JP2008300137A - 燃料電池用の触媒層保有拡散層、燃料電池用の膜電極接合体、燃料電池用の触媒層保有拡散層の製造方法、燃料電池用の膜電極接合体の製造方法 - Google Patents
燃料電池用の触媒層保有拡散層、燃料電池用の膜電極接合体、燃料電池用の触媒層保有拡散層の製造方法、燃料電池用の膜電極接合体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】クロスリークに対する抵抗性を高めるのに有利な燃料電池用の触媒層保有拡散層、燃料電池用の膜電極接合体、燃料電池用の触媒層保有拡散層の製造方法、燃料電池用の膜電極接合体の製造方法を提供する。
【解決手段】ガス拡散層10,11の膜対向面10i,11iから撥水剤が塗布されている。燃料電池用触媒層保有拡散層44,45は、ガス透過性をもつガス拡散層10,11と、ガス拡散層10,11の膜対向面10i,11iに積層された厚みが30マイクロメートル以上の触媒層22,23とを備えている。
【選択図】図11
【解決手段】ガス拡散層10,11の膜対向面10i,11iから撥水剤が塗布されている。燃料電池用触媒層保有拡散層44,45は、ガス透過性をもつガス拡散層10,11と、ガス拡散層10,11の膜対向面10i,11iに積層された厚みが30マイクロメートル以上の触媒層22,23とを備えている。
【選択図】図11
Description
本発明は、燃料電池用の触媒層保有拡散層、燃料電池用の膜電極接合体、燃料電池用の触媒層保有拡散層の製造方法、燃料電池用の膜電極接合体の製造方法に関する。
燃料電池用の膜電極接合体は、イオン伝導性をもつ膜と、膜の厚み方向の一方の片面側に配置されたアノードと、膜の厚み方向の他方に配置されたカソードとを備えている(特許文献1)。アノードはガス拡散層と触媒層とを備える。カソードはガス拡散層と触媒層とを備える。
特開2004−6280号公報
上記した燃料電池では、ガス拡散層を構成している構成要素(例えばカーボン繊維)が膜に刺さるおそれがある。この場合、反応ガスがクロスリークするおそれがある。そこで、膜電極接合体では、クロスリークに対する抵抗性を高めることが要請されている。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、クロスリークに対する抵抗性を高めるのに有利な燃料電池用の触媒層保有拡散層、燃料電池用の膜電極接合体、燃料電池用の触媒層保有拡散層の製造方法、燃料電池用の膜電極接合体の製造方法を提供することを課題とする。
(1)様相1に係る燃料電池用触媒層保有拡散層は、(i)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(ii)ガス拡散層の膜対向面に積層された厚みが30マイクロメートル以上の触媒層とを具備することを特徴とする。
本様相によれば、ガス拡散層はガス透過性および導電性をもつ。ガス拡散層は、膜電極接合体に対向する側の膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもつ。ガス拡散層としてはカーボン繊維等の導電繊維の集合体が例示される。
ガス拡散層の膜対向面および膜背向面には微小凹凸が形成されている。このようにガス拡散層の膜対向面が膜を損傷させるおそれがある。そこでガス拡散層の膜対向面に触媒層が積層されている。この触媒層の厚みは30マイクロメートル以上と厚く設定されている。このためガス拡散層の膜対向面に微小凹凸が形成されている場合であっても、ガス拡散層の膜対向面における平滑化が進行する。このためガス拡散層の膜対向面と膜との接触が良好となる。更に、触媒層が厚いため、ガス拡散層の構成要素(例えばカーボン繊維)が膜に突き刺さることが抑制され、膜の損傷が抑制される。この場合、クロスリークに対する抵抗性を高めるのに有利となる。
更に本様相によれば、撥水剤をガス拡散層に塗布されて浸透されているため、ホットプレス等によりガス拡散層を加圧成形したとしても、ガス拡散層における細孔の潰れが抑制される。この場合、ガス拡散層における細孔が確保され、水の排出性を高めることができる。
本発明によれば、膜としては高分子型が例示されるが、無機型でも良く、高分子型および無機型が混在するものでも良い。
(2)様相2に係る燃料電池用膜電極接合体は、アノード用触媒層保有拡散層と、カソード用触媒層保有拡散層と、アノード用触媒層保有拡散層とカソード用触媒層保有拡散層とで挟まれたイオン伝導性をもつ膜とを具備する膜電極接合体において、アノード用触媒層保有拡散層およびカソード用触媒層保有拡散層の少なくとも一方は、
(i)イオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(ii)ガス拡散層の膜対向面に積層された厚みが30マイクロメートル以上の触媒層とを具備することを特徴とする。本様相によれば、触媒層の厚みが30マイクロメートル以上と厚く設定されている。このためガス拡散層の膜対向面に微小凹凸が形成されている場合であっても、ガス拡散層の膜対向面の平滑化が進行する。このためガス拡散層の膜対向面と膜との接触が良好となる。更に、ガス拡散層の構成要素(例えばカーボン繊維)が膜に突き刺さることが抑制され、膜の損傷が抑制される。この場合、クロスリークに対する抵抗性を高めるのに有利となる。
(i)イオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(ii)ガス拡散層の膜対向面に積層された厚みが30マイクロメートル以上の触媒層とを具備することを特徴とする。本様相によれば、触媒層の厚みが30マイクロメートル以上と厚く設定されている。このためガス拡散層の膜対向面に微小凹凸が形成されている場合であっても、ガス拡散層の膜対向面の平滑化が進行する。このためガス拡散層の膜対向面と膜との接触が良好となる。更に、ガス拡散層の構成要素(例えばカーボン繊維)が膜に突き刺さることが抑制され、膜の損傷が抑制される。この場合、クロスリークに対する抵抗性を高めるのに有利となる。
更に、撥水剤をガス拡散層に塗布されて浸透されているため、ホットプレス等によりガス拡散層を加圧成形したとしても、ガス拡散層における細孔の潰れが抑制される。この場合、ガス拡散層における細孔が確保され、水の排出性を高めることができる。
(3)様相3に係る燃料電池用触媒層保有拡散層の製造方法は、(i)(a)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(b)触媒組成物とを用意する工程と、(ii)ガス拡散層の膜対向面に触媒組成物を塗布し、厚みが30マイクロメートル以上の触媒層をガス拡散層の膜対向面に積層させる積層工程とを順に実施することを特徴とする。
本様相によれば、触媒層の厚みが厚く設定されている。このためガス拡散層の膜対向面に微小凹凸が形成されている場合であっても、ガス拡散層の膜対向面の平滑化が進行する。このためガス拡散層の膜対向面と膜との接触が良好となる。更に、ガス拡散層の構成要素(例えばカーボン繊維)が膜に突き刺さることが抑制され、膜の損傷が抑制される。この場合、クロスリークに対する抵抗性を高めるのに有利となる。
更に、撥水剤をガス拡散層に塗布されて浸透されているため、ホットプレス等によりガス拡散層を加圧成形したとしても、ガス拡散層における細孔の潰れが抑制される。この場合、ガス拡散層における細孔が確保され、水の排出性を高めることができる。
(4)様相4に係る燃料電池用触媒層保有拡散層の製造方法は、(i)(a)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(b)触媒組成物とを用意する工程と、(ii)ガス拡散層の膜対向面に触媒組成物を塗布し、厚みが30マイクロメートル以上の触媒層をガス拡散層の膜対向面に積層させて積層体を形成する積層工程と、(iii)積層体の触媒層に切断手段を対面させた状態において、切断手段を積層体の厚み方向に沿って積層体に対して相対移動させて積層体を切断し、燃料電池用触媒層保有拡散層を形成する切断工程とを順に実施することを特徴とする。
