JPH11181629A - 繊維構造体、繊維生地およびその繊維製品 - Google Patents

繊維構造体、繊維生地およびその繊維製品

Info

Publication number
JPH11181629A
JPH11181629A JP10117512A JP11751298A JPH11181629A JP H11181629 A JPH11181629 A JP H11181629A JP 10117512 A JP10117512 A JP 10117512A JP 11751298 A JP11751298 A JP 11751298A JP H11181629 A JPH11181629 A JP H11181629A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substance
fibrous structure
fiber
laminated
laminated structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10117512A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Owaki
新次 大脇
Toshimasa Kuroda
俊正 黒田
Susumu Shimizu
進 清水
Akio Sakihara
明男 先原
Kinya Kumazawa
金也 熊沢
Hiroshi Tabata
洋 田畑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Nissan Motor Co Ltd
Teijin Ltd
Original Assignee
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Nissan Motor Co Ltd
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tanaka Kikinzoku Kogyo KK, Nissan Motor Co Ltd, Teijin Ltd filed Critical Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Priority to JP10117512A priority Critical patent/JPH11181629A/ja
Publication of JPH11181629A publication Critical patent/JPH11181629A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外線をより効率的に遮蔽、遮断する繊維構
造体を提供することである。 【解決手段】 一軸方向に長軸を有する繊維構造体にお
いて、前記長軸に垂直な断面が、光学屈折率na、厚さ
daを有する第1の物質と、光学屈折率nb、厚さdb
を有する第2の物質とを厚さ方向に交互に積層した断面
構造を有し、2(nada+nbdb)で定義されるλ
1を0.78μm以上もしくは1.6μm以上に設定で
きるよう第1の物質と第2の物質の材料と厚みを選択す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の反射、干渉効
果等を用いて赤外領域の光を遮蔽もしくは遮断すること
で涼感性をもたらす繊維構造体とそれを用いた繊維生地
および繊維製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に知られているように、地表に達す
る太陽光のスペクトルは紫外域から赤外域までの広範な
領域にわたる。この太陽光の光エネルギーを波長域別に
比較すると、紫外域(波長0.29〜0.4μm)の光
のエネルギーが全体の6%、可視域(波長0.4〜0.
78μm)の光のエネルギーが全体の約52%であり、
残りの約42%のエネルギーが赤外域(波長0.78μ
m以上)の光によるものである。
【0003】このように太陽光に占める赤外域の光、即
ち赤外線のエネルギーは無視できない量である。これら
の赤外線は物体に吸収されやすく、吸収されると物質分
子の熱振動を励起し、温度を上昇させる効果が高いた
め、「熱線」とも呼ばれる。
【0004】従来より、赤外線の照射による熱的影響を
避けるため、赤外線を遮蔽、もしくは遮断する製品の開
発が様々な分野で望まれている。例えば、日常衣料の分
野においては、夏場の暑さを避ける目的で、太陽光によ
る赤外線を遮蔽し、皮膚温度の上昇を抑制する、涼感性
を有する衣服の開発が望まれている。また、ビルや一般
家屋においては、窓から入射する太陽光による室内温度
の上昇を抑制するため、太陽光中の赤外線を遮蔽する窓
やカーテン等の開発が行われている。
【0005】赤外線は、太陽光に起因するものばかりで
はなく、熱源となる様々な物体からも発せられる。例え
ば、溶鉱炉や各種ボイラー等の高熱源を使用する特殊な
作業環境下では、これらの数百度から数千度に加熱され
た高熱源から赤外線が放射される。このような特殊な作
業環境下においては、作業者に対しより快適な作業環境
を提供するため、熱源から放射される赤外線を遮蔽する
機能を有する作業衣料等の開発が望まれる。
【0006】上述のような赤外線を遮蔽、もしくは遮断
する機能を有する衣服やカーテン等の繊維製品の開発の
ためには、その原材となる繊維やその繊維を製織した生
地そのものが赤外線を遮蔽する機能を有することが望ま
れる。従来において、赤外線を遮蔽する効果を有する繊
維としては、以下の2つの例が知られている。
【0007】一方の例は、高い反射特性を有するチタン
やクロムの酸化物の薄膜、あるいは金やニッケル等の金
属薄膜を繊維や織物の片面に蒸着やスパッタリング法等
を用いてコーティングもしくはラミネートした繊維であ
る。
【0008】もう一つの例は、特開平3-213536、特開平
3-240412、または特開平6-101169等に開示されているよ
うに、チタン酸アルカリ金属やチタン酸アルカリ土類金
属などのセラミックス微粒子を繊維内に含有させること
により、太陽光線中の可視光線や近赤外線を効率良く反
射しようとする繊維である。
【0009】例えば特開平3-213536では、0.4μm〜
2μmの電磁波の分光反射率が50%以上であるセラミ
ックス、酸化チタンおよび酸化シリコンの混合物を合成
樹脂繊維中に含有させることにより、赤外線遮蔽機能を
付与した繊維を開示している。
【0010】いずれも繊維構造の基体自体には赤外反射
機能はなく、赤外反射機能を有する物質を基体に被覆も
しくは混入させることでその機能を繊維に付与したもの
である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸化物
や金属からなる赤外線反射膜をコーティングもしくはラ
ミネートした従来の繊維は、風合いやドレープ性に欠け
るばかりでなく、洗濯等の外部からの機械的摩耗によ
り、赤外反射層が剥離しやすく、耐久性上で問題があ
る。
【0012】また、高反射率を有するセラミックス等を
含有した従来の繊維では、前者のような剥離の発生を抑
制できるものの、セラミックスと高分子樹脂との相溶性
が悪く、使用する高分子樹脂とセラミックスとの組み合
わせが限定される。また、繊維状に加工する際、紡糸口
金付近でトラブルばかりでなく、ガイドやローラ等での
磨耗が激しくなり、製造上の問題がある。
【0013】本発明の目的は、上述の従来の繊維がもつ
問題点に鑑み、赤外域(0.78μm以上)の光をより
効率的に遮断し、かつ耐久性が良好で、製造がより容易
な繊維構造体およびそれを用いた繊維生地とその繊維製
品を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
した繊維構造体の特徴は、一軸方向に長軸を有する繊維
構造体において、前記長軸に垂直な断面方向に、光学屈
折率na、厚さdaを有する第1の物質と、光学屈折率
nb、厚さdbを有する第2の物質とが厚さ方向に交互
に積層された積層構造体を有し、 λ1 = 2(nada+nbdb)・・・(1) (1)式で定義されるλ1が、 1.0≦na<1.8・・・(a) 1.3≦nb≦1.8・・・(b) 1.01≦nb/na≦1.8・・・(c) の条件下において、 λ1 ≧ 0.78μm・・・(2) (2)式を充たすことである。
【0015】上記請求項1の特徴によれば、(1)式で
定義されるλ1が、各積層の厚み方向からの入射光に対
する一次ピーク反射波長となる。よって、λ1を可視域
と赤外域の境界波長である0.78μm以上の波長とす
ることにより、赤外領域に高い反射率を有し、この反射
効果により赤外線を効率的に遮蔽することが可能な繊維
構造体を提供できる。
【0016】本発明の請求項2に記載した繊維構造体の
特徴は、請求項1に示す特徴を有する繊維構造体におい
て、前記λ1が、 0.78μm ≦ λ1 ≦ 2μm・・・(3) (3)式を充たすことである。
【0017】上記請求項2の特徴によれば、上述した一
次ピーク反射波長を0.78μm〜2μmに設定でき
る。即ち、太陽光スペクトルが主に有する0.78μm
〜2μmの赤外線を反射することにより遮蔽することが
可能な繊維構造体を提供できる。
【0018】本発明の請求項3に記載した繊維構造体の
特徴は、一軸方向に長軸を有する繊維構造体において、
前記長軸に垂直な断面方向に、光学屈折率na、厚さd
aを有する第1の物質と、光学屈折率nb、厚さdbを
有する第2の物質とが厚さ方向に交互に積層された積層
構造体を有し、 λ1 = 2(nada+nbdb)・・・(1) (1)式で定義されるλ1が、 1.0≦na<1.8・・・(a) 1.3≦nb≦1.8・・・(b) 1.01≦nb/na≦1.8・・・(c) の条件下において、 λ1 ≧ 1.6μm・・・(4) (4)式を充たすことである。
【0019】上記請求項3の特徴によれば、(1)式で
定義されるλ1が、各積層の厚み方向からの入射光に対
する一次ピーク反射波長となる。通常、溶鉱炉等の加熱
源より発せられる赤外線は約1.6μm以上の波長を有
する。よって、λ1を1.6μm以上とすることによ
り、これらの加熱源より発せられる赤外線を効率的に遮
蔽することが可能な繊維構造体を提供できる。
【0020】本発明の請求項4に記載した繊維構造体の
特徴は、請求項3に示す特徴を有する繊維構造体におい
