、カチオンは、高分子電解質膜11のイオン交換基を交換してプロトン伝導度を低下させるからである。そして、特許文献1に記載の製造方法のように、多孔質基材とガスケットとを接着剤で接合する場合には、接着剤の成分や接合時に混入した不純物などから有機物やカチオンが放出され、触媒層の触媒活性や高分子電解質膜のイオン伝導度が経時的に低下するという不具合がある。また、特許文献1に記載の製造方法では、極めて高い寸法精度で接着剤を塗布する必要があるため、製造工程が煩雑かつ困難になる。
そこで、本発明は、上記技術的課題を解決し、メタノールクロスオーバーなどの、燃料流路から供給された燃料が高分子電解質膜を通過し、カソードで酸化される現象を簡易な手段によって抑制し、燃料の利用効率と、発電電圧や発電効率などの発電性能とに優れた燃料電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の燃料電池は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜と、上記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソードと、上記アノードに燃料を供給する燃料流路を有するアノード側セパレータと、上記カソードに酸化剤を供給する酸化剤流路を有するカソード側セパレータと、上記アノード側セパレータと上記高分子電解質膜の周縁部との間、および上記カソード側セパレータと上記高分子電解質膜の周縁部との間の少なくともいずれかに介在され、上記アノードまたは上記カソードを囲み、一対の上記セパレータとともに上記高分子電解質膜をその厚さ方向に加圧するガスケットと、を備え、上記アノードが、上記高分子電解質膜と接するアノード触媒層と、上記アノード側セパレータと接するアノード拡散層と、を含み、上記アノード拡散層が、上記アノード触媒層と接するアノード撥水層と、上記アノード側セパレータと接するアノード多孔質基材と、を含み、上記アノード触媒層の法線方向から見た正投影面積が、上記アノード多孔質基材の法線方向から見た正投影面積よりも大きいことを特徴とする。
燃料電池のMEAは、一般に、高分子電解質膜と一対の触媒層とからなるCCMを、アノード拡散層およびカソード拡散層と接合することによって形成される。例えば、まず、アノード触媒層の形成材料を高分子電解質膜の一方の表面に塗布し、さらに、カソード触媒層の形成材料を高分子電解質膜の他方の表面に塗布し、これらを乾燥させることによってCCMを形成する。また、アノード撥水層およびカソード撥水層の形成材料を、それぞれアノード多孔質基材およびカソード多孔質基材の一方側表面に塗布することにより、アノード拡散層とカソード拡散層とを形成する。その後、アノード拡散層と、CCMと、カソード拡散層とを重ね合わせ、熱プレス法などの方法で接合することにより、MEAが形成される。
ここで、アノード触媒層の法線方向から見た正投影面積がアノード多孔質基材の法線方向から見た正投影面積よりも大きい構成は、例えば、CCMの形成時に、アノード触媒層の形成材料の塗布領域を広く設定して、アノード触媒層の面積を、アノード多孔質基材の面積よりも広くするという簡易な方法によって達成することができる。
また、アノード触媒層の法線方向から見た正投影面積をアノード多孔質基材の法線方向から見た正投影面積よりも大きく設定したときは、たとえ、アノード多孔質基材の端面とガスケットとの間に隙間が生じたとしても、その隙間に対応する高分子電解質膜上にアノード触媒層が存在することになる。
それゆえ、燃料流路からアノード多孔質基材へと供給された燃料が、高分子電解質膜に到達し、高分子電解質膜を透過してカソード触媒層で酸化される、という現象を抑制することができる。そして、このことにより、燃料の利用効率や、発電電圧や発電効率などの発電性能に優れた燃料電池を得ることができる。
上記燃料電池においては、アノード触媒層がアノード拡散層の端面の少なくとも一部を被覆しているか、または、アノード撥水層が上記アノード多孔質基材の端面の少なくとも一部を被覆していることが好ましい。この場合、燃料流路からアノード多孔質基材へと供給された燃料が高分子電解質膜に到達することを、より一層確実に抑制することができる。さらに、このことにより、燃料の利用効率や、発電電圧や発電効率などの発電性能が極めて優れた燃料電池を得ることができる。
また、アノード触媒層がアノード拡散層の端面の少なくとも一部を被覆している場合において、上記燃料電池は、ガスケットが、カソード側セパレータと高分子電解質膜の周縁部との間に介在されており、かつ、高分子電解質膜の周縁部が、上記アノード拡散層の端部で屈曲してアノード側セパレータに接するとともに、上記アノード触媒層のうち上記アノード拡散層の端面を被覆している部分を被覆していてもよい。この場合においても、燃料流路からアノード多孔質基材へと供給された燃料が高分子電解質膜に到達することを、より一層確実に抑制することができる。
また、アノード触媒層がアノード拡散層の端面の少なくとも一部を被覆している場合において、上記燃料電池は、ガスケットが高分子電解質膜の周縁部を上記アノード側セパレータに押しつけていることが好ましい。この場合、燃料電池の単セル内での密閉性を高めることができる。
上記燃料電池においては、アノード触媒層がアノード拡散層の端面全体を被覆しているか、または、アノード撥水層がアノード多孔質基材の端面全体を被覆していることが好ましい。この場合においても、燃料流路からアノード多孔質基材へと供給された燃料が高分子電解質膜に到達することを、より一層確実に抑制することができる。
以上のように、本発明によれば、アノードの端面とガスケットとの間の隙間において高濃度の燃料がそのまま高分子電解質膜を通過するという現象を抑制することができる。それゆえ、燃料電池に関し、燃料の利用効率の低下や、発電電圧や発電効率の低下を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、複数の実施形態を通じて同一または同種の部分には、同一の符号を示す。
本発明に係る燃料電池の第1の実施形態を示す図2を参照して、燃料電池30は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜11と、高分子電解質膜11を挟み対向して配置されるアノード23およびカソード25と、アノード23の高分子電解質膜11とは反対側に配置されるアノード側セパレータ17と、カソード25の高分子電解質膜11とは反対側に配置されるカソード側セパレータ21と、アノード側セパレータ17と高分子電解質膜11との間、およびカソード側セパレータ21と高分子電解質膜11との間に介在される一対のガスケット26、27と、を備えている。
