JP2000170028A - 光学機能構造体および織編物 - Google Patents

光学機能構造体および織編物

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JP2000170028A JP10345343A JP34534398A JP2000170028A JP 2000170028 A JP2000170028 A JP 2000170028A JP 10345343 A JP10345343 A JP 10345343A JP 34534398 A JP34534398 A JP 34534398A JP 2000170028 A JP2000170028 A JP 2000170028A
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Toshimasa Kuroda
田 俊 正 黒
Susumu Shimizu
水 進 清
Akio Sakihara
原 明 男 先
Kinya Kumazawa
沢 金 也 熊
Hiroshi Tabata
畑 洋 田
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Teijin Ltd
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Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Nissan Motor Co Ltd
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易であると共に、λ1 =2(na d
a +nb db )により定義される波長における十分なエ
ネルギー反射率を確保することができ、可視光線の反射
・干渉特性,赤外線の反射特性,紫外線の反射特性とい
った光学機能をより向上させることのできる光学機能構
造体およびこのような光学機能構造体を繊維として用い
た織編物を提供する。 【解決手段】 1.3以上の光学屈折率na と厚さda
を有する第1の有機ポリマー11と、第1の有機ポリマ
ー11の光学屈折率na の1.01〜1.40倍の光学
屈折率nb と厚さdb を有する第1の有機ポリマー12
とが厚さ方向に交互に積層された断面構造を備えた光学
機能構造体1において、前記両有機ポリマー11,12
の光学厚み比nb db /na da を1/40〜40の範
囲、さらに望ましくは1/15〜15の範囲とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の反射・干渉機
能によって可視光線領域の波長の光を発色したり、紫外
線や赤外線を反射させたりする光学機能構造体、織編物
や塗装などに用いられる光学機能構造体の繊維やチッ
プ、さらにはこのような繊維を用いた織編物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種の繊維や建材、自動車の
塗装などに色味を付与したり、紫外線や赤外線を反射さ
せたりする手段として、あるいはこれらの質感や風合い
を一層向上させる手段として、無機あるいは有機系の染
料や顔料を用いたり、アルミフレークやマイカなどの光
輝材を塗料あるいは繊維中に分散させることが行われて
きた。
【0003】一方、近年のユーザーの嗜好の多様化、パ
ーソナル化、高級化の傾向と相俟って、例えば色味を例
に挙げても、見る方向によって色味が変わる(いわゆる
玉虫色)ものや、より彩度の高い鮮やかな色味を有する
優美かつ高級感のある繊維製品や塗装が要望されるよう
になってきている。そのため、染料や顔料などの色素を
使わずに光の反射・干渉,回折,散乱などの物理現象を
積極的に利用して発色する構造体や、このような物理現
象による発色と従来の染料や顔料などによる発色とを組
み合わせることにより、これらの相乗効果により一層鮮
やかに発色する構造体が研究されている。
【0004】このような構造体の一例として、特公昭4
3−14185号公報あるいは特開平1−139803
号公報には、屈折率のことなる2種以上の樹脂からなる
被覆型の複合繊維を形成することにより、真珠光沢を発
する複合繊維が開示されている。
【0005】また、繊維機械学会誌Vol.42,N
o.2,p.55,(1989)および同誌Vol.4
2,No.2,p.160,(1989)には、分子配
向性フィルムを偏光フィルムで挟んだ構造とすることに
より発色する材料が発表されている。
【0006】さらに、特開昭59−228042号公
報、特公昭60−24847号公報、特公昭63−64
535号公報などには、見る方向により色味が変わり、
鮮やかな色味を発することで知られている南米産モルフ
ォ蝶にヒントを得た織物が開示されている。
【0007】さらにまた、特開昭62−170510号
公報および特開昭63−120642号公報には、繊維
表面に一定幅の細隙を設けることによって干渉色を発す
る構造体が開示されており、染料や顔料を用いていない
ので堅牢性に優れ経時変化のない旨が記載されている。
【0008】しかし、上記のうち、第1の複数樹脂によ
る被覆型複合繊維においては、光学厚み(被覆層の厚み
×その屈折率)が必ずしも均一ではなく、また、発色領
域も限定されている関係上、干渉色本来の透明感のある
鮮やかな色味からはほど遠いものであった。また、偏光
フィルムでサンドイッチ構造とした第2の材料では、細
い繊維や微小なチップを安価に製造することが困難であ
ると共に、色味の鮮やかさの点でも十分ではなかった。
【0009】また、第3および第4の構造体において
は、その諸元が必ずしも明確に開示されていないことか
ら、所望の発色体を製造することが実際上困難であっ
た。
【0010】そこで、これらを解決するものとして、本
出願人の一人は先に、特開平6−017349号公報や
特開平7−034324号公報において、具体的諸元を
用いて、光の反射・干渉作用によって鮮やかな色味に発
色すると共に、見る方向によって色味が変わり、しかも
経時変化のない発色構造体の提案を行うと共に、特開平
7−195603号公報において、紫外線や赤外線を反
射する構造体の提案を行っている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本出願人によって先に
提案された上記発色構造体においては、上記特開平7−
034324号公報等に記載されているように、第1の
有機ポリマー層と第2の有機ポリマー層の厚さda およ
びdb の取り得る範囲は、反射ピーク波長λ1 を与える
関係式、すなわち両ポリマー層の光学厚みの和の2倍と
して定義される λ1 =2(na da +nb db )…(1) を充たす範囲内で任意に設定することができるとしてお
り、とくに(1)式において、両層の光学厚みna da
とnb db とが等しいとき、すなわちλ1 /4=na d
a =nb db (4分の1波長)のときが好ましいと記載
されている。
【0012】しかしながら、本発明者らは、その後の研
究の結果、上記(1)式を充たす範囲内においてna d
a およびnb db を設定したとしても、必ずしも実用レ
ベルの反射・干渉機能を発現できないことがあることを
見出すに至った。すなわち、可視光線領域においては色
味として人の目で認知できる範囲を逸脱すると、一方紫
外線や赤外線領域においては反射効果のある範囲があっ
て、この範囲から逸脱すると、たとえ(1)式を満足し
ていたとしてもエネルギー反射率が不十分となって、実
用上適用できないことがあることが判明した。
【0013】
【発明の目的】本発明は、従来の光学機能材における上
記課題に鑑みてなされたものであって、本発明者らの上
記先行出願に係わる技術をさらに改良、発展させ、製造
が極めて容易であって、可視光線の反射・干渉特性、赤
外線の反射特性、紫外線の反射特性をより一層向上させ
た光学機能構造体およびこのような光学機能構造体を繊
維として用いた織編物を提供することを目的としてい
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するべ
く、本発明に係わる光学機能構造体は、請求項1に記載
しているように、可視光線の反射・干渉特性、赤外線の
反射特性および紫外線の反射特性のうちの少なくともひ
とつの光学機能を有する構造体において、少なくとも光
学屈折率na ,厚さda を有する第1の有機ポリマー
と、光学屈折率nb,厚さdb を有する第2の有機ポリ
マーとが厚さ方向に交互に積層された断面構造を備え、
1.3≦na 、1.01≦nb /na ≦1.40の条件
下で、一次反射ピーク波長λ1 がλ1 =2(na da +
nb db )を充たすと共に、当該関係式における第1の
有機ポリマーの光学厚みna da と第2の有機ポリマー
の光学厚みnb db の比nb db /na da が1/40
≦nb db /na da ≦40を充たす構成としたことを
特徴としている。
【0015】また、本発明に係わる光学機能構造体の実
施態様として請求項2に係わる構造体においては第1の
有機ポリマーの光学厚みna da と第2の有機ポリマー
の光学厚みnb db の比nb db /na da が1/15
≦nb db /na da ≦15を充たす構成とし、同じく
実施態様として請求項3に係わる光学機能構造体におい
ては、交互に積層された断面構造の周囲が第1の有機ポ
リマー,第2の有機ポリマーおよびこれらとは異なる第
3の有機ポリマーのうちのいずれか、あるいはこれらの
組み合わせからなる有機ポリマーの保護層で被覆してあ
る構成とし、請求項4に係わる光学機能構造体において
は前記保護層が第1の有機ポリマーより屈折率の高い第
2の有機ポリマーか、第2の有機ポリマーよりさらに屈
折率の高い第3の有機ポリマーからなる構成とし、請求