て、前記λ1が、 1.6μm ≦ λ1 ≦ 20μm・・・(5) (5)式を充たすことである。
【0021】上記請求項4の特徴によれば、上述した一
次ピーク反射波長を1.6μm〜20μmに設定でき
る。即ち、作業場等におかれた各種加熱源より発せられ
る赤外線のほとんどは、この波長域に存在するため、こ
れらの加熱源より発せられる赤外線を効率的に遮蔽する
ことが可能な繊維構造体を提供できる。
【0022】本発明の請求項5に記載した繊維構造体の
特徴は、請求項1から4のいずれかの繊維構造体におい
て、さらに、前記断面方向に2種の物質が交互に積層さ
れた他の積層構造体を有し、前記他の積層構造体が、光
の反射、干渉により発色する積層構造、もしくは紫外線
を反射する積層構造の少なくともいずれかの構造を有す
る積層構造体とすることである。
【0023】上記請求項5の特徴によれば、赤外線を遮
蔽する機能に加え、色彩を発する機能や紫外線を遮蔽す
る機能を備える繊維構造体を提供できる。
【0024】本発明の請求項6に記載した繊維構造体の
特徴は、上記請求項5の繊維構造体が、繊維構造体の長
軸に垂直な断面において、前記積層構造体および前記他
の積層構造体のそれぞれを構成する各層が、該繊維構造
体の外周面に沿って平行に設けられていることである。
【0025】上記請求項6の特徴によれば、あらゆる角
度から繊維構造体に入射する光をほぼ同様に反射、干渉
するため、どの方向から入射する光に対しても赤外線遮
蔽機能、さらには発色機能もしくは紫外線遮蔽機能を有
する繊維構造体を提供できる。
【0026】本発明の請求項7に記載した繊維構造体の
特徴は、請求項1から請求項6のいずれか1に記載の繊
維構造体において、前記第1の物質と前記第2の物質が
いずれも熱可塑性樹脂とすることである。
【0027】上記請求項7の特徴によれば、通常の紡糸
工程を用いて製造できる繊維構造体を提供できる。
【0028】なお、請求項8に記載するように、第1の
物質と前記第2の物質は、ポリエステル系、ポリアミド
系、ポリオレフィン系、ビニル系重合体、ポリエーテル
ケトン系、ポリサルファイド系、フッ素系、ポリカーボ
ネート系の単体もしくはこれらの2種類以上の共重合体
樹脂のいずれかであってもよい。
【0029】また、請求項9に記載するように、前記第
1の物質が、フッ素系樹脂であり、前記第2の物質が、
ポリ塩化ビニリデン、ポリふっ化ビニリデン、ポリエス
テル系樹脂、ポリフェニルサルファイドのいずれかであ
ってもよい。
【0030】あるいは、請求項10に記載するように、
前記第1の物質が、ポリメチルメタアクリレートであ
り、前記第2の物質が、ポリエチレンテレフタレートで
あってもよい。
【0031】さらに、請求項11に記載するように、前
記第1の物質が、スルホイソフタル酸ナトリウムを共重
合したポリエチレンナフタレートであり、前記第2の物
質が、ナイロン−6であってもよい。
【0032】本発明の請求項12に記載した繊維構造体
の特徴は、前記第1の物質と前記第2の物質間の相溶性
を高めるため、少なくとも前記第1の物質または前記第
2の物質のいずれか一方に相溶化剤が共重合または混合
されていることである。
【0033】上記請求項12の特徴によれば、相溶化剤
の作用により、第1の物質からなる層と第2の物質から
なる層の界面における剥離の発生を抑制することができ
る。
【0034】請求項13に記載するように、前記相溶化
剤としてアルキルベンゼンスルホン酸金属塩またはポリ
エステルアミドを用いてもよい。
【0035】本発明の請求項14に記載した繊維構造体
の特徴は、第1の物質がポリエチレンテレフタレートを
主成分とする有機ポリマーであり、当該ポリエチレンテ
レフタレートを構成するジカルボン酸成分が、フタル
酸、またはイソフタル酸であり、該配位の一部がカチオ
ン剤により配位機能を付与されていることである。
【0036】上記請求項14の特徴によれば、相溶化剤
の作用により、第1の物質からなる層と第2の物質から
なる層の界面における剥離の発生を抑制することができ
る。
【0037】請求項15に記載するように、前記カチオ
ン剤が、スルホン酸金属塩であってもよい。
【0038】本発明の請求項16に記載した繊維構造体
の特徴は、第1の物質であるポリエチレンテレフタレー
トを主成分とする有機ポリマーが、当該ポリエチレンテ
レフタレートを構成するジカルボン酸成分が、その一部
にスルホイソフタル酸金属塩を有するものである。
【0039】上記請求項16の特徴によれば、スルホイ
ソフタル酸金属塩が第1の物質であるポリエステルテレ
フタレートに共重合することにより、第1の物質からな
る層と第2の物質からなる層の相溶性を高め、界面にお
ける剥離の発生を抑制することができる。
【0040】本発明の請求項17に記載した繊維構造体
の特徴は、上述した請求項1から請求項6の発明のいず
れかの特徴を有する繊維構造体において、前記第1の物
質を空気とし、前記第2の物質を熱可塑性樹脂とするこ
とである。
【0041】上記請求項17の特徴によれば、第1の物
質として用いる空気は、屈折率が1であり、一般に用い
られる樹脂より屈折率が低い。よって、第1の物質と第
2の物質との屈折率比を高くし、赤外域の反射率をより
高めることができる。また、空気層は熱伝導率が低いた
め、断熱層として熱を遮断する効果を繊維構造体に付与
できる。
【0042】本発明の請求項18に記載した繊維構造体
の特徴は、請求項1から請求項17のいずれか1に記載
の繊維構造体において、前記第1の物質および前記第2
の物質のいずれか一方もしくは両方が、0.78μm以
上の波長を有する赤外域の光を反射するセラミックス微
粒子を含有することである。
【0043】上記請求項18の特徴によれば、セラミッ
クス微粒子の赤外線反射効果により、さらに繊維構造体
の赤外線反射効果を高め、より効果的に赤外線を遮断す
ることができる。
【0044】本発明の請求項19に記載した繊維構造体
の特徴は、上記請求項7の特徴を有する繊維構造体にお
いて、前記セラミックス微粒子が、全体の0.1〜30
重量%混入されることである。
【0045】上記請求項19の特徴によれば、セラミッ
クス微粒子の添加により赤外線反射率を向上させるとと
もに、通常の紡糸工程を用いて再現よく繊維構造体を製
造できる。
【0046】本発明の請求項20に記載した繊維生地の
特徴は、請求項1から請求項19に記載のいずれか1に
記載した繊維構造体を一部もしくは全部に織り込んだこ
とである。
【0047】上記請求項20の特徴によれば、赤外領域
の光を効率的に遮蔽、もしくは遮断する効果、および発
色効果もしくは紫外線遮蔽効果を有する繊維生地を提供
できる。
【0048】本発明の請求項21に記載した繊維製品の
特徴は、請求項20に記載の繊維生地を用いて製造され
ることである。
【0049】上記請求項21の特徴によれば、太陽光や
熱源から発せられる赤外領域の光を効率的に遮蔽し、人
体や物体の温度上昇を抑制できるとともに、発色性を備
えた、もしくは人体に有害な紫外線を遮蔽可能な繊維製
品を提供できる。
【0050】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)第1の実施
の形態について、図1(a)〜図4を参照して説明す
る。
【0051】第1の実施の形態は、主に太陽光に含まれ
る赤外線等を反射、干渉により遮蔽、遮断する機能を有
する繊維(以下、繊維構造体と呼ぶ)に関する。
【0052】図1(a)は、第1の実施の形態における
繊維構造体の斜視図である。同図に示すように、繊維構
造体は、いわゆる糸であるから一軸方向(z軸方向)に
長い形状を有する。なお、ここでは、繊維のY軸方向の
長さAとX軸方向の長さBの比(B/A)が1以上の扁
平繊維を例にあげている。図1(b)は、z軸に垂直な
面で切断した断面構造を示す図である。
【0053】図1(a)、図1(b)に示すように、第
1の実施の形態における繊維構造体は、低屈折率材であ
る第1の物質101と高屈折率材である第2の物質10
2を交互に積層し、その積層の光干渉効果を利用して効
率的に赤外域の光を反射する機能を有するものである。
【0054】ここで用いることができる積層物質として
は、通常の紡糸工程を用いて作製できる物質であること
が好ましく、また光干渉効果を用いる為には、2種類の
物質の交互積層内に光が入射する必要があることから、
少なくとも反射しようとする波長領域の光に対しある程
度の透光性を有することが好ましい。尚、可視域にも一
定以上の透光性を有していれば、可視域の特定波長を反
射する機能を付加することもできるため好ましい。
【0055】このような条件を充たす物質の例として
は、透光性を有する熱可塑性高分子樹脂が挙げられる。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びそ
れらを第3成分によって変性したポリエステル、ポリア
クリロニトリル、ポリスチレン、ナイロン−6、ナイロ
ン−66等のポリアミド、ポリプロピレン、ポリビニル
アルコール、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレン
テレフタルアミド、ポリフェニレンサルファイド等の単
体もしくはこれらの2種類以上のブレンド(混合)、あ
るいは重合体樹脂等が挙げられる。
【0056】また、これらの樹脂からなる本発明の繊維
構造体中には公知の酸化防止剤、安定剤、分散助剤、難
燃剤、抗菌剤等の改質剤や機能性付与剤を含有すること
も可能である。
【0057】上記したような高分子樹脂から繊維構造体
を構成する第1の物質101と第2の物質102を選択
し、図1(a)、図1(b)に示すような積層構造を形
成する。即ち、繊維構造体の長軸方向(z軸方向)に対
し垂直な断面において、各物質層と平行な方向をx軸と
し、これに垂直な方向をy軸とすると、第1の物質10
1と第2の物質102をy軸方向に交互に積層する。光
の入射方向は積層方向(y軸方向)に一致するものとし
て以下、説明する。
【0058】積層構造を構成する第1の物質101の屈
折率をna、厚さをdaとし、第2の物質102の屈折
率をnb、厚さをdbとし、両物質の光学厚みの和(n
ada+nbdb)を用いて、以下の(1)式でλ1を
定義する。
【0059】 λ1 = 2(nada+nbdb)・・・(1) 一般に多層薄膜で用いられる光の干渉式によれば、上記
λ1は積層膜の反射スペクトルにおける一次ピーク波長
を示すことが知られている。
【0060】第1の実施の形態における繊維構造体は、