アノード23は、高分子電解質膜11と接するアノード触媒層31と、アノード側セパレータ17と接するアノード拡散層16とを有している。アノード拡散層16は、さらに、アノード触媒層31と接するアノード撥水層14と、アノード側セパレータ17と接するアノード多孔質基材15とを有している。
カソード25は、高分子電解質膜11と接するカソード触媒層13と、カソード側セパレータ21と接するカソード拡散層20とを有している。カソード拡散層20は、さらに、カソード触媒層13と接するカソード撥水層18と、カソード側セパレータ21と接するカソード多孔質基材19とを有している。
図2は、燃料電池の模式的断面図である。それゆえ、図2において示されていないが、高分子電解質膜11は、フィルム状またはシート状であって、平面視において矩形状の部材である。そして、この高分子電解質膜11の表面に積層されるアノード触媒層31、アノード拡散層16、カソード触媒層13、およびカソード拡散層20は、いずれの層も、平面視において矩形状に形成されている。なお、高分子電解質膜、アノード触媒層、アノード拡散層、カソード触媒層、およびカソード拡散層の形状は、平面視で矩形状に限定されず、燃料電池全体の所望の形状に応じて設定すればよい。具体的には、矩形状のほか、例えば、三角形、六角形などの多角形状といった適宜の形状を選択することができる。
高分子電解質膜11としては、水素イオン伝導性を有していること以外は特に限定されないが、本発明の分野で公知の各種高分子電解質膜を用いることができる。なお、現在、流通している固体電解質膜は、主として、プロトン伝導タイプのものである。
高分子電解質膜11の具体例としては、フッ素系高分子膜などが挙げられ、さらに具体的には、例えば、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体(H+型)などのパーフルオロスルホン酸ポリマーを含有するフィルムなどが挙げられる。また、上記パーフルオロスルホン酸ポリマーを含有するフィルムの具体例としては、ナフィオン膜(商品名「Nafion(登録商標)」、デュポン社製)などが挙げられる。
なお、高分子電解質膜11は、燃料電池30に用いられる燃料(メタノールなど)のクロスオーバーを低減する効果を有しているものが好ましく、このような材料としては、上記フッ素系高分子膜のほかに、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン(S−PEEK)などのフッ素原子を含まない炭化水素系ポリマーや、無機物・有機物複合膜などが挙げられる。
アノード触媒層31は、上述の反応式(1)に示す反応を促進するための触媒と、高分子電解質膜11とのイオン伝導性を確保するための高分子電解質と、を含んでいる。
アノード触媒層31に含まれる触媒としては、例えば、白金(Pt)とルテニウム(Ru)の合金、Ptとルテニウム酸化物との混合物、PtとRuと他の金属元素(例えば、イリジウム(Ir)など)との3元合金などが挙げられる。PtとRuとの合金において、PtとRuとの原子比は、これに限定されないが、好ましくは、1:1である。アノード触媒層31に含まれる触媒は、上記合金の微粉末として用いてもよく、カーボンブラックなどの電子導電性を有する粉末に上記合金を付着させたものを用いてもよい。
アノード触媒層31に含まれる高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体(H+型)、スルホン化ポリエーテルスルホン(H+型)、アミノ化ポリエーテルスルホン(OH-型)などが挙げられる。
カソード触媒層13は、上述の反応式(2)に示す反応を促進するための触媒と、高分子電解質膜11とのイオン伝導性を確保するための高分子電解質と、を含んでいる。
カソード触媒層13に含まれる触媒としては、例えば、Pt単体、または、Ptとコバルト、鉄などの遷移金属との合金が挙げられる。カソード触媒層13に含まれる触媒は、上記金属または合金の微粉末として用いてもよく、カーボンブラックなどの電子導電性を有する粉末に上記金属または合金を付着させたものを用いてもよい。
カソード触媒層13に含まれる高分子電解質としては、アノード触媒層31に含まれる高分子電解質として例示したものと同様のものが挙げられる。
アノード触媒層31およびカソード触媒層13は、まず、触媒と、高分子電解質とを適当な分散媒に分散させ、こうして得られたインクを高分子電解質膜11に塗布して乾燥させることにより、得ることができる。塗布の手段としては、例えば、スプレー法、スキージ法などが挙げられる。
また、アノード触媒層31と、高分子電解質膜11と、カソード触媒層13との積層体(すなわち、CCM)は、まず、上記インクを樹脂シートの表面に塗布して乾燥させ、こうして得られたアノード触媒層31およびカソード触媒層13を、高分子電解質膜11のそれぞれの面に配置し、熱プレスによって樹脂シートから高分子電解質膜11へと転写することで作製することもできる。
アノード拡散層16およびカソード拡散層20は、それぞれ、撥水処理が施された多孔質基材と、この多孔質基材の表面に形成された、撥水性の高い材料からなる撥水層と、を備えている。
アノード多孔質基材15およびカソード多孔質基材19に用いられる多孔質基材としては、例えば、炭素繊維からなるカーボンペーパー、カーボンクロス、カーボン不織布(カーボンフェルト)や、耐腐食性を有する金属メッシュ、発泡金属などが挙げられる。
アノード撥水層14およびカソード撥水層18の形成に用いられる高撥水性材料としては、例えば、フッ素系高分子、フッ化黒鉛などが挙げられ、さらに具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子などが挙げられる。
アノード拡散層16およびカソード拡散層20は、次のようにして得ることができる。まず、例えば、フッ素系高分子などの高撥水性材料と、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラックなど)、黒鉛粉末、多孔質金属粉末などの、導電性を有しかつ微細孔を形成することのできる材料と、適当な分散媒と、を混合し、攪拌する。そして、こうして得られたインクを、撥水処理が施された多孔質基材の表面に塗布して乾燥させる。塗布の手段としては、例えば、スクリーン印刷法、スキージ法などが挙げられる。