項5に係わる光学機能構造体においては前記保護層の厚
さが0.5〜20μmの範囲である構成としたことを特
徴としている。
【0016】さらに本発明に係わる光学機能構造体の実
施態様として請求項6に係わる光学機能構造体において
は、前記第1および第2の有機ポリマーがいずれも熱可
塑性樹脂である構成としたことを特徴としており、この
ような熱可塑性樹脂として、請求項7に記載しているよ
うに前記第1および第2の有機ポリマーがポリエステル
系,ポリアミド系,ポリオレフィン系,ビニル系重合
体、ポリエーテルケトン系,ポリサルファイド系,ふっ
素系,ポリカーボネート系の単体、またはこれらのブレ
ンド、あるいはこれら樹脂の2種類以上の共重合樹脂の
いずれかである構成とすること、請求項8に記載してい
るように前記第1の有機ポリマーがふっ素系樹脂であっ
て、前記第2の有機ポリマーがポリエステル,ポリ塩化
ビニル,ポリメチルメタクリレート,ポリカーボネー
ト,ポリフェニレンサルファイドのいずれかである構成
とすること、請求項9に記載しているように前記第1の
有機ポリマーがポリメチルメタクリレートであって、前
記第2の有機ポリマーがポリエチレンテレフタレートで
ある構成とすること、さらには請求項10に記載してい
るように前記第1の有機ポリマーがポリアミドであっ
て、前記第2の有機ポリマーがスルホイソフタル酸を共
重合したポリエチレンナフタレートである構成とするこ
とがそれぞれ可能である。
【0017】同じく本発明に係わる光学機能構造体の実
施態様として請求項11に記載された光学機能構造体に
おいては前記第1および第2の有機ポリマーの少なくと
も一方に相溶化剤が共重合または混合されている構成と
しており、このような相溶化剤としては、例えば請求項
12に記載しているようにアルキルベンゼンスルフォン
酸金属塩またはポリエステルアミドなどで構成された複
合繊維形成材料を用いることができる。
【0018】また、前記第1あるいは第2の有機ポリマ
ーとしては、実施態様として請求項13に記載されてい
るように、ポリエチレンテレフタレートを主成分とし、
当該ポリエチレンテレフタレートを構成するジカルボン
酸成分がフタル酸またはイソフタル酸であって、その配
位子の一部がカチオン剤により配位機能を付与されてい
るものとすることができ、前記カチオン剤として、例え
ば請求項14に記載されているようにスルフォン酸金属
塩であってもよい。さらに前記第1あるいは第2の有機
ポリマーとして、請求項15に記載されているように、
ポリエチレンテレフタレートを主成分とし、当該ポリエ
チレンテレフタレートを構成するジカルボン酸成分がそ
の一部にスルホイソフタル酸金属塩を有するものを用い
ることが可能である。
【0019】また、本発明に係わる光学機能構造体にお
いては、請求項16に記載しているように、一軸方向に
長軸を有する繊維構造体とすることができ、さらには請
求項17に記載しているように、所定の長さに切断した
ものとなすことも可能である。
【0020】本発明の請求項18に係わる織編物は、請
求項16記載の光学機能構造体の繊維と、天然繊維,化
学繊維あるいは天然繊維と化学繊維の混紡繊維とを組み
合わせた構成としたことを特徴としており、光学機能構
造体の繊維としては、請求項19に記載しているよう
に、干渉発色繊維とすることができ、同じく実施態様と
して、請求項20に記載しているように前記干渉発色繊
維以外の繊維のマンセル表示系による明度値が8.7以
下である構成とすることができ、さらに実施態様とし
て、請求項21に記載しているように前記干渉発色繊維
が天然繊維,化学繊維あるいは天然繊維と化学繊維の混
紡繊維と撚糸されている構成とすることができる。ま
た、本発明の請求項22に係わる織編物は、請求項1な
いし請求項15のいずれかに記載の光学機能構造体の干
渉発色繊維から経糸および緯糸が形成されている構成と
しており、本発明の請求項23に係わる織編物は、請求
項1ないし請求項15のいずれかに記載の光学機能構造
体の干渉発色繊維から経糸および緯糸の一方が形成さ
れ、他方が白色系繊維から形成されている構成としてお
り、さらに請求項24に係わる織編物は、請求項1ない
し請求項15のいずれかに記載の光学機能構造体の干渉
発色繊維が所定部位に刺繍状に配してある構成としてお
り、織編物におけるこのような構成を前述した従来の課
題を解決するための手段としたことを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明に係わる光学機能構造体
は、上記したように、1.3以上の光学屈折率na と厚
さda を備えた第1の有機ポリマーと、第1の有機ポリ
マーの光学屈折率na の1.01〜1.40倍の光学屈
折率nb と厚さdb を備えた第2の有機ポリマーとが厚
さ方向に交互に積層された断面構造を有し、一次反射ピ
ーク波長λ1 が両ポリマーの光学厚みna da およびn
b db の和の2倍によって定義され、前記両ポリマーの
光学厚みna da およびnb db の比nb db /na d
aを1/40〜40の範囲、さらに望ましくは1/15
〜15の範囲とすることによって十分なエネルギー反射
率を確保し、可視光線の反射・干渉特性、赤外線の反射
特性、紫外線の反射特性などの光学機能の向上を可能に
したものであるが、具体的に、例えば図1ないし図3に
示すような断面構造を採用することができる。
【0022】すなわち、図1ないし図3は、本発明に係
わる光学機能構造体の一例として、フィルムや糸(繊
維)状とした光学機能構造体1の断面を示し、例えば図
1(a)に示すように、1.3以上の光学屈折率na を
有し、厚さda を備えた第1の有機ポリマー11と、こ
の有機ポリマーの光学屈折率na の1.01〜1.40
倍の光学屈折率nb を有し、厚さdb を備えた第2の有
機ポリマー12とを厚さ方法に交互に積層して矩形状断
面とすることができる。
【0023】また、図1(b)あるいは(c)に示すよ
うに楕円状あるいは円形状断面とすることや、図1
(d)に示すように第1の有機ポリマー11と第2の有
機ポリマー12とを同心円状に積層するようになすこと
も可能である。
【0024】さらに、図2(a)ないし(d)に示すよ
うに、上記のように矩形状,楕円状,円形状あるいは同
心円状に形成された交互積層部の剥離防止や耐摩耗性向
上、さらには全体的な機械的強度向上を目的に、交互積
層部の周囲や中央部に保護層あるいは補強層13を設け
るようにしてもよい。この保護層13としては、請求項
3に記載しているように第1のポリマー11,第2のポ
リマー12あるいはこれらとは異なる成分の第3の有機
ポリマーを単独、あるいは組み合わせて使用することが
でき、さらには請求項4に記載しているように、第1の
ポリマー11および第2のポリマー12のうちの光学屈
折率が高い第2のポリマー12を使用すること、および
これらよりさらに高い光学屈折率を有する第3の有機ポ
リマーを使用することが光学機能をさらに向上させる観
点から望ましい。
【0025】本発明に係わる光学機能構造体1において
は、第1の有機ポリマー11と第2の有機ポリマー12
とが縦方向(図1(a)に示すy方向)に規則的に配列
された交互積層部がありさえすれば、図3(a)および
(b)に示すように、横方向(図1(a)に示すx方
向)に不連続に配置されすることもできる。この場合、
当然のことながら、横(x)方向の一片の長さは反射光
の波長以上であることが望ましい。また、光学機能構造
体1の断面形状としては、上記したように内部に交互積
層構造部を有しておりさえすれば特に限定されないが、
構造体1の横(x)方向に光の反射・干渉領域を多く取
ることができる偏平形状がより好ましく、その偏平率と
して1.5〜10程度が好ましい。なお、本発明に係わ
る光学機能構造体1を繊維構造体として繊維製品に適用
することを考慮した場合、偏平率が15以上になると製
糸性が大きく低下することから好ましくない。
【0026】また、交互積層数Nについても特に限定さ
れないが、5層以上とすることが好ましい。すなわち、
5層未満の場合には両有機ポリマー11および12の光
学屈折率比nb /na が1.01〜1.40の範囲にあ
っても大きな反射・干渉効果があまり期待できないの
で、交互積層数Nは10層以上150層以下の範囲とす
ることが好ましい。150層を超えると、例えば溶融複
合紡糸法によって光学機能構造体1を製造するに際して
用いる口金構造が複雑になって口金内でのポリマーの流
れが層流から逸脱する結果、均一かつ安定した交互積層
構造の形成が困難になる傾向がある。
【0027】本発明に係わる光学機能構造体1は、上記
したように、基本的に光学屈折率の異なる少なくとも2
種類の有機ポリマー11および12の交互積層部からな
る層状構造を備えたものであり、図1(a)に示すよう
に、構造体1における断面の縦(y)方向に第1の有機
ポリマー層と第2の有機ポリマー層とがある程度の厚さ
da ,db で交互に規則的に積層されており、しかも横
(x)方向にある程度の長さを有するものである。した
がって、光の垂直入射とは、第1の有機ポリマー層と第
2の有機ポリマー層との交互積層に対して縦(y)方向
の入射を意味する。
【0028】また、ここで有機ポリマーとしては、例え
ば高分子樹脂、特に請求項6に記載しているように、熱
可塑性樹脂が好ましく、ある程度の光透過性を有するも
のである。特に、可視光線領域(0.38μm〜0.7
8μm)での反射・干渉作用によって発色する光学機能
構造体1においては、可視光線領域での光透過性のより
高いのものが望ましい。このような、有機ポリマーとし
ては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン
ナフタレート(PEN)、およびこれらを第3成分によ