このλ1を可視域と赤外域の境界である0.78μm以
上に設定し、効果的に赤外線を反射しようとするもので
ある。
【0061】本願発明者らが特開平7-195603で開示した
ように、λ1を0.78μm以下の可視域に設定した場
合でも、第1の物質と第2の物質との屈折率比をより高
め、あるいは積層数を増すことで、近赤外領域において
ある程度の反射率を得ることも可能である。しかし、反
射の一次ピーク波長(λ1)を上記のように赤外域に設
定すれば、より少ない実用的な積層数で、近赤外のみな
らず広い波長域で赤外線を効果的に反射することが可能
となる。
【0062】λ1を0.78μm以上に設定するために
は、積層する第1の物質101と第2の物質102の屈
折率と厚みを適切に選択する必要がある。
【0063】上述した高分子樹脂の室温における平均屈
折率nは、一般に、1.3〜1.8、汎用的には1.4
5〜1.7の値をとる。よって、繊維構造体を構成する
第1の物質101と第2の物質102のそれぞれの屈折
率na、nbはおのずとこの範囲に限定される。
【0064】第1の物質101と第2の物質102を積
層する際の順番は、どちらが上層にきても、赤外反射効
果は得られるが、屈折率が高くそれ自身による単体層の
反射率が高い物質層が、赤外線を直接受光する表面層と
なるように設定することが好ましい。
【0065】第1の物質101と第2の物質102の積
層構造で形成する繊維構造体の断面形状は、図1
(a)、図1(b)に示すように、光の入射方向(y
軸)に偏平な矩形とすれば、赤外光の受光面積を広くと
れるのでより効率的に赤外線を反射することができる。
しかし、特にその断面形状は限定されない。また、高屈
折率材として組み合わせることができる高分子樹脂の材
料の幅を広げることもできる。
【0066】図2(a)〜図4(h)は、第1の実施の
形態における他の繊維構造の断面形状の例を示したもの
である。図2(a)は、断面形状をほぼ円としたもの、
図2(b)は、断面形状をx軸方向に長軸を有する楕円
としたもの、図2(c)は、断面形状が円であって、第
1の物質と第2の物質の各層を同心円状に積層したもの
を示す。
【0067】また、図3(d)〜図3(f)は、層間剥
離防止、機械的強度向上のため、第1の物質と第2の物
質とからなる積層部の周囲に保護層を設けた例を示す。
保護層は、第1の物質101あるいは第2の物質10
2、もしくは積層部とは異なる第3の物質103で形成
することが可能である。なお、保護層は、光学機能や機
械機能等の向上のため、二重、三重に複数の材料を積層
した多重保護層で形成してもよい。
【0068】上述した図1(b)〜図3(f)に示した
繊維構造体では、いずれも積層されている各物質層がx
軸方向あるいはz軸方向に連続であるが、必ずしも連続
体である必要はない。
【0069】図4(g)、図4(h)は、積層構造が部
分的に形成されている繊維構造体の切断面を示すもので
ある。図4(g)に示すように、第2の物質102の中
にx軸方向に不連続な第1の物質101を複数層形成し
てもよい。また、図4(e)に示すように、第1の物質
101の複数の積層を支持するべくその中央のy軸方向
に支柱を有する構造としてもよい。なお、このように、
中央に縦の支柱を有し、その左右に複数の横枝を配した
構造を我々は「ラメラリッジ構造」と呼んでいる。
【0070】なお、図4(g)、図4(h)において、
第1の物質101の各矩形部のx軸方向の最短幅が入射
光の波長に近づくと光散乱効果が高くなり、所望の光干
渉効果を得ることが困難となるので、この影響を避ける
ため、このx軸方向の最短幅をλ1より大とする必要が
ある。
【0071】上述した図1(a)〜図4(h)に示す図
においては、第1の物質、第2の物質として、ともに熱
可塑性の高分子樹脂を用いる場合について示している
が、第1の物質として、空気を選択することもできる。
既に述べたように、高分子樹脂の屈折率は、通常1.3
以上であるのに対し、空気の屈折率は約1と小さい。よ
って、低屈折率材として空気層を用いれば、図6のグラ
フからも推察されるように、積層する2層の屈折率比を
より大きくとることが容易となる。又、高屈折率材とし
て組み合わせることができる高分子樹脂の材料の幅を広
げることもできる。
【0072】図5(a)〜図5(c)は、第1の物質1
01aとして空気を選択した場合の繊維構造体の断面形
状の例を示したものである。空気層はそれ自体に他の層
を支持する力はないので、図5(a)や図5(b)に示
すように、高分子材料からなる第2の物質層102中
に、x軸方向に不連続な層状の空気層101aを形成す
るとよい。また、図5(c)に示すように、第2の物質
102のみでラメラリッジ構造を形成すれば、実質的に
第2の物質102の間隙を空気層が埋める構造を得るこ
とができる。
【0073】さらに、空気層は熱伝導率が低いため、第
1の物質として空気を用いれば、繊維構造体に断熱効果
が付加される。赤外線反射効果と相まって、繊維構造体
の熱遮断効果をより高めることができる。
【0074】このように、第1の実施の形態における繊
維構造体は、第1の物質と第2の物質からなる積層構造
体を有し、第1の物質としては、空気もしくは高分子樹
脂の中から屈折率の低い材料を選択され、第2の物質と
しては、高分子樹脂の中から第1の物質より屈折率の高
い材料が選択される。
【0075】第1の物質の屈折率をna、各層の厚みを
daし、第2の物質の屈折率をnb、各層の厚みをdb
とすると、第1の物質の屈折率naは、高分子樹脂の屈
折率が1.3〜1.8であり、空気層の屈折率が1であ
ることから、結果的に第1の物質がとりうる屈折率na
の範囲は、 1.0≦na<1.8・・・(a) となる。第2の物質の屈折率nbは、第1の物質より高
い屈折率材料を選ぶことより、結果的にその範囲は、 1.3≦nb≦1.8・・・(b) となる。
【0076】なお、上述した高分子樹脂の他に、第1の
物質に適する低屈折率(n≦1.4)の高分子樹脂とし
ては、例えば4ふっ化エチレン(PTFE)や4ふっ化
エチレン・6ふっ化ポリプロピレン(FEP)などのフ
ッ素系樹脂を選択できる。また、第2の物質に適する高
屈折率(n≧1.6)の高分子樹脂としてはポリ塩化ビ
ニリデン(PVDC)やポリふっ化ビニリデン(PVD
F)、上述したポリエステル系樹脂、ポリフェニルサル
ファイド(PPS)等を選択できる。
【0077】図6は、屈折率比(nb/na)をパラメ
ータにとり、横軸に第1の物質と第2の物質との交互積
層数Nを、縦軸に反射率Rを示している。なお、交互積
層数Nとは、第1の物質層と第2の物質層を一組(ピッ
チ)として記している。本図は反射スペクトルにおける
一次ピーク波長λ1を1μmとし、波長1μmでのNと
Rの値をシミュレーションより求めたものである。
【0078】一般に衣服等において、涼感性を得るため
には、赤外線の平均反射率が概ね30%以上あればよい
と言われている。図6中斜線を引いた領域が反射率30
%以上の領域に相当する。同図より明白なように、積層
枚数が多い程、反射率は高くなる。また、同じ積層枚数
であれば、第1の物質と第2の物質の屈折率比(nb/
na)が高い程、反射率Rは高い。
【0079】しかし、積層枚数の増加は、繊維の紡糸工
程の困難さをもたらすため、屈折率比を上げ、必要な積
層枚数をおさえることが好ましい。図6のグラフからも
推察されるように、屈折率比が1.01未満になると、
反射率30%以上を得る為に必要な積層枚数がかなりの
数にのぼり、紡糸を行うために用いる紡糸口金構造が極
めて複雑となり、均一な積層厚の確保が困難となる。よ
って、屈折率比(nb/na)を、少なくとも1.01
以上にすることが好ましい。
【0080】また、第1の物質と第2の物質の屈折率比
(nb/na)が1.0に限りなく漸近すると、周囲環
境のわずかな変化に対応し、屈折率の揺らぎや波長によ
る屈折率変化が生じるようになる。その結果、積層枚数
を増加しても安定した反射、干渉効果を得ることが困難
となる。この観点からも屈折率比(nb/na)を少な
くとも1.01以上にすることが好ましい。
【0081】なお、作製の容易性等を考慮し、経験的に
は屈折率比1.03〜1.05の範囲で選択すること好
ましいようである。
【0082】また、屈折率比の最高値は、上述のna、
nbのそれぞれの範囲を考慮すると1.8となる。よっ
て、第1の物質と第2の物質の屈折率比の範囲は、 1.01≦nb/na≦1.8・・・(c) となる。
【0083】以上に説明したように、第1の実施の形態
では、繊維の断面方向に第1の物質と第2の物質の積層
構造体を有し、第1の物質の屈折率をna、層厚をda
とし、第2の物質の屈折率をnb、層厚をdbとした場
合、、 1.0≦na<1.8・・・(a) 1.3≦nb≦1.8・・・(b) 1.01≦nb/na≦1.8・・・(c) の条件下で、 λ1 = 2(nada+nbdb)・・・(1) で定義される一次反射スペクトルλ1を λ1 ≧ 0.78μm・・・(2) とした繊維構造体である。
【0084】太陽光の赤外スペクトルは、0.78μm
〜約5μm程度までに連続的に存在するが、特に0.7
8μm〜2μm程度の近赤外領域に高いエネルギを有す
るため、太陽光中の赤外線の遮蔽を目的とする場合は、
λ1を0.78μm〜約5μm、好ましくは、0.78
μm〜2μmの範囲に設定するとよい。
【0085】なお、このようにして得られる赤外線反射
機能を有する繊維構造体を織って生地を作製する場合
は、繊維生地の表面に垂直に積層方向が形成されるよう
に糸の向きに留意した方がより効果的である。
【0086】また、前述したような公知の赤外線遮蔽機
能を有する繊維と本発明の繊維とを混合して使用し、織
編物や不織布等の繊維構造体に加工しても構わない。
【0087】また、これらの繊維生地を用いて作製した
ブラウス、シャツ、サマースーツ、スポーツ衣料、帽
子、日傘等の衣料品等は、太陽光からの赤外線を効果的
に遮蔽、遮断し、それをまとう人体に涼感性を与えるこ
とができる。また、カーテン、ブラインド用スラット、
自動車カバー等にも応用でき、室内や車内の温度の上昇
を抑制することができる。
【0088】さらに、本繊維構造体を上記のような連続
した長繊維として利用するばかりでなく、適当な長さに
切断することによって、例えばスパン系の織物に適用し
たり、さらに短いチップ状に切断することによって、建
材、化粧板、壁紙、障子紙に入れこんだりすることもで
きる。