また、こうして得られたアノード拡散層16とカソード拡散層20とは、アノード触媒層31と、高分子電解質膜11と、カソード触媒層13との積層体(CCM)のそれぞれの表面に配置され、熱プレスによって接合される。こうして、アノード23と、高分子電解質膜11と、カソード25とが、この順で積層された膜電極接合体(MEA)が得られる。
アノード側セパレータ17およびカソード側セパレータ21は、例えば、黒鉛などのカーボン材料からなっており、燃料(メタノール水溶液など)や酸化剤(空気、酸素など)の流路を形成するための溝状の凹部を備えている。
アノード側セパレータ17の表面の凹部は、アノード多孔質基材15との間で、燃料流路22を形成する。一方、カソード側セパレータ21の表面の凹部は、カソード多孔質基材19との間で、空気流路24を形成する。
アノード側セパレータ17の燃料流路22およびカソード側セパレータ21の空気流路24は、例えば、セパレータの表面を溝状に切削して形成される。また、燃料流路22および空気流路24は、セパレータ自体の成形時(射出成形、圧縮成形など)に成形することもできる。
ガスケット26、27としては、例えば、PTFE、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系高分子や、フッ素ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などの合成ゴム、シリコーンエラストマーなどが挙げられる。
各ガスケット26、27は、PTFEなどからなるシートの中央部分に、膜電極接合体(MEA)と同じ面積のくり抜き部を備えている。そして、一対のガスケット26、27は、それぞれアノード触媒層31およびカソード触媒層13の端面と接するようにして、MEAの表面に配置される。
さらに、一対のガスケット26、27は、一対のセパレータ17、21とともに、高分子電解質膜11をその厚さ方向に加圧している。
アノード23、高分子電解質膜11、およびカソード25からなる膜電極接合体(MEA)と、このMEAの両側に配置される一対のセパレータ17、21とで構成されるセルは、さらに、各セパレータの外側にそれぞれ端板28を配置した上で、図示しないボルトやバネなどによって加圧締結される。熱プレスによって接合されたMEAと一対のセパレータ17、21との界面は、接着性に乏しい。しかしながら、上記のようにしてセルを加圧締結することにより、互いの接着性を高めることができ、MEAと一対のセパレータ17、21との間の接触抵抗を低減させることができる。
また、上記セルは、複数積層することにより、スタックとして使用することもできる。
図2の燃料電池30においては、アノード触媒層31の法線方向から見た正投影面積が、アノード多孔質基材15の法線方向から見た正投影面積よりも大きくなるように設定されている。
アノード多孔質基材15の端面とガスケット26との間には、例えば、アノード23を形成する各層の寸法ばらつき、ズレといった製造工程上の要因によって、隙間が生じ得る。しかし、アノード触媒層31とアノード多孔質基材15との正投影面積を上記のように設定することで、上記隙間のうちアノード多孔質基材15と高分子電解質膜11との間に、必ずアノード触媒層31が存在することになる。
それゆえ、燃料流路22からアノード多孔質基材15へと供給された燃料が、アノード触媒層31を経ることなく高分子電解質膜11に到達し、高分子電解質膜11を透過してカソード触媒層13で酸化される、という現象(例えば、MCO)を抑制することができる。
アノード触媒層31の法線方向から見た正投影面積と、アノード多孔質基材15の法線方向から見た正投影面積との差については、特に限定されない。しかし、上記の実施形態においては、アノード触媒層31の端面の位置と、アノード側のガスケット26の端面の位置との差ができる限り小さくなるような設定が好ましい。この端面の位置の差は、アノード触媒層31の大きさ、ガスケット26のくり抜き部の寸法精度、それらを配置するときの位置合わせの寸法精度などに依存する。例えば、アノード触媒層31の大きさと、ガスケット26のくり抜き部の寸法精度とが、アノード触媒層31の端面の位置とガスケット26の端面の位置との差として±0.1mmであって、それらの位置合わせの寸法精度が±0.1mmであるとする。この場合において、高分子電解質膜11の表面に沿う方向でのアノード触媒層31の長さ(平面視におけるアノード触媒層31の任意の一辺の長さ)は、アノード多孔質基材15の対応する長さ(対応する一辺の長さ)に対し、0.2mm以上、好ましくは、0.3〜0.4mm程度、大きく設定することが好ましい。
また、アノード23側に配置されるガスケット26は、アノード触媒層31のアノード拡散層16側表面と接した状態で、カソード側のガスケット27とともに、高分子電解質膜11をその厚さ方向に加圧していてもよい。この場合、ガスケット26とアノード触媒層31との間に空隙が生じることを、確実に防止することができる。
図2に示す燃料電池30の構成は、燃料の利用効率や、発電電圧や発電効率などの発電性能を向上させる上で好適である。
本発明に係る燃料電池の第2の実施形態を示す図3を参照して、燃料電池32は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜11と、高分子電解質膜11を挟み対向して配置されるアノード23およびカソード25と、アノード23の高分子電解質膜11とは反対側に配置されるアノード側セパレータ17と、カソード25の高分子電解質膜11とは反対側に配置されるカソード側セパレータ21と、アノード側セパレータ17と高分子電解質膜11との間、およびカソード側セパレータ21と高分子電解質膜11との間に介在される一対のガスケット26、27と、を備えている。
図3の燃料電池32において、アノード23は、高分子電解質膜11と接するアノード触媒層33と、アノード側セパレータ17と接するアノード拡散層16とを有している。
図3の燃料電池32において、高分子電解質膜11と、アノード23におけるアノード拡散層16と、カソード25と、アノード側セパレータ17と、カソード側セパレータ21と、一対のガスケット26、27と、端板28とについては、図2の燃料電池30と同様である。
アノード触媒層33は、上述の反応式(1)に示す反応を促進するための触媒と、高分子電解質膜11とのイオン伝導性を確保するための高分子電解質と、を含んでいる。
アノード触媒層33に含まれる触媒としては、図2のアノード触媒層31に含まれる触媒として例示したものと同様のものが挙げられる。