って変性したポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポ
リスチレン(PS)、ナイロン6(Ny−6),ナイロ
ン66(Ny−66)等のポリアミド、ポリビニルアル
コール、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸
メチル(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(P
EEK)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリ
フェニレンサルファイド(PPS)等の単体、ブレン
ド、もしくはこれらポリマーの2種類以上の共重合体樹
脂などが上げられる。なお、これらは、例示したものに
過ぎなく、これらによって本発明の有機ポリマーが限定
されるものではない。
【0029】このような本発明に係わる光学機能構造体
を製造する方法としては、真空蒸着や電子ビーム蒸着,
イオンプレーティング,分子線エピタキシャルなどの物
理蒸着法、キャスティングやスピンコート、プラズマ重
合、ラングミュア・ブロジェット(LB)などの方法
や、溶融,湿式,乾式等の各種紡糸法等を用いることが
できる。
【0030】例えば、真空蒸着法を用いた例を説明する
と、まず、2台の蒸着ボードと、これらを制御するシャ
ッターを具備した真空蒸着装置内に、第1の有機ポリマ
ーおよび第2の有機ポリマーのペレットをそれぞれ粉末
化したものを配置したのち、蒸着装置の真空度を10-5
Torr程度に保持すると共に、蒸着ボードを各有機ポ
リマーの昇華温度に設定し、例えば光学厚み比(nb d
b /na da )が1、あるいは5などとなるように各々
の層厚を制御することにより基盤上に所望の交互積層数
を備えた光学機能構造体を製造することができる。
【0031】また、交互積層を形成するための特殊口金
(例えば、公知のスタティックミキサー)を用いた溶融
複合紡糸法によって、連続した光学機能構造体1を製造
することができる。例えば、第1の有機ポリマーと第2
の有機ポリマーのペレットを用意し、交互積層を形成す
るための特殊口金を備えた溶融複合紡糸装置を用いて、
紡糸温度,吐出量,紡糸速度などの紡糸条件、さらには
後工程の延伸処理などの条件を制御することにより、光
学厚み比(nb db /na da )が1、あるいは5など
となるように各々の層厚を調整した光学機能構造体を得
ることができる。
【0032】上記したような2種以上の有機ポリマーか
ら選択され、上記のような方法によって製造され、図1
(a)に示したような交互積層構造を備えた光学機能構
造体1においては、光が垂直入射した場合の一次反射ピ
ーク波長λ1 は、前述のように、両ポリマーの光学厚み
na da およびnb db の和の2倍、すなわちλ1 =2
(na da +nb db )によって定義される。
【0033】したがって、例えば、λ1 が0.47μm
(可視光線領域)となるように、ポリマー11および1
2の種類と膜厚を設定することによって青色の反射・干
渉光を得ることができる。また、λ1 が0.62μm
(可視光線領域)となるように設定することによって赤
色の反射・干渉光が得られ、このような光学機能構造体
1を例えば、請求項16に記載しているように繊維体と
して、服地やカーテン生地などに織り込むことにより、
青あるいは赤、あるいは他の色に発色する独特の質感を
与えることができる。このような色味は、染料によるも
のではなく、光の干渉効果によって得られるものである
から、紫外線や洗濯などによって色褪せすることがな
い。
【0034】また、太陽光の赤外スペクトルは、0.7
8μm〜約5.0μm程度までに連続的に存在し、特に
0.78μm〜約2.0μm程度の近赤外領域に高いエ
ネルギーを有するため、λ1 が0.78μm〜5.0μ
m程度の範囲、さらに望ましくは0.78μm〜2.0
μm程度の範囲となるように設定することにより、太陽
光中の赤外線を干渉反射させることができ、このような
光学機能構造体1を繊維として用いた生地により縫製し
たシャツやブラウス、サマースーツ,スポーツウエア,
帽子などの衣料品、あるいは日傘などは、太陽光から赤
外線を効果的に遮蔽、あるいは遮断し、これらを身につ
けることによって涼感を得ることができる。また、カー
テン,ブラインド用スラット,自動車用カバーなどにも
適用することができ、室内や車内の温度上昇を抑制する
ことができる。
【0035】さらに、溶鉱炉,燃焼炉、または各種ボイ
ラーなどの各種加熱体を取り扱う作業環境では、数百度
から千度近い熱源が多く作業現場に存在する。これらの
熱源から発せられる赤外線は、太陽光に含まれる赤外線
の波長領域よりやや長い波長が主となり、一般には、
1.6μmから20.0μmに至る範囲の赤外線スペク
トルが放射される。したがって、λ1 がこのような範囲
となるように設定された光学機能構造体1を繊維として
用いた生地によって作製した作業服や防御用カバー等
は、熱源から発せられる赤外線を効率的に反射し、赤外
線遮蔽もしくは遮断効果を有し、物体や人体の温度上昇
を抑制する。また、こたつカバーやホットカーペット、
電気毛布などに用いることによって赤外線を有効に反射
させ、加熱効率を向上させることも可能になる。
【0036】さらに、λ1 を0.004μm〜0.40
μm程度の紫外スペクトル領域に設定することにより、
目や肌に有害な紫外線を同様に遮蔽、遮断することがで
き、このような範囲となるように設定された光学機能構
造体1を用いた帽子や日傘,サンバイザー,サングラス
などは優れたUVカット機能を発揮することになる。
【0037】本発明に係わる光学機能構造体において
は、一次反射ピーク波長λ1 の異なる複数の交互積層部
を一つの構造体内に並列させて設けることもでき、例え
ば可視光線領域で青および赤に発色すると同時に赤外線
や紫外線をもカットすることができる複数機能を備えた
光学機能構造体とすることも可能である。
【0038】さらに、本発明に係わる光学機能構造体に
おいては、連続した長い繊維として利用するばかりでな
く、請求項17に記載しているように、適当な長さに切
断することによって、例えばスパン系の織物に適用した
り、さらに短いチップ状に切断することによって壁紙や
障子紙に漉きこんだり、塗料やマニキュアなどの化粧品
に適用することもでき、当該構造体を種々の製品に応用
することが可能になる。表1〜表3は、本発明に係わる
光学機能構造体を用いた商品例を示すものである。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】次に、本発明における数値限定理由等につ
いて説明する。
【0043】まず、第1の有機ポリマー11の光学屈折
率をna を1.3以上としたのは、有機ポリマーの光学
屈折率は、一般には1.3〜1.82、汎用的には1.
35〜1.75のレベルの範囲であり、1.3は有機ポ
リマーの光学屈折率の下限に相当することによる。な
お、有機ポリマーの光学屈折率を低下させる方法のひと
つとして、分子内にふっ素を導入することにより理論上
では1.3程度まで低下させ得ることが知られている。
【0044】また、NaFやMgF2 などの低屈折率結
晶を微粒子化して有機ポリマー中に分散させることによ
りポリマーの光学屈折率を低下させることも可能である
が、白濁して透明性を低下させたり、成形性を損ねたり
するので、必ずしも好ましくない。
【0045】現在のところ、1.4以下の低屈折率を有
する有機ポリマーとしては、4ふっ化エチレン(PTF
E)や4ふっ化エチレン・6ふっ化ポリピレン(FR
P)などのふっ素系樹脂が挙げられる。また、1.6以
上の高屈折率の有機ポリマーとしては、ポリ塩化ビニリ
デン(PVDC)やポリエチレンナフタレート(PE
N)などのポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルフ
ァイド(PPS)などが挙げられる。
【0046】次に、第1の有機ポリマー11と第2の有
機ポリマー12との光学屈折率の比nb /na を1.0
1〜1.40の範囲に限定したのは、第1に、この光学
屈折率比nb /na が1.01より小さくなると、エネ
ルギー反射ピークとバックグラウンドとの差で定義され
るエネルギー反射率差ΔRが小さくなって人の目では色
味として認識できなくなることによる。また、第2には
両有機ポリマーの光学屈折率比nb /na が1.01よ
り小さくなる、すなわち1.0に漸近すると、温度によ
る光学屈折率の揺らぎや、波長によって光学屈折率が変
化する分散の影響など(とくに近赤外線以降の波長域)
を受けやすくなり、交互積層数Nを大幅に増加させても
実用上、反射・干渉効果を得ることが困難になることに
よる。したがって、光学屈折率比nb /na の下限値と
しては1.01、さらに好ましくは1.03とすること
が望ましい。
【0047】一方、光学屈折率比nb /na を1.40
以下としたのは、一般に有機ポリマーの光学屈折率は、
Lorentz−Lorentzの式によって理論的に
算出することができ、この式による有機ポリマーの高屈
折率値としては1.9程度、低屈折率値としては1.3
5程度であることから、両有機ポリマーの光学屈折率比
nb /na としては1.40程度が上限となることによ
る。なお、有機ポリマー中に無機物のフィラーや顔料、
例えば酸化チタン(n=2.8)や酸化クロム(n=
2.5)などの酸化物、あるいは硫化カドミウム(n=
2.4)などの硫化物を添加することによって屈折率を
増すことも物理的には可能であるが、透明性を損ねた
り、使用する波長域で含有物の吸収が生じたりするばか
りでなく、成形性が劣化するといった製造上の問題も発
生するので必ずしも好ましくない。
【0048】先に述べたように、光の干渉理論によれ