【0089】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態について説明する。
【0090】第2の実施の形態は、主に作業環境場にお
ける赤外線を効率的に光の反射、干渉効果により、遮
蔽、もしくは遮断する繊維に関する。
【0091】第2の実施の形態における繊維構造も、既
に説明した第1の実施の形態と同様に、図1(b)〜図
4(h)に示すように繊維の断面に第1の物質と第2の
物質からなる積層構造を有する。第1の物質、第2の物
質として用いる材料は、第1の実施の形態の中で説明し
た熱可塑性の高分子樹脂材料を用いればよい。低屈折率
材料、即ち第1の物質として、樹脂の代わりに空気を用
いてもよい。
【0092】第1の実施の形態において説明したよう
に、太陽光に含まれる赤外線は、0.78μm〜2μm
までの主に近赤外領域の光である。これに対し、作業場
等に置かれた各種の溶鉱炉やヒータから発せられる赤外
線は、より長波長側の赤外領域までその波長がおよぶ。
一般には、ステファンボルツマンの法則やウィーンの法
則等で知られるように、加熱体の温度が、赤外線の強度
や波長を決定する。
【0093】例えば、溶鉱炉、焼却炉、または各種ボイ
ラー等の各種加熱体を取り扱う作業環境では、数百度か
ら千度近い熱源が多く作業現場に存在する。これらの熱
源から発せられる赤外線は、太陽光に含まれる赤外線の
波長領域よりやや長い波長が主となる。例えば、約30
0度の熱源からは、約5μmの赤外線が最も強く発せら
れ、約1000度の熱源からは、約2.3μmの赤外線
が最も強く発せられる。一般的には、これらの熱源は
1.6μm以上で立ち上がり20μmに至る範囲の赤外
線スペクトルを放射する。
【0094】そこで、第2の実施の形態における繊維構
造体においては、第1の実施の形態と同様な積層構造体
を有するが、反射スペクトルの一次ピーク波長λ1を
1.6μm以上に設定することにより、作業環境場にお
ける赤外線を効率的に反射させるように設定するもので
ある。
【0095】即ち、第2の実施の形態における繊維構造
体は、第1の物質と第2の物質からなる積層構造を含
み、第1の物質の屈折率をna、層厚をdaとし、第2
の物質の屈折率をnb、層厚をdbとした場合、 1.0≦na<1.8・・・(a) 1.3≦nb≦1.8・・・(b) 1.01≦nb/na≦1.8・・・(c) の条件下で、 λ1 = 2(nada+nbdb)・・・(1) で定義される反射スペクトルの一次ピーク波長λ1を λ1 ≧ 1.6μm・・・(4) とした繊維構造体である。
【0096】なお、このようにして得られる赤外線反射
機能を有する繊維構造体を織って生地を作製する場合
は、繊維生地の表面に垂直に積層方向が形成されるよう
に糸の向きに留意することが必要である。これらの繊維
生地を用いて、作製した作業服や防御用カバー等は、加
熱源から発せられる赤外線を効果的に反射し、赤外線遮
蔽、もしくは遮断効果を有し、物体や人体の温度上昇を
抑制する。よって、人体には、涼感性を与えることがで
きる。
【0097】なお、長波長の赤外線であるいわゆる遠赤
外線を反射する効果を有する繊維生地からできた衣服
は、人体から発せられる赤外線に対しては、それを反射
し衣服内に赤外線を閉じこめる効果もある。よって、外
気温が非常に低い場合は、その衣服がかえって保温の効
果をもたらす場合もある。
【0098】(第3の実施の形態)次に第3の実施の形
態について説明する。
【0099】第3の実施の形態は、上述した第1もしく
は第2の実施の形態における積層構造体と、光の反射、
干渉によって可視域の光を反射する積層構造体、もしく
は紫外線を反射する積層構造体の少なくともいずれかの
他の機能を有する積層構造体とを組み合わせた繊維構造
体に関する。
【0100】図7(a)〜図8(d)にその形態の例を
示す。図7(a)は、赤外線を反射する積層構造体1の
間に、可視光領域の光を反射、干渉する積層構造体もし
くは、紫外線を反射する積層構造体のいずれかよりなる
積層構造体2を設けたものである。さらに、これらの積
層構造の周囲には、積層構造体1と積層構造体2の共通
する構成物質である102を保護層として備えている。
【0101】図7(b)は、赤外線を反射する積層構造
体1と、可視光領域の光を反射、干渉する積層構造体も
しくは紫外線を反射する積層構造体の少なくともいずれ
かの積層構造体2を並列に配置し、積層構造体1および
2の構成物質とは異なる第3の物質103からなる保護
層を設けたものである。
【0102】図7(c)は、図7(a)の積層構造体の
外周に第3の物質103よりなる保護層を設けたもの、
図7(d)は可視光領域の光を反射、干渉する積層構造
体もしくは、紫外線を反射する積層構造体の少なくとも
いずれかの積層構造体2の間に赤外線を反射する積層構
造体1を設け、その外周に第3の物質103よりなる保
護層を設けたものである。
【0103】なお、可視域の光を反射、干渉する積層構
造体については、本願発明者等の出願に係る特開平6-17
349号や特開平7-34324号等に詳細に開示されており、こ
れらを参考にして具体的設計を行うことができる。例え
ば、積層構造体を構成する2種類の物質のうち、一方の
物質の屈折率をnc、層厚をdcとし、もう一方の物質
の屈折率をne、層厚をdeとした場合、 1.3≦nc・・・(a’) 1.1≦ne/nc≦1.4・・・(b’) の条件下で、 λ2 = 2(ncdc+nede)・・・(5) で定義される反射スペクトルの一次ピーク波長λ2を可
視域の波長(約0.4μm〜約0.78μm)とする繊
維構造体を用いることができる。この積層構造体が反
射、干渉する可視域の光は、人間の目には「色彩」とし
て感知される。即ち、可視域の光を反射、干渉する積層
構造体は、発色する積層構造体であり、これを含む繊維
構造体は「発色繊維」としての機能を備えることとな
る。
【0104】また、紫外線を反射する積層構造体につい
ては、やはり本願発明者等の出願に係る特開平7-195603
号等に詳細に開示されており、これを参考に具体的設計
を行うことができる。例えば、積層構造体を構成する2
種類の物質のうち、一方の物質の屈折率をnf、層厚を
dfとし、もう一方の物質の屈折率をng、層厚をdg
とした場合、 1.0≦nf≦1.8・・・(c’) 1.3≦ng≦1.8・・・(d’) 1.25≦ng/nf≦1.8・・・(e’) の条件下で、 λ3 = 2(nfdf+ngdg)・・・(6) で定義される反射スペクトルの一次ピーク波長λ3を紫
外域(約0.4μm以下)の波長とする繊維構造体を用
いることができる。紫外線を反射する積層構造体は、人
間の皮膚に有害な紫外線を遮蔽する機能を有するものと
なる。
【0105】また、赤外線を反射する積層構造体1と、
発色する積層構造もしくは紫外線を反射する積層構造の
少なくともいずれかの構造を有する積層構造体とを複合
した繊維構造体は、層間剥離防止や磨耗性向上のため、
図7(a)〜図7(d)に示すように積層構造体の周囲
に保護層を設けることが好ましい。なお、保護層は赤外
線を反射する積層構造体1、可視域の光を反射する積層
構造体もしくは紫外線を反射する積層構造体を構成する
物質でもよいし、あるいはそれ以外の第3の物質であっ
ても構わない。
【0106】また、赤外線を反射する積層構造体1と、
可視域の光を反射、干渉する積層構造または、紫外線を
反射する積層構造体の少なくともいずれかからなる積層
構造体2とを組み合わせた繊維構造体の断面形状は特に
限定されず、図7(a)〜図7(d)に示すように、偏
平であってもよいし、円形、正方形、三角形等であって
も構わない。
【0107】なお、図7(a)〜図7(d)には、積層
構造体2として、可視域の光を反射、干渉する積層構造
体か紫外線を反射する積層構造体のいずれか一方のみを
用いた場合を示しているが、勿論その両方の積層構造体
を有することもできる。その例を図8(a)〜図8
(d)に示す。各図に示す繊維構造体は、赤外線を反射
する積層構造体1と紫外線を反射する積層構造体2aお
よび可視域の光を反射する積層構造体2bとを有してい
る。
【0108】このように赤外線を反射する積層構造体1
と、可視域の光を反射、干渉する積層構造または紫外線
を反射する積層構造体の少なくともいずれかの積層構造
体2とを組み合わせた繊維構造体は、上述した涼感性を
与えるばかりでなく、干渉色特有の鮮やかで透明感のあ
る色味と独特の質感を発現したり、人体の皮膚に有害な
紫外線を反射させることが同時に可能となり、非染色の
高機能繊維となりうる。
【0109】(第4実施の形態)次に第4の実施の形態
について説明する。
【0110】第4の実施の形態は、第3の実施の形態に
も示した赤外線を反射する積層構造体1と、可視域の光
を反射、干渉する積層構造体もしくは紫外線を反射する
積層構造体の少なくともいずれかからなる積層構造体2
とを組み合わせ、さらにそれらの有する機能がどの方向
においても発揮できる繊維構造体に関する。
【0111】図9(a)〜図9(c)は、第4の実施の
形態における繊維構造体の例を示す断面図である。図9
(a)は、円形断面を有する繊維構造体の例であり、赤
外線を反射する積層構造体1と可視域の光を反射、干渉
する積層構造体もしくは紫外線を反射する積層構造体の
少なくともいずれかからなる積層構造体2を同心円状に
配置し、その外周を第3の物質103による保護層で覆
ったものである。
【0112】図9(b)は、矩形断面を有する繊維構造
体の例であり、矩形枠状の積層構造体1と積層構造体2
とを複合し、その外周を保護層で覆ったものである。
【0113】図9(c)は、十字状の断面形状を有する
繊維構造体の例であり、積層構造体1と積層構造体2と
を複合化し、その外周を第3の物質103による保護層
で覆ったものである。
【0114】図9(a)〜図9(c)に示すように、第
4の実施の形態における繊維構造体においては、積層構
造体1と積層構造体2を構成する各層がいずれも繊維構
造体の外周面に平行に設けられているため、繊維構造体
の断面においては、いずれの方向から入射する光もほぼ
同様の反射と干渉を示す。即ち、どの方向からの光に対
しても積層構造体1が有する赤外線反射機能と積層構造
体2が有する発色機能もしくは紫外線反射機能を示すこ
とが可能となる。
【0115】なお、繊維構造体の断面形状は、図9
(a)〜図9(c)に示すものに限られず、積層構造体
1と積層構造体2の各層が、繊維の外周面に沿って平行
に備えられていれば、どのような形状を有することも可
能である。
