JP5297331B2 - 芯鞘型複合繊維 - Google Patents

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本発明は、熱可塑性樹脂からなる芯鞘型複合繊維に関する。
従来より清涼感を有する布帛が多く提案されている。例えば、繊維の形状や織り方に工夫をして断熱効果による清涼感を有する方法や繊維表面に銀メッキを層した布帛で覆うことにより赤外線反射する方法などがある。
特許文献1には、全体として太陽光遮蔽物質を3重量%以上含み、鞘部に太陽光遮蔽物質含有量が0.8重量%以下である単フィラメントからなる特定の嵩高性ポリエステルマルチフィラメント捲縮糸を用いることによって、糸条の内部に空気が多く含まれ、断熱効果を発揮して、清涼感に優れたものが得られることが記載されている。
特許文献2には、繊維表面に銀メッキが被覆された繊維からなる布帛素材を使用した赤外線反射性を有する布帛製品を、仮説テント方式の建造物、ドーム型建造物の屋根材、レジャー用テントに使用し、太陽熱の赤外線を反射することにより、建物内部の温度調節を行えることが記載されている。
特開平8−158186号公報 特開平8−92842号公報
しかしながら、特許文献1では、糸を嵩高くするために、高配向未延伸糸を熱処理機に供給し、オーバーフィード処理した後、延伸し、仮撚加工をする工程が必要となり、コスト高となる。
特許文献2では、布帛に銀メッキしたものを使用せねばならず、銀メッキ工程の必要性より、コスト高になるとともに、布帛に銀メッキを施していることにより、遮光されてしまうという欠点もある。
上記課題を解決するために、本発明は、合成繊維の中心部に近い側に特定の粒子径をもつ酸化チタンを特定量用いた合成繊維とすることによって、清涼感を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は芯部に平均粒子径0.8〜1.8μmの酸化チタンを3重量%以上含有し、鞘部に平均粒子径0.8μm以上の酸化チタンを実質的に含有せずに平均粒子径0.4μm以下の酸化チタンを0.5〜10重量%含有する芯鞘型複合繊維をその要旨とする。なかでも繊維横断面において、芯部と鞘部の接合比率が5:1〜2:3であることが好ましい。
本発明によれば、嵩高加工や銀メッキを施さずとも、安価に清涼感を有する製品を得ることができる。
本発明は、芯部と鞘部とからなる芯鞘型複合繊維である。
本発明の芯鞘型複合繊維は、ステープルとして用いても、フィラメントとしても用いてもよいが、本発明の効果をよりよく得るためには、フィラメントとして用いることが好ましい。
上記芯部および鞘部は、各種の熱可塑性樹脂を用いることができる。たとえば、ポリエステル、ナイロン6等のポリアミドが挙げられる。なかでも、以下に述べるように太陽光の赤外線を反射させるという使用用途の点からポリエステルが好ましい。特に、価格及び汎用性の点から、ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体が好ましい。
上記芯部は、平均粒子径0.8〜1.8μmの酸化チタンを、3重量%以上含有する。
この平均粒子径は、0.8〜1.5μmのものがより好ましく、0.9〜1.2μmがさらに好ましい。また、このような酸化チタンの含有量は、3重量%以上が好ましく、より好ましくは、6重量%以上である。上限は、紡糸操業性および繊維の品質を考慮すると、20重量%程度が好ましい。
なお、本発明の平均粒子径は、重量平均を示し、たとえば、LUZEX AP(ニレコ(株)製)にて重量基準水平方向等分径を測定して、求めた値である。
通常、合成繊維において、つや消し剤として用いる酸化チタンは、平均粒子径が0.3μm程度であるが、本発明では、0.8μm〜1.8μmと酸化チタンの平均粒子径を大きくすることによって、熱エネルギーに変換されやすい赤外線の波長(0.8〜3μm)を反射するため、遮熱効果を発揮できる。特に好ましくは、0.8〜1.5μmである。
すなわち、酸化チタンの平均粒子径が大きすぎると、熱エネルギーに変換され易い赤外線の波長である3μm以下の波長ではなく、より長い波長の光を反射することとなり、遮熱効果が十分に得られない。酸化チタンの平均粒子径が小さすぎると、熱エネルギーに変換され易い3μm以下の赤外線を反射せず、より波長の短い可視光線を反射することとなり、遮熱効果が十分でなく、上記の範囲とすることが好ましい。
また、酸化チタンの平均粒子径について、さらに説明する。上述したように、光の波長の中で、熱エネルギーに変換されやすい波長は、0.8〜3μmである。なかでも、波長3μmが最も熱エネルギーに変換されやすいが、この波長の光を反射するには、1.5μm程度の一次粒子径の酸化チタンを含有させるのがよい。ただ、実際には、0.8〜3μmの波長(2.2μmの幅)をもっているもので、酸化チタンの粒子径の分布も幅広くすることが好ましい。この酸化チタンの粒子径は、上記平均粒子径の範囲内を、平均粒子径を中心に幅広く分布したものであることがより好ましい。