図3の燃料電池32では、アノード触媒層33が、アノード拡散層16の端面全体を被覆している。アノード拡散層16の端面全体をアノード触媒層33で被覆させるために、アノード触媒層33は、アノード拡散層16のアノード撥水層14側表面に対し、アノード触媒層形成用インクを塗布し、乾燥させることにより形成される。具体的に、アノード触媒層形成用インクの塗布時において、アノード拡散層16の端面をマスクで被覆せず、当該端面が露出した状態でアノード触媒層形成用インクを塗布する。このようにして塗布することにより、アノード拡散層16のアノード撥水層14側表面だけでなく、アノード拡散層16の端面にも、アノード触媒層33を形成することができる。
アノード触媒層形成用インクとしては、図2のアノード触媒層31の形成に用いられるインクと同様のものが挙げられる。
図3の燃料電池32においては、アノード触媒層33の法線方向から見た正投影面積が、アノード多孔質基材15の法線方向から見た正投影面積よりも大きくなるように設定されている。
このように設定されることで、アノード多孔質基材15の端面とガスケット26との間の隙間のうち、アノード多孔質基材15と高分子電解質膜11との間に、必ずアノード触媒層33が存在することになる。しかも、図3の燃料電池32の場合は、アノード拡散層16の端面の一部が、アノード触媒層33によって被覆されている。
それゆえ、燃料流路22からアノード多孔質基材15へと供給された燃料が、アノード触媒層33を経ることなく高分子電解質膜11に到達し、高分子電解質膜11を透過してカソード触媒層13で酸化される、という現象(例えば、MCO)を、より一層確実に抑制することができる。
アノード触媒層33の法線方向から見た正投影面積と、アノード多孔質基材15の法線方向から見た正投影面積との差については、特に限定されない。しかし、上記の実施形態においては、高分子電解質膜11の表面に沿う方向でのアノード触媒層33の長さ(任意の一辺の長さ)と、アノード多孔質基材15の対応する長さ(対応する一辺の長さ)との関係を、図2の燃料電池30におけるアノード触媒層31とアノード多孔質基材15との関係と同様に設定することが好ましい。
図3に示す燃料電池32の構成は、燃料の利用効率や、発電電圧や発電効率などの発電性能を向上させる上で極めて好適である。
本発明に係る燃料電池の第3の実施形態を示す図4を参照して、燃料電池34は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜11と、高分子電解質膜11を挟み対向して配置されるアノード23およびカソード25と、アノード23の高分子電解質膜11とは反対側に配置されるアノード側セパレータ17と、カソード25の高分子電解質膜11とは反対側に配置されるカソード側セパレータ21と、アノード側セパレータ17と高分子電解質膜11との間、およびカソード側セパレータ21と高分子電解質膜11との間に介在される一対のガスケット26、27と、を備えている。
図4の燃料電池34において、アノード23は、高分子電解質膜11と接するアノード触媒層31と、アノード側セパレータ17と接するアノード拡散層16とを有している。 そして、アノード拡散層16は、さらに、アノード触媒層31と接するアノード撥水層35と、アノード側セパレータ17と接するアノード多孔質基材15とを有している。
図4の燃料電池34において、高分子電解質膜11と、アノード23におけるアノード多孔質基材15およびアノード触媒層31と、カソード25と、アノード側セパレータ17と、カソード側セパレータ21と、一対のガスケット26、27と、端板28とについては、図2の燃料電池30と同様である。
図4の燃料電池34では、アノード撥水層35が、アノード多孔質基材15の端面全体を被覆している。
アノード多孔質基材15の端面全体をアノード撥水層35で被覆させるために、アノード撥水層35は、次のようにして形成される。例えば、アノード拡散層16の形成時において、アノード多孔質基材15の端面にマスクで被覆せず、当該端面が露出した状態で、アノード撥水層形成用インクを塗布する。これにより、アノード多孔質基材15のアノード触媒層31側表面だけでなく、その端面においても、アノード撥水層35を形成することができる。
アノード撥水層形成用インクとしては、図2のアノード撥水層14の形成に用いられるインクと同様のものが挙げられる。
図4の燃料電池34においては、アノード触媒層31の法線方向から見た正投影面積が、アノード多孔質基材15の法線方向から見た正投影面積よりも大きくなるように設定されている。
このように設定されることで、アノード多孔質基材15の端面とガスケット26との間の隙間のうち、アノード多孔質基材15と高分子電解質膜11との間に、必ずアノード触媒層31が存在することになる。しかも、図4の燃料電池34の場合は、アノード多孔質基材15の端面の一部が、アノード撥水層35によって被覆されている。
それゆえ、燃料流路22からアノード多孔質基材15へと供給された燃料が、アノード触媒層31を経ることなく高分子電解質膜11に到達し、高分子電解質膜11を透過してカソード触媒層13で酸化される、という現象(例えば、MCO)を、より一層確実に抑制することができる。
アノード触媒層31の法線方向から見た正投影面積と、アノード多孔質基材15の法線方向から見た正投影面積との差については、特に限定されない。しかし、上記の実施形態においては、高分子電解質膜11の表面に沿う方向でのアノード触媒層31の長さ(任意の一辺の長さ)と、アノード多孔質基材15の対応する長さ(対応する一辺の長さ)との関係を、図2の燃料電池30の場合と同様に設定することが好ましい。
図4に示す燃料電池34の構成は、燃料の利用効率や、発電電圧や発電効率などの発電性能を向上させる上で極めて好適である。
本発明に係る燃料電池の第4の実施形態を示す図5を参照して、燃料電池36は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜37と、高分子電解質膜37を挟み対向して配置されるアノード23およびカソード25と、アノード23の高分子電解質膜37とは反対側に配置されるアノード側セパレータ17と、カソード25の高分子電解質膜37とは反対側に配置されるカソード側セパレータ21と、カソード側セパレータ21と高分子電解質膜37との間に介在されるガスケット39と、を備えている。
図5の燃料電池36において、アノード23は、高分子電解質膜37と接するアノード触媒層38と、アノード側セパレータ17と接するアノード拡散層16とを有している。
図5の燃料電池36において、アノード23におけるアノード拡散層16と、カソード25と、アノード側セパレータ17と、カソード側セパレータ21と、端板28とについては、図2の燃料電池30と同様である。