【0116】赤外線を反射する積層構造体1と、可視域
の光を反射、干渉する積層構造もしくは紫外線を反射す
る積層構造の少なくともいずれかを有する積層構造体2
を積層した繊維構造体は、層間剥離防止や耐磨耗性向上
のため、図9(b)〜図9(c)のように保護層(10
3)を設けることが好ましい。保護層を構成する物質
は、積層構造体1または積層構造体2を構成する物質、
あるいは、図に示すようにそれ以外の第3の物質103
でもよいが、光の反射機能、あるいは反射、干渉機能を
効果的に発揮させるためには光透過性の大なるものが好
ましい。
【0117】このように赤外線を反射する積層構造体1
と、可視域の光を反射、干渉する積層構造もしくは紫外
線を反射する積層構造の少なくともいずれかを有する積
層構造体2とが複合され、該構造体の各層が繊維構造体
の外周面に沿って平行に設けられることにより、どの方
向においても赤外線を反射し、かつ、発色したり、紫外
線を反射したりする機能を同時に持ち合わせた繊維構造
体を提供できる。
【0118】また、このようにして得られる繊維構造体
を撚糸、あるいは無撚糸の状態で経糸および緯糸として
織物とした場合でも、繊維構造体自身がどの方向におい
てもほぼ一様に機能を発揮するため、人体により涼感性
を与えると共に、鮮やかな色味をもたらしたり、有害な
紫外線を同時に軽減させることが可能である。
【0119】(第5の実施の形態)次に第5の実施の形
態について説明する。
【0120】第5の実施の形態は、上述した第1もしく
は第2の実施の形態における積層構造体に、赤外領域に
高反射特性を有するセラミックス微粒子を含有した繊維
構造体に関する。
【0121】赤外領域の光を反射するセラミックスとし
ては、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、
ハフニウム(Hf)等の周期表第4族の遷移金属、硅素
(Si)、ホウ素(B)、タンタル(Ta)等の炭化物
や酸化物等の中から一種類もしく複数種類選択できる。
【0122】これらのセラミックスを繊維構造体中に含
有する方法は、使用する高分子樹脂によって多少異なる
ものとなるが、基本的には、紡糸原液にセラミックス微
粒子を添加する方法やポリマー重合時に微粒子に添加し
ておく方法等の公知方法を利用できる。
【0123】例えば、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を
使用する場合は、セラミックス微粒子をポリマー重合工
程で加える方法、樹脂をマスターペレット化した後ベー
スポリマーと混練する方法、セラミックス微粒子を予め
ポリマー溶融あるいはポリマーと相溶性のある分散媒な
どと混合してスラリー状にした添加組成物を紡糸機への
供給ペレットに加える方法等を使用できる。
【0124】なお、含有させるセラミックス微粒子は、
繊維断面積や多層部の各層の厚さにより一概に言えない
が、概ね平均粒径1μm以下、特に0.5μm以下の微
粒子として高分子樹脂に添加することが望ましい。
【0125】また、セラミックス微粒子の含有量が30
重量%を越えると、紡糸工程を用いた繊維化が困難とな
り、繊維物性も劣ったものとなる。よって、繊維化が安
定的に行え、かつセラミックス微粒子の添加による赤外
線反射特性の向上を図るためには、セラミックス微粒子
の含有量を0.1〜30重量%、好ましくは1〜10重
量%とする。
【0126】赤外線反射効果を有するセラミックス微粒
子の添加により、赤外線遮断効果をより高めることがで
きる。又、セラミックス微粒子は、光の入射方向とはか
かわりなく赤外線を反射できるため、繊維構造体の積層
方向が光の入射方向に対し多少ずれた場合でも赤外線反
射効果をある程度維持できる。
【0127】また、従来のように繊維基体に混入したセ
ラミックス微粒子の反射効果のみで、一定以上の赤外遮
蔽効果を得ようとすれば、混入量をかなり増やす必要が
あり、繊維化が困難となる場合も多いが、本実施の形態
のように、積層構造の繊維構造体にセラミックス微粒子
を添加する場合は、繊維化を再現よく行えるセラミック
スの含有量を選ぶことができる。
【0128】セラミックス微粒子を含有させたこれらの
繊維構造体を用いて製織される繊維生地、およびその生
地から作製される繊維製品は、赤外線をより効果的に遮
蔽、遮断し、それをまとう人体に涼感性を与えることが
できる。
【0129】尚、上述したセラミックス微粒子の多く
は、赤外線を効率よく放射する材料でもある。よって、
上述の繊維でできた衣服は涼感性を与えるものであると
ともに、保温性をも併せもつ。
【0130】
【実施例】上述した第1実施の形態から第4の実施の形
態に係る各繊維構造体の具体的な製造方法の実施例につ
いて以下に述べる。
【0131】本実施の形態に係る繊維構造体は、公知で
ある複合繊維の製造方法によっても製造することができ
る。例えば、図2(b)、図2(c)に示した構造体は
紡糸パック内において、二成分ポリマーを任意のエレメ
ント数配置し、スタティックミキサを通過させた後、口
金導入孔の分流板で複合流として吐出することによって
得られる。ここでスタティックミキサとしては、例えば
特公昭60-1048号公報に開示する混合器を多数連結した
ものを用いる。多層接合型複合ポリマー流を作製し、さ
らに図2(b)の構造体の場合には扁平状スリット孔、
図2(c)の構造体の場合には円環状スリット孔から吐
出によって交互積層の繊維構造体を得ることができる。
【0132】なお、特定波長の光を安定して効率良く反
射・干渉させるためには、本願発明者等が提案した特願
平9-133038号や特願平9-133040号に記載の複合高分子繊
維紡糸用口金を紡糸パック内に組み入れて製造した方が
より好ましい。これらの口金により、例えば図3(d)
〜図3(f)のような積層部と保護層部とからなるより
実用的な繊維構造体を得ることができる。
【0133】(実施例1.1)本発明の第1の実施の形
態に対応する実施例1.1について説明する。
【0134】ここでは、第1の物質としてポリメチルメ
タアクリレート(PMMA)、第2の物質としてポリエ
チレンテレフタレート(PET)を用いた。第1の物質
PMMAの屈折率naは1.49であり、第2の物質P
ETの屈折率nbは1.6である。PMMA一層あたり
の膜厚daを0.168μmとし、PET一層あたりの
膜厚dbを0.156μmとすることによって、第1の
実施の形態における(1)式で定義されるλ1を約1μ
mに設定した。
【0135】特願平7-28521号に記載した紡糸口金から
紡糸温度285℃で複合溶融紡糸を行い、交互積層数N
を15ピッチとする、図1(b)に示すような偏平な形
状の断面を有する繊維構造体を作製した。繊維断面のx
軸方向の繊維幅Bをy軸方向の繊維厚みAで割った偏平
率(B/A)を4.5とした。
【0136】この繊維構造体であるフィラメント糸を経
糸、緯糸として用いて、経糸密度を120本/吋、緯糸
密度90本/吋の平織物を製織した。
【0137】図10は、この平織物の涼感性を測定した
装置の概略構成図である。図10に示すように、作製し
た平織物200を発砲ポリスチレンよりなる断熱材20
1ブロック上に置き、さらにその周囲を同材質の断熱材
201で囲んだ。平織物の表面に垂直上方から100W
のハロゲンランプ203の光を照射した。なお、ハロゲ
ンランプの出力側には、赤外フィルタ204を設置し、
赤外域の光のみを平織物に照射した。
【0138】平織物200の裏面に設置した高精度の熱
電対202により、平織物裏面温度の経時変化を測定し
た。測定に供した平織物の試料数は3つである。比較の
ため、実施例1.1と同じ断面形状と断面積を有するP
ETの均一層からなる繊維構造体を同様な条件で製織し
た平織物を測定装置に設置し、その裏面温度の経時変化
を測定した。又、参考のため、外気温度も測定した。
【0139】測定結果を図11に示した。グラフ横軸に
ハロゲンランプの照射時間を示し、グラフ縦軸に温度を
示した。上述の条件で作製した平織物を用いた実施例
1.1の場合の測定温度をグラフ中白抜きの丸で示して
いる。比較例である積層構造を有さないPETを用いた
場合の測定温度を白抜きの菱形で示している。また、各
測定時の外気温度を破線で示した。
【0140】グラフから明かなように、実施例1.1の
積層構造を有する繊維構造体を用いて製織した平織物の
裏面温度は、比較例として用いた平織物の裏面温度より
低温に保たれた。ハロゲンランプを30分照射した時点
での両者の温度差は約3℃であった。この実施例1.1
の結果より、第1の実施の形態における繊維構造体が赤
外線遮蔽効果を有することが確認できた。
【0141】(実施例1.2)本発明の第1の実施の形
態に対応する実施例1.2について説明する。
【0142】実施例1.2では、第1の物質として、ス
ルホイソフタル酸ナトリウムを1.5モル%共重合した
ポリエチレンナフタレート(共重合PEN)、第2の物
質として、ナイロン−6(Ny−6)を用いた。ここ
で、第1の物質として使用した共重合PENは、通常の
ポリエチレンナレフタレート等に比較しNy−6との相
溶性がよいことを特徴とする。
【0143】第1の物質の共重合PENの平均屈折率n
aは1.63であり、第2の物質のNy−6の平均屈折
率nbは1.53である。共重合PEN一層あたりの膜
厚daを0.153μmとし、Ny−6一層あたりの膜
厚dbを0.163μmとすることによって、第1の実
施の形態における(1)式で定義されるλ1を約1μm
に設定した。
【0144】特願平9-133039号に記載した紡糸口金から
紡糸温度274℃、巻取速度1,200m/minで複
合紡糸を行ない、偏平率(B/A)が4.0の末延伸糸
を得た。その後、温度140℃、延伸速度300m/m
inにて熱延伸を行ない、交互積層数Nを30ピッチと
する、図2(h)に示すような保護層で覆われた偏平な
断面形状を有する繊維構造体を作製した。保護層として
は、Ny−6を用い、その厚さは2.5μmとした。
【0145】第1の物質として、第2の物質であるNy
−6との相溶性がよい共重合PENを使用したことによ
り、剥離発生が少なく実用価値の高い繊維構造体を得る
ことができた。
【0146】この繊維構造体であるフィラメント糸を経
糸、緯糸として用いて、経糸密度を120本/吋、緯糸
密度90本/吋の平織物を製織し、その涼感性の測定を
実施例1.1と同様な方法で行なった。ハロゲンランプ
を30分照射した時点での温度差は実施例1.1とほぼ
同じで約3℃であった。