ば、光が垂直入射した場合の一次反射ピーク波長λ1
は、第1の有機ポリマーの光学厚みna da と第2の有
機ポリマーの光学厚みnb db の和の2倍として与えら
れ、以下の式 λ1 =2(na da +nb db )…(1) により定義される。したがって、一次反射ピーク波長λ
1 を所望の値(例えば可視光線領域において青色を発す
るλ1 =0.47μm)に設定した上で、透明性を有
し、光学屈折率の異なる2種類の有機ポリマーを選択
し、(1)式を充たすように各層の厚みを決定すること
により反射・干渉機能を発現することができるようにな
る。
【0049】ところが前述のように、(1)式において
一次反射ピーク波長λ1 を(例えばλ1 =0.47μm
に)固定し、2種類の有機ポリマーの屈折率na ,nb
に応じて各有機ポリマー層の厚さda ,db を任意に選
択した場合、両有機ポリマーの光学厚みの比nb db /
na da によって、一次反射ピーク波長λ1 でのエネル
ギー反射率が大きく変化し、必ずしも実用に供し得ない
領域があることが見出された。
【0050】すなわち、図4ないし図17は、2種類の
有機ポリマーの屈折率比nb /naがそれぞれ1.4,
1.2,1.1,1.07,1.01である場合に、両
有機ポリマーの光学厚み比nb db /na da を1から
順次5,10,20,30,40と変化させていった時
の反射スペクトルの計算例を示すものである。なお、こ
こでは、可視光線領域での反射・干渉による発色の例と
して、図2(a)に示した構造を前提に、第1の有機ポ
リマー11の光学屈折率na =1.53、一次反射ピー
ク波長λ1 =0.47μm(青色)、交互積層数N=6
1、交互積層部の周囲を取り囲む保護層13の屈折率を
第1の有機ポリマー11と同じ1.53とすると共に、
その厚さを5μmとして計算を実施した。
【0051】図4ないし図8は、両ポリマーの屈折率比
nb /na が1.4(上限値)の場合を示し、この場合
には両ポリマーの光学厚み比nb db /na da が図4
(a)に示す1から、5,10,15と増加していくに
したがって、図4(b),(c),図5(a)に示すよ
うに、反射ピーク波長λ1 でのエネルギー反射率とエネ
ルギー反射強度(スペクトルの面積に相当)が徐々に低
下していき、光学厚み比nb db /na da が90ある
いは100に増加すると、図7(c)あるいは図8に示
すように、反射ピーク波長λ1 =0.47μmにおける
ピークがほとんど消滅する。しかし、屈折率比nb /n
a が1.4の場合には、図6(a)に示すように、光学
厚み比nb db /na da が40であっても、実用上の
効果が顕著な0.4程度のエネルギー反射率を確保する
ことができる。
【0052】図9ないし図11は、両ポリマーの屈折率
比nb /na が1.2の場合を示し、屈折率比nb /n
a が1.4の場合と較べて、光学厚み比nb db /na
da=1において反射ピーク波長λ1 でのエネルギー反
射率に差は認められないが、エネルギー反射強度におけ
る差が顕著である。屈折率比nb /na が1.2の場合
には、図10(b)に示すように、光学厚み比nb db
/na da が20になると、0.4のエネルギー反射率
を確保することができなくなる。
【0053】図12および図13には両ポリマーの屈折
率比nb /na が1.1の場合、図14および図15に
は両ポリマーの屈折率比nb /na が1.07の場合の
反射スペクトルをそれぞれ示し、いずれの場合も両ポリ
マーの光学厚み比nb db /na da が10まで増加す
ると0.4のエネルギー反射率を確保することができな
くなることがわかる。
【0054】図16および図17には、屈折率比nb /
na が1.03および1.01の場合の反射スペクトル
をそれぞれ示すが、屈折率比nb /na が1.03であ
って光学厚み比nb db /na da が1の場合にのみ、
エネルギー反射率が0.4を超えるレベルとなる。この
ように両ポリマーの屈折率比nb /na が1に近付くに
したがって適用できる光学厚み比nb db /na da の
範囲が狭くなることがわかる。
【0055】図18は、光学厚み比nb db /na da
を横軸、エネルギー反射率を縦軸として、上記図4から
図17の結果をまとめたものである。図に示すように、
両ポリマーの屈折率比nb /na を示す各曲線は、光学
厚み比nb db /na da =1を中心として左右対称と
なり、光学厚み比が40の場合も、1/40の場合も本
質的に同じエネルギー反射率が与えられることになる。
【0056】すなわち、両ポリマーの屈折率比nb /n
a が1.4の場合には、光学厚み比nb db /na da
が1から大きくずれた40、あるいは1/40であって
もエネルギー反射率0.4を確保することができる。し
かしながら、屈折率比nb /na が1.2になると、光
学厚み比nb db /na da が1/15〜15程度の範
囲でなければ、エネルギー反射率0.4を確保すること
が困難となる。そして、屈折率比nb /na が1.0
7,1.03とさらに小さくなればなるほど、エネルギ
ー反射率0.4を確保するためには、光学厚み比nb d
b /na da をより1に近付ける必要があることがわか
る。
【0057】上記したように、図18において、光学厚
み比nb db /na da が40、あるいは1/40のと
き、1.3≦na ,1.01≦nb /na ≦1.40な
る関係にあって、屈折率比nb /na の上限値である
1.4において、実用レベルのエネルギー反射率R=
0.4なる値を取り得る。ところが、屈折率比nb /n
aが1.4の場合について、光学厚み比nb db /na
da と層厚との関係を見ると、図19に示すように、第
1の有機ポリマー層(低屈折率ポリマー)の厚さは光学
厚み比nb db /na da の増大と共に、指数関数的に
低下し、光学厚み比nb db /na da が40の場合に
は約0.004μmとなり、有機ポリマーを交互に積層
するための各種の方法、例えば溶融複合紡糸法やキャス
ティング法、スピンコート法といった汎用法、真空蒸着
法、プラズマ重合法、さらには現時点で分子レベルでの
最も均一な有機ポリマー層を形成し得るラングミュア・
ブロジェクト(LB)法によっても、このような極薄の
均一層を形成することがかなり困難なレベルに達する。
【0058】さらに、ポリマー層が薄くなればなるほ
ど、両ポリマーの界面におけるマイグレーションが顕著
となり、ポリマー層の一層あたりの厚さが約0.004
μmになると、光を入射しても反射・干渉効果が発現し
なくなる現象が見出された。この理由は定かではない
が、0.004μmというポリマー層の厚さはもはや分
子レベルであって、界面が不明瞭なために光の反射・干
渉作用が理論通り発現しなくなるものと考えられる。
【0059】それ故、反射・干渉効果を発現させるため
に必要な層厚(下限厚さ)として、0.004μmなる
値が必須であり、したがって光学厚み比nb db /na
daの下限値および上限値としては、第1の有機ポリマ
ー層、あるいは第2の有機ポリマー層の厚さの観点か
ら、1/40≦nb db /na da ≦40なる関係が必
須となる。
【0060】また、上記同様に、屈折率比nb /na が
その上限である1.4の場合、光学厚み比nb db /n
a da が15あるいは1/15のときには、図5(a)
から判るように、0.9以上のエネルギー反射率が得ら
れ、そのときの第1の有機ポリマー層(低屈折率ポリマ
ー)の厚さについても、図19から明らかなように、
0.01μm以上となり、前述した溶融複合紡糸法など
の公知の汎用法によっても十分に制御可能な厚さとな
る。また、薄い方の層厚も0.01μm以上を確保でき
るため、両ポリマー層界面でのマイグレーションによる
不明瞭さも解消されるレベルとなり、光の反射・干渉効
果を安定して発現させることができるようになる。この
ように光学厚み比nb db /na da を1/40〜40
の範囲から、1/15〜15の範囲とすることにより、
さらに高い実用レベルのエネルギー反射率を確保するこ
とができると共に、有機ポリマーの均一な交互積層部を
工業的に安定して製造することができるようになる。
【0061】さらに、例えば、図2(a)に示したよう
に、交互積層部の周囲を第1の有機ポリマー11,第2
の有機ポリマー12、あるいはこれら以外の第3の有機
ポリマーのいずれか、あるいはこれらの組み合わせから
なる保護層13で被覆することにより、耐摩耗性などの
機械的特性のみならず、光学機能(エネルギー反射率)
をも一層向上させることができることが見出された。
【0062】すなわち、図20は、図2(a)に示した
構造の光学機能構造体1において、一次反射ピーク波長
λ1 =0.47μm、屈折率比nb /na =1.07、
積層数N=61とした場合に、保護層13の厚さを変え
たときの光学厚み比nb db/na da とエネルギー反
射率の関係を示すものであって、光学厚み比が1に近い
場合にはエネルギー反射率に大きな相違はないが、光学
厚み比が1よりもさらに大きくなると、保護層13の厚
さの影響が顕著になり、保護層厚さを0.5〜20μm
程度とすることにより、エネルギー反射率を向上させる
ことができる。保護層13の厚さとしては、3〜20μ
mの範囲とすることがさらに望ましい。なお、保護層1
3の厚さをこの範囲に設定することにより、耐摩耗性を
始めとする構造体1の機械的特性が安定していることも
確認された。
【0063】本発明に係わる光学機能構造体1を繊維構
造体として織編物に用いることにより、布地本来の風合
いを損なうことなく、可視光線の反射・干渉特性、赤外
線の反射特性、紫外線の反射特性の少なくともいずれか
の光学機能を付与することができる。以下に、このよう
