JP2007213830A - 燃料電池の膜電極接合体及び膜電極接合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造によりアノードとカソードの両電極間において短絡し難い形状の膜電極接合体及び膜電極接合体の製造方法を提供する。
【解決手段】膜電極接合体1の端部は、積層方向において傾斜している形状である。つまり、カソード30のガス拡散層30bが最も長く、アノード20のガス拡散層20bが最も短くなるように傾斜している形状である。この形状によれば、両電極間の離隔距離を長くすることができ、短絡を防止できる。製造方法は、膜電極接合体1を湾曲した形状に変形させ、カッターにより、湾曲形状の膜電極接合体の湾曲面を横切る方向に裁断する。これにより、膜電極接合体の端部の形状を簡易に形成することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池の膜電極接合体及び膜電極接合体の製造方法、特に固体高分子型燃料電池の膜電極接合体及び膜電極接合体の製造方法に関する。
近年、燃料電池に関するさまざまな研究開発が行われている。特に、自動車業界では、将来、内燃機関自動車の代替となり得るモータ駆動の電気自動車に搭載する固体高分子型燃料電池の実用化に向けて、研究開発が盛んに行われている。
固体高分子型燃料電池(燃料電池)は、燃料極(アノード)と、イオン交換膜からなる電解質膜と、空気極(カソード)とが順に積層した膜電極接合体(MEA:Membrane-Electrode Assembly)を、2枚のセパレータで挟持した構造を有している。この構造により1つの電池が構成されるため、一般にこの構造がセルと称される。アノードとカソードは、電極触媒層とガス拡散層を有しており、電極触媒層が高分子電解質膜側に面し、ガス拡散層がセパレータに面している。各セパレータは、アノードに水素ガス及びカソードに酸素ガスを供給するための流体経路を形成している。
アノード側では、セパレータを通じてガス拡散層に供給された水素ガスが、電極触媒層に向けて拡散される。電極触媒層では、アノードの触媒作用により、次の式に従って、水素ガスが、水素イオンと電子に解離される。
2 → 2H+ + 2e-
アノードの触媒作用により生成した水素イオンは、プロトン電導性を有する電解質膜を透過して、カソードへ送られる。また、アノードの触媒作用により生成した電子は、外部回路を通じてカソードへ送られる。
一方、カソード側では、セパレータを通じてガス拡散層に供給された酸素ガスが、電極触媒層に向けて拡散される。電極触媒層では、高分子電解質膜を透過した水素イオンと、外部回路を通じて供給された電子とが、カノードの触媒作用により酸素と反応し、次の式に従って、水を生成する。
2H+ + 2e- + (1/2)O2 → H2
この一連の電気化学反応により、セルは外部へ電力供給が可能となる。なお、通常使用される燃料電池システムは、セルを積層方向に多数積層させたセルスタックとして、所望の起電力が得られるようにしてある。
燃料電池の電気化学反応により、アノードが負極、カソードが正極になり、両電極間に電位差が生じる。このとき、膜電極接合体の外周部において、アノードとカソードが接触するような場合や、アノードとカソードを電気的に接続するように介在物が付着した場合には、短絡を生じる。
従来は、短絡を防止するために、電解質膜を絶縁材として使用している。以下、従来の膜電極接合体の構成ついて、図を用いて説明する。図3は、従来の膜電極接合体の構成図である。膜電極接合体1は、アノード20と、電解質膜10と、カソード30とが順に積層している。ここで、表面に電極触媒層20a、30aを形成する電極触媒材料が付着した電解質膜10は、ガス拡散層20b、30bより大きく形成されている。ガス拡散層20b、30bより大きい電解質膜10の部位は、電気化学反応の場合のイオン交換としての機能はなく、絶縁材として機能する。従って、アノード20とカソード30の両電極間に電位差が生じても、電解質膜10の部位により両電極の外周部は隔離されるため、短絡を防止できる。
特許文献1には、セルのコーナー部におけるアノードとカソードとの間を電気的に絶縁する技術について開示されている。
特許文献2には、電極端部が傾斜面になっている技術について開示されている。
特開平7−235318号公報 特開2005−79059号公報