【0147】(実施例1.3)本発明の第1の実施の形
態に対応する実施例1.3について説明する。
【0148】実施例1.3では、第1の物質として、共
重合ポリエチレンテレフタレート(共重合PET)を、
第2の物質として、ナイロン−6(Ny−6)を用い
た。ここで、第1の物質として使用した共重合PET
は、通常のPET等に比較しNy−6との相溶性がよい
ことを特徴とする。
【0149】まず、共重合PETのペレットを以下のよ
うな手順で作製した。ジメチルテレフタレート1.0モ
ルとエチレングリコール2.5モルを反応槽中に投入
し、ここに、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩を
一定量添加した。さらにエステル交換触媒として酢酸カ
ルシウム0.0008モルと酢酸マンガン0.0002
モルをそれぞれ反応槽に投入し、攪拌しながら150℃
から230℃まで徐々に加熱してエステル交換反応を行
った。
【0150】所定量のメタノールを系外に抜き出した
後、重合触媒として三酸化アンチモン0.0012モル
を投入して、昇温と減圧を徐々に行い、発生するエチレ
ングリコールを抜きながら、反応槽の温度を285℃、
到達真空度を1Torr以下とした。この条件下で、粘
度の上昇を待ち、攪拌機にかかるトルクが所定の値に達
した時点で反応を終了し、水中に押し出して共重合PE
Tのペレットを作製した。
【0151】上記作製条件において、5−スルホイソフ
タル酸のナトリウム塩による共重合量の影響を確認する
ため、図13の表に示すように、その添加量(共重合
量)を0〜10モル%の範囲で変えた各条件で複数種の
共重合PETを作製した。
【0152】この時得られたPETの極限粘度は0.4
7〜0.64の範囲であり、第2の物質として用いたN
y−6の極限粘度は1.3であった。
【0153】次に、上述する方法で得た共重合PETと
Ny−6の各有機ポリマーペレットを重量比で6対1と
なるように、複合紡糸を行った。交互積層数30ピッ
チ、即ち総積層数61層の図3(f)に示す偏平断面繊
維となるように1000m/minの速度で製糸を行っ
た。このフィラメント糸を用いてローラ型延伸機で3.
0倍に延伸し、100デニール/11フィラメントの延
伸糸を得た。
【0154】得られた延伸糸の断面の電子顕微鏡写真を
撮り、断面状態を観察するとともに、その断面中央およ
び長軸方向において端より長軸長さの1/8の点におけ
る共重合PET層、Ny−6層の厚みを測定し、その平
均値を求めた。その評価結果は図13の表中に示した。
【0155】同表に示すように、5−スルホイソフタル
酸のナトリウム塩を全く添加しない条件では、第1の物
質と第2の物質の層界面における剥離の発生が観察さ
れ、繊維構造体の反射スペクトル測定は困難であった。
一方、添加量が6.0モル%以上となると糸切れが発生
し、繊維化が困難となった。この結果から5−スルホイ
ソフタル酸のナトリウム塩を0.2〜2.0モル%の範
囲で添加した場合において、層界面での剥離が少ない良
好な繊維構造体が得られることがわかる。
【0156】そこで、5−スルホイソフタル酸のナトリ
ウム塩を1.5モル%添加した条件で作製した繊維構造
体をフィラメント糸とする経糸、緯糸として用いて、経
糸密度を120本/吋、緯糸密度90本/吋、の平織物
を製織した。
【0157】この平織物の涼感性の測定を実施例1.1
と同様な条件で行なった結果、ハロゲンランプを30分
照射した時点での温度差は実施例1.1とほぼ同じ約3
℃であった。
【0158】なお、本実施例においては、上述の方法に
より第1の物質であるPETの構成部分であるジカルボ
ン酸成分の一部をスルホイソフタル酸ナトリウム塩で置
換させているが、ナトリウム塩以外のその他のスルホイ
ソフタル酸金属塩で置換しても同様な効果を得ることが
できる。
【0159】また、第1の物質であるPETの構成部分
であるジカルボン酸成分が、フタル酸、またはイソフタ
ル酸であり、該配位子の一部がカチオン剤により配位機
能を付与されていればよく、このカチオン剤が、スルホ
ン酸金属塩であれば同様の効果を期待できる。
【0160】(実施例1.4)本発明の第1の実施の形
態に対応する実施例1.4について説明する。
【0161】実施例1.4では、第1の物質として、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)を、第2の物質と
して、ナイロン−6(Ny−6)を用いた。また、ここ
ではPETとNy−6との相溶性を上げるため、PET
のペレットを作製する際、相溶化剤として、アルキルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウムをPET中に混合させた。
【0162】アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを
混合したPETのペレットとNy−6のペレットとを重
量比6対1で複合紡糸を行い、交互積層数30ピッチ、
即ち総積層数61層の図3(f)に示す偏平断面繊維を
作製した。製糸速度は1000m/minとした。この
フィラメント糸を用いてローラ型延伸機で3.0倍に延
伸し、100デニール/11フィラメントの延伸糸を得
た。
【0163】得られたフィラメントの断面を電子顕微鏡
写真で観察したところ、上記相溶化剤を混合したPET
層とNy−6層との界面には剥離の発生は見られず、良
好な交互積層構造が形成されていることが確認できた。
【0164】上記相溶化剤を混合したPET層の厚さ
は、0.153μm、Ny−6層の厚さは0.159μ
mとなり、反射ピーク波長λが1μmに対応するものを
得た。
【0165】このフィラメント糸を経糸、緯糸として用
いて、経糸密度を120本/吋、緯糸密度90本/吋の
平織物を製織し、その涼感性の測定を実施例1.1と同
様の方法で行なった。ハロゲンランプを30分照射した
時点での温度差は実施例1.1とほぼ同じ約3℃であっ
た。
【0166】なお、相溶化剤であるアルキルベンゼンス
ルホン酸ナトリウムを混合しないで作製したPETのペ
レットを用いて、同様な条件で複合紡糸を行った場合
は、PET層とNy−6層との界面の一部に剥離が認め
られた。
【0167】この結果より、相溶化剤であるアルキルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウムを混合することで、層界面
における剥離発生が防止できることが確認された。
【0168】なお、本実施例においては、相溶化剤を第
1の物質であるPETのペレットに混合しているが、第
2の物質に混合しても同様な効果を得ることが可能であ
る。また、相溶化剤として、上述したアルキルベンゼン
スルホン酸ナトリウムの他、ポリエステルアミド等を用
いることもできる。
【0169】(実施例2.1)本発明の第2の実施の形
態に対応する実施例2.1について説明する。
【0170】ここでは、第1の物質としてポリメチルメ
タアクリレート(PMMA)、第2の物質としてポリエ
チレンテレフタレート(PET)を用いた。第1の物質
PMMAの屈折率naは1.49であり、第2の物質P
ETの屈折率nbは1.6である。PMMA一層あたり
の膜厚daを0.268μmとし、PET一層あたりの
膜厚dbを0.25μmとすることによって、第1の実
施の形態における(1)式で定義されるλ1を1.6μ
mに設定した。
【0171】上述の実施例1.1の場合と同様に、特願
平7−28521号に記載した紡糸口金から紡糸温度2
85℃で複合溶融紡糸を行い、交互積層数Nを15ピッ
チとする、図1(b)に示すような偏平な形状の断面を
有する繊維構造体を作製した。繊維断面のx軸方向の繊
維幅Bをy軸方向の繊維厚みAで割った偏平率(B/
A)を4.5とした。
【0172】この繊維構造体であるフィラメント糸を経
糸、緯糸として用いて、経糸密度120本/吋、緯糸密
度90本/吋の平織物を製織した。
【0173】実施例1.1の場合と同様な条件で、図1
0に示した測定装置を用いて、ハロゲンランプの光を照
射したときの平織物裏面温度の経時変化を測定した。測
定に供した平織物の試料数は3つである。また、比較の
ため、実施例1.1の場合と同様、PETの均一層から
なる繊維構造体を用いて製織した平織物についても比較
例3として測定を行った。
【0174】測定結果を図9に示した。上述の条件で作
製した平織物を用いた実施例2.1の場合の測定温度を
グラフ中白抜きの丸で示している。比較例である積層構
造を有さないPETを用いた場合の測定温度を白抜きの
菱形で示している。また、各測定時の外気温度を破線で
示した。
【0175】グラフから明かなように、実施例2.1の
積層構造を有する繊維構造体を用いて製織した平織物の
裏面温度は、比較例として用いた平織物の裏面温度より
低温に保たれた。ハロゲンランプを30分照射した時点
での両者の温度差は約1.8℃であった。この実施例
2.1の結果より、第2の実施の形態における繊維構造
体が赤外線遮蔽効果を有することが確認できた。
【0176】(実施例3.1)本発明の第3の実施の形
態に対応する実施例3.1について説明する。
【0177】ここでは、図7(d)に示す断面構造を有
する繊維構造体の一例、即ち可視光を反射、干渉する積
層構造体2で赤外線を反射する積層構造体1を上下から
挟んだ構造を有する繊維構造体の作製例を示す。
【0178】赤外線を反射する積層構造体1を構成する
第1の物質101としてスルホイソフタル酸ナトリウム
を1.5モル%共重合したエチレンナフタレート(共重
合PEN)を選択し、第2の物質102としてナイロン
−6(Ny−6)を選択した。
【0179】第1の物質101の共重合PENの平均屈
折率naは1.63であり、第2の物質102のNy−
6の平均屈折率nbは1.53である。共重合PEN一
層あたりの膜厚d1aを0.153μmとし、Ny−6
一層あたりの膜厚d1bを0.163μmとすることに
よって、第1の実施の形態における(1)式で定義され
るλ1を約1μmに設定した。なお、ここでの交互積層
数Nは10ピッチとした。
【0180】また、可視域の光を反射、干渉する積層構
造体2を構成する2種の物質も、積層構造体1の場合と
同様に共重合PENとNy−6を選択した。共重合PE
N一層あたりの膜厚dcを0.072μm、Ny−6一
層あたりの膜厚deを0.077μmとすることによっ
て青色の発色が起こるようにλ2=0.47μmに設定
した。