本様相によれば、触媒層の厚みが厚く設定されている。このためガス拡散層の膜対向面に微小凹凸が形成されている場合であっても、ガス拡散層の膜対向面の平滑化が進行する。このためガス拡散層の膜対向面と膜との接触が良好となる。更に、ガス拡散層の構成要素(例えばカーボン繊維)が膜に突き刺さることが抑制され、膜の損傷が抑制される。この場合、クロスリークに対する抵抗性を高めるのに有利となる。
更に、撥水剤をガス拡散層に塗布されて浸透されているため、ホットプレス等によりガス拡散層を加圧成形したとしても、ガス拡散層における細孔の潰れが抑制される。この場合、ガス拡散層における細孔が確保され、水の排出性を高めることができる。
切断工程においては、積層体の触媒層に切断手段を対面させた状態において、切断手段を積層体の厚み方向に沿って移動させて積層体を切断し、燃料電池用触媒層保有拡散層を形成する。このように積層体の触媒層に切断手段を対面させて積層体を切断する場合には、触媒層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度は、ガス拡散層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度よりも低くなり易い。
本様相によれば、上記した切断手段としては、打ち抜き刃、カッター式の切断刃等の機械的切断手段、レーザビーム等の高エネルギ密度ビーム照射切断手段が例示される。機械的切断手段であれば、高分子系物質の蒸散化が抑えられる。
(5)様相5に係る燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、(i)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、触媒組成物とを用意する工程と、(ii)ガス拡散層の膜対向面に触媒組成物を塗布し、厚みが30マイクロメートル以上の触媒層をガス拡散層の膜対向面に積層させて積層体を形成する第1積層工程と、(iii)積層体の触媒層に切断手段を対面させた状態において、切断手段を積層体の厚み方向に沿って移動させて積層体を切断し、燃料電池用触媒層保有拡散層を形成する切断工程と、(iv)2つの燃料電池用触媒層保有拡散層で膜を挟むことにより膜電極接合体を形成する第2積層工程とを順に実施することを特徴とする。
本様相によれば、触媒層の厚みが厚く設定されている。このためガス拡散層の膜対向面に微小凹凸が形成されている場合であっても、ガス拡散層の膜対向面の平滑化が進行する。このためガス拡散層の膜対向面と膜との接触が良好となる。更に、ガス拡散層の構成要素(例えばカーボン繊維)が膜に突き刺さることが抑制され、膜の損傷が抑制される。この場合、クロスリークに対する抵抗性を高めるのに有利となる。
本様相によれば、膜のうちガス拡散層に対向する面に触媒組成物を塗布して第2触媒層を積層させた膜触媒層積層体を用意することが好ましい。この場合には、後述する実施例で示すように、第2積層工程では、2つの燃料電池用触媒層保有拡散層で膜触媒層積層体を挟むことにより、膜電極接合体を形成することが好ましい。即ち、膜のうちガス拡散層に対向する面に触媒組成物を塗布して第2触媒層を積層させた膜触媒層積層体を用意し、そして、第2積層工程では、2つの燃料電池用触媒層保有拡散層で膜触媒層積層体を挟むことにより、膜電極接合体を形成することが好ましい。
ここで、ガス拡散層に形成されている触媒層の厚みをt1とし、膜触媒層積層体に形成されている第2触媒層の厚みをt2とするとき、t1>t2に設定されていることが好ましい。この場合、ガス拡散層に形成されている触媒層の厚みt1がt2よりも厚いため、ガス拡散層を構成する構成要素(例えばカーボン繊維等)が膜に突き刺さることが効果的に抑制され、クロスリークが更に抑制される。ここで、t1は30〜120マイクロメートル、30〜80マイクロメートル、30〜60マイクロメートルが例示される。t2は5〜28マイクロメートル、70〜25マイクロメートルが例示される。但しt1≒t2としても良い。
(6)上記した各様相によれば、前記した撥水剤は、撥水物質と粒子状の導電物質と導電繊維とを含むことが好ましい。導電繊維としては、気相成長カーボン等のカーボン繊維が例示される。このような撥水剤をガス拡散層に予め塗布させておけば、ガス拡散層における細孔の潰れが抑制される。導電繊維としては、ある程度長い方が水の排出性を高めるのに有利となり、フラッディングを抑制するのに有利である。導電繊維については、繊維長が10〜50マイクロメートル、繊維径が0.05〜0.3マイクロメートルが例示される。固形分質量比で、撥水剤(固形分)を100%とするとき、撥水物質は15〜20%、殊に16〜19%が例示され、粒子状の導電物質は68〜73%、殊に69〜72%が例示され、導電繊維は9〜14%、殊に10〜13%が例示される。
触媒組成物は、触媒と粒子状の導電物質と電解質とを含むことが好ましい。粒子状の導電物質としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラックが例示される。電解質としてはイオン交換樹脂が例示される。固形分質量比で、触媒組成物を100%とするとき、質量比で、粒子状の導電物質は27〜32%、殊に28〜31%が例示され、電解質は32〜37%、殊に33〜36%が例示される。
上記した各様相によれば、触媒層保有拡散層は切断工程を経て形成されていることが好ましい。ここで、触媒層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度は、ガス拡散層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度よりも低く設定されていることが好ましい。この場合、触媒層に切断手段を対面させた状態で、切断手段を触媒層、ガス各層層の順に切断することが好ましい。この場合、膜電極接合体を組み付けるとき、切断バリまたは切断バリ跡が膜を損傷させることが抑制される。
本発明によれば、ガス拡散層に形成された触媒層の厚みは厚くされているため、クロスリークに対する抵抗性を高めるのに有利な燃料電池用の触媒層保有拡散層、燃料電池用の膜電極接合体、燃料電池用の触媒層保有拡散層の製造方法、燃料電池用の膜電極接合体の製造方法を提供することができる。
各実施形態を説明する。
(実施形態1)
・アノード用のガス拡散層10およびカソード用のガス拡散層11(図1参照)の形成
図1に示すように、アノード用のガス拡散層10は、導電繊維としてのカーボン繊維の集積体であり、平坦な膜対向面10iと平坦な膜背向面10pとをもつ。カソード用のガス拡散層11はガス拡散層10と同種のものであり、導電繊維としてのカーボン繊維の集積体であり、平坦な膜対向面11iと平坦な膜背向面11pとをもつ。
・アノード用のガス拡散層10およびカソード用のガス拡散層11(図1参照)の形成
図1に示すように、アノード用のガス拡散層10は、導電繊維としてのカーボン繊維の集積体であり、平坦な膜対向面10iと平坦な膜背向面10pとをもつ。カソード用のガス拡散層11はガス拡散層10と同種のものであり、導電繊維としてのカーボン繊維の集積体であり、平坦な膜対向面11iと平坦な膜背向面11pとをもつ。
上記したガス拡散層10,ガス拡散層11を形成するにあたり、次のようにした。即ち、水100g、アセチレンブラック(粒子状の導電物質)300g、気相成長カーボン繊維であるカーボン繊維(VGCF,導電繊維)50gを混合し、混合液を形成した。この混合液を攪拌機により10分間攪拌した。更に、撥水剤としてフッ素樹脂(PTFE)を含むディパージョン原液(三井フロロデュポン株式会社製,PTFE含有量:60質量%)125gを混合液に混合させた。この混合液を更に10分間攪拌し、撥水剤含有カーボンペースト(撥水剤含有組成物)を形成した。この場合には、撥水剤含有カーボンペーストの粘度を1700CPSとなるように調整した。