従来技術おいて、アノードとカソードの両電極間の短絡を防止するために、イオン交換を目的とする電解質膜を絶縁材として使用している。しかし、電解質膜は、高価な材料であり、それを本来の目的以外に使用すると燃料電池全体のコストアップに繋がる。また、アノードとカソードのガス拡散層より電解質膜を大きくして積層する製造方法は、まず、電解質膜の裁断と、アノードのガス拡散層の裁断と、カソードのガス拡散層の裁断という3つの別個の工程を必要とする。そして、これら裁断された部材を積層する際、ガス拡散層より大きい電解質膜の部位を均等にするため、電解質膜に対するガス拡散層の位置は、精度を必要とする。このように、製造方法も、手間がかかりコストアップに繋がる。
本発明の目的は、簡易な構造によりアノードとカソードの両電極間において短絡し難い形状の膜電極接合体を提供することにある。また、この膜電極接合体の形状を簡易に製造することができる膜電極接合体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の膜電極接合体は、アノードのガス拡散層と、電極触媒材料を含む電解質膜と、カソードのガス拡散層とを順に積層した長方形の膜電極接合体であり、この膜電極接合体の端面が、積層方向において傾斜している形状であることを特徴とする。
また、本発明の膜電極接合体は、前記膜電極接合体の端面は、アノードのガス拡散層またはカソードのガス拡散層のどちらか一方のガス拡散層が、もう一方のガス拡散層より長くなるようにして傾斜している形状であることが望ましい。
また、本発明の膜電極接合体は、前記膜電極接合体の四辺の端面は、アノードのガス拡散層またはカソードのガス拡散層のどちらか一方のガス拡散層が、もう一方のガス拡散層より長くなるようにして傾斜している形状であることが望ましい。
本発明の膜電極接合体の製造方法は、アノードのガス拡散層と、電極触媒材料を含む電解質膜と、カソードのガス拡散層とを順に積層して膜電極接合体とする積層工程と、この膜電極接合体を湾曲させた状態で、この膜電極接合体の湾曲面を横切る方向に裁断する裁断工程とを有し、端面が、積層方向において傾斜している膜電極接合体を得ることを特徴とする。
また、本発明の膜電極接合体の製造方法は、前記裁断工程は、湾曲面の形状をした受け型上に前記膜電極接合体を配置し、この受け型の形状に対応した押さえ型によりこの膜電極接合体を上部から押さえつけることで、この膜電極接合体を湾曲させた状態とすることが望ましい。
本発明の膜電極接合体によれば、簡易な構造によりアノードとカソードの両電極間において短絡し難い形状とすることができる。また、本発明の膜電極接合体の製造方法によれば、この膜電極接合体の形状を簡易に製造することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態における膜電極接合体の構成図である。なお、本発明の実施形態における膜電極接合体を含む固体高分子型燃料電池は、従来の燃料電池と同様のため、燃料電池の全体構成及び動作についての説明は省略する。
膜電極接合体1は、アノード20と、イオン交換膜からなる電解質膜10と、カソード30とが順に積層している。アノード20とカソード30は、電極触媒層20a、30aとガス拡散層20b,30bを有しており、電極触媒層20a、30aが電解質膜10側に面し、ガス拡散層20b、30bがセパレータ(図示せず)に面している。
膜電極接合体1の端部(断面の端部も含む)の形状は、積層方向において傾斜している形状である。つまり、カソード30のガス拡散層30bが最も長く、アノード20のガス拡散層20bが最も短くなるように傾斜している形状である。
この形状によれば、膜電極接合体1の端部の形状が積層方向に平行している形状より、両電極間の離隔距離を長くすることができる。すなわち、アノード20とカソード30が接触し難くなり、アノード20とカソード30を電気的に接続するような介在物が付着し難くなる。従って、アノード20とカソード30の両電極間において、短絡し難い形状である。また、膜電極接合体1の形状は長方形のため、四辺が同様に積層方向に傾斜していることが好ましい。
本実施形態において、膜電極接合体1の端部の形状は、カソード30のガス拡散層30bが最も長く、アノード20のガス拡散層20bが最も短くなるように傾斜している形状である。しかし、膜電極接合体1の端部の形状は、積層方向において傾斜している形状であればよく、カソード30のガス拡散層30bが最も短く、アノード20のガス拡散層20bが最も長くなるように傾斜している形状でもよい。また、膜電極接合体1の四辺の各端部の傾斜の形状は、積層方向において同一方向でも異なる方向に傾斜していてもよい。
膜電極接合体1の製造方法について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態における膜電極接合体の裁断工程を示す構成図である。