な繊維構造体を織編物に用いる例として、可視光線の反
射・干渉特性を発現する場合について説明するが、異方
性反射特性あるいは玉虫効果を確実に得ることができ、
発色の異方性反射や鮮澄性などの程度を制御した新感覚
の織編物を提供することができる。なお、ここでは、こ
のような可視光線の反射・干渉特性を備えた繊維構造体
を干渉発色繊維と称することにする。
【0064】図21は、ポリエステルとポリアミドとを
61層に交互積層した光干渉機能部をポリエステルから
なる外殻層により包んだ8デニールの干渉発色繊維単糸
における、0度入射に対する0度受光の場合の分光反射
スペクトルを示すものである。通常の物体色の反射スペ
クトルの場合、どのような色域であれ、その反射率が標
準白色板に対し100%を超えることはないが、干渉発
色繊維の場合には、図21の例に示すように100%を
大きく超える波長帯があり、その結果、明るく見え、見
かけ上彩度が高く見えることになる。
【0065】また、干渉発色繊維は、光学物理的原理
上、見る方向によって色味が変化する異方性反射特性を
備えているだけでなく、光の干渉作用によって発色する
ため、色に濁りがない。さらに干渉発色は、通常の物体
色の見え方と全く異なり、固視点が定まりにくい蛍光感
を誘起させる特徴を有している。
【0066】さらに、入射光側に干渉反射機能を有する
構成物があり、それと接する内側に所定の干渉反射波長
以外の波長を吸収するような構成物が存在するような場
合(このような場合、迷光となる)には、干渉反射波長
による発色は、一層鮮やかに知覚される。すなわち、異
方性反射特性だけでなく、光純度の色味の発色と蛍光感
をも誘起する干渉発色繊維および毛,麻,綿,絹などの
天然繊維や再生繊維、半合成繊維や合成繊維などの化学
繊維あるいはこれらの混紡繊維などとの組み合わせによ
って、多様な異方鮮澄性と優れた風合いを備えた織編物
が得られる。
【0067】図22は、干渉発色繊維からなる糸と通常
の着色糸との組み合わせにより平織りした布地におけ
る、0度入射に対する0度受光の場合の分光反射スペク
トルを着色糸の明度別に比較して示すものであるが、干
渉発色糸と組み合わされる他の着色糸の明度をマンセル
表示系による明度値でとくに8.7以下とすることによ
り、全体のスペクトル上、問題なく視知覚認知され、し
かも干渉発色糸の周辺部分の明度が小さくなるに従っ
て、その色味が明瞭になる。
【0068】また、干渉発色繊維からなる糸同士、ある
いは干渉発色繊維からなる糸と白色繊維からなる糸との
組み合わせによる織編物の場合には、所定の干渉波長の
一部およびその他の波長の透過と、これらの一部が織編
組織内に迷光として残ることによって、固視点が定まり
にくい淡い色味の質感が醸し出される。
【0069】このようにして得られる本発明の構造体
は、優れた可視光線の反射・干渉特性、赤外線の反射特
性、紫外線の反射特性の少なくともいずれかの光学機能
を示し、しかも耐摩耗性を併せ持つものであり、例え
ば、ブラウス,シャツ,スーツ,ワンピース,各種スポ
ーツ衣料,下着,帽子,カーテン,レース,自動車用カ
バーなどに、また、所定の長さにカットした状態で塗装
や建材、化粧品などにも適用でき、広範な分野で使用可
能である。
【0070】
【発明の効果】本発明の請求項1に係わる光学機能構造
体は、1.3以上の光学屈折率na と厚さda を備えた
第1の有機ポリマーと、第1の有機ポリマーの光学屈折
率naの1.01〜1.40倍の光学屈折率nb と厚さ
db を備えた第2の有機ポリマーとが厚さ方向に交互に
積層された断面構造を有し、前記両ポリマーの光学厚み
na da およびnb db の比nb db /na da を1/
40〜40の範囲とした構成のものであるから、実用に
不向きな領域を除外して、λ1 =2(na da +nb d
b )により定義される一次反射ピーク波長λ1 における
十分なエネルギー反射率を確保することができ、可視光
線の反射・干渉特性、赤外線の反射特性、紫外線の反射
特性などの光学機能を向上させることができるという極
めて優れた効果をもたらすものである。
【0071】本発明に係わる光学機能構造体の実施態様
として請求項2の構造体においては前記両ポリマーの光
学厚み比nb db /na da を1/15〜15の範囲に
限定したものであるから、さらに高いエネルギー反射率
が得られると共に、有機ポリマーの交互積層部を工業的
に安定に製造することができ、同じく実施態様として請
求項3に係わる光学機能構造体においては交互積層部の
周囲が第1の有機ポリマー,第2の有機ポリマー、ある
いはこれら以外の第3の有機ポリマーのいずれか、ある
いはこれらの組み合わせからなる有機ポリマーの保護層
で被覆されているので、保護層にない場合に較べて耐摩
耗性などの機械的特性を向上させるばかりでなく、光学
機能をも向上させることができ、請求項4に係わる光学
機能構造体においては前記保護層が第1の有機ポリマー
よりも屈折率の高い第2の有機ポリマー、あるいは第2
の有機ポリマーよりもさらに屈折率の高い第3の有機ポ
リマーからなるものであるから、可視光線の反射・干渉
特性、赤外線の反射特性、紫外線の反射特性などの光学
機能をさらに一層向上させることができ、さらに実施態
様として請求項5に係わる光学機能構造体においては前
記保護層が0.5〜20μmの厚さを備えているので当
該保護層による上記効果を確実なものとすることができ
る。
【0072】また、本発明に係わる光学機能構造体の実
施態様として請求項6に記載の構造体においては第1お
よび第2の有機ポリマーが熱可塑性樹脂、例えば請求項
7に記載されているようなポリエステル系,ポリアミド
系,ポリオレフィン系,ビニル系重合体、ポリエーテル
ケトン系,ポリサルファイド系,ふっ素系,ポリカーボ
ネート系の単体、またはこれらのブレンド、あるいはこ
れら樹脂の2種類以上の共重合樹脂であったり、請求項
8に記載されているように、第1の有機ポリマーがふっ
素系樹脂であって、前記第2の有機ポリマーがポリエス
テル,ポリ塩化ビニル,ポリメチルメタクリレート,ポ
リカーボネート,ポリフェニレンサルファイドのいずれ
かであったり、請求項9に記載されているように、第1
の有機ポリマーがポリメチルメタクリレートであって、
前記第2の有機ポリマーがポリエチレンテレフタレート
であったり、請求項10に記載されているように、第1
の有機ポリマーがポリアミドであって、前記第2の有機
ポリマーがスルホイソフタル酸を共重合したポリエチレ
ンナフタレートであったりするものであるから、通常の
熱的成形法による製造が可能になり、同じく実施態様と
して請求項11に係わる光学機能構造体においては第1
および第2の有機ポリマーの少なくとも一方に、例えば
請求項12に記載されているように、アルキルベンゼン
スルフォン酸金属塩またはポリエステルアミドなどで構
成された複合繊維形成材料のような相溶化剤が共重合ま
たは混合されているので、相溶化剤の作用によって第1
の有機ポリマーからなる層と第2の有機ポリマーからな
る層との界面での親和性が増し、両ポリマーの層形成能
(層の平行性など)が向上すると共に、界面における両
ポリマー層の剥離を抑制することができるという優れた
効果がもたらされる。
【0073】さらに実施態様として請求項13に係わる
光学機能構造体においては第1および第2の有機ポリマ
ーの一方がポリエチレンテレフタレートを主成分とし、
当該ポリエチレンテレフタレートを構成するジカルボン
酸成分がフタル酸またはイソフタル酸であり、その配位
子の一部がカチオン剤、例えば請求項14に記載されて
いるようなスルフォン酸金属塩により配位機能を付与さ
れているので、交互に積層する2種のポリマーの界面エ
ネルギーを近付けることによって両者の相容性を良くす
ることができ、同じく実施態様として請求項15に係わ
る光学機能構造体においては第1および第2の有機ポリ
マーの一方がポリエチレンテレフタレートを主成分と
し、当該ポリエチレンテレフタレートを構成するジカル
ボン酸成分がその一部にスルホイソフタル酸金属塩を有
していることから、スルホイソフタル酸金属塩が第1の
有機ポリマーであるポリエチレンテレフタレートに共重
合することによって第1の有機ポリマーからなる層と第
2の有機ポリマーからなる層との相溶化性が増し、層形
成能を高めることができるという優れた効果がもたらさ
れる。
【0074】さらに、本発明に係わる光学機能構造体の
実施態様として請求項16に記載のの構造体においては
一軸方向に長軸を有する繊維構造体となっているので、
本発明に係わる光学機能構造体を各種の繊維製品に適用
することができるようになり、同じく実施態様として請
求項17に係わる光学機能構造体においては所定の長さ
に切断してあることから、各種の塗装や建材、化粧品な
どに適用できる。
【0075】本発明の請求項18に係わる織編物は、本
発明に係わる光学機能構造体の繊維を天然繊維,化学繊
維あるいは天然繊維と化学繊維の混紡繊維と組み合わせ
たものであるから、可視光線の反射・干渉特性、赤外線
の反射特性、紫外線の反射特性などの光学機能を備えた
織編物として、その特徴を活かした各種製品に適用する
ことができるという優れた効果をもたらすものである。
【0076】本発明に係わる織編物の実施態様として請
求項19に記載の織編物においては、光学機能構造体繊
維がとくに干渉発色繊維であり、干渉発色繊維は素材自
体が透明に近く、光の干渉作用によって発色し、色の濁
りがなく、金属的光沢感が高く、しかも深色および蛍光
感のある質感を有していることから、その組織構造にお
いて干渉発色繊維が表面上に現れる面積によって、感覚
誘起の強弱はあるものの、組織上に現れた部分は質感を
誘起することができ、織編物としての風合いを損なうこ
となく、異方性反射特性あるいは玉虫効果を得ることが
でき、同じく実施態様として請求項20に係わる織編物