そして、ガス拡散層10,11を構成するカーボンペーパ(GDL,トレカTGP−H060,厚み:200マイクロメートル、東レ株式会社製)の厚み方向の一方の片面(膜対向面10i,11i)に、上記した撥水剤含有カーボンペーストをドクターブレード法により塗工し、塗布させた。塗工量は4.5ミリg/cm2とした。但しこれに限定されるものではない。
その後、そのカーボンペーパを室温にて10分間放置し、カーボンペーパの厚み方向に、撥水剤含有カーボンペーストを浸透させた。次に、乾燥炉で乾燥処理(80℃×30分間)を行い、カーボンペーパに含まれている余分な水分を蒸発させた。その後、焼結温度350℃において60分間をカーボンペーパを保持し、カーボンペーパに含浸されたPTFE(撥水剤)を焼結した。これにより図1に示すアノード用のガス拡散層10,カソード用のガス拡散層11を作製した。
・カソード用触媒層保有拡散層45(図4,図5参照)の形成
白金を55質量%の濃度で保持した白金担持カーボン(田中貴金属株式会社,TEC10E60E)を用いた。白金担持カーボンは、触媒である白金を担持したカーボン微小体(導電性微小体;粒子状導電物質)である。そして白金担持カーボン12gと、5質量%の濃度をもつイオン交換樹脂溶液(旭化成工業株式会社,SS−1080)127gと、水23gと、成形助剤としてのアルコール(イソプロピルアルコール)23gとを充分に混合し、カソード用の触媒ペースト(カソード用の触媒組成物)を形成した。上記したイオン交換樹脂溶液は、イオン伝導性(プロトン伝導性)をもつ炭化フッ素系の電解質ポリマー(ガラス転移温度:120℃)を主要成分としており、液状媒体としての水とエタノールとの混合溶液に当該電解質ポリマーを溶解または分散させたものである。炭化フッ素系の電解質ポリマーは、パーフルオロスルホン酸を主成分としている。
白金を55質量%の濃度で保持した白金担持カーボン(田中貴金属株式会社,TEC10E60E)を用いた。白金担持カーボンは、触媒である白金を担持したカーボン微小体(導電性微小体;粒子状導電物質)である。そして白金担持カーボン12gと、5質量%の濃度をもつイオン交換樹脂溶液(旭化成工業株式会社,SS−1080)127gと、水23gと、成形助剤としてのアルコール(イソプロピルアルコール)23gとを充分に混合し、カソード用の触媒ペースト(カソード用の触媒組成物)を形成した。上記したイオン交換樹脂溶液は、イオン伝導性(プロトン伝導性)をもつ炭化フッ素系の電解質ポリマー(ガラス転移温度:120℃)を主要成分としており、液状媒体としての水とエタノールとの混合溶液に当該電解質ポリマーを溶解または分散させたものである。炭化フッ素系の電解質ポリマーは、パーフルオロスルホン酸を主成分としている。
上記したカソード用の触媒ペーストをドクタブレード法によりカソード用のガス拡散層11の膜対向面11iに塗布し、カソード用の積層体35を形成した(図2参照)。これにより図2に示すように、カソード用の触媒層22をカソード用のガス拡散層11の膜対向面11iに積層させた。
この場合、カソード用の触媒層22の厚みが10マイクロメートル(比較例1,比較例1A)、30マイクロメートル(試験例1,試験例1A)、50マイクロメートル(試験例2,試験例2A)に設定した。厚みは乾燥後の厚みに相当する。ここで、比較例1、試験例1、試験例2は後述する切断形態1を採用した。ここで、比較例1A、試験例1A、試験例2Aは後述する切断形態2を採用した。この場合、比較例1,1A、試験例1,1A、試験例2,2Aのいずれも、カソード用の触媒層22において、白金担持量が0.6mg/cm2となるように統一した。この場合には、触媒層22の厚みが厚いものについては、触媒を担持していないカーボンの配合量を増加させた。
図3および図4に示すような切断手段としての打ち抜き刃9(トムソン刃)を用いた。打ち抜き刃9は、辺9a〜辺9dをもつ四角枠形状とされている。打ち抜き刃9は、積層体35を支持する補助支持部材として機能できる弾性収縮可能な多孔質体92(例えばスポンジ材)をもち、支持板93(支持部材)の平坦な当接面94の下方に配置されている。なお、多孔質体92はゴム体で形成しても良い。
そして、図4に示すように、矢印D方向に沿って(上方から下方に向かうにつれて)、支持板93、上記したカソード用の積層体35、打ち抜き刃9を配置した。支持板93の材質は樹脂、金属、セラミックスから選択できるが、打ち抜き刃9による打ち抜き性を高めるためには、樹脂が好ましい。打ち抜き刃9は金属製であり、内側に直線面9hと、外側に傾斜面9kとを備えている。
図4に示す切断形態1によれば、打ち抜き刃9は、積層体35のカソード用の触媒層22にこれの下面側から直接対面している。しかし打ち抜き刃9は、積層体35のカソード用のガス拡散層11には直接対面していない。
上記したように配置すると共に支持板93を固定した状態とする。打ち抜き刃9にカソード用の積層体35を載せる。そして積層体35を載せた打ち抜き刃9が支持板93に近づくように、打ち抜き刃9を矢印U方向(打ち抜き方向)に向けて相対的に移動(上昇)させた。これにより打ち抜き刃9(トムソン刃)でカソード用の積層体35を所定のサイズに剪断力で打ち抜き、カソード用の触媒層保有拡散層45とした(図4参照)。このとき、カソード用の積層体35は支持板93の当接面94に支持されていると共に、多孔質体92の表面92aがカソード用の積層体35に当たるため、カソード用の積層体35の過剰変形が抑制される。上記した切断状態では、打ち抜き刃9に積層体35を載せているため、積層体35の切断軌跡が容易に認識される。更に切断片の重力による落下も期待できる。
上記したように切断する場合、図4に示すように、カソード用の積層体35のうち、打ち抜き刃9が直接当たった面をB面とし、打ち抜き刃9が直接当たらなかった面(B面と反対側の面)をA面とする。打ち抜き刃9が直接当たったB面であるカソード用の触媒層22側には、基本的には、切断バリ100が発生しない。
即ち、上記したように打ち抜くと、図4に示すように、切断バリ100はカソード用の触媒層22には発生せず、カソード用の触媒層22とは反対側のカソード用のガス拡散層11の膜背向面11p側、即ち、A面に発生する。後述するようにガス拡散層11の膜背向面11pはセパレータに対面するものの、膜20に対面しないため、切断バリ100が膜20を損傷させるおそれは解消される。なお、理解容易化のため、図4において切断バリ100のサイズは誇張して大きく図示されている。実際の切断バリ100は肉眼で凝視して判別できる程度である。
上記した切断形態によれば、支持板93を固定した状態で、打ち抜き刃9を支持板93に近づくように移動させたが、これに限らず、打ち抜き刃9を固定した状態で、支持板93を打ち抜き刃9に近づくように移動させても良い。
図5は切断形態2を示す。切断形態2によれば、図5に示すように、打ち抜き刃9は積層体35の触媒層22に直接対面しておらず、積層体35のガス拡散層11の膜背向面11pに直接対面している。
即ち、切断形態2によれば、図5に示すように、カソード用の積層体35のうち、打ち抜き刃9が直接当たったB面がカソード用のガス拡散層11の膜背向面11pとなり、且つ、A面がカソード用の触媒層22となるように打ち抜く。この場合、切断バリ100がカソード用のガス拡散層11の膜背向面11p側に発生しない。しかし、カソード用の触媒層22側、つまり、カソード用のガス拡散層11の膜対向面11i側に切断バリ100が発生するおそれがある。更に、図5に示す切断形態2では、カソード用の触媒層22の後方に切断バリ100が延びるため、触媒層22に含まれている触媒担持カーボンが切断バリ100とともに切断行為により脱落するおそれがある。
・アノード用触媒層保有拡散層44(図6,図7参照)の形成
白金担持カーボンの代わりに、白金ルテニウム合金を担持している白金ルテニウム合金カーボン(田中貴金属株式会社,TEC61E54)を用いた。これは、白金とルテニウムとを担持したカーボン微小体(導電性微小体)である。白金ルテニウムカーボンでは、白金の担持濃度は30質量%とされ、ルテニウムの担持濃度は23質量%とされている。そして、上記した白金ルテニウム合金担持カーボンを用い、前述と同様な方法によってアノード用の触媒ペースト(触媒組成物)を形成した。