裁断工程において、受け型50と、受け型50の上部に位置する押さえ型60と、単純形状刃であるカッター70を使用する。
受け型50は、受け型50上に膜電極接合体1を配置することができ、湾曲面の形状をしている。押さえ型60は、受け型50の上方に位置し、受け型50に対応する形状になっている。そして、押さえ型60は、上下方向に移動可能であり、下降することで受け型50上に配置した膜電極接合体1を押さえつけることができる。押さえ型60の側面には、単純形状刃のカッター70が位置している。カッター70は、上下方向に移動可能であり、下降することで膜電極接合体1の端部を裁断することができる。
膜電極接合体1を構成する各部材を積層する積層工程では、アノード20のガス拡散層20bと、表面に電極触媒層20a、30aの電極触媒材料(例えば、白金である触媒を担持したカーボン)が付着した電解質膜と、カソード30のガス拡散層30bとを順に積層する。なお、この積層工程において、各部材に対する位置は精度を必要としない。
裁断工程において、積層工程により構成された膜電極接合体1は、受け型50上に配置され、受け型50の上方に位置している押さえ型60が下降し、押さえつけられる。このとき、膜電極接合体1は、受け型50及び押さえ型60が対応する湾曲面の形状をしているため、湾曲した形状に変形して押さえつけられる。
湾曲した膜電極接合体1の端部は、押さえ型60の側面に位置しているカッター70が下降することにより、湾曲面を横切る方向に裁断される。これにより、膜電極接合体の端部の形状が形成される。すなわち、膜電極接合体1の湾曲状態を解除すると、膜電極接合体1の端部は、図1のように積層方向において傾斜している形状になる。また、その他の辺を同様に裁断することにより、積層方向において傾斜している形状になる。
本実施形態によれば、湾曲面の形状をした型を使用することより、膜電極接合体1の端部が積層方向において傾斜している形状を、簡易に成形することができる。また、同時に、端部処理を行うことにより、積層工程おいて各部材に対する位置は精度を必要としなくなり、一定の品質の積層構造を実現することができる。
本発明の実施形態における膜電極接合体の構成図である。 本発明の実施形態における膜電極接合体の裁断工程を示す構成図である。 従来の膜電極接合体の構成図である。
符号の説明
1 膜電極接合体、10 電解質膜、20 アノード、20a,30a 電極触媒層、20b,30b ガス拡散層、30 カソード、50 受け型、60 押さえ型、70 カッター。

Claims (5)

  1. アノードのガス拡散層と、電極触媒材料を含む電解質膜と、カソードのガス拡散層とを順に積層した長方形の膜電極接合体において、
    この膜電極接合体の端面が、積層方向において傾斜している形状である、
    ことを特徴とする膜電極接合体。
  2. 請求項1に記載の膜電極接合体において、
    前記膜電極接合体の端面は、アノードのガス拡散層またはカソードのガス拡散層のどちらか一方のガス拡散層が、もう一方のガス拡散層より長くなるようにして傾斜している形状である、
    ことを特徴とする膜電極接合体。
  3. 請求項2に記載の膜電極接合体において、
    前記膜電極接合体の四辺の端面は、アノードのガス拡散層またはカソードのガス拡散層のどちらか一方のガス拡散層が、もう一方のガス拡散層より長くなるようにして傾斜している形状である、
    ことを特徴とする膜電極接合体。
  4. 膜電極接合体の製造方法において、
    アノードのガス拡散層と、電極触媒材料を含む電解質膜と、カソードのガス拡散層とを順に積層して膜電極接合体とする積層工程と、
    この膜電極接合体を湾曲させた状態で、この膜電極接合体の湾曲面を横切る方向に裁断する裁断工程と、
    を有し、
    端面が、積層方向において傾斜している膜電極接合体を得る、
    ことを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
  5. 請求項4に記載の膜電極接合体の製造方法において、
    前記裁断工程は、湾曲面の形状をした受け型上に前記膜電極接合体を配置し、この受け型の形状に対応した押さえ型によりこの膜電極接合体を上部から押さえつけることで、この膜電極接合体を湾曲させた状態とする、
    ことを特徴とする膜電極接合体の製造方法。

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