JP5667418B2 - 遮熱性ポリエステル繊維 - Google Patents
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このため、ポリエステル繊維を利用したカーテンでは、真夏の室内の温度が上昇する、あるいはポリエステル繊維を利用したスポーツウェアの場合では、着用時の温度が上昇し不快感を生ずるなどの問題を有していた。
上述の通り、従来の方法では依然として熱線を効果的に反射し、十分な遮熱効果を有する繊維は得られておらず遮熱性ポリエステル繊維の開発が望まれている。
屈折率が1.6〜5で平均粒径が0.5〜1.5μmの無機化合物を少なくとも含有し、下記要件を満たしていることを特徴とする遮熱性ポリエステル繊維、が提供される。
(1)酸化チタンの含有量が1〜15重量%であること
(2)単繊維の繊維軸に直行する断面の形状が扁平形状で、断面の長軸方向に丸断面単糸が直線状に連結した形状であり、くびれ部を2〜5個有すること。
(3)該扁平形状断面の長軸の幅Aとそれに直交する短軸の最大幅B1の比が2〜6であること。
(4)該扁平形状断面の短軸の最大幅B1と、くびれ部に相当する短軸の最小幅B2の比が1.1以上1.6以下であること
また、本発明のよりさらに好適な形態として、単糸繊度が0.1〜2dtex、強度が3cN/dt以上である上記遮熱性ポリエステル繊維が提供される。
本発明のポリエステル繊維を構成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどの繊維形成性ポリエステルが好ましい。すなわち、テレフタル酸を主たる二官能性カルボン酸成分とし、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどを主たるグリコール成分とするポリアルキレンテレフタレート系ポリエステルが好ましい。また特許第4202361号公報に記載されたポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとしポリオキシエチレングリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルや、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルでもよい。さらには、かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステル、ポリ乳酸やステレオコンプレックスポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルでもよい。
比(B1/B2)は1.1以上1.6以下であることが必要である。B1/B2が1.1未満となると上述の丸断面が連結した効果が低下し遮熱性が低下する。また、B1/B2が1.6を超えると、連結部の厚みが薄くなり熱線の透過が大きくなり遮熱性が低下する。
また、強度は3cN/dtexが好ましい。強度が3cN/dtex未満であると耐久性に劣るものとなる。
粒子化合物を含有するポリエステル樹脂または、その成形品をエッチング処理した後、日立社製SEM(S3500−N)で粒子のサイズを観察した。観察した1粒の粒子について、最大となる長さ(Dmax)および最小となる長さ(Dmin)を測定し、平均値(Dave)を測定した。その後、同様の操作を繰り返し、100粒の粒子の平均値(Dave)をそれぞれ求め、この100粒あたりの平均値を平均1次粒径(D)と定義した。
500倍の繊維の透過型電子顕微鏡による断面写真から、20本の単糸につきA、B1、B2の値を測定し、その平均値から、扁平率(=A/B1)、B1/B2の値を算出した。
JIS L1070記載の方法に準拠して測定を行った。
紡糸、延伸工程において、1日当りの断糸、単糸巻き付き回数が、0〜1回を◎、2〜4回を○、5〜8回を△、9回以上を×とした。
ポリエステル繊維を用いて目付120g/m2の筒編みを作成し、8cm×8cmの大きさに切り抜いた厚紙をその上に載せ、上方からのレフランプを照射した。該布帛の裏面から1cm下部の空間温度を比接触型の温度計を用いて測定し、照射開始から10分〜15分の平均値を求めた。
(二酸化チタンの20重量%エチレングリコールスラリーの調製)
エチレングリコール79.5重量%に対して、20.5重量%のルチル型二酸化チタン(屈折率2.72)を添加して、ガラスビーズを加え、サンドグラインダーで1時間攪拌処理を実施し、得られたスラリーをフィルターに通し、ガラスビーズを除去した。さらにスラリーを10μmのポールフィルターに通じ、粗大な粒子を除去した。
得られた二酸化チタンスラリーを秤量し、120℃の乾燥機で48時間乾燥させ、エチレングリコールを除去し、除去後の残渣物を秤量した。その結果、二酸化チタンの濃度(=[残渣物の質量]/[二酸化チタンスラリー質量])は20重量%であった。
テレフタル酸ジメチル(DMT)194.2重量部とエチレングリコール124.2重量部(DMT対比200mol%)との混合物に、酢酸マグネシウム・4水和物0.086重量部(DMT対比20mmol%)をSUS製容器に仕込んだ。常圧下で140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、リン酸トリメチル0.042重量部(DMT対比30mmol%)になるよう添加し、5分後、二酸化チタンの20重量%エチレングリコールスラリーを、全樹脂組成物に対して、酸化チタンが5重量%となる様添加して、エステル交換反応を終了させた。その後、反応生成物に三酸化二アンチモン0.087重量部(DMT対比30mmol%)、撹拌装置、窒素導入口、減圧口および蒸留装置を備えた反応容器に移した。反応容器内温を285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空で重縮合反応を行い、固有粘度0.64dL/g(35℃、オルトクロロフェノール中)であるポリエステル組成物を得た。さらに常法に従いチップ化した。
上記ポリエステル組成物チップを窒素気流下160℃で6時間乾燥後、285℃でエクストルーダーで溶融し、図1に示す断面形状となる吐出孔を36ホール有する口金から290℃の温度条件で吐出し、紡糸速度2500m/分で引き取った後、一旦巻き取ることなく、予熱温度90℃、熱セット温度120℃、延伸倍率1.62の条件で延伸し、4000m/分の底独活で巻き取り、44dtex/36fils.のポリエステル扁平断面繊維を得た。得られた繊維を2本合糸して筒編みを作成し、遮熱性を評価した。得られた繊維の物性を表1に示す。遮熱性については、酸化チタンを含有させずに作成した比較例9との温度差を示している。
実施例1において、単糸繊度、酸化チタンの量、粒径、繊維の断面形状を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。得られた繊維の物性、遮熱性を表1に示す。
表1に示す通り、本発明の範囲内である実施例1、2は、製糸性、物性が良好で遮熱性にも優れたものであり、実施例1の繊維を用いて無撚で110本/2.54cmの織密度で平織物を製織してシャツを作成し着用評価したところ、清涼感に優れるものであった。
B1:扁平形状断面の短軸の最大幅
B2:くびれ部に相当する短軸の最小幅
Claims (2)
- 屈折率が1.6〜5で平均粒径が0.5〜1.5μmの無機化合物粒子を少なくとも含有し、下記要件を満たしていることを特徴とする遮熱性ポリエステル繊維。
(1)無機化合物粒子の含有量が1〜15重量%であること
(2)単繊維の繊維軸に直交する断面の形状が扁平形状で、断面の長軸方向に丸断面単糸が直線状に連結した形状であり、くびれ部を2〜5個有すること。
(3)該扁平形状断面の長軸の幅Aとそれに直交する短軸の最大幅B1の比が2〜6であること。
(4)該扁平形状断面の短軸の最大幅B1と、くびれ部に相当する短軸の最小幅B2の比が1.1以上1.6以下であること - 単糸繊度が0.1〜2dtex、強度が3cN/dt以上である請求項1記載の遮熱性ポリエステル繊維。
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