白金担持カーボンの代わりに、白金ルテニウム合金を担持している白金ルテニウム合金カーボン(田中貴金属株式会社,TEC61E54)を用いた。これは、白金とルテニウムとを担持したカーボン微小体(導電性微小体)である。白金ルテニウムカーボンでは、白金の担持濃度は30質量%とされ、ルテニウムの担持濃度は23質量%とされている。そして、上記した白金ルテニウム合金担持カーボンを用い、前述と同様な方法によってアノード用の触媒ペースト(触媒組成物)を形成した。
上記したアノード用の触媒ペーストをドクタブレード法によりアノード用のガス拡散層10の膜対向面10iに塗布し、図2に示すように、アノード用の触媒層23を積層し、アノード用の積層体34を形成した。この場合、アノード用の触媒層23の厚みが10マイクロメートル(比較例1,比較例1A)、30マイクロメートル(試験例1,試験例1A)、50マイクロメートル(試験例2,試験例2A)に設定した。厚みは乾燥後の厚みに相当する。ここで、比較例1、試験例1、試験例2は切断形態1を採用した。ここで、比較例1A、試験例1A、試験例2Aは切断形態2を採用した。アノード用の触媒層23において白金担持量が0.6mg/cm2に統一した。この場合には、触媒層23の厚みが厚いものについては、触媒を担持していないカーボンの配合量を増加させた。
そして、図6に示す切断形態1によれば、切断手段としての打ち抜き刃9は積層体35のアノード用の触媒層23に直接対面しており、積層体35のアノード用のガス拡散層10には直接対面していない。
図6に示すように、打ち抜き刃9(トムソン刃)でアノード用の積層体34を打ち抜き、アノード用の触媒層保有ガス拡散層44を形成した。打ち抜き刃9は、弾性収縮可能な多孔質体92(例えばスポンジ材)をもち、支持板93の当接面94の下方に配置されている。上方から下方に向かうにつれて(矢印D方向に向かうにつれて)、支持板93、上記したアノード用の積層体34、打ち抜き刃9を配置した。その状態で、打ち抜き刃9が支持板93に近づくように、打ち抜き刃9を矢印U方向(打ち抜き方向)に向けて相対的に上昇させ、打ち抜き刃9(トムソン刃)でアノード用の積層体34を所定のサイズに打ち抜き、アノード用の触媒層保有拡散層44とした(図6参照)。このとき、アノード用の積層体34は支持板93の当接面94に支持されていると共に、多孔質体92が積層体34に当たるため、積層体34の過剰変形が抑制される。
この場合、図6に示すように、アノード用の積層体34のうち、打ち抜き刃9が直接当たった面をB面とする。打ち抜き刃9が当たった面であるB面(アノード用のガス拡散層10の対向面10i側)を、アノード用の触媒層23が付いている面とする。このように切断形態1で打ち抜くと、切断バリ100はアノード用の触媒層23に発生せず、アノード用の触媒層23と反対側のガス拡散層10の膜背向面10p側に発生する。
図7は切断形態2を示す。図7に示すように切断形態2では、打ち抜き刃9は積層体35のアノード用の触媒層23に直接対面しておらず、積層体35のアノード用のガス拡散層10の膜背向面10pに直接対面している。このようにアノード用の積層体34のうち、打ち抜き刃9が直接当たるB面がアノードのガス拡散層10の膜背向面10pとなり、A面がアノード用の触媒層23となるように打ち抜くと、図7に示すように、切断バリ100がアノード用の触媒層23側、つまりアノードのガス拡散層10の膜対向面10i側に発生する不具合が発生する。更に、この切断形態2では、切断バリ100がアノード用の触媒層23の後方に延びるため、アノード用の触媒層23に含まれている触媒担持カーボンが切断バリ100とともに脱落するおそれがある。
上記した本実施形態によれば、燃料電池が使用されるとき、カソード用の触媒層22、アノード用の触媒層23の厚みが厚くなると、カソードとアノードとの間の差圧が小さくなり、カソードとアノードとの間におけるクロスリークが抑えられる利点が得られる。更に、カソード用の触媒層22、アノード用の触媒層23の厚みが厚くなると、ガス拡散層10,11を構成するカーボン繊維による膜20への突き刺しが少なくなり、クロスリークが一層抑えられる利点が得られる。
本実施形態によれば、上記した切断形態1で打ち抜いても良いし、上記した切断形態2で打ち抜いても良い。切断形態1,2共に機械的切断手段であるため、高分子系物質の蒸散化が抑えられる。
本実施形態によれば、前記したように、撥水剤を含有するカーボンペーストをガス拡散層10,11に塗布させて浸透させている。このため、ホットプレス等によりガス拡散層10,11を加圧成形したとしても、ガス拡散層10,11における細孔の潰れが抑制される。この場合、ガス拡散層10,11における細孔が確保され、水の排出性を高めることができる。
(実施形態2)
本実施形態は燃料電池用の膜電極接合体を形成する例である。本実施形態は次のように実施した。
本実施形態は燃料電池用の膜電極接合体を形成する例である。本実施形態は次のように実施した。
・カソードシート15およびアノードシート19(図8参照)の形成
上記した実施形態1を終了した後、カソードシート15およびアノードシート19を形成した。即ち、図8に示すように、上記したカソード用の触媒ペースト(カソード用の触媒組成物)をテフロンシート13にドクタブレード法により塗布し、カソード用の第2触媒層14(乾燥後の厚み:20マイクロメートル)を積層した。この場合、第2触媒層14において白金担持量が0.6mg/cm2とした。その後、第2触媒層14を乾燥させてカソードシート15(図8参照)とした。
上記した実施形態1を終了した後、カソードシート15およびアノードシート19を形成した。即ち、図8に示すように、上記したカソード用の触媒ペースト(カソード用の触媒組成物)をテフロンシート13にドクタブレード法により塗布し、カソード用の第2触媒層14(乾燥後の厚み:20マイクロメートル)を積層した。この場合、第2触媒層14において白金担持量が0.6mg/cm2とした。その後、第2触媒層14を乾燥させてカソードシート15(図8参照)とした。
また図8に示すように、上記したアノード用の触媒ペースト(カソード用の触媒組成物)をテフロンシート17にドクタブレード法により塗布し、アノード用の第2触媒層18(乾燥後の厚み:20マイクロメートル)を積層した。この場合、アノード用の第2触媒層18において白金担持量が0.6mg/cm2とした。その後、アノード用の第2触媒層18を乾燥させてアノードシート19(図8参照)とした。
・接合物25(図9参照)および膜触媒層積層体26(図10参照)の形成
図9に示すように、イオン伝導性をもつ高分子型の膜20(デュポン社製,商品名ナフィオン111,厚み25マイクロメートル)を用いた。膜20の一方の表面20aにアノードシート19を配置した。且つ、膜20の他方の表面20cにカソードシート15を配置した。これにより接合物25(図9参照)を形成した。この場合、カソード用の第2触媒層14が膜20側に位置しており、膜20の表面20cに接触する。アノード用の第2触媒層18が膜20側に位置しており、膜20の表面20aに接触する(図9参照)。
図9に示すように、イオン伝導性をもつ高分子型の膜20(デュポン社製,商品名ナフィオン111,厚み25マイクロメートル)を用いた。膜20の一方の表面20aにアノードシート19を配置した。且つ、膜20の他方の表面20cにカソードシート15を配置した。これにより接合物25(図9参照)を形成した。この場合、カソード用の第2触媒層14が膜20側に位置しており、膜20の表面20cに接触する。アノード用の第2触媒層18が膜20側に位置しており、膜20の表面20aに接触する(図9参照)。
次に、ホットプレス型を用いて、上記した接合物25をこれの厚み方向に加熱加圧して接合物25を予備的に加圧成形(ホットプレス)して接合させた。この場合、温度120℃、圧力8MPa、時間1分間というホットプレス条件とした。この場合、カソード用の第2触媒層14(厚み:20マイクロメートル)は膜20の表面20cに転写された。アノード用の第2触媒層18は(厚み:20マイクロメートル)膜20の表面20aに転写された。その後、テフロンシート13,17(剥離シート)を接合物25から剥離した。これにより図10に示す膜触媒層積層体26を形成した。なおホットプレスしても、第2触媒層14,18の厚みはあまり変化しなかった。