高分子電解質膜37は、アノード23の周囲で屈曲していること以外は、図2の燃料電池30における高分子電解質膜11と同じである。
図5の燃料電池36では、高分子電解質膜37の周縁部が、アノード側セパレータ17に向かって屈曲し、アノード側セパレータ17に接している。また、アノード触媒層38は、高分子電解質膜37とともにアノード側セパレータ17に向かって屈曲しており、アノード拡散層16の端面の一部を被覆している。
また、図5の燃料電池36では、ガスケット39が、高分子電解質膜37とカソード側セパレータ21との間にのみ設けられている。このガスケット39の頂部は、高分子電解質膜37の周縁部を、アノード側セパレータ17に押しつけている。
高分子電解質膜37を屈曲させ、高分子電解質膜37とカソード側セパレータ21との間にのみガスケット39を配置することで、ガスケットの数を減らすことができ、材料コストの低減を図ることができる。また、セルの組立てプロセスを簡略化できるメリットもある。この場合において、カソード25の封止は、ガスケット39と高分子電解質膜37との圧迫によって確保され、アノード23の封止は、高分子電解質膜37とアノード側セパレータ17との圧迫によって確保される。
なお、セルやスタックの面積に占めるアノード23およびカソード25の面積割合を増加させるために、ガスケットの幅を著しく小さくすること、具体的には、シート状のガスケットではなく、幅の小さい線状のガスケットを使用することも考えられる。この場合において、高分子電解質膜の両側の表面に一対のガスケットを配置するとなると、これら一対のガスケットの相互位置について、極めて高い精度が要求される。それゆえ、線状のガスケットを使用する場合には、高分子電解質膜37とカソード側セパレータ21との間にのみガスケット39を配置する構成が有効である。
図5の燃料電池36では、アノード拡散層16の端面をアノード触媒層38で被覆させるために、高分子電解質膜37上に形成されるアノード触媒層38の面積は、アノード拡散層16(およびアノード多孔質基材15)の面積と比べて大きく設定されている。なお、これにより、アノード多孔質基材15の法線方向において、アノード触媒層38の正投影面積が、アノード多孔質基材15の正投影面積よりも大きくなっている。
アノード触媒層38の法線方向から見た正投影面積と、アノード多孔質基材15の法線方向から見た正投影面積との差は、特に限定されない。しかし、上記の実施形態においては、上記正投影面積の差は、アノード多孔質基材15の端面を、できるだけアノード触媒層38で被覆することができるように設定されていることが好ましい。また、上記正投影面積の差は、アノード触媒層38の大きさ、アノード多孔質基材15の厚み、ガスケット39の位置精度などに依存する。例えば、アノード触媒層38の大きさの寸法精度(アノード触媒層38の端部の位置精度)が±0.1mmであり、アノード多孔質基材15の厚みが0.3mmであり、ガスケット39の位置精度が±0.1mmであるとする。この場合において、高分子電解質膜37の表面に沿う方向でのアノード触媒層38の長さ(任意の一辺の長さ)を、アノード多孔質基材15の対応する長さ(対応する一辺の長さ)に対し、0.7mm以上、好ましくは、0.8〜0.9mm程度、大きく設定することが好ましい。このように設定することで、後述するMCOなどの現象の抑制効果を十分に発揮させることができる。
図5の燃料電池36において、アノード触媒層38は、アノード拡散層16の端面全体を被覆していない。このため、厳密には、アノード多孔質基材15と高分子電解質膜37とが、隙間を挟んで向かい合っている箇所(アノード触媒層31が存在していない箇所)が存在する。そして、このことにより、燃料経路22からアノード多孔質基材15へと供給された燃料が、アノード触媒層31を経ることなく高分子電解質膜37に到達し、高分子電解質膜37を透過してカソード触媒層13で酸化される、という現象(例えば、MCO)を生じるおそれがある。
しかしながら、図1の場合と対比して明らかなように、高分子電解質膜37が屈曲して配置されているため、燃料が、アノード触媒層31を経ることなく高分子電解質膜37に到達したとしても、高分子電解質膜37を透過することは困難である。それゆえ、MCOなどが生じたとしても、その程度は軽微である。
なお、MCOなどの現象を確実に抑制するには、アノード拡散層16の端面全体が、アノード触媒層38によって被覆されていることが好ましい。
図5に示す燃料電池36の構成は、燃料の利用効率や、発電電圧や発電効率などの発電性能を向上させる上で好適である。
本発明に係る燃料電池の第5の実施形態を示す図6を参照して、燃料電池40は、水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜37と、高分子電解質膜37を挟み対向して配置されるアノード23およびカソード25と、アノード23の高分子電解質膜37とは反対側に配置されるアノード側セパレータ17と、カソード25の高分子電解質膜37とは反対側に配置されるカソード側セパレータ21と、カソード側セパレータ21と高分子電解質膜37との間に介在されるガスケット39と、を備えている。
図6の燃料電池40において、アノード23は、高分子電解質膜37と接するアノード触媒層41と、アノード側セパレータ17と接するアノード拡散層16とを有している。
そして、アノード拡散層16は、さらに、アノード触媒層41と接するアノード撥水層42と、アノード側セパレータ17と接するアノード多孔質基材15とを有している。
図6の燃料電池40において、アノード23におけるアノード多孔質基材15と、カソード25と、アノード側セパレータ17と、カソード側セパレータ21と、端板28とについては、図2の燃料電池30と同様である。また、高分子電解質膜37については、図5の燃料電池36と同様である。
図6の燃料電池40では、アノード撥水層42が、アノード多孔質基材15の端面全体を被覆している。
アノード多孔質基材15の端面をアノード撥水層42で被覆させるには、アノード撥水層42を、図4の燃料電池34におけるアノード撥水層35と同様にして形成すればよい。
図6の燃料電池40では、高分子電解質膜37の周縁部が、アノード側セパレータ17に向かって屈曲し、アノード側セパレータ17に接している。また、アノード触媒層41は、高分子電解質膜37とともにアノード側セパレータ17に向かって屈曲しており、アノード拡散層16の端面を被覆している。
また、図6の燃料電池40では、アノード拡散層16の端面をアノード触媒層41で被覆させるために、高分子電解質膜37上に形成されるアノード触媒層41の面積が、アノード拡散層16(特に、アノード多孔質基材15)の面積と比べて大きく設定されている。なお、これにより、アノード多孔質基材15の法線方向において、アノード触媒層41の正投影面積が、アノード多孔質基材15の正投影面積よりも大きくなっている。