上記芯部の酸化チタンは、一次粒子径が0.5〜2.0μmのものであることが好ましい。
上記酸化チタンの結晶構造は、ルチル型が好ましい。
次に本発明の芯鞘型複合繊維の鞘部について説明する。
上記鞘部は、平均粒子径0.8μm以上の酸化チタンを実質的に含有しないものである。
上記鞘部は、通常繊維に使用する粒子径の酸化チタンを含有することが好ましい。
また芯部は平均粒子径が0.8〜1.8μmの酸化チタンが多く含まれており、3μm以下の赤外線領域の波長の光を反射するが、可視光線を反射し難いため、白度が低下する。所望の白度を得るためには、鞘部に、通常の平均粒子径0.3μm程度(0.2〜0.45μm)の酸化チタンを、通常より多めに含有するものであることが好ましく、具体的には、1.0〜11.0重量%程度が好ましい。より好ましくは1.0〜2.0重量%である。
本発明の芯鞘型複合繊維の繊維横断面において、芯部と鞘部の接合比率は、面積比で、5:1〜2:3が好ましく、より好ましくは5:1〜2:1である。すなわち、芯部の比率が大きすぎると平均粒子径の大きい酸化チタンを多量に含むことになり、糸質の低下につながったり、紡糸時の巻き取りも困難となるおそれがある。また鞘部の比率が大きすぎると、平均粒子径の大きい酸化チタンを含有している部分が少なくなり、熱エネルギーとなりやすい3μm以下の赤外線の波長を反射しない部分が多くなり、遮熱効果が少なくなるため、上記の範囲とすることが好ましい。
また繊維横断面において、芯部は、外部に露出していないことが好ましい。
上記複合繊維全体に対する0.8〜1.8μm酸化チタンの量は、2〜20重量%が好ましく、4〜20重量%がより好ましい。2重量%未満であると、3μm以下の波長の赤外線の反射に寄与する平均粒子径0.8〜1.8μmの酸化チタンの量が少なく、遮熱効果を発揮しないおそれがある。また、20重量%を超えると、フィラメントの製造工程や後工程での通過性が極端に悪くなるばかりか、強度低下にもつながるおそれがある。例えば、延伸工程にてトラベラーの磨耗が生じ、糸切れとなるおそれがある。
本発明の芯鞘型複合繊維の繊度は、特に規定されないが、総繊度は44〜110dtex程度が好ましい。フィラメント数も特に限定されないが12〜48本程度が好ましい。単糸繊度は1〜5dtexが好ましい。なお、ロールカーテンに用いる場合は、総繊度が50〜110dtex、単糸繊度が1〜5dtexが好ましい。
本発明の芯鞘型複合繊維の破断強度は2.5cN/dtex以上が好ましく3.0cN/dtex以上がより好ましい。
本発明の芯鞘型複合繊維を、製編織等した後、各種用途に用いることができる。例えば衣料用途の場合は、カバーファクターが、1000〜2800、ロールカーテンに用いる場合は、無地でカバーファクターが1800〜2400、シースルーで1000〜1500であると、本発明の清涼感の効果が得られやすい。
次に、本発明の芯鞘型複合繊維を製造する方法について例示する。
芯部を形成する繊維形成性ポリマーに平均粒子径0.8〜1.8μm酸化チタンを含有せしめる。含有せしめる方法は特に限定するものではないが、例えば、熱可塑性樹脂に、酸化チタンを二軸混練機で混練して練り込む方法が挙げられる。また、重合時に添加して含有せしめても良い。
鞘を形成するポリマーに0.3μm程度の酸化チタンを含有せしめる。この方法は特に限定しないが、重合時に添加する方法が有用である。
上記の2種の酸化チタンを含有せしめたポリマーを各々、ポリマーの融点以上望ましくは融点より20℃以上の温度のエクストルーダーで溶融する。溶融したポリマーを芯鞘形成する口金を通し、口金表面の孔より、芯鞘断面のポリマーとして押し出し、マルチフィラメントにする。マルチフィラメントを冷風にて冷却して、オイリングし、巻き取る。巻き取り方法は通常の紡糸機にて巻き取ればよく、巻き取り速度は特に限定されないが、700m〜2000mの巻き取り速度で巻き取ることが好ましい。巻き取った糸を、例えば75℃の熱をかけて3倍に延伸し、140℃の熱をかけてセットして芯鞘型複合繊維を得る。好適な延伸温度としては、ポリエチレンテレフタレートの場合、70〜80℃、延伸倍率は、2.8〜3.5倍、熱セット温度は120〜150℃程度が好ましい。
また、2種の酸化チタンを含有せしめたポリマーを各々、ポリマーの融点以上望ましくは融点より20℃以上の温度のエクストルーダーで溶融し、芯鞘形成する口金を通し、口金表面の孔より、芯鞘断面のポリマーとして押し出したマルチフィラメントを冷風にて冷却して、オイリングした後、巻き取らずに再度熱を掛けて延伸し、熱セットをする方法をとってもよい。