・膜電極接合体30の形成
図11に示すように、膜触媒層積層体26のカソード側に、カソード用の触媒層保有拡散層45を配置した。膜触媒層積層体26のアノード側に、アノード用の触媒層保有拡散層44を配置した。触媒層22,23が膜触媒層積層体26側となり膜触媒層積層体26に対面するように、触媒層保有拡散層44,45を配置した。触媒層22は第2触媒層14に対面する。触媒層23は第2触媒層18に対面する。そして、所定のホットプレス条件(温度140℃、圧力8MPa、時間3分間)で、ホットプレス型を用いて加圧成形(ホットプレス)した。これにより膜電極接合体(MEAともいう)30が形成された。
図11に示すように、膜触媒層積層体26のカソード側に、カソード用の触媒層保有拡散層45を配置した。膜触媒層積層体26のアノード側に、アノード用の触媒層保有拡散層44を配置した。触媒層22,23が膜触媒層積層体26側となり膜触媒層積層体26に対面するように、触媒層保有拡散層44,45を配置した。触媒層22は第2触媒層14に対面する。触媒層23は第2触媒層18に対面する。そして、所定のホットプレス条件(温度140℃、圧力8MPa、時間3分間)で、ホットプレス型を用いて加圧成形(ホットプレス)した。これにより膜電極接合体(MEAともいう)30が形成された。
この場合、上記した切断形態1を実施しているときには、図11に示すように、カソード用の触媒層保有拡散層45のガス拡散層11の膜背向面11pに切断バリ100が形成されていたり、アノード用の触媒層保有拡散層44のガス拡散層10の膜背向面10pに切断バリ100が形成されていたりする場合がある。このような場合であっても、図11に示すように、その切断バリ100は、膜20には直接対面せず、カソード用のセパレータ4に対面し、アノード用のセパレータ5に対面する。このため、上記したように加圧成形(ホットプレス)して膜電極接合体30を組み付けるとき、切断バリ100が膜20を損傷させることが抑制される。この場合、クロスリークの防止に貢献できる。
ここで、図11に示すように、カソード用のガス拡散層11に形成されているカソード触媒層22の厚みをt1cとし、膜触媒層積層体26に形成されているカソード用の第2触媒層14の厚みをt2cとするとき、試験例1,2,試験例1A,2Aにおいては、t1c>t2cに設定されている。同様にアノード用のガス拡散層11に形成されているアノード触媒層23の厚みをt1aとし、膜触媒層積層体26に形成されているアノード用の第2触媒層18の厚みをt2aとするとき、試験例1,2,試験例1A,2Aにおいては、t1a>t2aに設定されている。
このようにt1c>t2c,t1a>t2aに設定されていれば、ガス拡散層10,11を構成するカーボン繊維が膜20に突き刺さることが効果的に抑制され、クロスリークが更に抑制される。なお、図11では、作図単純化のため、t1c≒t2c,t1a≒t2aとして描かれている。
図12は、上記した切断形態2を実施した場合における組付形態を示す。図12に示すように、膜電極接合体30を形成するにあたり、膜触媒層積層体26のカソード側にカソード用の触媒層保有拡散層45を配置する。膜触媒層積層体26のアノード側にアノード用の触媒層保有拡散層44を配置する。触媒層22,23が膜触媒層積層体26側となり膜触媒層積層体26に対面するように、触媒層保有拡散層44,45を配置した。この場合、図12に示すように、触媒層22は第2触媒層14に対面する。触媒層23は第2触媒層18に対面する。カソード用の触媒層保有拡散層45の触媒層22に切断バリ100が形成されていたり、アノード用の触媒層保有拡散層44の触媒層23に切断バリ100が形成されていたりするおそれがある。このような場合には、図12に示すように、切断バリ100は膜20に対面するおそれがある。この場合、加圧成形(ホットプレス時)して膜電極接合体30を組み付けるとき、切断バリ100が膜20を損傷させることが予想され、あまり適切ではないおそれがある。但し、切断バリ100が小さな場合には特に支障はない。
(実施形態3)
本実施形態は燃料電池を形成する例である。本実施形態は次のように実施した。上記した実施形態2を終了した後、更に実施形態3を実施し、燃料電池セルを形成した。図13は燃料電池セルを模式的に示す。図13に示すように、膜電極接合体30は、厚み方向において、アノード用ガス拡散層10、アノード用触媒層23X、固体高分子型のイオン伝導性をもつ膜20、カソード用触媒層22X、カソード用のガス拡散層11を積層して形成されている。ここで、アノード用触媒層23Xは、触媒層23と第2触媒層18とが積層されて接合一体化されたものである。カソード用触媒層22Xは、触媒層22と第2触媒層14とが積層されて接合一体化されたものである。
本実施形態は燃料電池を形成する例である。本実施形態は次のように実施した。上記した実施形態2を終了した後、更に実施形態3を実施し、燃料電池セルを形成した。図13は燃料電池セルを模式的に示す。図13に示すように、膜電極接合体30は、厚み方向において、アノード用ガス拡散層10、アノード用触媒層23X、固体高分子型のイオン伝導性をもつ膜20、カソード用触媒層22X、カソード用のガス拡散層11を積層して形成されている。ここで、アノード用触媒層23Xは、触媒層23と第2触媒層18とが積層されて接合一体化されたものである。カソード用触媒層22Xは、触媒層22と第2触媒層14とが積層されて接合一体化されたものである。
図13に示すように、この膜電極接合体30をカソード用のセパレータ4,アノード用のセパレータ5で厚み方向に挟んで燃料電池(単セル)が作製される。カソード用のセパレータ4には、酸化剤ガス供給口4a、酸化剤ガス通流溝4b、酸化剤ガス排出口4cが設けられている。アノード用のセパレータ5には、燃料ガス供給口5a、燃料ガス通流溝5b、燃料ガス排出口5cが設けられている。
(発電試験)
上記した燃料電池(単セル)を用い、発電試験を実施した。発電時には、酸化剤ガス供給口4aより酸化剤ガス通流溝4bを介してカソード用のガス拡散層11に空気(2.5atm)を供給し、且つ、燃料ガス供給口5aより燃料ガス通流溝5bを介してアノード用ガス拡散層10に水素ガス(2.5atm)を供給した。この場合、バブリング法により空気および水素ガスと共に加湿して行った。なお2.5atmは絶対圧を意味する。
上記した燃料電池(単セル)を用い、発電試験を実施した。発電時には、酸化剤ガス供給口4aより酸化剤ガス通流溝4bを介してカソード用のガス拡散層11に空気(2.5atm)を供給し、且つ、燃料ガス供給口5aより燃料ガス通流溝5bを介してアノード用ガス拡散層10に水素ガス(2.5atm)を供給した。この場合、バブリング法により空気および水素ガスと共に加湿して行った。なお2.5atmは絶対圧を意味する。
セパレータ4およびセパレータ5の電気端子から発電した電気を取り出し、外部の可変抵抗6で抵抗を変えて電流密度0.5アンペア/cm2においてセル出力電圧とを測定した。測定結果を図14に示す。図14の横軸は運転時間(相対表示)を示し、縦軸は出力電圧(ボルト)を示す。
(クロスリーク評価)
クロスリーク評価においては、発電運転を停止させた後、カソード用のガス拡散層11及びアノード用のガス拡散層10に窒素ガスを流して封入した。次に、アノード用のガス拡散層10に窒素ガスを供給して圧力を20KPa(ゲージ圧)とした。更にカソード用のガス拡散層11は大気開放とした。この状態で、1分後、カソード用のガス拡散層11及びアノード用のガス拡散層10との間における差圧を測定した。この場合、燃料電池の運転時間が300時間、500時間,1000時間のとき、差圧を測定してクロスリーク評価を実施した。