【0181】特願平9−133039号に記載した紡糸
口金から紡糸温度271℃、巻取速度1,200m/m
inで紡糸を行ない、偏平率が3.6の末延伸糸を得
た。その後、温度140℃、延伸速度300m/min
にて熱延伸を行ない、交互積層数Nを30ピッチとす
る、図7(d)に示すような保護層で覆われた偏平な断
面形状の繊維構造体を作製した。なお、保護層に用いた
物質は共重合PENで、その厚さは2.5μmであっ
た。
【0182】この繊維構造体であるフィラメント糸を経
糸、緯糸として用いて、経糸密度を120本/吋、緯糸
密度90本/吋の平織物を製織した。
【0183】涼感性の測定を実施例1.1と同様に行な
った結果、ハロゲンランプを30分照射した時点での温
度差は実施例1.1とほぼ同じで約3℃であった。ま
た、平織物の色味は見る角度によって、紫青色から青緑
色に変化した。
【0184】このように、赤外線を反射する積層構造体
と光の反射、干渉によって発色する積層構造体とを複合
した繊維構造体は涼感性のみならず、優れた色味をも発
揮した。
【0185】(実施例4.1)本発明の第4の実施の形
態に対応する実施例4.1について説明する。
【0186】ここでは、図9(b)の断面構造を有する
繊維構造体の一例、即ち矩形断面を有する繊維構造体に
おいて、可視域の光を反射、干渉する積層構造体2を中
心に配し、赤外線を反射する積層構造体1をその周囲に
備え、各構造体を構成する各層が外周囲面に平行な繊維
構造体の例を示す。
【0187】赤外線を反射する積層構造体1を構成する
第1の物質101として、実施例1.2、実施例3.1
と同様にスルホイソフタル酸ナトリウムを1.5モル%
共重合したポリエチレンナフタレート(共重合PE
N)、第2の物質としてナイロン−6(Ny−6)を選
択した。第1の物質の共重合PENの平均屈折率naは
1.63であり、第2の物質のNy−6の平均屈折率n
bは1.53である。共重合PEN一層あたりの膜厚d
aを0.153μmとし、Ny−6一層あたりの膜厚d
bを0.163μmとすることによって、第1の実施の
形態における(1)式で定義されるλ1を約1μmに設
定した。なお、ここでの交互積層数Nは10ピッチとし
た。
【0188】また、可視域の光を反射、干渉する積層構
造体2を構成する2種の物質も、積層構造体1の場合と
同様に共重合PENとNy−6を選択した。共重合PE
N一層あたりの膜厚dcを0.072μm、Ny−6一
層あたりの膜厚deを0.077μmとすることによっ
て青色発色するようにλ2=0.47μmに設定した。
【0189】特願平9−133039号に記載した紡糸
口金から温度271℃、巻き取り速度1,200m/m
inで紡糸を行ない、偏平率が3.6の末延伸糸を得
た。その後、温度140℃、延伸速度300m/min
にて熱延伸を行ない、交互積層数Nを30ピッチとす
る、図9(b)に示すような保護層で覆われた偏平な断
面形状の繊維構造体を作製した。なお、保護層として用
いた物質は共重合PENで、その厚さは2μmであっ
た。
【0190】この繊維構造体であるフィラメント糸を経
糸、緯糸として用いて、経糸密度を120本/吋、緯糸
密度90本/吋の平織物を製織した。
【0191】涼感性の測定を実施例1.1と同様に行な
った結果、ハロゲンランプを30分照射した時点での温
度差は実施例1.1とほぼ同じで約3℃であった。ま
た、平織物の色味は極めて鮮やかな青緑色を示し、いず
れの方向からも、紫青色から青緑色の色彩を呈した。
【0192】このように赤外線を反射する積層構造体と
光の反射、干渉によって発色する積層構造体とを複合
し、各層が繊維の外周囲に平行になるように備えた繊維
構造体は、涼感性のみならず、どの方向から見ても極め
て優れた発色性を発揮した。
【0193】
【発明の効果】以上説明したように、第1の物質と第2
の物質との積層構造を有し、その反射スペクトルの一次
ピーク波長が赤外域となるように構成した本発明の繊維
構造体によれば、光の反射、干渉作用により、太陽光に
含まれる近赤外領域の光、および溶鉱炉等の加熱源から
発せられるより長波長域の赤外光を効率よく反射し、遮
蔽することができる。
【0194】さらに、上記赤外線反射、遮蔽効果を有す
る積層構造体にセラミックス等の微粒子を添加すれば、
より高い赤外線遮蔽効果を得ることもできる。
【0195】これらの繊維構造体を用いて製織された生
地や繊維製品は、赤外線の照射による温度上昇から人体
や物体を保護し、特に人体には涼感性をもたらす快適な
衣類や室内環境を提供することができる。
【0196】従来のように、繊維構造体の表面に赤外反
射膜等コーティングするものではなく、繊維構造体の基
体そのものが赤外遮蔽効果を有するため、機械的衝撃に
対し剥離等の発生の問題が少ない。
【0197】また、上記のような赤外線反射、遮蔽効果
を有する積層構造体に、可視光を反射、干渉する積層構
造体や紫外光を反射する積層構造を複合すれば、赤外遮
蔽効果のみならず、発色性や紫外線遮蔽効果をも備えた
高機能の繊維構造体を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における繊維構造体
の斜視図と断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における繊維構造体
の種々の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における繊維構造体
の種々の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における繊維構造体
の種々の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における繊維構造体
の種々の構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における繊維構造体
の積層数と反射率との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第3の実施の形態における繊維構造体
の種々の構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態における繊維構造体
の種々の構造を示す断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態における繊維構造体
の種々の構造を示す断面図である。
【図10】実施例1.1から実施例4.1において作製
した平織物の赤外線遮蔽効果を測定する装置の概略構成
図である。
【図11】実施例1.1において作製した平織物の赤外
線遮蔽効果を測定した結果を示すグラフである。
【図12】実施例2.1において作製した平織物の赤外
線遮蔽効果を測定した結果を示すグラフである。
【図13】実施例1.3において、スルホイソフタル酸
ナトリウム塩の共重合量を変えて作製した繊維構造体の
特性を示す図表である。
【符号の説明】
1・・・赤外光を反射、干渉する積層構造体 2・・・可視光を反射、干渉する積層構造体もしくは紫
外線を反射、干渉する積層構造体 101・・・第1の物質 101a・・空気 102・・・第2の物質 103・・・第3の物質 200・・・平織物 201・・・断熱層 202・・・熱電対 203・・・ハロゲンランプ 204・・・赤外フィルタ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D01F 1/10 D01F 1/10 8/10 8/10 B D03D 15/00 D03D 15/00 B 102 102Z (72)発明者 黒田 俊正 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 (72)発明者 清水 進 神奈川県平塚市新町2番73号 田中貴金属 工業株式会社技術開発センター内 (72)発明者 先原 明男 神奈川県伊勢原市鈴川26番地 田中貴金属 工業株式会社伊勢原工場内 (72)発明者 熊沢 金也 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 田畑 洋 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一軸方向に長軸を有する繊維構造体にお
    いて、前記長軸に垂直な断面方向に、光学屈折率na、
    厚さdaを有する第1の物質と、光学屈折率nb、厚さ
    dbを有する第2の物質とが厚さ方向に交互に積層され
    た積層構造体を有し、 λ1 = 2(nada+nbdb)・・・(1) (1)式で定義されるλ1が、 1.0≦na<1.8・・・(a) 1.3≦nb≦1.8・・・(b) 1.01≦nb/na≦1.8・・・(c) の条件下において、 λ1 ≧ 0.78μm・・・(2) (2)式を充たすことを特徴とする繊維構造体。
  2. 【請求項2】 前記λ1が、 0.78μm ≦ λ1 ≦ 2μm・・・(3) (3)式を充たすことを特徴とする請求項1に記載の繊
    維構造体。
  3. 【請求項3】 一軸方向に長軸を有する繊維構造体にお
    いて、前記長軸に垂直な断面方向に、光学屈折率na、
    厚さdaを有する第1の物質と、光学屈折率nb、厚さ
    dbを有する第2の物質とが厚さ方向に交互に積層され
    た積層構造体を有し、 λ1 = 2(nada+nbdb)・・・(1) (1)式で定義されるλ1が、 1.0≦na<1.8・・・(a) 1.3≦nb≦1.8・・・(b) 1.01≦1nb/na≦1.8・・・(c) の条件下において、 λ1 ≧ 1.6μm・・・(4) (4)式を充たすことを特徴とする繊維構造体。
  4. 【請求項4】 前記λ1が、 1.6μm ≦ λ1 ≦ 20μm・・・(5) (5)式を充たすことを特徴とする請求項3に記載の繊
    維構造体。
  5. 【請求項5】 さらに、前記断面方向に、2種の物質が
    交互に積層された他の積層構造体を有し、 前記他の積層構造体が、 光の反射、干渉により発色する積層構造、もしくは紫外
    線を反射する積層構造の少なくともいずれかの構造を有
    する積層構造体であることを特徴とする請求項1から請
    求項4のいずれか1に記載の繊維構造体。
  6. 【請求項6】 繊維構造体の長軸に垂直な断面におい
    て、 前記積層構造体および前記他の積層構造体のそれぞれを