アノード触媒層41の法線方向から見た正投影面積と、アノード多孔質基材15の法線方向から見た正投影面積との差は、特に限定されない。しかし、上記の実施形態においては、高分子電解質膜37の表面に沿う方向でのアノード触媒層41の長さ(任意の一辺の長さ)と、アノード多孔質基材15の対応する長さ(対応する一辺の長さ)との関係を、図5の燃料電池36におけるアノード触媒層38とアノード多孔質基材15との関係と同様に設定することが好ましい。
図6に示す燃料電池40の構成は、燃料の利用効率や、発電電圧や発電効率などの発電性能を向上させる上で好適である。
図5に示す第4の実施形態や、図6に示す第5の実施形態では、高分子電解質膜11が屈曲しており、高分子電解質膜11の屈曲部と、アノード多孔質基材とが、極めて接近した状態となっている。しかしながら、第4および第5の実施形態によれば、燃料が、アノード拡散層16の端面から、アノード触媒層38、41を経ることなく、直接に高分子電解質膜11の表面に到達することが抑制されており、MCO量の増加を回避することができる。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
実施例1として、上記第1の実施形態の燃料電池を作製した(図2参照)。
アノード触媒層31を形成するアノード触媒粉末には、平均一次粒子径が30nmの導電性カーボン粒子に白金−ルテニウム合金(原子比1:1)を付着させたものであって、白金−ルテニウム合金の含有割合が50重量%であるものを使用した。
カソード触媒層13を形成するカソード触媒粉末には、平均一次粒子径が30nmの導電性カーボン粒子に白金を付着させたものであって、白金の含有割合が50重量%であるものを使用した。
高分子電解質膜11には、厚さ178μmのフッ素系高分子膜(パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体(H+型)をベースとするフィルム、商品名「Nafion(登録商標)117」、デュポン社製)を使用した。
上記アノード触媒粉末10gと、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体(H+型)を含有する分散液(商品名:ナフィオン分散液、「Nafion(登録商標)5重量%溶液」、デュポン社製)100gとを、適量の水とともに混合し、攪拌後、脱泡することによって、アノード触媒層形成用インクを得た。
こうして得られたアノード触媒層形成用インクを、エアーブラシを使用したスプレー法によって、上記高分子電解質膜11の一方側表面に吹き付けた。吹き付け時には、高分子電解質膜11の表面を60℃に保持した。これにより、アノード触媒層形成用インクは、塗布中に漸次乾燥され、アノード触媒層31を形成した。アノード触媒層31の寸法は、吹き付け時のマスキングによって、1辺が61mmの正方形となるように調整した。
次に、上記カソード触媒粉末10gと、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体(H+型)を含有する分散液(前出の商品名「Nafion(登録商標)5重量%溶液」)100gとを、適量の水とともに混合し、攪拌後、脱泡することによって、カソード触媒層形成用インクを得た。
こうして得られたカソード触媒層形成用インクを、上記高分子電解質膜11の他方側表面(アノード触媒層31の形成面とは反対側の面)に吹き付けた。吹き付けは、アノード触媒層31の形成と同様にして行った。カソード触媒層13の寸法は、吹き付け時のマスキングによって、1辺が60mmの正方形になるように調整した。また、アノード触媒層31と、カソード触媒層13とは、それぞれの中心(各触媒層の対角線の交点)が、高分子電解質膜11の厚さ方向で一致するように設定した。
撥水処理が施されたカーボンペーパー(商品名「TGP−H−090」、厚さ約300μm、東レ株式会社製)を、希釈されたPTFEディスパージョン(商品名「D−1」、ダイキン工業株式会社製)に1分間浸漬した後、100℃の熱風乾燥機中で乾燥させた。次いで、270℃の電気炉中で2時間焼成することにより、PTFEの含有量が10重量%であるアノード多孔質基材15を得た。
撥水処理が施されたカーボンペーパーに代えて、カーボンクロス(商品名「AvCarb(商標)1071HCB」、バラードマテリアルプロダクツ社製)を使用したこと以外は、アノード多孔質基材15の作製と同様にしてPTFEディスパージョンに浸漬し、乾燥し、かつ焼成することにより、PTFEの含有量が10重量%であるカソード多孔質基材19を得た。
アセチレンブラックの粉末と、PTFEディスパージョン(前出の商品名「D−1」)とを混合し、攪拌することにより、PTFEの固形分量が10重量%で、アセチレンブラックの含有量が90重量%の撥水層形成用インクを得た。
こうして得られた撥水層形成用インクを、エアーブラシを使用したスプレー法によって、アノード多孔質基材15の一方側表面に吹き付け、100℃の恒温槽で乾燥させた。次いで、270℃の電気炉中で2時間焼成し、界面活性剤を除去することにより、アノード撥水層14を形成した。カソード多孔質基材19の一方側表面にも、上記と同様にして、撥水層形成用インクを吹き付け、乾燥し、かつ焼成することにより、カソード撥水層18を得た。
アノード多孔質基材15とアノード撥水層14とからなるアノード拡散層16、およびカソード多孔質基材19とカソード撥水層18とからなるカソード拡散層20は、いずれも、抜き型を使用して、1辺60mmの正方形に成形した。
次に、得られたアノード拡散層16と、CCMと、カソード拡散層20とを、各撥水層14、18と、CCMの各触媒層31、13とが対向するように重ね合わせ、温度を125℃に設定した熱プレス装置に配置した。そして、5MPaの圧力で1分間加圧し、接合することにより、膜電極接合体(MEA)を得た。
各拡散層16、20とCCMとを重ね合わせる際には、アノード触媒層31の中心(以下、MEAを形成する各層について、対角線の交点を中心とする。)と、アノード撥水層14を備えるアノード拡散層16の中心とが一致するように、位置合わせを実施した。しかし、この場合であっても、MEAを形成する各層について、中心間のずれは多少発生した。アノード触媒層31の端辺と、アノード拡散層16の端辺との距離を、光学顕微鏡で測定した結果、4つの辺において、それぞれ、0.3、0.4、0.7、および0.6mmであった。すなわち、いずれの辺においても、アノード拡散層16と高分子電解質膜11との間にアノード触媒層31が存在しない端辺は存在していなかった。