クロスリーク評価においては、発電運転を停止させた後、カソード用のガス拡散層11及びアノード用のガス拡散層10に窒素ガスを流して封入した。次に、アノード用のガス拡散層10に窒素ガスを供給して圧力を20KPa(ゲージ圧)とした。更にカソード用のガス拡散層11は大気開放とした。この状態で、1分後、カソード用のガス拡散層11及びアノード用のガス拡散層10との間における差圧を測定した。この場合、燃料電池の運転時間が300時間、500時間,1000時間のとき、差圧を測定してクロスリーク評価を実施した。
(初期リーク電流評価)
初期リーク電流評価においては、図15に示すように、金メッキ処理した銅製の電極200で膜電極接合体30を厚み方向に挟んだ。この状態で荷重を面圧で0.6MPaかけた。この状態で、直流電圧0.2ボルトを印加した。印加後、経時変化の無くなった1分後の電流値を測定した。
初期リーク電流評価においては、図15に示すように、金メッキ処理した銅製の電極200で膜電極接合体30を厚み方向に挟んだ。この状態で荷重を面圧で0.6MPaかけた。この状態で、直流電圧0.2ボルトを印加した。印加後、経時変化の無くなった1分後の電流値を測定した。
表1は、上記した切断形態1(図4および図6に示すように打ち抜き刃9が触媒層22,23に直接当たるように切断した場合)を経た単セルについての評価を示す。この場合には、切断形態1を経ているため、図11に示すように、切断バリ100が膜20側ではなく、膜20から遠ざかる側に発生している頻度が高い。
これに対して表2は、上記した切断形態2(図5および図7に示すように打ち抜き刃9が触媒層22,23に直接当たるのではなく、ガス拡散層10,11に直接当たるように切断した場合)を経た単セルについての評価を示す。この場合には、切断形態2を経ているため、図12に示すように、切断バリ100が膜20側に露出している頻度が高い。
表1および表2から理解できるように、切断形態1,2においても、初期リーク電流は比較的良好であった。但し、切断バリ100が膜20側に露出している頻度が高い表2に示す形態においては、初期リーク電流は比較的多めとなる。切断バリ100が膜20側に露出している頻度が低い表1に示す形態においては、初期リーク電流がかなり小さい。リーク電流が小さい原因としては、切断バリ100が膜20に当たる頻度が少ないためと推察される。
図14に示すように、触媒層22,23の厚みが10マイクロメートルに設定された比較例1(●印),比較例1A(○印)によれば、運転時間が長くなると、電圧低下がかなり認められる。殊に、切断バリ100が触媒層22,23側に発生している頻度が高い比較例1A(○印)によれば、電圧降下が大きい。触媒層22,23の厚みが薄いため、クロスリークが発生し易いためと推察される。
これに対して、触媒層22,23の厚みが30マイクロメートルに設定された試験例1(▲印),試験例1A(△印)によれば、運転時間が長くなっても、電圧低下はあまり認められない。特に、触媒層22,23の厚みが30マイクロメートルに設定され、且つ、切断バリ100が膜20側に発生する頻度が低い試験例1(▲印)によれば、運転時間が1000時間となっても、電圧低下は実質的に認められない。
また、触媒層22,23の厚みが50マイクロメートルに設定された試験例2(■印),試験例2A(□印)によれば、運転時間が相対表示で600を越えても、電圧低下はあまり認められない。特に、触媒層の厚みが50マイクロメートルに設定され、且つ、切断バリ100が膜20側に発生する頻度が低い試験例2(■印)によれば、運転時間が1000時間となっても、電圧低下は実質的に認められない。
これは表1に示すように、触媒層22,23の厚みが厚くなると、カソードとアノードとの間におけるクロスリークが抑えられるため、カソードとアノードとの間の差圧が小さく維持されるためと推察される。更に、触媒層22,23が厚いほど、ガス拡散層10,11を構成するカーボン繊維による膜20への突き刺しが少なくなるためと推察される。
触媒層の厚みが薄く、且つ、切断バリ100が膜20側に発生している頻度が高い比較例1A(○印)によれば、図14に示すように電圧降下がかなり大きい。これは表1に示すように、切断バリ100が触媒層22,23側に発生している頻度が高い切断形態2の方が、切断形態1の場合よりも、リーク電流が大きくなり易いためと推察される。リーク電流が大きい原因としては、前述したように、切断バリ100が膜20に当たる頻度が高いためと推察される。
(実施形態4)
図16は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1〜3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。打ち抜き刃9は、弾性収縮可能な多孔質体92(例えばスポンジ材)をもち、支持板93の当接面94の上方に配置されている。図16に示すように、矢印D方向に向かうにつれて(下方から上方に向かうにつれて)、支持板93、上記したカソード用の積層体35、打ち抜き刃9を配置する。この状態で、打ち抜き刃9が支持板93に近づくように、打ち抜き刃9を矢印D方向(打ち抜き方向)に向けて、積層体35および支持板93に対して相対移動(下降)させる。これにより打ち抜き刃9(トムソン刃)でカソード用の積層体35を所定のサイズに打ち抜き、カソード用の触媒層保有拡散層45とした(図16参照)。このとき、カソード用の積層体35は支持板93に支持されていると共に、多孔質体92の表面92aがカソード用の積層体35に当たるため、カソード用の積層体35の過剰変形が抑制される。アノード用の積層体34についても同様に打ち抜いた。
図16は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1〜3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。打ち抜き刃9は、弾性収縮可能な多孔質体92(例えばスポンジ材)をもち、支持板93の当接面94の上方に配置されている。図16に示すように、矢印D方向に向かうにつれて(下方から上方に向かうにつれて)、支持板93、上記したカソード用の積層体35、打ち抜き刃9を配置する。この状態で、打ち抜き刃9が支持板93に近づくように、打ち抜き刃9を矢印D方向(打ち抜き方向)に向けて、積層体35および支持板93に対して相対移動(下降)させる。これにより打ち抜き刃9(トムソン刃)でカソード用の積層体35を所定のサイズに打ち抜き、カソード用の触媒層保有拡散層45とした(図16参照)。このとき、カソード用の積層体35は支持板93に支持されていると共に、多孔質体92の表面92aがカソード用の積層体35に当たるため、カソード用の積層体35の過剰変形が抑制される。アノード用の積層体34についても同様に打ち抜いた。
(実施形態5)
図17は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1〜3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。カッター式の金属製の切断刃9Cは、支持板93の当接面94の上方に配置されている。矢印D方向に向かうにつれて(下方から上方に向かうにつれて)、支持板93、上記したカソード用の積層体35、切断刃9Cを配置した。その状態で、切断刃9Cに支持板93に相対的に近づけつつ、切断刃9Cをカソード用の積層体35および支持板93に対して相対移動させた。この結果、積層体35を所定のサイズに切り抜き、カソード用の触媒層保有拡散層45とした。アノード用の積層体34についても同様に切り抜いた。
図17は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1〜3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。カッター式の金属製の切断刃9Cは、支持板93の当接面94の上方に配置されている。矢印D方向に向かうにつれて(下方から上方に向かうにつれて)、支持板93、上記したカソード用の積層体35、切断刃9Cを配置した。その状態で、切断刃9Cに支持板93に相対的に近づけつつ、切断刃9Cをカソード用の積層体35および支持板93に対して相対移動させた。この結果、積層体35を所定のサイズに切り抜き、カソード用の触媒層保有拡散層45とした。アノード用の積層体34についても同様に切り抜いた。