    構成する各層が、 該繊維構造体の外周面に沿って平行に設けられているこ
    とを特徴とする請求項5に記載の繊維構造体。
  7. 【請求項7】 前記第1の物質と前記第2の物質がいず
    れも熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1から
    請求項6のいずれか1に記載の繊維構造体。
  8. 【請求項8】 前記第1の物質と第2の物質が、 ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビ
    ニル系重合体、ポリエーテルケトン系、ポリサルファイ
    ド系、フッ素系、ポリカーボネート系の単体もしくはこ
    れらの2種類以上の共重合体樹脂のいずれかである請求
    項7に記載の繊維構造体。
  9. 【請求項9】 前記第1の物質が、フッ素系樹脂であ
    り、 前記第2の物質が、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビ
    ニリデン、ポリエステル、ポリフェニルサルファイドの
    いずれかである請求項7に記載の繊維構造体。
  10. 【請求項10】 前記第1の物質が、ポリメチルメタア
    クリレートであり、 前記第2の物質が、ポリエチレンテレフタレートである
    請求項7に記載の繊維構造体。
  11. 【請求項11】 前記第1の物質が、スルホイソフタル
    酸ナトリウムを共重合したポリエチレンナフタレートで
    あり、 前記第2の物質が、ナイロン−6である請求項7に記載
    の繊維構造体。
  12. 【請求項12】 前記第1の物質と前記第2の物質間の
    相溶性を高めるため、少なくとも前記第1の物質または
    前記第2の物質のいずれか一方に相溶化剤が共重合また
    は混合されていることを特徴とする請求項7に記載の繊
    維構造体。
  13. 【請求項13】 前記相溶化剤が、アルキルベンゼンス
    ルホン酸金属塩またはポリエステルアミドである請求項
    12に記載の繊維構造体。
  14. 【請求項14】 前記第1の物質が、ポリエチレンテレ
    フタレートを主成分とする有機ポリマーであり、 当該ポリエチレンテレフタレートを構成するジカルボン
    酸成分が、フタル酸、またはイソフタル酸であり、該配
    位子の一部がカチオン剤により配位機能を付与されてい
    ることを特徴とする請求項7に記載の繊維構造体。
  15. 【請求項15】 前記カチオン剤が、スルホン酸金属塩
    であることを特徴とする請求項14に記載の繊維構造
    体。
  16. 【請求項16】 前記第1の物質が、ポリエチレンテレ
    フタレートを主成分とする有機ポリマーであり、 当該ポリエチレンテレフタレートを構成するジカルボン
    酸成分が、その一部にスルホイソフタル酸金属塩を有す
    ることを特徴とする請求項7に記載の繊維構造体。
  17. 【請求項17】 前記第1の物質が空気であり、前記第
    2の物質が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項
    1から請求項6のいずれか1に記載の繊維構造体。
  18. 【請求項18】 前記第1の物質および前記第2の物質
    のいずれか一方もしくは両方が、 0.78μm以上の波長を有する赤外域の光を反射する
    セラミックス微粒子を含有することを特徴とする請求項
    1から請求項17のいずれか1に記載の繊維構造体。
  19. 【請求項19】 前記セラミックス微粒子が、全体の
    0.1〜30重量%混入されることを特徴とする請求項
    18に記載の繊維構造体。
  20. 【請求項20】 請求項1から請求項19のいずれか1
    に記載した繊維構造体を一部もしくは全部に織り込んだ
    ことを特徴とする繊維生地。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の繊維生地を用いて
    作製された繊維製品。
JP10117512A 1997-04-28 1998-04-27 繊維構造体、繊維生地およびその繊維製品 Pending JPH11181629A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10117512A JPH11181629A (ja) 1997-04-28 1998-04-27 繊維構造体、繊維生地およびその繊維製品

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-111625 1997-04-28
JP11162597 1997-04-28
JP9-285622 1997-10-17
JP28562297 1997-10-17
JP10117512A JPH11181629A (ja) 1997-04-28 1998-04-27 繊維構造体、繊維生地およびその繊維製品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11181629A true JPH11181629A (ja) 1999-07-06

Family

ID=27312006

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10117512A Pending JPH11181629A (ja) 1997-04-28 1998-04-27 繊維構造体、繊維生地およびその繊維製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11181629A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001154595A (ja) * 1999-12-01 2001-06-08 Teijin Ltd プラズマディスプレイ前面板用積層体
WO2004022826A1 (ja) * 2002-09-04 2004-03-18 Toyo Boseki Kabushiki Kaisya 断熱効果を示すストレッチ性布帛及びその製造方法
WO2015065134A1 (ko) * 2013-11-04 2015-05-07 조승래 공동들을 이용한 열 차단 시스템용 다중층 코팅 시스템 및 그 제조방법
KR20150051858A (ko) * 2013-11-04 2015-05-13 조승래 공동들을 이용한 열 차단 시스템용 다중층 코팅 시스템 및 그 제조방법

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001154595A (ja) * 1999-12-01 2001-06-08 Teijin Ltd プラズマディスプレイ前面板用積層体
WO2004022826A1 (ja) * 2002-09-04 2004-03-18 Toyo Boseki Kabushiki Kaisya 断熱効果を示すストレッチ性布帛及びその製造方法
WO2015065134A1 (ko) * 2013-11-04 2015-05-07 조승래 공동들을 이용한 열 차단 시스템용 다중층 코팅 시스템 및 그 제조방법
KR20150051858A (ko) * 2013-11-04 2015-05-13 조승래 공동들을 이용한 열 차단 시스템용 다중층 코팅 시스템 및 그 제조방법
US9835929B2 (en) 2013-11-04 2017-12-05 Materials Vision Co., Ltd. Multi-layer coating system using voids for heat blocking system and method for manufacturing same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6243521B1 (en) Fibers with optical function
US6335094B1 (en) Fiber structure, cloths using same, and textile goods
JP3356438B2 (ja) 光学干渉機能を有する繊維およびその利用
TWI551742B (zh) 芯鞘複合纖維、含有同芯鞘複合纖維的假撚加工紗及其製造方法以及包含這些纖維的織編物
KR100324459B1 (ko) 섬유 구조물 및 그를 사용한 텍스타일
US9725647B1 (en) Anti-counterfeiting yarn and preparation method thereof
WO2004009889A1 (ja) 扁平マルチフィラメント糸条織物
KR102246475B1 (ko) 광택섬유
JP3550775B2 (ja) 発色構造体
JP5735377B2 (ja) 芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維、および防透性を有する布帛
JP5667418B2 (ja) 遮熱性ポリエステル繊維
JPH11181629A (ja) 繊維構造体、繊維生地およびその繊維製品
JP6845059B2 (ja) 蛍光ポリエステル繊維
JP2014101612A (ja) 遮熱性ポリエステル繊維の製造方法
JP2000170028A (ja) 光学機能構造体および織編物
WO2003093547A1 (fr) Tissu de fil epais-fin a filament conjugue en polyester et son procede de fabrication
JP2006307383A (ja) 鮮明性に優れた保温性ポリエステル繊維および布帛
JP2006307395A (ja) 赤外線吸収性と採光性に優れた保温性布帛および繊維製品
JPH11181630A (ja) 複合繊維
JP2006161248A (ja) 遮熱線性繊維と遮熱線採光性布帛
JP2013237956A (ja) 冷感に優れた遮熱性複合繊維
JP7364423B2 (ja) 織物およびインテリア用品
JP2006200061A (ja) 異形断面糸及び芯鞘型異形断面糸
JP2006336151A (ja) 紫外線吸収性と保温性とを有するポリエステル繊維および布帛
JP2014077214A (ja) 冷感に優れた遮熱性複合繊維