においては、干渉発色繊維以外の使用繊維の明度値をマ
ンセル表示系において8.7以下の低明度としたもので
あるから、上記効果に加えて、所定の干渉反射波長以外
の迷光を吸収することにより、干渉発色に対する視知覚
認知程度を向上させることができ、請求項21に係わる
織編物においては、干渉発色繊維が通常の天然繊維や化
学繊維あるいはこれらの混紡繊維と共に撚糸されている
ので、干渉発色繊維に複雑な捩じりが与えられることか
ら、発色部位方向の複雑さや発色表面積を増すことがで
き、織編物の視知覚的風合いを変化させることができる
というさらに優れた効果がもたらされる。このとき、通
常繊維に伸縮性を付与することにより、干渉発色繊維の
捩じりをさらに複雑なものとし、織編物の風合いをさら
に変化に富んだものとすることも可能である。なお、請
求項19ないし請求項21に係わる織編物において、干
渉発色繊維以外の使用繊維として原着糸を使用すること
も可能であり、この場合には紫外線や洗濯などによる色
褪せを防止することができるという効果がもたらされ
る。
【0077】本発明の請求項22に係わる織編物は、本
発明に係わる光学機能構造体の干渉発色繊維から経糸お
よび緯糸が構成されているので、所定の干渉発色波長以
外の波長の透過性は比較的高くなるものの、残迷光の存
在もあって、織編物表面上での発色点に対する固視点が
定まりにくく、あたかも青空を見るような面色的効果を
得ることができる。また、当該織編物は干渉発色繊維の
みからなり、着色のための顔料や染料を用いていないの
で、紫外線や熱線、洗濯などによる色褪せを全く起こす
ことがないという効果をも備えている。
【0078】本発明の請求項23に係わる織編物は、経
糸および緯糸のうちの一方が本発明に係わる光学機能構
造体の干渉発色繊維から構成され、他方が白色系繊維か
ら構成されているので、迷光の存在により固視点が定ま
りにくく、請求項22に係わる織編物と同様の効果がも
たらされる。なお、この場合、白色系繊維として原着糸
を使用することにより、同様に、紫外線や熱線、洗濯な
どによる色褪せを防止することができる。
【0079】本発明の請求項24に係わる織編物は、織
編物の所定部位に、本発明に係わる光学機能構造体の干
渉発色繊維を、例えば織り込んだり、編み込んだりする
ことによって、干渉発色繊維が所定のパターンに刺繍状
に配してあるので、デザインに応じた所定部位のみを周
囲と異なる光沢度や蛍光色感のものとして表現すること
ができるという優れた効果をもたらすものである。
【0080】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0081】実施例1〜実施例2 図2(a)に示すような積層構造の光学機能構造体1の
干渉発色繊維の設計にあたり、第1の有機ポリマー11
としてポリメチルメタクリレート(PMMA,屈折率n
a =1.49)を、第2の有機ポリマー12としてネオ
ペンチルグリコールを12.5モル%共重合したポリエ
チレンテレフタレート(PET,屈折率nb =1.5
8)をそれぞれ選択した(屈折率比nb /na =1.0
6)。ここで通常のポリエチレンテレフタレートではな
く、共重合ポリエチレンテレフタレートを用いたのは、
ポリメチルメタクリレートとの相溶性を上げるため、す
なわち共重合ポリエチレンテレフタレート層とポリメチ
ルメタクリレート層との親和性(界面エネルギー)を近
づけるためである。
【0082】そして、目的とする色味を青色系(反射ピ
ーク波長λ1 =0.47μm)として、光学厚み比nb
db /na da が1および5となるように積層し(交互
積層数N=61層)、交互積層部の外周を共重合ポリエ
チレンテレフタレートからなる保護層13により覆った
干渉発色繊維を設計した。
【0083】製糸については、特願平9−133039
号に記載した紡糸口金(交互積層部の総数N=61)を
装着した複合紡糸装置を用いて、口金温度285℃,紡
糸速度1000m/分の条件下で行われ、未延伸糸を得
た。得られた未延伸糸は、ローラ型延伸機により3.0
倍に延伸され、いずれの場合もほぼ100デニール/1
1フィラメントの延伸糸が得られた。
【0084】この後、光学厚み比の異なるフィラメント
の断面をそれぞれ電子顕微鏡を用いて観察し、共重合ポ
リエチレンテレフタレート層およびポリメチルメタクリ
レート層の各層厚を算出した。また、これらのフィラメ
ントを黒紙に巻付けて光学評価用試料とし、顕微分光光
度計(日立製作所製 U−6000)を用いて、0°入
射−0°受光の条件下で反射スペクトルを測定した。な
お、相対反射率は標準白色板を基準とした。また、これ
らフィラメントの色味を目視により評価した。
【0085】これらの結果は、表4に示すとおりで、光
学厚み比nb db /na da が1の場合、相対反射率は
200%以上の極めて高い値を示し、色味についても透
明感のある鮮やかな紫青色を示した。また、光学厚み比
が5の場合でも相対反射率が100%を超え、色味も目
視によって明瞭に視認できるレベルであった。
【0086】実施例3〜実施例4 図2(a)に示すような積層構造の光学機能構造体1の
干渉発色繊維の設計にあたり、第1の有機ポリマー11
として三菱レーヨン(株)製のポリメチルメタクリレー
ト(PMMA,屈折率na =1.49)を、第2の有機
ポリマー12として帝人化成(株)製のポリカーボネー
ト(PC,屈折率nb =1.59)をそれぞれ選択した
(屈折率比nb /na =1.07)。
【0087】そして、目的とする色味を青色系(反射ピ
ーク波長λ1 =0.47μm)として、同様に光学厚み
比nb db /na da が1および5となるように積層し
(交互積層数N=61層)、交互積層部の外周を共重合
ポリエチレンテレフタレートからなる保護層13により
覆った干渉発色繊維を設計した。
【0088】製糸は、上記の紡糸口金(交互積層部の総
数N=61)を装着した複合紡糸装置を用いて、口金温
度290℃,紡糸速度1000m/分で行われ、得られ
た未延伸糸はローラ型延伸機により3.0倍に延伸さ
れ、いずれの場合もほぼ100デニール/11フィラメ
ントの延伸糸が得られた。そして、得られたフィラメン
トについて上記実施例と同様の方法により評価を行っ
た。
【0089】その結果は、表4に併せて示すとおりで、
光学厚み比nb db /na da が1の場合、実施例1と
同様に200%以上の極めて高い相対反射率を示し、色
味も透明感のある鮮やかな紫青色を示した。また、光学
厚み比が5の場合でも相対反射率は100%を超え、色
味も目視によって明瞭に視認できるレベルであった。
【0090】実施例5 第1の有機ポリマー11としてナイロン6(Ny−6,
屈折率na =1.53)を、第2の有機ポリマー12と
して共重合ポリエチレンテレフタレート(PET,屈折
率nb =1.58)をそれぞれ選択した(屈折率比nb
/na =1.03)。このとき通常のポリエチレンテレ
フタレートではなく、共重合ポリエチレンテレフタレー
トを用いたのは、ナイロン6との相溶性を上げるため、
すなわち共重合ポリエチレンテレフタレート層とナイロ
ン6層との親和性(界面エネルギー)を近づけるためで
あり、以下の方法により準備した。
【0091】ジメチルテレフタレート1.0モル、エチ
レングリコール2.5モル、5−スルホイソフタル酸ナ
トリウム塩の量を変更して添加し、さらにエステル交換
触媒として酢酸カルシウム0.0008モルおよび酢酸
マンガン0.0002モルを用い、これらを反応槽に投
入し攪拌しながら、常法によって150℃から230℃
に徐々に加熱してエステル交換を行った。
【0092】所定量のメタノールを系外に抜き出したの
ち、重合触媒として三酸化アンチモン0.0012モル
を投入して、昇温と減圧を徐々に行い、発生するエチレ
ングリコールを抜きながら、加熱槽を285℃、真空度
1Torr以下に到達させた。この条件を維持して粘度
の上昇を待ち、攪拌機にかかるトルクが所定の値に達し
た時点で反応を終了し、水中に押し出して共重合ポリエ
チレンテレフタレートのペレットを得た。このとき得ら
れた共重合ポリエチレンテレフタレートの極限粘度は
0.47〜0.64の範囲であった。
【0093】上記の方法により調整した共重合ポリエチ
レンテレフタレートの中から、ここでは0.6%共重合
したものを選択し、第1の有機ポリマー11であるナイ
ロン6は1.3の極限粘度のものを用いた。
【0094】そして、目的とする色味を青色系(反射ピ
ーク波長λ1 =0.47μm)として、光学厚み比nb
db /na da が1となるように積層し(交互積層数N
=61層)、図2(a)に示すような交互積層部の外周
を共重合ポリエチレンテレフタレートの保護層13によ
り覆った干渉発色繊維を設計した。
【0095】製糸は、上記した紡糸口金(交互積層部の
総数N=61)を装着した複合紡糸装置を用いて、口金
温度290℃,紡糸速度1000m/分の条件により行
われ、得られた未延伸糸をローラ型延伸機により3.0
倍に延伸することによって、いずれの場合もほぼ100
デニール/11フィラメントの延伸糸が得られた。そし
て、得られたフィラメントについて上記実施例と同様の
方法により評価を行った。
【0096】その結果は、表4に併せて示すとおりで、
実施例1および実施例3の場合とは異なり、相対反射率
は100%レベルの値に留まったが、色味は透明感もあ
る紫青色を示した。
【0097】実施例6〜実施例7 同様に、図2(a)に示すような積層構造の光学機能構
造体1の干渉発色繊維を設計するにあたり、第1の有機
ポリマー11としてナイロン6(Ny−6,屈折率na
=1.53)を、第2の有機ポリマー12としてスルホ
イソフタル酸ナトリウムを1.5モル%共重合したポリ
エチレンナフタレート(PEN,屈折率nb =1.6
3)をそれぞれ選択した(屈折率比nb /na =1.0
7)。ここで通常のポリエチレンナフタレートではな