(実施形態6)
図18は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1〜3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図18に示すように、組み付け前では、膜20の表面20a,20cには第2触媒層が積層されていない。このような膜20のカソード側にカソード用の触媒層保有拡散層45を配置する。更に膜20のアノード側にアノード用の触媒層保有拡散層44を配置する。
図18は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1〜3と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図18に示すように、組み付け前では、膜20の表面20a,20cには第2触媒層が積層されていない。このような膜20のカソード側にカソード用の触媒層保有拡散層45を配置する。更に膜20のアノード側にアノード用の触媒層保有拡散層44を配置する。
ここで、カソード用の触媒層保有拡散層45の触媒層22の厚みは、第2触媒層を有しないぶん、厚めであり、30〜60マイクロメートル(ホットプレス前)に設定されている。アノード用の触媒層保有拡散層44の触媒層23の厚みは厚めであり、30〜60マイクロメートル(ホットプレス前)に設定されている。そして、所定のホットプレス条件(例えば、温度140℃、圧力8MPa、時間3分間)で、ホットプレス型を用いて加熱加圧(ホットプレス)した。これにより膜電極接合体(以下、MEAともいう)30Dが形成される。
この場合、図18に示すように、カソード用の触媒層保有拡散層45のガス拡散層11に切断バリ100が形成されていたり、同様に、アノード用の触媒層保有拡散層44のガス拡散層10に切断バリ100が形成されていたりする場合がある。このような場合であっても、図18に示すように、切断バリ100は、膜20の表面20a,20cに対面せず、カソード用のセパレータ4、アノード用のセパレータ5に対面する。このため、切断バリ100が膜20の表面20a,20cを損傷させることが抑制され、クロスリークの低減に有利である。
(その他)
上記した実施形態では、触媒ペーストをドクタブレード法によりガス拡散層10,11の膜対向面10i,11iに塗布し、触媒層22,23を形成しているが、塗布方法としてはドクタブレード法以外の方法でも良い。触媒組成物、撥水剤、塗布量等は上記した数値に限定されるものではないことは勿論である。本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。ある実施形態に設けられている特有の構造および機能は、他の実施形態においても適用可能である。上記した記載から次の技術的思想を把握できる。
上記した実施形態では、触媒ペーストをドクタブレード法によりガス拡散層10,11の膜対向面10i,11iに塗布し、触媒層22,23を形成しているが、塗布方法としてはドクタブレード法以外の方法でも良い。触媒組成物、撥水剤、塗布量等は上記した数値に限定されるものではないことは勿論である。本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。ある実施形態に設けられている特有の構造および機能は、他の実施形態においても適用可能である。上記した記載から次の技術的思想を把握できる。
・付記項1
(i)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、前記膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が前記膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(b)前記触媒組成物とを用意する工程と、(ii)前記ガス拡散層の前記膜対向面に触媒組成物を塗布し、触媒層を前記ガス拡散層の前記膜対向面に積層させて積層体を形成する積層工程と、(iii)前記積層体の前記触媒層に切断手段を対面させた状態において、前記切断手段を前記積層体の厚み方向に沿って前記積層体に対して相対移動させて前記積層体を切断し、燃料電池用触媒層保有拡散層を形成する切断工程とを順に実施することを特徴とする燃料電池用触媒層保有拡散層の製造方法。
(i)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、前記膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が前記膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(b)前記触媒組成物とを用意する工程と、(ii)前記ガス拡散層の前記膜対向面に触媒組成物を塗布し、触媒層を前記ガス拡散層の前記膜対向面に積層させて積層体を形成する積層工程と、(iii)前記積層体の前記触媒層に切断手段を対面させた状態において、前記切断手段を前記積層体の厚み方向に沿って前記積層体に対して相対移動させて前記積層体を切断し、燃料電池用触媒層保有拡散層を形成する切断工程とを順に実施することを特徴とする燃料電池用触媒層保有拡散層の製造方法。
・付記項2
(i)(a)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(b)触媒組成物とを用意する工程と、(ii)前記ガス拡散層の前記膜対向面に前記触媒組成物を塗布し、触媒層を前記ガス拡散層の前記膜対向面に積層させて積層体を形成する第1積層工程と、 (iii)前記積層体の前記触媒層に切断手段を対面させた状態において、前記切断手段を前記積層体の厚み方向に沿って前記積層体に対して相対移動させて前記積層体を切断し、燃料電池用触媒層保有拡散層を形成する切断工程と、(iv)2つの前記燃料電池用触媒層保有拡散層で前記膜を挟むことにより前記膜電極接合体を形成する第2積層工程とを順に実施することを特徴とする燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
(i)(a)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(b)触媒組成物とを用意する工程と、(ii)前記ガス拡散層の前記膜対向面に前記触媒組成物を塗布し、触媒層を前記ガス拡散層の前記膜対向面に積層させて積層体を形成する第1積層工程と、 (iii)前記積層体の前記触媒層に切断手段を対面させた状態において、前記切断手段を前記積層体の厚み方向に沿って前記積層体に対して相対移動させて前記積層体を切断し、燃料電池用触媒層保有拡散層を形成する切断工程と、(iv)2つの前記燃料電池用触媒層保有拡散層で前記膜を挟むことにより前記膜電極接合体を形成する第2積層工程とを順に実施することを特徴とする燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
・付記項3
(i)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が前記膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(ii)前記ガス拡散層の前記膜対向面に積層された触媒層とを具備しており、切断工程を経て形成されており、前記触媒層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度は、前記ガス拡散層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度よりも低く設定されていることを特徴とする燃料電池用触媒層保有拡散層。発生頻度は切断バリまたは切断バリ跡のサイズ、発生箇所に相当する。サイズが小さければ、発生頻度は少ない。発生箇所が少なければ、発生頻度は少ない。