厚み0.25mmのエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)のシートを、1辺が120mmの正方形に切り出し、さらに、MEAを配置する部分として、シートの中心部分を、1辺が62mmの正方形にくり抜いた。こうして得られた2枚のガスケット26、27を、アノード23側とカソード25側との双方で、MEAを取り囲むように配置した。
アノード側セパレータ17およびカソード側セパレータ21として、厚み2mmの黒鉛板の表面を切削して、メタノールを供給する燃料流路22と、酸素を供給する空気流路24とを形成したものを作製し、これら流路22、24が、それぞれアノード拡散層16およびカソード拡散層20に面するように配置した。燃料流路22と空気流路24の断面形状は、それぞれ、1mm四方になるように形成した。また、燃料流路22および空気流路24は、MEAの表面上を万遍なく蛇行するサーペンタイン型とした。
そして、一対のセパレータ17、21に挟持されたMEAを、さらに、厚さ1cmのステンレス板からなる一対の端板28で挟み込んだ。端板28と、各セパレータ17、21との間には、それぞれ、各セパレータ17、21側から順に、表面に金メッキが施された厚さ2mmの銅板からなる集電板と、絶縁板とを配置して、電子負荷装置に接続した。端板28は、ボルト、ナットおよびばねを用いて加圧締結した。こうして、燃料電池(DMFC)の単セルを得た。なお、第1の実施形態を模式的に示す図2においては、集電板と絶縁板の図示を省略している。他の図においても同様である。
実施例2
実施例2として、上記第2の実施形態の燃料電池を作製した(図3参照)。
実施例1と同様に調製されたアノード触媒層形成用インクを、実施例1と同様の方法で作製され、1辺が60mmの正方形となるように打ち抜かれたアノード拡散層16のアノード撥水層14側に、スプレー法によって塗布した。このとき、アノード拡散層16の端面をマスキングなどで被覆せずに塗布した。これにより、アノード触媒層形成用インクがアノード拡散層16の端面にも付着した。すなわち、アノード拡散層16のアノード撥水層14側の表面だけでなく、その端面においても、アノード触媒層31が形成された。また、アノード拡散層16の端面全体が、アノード触媒層31によって被覆された。
その他の工程を実施例1と同様にすることで、燃料電池(DMFC)の単セルを得た。
実施例3
実施例3として、上記第3の実施形態の燃料電池を作製した(図4参照)。
実施例1と同様にして作製されたアノード多孔質基材15を、1辺が60mmの正方形となるように打ち抜いた後、アノード撥水層形成用インクをスプレー法により塗布した。このとき、アノード多孔質基材15の端面をマスキングなどで被覆せずに塗布した。これにより、アノード撥水層形成用インクがアノード多孔質基材15の端面にも付着した。すなわち、アノード多孔質基材15のアノード触媒層33側表面だけでなく、その端面においても、アノード撥水層35が形成された。また、アノード多孔質基材15の端面全体が、アノード撥水層35によって被覆された。
その他の工程を実施例1と同様にすることで、燃料電池(DMFC)の単セルを得た。
実施例4
実施例4として、上記第4の実施形態の燃料電池を作製した(図5参照)。
実施例1と同様にしてMEAを作製した。アノード触媒層38の端辺と、アノード拡散層16の端辺との距離は、4つの辺において、それぞれ、0.3、0.4、0.7、および0.6mmであって、実施例1と同等であった。
ガスケットには、厚み0.50mmのEPDMのシートを、1辺が120mmの正方形に切り出し、MEAを配置する部分として、シートの中心部分を、1辺が62mmの正方形にくり抜いたものを使用した。こうして得られたガスケット39を、高分子電解質膜11とカソード側セパレータ21との間のみで、MEAを取り囲むように配置した。
こうして、燃料電池(DMFC)の単セルを得た。この単セルにおいて、アノード触媒層38は、図5に示すように、アノード拡散層16の端面を被覆する位置に配置された。なお、アノード触媒層38は、アノード拡散層16の端面全体を被覆していなかった。
実施例5
実施例5として、上記第5の実施形態の燃料電池を作製した(図6参照)。
実施例3と同様にしてアノード拡散層16を作製し、実施例1と同様にしてMEAを作製した。アノード触媒層41の端辺と、アノード拡散層16の端辺との距離は、4つの辺において、それぞれ、0.3、0.4、0.7、および0.6mmであって、実施例1と同等であった。
ガスケットには、実施例4と同様にして作製されたものを使用し、このガスケット39を、高分子電解質膜11とカソード側セパレータ21との間において、MEAを取り囲むように配置した。
こうして、燃料電池(DMFC)の単セルを得た。この単セルにおいて、アノード触媒層41およびアノード撥水層42は、図6に示すように、アノード多孔質基材15の端面を被覆する位置に配置された。
比較例1
比較例1として、従来構造の燃料電池を作製した(図1参照)。
実施例1と同様にして、高分子電解質膜11上にアノード触媒層12を作製し、1辺が60mmの正方形となるように成形した。その他の工程については、実施例1と同様にすることで、燃料電池(DMFC)の単セルを得た。
この比較例1の単セルにおいて、アノード触媒層12の端辺と、アノード拡散層16の端辺との位置関係を確認したところ、アノード触媒層12の端辺が、その中心を基準として、アノード拡散層16の端辺よりも0.2mm外側に外れている辺と、0.1mm外側に外れている辺とが存在していた。一方、それらの端辺と対向する端辺においては、アノード触媒層12の端辺が、その中心を基準として、アノード拡散層16の端辺よりも、それぞれ0.2mmと0.1mm内側に寄っていた。すなわち、2辺において、アノード拡散層と電解質膜の間に、アノード触媒層が存在しない端辺が存在した。
比較例2
比較例2として、図7に示す燃料電池43を作製した。
比較例1と同様にして、MEAを作製した。また、実施例4と同様のガスケット39を、高分子電解質膜11とカソード側セパレータ21との間に配置して、燃料電池(DMFC)の単セルを得た。
この比較例2の単セルにおいて、アノード触媒層12の端辺と、アノード拡散層16の端辺との位置関係は、比較例1と同様であった。
物性試験
以上の実施例および比較例について、発電中のメタノールクロスオーバー量を測定し、そこから燃料の利用効率を計算した。