以下の方法で測定、評価した。
<涼感性>
経糸に、通常のセミダルのポリエステル糸56dtex/24f、緯糸に、得られたポリエステル糸を2本引き揃えた2本引き揃え糸を平織にて製織し、試料(本発明品)とした(経密度:110本/2.54cm、緯密度:77本/2.54cm)。緯糸に通常のセミダルのポリエステル糸56dtex/24fを2本引き揃えた糸を用いる以外は同様に製織し、対照品を得た。次に、断熱ボックス6面体の1面をガラス張りとしガラス内に試料を保持して、ガラス面より水平方向で45°上部で水平方向に60cm離れた位置にハロゲンランプ(500W×2灯設置)を設置し、ボックス内温度を本発明品と対照品とで比較して、60分後のボックス内の上昇温度差(対照品の上昇温度−本発明品の上昇温度)を求めた。上昇温度差が大きいものの方が涼感性に優れている。
<平均粒子径>
LUZEX AP(ニレコ(株)製)にて重量基準水平方向等分径を測定した平均値である。
<製糸性>
工程通過性良好であれば○、工程通過性が若干悪いものを△、製糸不可であれば×とした。
(実施例1)
芯は平均粒子径1.0μmの酸化チタン(ルチル型、一次粒子径は0.5〜2.0μmの範囲で略正規分布に分布したもの)を12重量%含有したポリエステル樹脂、鞘は平均粒子径0.3μmの酸化チタンを6重量%含有させたポリエステル樹脂を使用し、各樹脂を290℃にて溶融して48フィラメントの芯鞘となる口金より芯鞘比率が2:1となる吐出孔にて吐出した。吐出した糸を冷風にて冷やし、オイリングして、1500m/minの紡糸速度で巻き取った。その後75℃にて延伸をし、135℃でセットし56dtex/24fの延伸糸を得た。製糸の工程通過性は良好であった。
上述した涼感性の評価を行ったところ、ボックス内の温度は、対照品よりも2℃も低く、涼感性に優れたものであった。
(実施例2)
鞘部の酸化チタン量を1.3重量%とする以外は、実施例2と同様に延伸糸を得た。実施例1のものと同じように涼感性に優れたものであった。また実施例1のものの方が白度に優れていた。
(実施例3〜5、比較例1)
芯部の酸化チタンの量を変更する以外は、実施例2と同様に延伸糸を得た。
芯部の酸化チタンが本発明の範囲のものは、涼感性に優れていた。芯部の酸化チタン量が9、12重量%ものは、特に涼感性に優れていた。芯部の酸化チタンが2重量%の比較例1は、実施例品と比べて、涼感性に劣ったものであった。
(比較例2、3)
芯部の酸化チタンの平均粒子径を変更する以外は実施例1と同様に延伸糸を得て製織した。平均粒子径が0.3μm、0.4μmのものは、実施例1と比べて、涼感性に劣ったものであった。
実施例1〜5、比較例1〜3の芯部及び鞘部の平均粒子径、重量%、平均粒子径0.8〜1.8μmの酸化チタンが繊維に占める割合、涼感性、製糸性を表1に示す。
Figure 0005297331
(実施例6〜9)
芯鞘複合比率を表2のように変更する以外は、実施例1と同様に延伸糸を得た。涼感性と製糸性を併せて表2に示す。
Figure 0005297331
芯鞘複合比率が2:1〜5:1の実施例1、6及び7は、涼感性および製糸性とも特に優れたものであった。芯鞘複合比率が8:1の実施例8は涼感性は極めて優れているものの若干製糸性に劣るものであった。芯鞘複合比率が2:3のものは涼感性および製糸性とも良好ではあるが、涼感性は、実施例1、6〜8のものの方が優れていた。
以上のように、本発明の実施例品は、比較例品と比べて、製糸の工程通過性が良好であるとともに、ボックス内の温度上昇抑えることができ、涼感性に優れており、清涼感を得られるものであった。
本発明の芯鞘型複合繊維は、ロールカーテン等のインテリア内装材として使用して、従来の合成繊維使用品のロールカーテンより室内温度上昇を抑えることができ、室内を冷やすエアコン等の省エネ効果にもつながる。また、衣服にして屋外にてしようすると、従来品の衣服より温度上昇が押さえられ、涼感性に優れ、清涼感をもたらすことができる。さらに、日傘、帽子、手袋、テント、農業用ネットや屋根や壁への建材等として、遮熱性や涼感性を求められる用途に好適に使用できる。

Claims (2)

  1. 芯部に平均粒子径0.8〜1.8μmの酸化チタンを3重量%以上含有し、鞘部に平均粒
    子径0.8μm以上の酸化チタンを実質的に含有せずに平均粒子径0.4μm以下の酸化チタンを0.5〜10重量%含有する芯鞘型複合繊維。
  2. 繊維横断面において、芯部と鞘部の接合比率が5:1〜2:3であることを特徴とする請
    求項記載の芯鞘型複合繊維。
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