(i)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が前記膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(ii)前記ガス拡散層の前記膜対向面に積層された触媒層とを具備しており、切断工程を経て形成されており、前記触媒層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度は、前記ガス拡散層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度よりも低く設定されていることを特徴とする燃料電池用触媒層保有拡散層。発生頻度は切断バリまたは切断バリ跡のサイズ、発生箇所に相当する。サイズが小さければ、発生頻度は少ない。発生箇所が少なければ、発生頻度は少ない。
本発明は例えば電子機器、電気機器、車両用、携帯用、発電用等の燃料電池システムに利用できる。
10はアノード用のガス拡散層、10iは膜対向面、10pは膜背向面、11はカソード用のガス拡散層、11iは膜対向面、11pは膜背向面、22はカソード用の触媒層、23はアノード用の触媒層、25は接合物、26は膜触媒層積層体、34はアノード用の積層体、35はカソード用の積層体、44はアノード用の触媒層保有拡散層、45はカソード用の触媒層保有拡散層、100は切断バリ、30は膜電極接合体、4はセパレータ、5はセパレータ、9は打ち抜き刃(切断手段)、92は多孔質体、93は板を示す。
Claims (10)
- (i)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が前記膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、
(ii)前記ガス拡散層の前記膜対向面に積層された厚みが30マイクロメートル以上の触媒層とを具備することを特徴とする燃料電池用触媒層保有拡散層。 - 請求項1において、切断工程を経て形成されており、
前記触媒層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度は、前記ガス拡散層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度よりも低く設定されていることを特徴とする燃料電池用触媒層保有拡散層。 - アノード用触媒層保有拡散層と、カソード用触媒層保有拡散層と、前記アノード用触媒層保有拡散層と前記カソード用触媒層保有拡散層とで挟まれたイオン伝導性をもつ膜とを具備する膜電極接合体において、
前記アノード用触媒層保有拡散層および前記カソード用触媒層保有拡散層の少なくとも一方は、
(i)イオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、前記膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が前記膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、
(ii)前記ガス拡散層の前記膜対向面に積層された厚みが30マイクロメートル以上の触媒層とを具備することを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。 - 請求項3において、当該一方において、前記触媒層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度は、前記ガス拡散層における切断バリまたは切断バリ跡の発生頻度よりも低く設定されていることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。
- (i)(a)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、前記膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が前記膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(b)触媒組成物とを用意する工程と、
(ii)前記ガス拡散層の前記膜対向面に触媒組成物を塗布し、厚みが30マイクロメートル以上の触媒層を前記ガス拡散層の前記膜対向面に積層させる積層工程とを順に実施することを特徴とする燃料電池用触媒層保有拡散層の製造方法。 - (i)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、前記膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が前記膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(b)前記触媒組成物とを用意する工程と、
(ii)前記ガス拡散層の前記膜対向面に触媒組成物を塗布し、厚みが30マイクロメートル以上の触媒層を前記ガス拡散層の前記膜対向面に積層させて積層体を形成する積層工程と、
(iii)前記積層体の前記触媒層に切断手段を対面させた状態において、前記切断手段を前記積層体の厚み方向に沿って前記積層体に対して相対移動させて前記積層体を切断し、燃料電池用触媒層保有拡散層を形成する切断工程とを順に実施することを特徴とする燃料電池用触媒層保有拡散層の製造方法。 - (i)(a)膜電極接合体を構成するイオン伝導性をもつ膜に対向する膜対向面と、膜対向面と逆側に位置する膜背向面とをもち、撥水剤が膜対向面から塗布されたガス透過性をもつガス拡散層と、(b)触媒組成物とを用意する工程と、
(ii)前記ガス拡散層の前記膜対向面に前記触媒組成物を塗布し、厚みが30マイクロメートル以上の触媒層を前記ガス拡散層の前記膜対向面に積層させて積層体を形成する第1積層工程と、
(iii)前記積層体の前記触媒層に切断手段を対面させた状態において、前記切断手段を前記積層体の厚み方向に沿って前記積層体に対して相対移動させて前記積層体を切断し、燃料電池用触媒層保有拡散層を形成する切断工程と、
(iv)2つの前記燃料電池用触媒層保有拡散層で前記膜を挟むことにより前記膜電極接合体を形成する第2積層工程とを順に実施することを特徴とする燃料電池用膜電極接合体の製造方法。 - 請求項7において、前記撥水剤は、撥水物質と粒子状の導電物質と導電繊維とを含み、且つ、前記触媒組成物は、触媒と粒子状の導電物質と電解質とを含むことを特徴とする燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
- 請求項7または8において、前記膜のうち前記ガス拡散層に対向する面に前記触媒組成物を塗布して第2触媒層を積層させた膜触媒層積層体を用意し、
前記第2積層工程では、2つの前記燃料電池用触媒層保有拡散層で前記膜触媒層積層体を挟むことにより、前記ガス拡散層に積層されている触媒層と前記第2触媒層とを接合することを特徴とする燃料電池用膜電極接合体の製造方法。 - 請求項9において、前記ガス拡散層に積層されている前記触媒層の厚みをt1とし、前記膜触媒層積層体に積層されている第2触媒層の厚みをt2とするとき、t1>t2に設定されていることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
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-
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- 2007-05-30 JP JP2007143608A patent/JP2008300137A/ja active Pending
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