く、共重合ポリエチレンナフタレートを用いたのは、前
記同様、ナイロン6との相溶性を上げるためである。
【0098】そして、目的とする色味を青色系(反射ピ
ーク波長λ1 =0.47μm)として、光学厚み比nb
db /na da が1および5となるように積層し(交互
積層数N=61層)、交互積層部の外周を共重合ポリエ
チレンナフタレートの保護層13により覆った矩形型の
干渉発色繊維を設計した。
【0099】製糸は、上記の紡糸口金(交互積層部の総
数N=61)を装着した複合紡糸装置を用いて、口金温
度287℃,紡糸速度1000m/分で行われ、未延伸
糸を得た。この未延伸糸はローラ型延伸機により3.0
倍に延伸され、いずれの場合もほぼ100デニール/1
1フィラメントの延伸糸が得られた。そして、得られた
フィラメントについて上記実施例と同様の方法により評
価を行った。
【0100】これらの結果は、表4に併せて示すとおり
で、光学厚み比nb db /na daが1の場合、実施例
1と同様に200%以上の極めて高い相対反射率を示
し、色味も透明感のある鮮やかな紫青色を示した。ま
た、光学厚み比が5の場合でも相対反射率が100%を
超え、色味も目視によって明瞭に視認できるレベルであ
った。
【0101】実施例8〜実施例11 第1の有機ポリマー11としてポリメチルメタクリレー
ト(PMMA,屈折率na =1.49)を、第2の有機
ポリマー12としてポリパラフェニレンサルファイド
(PPS,屈折率nb =1.80)をそれぞれ選択した
(屈折率比nb /na =1.20)。
【0102】そして、目的とする色味を青色系(反射ピ
ーク波長λ1 =0.47μm)として、同様に光学厚み
比nb db /na da が1,5,10および15となる
ように積層し(交互積層数N=61層)、図2(c)に
示すような交互積層部の外周をポリフェニレンサルファ
イドからなる保護層13により覆った偏平型の干渉発色
繊維を設計した。
【0103】製糸は、上記した紡糸口金(交互積層部の
総数N=61)を装着した複合紡糸装置を用いて、口金
温度350℃,紡糸速度1000m/分の条件のもとに
行われ、得られた未延伸糸をローラ型延伸機により3.
0倍に延伸することによって、いずれもほぼ100デニ
ール/11フィラメントの延伸糸が得られた。次いで、
得られたフィラメントの断面構造や反射スペクトル、色
味について上記実施例と同様の方法により評価を行っ
た。
【0104】その結果は、表4に併せて示すとおりで、
光学厚み比nb db /na da が1の場合、相対反射率
は270%レベルの極めて高い値を示し、色味も透明感
のある鮮やかな緑青色を示した。また、これら有機ポリ
マーの組み合わせ(屈折率比nb /na =1.20)の
場合には、光学厚み比が15程度まで100%を超える
相対反射率が得られ、透明感のある鮮やかな色味を視認
することができた。
【0105】
【表4】
【0106】実施例12 保護層13としてポリエステルを最外殻に備えると共
に、その内側に反射ピーク波長λ1 が0.47μmとな
るように設計されたポリアミドとポリエステルとの交互
積層部(屈折率比nb /na =1.07、光学厚み比n
b db /na da=1)を有する6〜12デニールの干
渉発色繊維を11本束ねた糸(66〜132デニール)
を緯糸とし、ほぼ同様のデニール値を備えた黒色系の原
着糸(マンセル表示明度:1〜3)を経糸として、通常
の平サテン織の織物を得た。
【0107】そして、このようにして得られた織物につ
いて、0度入射に対する0度受光の場合の分光反射率を
測定し、細ポリエステルの平サテン織であって、鮮やか
な青色の布地(色相:2.5PB〜3.5PB、明度:
5〜6、彩度:9)の分光反射スペクトルと比較した。
【0108】その結果は、図23に示すとおりであっ
て、本発明に係わる光学機能構造体からなる干渉発色繊
維を緯糸とした織物においては、通常のポリエステル繊
維を用いた青色布地に比べて先染め、後染めに拘らず、
非常に高い相対反射率を示し、極めて強い金属的光沢感
と共に、澄んだ深み感をも併せ持った色調を備えている
ことが確認された。
【0109】なお、これらの特徴や質感は、干渉発色繊
維糸の使用量や当該干渉発色繊維と組み合わせる通常糸
のマンセル表示系における色の三属性、すなわち色層,
明度,彩度によって、さらには織編物の織り方によって
も大きく変化することが確認された。
【0110】実施例13 実施例12と同様の干渉発色繊維糸を緯糸として使用
し、経糸として色相が5Y〜5GY、明度が8.75近
傍、彩度が0.5近傍の多少くすみのある通常繊維糸を
用いて平織りを行い、得られた織物について、分光反射
スペクトルを同様に測定した。この結果を図24に示
す。
【0111】この実施例においては、白色成分が多くな
るため、実際は透過光成分も多くなるが、分光反射スペ
クトル測定では反射成分が多くなり、全体の光沢感が増
加した。また、目視観察では、干渉発色繊維の影響によ
り通常繊維糸側のくすみ感が相殺される傾向が認めら
れ、織物の凹凸部位への光の当たり具合によって色みの
微妙な変化が現れ、新規な質感を得ることができた。
【0112】実施例14 実施例12と同様の干渉発色繊維糸を緯糸として使用
し、経糸に明度が9程度の白色ないしオフホワイトの通
常繊維糸、および干渉発色繊維糸同士を用いて平織りを
行い、得られた2種の織物について、分光反射スペクト
ルを同様に測定した。この結果を図24に併せて示す。
【0113】この結果、可視光線領域全体の反射スペク
トルが標準白色板の反射率を超える傾向を示し、実施例
13の傾向が助長されることが確認された。また、凹凸
部位への光の当たり具合により、色みの微妙な変化と共
に、凹凸部位が固視点の定まりにくく、蛍光感がより助
長される新規な質感が得られた。
【0114】実施例15 実施例12と同様の干渉発色繊維糸を織編物のパターン
デザイン上に、ライン状に浮き糸のようにして織り込
み、目視によって通常糸による同じパターンデザインの
場合と比較評価した。
【0115】この実施例においては、上記実施例のよう
に全体的な光学特性を測定することはできないが、干渉
発色繊維糸を用いた織編物においては、パターンデザイ
ン上のライン部位が金属的光沢を発すると共に、蛍光感
も強調され、別種のデザインのような質感が得られるこ
とが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)ないし(d)は本発明に係わる光学機能
構造体の実施の形態を示すそれぞれ断面図である。
【図2】(a)ないし(e)は本発明に係わる光学機能
構造体の他の実施形態を示すそれぞれ断面図である。
【図3】(a)および(b)は本発明に係わる光学機能
構造体のさらに別の実施形態を示すそれぞれ断面図であ
る。
【図4】(a)ないし(c)は光学機能構造体の光学厚
み比を1,5,10と変化させた場合の反射スペクトル
図である(屈折率比:1.4)。
【図5】(a)ないし(c)は光学機能構造体の光学厚
み比を15,20,30と変化させた場合の反射スペク
トル図である(屈折率比:1.4)。
【図6】(a)ないし(c)は光学機能構造体の光学厚
み比を40,50,60と変化させた場合の反射スペク
トル図である(屈折率比:1.4)。
【図7】(a)ないし(c)は光学機能構造体の光学厚
み比を70,80,90と変化させた場合の反射スペク
トル図である(屈折率比:1.4)。
【図8】光学機能構造体の光学厚み比が100の場合の
反射スペクトル図である(屈折率比:1.4)。
【図9】(a)ないし(c)は光学機能構造体の光学厚
み比を1,5,10と変化させた場合の反射スペクトル
図である(屈折率比:1.2)。
【図10】(a)ないし(c)は光学機能構造体の光学
厚み比を15,20,30と変化させた場合の反射スペ
クトル図である(屈折率比:1.2)。
【図11】(a)および(b)は光学機能構造体の光学
厚み比を40,50と変化させた場合の反射スペクトル
図である(屈折率比:1.2)。
【図12】(a)ないし(c)は光学機能構造体の光学
厚み比を1,5,10と変化させた場合の反射スペクト
ル図である(屈折率比:1.1)。
【図13】(a)ないし(c)は光学機能構造体の光学
厚み比を15,20,30と変化させた場合の反射スペ
クトル図である(屈折率比:1.1)。
【図14】(a)ないし(c)は光学機能構造体の光学
厚み比を1,5,10と変化させた場合の反射スペクト
ル図である(屈折率比:1.07)。
【図15】光学機能構造体の光学厚み比を15の場合の
反射スペクトル図である(屈折率比:1.07)。
【図16】(a)ないし(c)は光学機能構造体の光学
厚み比を1,5,10と変化させた場合の反射スペクト
ル図である(屈折率比:1.03)。
【図17】(a)および(b)は光学機能構造体の光学
厚み比を1,5と変化させた場合の反射スペクトル図で
ある(屈折率比:1.01)。
【図18】光学機能構造体の光学厚み比とエネルギー反
射率の関係を一次反射ピーク波長λ1 が0.47μmの
場合について示すグラフである。
【図19】光学機能構造体の光学厚み比と層厚の関係を
屈折率比が1.4の場合について示すグラフである。
【図20】エネルギー反射率に及ぼす光学機能構造体の
光学厚み比と保護層の厚さの影響を一次反射ピーク波長
λ1 が0.47μmの場合について示すグラフである。
【図21】干渉発色繊維単糸の分光反射スペクトルの一
例を示すグラフである。
【図22】干渉発色繊維糸と通常の着色糸との組み合わ
せによる平織布地における分光反射スペクトルを着色糸
の明度により比較して示すグラフである。
【図23】本発明の実施例12に係わる織物の分光反射
スペクトルを通常繊維からなる青色布地の場合と比較し
て示すグラフである。
【図24】本発明の実施例13に係わる織物の分光反射