燃料電池の発電条件としては、4mol/Lのメタノール水溶液を燃料として0.3cm3/minの流量でチューブ式ポンプを用いてアノードに供給しつつ、300cm3/minの流量で無加湿の空気をマスフローコントローラーによって制御しながらカソードに供給した。電熱線ヒータと温度コントローラを用いて各セルを60℃環境下となるように制御した後、電子負荷装置「PLZ164WA」(菊水電子工業株式会社製)に接続し、定電流制御で電流密度が200mA/cm2となるように設定して連続発電を行った。
アノード側から排出される未使用の燃料が残存したメタノール水溶液と二酸化炭素からなる気液混合流体を、純水を満たした気体捕集容器に接続し、容器を氷水浴で冷却して気体と液体のメタノールを1時間にわたって捕集した。その後、気体捕集容器中のメタノール量をガスクロマトグラフ法によって測定し、アノードの物質収支を計算することで、メタノールクロスオーバー量(MCO量)を求めた。すなわち、アノードに供給したメタノール量から、排出され捕集されたメタノール量と発電電流量から求められる電極での消費量を差し引いて、MCO量を求めた。MCO量は、仮に相当する量のメタノールが電極酸化された場合に発生し得る電流量に換算した数値を使用した。燃料利用率は下記の計算式によって求めた。
燃料利用率=(発電電流)/(発電電流+MCO量の電流換算値)
以上の結果を表1に示す。
Figure 2010170892
表1より明らかなように、実施例1〜3の燃料電池は、比較例1の燃料電池に比べてMCO量が小さく、高い燃料利用率を得ることができた。実施例1〜3を比較すると、アノード触媒層33がアノード拡散層16の端面を被覆している実施例2では、実施例1に比べて、さらにMCO量が低減されていることが確認された。
また、比較例1と比較例2とで、MCO量を比較すると、比較例2の方がMCO量が大きかった。このことは、高分子電解質膜11とアノード拡散層16との距離が小さいほど、アノード23の周辺部におけるMCO量の増加が顕著になることを示している。
しかし、本発明の実施例4および5の燃料電池では、実施例1および2と同等に、MCOが低減されており、本発明による構成が、アノード23周辺部におけるMCO量を著しく低減していることが確認された。
さらに、実施例4と実施例5との対比により、アノード撥水層(14、35)がアノード多孔質基材15の端面を被覆している実施例5の方が、MCO量が小さく、アノード触媒層(31、38)によるアノード多孔質基材15の端面の被覆による効果と、アノード撥水層(14、35)によるアノード多孔質基材15の端面の被覆による効果との相乗効果が確認された。
以上のように、本発明の燃料電池は、従来の構造に比べて、高い燃料利用率を得ることができ、ひいては高いエネルギー変換効率を得ることができる。
本発明の燃料電池は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)などの携帯用小型電子機器における電源として有用である。また、電動スクータ用電源などの用途にも応用することができる。
従来の固体高分子型燃料電池の一例を示す模式的断面図である。 本発明に係る第1の燃料電池の実施形態を示す模式的断面図である。 本発明に係る第2の燃料電池の実施形態を示す模式的断面図である。 本発明に係る第3の燃料電池の実施形態を示す模式的断面図である。 本発明に係る第4の燃料電池の実施形態を示す模式的断面図である。 本発明に係る第5の燃料電池の実施形態を示す模式的断面図である。 比較例2で作製した燃料電池を示す模式的断面図である。
10、30、32、34、36、40、43 燃料電池
11、37 高分子電解質膜
12、31、33、38、41 アノード触媒層
13 カソード触媒層
14、35、42 アノード撥水層
15 アノード多孔質基材
16 アノード拡散層
17 アノード側セパレータ
18 カソード撥水層
19 カソード多孔質基材
20 カソード拡散層
21 カソード側セパレータ
22 燃料流路
23 アノード
24 空気流路(酸化剤流路)
25 カソード
26、27、39 ガスケット
28 端板

Claims (7)

  1. 水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜と、
    前記高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソードと、
    前記アノードに燃料を供給する燃料流路を有するアノード側セパレータと、
    前記カソードに酸化剤を供給する酸化剤流路を有するカソード側セパレータと、
    前記アノード側セパレータと前記高分子電解質膜の周縁部との間、および前記カソード側セパレータと前記高分子電解質膜の周縁部との間の少なくともいずれかに介在され、前記アノードまたは前記カソードを囲み、一対の前記セパレータとともに前記高分子電解質膜をその厚さ方向に加圧するガスケットと、を備え、
    前記アノードが、前記高分子電解質膜と接するアノード触媒層と、前記アノード側セパレータと接するアノード拡散層と、を含み、
    前記アノード拡散層が、前記アノード触媒層と接するアノード撥水層と、前記アノード側セパレータと接するアノード多孔質基材と、を含み、
    前記アノード触媒層の法線方向から見た正投影面積が、前記アノード多孔質基材の法線方向から見た正投影面積よりも大きい、燃料電池。
  2. 前記アノード触媒層が、前記アノード拡散層の端面の少なくとも一部を被覆している、請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記アノード撥水層が、前記アノード多孔質基材の端面の少なくとも一部を被覆している、請求項1に記載の燃料電池。
  4. 前記ガスケットが、前記カソード側セパレータと前記高分子電解質膜の周縁部との間に介在されており、かつ、
    前記高分子電解質膜の周縁部が、前記アノード拡散層の端部で屈曲して前記アノード側セパレータに接するとともに、前記アノード触媒層のうち前記アノード拡散層の端面を被覆している部分を被覆している、請求項2に記載の燃料電池。
  5. 前記ガスケットが前記高分子電解質膜の周縁部を前記アノード側セパレータに押しつけている、請求項4に記載の燃料電池。
  6. 前記アノード触媒層が前記アノード拡散層の端面全体を被覆している、請求項2に記載の燃料電池。
  7. 前記アノード撥水層が前記アノード多孔質基材の端面全体を被覆している、請求項3に記載の燃料電池。
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