スペクトルと実施例14に係わる織物の分光反射スペク
トルとを併せて示すグラフである。
【符号の説明】
1 光学機能構造体 11 第1の有機ポリマー 12 第2の有機ポリマー 13 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅 野 真 理 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 (72)発明者 黒 田 俊 正 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 (72)発明者 清 水 進 神奈川県平塚市新町2番73号 田中貴金属 工業株式会社技術開発センター内 (72)発明者 先 原 明 男 神奈川県伊勢原市鈴川26番地 田中貴金属 工業株式会社伊勢原工場内 (72)発明者 熊 沢 金 也 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 田 畑 洋 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AH08A AH08B AJ04A AJ04B AJ08A AJ08B AK01A AK01B AK01C AK03A AK03B AK17A AK17B AK21A AK21B AK25A AK25B AK41A AK41B AK45A AK45B AK46A AK46B AK54A AK54B AK56A AK56B AK57A AK57B AL01A AL01B AL05A AL05B BA02 BA04 BA05 BA11 BA25A BA25B BA25C BA26 DD31 DG01 DG01A DG01B DG11A DG11B DG17A DG17B DH01A DH01B GB07 GB32 JB16A JB16B JL10 JN18A JN18B JN18C YY00A YY00B YY00C 4J038 CB001 CD031 CD091 CE051 CG141 CH031 DD001 DE001 DH001 DK001 NA01 NA19 PB08 PC08 PC10 4L041 AA07 AA20 BA04 BA05 BA06 BA09 BA11 BA13 BA24 BA34 BA37 BA49 BC06 BD14 CA07 CA11 CA13 CA21 CA35 CA55 DD01 DD08 DD14 4L045 AA05 BA03 BA18 BA21 BA52 BA60 CA25 DA42 DC02 4L048 AA16 AA22 AA24 AA29 AA30 AA37 AB01 AB07 AC01 AC08 BA01 BA02 CA00 DA01 DA03 DA13 DA30

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可視光線の反射・干渉特性、赤外線の反
    射特性および紫外線の反射特性のうちの少なくともひと
    つの光学機能を有する構造体において、 少なくとも光学屈折率na ,厚さda を有する第1の有
    機ポリマーと、光学屈折率nb ,厚さdb を有する第2
    の有機ポリマーとが厚さ方向に交互に積層された断面構
    造を備え、 1.3≦na 1.01≦nb /na ≦1.40 の条件下で、一次反射ピーク波長λ1 が λ1 =2(na da +nb db )…(1) を充たすと共に、 (1)式における第1の有機ポリマーの光学厚みna d
    a と第2の有機ポリマーの光学厚みnb db の比nb d
    b /na da が 1/40≦nb db /na da ≦40 を充たすことを特徴とする光学機能構造体。
  2. 【請求項2】 (1)式における第1の有機ポリマーの
    光学厚みna da と第2の有機ポリマーの光学厚みnb
    db の比nb db /na da が 1/15≦nb db /na da ≦15 を充たすことを特徴とする請求項1記載の光学機能構造
    体。
  3. 【請求項3】 交互に積層された断面構造の周囲が第1
    の有機ポリマー,第2の有機ポリマーおよびこれらとは
    異なる第3の有機ポリマーのうちのいずれか、あるいは
    これらの組み合わせからなる有機ポリマーの保護層で被
    覆してあることを特徴とする請求項1または請求項2記
    載の光学機能構造体。
  4. 【請求項4】 前記保護層が第1の有機ポリマーより屈
    折率の高い第2の有機ポリマーか、第2の有機ポリマー
    よりさらに屈折率の高い第3の有機ポリマーからなるこ
    とを特徴とする請求項3記載の光学機能構造体。
  5. 【請求項5】 前記保護層の厚さが0.5〜20μmの
    範囲であることを特徴とする請求項3または請求項4記
    載の光学機能構造体。
  6. 【請求項6】 前記第1および第2の有機ポリマーがい
    ずれも熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1な
    いし請求項5のいずれかに記載の光学機能構造体。
  7. 【請求項7】 前記第1および第2の有機ポリマーがポ
    リエステル系,ポリアミド系,ポリオレフィン系,ビニ
    ル系重合体、ポリエーテルケトン系,ポリサルファイド
    系,ふっ素系,ポリカーボネート系の単体、またはこれ
    らのブレンド、あるいはこれら樹脂の2種類以上の共重
    合樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項6記載
    の光学機能構造体。
  8. 【請求項8】 前記第1の有機ポリマーがふっ素系樹脂
    であって、前記第2の有機ポリマーがポリエステル,ポ
    リ塩化ビニル,ポリメチルメタクリレート,ポリカーボ
    ネート,ポリフェニレンサルファイドのいずれかである
    ことを特徴とする請求項6記載の光学機能構造体。
  9. 【請求項9】 前記第1の有機ポリマーがポリメチルメ
    タクリレートであって、前記第2の有機ポリマーがポリ
    エチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項
    6記載の光学機能構造体。
  10. 【請求項10】 前記第1の有機ポリマーがポリアミド
    であって、前記第2の有機ポリマーがスルホイソフタル
    酸を共重合したポリエチレンナフタレートであることを
    特徴とする請求項6記載の光学機能構造体。
  11. 【請求項11】 前記第1および第2の有機ポリマーの
    少なくとも一方に相溶化剤が共重合または混合されてい
    ることを特徴とする請求項6記載の光学機能構造体。
  12. 【請求項12】 前記相溶化剤がアルキルベンゼンスル
    フォン酸金属塩またはポリエステルアミドなどで構成さ
    れた複合繊維形成材料であることを特徴とする請求項1
    1記載の光学機能構造体。
  13. 【請求項13】 前記有機ポリマーの一方がポリエチレ
    ンテレフタレートを主成分とし、当該ポリエチレンテレ
    フタレートを構成するジカルボン酸成分がフタル酸また
    はイソフタル酸であり、その配位子の一部がカチオン剤
    により配位機能を付与されていることを特徴とする請求
    項6記載の光学機能構造体。
  14. 【請求項14】 前記カチオン剤がスルフォン酸金属塩
    であることを特徴とする請求項13記載の光学機能構造
    体。
  15. 【請求項15】 前記有機ポリマーの一方がポリエチレ
    ンテレフタレートを主成分とし、当該ポリエチレンテレ
    フタレートを構成するジカルボン酸成分がその一部にス
    ルホイソフタル酸金属塩を有することを特徴とする請求
    項6記載の光学機能構造体。
  16. 【請求項16】 一軸方向に長軸を有する繊維構造体で
    あることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいず
    れかに記載の光学機能構造体。
  17. 【請求項17】 所定の長さに切断してあることを特徴
    とする請求項16記載の光学機能構造体。
  18. 【請求項18】 請求項16記載の光学機能構造体の繊
    維と、天然繊維,化学繊維あるいは天然繊維と化学繊維
    の混紡繊維とを組み合わせたことを特徴とする織編物。
  19. 【請求項19】 光学機能構造体の繊維が干渉発色繊維
    であることを特徴とする請求項18記載の織編物。
  20. 【請求項20】 前記干渉発色繊維以外の繊維のマンセ
    ル表示系による明度値が8.7以下であることを特徴と
    する請求項19記載の織編物。
  21. 【請求項21】 前記干渉発色繊維が天然繊維,化学繊
    維あるいは天然繊維と化学繊維の混紡繊維と撚糸されて
    いることを特徴とする請求項19または請求項20記載
    の織編物。
  22. 【請求項22】 請求項1ないし請求項15のいずれか
    に記載の光学機能構造体の干渉発色繊維から経糸および
    緯糸が形成されていることを特徴とする織編物。
  23. 【請求項23】 請求項1ないし請求項15のいずれか
    に記載の光学機能構造体の干渉発色繊維から経糸および
    緯糸の一方が形成され、他方が白色系繊維から形成され
    ていることを特徴とする織編物。
  24. 【請求項24】 請求項1ないし請求項15のいずれか
    に記載の光学機能構造体の干渉発色繊維が所定部位に刺
    繍状に配してあることを特徴とする織編物。
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